無線通信装置及び無線通信システム
【課題】制御データの通信を良好に行うことができる無線通信装置及び無線通信システムを提供する。
【解決手段】中継装置16において赤外線受光素子32は、外部装置に対する指示を示す制御データをリモコンから受信する。中継装置制御回路34は、他の無線通信部が、所定の電波帯域に属する電波を使用してデータを順次送信している間に無線通信により制御データを外部装置へ送信させる場合、制御データ又はデータの送信タイミングを調整する。
【解決手段】中継装置16において赤外線受光素子32は、外部装置に対する指示を示す制御データをリモコンから受信する。中継装置制御回路34は、他の無線通信部が、所定の電波帯域に属する電波を使用してデータを順次送信している間に無線通信により制御データを外部装置へ送信させる場合、制御データ又はデータの送信タイミングを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置を遠隔制御するための制御データの無線通信を行う無線通信装置及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に手術を行う場合、目的に応じた医療装置をカート上に搭載した複数の医療装置群により構成される手術システムが使用される。医療装置群は、手術の内容により自由に配置される。
【0003】
手術中、医療装置の幾つかは、リモートコントローラ(以下、リモコンと略記する)によるリモート制御により操作される。多くのリモコンは、赤外線通信により医療装置に制御データを伝送している。赤外線通信の通信距離が短い為、赤外線通信による制御データの伝送では、医療装置が広い範囲に配置されている場合に制御データが伝わらなくなるという問題が発生する。
【0004】
上記問題を解決する為、例えば特許文献1では、赤外線アダプターにより赤外線量を増やし、距離の離れた医療装置へ制御データを伝える方法が開示されている。しかし、この方法では、通信相手が通信可能な位置に無い場合に通信ができなくなるという赤外線通信に伴う課題は解決されない為、医療装置群や医師の配置によっては制御データが伝わらなくなるという問題が残る。
【0005】
特許文献2には、通信距離の長い無線(電波)を使用するリモコンを用いることが示されている。しかし、無線通信環境が劣化した場合の対応が示されておらず、無線通信や電磁ノイズが発生することの多い手術システムに対してこのリモコンを使用した場合、制御データの伝送が良好に行えないことがある。
【0006】
又、特許文献3には、リモコン同士の通信の際、送信前に検波を行うことによって衝突を防止する方法が開示されている。しかし、この方法は、リモコン同士の通信以外の無線通信や電磁ノイズの発生を考慮しておらず、発生する無線通信や電磁ノイズが少ない場合には有効な方法であるが、無線通信や電磁ノイズが発生することの多い手術システムに対してこの方法を使用した場合、送信開始直後に他の無線通信や電磁ノイズが発生し、制御データの伝送が良好に行えないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-245286号公報
【特許文献2】特表2008-519501号公報
【特許文献3】特開平7-147697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
手術の高度化に従い、同時に使用される医療装置群の数が増加し、医療装置群が広い範囲に配置されることが増えている。更に、内視鏡画像等の画像データが無線(電波)通信され、他の医療装置群のモニタに表示される場合も多い。又、動作時に電磁ノイズを発生する電気メスのような装置も多く使用されている。つまり、医療装置群が広い範囲に分散して配置され、電波を利用する装置や電波を発生する装置が使用されている場合が多いという状況になっている。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、制御データの通信を良好に行うことができる無線通信装置及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、第1の外部装置及び第2の外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う無線通信部と、制御端末との間で近接通信を行う近接通信部と、前記制御端末から前記近接通信部を介して受信した、前記第1の外部装置に対する指示を示す制御データを、前記無線通信部を介して前記第1の外部装置へ送信させる制御部であって、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へデータを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データ又は前記データの送信タイミングを調整する制御部と、を有する無線通信装置である。
【0011】
又、本発明は、外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う無線通信部と、制御端末との間で近接通信を行う近接通信部と、前記制御端末から前記近接通信部を介して受信した、前記外部装置に対する指示を示す制御データを、前記無線通信部を介して前記外部装置へ送信させる制御部であって、前記所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態に基づいて、前記制御データの送信タイミングを調整する、又は、前記機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する制御部と、を有する無線通信装置である。
【0012】
又、本発明の無線通信装置において、前記制御部は、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へ画像データを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データの送信タイミングを、前記画像データの所定の無線送信期間とは異なるタイミングに調整する。
【0013】
又、本発明の無線通信装置において、前記無線通信部は、前記第1の外部装置と画像データの無線通信を行う機能を有し、当該機能を用いて前記制御データを前記第1の外部装置へ送信する。
【0014】
又、本発明の無線通信装置において、前記制御部は、前記制御データの送信タイミングを、前記機材による電磁ノイズの発生が少ないと判断されるタイミングに調整する。
【0015】
又、本発明の無線通信装置において、前記外部装置は、個々に優先順位を持つ前記機材を有し、前記制御データは、前記機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、前記ID情報と前記優先順位とを関連付けた機材情報を記憶する記憶部を更に有し、前記制御部は、前記制御データに含まれる前記ID情報と前記機材情報とに基づいて制御対象の前記機材の優先順位を識別し、当該識別した優先順位と、前記機材情報が示す各機材の優先順位とに基づいて、動作状態を変更する機材を決定し、当該機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する。
【0016】
