説明

無線通信装置における周波数変更制御方法、及び無線通信装置

【課題】広帯域の無線通信装置において、ある程度の幅の指定した周波数帯域内で周波数を変更する操作をしたとき、前記周波数帯域から意図せずに逸脱してしまうことを防止すること。
【解決手段】本発明に係る無線通信装置における周波数変更制御方法は、予め、運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して複数の設定周波数範囲を設定しておき、指示手段が使用者によって操作されて周波数変更範囲の制限の実行が指示されると、現在の運用周波数が何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、設定周波数範囲を特定し、運用周波数の変更範囲を特定された設定周波数範囲内に制限し、何れの設定周波数範囲内にも含まれない場合には、運用周波数の変更範囲を制限しないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い周波数範囲で運用可能な無線通信装置を、特定の周波数帯域内に制限して運用する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
広い周波数範囲で運用可能な無線通信装置において、運用周波数を変更する場合には、周波数変更用のダイアルもしくはスイッチを、周波数を高くする方向へ操作するか、低くする方向へ操作することが行われる。
このとき、周波数を高くする方向への操作を継続すると、運用周波数は変更し続けて、当該無線通信装置の運用可能な周波数範囲の上限まで上昇し続けることになる。周波数を低くする方向への操作を継続すると、運用周波数は変更し続けて、当該無線通信装置の運用可能な周波数範囲の下限まで降下し続けることになる。
しかし、実際の運用形態においては、ある程度の幅の周波数帯域を所望の周波数帯域として、その周波数帯域内で周波数を上げたり下げたりして、所望の信号を探すという操作が多く、その場合には、前記所望の信号が存在することが期待される特定の周波数帯域を指定して、その周波数帯域から逸脱しないように注意しながら周波数の変更操作をしなければならないので、所望の信号を探すという意識の集中と、周波数範囲から逸脱しないように意識するということを並行しなければならないので不便である。
【0003】
なお、スキャン対象を指定することができるラジオ受信機として、特許文献1には、例えばAMバンド、エアーバンド、FMバンド等のように複数の受信バンドを有し、プリセット用のメモリに、複数の受信周波数のデータをプリセットできると共に、このプリセットされている受信周波数のデータを順に取り出してプリセットされている受信周波数をスキャンするようにしたラジオ受信機において、上記スキャンを指定された受信バンド、例えばAMバンドだけをスキャンすることが可能なラジオ受信機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−166213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のラジオ受信機は、単に、スキャン対象を、複数のバンドのうち、例えばAMバンド、エアーバンド、FMバンド等の何れかに指定して、指定したバンドでプリセットされた周波数のみを順次スキャンすることができるものであって、ある程度の幅の周波数帯域を所望の周波数帯域として、その周波数帯域内で周波数を上げたり下げたりして、所望の信号を探すという操作には不適である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る無線通信装置における周波数変更制御方法は、
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段と、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲の制限の実行を指示する指示手段と、を備えた無線通信装置における周波数変更制御方法において、
予め、前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定しておき、
前記指示手段が使用者によって操作されて周波数変更範囲の制限の実行が指示されると、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、
何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記設定周波数範囲を特定し、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記特定された設定周波数範囲内に制限し、
何れの設定周波数範囲内にも含まれない場合には、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないように制御することを特徴としている。
本発明の請求項2に係る無線通信装置は、
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記設定周波数範囲を特定する識別手段と、
周波数変更範囲の制限の実行を指示する指示手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、を備え、
前記指示手段が使用者によって操作されて周波数変更範囲の制限の実行が指示されると、
前記識別手段は、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、
何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記設定周波数範囲を特定し、前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記特定された設定周波数範囲内に制限し、
何れの設定周波数範囲内にも含まれない場合には、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないことを特徴としている。
請求項3では、
前記周波数変更範囲制御手段は、
使用者が前記周波数変更手段を操作して、運用周波数をより高く変更するような指示を与えた場合に、変更すべき運用周波数が前記設定周波数範囲の設定範囲上限周波数以上になるときには、前記運用周波数を前記設定周波数範囲の設定範囲下限周波数に変更し、
使用者が前記周波数変更手段を操作して、運用周波数をより低く変更するような指示を与えた場合に、変更すべき運用周波数が前記設定周波数範囲の設定範囲下限周波数以下になるときには、前記運用周波数を前記設定周波数範囲の設定範囲上限周波数に変更することを特徴としている。
請求項4に係る無線通信装置は、
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲のうちの何れか1つの範囲を使用者が選択して指定する指定手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、