又、本発明の無線通信装置において、前記無線通信部は、前記外部装置と画像データの無線通信を行う機能を有し、当該機能を用いて前記制御データを前記外部装置へ送信する。
【0017】
又、本発明は、第1の外部装置及び第2の外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第1の無線通信部と、制御端末との間で近接通信を行う第1の近接通信部と、前記制御端末から前記第1の近接通信部を介して受信した、前記第1の外部装置に対する指示を示す制御データを、前記第1の無線通信部を介して前記第1の外部装置へ送信させる制御部であって、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へデータを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データ又は前記データの送信タイミングを調整する第1の制御部と、を有する無線通信装置、前記制御データを生成する生成部と、前記無線通信装置との間で近接通信を行う第2の近接通信部と、を有する前記制御端末、前記第2の外部装置及び前記無線通信装置との間で、前記所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第2の無線通信部と、前記第2の無線通信部を介して前記無線通信装置から受信された前記制御データに基づく制御を行う第2の制御部と、を有する前記第1の外部装置を備えた無線通信システムである。
【0018】
又、本発明は、外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第1の無線通信部と、制御端末との間で近接通信を行う第1の近接通信部と、前記制御端末から前記第1の近接通信部を介して受信した、前記外部装置に対する指示を示す制御データを、前記第1の無線通信部を介して前記外部装置へ送信させる制御部であって、前記所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態に基づいて、前記制御データの送信タイミングを調整する、又は、前記機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する第1の制御部と、を有する無線通信装置、前記制御データを生成する生成部と、前記無線通信装置との間で近接通信を行う第2の近接通信部と、を有する前記制御端末、前記無線通信装置との間で、前記所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第2の無線通信部と、前記第2の無線通信部を介して前記無線通信装置から受信された前記制御データに基づく制御を行う第2の制御部と、を有する前記外部装置を備えた無線通信システムである。
【0019】
又、本発明の無線通信システムにおいて、前記制御データは、制御対象の機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、前記制御端末は、画像を表示する表示画面の一部を使って前記ID情報を光学的に伝送する情報伝送機能を持つ画像表示装置の前記表示画面から前記ID情報を読み取る読み取り部を有し、前記生成部は、前記表示画面から読み取った前記ID情報を用いて前記制御データを生成する。
【0020】
又、本発明の無線通信システムにおいて、前記制御データは、制御対象の機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、前記制御端末は、画像を表示する表示画面の一部を使って前記ID情報を光学的に伝送する情報伝送機能を持つ画像表示装置の前記表示画面から前記ID情報を読み取る読み取り部を有し、前記生成部は、前記表示画面から読み取った前記ID情報を用いて前記制御データを生成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、制御端末からの制御データの送信を無線通信装置が行う場合、制御データ又は画像データ等のデータの送信タイミングを調整する、若しくは所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態を変更する指示を機材へ送信することによって、制御データの送信に影響を及ぼす電波が発生していないタイミングで制御データを送信することが可能となるので、制御データの通信を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する各医療装置の接続関係を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における制御データの構造を示す参考図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有するリモコンの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるシステム状態テーブルの内容を示す参考図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における制御データ送信待ちテーブルの内容を示す参考図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における制御データの無線通信のタイミングチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態におけるリモコンの初期設定処理用の表示画面を示す参考図である。
【図13】本発明の第2の実施形態によるリモート制御システムの構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施形態におけるシステム状態テーブルの内容を示す参考図である。
【図16】本発明の第2の実施形態における制御データの無線通信のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態では、3台のカート上に構成された医療装置群(外部装置)を有するリモート制御システム(無線通信システム)に本発明を適用した場合を例に説明を行っている。
【0025】
図1〜図2を用いて、リモート制御システムの構成を説明する。図1は、本実施形態によるリモート制御システムの構成を示している。
【0026】
カート10には、内視鏡画像や各種制御画面を表示する画像モニタ1、画像データ及び制御データの通信を行う無線通信装置2、内視鏡3、気腹装置4、超音波処理装置5、電気メス6、中継装置7、システムコントローラ8、フットスイッチ9が搭載されている。カート10上のこれらの機材は本発明の無線通信システムにおける外部装置を構成している。
【0027】
カート18には、内視鏡画像や各種制御画面を表示する画像モニタ11、画像データや制御データの通信を行う無線通信装置12、内視鏡13、シェーバー14、ポンプ15、中継装置16、システムコントローラ17が搭載されている。カート18上のこれらの機材は本発明の無線通信システムにおける外部装置(第1の外部装置)を構成している。
【0028】
各医療装置の遠隔制御用のリモコン19は、カート18の近傍にあり、リモコン19からの信号は赤外線通信により中継装置16にのみ伝わっている状態になっている。図1ではリモコン19がカート18の近傍にあるが、リモコン19がカート10の近傍にある場合、リモコン19からの信号はカート10上の中継装置7のみに伝わる。
【0029】
カート22には、画像モニタ20と無線通信装置21が搭載されており、無線通信装置21が受信した画像を画像モニタ20が表示している。カート22上のこれらの機材は本発明の無線通信システムにおける外部装置(第2の外部装置)を構成している。
【0030】
患者ベッド24には、患者23が載せられ、内視鏡等の医療装置からのプローブが取り付けられている。
【0031】
図中、内視鏡、気腹装置、超音波処理装置、電気メス、シェーバー、ポンプは公知の医療装置であり、本実施形態においても公知の機能を持つ物として説明を行うので、これらについてはこれ以上の説明を省略する。
【0032】
フットスイッチ9は、システムコントローラ8に接続されており、超音波処理装置5、若しくは、電気メス6の出力を制御する。フットスイッチ9の動作状態を切り替えることにより、超音波処理装置5、電気メス6のどちらの制御を行うかの切り替えをリモコン19から行えるようになっている。
【0033】
無線通信装置、中継装置、システムコントローラ、リモコンについては、後に説明を行う。
【0034】
図2は、リモート制御システムが有する各医療装置の接続関係を示している。図示するように、カート10に搭載されている各装置(機材)はシステムコントローラ8に接続されており、システムコントローラ8が各装置の動作状態を把握している。同様に、カート18に搭載されている各装置(機材)はシステムコントローラ17に接続されており、システムコントローラ17が各装置の動作状態を把握している。
【0035】
図2は、リモコン19が出力する信号が中継装置16にのみ伝わっている状態を示している。中継装置7は、システムコントローラ8からの情報に基づいて、カート10に搭載されている各装置の動作状態を把握すると共に、無線通信装置2及び無線通信装置12を介した無線通信により中継装置16と情報交換を行い、カート18に搭載されている各装置の動作状態も把握している。同様に、中継装置16は、システムコントローラ17からの情報に基づいて、カート18に搭載されている各装置の動作状態を把握すると共に、無線通信装置2及び無線通信装置12を介した無線通信により中継装置7と情報交換を行い、カート10に搭載されている各装置の動作状態も把握している。これらの中継装置による各装置の動作状態の把握方法については、後に図5〜図11を用いて詳しく説明を行う。
【0036】
カート10の無線通信装置2、カート18の無線通信装置12、カート22の無線通信装置21は、所定の電波帯域(周波数帯域)に属する無線通信を行う。これらの無線通信装置は画像通信機能を有しており、図2ではカート10の無線通信装置2とカート22の無線通信装置21が画像データの無線通信を行う。又、カート10の無線通信装置2とカート18の無線通信装置12は、画像通信機能を使用して、各装置の動作を制御するための制御データの無線通信を行う。
【0037】
次に、図3〜図5を用いて、リモコン19と中継装置7,16の構成を説明する。以下の説明では、図1、図2に示したように、リモコン19からの信号が中継装置16のみに伝わっている状態を想定している。
【0038】
図3は、リモコン19から送信される制御データ(制御命令)の構造を示している。図示するように、制御データは、制御対象の装置のIDを示す装置ID(ID情報)と、制御対象の装置に対する指示内容(制御内容)を示す指示情報から構成されている。
【0039】
図4はリモコン19の構成を示している。リモコン19は、赤外線発光素子27、可視光受光素子28、通信インターフェイス回路30、制御ボタン26、表示素子25、記憶回路31、リモコン制御回路29から構成されている。
【0040】
赤外線発光素子27は、赤外線通信により制御データを送信する。赤外線を用いるため、リモコン19と中継装置7,16との通信は、電気メス6等が発生する電磁ノイズの影響を受けにくい。本発明の実施形態では、リモコン19が赤外線通信を行う例を示しているが、リモコン19が行う通信は、中継装置の近傍でのみ通信が可能な近接通信(近距離通信)であればよく、赤外線の代わりに超音波等を用いてもよい。
【0041】
可視光受光素子28は、各装置の装置IDを、画像モニタを介した光通信で受信する。この光通信による装置IDの受信については、後に図12を用いて詳しく説明を行う。
【0042】
通信インターフェイス回路30は、赤外線発光素子27と可視光受光素子28を使って通信を行う。制御ボタン26は、リモコン19の動作を指示するための操作入力を受け付ける。表示素子25は、リモコン19の動作状態を表示する。記憶回路31は、光通信で受信した装置IDを記憶する。リモコン制御回路29はリモコン19全体の動作を制御する。
【0043】
操作者が制御ボタン26を操作して所望の指示内容(制御内容)を入力すると、リモコン制御回路29がその指示内容を解釈して指示情報を生成し、結果を表示素子25に表示すると共に、記憶回路31に記憶されている装置IDを指示情報に付加して制御データを生成する。制御データは、通信インターフェイス回路30、赤外線発光素子27を介して赤外線で送信され、近傍の中継装置で受信される。
【0044】
図5は、中継装置16の構成を示している。中継装置16は、赤外線受光素子32、赤外線インターフェイス回路33、中継装置制御回路34、記憶回路35から構成されている。
【0045】
赤外線受光素子32は赤外線通信によりリモコン19から制御データを受信する。赤外線インターフェイス回路33は赤外線受光素子32からの信号を処理して中継装置制御回路34に伝送する。中継装置制御回路34は中継装置16全体を制御する。記憶回路35は、カート10上の各装置(機材)の状態及びカート18上の各装置(機材)の状態の一覧を示すシステム状態テーブルと、中継装置への送信待ちとなっている制御データの一覧を示す制御データ送信待ちテーブルとを記憶する。又、中継装置7は、中継装置制御回路34からの中継装置入出力信号36を介してシステムコントローラ17に接続されている。尚、中継装置7の構成も中継装置16と同一である。
【0046】
中継装置16は、リモコン19から制御データを受信すると、制御データ中の装置IDに基づき、制御対象の装置が接続しているシステムコントローラに制御命令を通知する。制御命令を受け取ったシステムコントローラは、制御命令に基づき、適宜、対象装置の制御を行う。
【0047】
例えば、制御命令がシェーバー14に対する命令の場合、シェーバー14は中継装置16と同じカート18のシステムコントローラ17に接続されているので、中継装置16は、受信した制御データに基づく制御命令を直接システムコントローラ17に通知する。又、制御命令が、気腹装置4に対する命令の場合、気腹装置4は中継装置7の載っているカート10のシステムコントローラ8に接続されている為、無線通信装置2,12を介した無線通信で制御データを中継装置7に送信し、中継装置7がシステムコントローラ8に制御命令を通知する。これらの手順については、後に図8〜図11を用いて説明を行う。
【0048】