現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別する識別手段と、を備え、
前記指定手段が使用者によって操作されて設定周波数範囲の何れかが指定されると、
前記識別手段は、現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別し、
前記指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、
前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限し、
前記設定周波数範囲内に含まれない場合には、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないことを特徴としている。
請求項5に係る無線通信装置は、
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲のうちの何れか1つの範囲を使用者が選択して指定する指定手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、
前記設定周波数範囲内の所望の周波数が、当該設定周波数範囲と関連付けされた指定周波数として記憶されている記憶手段と、
現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別する識別手段と、を備え,
前記指定手段が使用者によって操作されて設定周波数範囲の何れかが指定されると、
前記識別手段は、現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別し、前記指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限し、
前記設定周波数範囲内に含まれない場合には、前記周波数変更範囲制御手段は、現在の運用周波数を、前記記憶手段に記憶されている前記指定周波数に変更した上で、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限することを特徴としている。
請求項6に係る無線通信装置は、
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲とそれぞれ対応させて設けられ、何れか1つの設定周波数範囲を使用者が選択して指定し得る少なくとも1つの指定手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、
現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別する識別手段と、を備え、
何れか1つの指定手段が使用者によって操作されて対応する何れか1つの設定周波数範囲が指定されると、
前記識別手段は、現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別し、
前記指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、
前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限し、
前記設定周波数範囲内に含まれない場合には、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないことを特徴としている。
請求項7に係る無線通信装置は、
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲とそれぞれ対応させて設けられ、何れか1つの設定周波数範囲を使用者が選択して指定し得る少なくとも1つの指定手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、
前記設定周波数範囲内の所望の周波数が、当該設定周波数範囲と関連付けされた指定周波数として記憶されている記憶手段と、
現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別する識別手段と、を備え、
何れか1つの指定手段が使用者によって操作されて対応する何れか1つの設定周波数範囲が指定されると、
前記識別手段は、現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別し、前記指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限し、
前記設定周波数範囲内に含まれない場合には、前記周波数変更範囲制御手段は、現在の運用周波数を、前記記憶手段に記憶されている前記指定周波数に変更した上で、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に係る無線通信装置における周波数変更制御方法では、
予め、運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定しておき、
指示手段が使用者によって操作されて周波数変更範囲の制限の実行が指示されると、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、
何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、設定周波数範囲を特定し、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を特定された設定周波数範囲内に制限し、
何れの設定周波数範囲内にも含まれない場合には、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないように制御するので、
周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を特定された設定周波数範囲内に制限して運用すると、特別に意識していなくても、設定周波数範囲から運用周波数が意図せずに逸脱することを防止することができ、優れた操作性が得られる。
本発明の請求項2に係る無線通信装置は、
運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、設定周波数範囲を特定する識別手段と、
周波数変更範囲の制限の実行を指示する指示手段と、
周波数変更手段による周波数の変更を設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、を備え、
指示手段が使用者によって操作されて周波数変更範囲の制限の実行が指示されると、
識別手段は、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、
何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、設定周波数範囲を特定し、周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を特定された設定周波数範囲内に制限し、