次に、図6〜図7を用いて、中継装置が使用するシステム状態テーブル及び制御データ送信待ちテーブルを説明する。図6はシステム状態テーブルの例である。システム状態テーブルは、リモート制御システム中の中継装置が搭載されているカート上の装置の動作状態を把握して行う、リモコン19からの制御データを無線通信により送信するか否かの判断と無線通信の開始タイミングの決定とに使用されるテーブルである。
【0049】
図6に示すように、システム状態テーブルには、各カートに搭載されている装置の種類、装置ID、動作状態、装置動作時に発生する電磁ノイズの有無が記録される。例えば、図6において、カート10に搭載されている電気メス6は、装置ID:SG-001、動作状態:動作中、装置動作時に発生する電磁ノイズ:有、と登録されている。これは、電気メス6が動作中のとき、電磁ノイズが発生する為、リモコン19からの制御データの無線通信はできないことを示している。
【0050】
図7は、中継装置が使用する制御データ送信待ちテーブルの例である。制御データ送信待ちテーブルは、リモコン19から受信した制御データの中で、他のカートの中継装置に無線通信により送信しなければならない制御データをまとめたテーブルである。図7に示すように、制御データ送信待ちテーブルには、送信先となる中継装置のID、制御対象となる装置の種類、装置ID、制御内容、制御データの受信に基づく受付時間が記録される。図7には、フットスイッチの接続先を現在の電気メス6から超音波処理装置5に変更する命令と、気腹装置4の流量を変更する命令とが登録されている例が示されている。
【0051】
次に、図8〜図11を用いて、リモコン19からの制御データを無線通信で送信する手順を説明する。本説明は、内視鏡3の画像を、無線通信装置2、無線通信装置21を介して、画像モニタ20に接続された無線通信装置21に通信中であり、リモコン19から図7に示した制御内容(フットスイッチの接続先の変更、気腹装置の流量変更)が中継装置16に指示され、電気メス6は最初動作中であり、その後停止した場合を例として行う。
【0052】
図8は、上記手順で制御データを無線送信する様子を示している。図8において、電気メス6は時刻t6まで動作中で、その後停止している。無線通信装置2は周期的に内視鏡3の画像を送信している。例えば1フレームが60枚の画像で構成される場合、転送周期は16.7msであり、図では時刻t1-t5間が16.7msとなる。時刻t4-t5の期間は、画像データが送信されていないブランキング期間であり、制御データはこの期間を利用して無線通信される。
【0053】
電気メス6の動作中は電磁ノイズが発生する為、無線通信の内容が正確に伝わるとは限らない。画像データは連続して送信されている為、電磁ノイズの影響で画面に乱れが生じても許容されるが、制御データの誤りは重大な問題を引き起こす可能性がある為、電磁ノイズが発生している期間は制御データの無線通信は行わない。
【0054】
図8ではリモコン19からの制御命令(気腹装置の流量変更)を示す制御データが時刻t2-t3の期間に中継装置16に送信される。中継装置16で受信された制御データは、制御データ送信待ちテーブルに加えられる。この時は、電気メス6が動作中で無線送信が行われていない為、図7に示したように、以前に指示されたフットスイッチの接続先の変更命令を示す制御データの後に新たな制御データが追加される。
【0055】
時刻t4-t5のブランキング期間では、電気メス6が動作中の為、無線送信は行われない。電気メス6が停止した後の最初のブランキング期間に、電気メス6が接続している中継装置7から中継装置16へシステム状態テーブルが送信され、電気メス6の動作停止が通知される(時刻t7-t8)。この通知により、中継装置16において、電気メス6の停止が確認される。その結果、次のブランキング期間で制御データ送信待ちテーブルの内容が送信される(時刻t9-t10)。
【0056】
上記では、無線通信装置2が無線通信装置21に画像データを送信している場合の手順を説明したが、無線通信装置12が無線通信装置21に画像データを送信している場合の手順も同様であり、中継装置16は、電気メス6の停止後のブランキング期間で無線通信装置21が制御データを送信するよう、制御データの送信タイミングを制御する。
【0057】
次に、図9-図11を用いて、中継装置の動作を説明する。図9-図11のフローチャートは、中継装置7と中継装置16で共通である。又、図9-図11に示す処理はOS管理下のソフトウエアで行われ、処理の終了後はOS管理下の別のソフトウエアが実行される。
【0058】
図9は、システム状態テーブル更新処理(S1)を示している。システム状態テーブル更新処理(S1)は、中継装置が、自身の接続しているシステムコントローラを介して、システムコントローラに接続されている各装置の状態を周期的に観測し、システム状態テーブルを更新する処理である。
【0059】
システム状態テーブル更新処理(S1)では、中継装置制御回路34は最初にシステムコントローラを介して各装置の状態をチェックする(S2)。続いて、中継装置制御回路34は、記憶回路35に記憶されているシステム状態テーブルの内容と、システムコントローラから通知された各装置の状態とを比較する(S3)。各装置の状態に変更がなければシステム状態テーブル更新処理(S1)が終了(S7)する。又、各装置の状態に変更があれば、中継装置制御回路34はシステム状態テーブルの更新(S4)を行い、システム状態テーブルフラグをON(S5)とし、送信起動フラグをON(S6)としてシステム状態テーブル更新処理(S1)を終了(S7)する。
【0060】
システム状態テーブルフラグは、システム状態テーブルが更新されていることを示すフラグであり、送信起動フラグは、次に説明する無線送信処理(S8)の起動を要求するフラグである。電気メス6の動作が停止した場合、中継装置7においてシステム状態テーブルの更新(S4)が行われ、その後、システム状態テーブルフラグと送信起動フラグがON(S5,S6)となる。
【0061】
図10は、無線送信処理(S8)を示している。無線送信処理(S8)は、システム状態テーブルと制御データ送信待ちテーブルの内容を送信する処理である。送信起動フラグがONの場合、無線送信処理(S8)が起動され、システム状態テーブルフラグがONの場合、システム状態テーブル更新処理(S1)により更新されたシステム状態テーブルが送信され、制御データ送信待ちテーブルフラグがONの場合、制御データ送信待ちテーブルの内容が送信される。
【0062】
無線送信処理(S8)では、中継装置制御回路34は、送信環境チェック(S9)によりシステム状態テーブルを調べ、送信可能であるか否かを判定する。電磁ノイズ:有と登録されている装置が動作中の場合、中継装置制御回路34は送信不可能と判定して送信環境チェック(S9)を繰り返す。電磁ノイズ:有と登録されている装置が動作していない場合、中継装置制御回路34はシステム状態テーブルフラグをチェック(S10)する。システム状態テーブルフラグがONの場合、中継装置制御回路34はシステム状態テーブル送信処理(S11)とシステム状態テーブルフラグOFF処理(S12)を実行し、その後、制御データ送信待ちテーブルフラグチェック(S13)を実行する。システム状態テーブルフラグがOFFの場合、中継装置制御回路34はそのまま制御データ送信待ちテーブルフラグチェック(S13)を実行する。
【0063】
システム状態テーブル送信処理(S11)では、システム状態テーブル更新処理(S1)により更新されたシステム状態テーブルが送信される。システム状態テーブル送信処理(S11)では、中継装置制御回路34は、システムコントローラを介してシステム状態テーブルを無線通信装置に出力し、無線通信装置は次のブランキング期間を使用して他の無線通信装置にシステム状態テーブルを送信する。他の無線通信装置によって受信されたシステム状態テーブルは、システムコントローラを介して中継装置に出力される。この中継装置において、中継装置制御回路34は、記憶回路35に記憶されているシステム状態テーブルを更新する。
【0064】
システム状態テーブル送信処理(S11)の後、中継装置制御回路34はシステム状態テーブルフラグをOFF(S12)にする。
【0065】
制御データ送信待ちテーブルフラグチェック(S13)では、中継装置制御回路34は制御データ送信待ちテーブルフラグをチェックする。制御データ送信待ちテーブルフラグがONの場合、中継装置制御回路34は制御データ送信待ちテーブル送信処理(S14)と制御データ送信待ちテーブルフラグOFF処理(S15)を実行し、その後、送信起動フラグOFF処理(S16)を実行する。
【0066】
制御データ送信待ちテーブル送信処理(S14)では、中継装置制御回路34は、システムコントローラを介して制御データを無線通信装置に出力し、無線通信装置は次のブランキング期間を使用して他の無線通信装置に制御データを送信する。制御データ送信待ちテーブル送信処理(S14)の後、中継装置制御回路34は制御データ送信待ちテーブルフラグ及び送信起動フラグをOFF(S15,S16)にし、無線送信処理(S8)を終了する。
【0067】
制御データ送信待ちテーブルフラグがOFFの場合、中継装置制御回路34はそのまま送信起動フラグOFF処理(S16)を実行する。送信起動フラグOFF処理(S16)の後、無線送信処理(S8)が終了(S17)する。
【0068】
図11は、リモコン制御データ受信処理(S18)を示している。リモコン制御データ受信処理(S18)は、リモコン19からの制御データを受信する時に行われる処理である。リモコン19から制御データを受信する時、中継装置制御回路34はリモコン制御データ受信処理(S18)を起動する。リモコン制御データ受信処理(S18)では、中継装置制御回路34は最初に制御データの受信(S19)を行い、続いて無線送信実行判断(S20)を行う。
【0069】
無線送信実行判断(S20)では、制御データ中の装置IDから特定される制御対象の装置が自己と同じカートに搭載されている場合と、リモコン19からの通信が中継装置7と中継装置16の両方に届いている場合には、中継装置制御回路34は装置位置判断(S24)を実行し、それ以外の場合には、制御データ送信待ちテーブルの更新(S21)を実行する。尚、リモコン19からの通信がどの中継装置に届いているかどうかの判定は、図6に示したシステム状態テーブルの全ての中継装置の動作状態が"リモコン接続中"となっているかどうかを判定することにより行う。
【0070】
装置位置判断(S24)では、中継装置制御回路34は制御データ中の装置IDから制御対象の装置を判断する。制御対象の装置が自己と同じカートにある場合、中継装置制御回路34はシステムコントローラへの制御命令通知(S25)を実行してリモコン制御データ受信処理(S18)を終了(S26)し、それ以外の場合には、直ぐにリモコン制御データ受信処理(S18)を終了(S26)する。
【0071】
制御データ送信待ちテーブルの更新(S21)では、中継装置制御回路34は、記憶回路35に記憶されている制御データ送信待ちテーブルに、リモコン19から受信した制御データを追加する。この際、同一装置への制御データであって制御内容(例えば、気腹装置の流量変更等)が重複する制御データについては、受付時間に基づいて最新の制御データだけが制御データ送信待ちテーブルに載せられる。
【0072】
制御データ送信待ちテーブルの更新(S21)の後、中継装置制御回路34は制御データ送信待ちテーブルフラグをON(S22)とし、送信起動フラグをON(S23)として、リモコン制御データ受信処理(S18)を終了(S26)する。
【0073】
次に、無線送信処理(S8)によるリモコン19の制御データの送信例を説明する。図8に示した例の場合、中継装置16では、電気メス6の動作中に行われたリモコン制御データ受信処理(S18)により無線送信処理(S8)が起動されている。しかし、中継装置7からシステム状態テーブルが送信されて電気メス6の停止が通知されるまでは、送信環境チェック(S9)により通信不可能と判定され、制御データは送信待ちになっている。中継装置7からの通知でシステム状態テーブルが更新されると、送信環境チェック(S9)で送信可能と判断され、システム状態テーブルフラグチェック(S10)以降の処理が実行される。
【0074】
この場合、システム状態テーブルフラグがOFF、制御データ送信待ちテーブルフラグがONであるので、制御データ送信待ちテーブル送信処理(S14)が行われ、続いて制御データ送信待ちテーブルフラグOFF処理(S15)が行われ、送信起動フラグOFF処理(S16)の後、無線送信処理(S8)が終了(S17)する。上記処理により、図8の時刻t9-t10に示したタイミングでリモコン19の制御データの送信が行われることになる。
【0075】
リモコン19の位置が図1,2に示した位置と異なり、リモコン19からの通信が中継装置7と中継装置16の両方に届く場合、図6に示したシステム状態テーブルの中継装置7と中継装置16の動作状態が両方ともリモコン接続中となる為、中継装置16では、無線送信実行判断(S20)では"送信せず"と判断され、装置位置判断(S24)では"他カート"と判断され、そのままリモコン制御データ受信処理(S18)が終了(S26)する。一方、中継装置7では、無線送信実行判断(S20)では"送信せず"と判断され、装置位置判断(S24)では"自カート"と判断され、システムコントローラ8への制御命令通知(S25)が実行され、その後、リモコン制御データ受信処理(S18)が終了(S26)する。
【0076】
上記のように、リモコン19からの通信が中継装置7と中継装置16の両方に届く場合には、無線送信を行わずに制御命令が、制御対象の装置が接続されたシステムコントローラに通知されることになる。
【0077】
次に、リモコン19の初期設定処理を説明する。リモコン19の初期設定処理では、リモコン19にリモート制御システム内の各医療装置の装置IDを設定する処理が行われる。図12は、画像モニタ20に初期設定処理用の画面を表示した場合を示している。
【0078】
図示するように、初期設定処理用の画面には、リモコン19でリモート制御を行う装置の名称がカート毎に示され、その横に、リモコン19に可視光通信で各装置の装置IDを転送する為のID通信ポイント37が配置されている。ID通信ポイント37は輝度の変化(点滅)で装置IDを通知する機能があり、リモコン19の可視光受光素子28を通してリモコン19に装置IDを通知する。
【0079】
各装置IDは、各カートの中継装置によってシステムコントローラを介して収集され、システム状態テーブルの一部として記憶されている。初期設定時には所望の中継装置から装置IDのデータが取り出される。
【0080】