何れの設定周波数範囲内にも含まれない場合には、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないので、
周波数変更範囲制御手段によって運用周波数の変更範囲を特定された設定周波数範囲内に制限して運用すると、特別に意識していなくても、設定周波数範囲から運用周波数が意図せずに逸脱することを防止することができ、優れた操作性が得られる。
請求項3では、
周波数変更範囲制御手段は、
使用者が周波数変更手段を操作して、運用周波数をより高く変更するような指示を与えた場合に、変更すべき運用周波数が設定周波数範囲の設定範囲上限周波数以上になるときには、運用周波数を設定周波数範囲の設定範囲下限周波数に変更し、
使用者が周波数変更手段を操作して、運用周波数をより低く変更するような指示を与えた場合に、変更すべき運用周波数が設定周波数範囲の設定範囲下限周波数以下になるときには、運用周波数を設定周波数範囲の設定範囲上限周波数に変更するので、運用周波数の変更範囲を特定された設定周波数範囲内に制限して、運用周波数がループするように変更され、さらに優れた操作性が得られる。
請求項4では、
指定手段が使用者によって操作されて周波数変更範囲の何れかが指定されると、
現在の運用周波数が、指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限するので、優れた操作性が得られる。
請求項5では、
設定周波数範囲内の所望の周波数が、当該設定周波数範囲と関連付けされて指定周波数として記憶されているので、
使用者によって周波数変更範囲の何れかが指定されると、
設定周波数範囲内に含まれない場合には、現在の運用周波数を、記憶手段に記憶されている指定周波数に変更した上で、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限することにより、
現在の運用周波数が、設定周波数範囲内に含まれない場合でも優れた操作性が得られる。

請求項6の無線通信装置では、
設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲とそれぞれ対応させて設けられ、何れか1つの設定周波数範囲を使用者が選択して指定し得る少なくとも1つの指定手段を備えたので、
複数の設定周波数範囲を設定した場合でも、何れか1つの設定周波数範囲の指定が容易であり、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限するので、優れた操作性が得られる。
請求項7の無線通信装置では、
設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲とそれぞれ対応させて設けられ、何れか1つの設定周波数範囲を使用者が選択して指定し得る少なくとも1つの指定手段を設け、
設定周波数範囲内の所望の周波数が、当該設定周波数範囲と関連付けされて指定周波数として記憶されているので、
複数の設定周波数範囲を設定した場合でも、何れか1つの設定周波数範囲の指定が容易であり、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限するので、優れた操作性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1に係る無線受信機のブロック図である。
【図2】前記無線受信機の運用可能周波数範囲内に設定された設定周波数範囲を説明する図である。
【図3】実施例1に係る無線受信機の特徴的な動作を説明するフローチャートである。
【図4】実施例2に係る無線受信機の特徴的な動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施例3に係る無線受信機の特徴的な動作を説明するフローチャートである。
【図6】実施例4に係る無線受信機において設定された指定周波数を説明する図である。
【図7】実施例4に係る無線受信機の特徴的な動作を説明するフローチャートである。
【図8】実施例5に係る無線受信機の操作部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下においては、本発明に係る無線通信装置において周波数変更制御方法を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1において、1は広帯域の無線受信機であり、アンテナ11、受信部12、低周波増幅部13、スピーカ14、制御部3、操作部4、記憶部5を備えている。
前記受信部12は、制御部3からの周波数制御信号に基づいて、アンテナ11から入力された高周波信号の中から同調して選択すべき動作周波数を決定する。
前記制御部3は、前記無線受信機1を全体的に制御するとともに、特に、使用者が、前記操作部4の操作ボタン等を操作して入力する各種操作情報に基づいて、所定の制御信号を前記無線受信機1の各部に出力して、所定の動作が行われるように制御する。
【0010】
前記操作部4は、メインダイヤル41、テンキースイッチ42、アップスイッチ43、ダウンスイッチ44、ボリューム45、設定スイッチ46、指示スイッチ47、指定スイッチ48、その他の機能スイッチ等を備えている。
前記メインダイヤル41は、回転可能なダイヤルとロータリーエンコーダを備えており、動作周波数を変更するモードのときに、右回転させると前記受信部12における動作周波数を現在の動作周波数より高く変更し、左回転させると動作周波数をより低く変更するような操作信号を前記制御部3へ出力する。
前記テンキースイッチ42は、「0」から「9」までの10個のキーと、小数点キー、エンターキーなど複数のボタンスイッチから構成され、動作周波数などを直接数値入力することができる。
【0011】
前記アップスイッチ43は、動作周波数や、後述する上限周波数や下限周波数等を設定する場合に、それらの設定周波数を、現在表示されている数値より高く変更するボタンスイッチである。
前記ダウンスイッチ44は、動作周波数や前記設定周波数を、現在表示されている数値より低く変更するボタンスイッチである。
前記ボリューム45は、スピーカから出力される音量を調整するツマミである。
前記設定スイッチ46は、設定周波数範囲を設定するモードに移行して、その設定周波数範囲の上限周波数と下限周波数とを設定するボタンスイッチである。
前記指示スイッチ47は、周波数変更範囲の制限を実行を指示するボタンスイッチである。
前記指定スイッチ48は、実施例3、4において、設定周波数範囲を指定するために用いるボタンスイッチである。
【0012】
前記無線受信機1の運用可能な周波数範囲は、図2に示した例のように、運用下限周波数fminから運用上限周波数fmaxまでである。前記運用下限周波数fminから運用上限周波数fmaxまでの範囲が、特許請求の範囲に記載された運用可能周波数範囲に対応している。
【実施例1】
【0013】