初期設定処理用の画面の表示は、画像モニタ1、画像モニタ11でも可能であるが、本説明では、画像モニタ20にシステムコントローラ8の作成した画面が表示される場合を例としている。その場合、システムコントローラ8は、中継装置7のシステム状態テーブルに記憶されている装置IDを使用して、初期設定処理用の画面を作成する。作成された画面は、無線通信装置2、無線通信装置21を介して画像モニタ20に表示される。本実施形態で使用している、モニタ中の一部分を点滅させ、点滅間隔の変化による可視光通信で情報を伝達する方法は、公知であるので、詳細な説明を省略する。
【0081】
上述したように、本実施形態によれば、中継装置が、リモコン19から赤外線通信により受信した制御データを自己のカート上の無線通信装置を使用して無線送信する場合に、他の無線通信や電磁ノイズの発生しない、無線通信状況の良いタイミングで制御データを送信することによって、制御データの通信を良好に行うことができる。又、画像データを無線通信して表示するシステムで、画像データの通信期間を避けたタイミングで制御データの無線送信を行うことで、離れた非制御装置群に対して確実に制御命令を通知するリモート制御システムを提供することができる。
【0082】
電気メスのように、動作中に多量の電磁ノイズを発生する装置の動作中は、正常に無線通信を行うことは困難である。その為、電磁ノイズを発生する装置の動作状態を監視し、電源OFF や動作中断のような電磁ノイズの発生が少ない動作状態になる時点を検出し、その時点に制御データの無線通信を行うことにより、電磁ノイズの影響を受けずに正常な通信を行うことができる。
【0083】
又、画像表示モニタから装置IDを読み取ることでリモコン19の設定を行うことが可能となり、利便性が向上する。さらに、画像通信機能を使用して制御データの無線通信を行うことによって、制御データの通信用の無線通信装置を新たに用意する必要がないので、本実施形態によるリモート制御システムを構成する際の原価低減が可能となる。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、主に中継装置の機能が第1の実施形態と異なっている。具体的には、本実施形態の中継装置は無線通信機能を具備しており、中継装置間で無線通信を行っている。又、各医療装置に優先順位が割り振られており、リモコン19からの制御データ受信時に動作中の医療装置の優先順位により、中継装置での処理が変化する。
【0085】
図13は、本実施形態によるリモート制御システムの構成を示している。本実施形態によりリモート制御システムを第1の実施形態によるリモート制御システムと比較すると、中継装置とカート18の構成が異なっている。
【0086】
カート18の構成は、図1に示した構成から、画像モニタ11、無線通信装置12、内視鏡13、を削除した構成となっている。本実施形態においては、カート18に無線通信装置12がない為、第1の実施形態のように中継装置間の制御データの伝送に無線通信装置を使うことはできない。その為、本システムの中継装置38と中継装置39には無線通信機能が搭載されており、中継装置間で直接、無線通信を行っている。
【0087】
図14は、カート10に搭載されている中継装置38の構成を示している。図示するように中継装置制御回路42に無線通信回路44が接続されており、無線通信回路44にはアンテナ46が接続されている。赤外線受光素子40、赤外線インターフェイス回路41、中継装置制御回路42、記憶回路43については第1の実施形態で説明した構成と同一である為、説明を省略する。尚、中継装置39も同一の構成である。上記構成により、中継装置38と中継装置39間で無線通信を行うことが可能となる。
【0088】
本実施形態では、第1の実施形態と異なり、リモート制御システム内の各医療装置に優先順位が割り振られている。優先順位の低い装置の動作中に優先順位の高い装置への制御命令がリモコン19から発せられた場合、中継装置間の無線通信が必要であるが、動作中の優先順位の低い装置がノイズを発生していて無線通信を妨害する場合、優先順位の低い装置の動作状態を変更して無線通信可能な状況を作り出し、中継装置間の無線通信を行う。尚、優先順位が同じ場合には、先に動作している装置が優先となる為、動作状態の変更は行われない。
【0089】
図15は、本実施形態のシステム状態テーブルの例を示す。本実施形態では、第1の実施形態で説明したシステム状態テーブルに対して、各装置の優先順位が追加されている。図示するように、システムコントローラの優先順位が最優先の1であり、以下、電気メス:2、超音波処理装置:3のように続いている。又、本実施形態の中継装置は、リモコン19による制御対象ではないので、優先順位は付けられていない。優先順位が1であるシステムコントローラへの命令には、各種の緊急処理(緊急停止等)の為の命令が含まれている。
【0090】
尚、第1の実施形態では、画像データの無線通信のブランキング期間を用いて制御データの送信を行うことで、無線通信装置の動作に伴う無線信号はノイズとはならない為、システム状態テーブルのノイズの項目は、"無"となっていた。これに対して、本実施形態では、無線通信装置の動作に伴う無線信号は、中継装置間の無線通信に対するノイズとなるので、システム状態テーブルのノイズの項目は、"有"となる。
【0091】
次に、図16を用いて制御データの通信タイミングを説明する。本説明では、図13に示した構成を用いて、リモコン19がシェーバー14に対する制御データを中継装置38に送信する場合を例に説明を行う。この時、無線通信装置2は無線通信装置21に画像データを送信している状態であるとし、その他の装置の動作状態は図15に示した状態であるとする。
【0092】
図16は、上記状態での制御データの通信のタイミングチャートである。リモコン19からの制御データを中継装置38が受信した場合、中継装置38の中継装置制御回路42は、制御データ中の装置IDに対応する制御対象装置の優先順位とシステム状態テーブルの動作中のノイズを発生する装置の優先順位とを比較する。本説明では、シェーバー14に対する制御データを送信するので、シェーバー14の優先順位"2"と、動作中の無線通信装置2の優先順位"7"とを比較することになる。
【0093】
図示するタイミング(時刻t2-t3)で中継装置38がリモコン19から制御データを受信した場合、シェーバー14の優先順位が無線通信装置2の優先順位よりも高いので、中継装置38の中継装置制御回路42はシステムコントローラ8に無線通信装置2の動作停止命令を通知する。通知を受けたシステムコントローラ8により無線通信装置2の動作が停止される(時刻t4)。これにより、本来は時刻t7まで行われる画像データの無線通信が時刻t4で停止される。
【0094】
続いて、中継装置制御回路42は無線通信回路44、アンテナ46を介して制御データを中継装置39へ送信する(時刻t5-t6)。中継装置39の中継装置制御回路42は、受信した制御データに基づく制御命令をシステムコントローラ17に通知する。システムコントローラ17は、通知された制御命令に基づいてシェーバー14を制御する。その後、無線通信装置2の動作が再開(時刻t8以降)される。上記手順により、リモコン19からの制御データが中継装置38と中継装置39を経由して、シェーバー14に伝えられる。
【0095】