前記運用可能周波数範囲内で、図2に示したような4つの周波数範囲を設定周波数範囲として設定する場合を例にとって、実施例1の設定の手順と動作を説明する。
まず、周波数f10から周波数f11までの周波数範囲を第1設定周波数範囲W1として設定する場合には、以下のように操作する。
まず、前記メインダイヤルもしくはアップスイッチもしくはダウンスイッチを適宜操作して、動作周波数が前記周波数f10となるように調整する。動作周波数を前記周波数f10に調整した状態で前記設定スイッチ46を押すと、前記周波数f10が第1の設定範囲下限周波数として設定され、続いて、前記メインダイヤルもしくはアップキーを適宜操作して、動作周波数が前記周波数f11となるように調整した状態で、前記設定スイッチ46を押すと、前記周波数f11が第1の設定範囲上限周波数として設定される。
以上の操作で、第1の設定範囲下限周波数f10から第1の設定範囲上限周波数f11までの周波数範囲を第1設定周波数範囲W1として設定する。
【0014】
同様にして、第2の設定範囲下限周波数f20から第2の設定範囲上限周波数f21までの周波数範囲を第2設定周波数範囲W2として設定し、第3の設定範囲下限周波数f30から第3の設定範囲上限周波数f31までの周波数範囲を第3設定周波数範囲W3として設定し、第4の設定範囲下限周波数f40から第4の設定範囲上限周波数f41までの周波数範囲を第4設定周波数範囲W4として設定する。
【0015】
現在の運用周波数が例えば前記第2設定周波数範囲W2内にある周波数faで受信動作中に、周波数変更操作がなされた場合の動作を、図3を参照しながら、以下に説明する。
ステップS1では、当該無線受信機1が運用可能周波数範囲内の周波数faで受信動作中に、前記メインダイヤル41もしくは前記アップスイッチ43もしくは前記ダウンスイッチ44の何れかが操作されて、周波数を変更する操作が行われたか否かを監視し、周波数を変更する操作が行われない場合には、ステップS1をループするが、周波数を変更する操作が行われたことを検知すると、ステップS2に進む。
ステップS2では、現在の運用周波数が前記4つの設定周波数範囲の何れかの範囲内であるか否かをチェックする。
【0016】
ここでのチェックは、例えば、現在の運用可能周波数faが、第1の設定範囲下限周波数f10から第1の設定範囲上限周波数f11までの範囲内であるか否か、第2の設定範囲下限周波数f20から第2の設定範囲上限周波数f21までの範囲内であるか否か、第3の設定範囲下限周波数f30から第3の設定範囲上限周波数f31までの範囲内であるか否か、第4の設定範囲下限周波数f40から第4の設定範囲上限周波数f41までの範囲内であるか否かをチェックする。
【0017】
現在の運用可能周波数faが何れの設定周波数範囲内でもない場合には、普通の周波数変更操作と同じように、ステップS3で変更予定周波数を計算する。例えば、周波数を現在の運用周波数faより高くする操作が行われた場合には、変更予定周波数fmを、現在の運用周波数faに最小周波数変更ステップdを加算した周波数fa+dと計算する。
ステップS4では、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信を継続する。
以上の動作は、従来の普通の周波数変更操作の場合と同様の動作である。
【0018】
前記ステップS2において、現在の運用周波数が前記4つの設定周波数範囲の何れかの範囲内である場合には、何れの設定周波数範囲内であるかを特定する。以上の例では、現在の運用周波数faが第2設定周波数範囲W2に含まれていることを特定する。
ステップS5では、変更予定周波数を計算する。例えば、周波数を現在の運用周波数faより高くする操作が行われた場合には、変更予定周波数fmを、現在の運用周波数faに最小周波数変更ステップdを加算した周波数fa+dと計算する。
【0019】
ステップS6においては、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が、前記第2設定周波数範囲W2の範囲内に収まるか否かを判断する。例えば、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)を第2の設定範囲上限周波数f21と比較する。
以上の例では、周波数を高くする操作を行った場合であるので、第2の設定範囲上限周波数と比較するが、周波数を低くする操作を行った場合には、ステップS6では、第2の設定範囲下限周波数と比較する。
【0020】
ステップS6において、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が、前記第2設定周波数範囲W2の設定範囲上限周波数以上でもなく、また、設定範囲下限周波数以下でもない場合には、ステップS7に進んで、普通の周波数変更操作の場合と同様に、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信を継続する。
【0021】
ステップS6において、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が、前記第2設定周波数範囲W2の設定範囲上限周波数以上、または、設定範囲下限周波数以下である場合には、ステップS8に進んで、周波数変更の制限機能のオン/オフ状態をチェックする。
ステップS8では、前記指示キー47が押されて制限機能がオンになっているか、前記指示キー47が再度押されて制限機能がオフになっているかをチェックし、オフになっていれば、ステップS7へ進んで、普通の周波数変更操作の場合と同様に、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信する。なお、この場合には、運用周波数は、前記第2設定周波数範囲W2から逸脱することになる。
【0022】
前記ステップS8で、制限機能がオンになっていることを確認した場合には、ステップS9へ進んで、以下のように、運用可能周波数の変更範囲を制限する制限機能に基づいた動作を行う。
ステップS9では、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が前記上限周波数以上になる場合には運用周波数を設定範囲上限周波数に設定するとともに、設定周波数範囲の上限になっている状態を所定の音や光で使用者に報知して、受信を継続する。
また、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が前記設定範囲下限周波数以下になる場合には運用周波数を設定範囲下限周波数に設定するとともに、設定周波数範囲の上限になっている状態を所定の音や光で使用者に報知して、受信を継続する。
【0023】
このように運用周波数の変更範囲を制限することによって、前記設定周波数範囲を逸脱することなく運用を継続することができるのである。
以上の、実施例1では、現在の運用周波数が何れかの設定周波数範囲内にあるときに、指示スイッチ47を操作することで、当該設定周波数範囲内での制限機能をオンにして、前記設定周波数範囲から運用周波数が逸脱しないようにして、受信を継続することができるのである。