本実施形態におけるリモコン19の初期設定処理は、第1の実施形態とは異なり、リモコン19に取り付けられた抜き差し可能なUSBメモリからのデータを使って行われる。USBメモリへのリモート制御システム内の各医療装置の装置IDの設定は、USBメモリを中継装置に取り付けて行われる。USBメモリを介した情報の設定方法は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0096】
上述したように、本実施形態によれば、中継装置が、リモコン19から赤外線通信により受信した制御データを自己の無線通信装置を使用して無線送信する場合に、他の無線通信や電磁ノイズの発生しない、無線通信状況の良いタイミングで制御データを送信することによって、制御データの通信を良好に行うことができる。
【0097】
又、優先順位の高い装置への制御データがリモコン19から送信され、リモコン19から制御データを受信した中継装置が属している医療装置群において、動作に伴って多量のノイズを発生する装置が動作中であり、その装置の優先順位が、制御命令を受ける医療装置の優先順位より低い場合、動作中の装置を止めてノイズを減少させてから制御データを送信することが可能となる。この為、優先順位の高い医療装置への制御データを早く確実に伝送することができる。
【0098】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1,11,20・・・画像モニタ、2,12,21・・・無線通信装置(無線通信部)、3,13・・・内視鏡、4・・・気腹装置、5・・・超音波処理装置、6・・・電気メス、7,16,38,39・・・中継装置、8,17・・・システムコントローラ(制御部)、9・・・フットスイッチ、10,18,22・・・カート、14・・・シェーバー、15・・・ポンプ、19リモコン(制御端末)、25・・・表示素子、26・・・制御ボタン、27・・・赤外線発光素子(近接通信部)、28・・・可視光受光素子(読み取り部)、29・・・リモコン制御回路(生成部)、30・・・通信インターフェイス回路、31・・・記憶回路、32,40・・・赤外線受光素子(近接通信部)、33,41・・・赤外線インターフェイス回路、34,42・・・中継装置制御回路(制御部)、35,43・・・記憶回路(記憶部)、44・・・無線通信回路、46・・・アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置を遠隔制御するための制御データの無線通信を行う無線通信装置及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に手術を行う場合、目的に応じた医療装置をカート上に搭載した複数の医療装置群により構成される手術システムが使用される。医療装置群は、手術の内容により自由に配置される。
【0003】
手術中、医療装置の幾つかは、リモートコントローラ(以下、リモコンと略記する)によるリモート制御により操作される。多くのリモコンは、赤外線通信により医療装置に制御データを伝送している。赤外線通信の通信距離が短い為、赤外線通信による制御データの伝送では、医療装置が広い範囲に配置されている場合に制御データが伝わらなくなるという問題が発生する。
【0004】
上記問題を解決する為、例えば特許文献1では、赤外線アダプターにより赤外線量を増やし、距離の離れた医療装置へ制御データを伝える方法が開示されている。しかし、この方法では、通信相手が通信可能な位置に無い場合に通信ができなくなるという赤外線通信に伴う課題は解決されない為、医療装置群や医師の配置によっては制御データが伝わらなくなるという問題が残る。
【0005】
特許文献2には、通信距離の長い無線(電波)を使用するリモコンを用いることが示されている。しかし、無線通信環境が劣化した場合の対応が示されておらず、無線通信や電磁ノイズが発生することの多い手術システムに対してこのリモコンを使用した場合、制御データの伝送が良好に行えないことがある。
【0006】
又、特許文献3には、リモコン同士の通信の際、送信前に検波を行うことによって衝突を防止する方法が開示されている。しかし、この方法は、リモコン同士の通信以外の無線通信や電磁ノイズの発生を考慮しておらず、発生する無線通信や電磁ノイズが少ない場合には有効な方法であるが、無線通信や電磁ノイズが発生することの多い手術システムに対してこの方法を使用した場合、送信開始直後に他の無線通信や電磁ノイズが発生し、制御データの伝送が良好に行えないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-245286号公報
【特許文献2】特表2008-519501号公報
【特許文献3】特開平7-147697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
手術の高度化に従い、同時に使用される医療装置群の数が増加し、医療装置群が広い範囲に配置されることが増えている。更に、内視鏡画像等の画像データが無線(電波)通信され、他の医療装置群のモニタに表示される場合も多い。又、動作時に電磁ノイズを発生する電気メスのような装置も多く使用されている。つまり、医療装置群が広い範囲に分散して配置され、電波を利用する装置や電波を発生する装置が使用されている場合が多いという状況になっている。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、制御データの通信を良好に行うことができる無線通信装置及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、第1の外部装置及び第2の外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う無線通信部と、制御端末との間で近接通信を行う近接通信部と、前記制御端末から前記近接通信部を介して受信した、前記第1の外部装置に対する指示を示す制御データを、前記無線通信部を介して前記第1の外部装置へ送信させる制御部であって、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へデータを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データ又は前記データの送信タイミングを調整する制御部と、を有する無線通信装置である。
【0011】
又、本発明は、外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う無線通信部と、制御端末との間で近接通信を行う近接通信部と、前記制御端末から前記近接通信部を介して受信した、前記外部装置に対する指示を示す制御データを、前記無線通信部を介して前記外部装置へ送信させる制御部であって、前記所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態に基づいて、前記制御データの送信タイミングを調整する、又は、前記機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する制御部と、を有する無線通信装置である。
【0012】