【実施例2】
【0024】
以下においては、本発明の実施例2に係る無線受信機1の動作を、図1、2、4を参照して説明する。
なお、以下においては、現在の運用周波数が例えば前記第2設定周波数範囲W2内にある周波数faで受信動作中に、周波数変更操作がなされた場合の動作を例にとって説明する。
ステップS41では、当該無線受信機1が運用可能周波数範囲内の周波数faで受信動作中に、前記メインダイヤル41もしくは前記アップスイッチ43もしくは前記ダウンスイッチ44の何れかが操作されて、周波数を変更する操作が行われたか否かを監視し、周波数を変更する操作が行われない場合には、ステップS41をループするが、周波数を変更する操作が行われたことを検知すると、ステップS42に進む。
ステップS42では、現在の運用周波数が前記4つの設定周波数範囲の何れかの範囲内であるか否かをチェックする。
【0025】
ここでのチェックは、例えば、現在の運用可能周波数faが、第1の設定範囲下限周波数f10から第1の設定範囲上限周波数f11までの範囲内であるか否か、第2の設定範囲下限周波数f20から第2の設定範囲上限周波数f21までの範囲内であるか否か、第3の設定範囲下限周波数f30から第3の設定範囲上限周波数f31までの範囲内であるか否か、第4の設定範囲下限周波数f40から第4の設定範囲上限周波数f41までの範囲内であるか否かをチェックする。
【0026】
現在の運用可能周波数faが何れの設定周波数範囲内でもない場合には、普通の周波数変更操作と同じように、ステップS43で変更予定周波数を計算する。例えば、周波数を現在の運用周波数faより高くする操作が行われた場合には、変更予定周波数fmを、現在の運用周波数faに最小周波数変更ステップdを加算した周波数fa+dと計算する。
ステップS44では、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信を継続する。
以上の動作は、従来の普通の周波数変更操作の場合と同様の動作である。
【0027】
前記ステップS42において、現在の運用周波数が前記4つの設定周波数範囲の何れかの範囲内である場合には、何れの設定周波数範囲内であるかを特定する。以上の例では、現在の運用周波数faが第2設定周波数範囲W2に含まれていることを特定する。
ステップS45では、変更予定周波数を計算する。例えば、周波数を現在の運用周波数faより高くする操作が行われた場合には、変更予定周波数fmを、現在の運用周波数faに最小周波数変更ステップdを加算した周波数fa+dと計算する。
【0028】
ステップS46においては、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が、前記第2設定周波数範囲W2の範囲内に収まるか否かを判断する。例えば、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)を第2の設定範囲上限周波数f21と比較する。
以上の例では、周波数を高くする操作を行った場合であるので、第2の設定範囲上限周波数と比較するが、周波数を低くする操作を行った場合には、ステップS46では、第2の設定範囲下限周波数と比較する。
【0029】
ステップS46において、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が、前記第2設定周波数範囲W2の設定範囲上限周波数以上でもなく、また、設定範囲下限周波数以下でもない場合には、ステップS47に進んで、普通の周波数変更操作の場合と同様に、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信を継続する。
【0030】
ステップS46において、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が、前記第2設定周波数範囲W2の設定範囲上限周波数以上、または、設定範囲下限周波数以下である場合には、ステップS48に進んで、周波数変更の制限機能のオン/オフ状態をチェックする。
ステップS48では、前記指示キー47が押されて制限機能がオンになっているか、前記指示キー47が再度押されて制限機能がオフになっているかをチェックし、オフになっていれば、ステップS47へ進んで、普通の周波数変更操作の場合と同様に、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信する。なお、この場合には、運用周波数は、前記第2設定周波数範囲W2から逸脱することになる。
【0031】
前記ステップS48で、制限機能がオンになっていることを確認した場合には、ステップS49へ進んで、以下のように、運用可能周波数の変更範囲を制限する制限機能に基づいた動作を行う。
ステップS49では、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が前記設定範囲上限周波数以上になる場合には運用周波数を設定範囲下限周波数に設定し、前記計算した変更予定周波数fm(=fa+d)が前記設定範囲下限周波数以下になる場合には運用周波数を設定範囲上限周波数に設定して、受信を継続する。
【0032】
このように運用周波数の変更範囲を制限することによって、前記設定周波数範囲を逸脱することなく、前記設定周波数範囲内をループする状態で運用周波数を変更することができるのである。
なお、制限機能がオンの状態で運用中に、前記指示キー47を再度押すなどの所定の操作を行うことによって、いつでもループ状態から脱出することができる。
【0033】
以上の実施例2では、現在の運用周波数が何れかの設定周波数範囲内にあるときに、指示スイッチ47を操作することで、当該設定周波数範囲内での制限機能をオンにして、前記設定周波数範囲内でループする状態で運用周波数を変更することができるのである。
実施例2の場合は、指示スイッチ47を操作することによって、当該設定周波数範囲内での制限機能をオンオフするように構成されており、運用周波数がどの設定周波数範囲内にあってもその設定周波数範囲内での制限機能がオンになる構成である。なお、運用周波数が何れの設定周波数範囲内にもない場合には、運用周波数が何れかの設定周波数範囲内に移動した後に制限機能がオンになる。
【実施例3】
【0034】
以下に説明する実施例3の場合には、指定スイッチ48で指定した特定の設定周波数範囲内においてのみ、周波数変更範囲の制限機能をオンにするように構成されている。
運用周波数が何れかの設定周波数範囲内にあってもその設定周波数範囲が指定スイッチ48で指定されていなければ制限機能はオンにはならない。そして、運用周波数が前記指定された設定周波数範囲内にない場合には、運用周波数が前記指定された設定周波数範囲内に移動した後に制限機能がオンになる。
【0035】
図1に示した指定スイッチ48が使用者によって操作されて、予め設定された複数の設定周波数範囲のうち、何れか1つの設定周波数範囲が指定された場合の動作を、図1、2、5を参照して説明する。
使用者が、前記指定スイッチ48によって、例えば、図2に示した設定周波数範囲W2を指定し、前記操作部4の複数のスイッチの組み合わせ操作など、予め決められた所定の操作を行うことによって、前記指定した設定周波数範囲W2内で周波数変更範囲の制限機能をオンにした後、周波数変更の操作を行った場合の動作を説明する。なお、図5を参照した以下の説明において、図4の説明と同様の動作については、詳細な説明を省略した。
【0036】
図5のステップS51では、当該無線受信機1が運用可能周波数範囲内の周波数faで受信動作中に、前記メインダイヤル41もしくは前記アップスイッチ43もしくは前記ダウンスイッチ44の何れかが操作されて、周波数を変更する操作が行われたか否かを監視し、周波数を変更する操作が行われない場合には、ステップS51をループするが、周波数を変更する操作が行われたことを検知すると、ステップS52に進む。
ステップS52では、現在の運用周波数が前記4つの設定周波数範囲のうち、前記指定された2番目の設定周波数範囲W2の範囲内であるか否かをチェックする。
【0037】
ここでのチェックは、現在の運用可能周波数faが、第2の設定範囲下限周波数f20から第2の設定範囲上限周波数f21までの範囲内であるか否かをチェックする。
【0038】
現在の運用可能周波数faが、前記指定された設定周波数範囲W2の範囲内でない場合には、普通の周波数変更操作と同じように、ステップS53で変更予定周波数を計算し、ステップS54では、前記計算した変更予定周波数を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信を継続する。
【0039】
前記ステップS52において、現在の運用周波数が前記指定された設定周波数範囲W2の範囲内である場合には、ステップS55に進んで、変更予定周波数を計算する。
【0040】
ステップS56においては、前記計算した変更予定周波数が、前記第2設定周波数範囲W2の範囲内に収まるか否かを判断する。
【0041】
ステップS56において、前記計算した変更予定周波数が、前記第2設定周波数範囲W2の設定範囲上限周波数以上でもなく、また、設定範囲下限周波数以下でもない場合には、ステップS57に進んで、普通の周波数変更操作の場合と同様に、前記計算した変更予定周波数を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信を継続する。
【0042】
ステップS56において、前記計算した変更予定周波数が、前記第2設定周波数範囲W2の設定範囲上限周波数以上、または、設定範囲下限周波数以下である場合には、ステップS58に進む。
【0043】
ステップS58では、以下のように、運用可能周波数の変更範囲を制限する制限機能に基づいた動作を行う。
ステップS58では、前記計算した変更予定周波数が前記設定範囲上限周波数以上になる場合には運用周波数を設定範囲下限周波数に設定し、前記計算した変更予定周波数が前記設定範囲下限周波数以下になる場合には運用周波数を設定範囲上限周波数に設定して、ステップS51に戻り、受信を継続する。
【0044】
このように運用周波数の変更範囲を制限することによって、前記指定された第2設定周波数範囲W2を逸脱することなく、前記指定された第2設定周波数範囲W2内をループする状態で運用周波数を変更することができるのである。
【実施例4】
【0045】
前述した実施例3では、現在の運用周波数が、指定された設定周波数範囲内にある場合には、周波数変更の制限機能がオンになるが、現在の運用周波数が、指定された設定周波数範囲外の場合には、周波数変更の制限機能はオンにならない。
したがって、現在の運用周波数が、使用者が周波数変更の制限機能を希望する設定周波数範囲外の場合には、使用者は、現在の運用周波数を一旦前記希望する設定周波数範囲内に変更してから、指定スイッチ48を操作しなければならないので、若干の手間がかかる。
【0046】
そこで、実施例4では、現在の運用周波数が、使用者が周波数変更の制限機能を希望する設定周波数範囲外の場合であっても、使用者が希望する設定周波数範囲を指定するだけで、現在の運用周波数が自動的に前記希望する設定周波数範囲内に移動して、当該設定周波数範囲内で周波数変更の制限機能がオンになるように構成した。
【0047】
図1に示した指定スイッチ48が使用者によって操作されて、予め設定された複数の設定周波数範囲のうち、何れか1つの設定周波数範囲が指定された場合の、実施例4の動作を、図1、6、7を参照して説明する。
実施例4では、図6に示したように、
第1の設定周波数範囲W1の範囲内に、当該設定周波数範囲と関連付けされた第1の指定周波数fw1が予め設定され、
第2の設定周波数範囲W2の範囲内に、当該設定周波数範囲と関連付けされた第2の指定周波数fw2が予め設定され、
第3の設定周波数範囲W3の範囲内に、当該設定周波数範囲と関連付けされた第3の指定周波数fw3が予め設定され、
第4の設定周波数範囲W4の範囲内に、当該設定周波数範囲と関連付けされた第4の指定周波数fw4が予め設定され、
これらの指定周波数は前記記憶部5に予め記憶されている。
【0048】
使用者が、予め決められた所定の操作を行うことによって、例えば、図2に示した設定周波数範囲W2を指定した後、周波数変更の操作を行った場合の動作を説明する。なお、図7を参照した以下の説明において、図5の説明と同様の動作については、詳細な説明を省略した。
当該無線受信機1が、例えば、運用可能周波数範囲内に設定された第2の設定周波数範囲W2内の周波数faで受信動作中に、前記指定スイッチ48が操作されて、前記4つの設定周波数範囲のうち、前記第4の設定周波数範囲W4が指定されると、図7のステップS71では、当該第4の設定周波数範囲と関連付けされた第4の指定周波数fw4を、前記記憶部5から読み込む。
ステップS72では、現在の運用周波数を、前記第4の指定周波数fw4に変更する。
【0049】
ステップS73では、前記メインダイヤル41もしくは前記アップスイッチ43もしくは前記ダウンスイッチ44の何れかが操作されて、周波数を変更する操作が行われたか否かを監視し、周波数を変更する操作が行われない場合には、ステップS73をループするが、周波数を変更する操作が行われたことを検知すると、ステップS74に進む。
ステップS74では、変更予定周波数を計算して、ステップS75へ進む。
ステップS75において、前記計算した変更予定周波数が、前記第4の設定周波数範囲W4の設定範囲上限周波数以上でもなく、また、設定範囲下限周波数以下でもない場合には、ステップS76に進んで、普通の周波数変更操作の場合と同様に、前記計算した変更予定周波数を新しい運用周波数として設定することによって、運用周波数を変更して受信を継続する。
【0050】
ステップS75において、前記計算した変更予定周波数が、前記第4の設定周波数範囲W4の設定範囲上限周波数以上、または、設定範囲下限周波数以下である場合には、ステップS77に進む。
【0051】
ステップS77では、以下のように、運用可能周波数の変更範囲を制限する制限機能に基づいた動作を行う。
ステップS77では、前記計算した変更予定周波数が前記設定範囲上限周波数以上になる場合には運用周波数を設定範囲下限周波数に設定し、前記計算した変更予定周波数が前記設定範囲下限周波数以下になる場合には運用周波数を設定範囲上限周波数に設定して、ステップS73に戻り、受信を継続する。
【0052】
このように運用周波数の変更範囲を制限することによって、前記指定された第4の設定周波数範囲W4を逸脱することなく、前記指定された第4の設定周波数範囲W4内をループする状態で運用周波数を変更することができるのである。
【0053】
なお、前記指定スイッチ48によって別の設定周波数範囲が指定されると、その設定周波数範囲と関連付けされた指定周波数に移動して、上記同様に動作する。
そして、前記指定スイッチ48による第2の設定周波数範囲の指定が解除されると、例えば図4に示された実施例2と同様の動作に戻る。
【実施例5】
【0054】
前記指定スイッチは、1つに限らず、複数設けて、それぞれの指定スイッチを複数の設定周波数範囲に対応させてもよい。
以下に説明する実施例5では、図8に示したように、4つの指定スイッチ481、482、483、484を設け、これらの4つの指定スイッチ481、482、483、484をそれぞれ第1の設定周波数範囲W1、第2の設定周波数範囲W2、第3の設定周波数範囲W3、第4の設定周波数範囲W4に対応させている。
また、各指定スイッチは、連続して押し続ける時間の長短で、異なる動作をするように設定されている。例えば、何れかの指定スイッチを、予め設定された所定の基準時間(例えば2秒間)未満の短時間だけ押す(短押しする)と、現在の運用周波数が、前記指定スイッチに対応されている設定周波数範囲外である場合には、運用周波数を前記設定周波数範囲に関連付けられた指定周波数に変更して受信し、
前記指定スイッチを、前記基準時間以上の長時間押し続ける(長押しする)と、現在の運用周波数が前記設定周波数範囲内である場合のみ、周波数変更範囲の制限機能がオンとなり、運用周波数が前記設定周波数外のときにはオフになるようにして、長押しに運用周波数が追従して変更されない構成としてもよい。
また、現在の運用周波数が前記設定周波数外である場合に、前記指定スイッチを長押しすると、運用周波数を前記設定周波数範囲に関連付けされた指定周波数に変更した上で、周波数変更範囲の制限機能がオンとなるようにして、長押しに運用周波数が追従して変更される構成としてもよい。
【0055】
以上のように、本発明によれば、指定された設定周波数範囲から逸脱することを気にすることなく自動的に制限した状態で、前記設定周波数範囲内の周波数変更の操作に集中することができるので、指定された設定周波数範囲内での周波数変更の操作性が向上するという効果が得られる。
また、広い運用可能周波数範囲を持っている無線通信機であっても、以前のモノバンド機のように、前記設定周波数範囲内の周波数変更の操作に集中することができる。
また、広い運用可能周波数範囲を持っている無線通信機で運用する場合であっても、特定の設定周波数範囲内での運用を好む使用者の要望にも対応できる。
また、特定の設定周波数範囲内での交信数を競うコンテスト用として適した操作性を得ることができる。
指定された設定周波数範囲からの逸脱を制限することができるので、意図する周波数範囲から逸脱した状態に気付かずに運用してしまうオフバンド運用を解消することにも適した機能を実現できる。
【0056】
なお、
前記無線受信機1は特許請求の範囲に記載された無線通信装置に対応し、
前記制御部3は、特許請求の範囲に記載された設定手段、指示手段、指定手段、識別手段、および周波数変更範囲制限手段に対応し、
前記操作部4は、特許請求の範囲に記載された設定手段、指示手段、および指定手段に対応し、
前記記憶部5は、特許請求の範囲に記載された記憶手段に対応し、
前記メインダイヤル41は、特許請求の範囲に記載された周波数変更手段に対応し、
前記アップスイッチ43は、特許請求の範囲に記載された周波数変更手段に対応し、
前記ダウンスイッチ44は、特許請求の範囲に記載された周波数変更手段に対応し、
前記設定スイッチ46は、特許請求の範囲に記載された設定手段に対応し、
前記指示スイッチ47は、特許請求の範囲に記載された指示手段に対応し、
前記指定スイッチ48、481、482、483、484は、特許請求の範囲に記載された指定手段に対応する構成である。
本発明に係る無線通信装置は、前記無線受信機1のように受信機能に限って適用できるものではなく、送信機能に適用すれば、送信周波数が所定の設定周波数範囲から逸脱しないように制限できることは当然である。
【符号の説明】
【0057】
1 広帯域の無線受信機、無線通信装置
3 制御部、設定手段、指示手段、指定手段、識別手段、周波数変更範囲制限手段
4 操作部4、設定手段、指示手段、指定手段
5 記憶部5、記憶手段
41 メインダイヤル、周波数変更手段
43 アップスイッチ、周波数変更手段
44 ダウンスイッチ、周波数変更手段
46 設定スイッチ、設定手段
47 指示スイッチ、指示手段
48、481、482、483、484 指定スイッチ、指定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段と、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲の制限の実行を指示する指示手段と、を備えた無線通信装置における周波数変更制御方法において、
予め、前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定しておき、
前記指示手段が使用者によって操作されて周波数変更範囲の制限の実行が指示されると、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、
何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記設定周波数範囲を特定し、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記特定された設定周波数範囲内に制限し、
何れの設定周波数範囲内にも含まれない場合には、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないように制御することを特徴とする無線通信装置における周波数変更制御方法。
【請求項2】
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記設定周波数範囲を特定する識別手段と、
周波数変更範囲の制限の実行を指示する指示手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、を備え、
前記指示手段が使用者によって操作されて周波数変更範囲の制限の実行が指示されると、
前記識別手段は、
現在の運用周波数が、何れかの設定周波数範囲内か否かを識別し、
何れかの設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記設定周波数範囲を特定し、前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記特定された設定周波数範囲内に制限し、
何れの設定周波数範囲内にも含まれない場合には、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
前記周波数変更範囲制御手段は、
使用者が前記周波数変更手段を操作して、運用周波数をより高く変更するような指示を与えた場合に、変更すべき運用周波数が前記設定周波数範囲の設定範囲上限周波数以上になるときには、前記運用周波数を前記設定周波数範囲の設定範囲下限周波数に変更し、
使用者が前記周波数変更手段を操作して、運用周波数をより低く変更するような指示を与えた場合に、変更すべき運用周波数が前記設定周波数範囲の設定範囲下限周波数以下になるときには、前記運用周波数を前記設定周波数範囲の設定範囲上限周波数に変更することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲のうちの何れか1つの範囲を使用者が選択して指定する指定手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、
現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別する識別手段と、を備え、
前記指定手段が使用者によって操作されて設定周波数範囲の何れかが指定されると、
前記識別手段は、現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別し、
前記指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、
前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限し、
前記設定周波数範囲内に含まれない場合には、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないことを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲のうちの何れか1つの範囲を使用者が選択して指定する指定手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、
前記設定周波数範囲内の所望の周波数が、当該設定周波数範囲と関連付けされた指定周波数として記憶されている記憶手段と、
現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別する識別手段と、を備え,
前記指定手段が使用者によって操作されて設定周波数範囲の何れかが指定されると、
前記識別手段は、現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別し、前記指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限し、
前記設定周波数範囲内に含まれない場合には、前記周波数変更範囲制御手段は、現在の運用周波数を、前記記憶手段に記憶されている前記指定周波数に変更した上で、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限することを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲とそれぞれ対応させて設けられ、何れか1つの設定周波数範囲を使用者が選択して指定し得る少なくとも1つの指定手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、
現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別する識別手段と、を備え、
何れか1つの指定手段が使用者によって操作されて対応する何れか1つの設定周波数範囲が指定されると、
前記識別手段は、現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別し、
前記指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、
前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限し、
前記設定周波数範囲内に含まれない場合には、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を制限しないことを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
所定の運用可能周波数範囲の中の少なくとも何れか1つの周波数を運用周波数として動作可能であるとともに、使用者の操作により前記運用周波数を変更する周波数変更手段を備えた無線通信装置において、
前記運用可能周波数範囲内で、それぞれの設定範囲上限周波数と設定範囲下限周波数とを設定して少なくとも1つの設定周波数範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された少なくとも1つの設定周波数範囲とそれぞれ対応させて設けられ、何れか1つの設定周波数範囲を使用者が選択して指定し得る少なくとも1つの指定手段と、
前記周波数変更手段による周波数の変更を前記設定周波数範囲内の変更に制限する周波数変更範囲制御手段と、
前記設定周波数範囲内の所望の周波数が、当該設定周波数範囲と関連付けされた指定周波数として記憶されている記憶手段と、
現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別する識別手段と、を備え、
何れか1つの指定手段が使用者によって操作されて対応する何れか1つの設定周波数範囲が指定されると、
前記識別手段は、現在の運用周波数が、前記指定された設定周波数範囲内か否かを識別し、前記指定された設定周波数範囲内に含まれる場合には、さらに、前記周波数変更範囲制御手段は、周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限し、
前記設定周波数範囲内に含まれない場合には、前記周波数変更範囲制御手段は、現在の運用周波数を、前記記憶手段に記憶されている前記指定周波数に変更した上で、前記周波数変更手段による運用周波数の変更範囲を前記設定周波数範囲内に制限することを特徴とする無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−34173(P2012−34173A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171653(P2010−171653)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】