又、本発明の無線通信装置において、前記制御部は、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へ画像データを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データの送信タイミングを、前記画像データの所定の無線送信期間とは異なるタイミングに調整する。
【0013】
又、本発明の無線通信装置において、前記無線通信部は、前記第1の外部装置と画像データの無線通信を行う機能を有し、当該機能を用いて前記制御データを前記第1の外部装置へ送信する。
【0014】
又、本発明の無線通信装置において、前記制御部は、前記制御データの送信タイミングを、前記機材による電磁ノイズの発生が少ないと判断されるタイミングに調整する。
【0015】
又、本発明の無線通信装置において、前記外部装置は、個々に優先順位を持つ前記機材を有し、前記制御データは、前記機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、前記ID情報と前記優先順位とを関連付けた機材情報を記憶する記憶部を更に有し、前記制御部は、前記制御データに含まれる前記ID情報と前記機材情報とに基づいて制御対象の前記機材の優先順位を識別し、当該識別した優先順位と、前記機材情報が示す各機材の優先順位とに基づいて、動作状態を変更する機材を決定し、当該機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する。
【0016】
又、本発明の無線通信装置において、前記無線通信部は、前記外部装置と画像データの無線通信を行う機能を有し、当該機能を用いて前記制御データを前記外部装置へ送信する。
【0017】
又、本発明は、第1の外部装置及び第2の外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第1の無線通信部と、制御端末との間で近接通信を行う第1の近接通信部と、前記制御端末から前記第1の近接通信部を介して受信した、前記第1の外部装置に対する指示を示す制御データを、前記第1の無線通信部を介して前記第1の外部装置へ送信させる制御部であって、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へデータを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データ又は前記データの送信タイミングを調整する第1の制御部と、を有する無線通信装置、前記制御データを生成する生成部と、前記無線通信装置との間で近接通信を行う第2の近接通信部と、を有する前記制御端末、前記第2の外部装置及び前記無線通信装置との間で、前記所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第2の無線通信部と、前記第2の無線通信部を介して前記無線通信装置から受信された前記制御データに基づく制御を行う第2の制御部と、を有する前記第1の外部装置を備えた無線通信システムである。
【0018】
又、本発明は、外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第1の無線通信部と、制御端末との間で近接通信を行う第1の近接通信部と、前記制御端末から前記第1の近接通信部を介して受信した、前記外部装置に対する指示を示す制御データを、前記第1の無線通信部を介して前記外部装置へ送信させる制御部であって、前記所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態に基づいて、前記制御データの送信タイミングを調整する、又は、前記機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する第1の制御部と、を有する無線通信装置、前記制御データを生成する生成部と、前記無線通信装置との間で近接通信を行う第2の近接通信部と、を有する前記制御端末、前記無線通信装置との間で、前記所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第2の無線通信部と、前記第2の無線通信部を介して前記無線通信装置から受信された前記制御データに基づく制御を行う第2の制御部と、を有する前記外部装置を備えた無線通信システムである。
【0019】
又、本発明の無線通信システムにおいて、前記制御データは、制御対象の機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、前記制御端末は、画像を表示する表示画面の一部を使って前記ID情報を光学的に伝送する情報伝送機能を持つ画像表示装置の前記表示画面から前記ID情報を読み取る読み取り部を有し、前記生成部は、前記表示画面から読み取った前記ID情報を用いて前記制御データを生成する。
【0020】
又、本発明の無線通信システムにおいて、前記制御データは、制御対象の機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、前記制御端末は、画像を表示する表示画面の一部を使って前記ID情報を光学的に伝送する情報伝送機能を持つ画像表示装置の前記表示画面から前記ID情報を読み取る読み取り部を有し、前記生成部は、前記表示画面から読み取った前記ID情報を用いて前記制御データを生成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、制御端末からの制御データの送信を無線通信装置が行う場合、制御データ又は画像データ等のデータの送信タイミングを調整する、若しくは所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態を変更する指示を機材へ送信することによって、制御データの送信に影響を及ぼす電波が発生していないタイミングで制御データを送信することが可能となるので、制御データの通信を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する各医療装置の接続関係を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における制御データの構造を示す参考図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有するリモコンの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるシステム状態テーブルの内容を示す参考図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における制御データ送信待ちテーブルの内容を示す参考図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における制御データの無線通信のタイミングチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態におけるリモコンの初期設定処理用の表示画面を示す参考図である。
【図13】本発明の第2の実施形態によるリモート制御システムの構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施形態によるリモート制御システムが有する中継装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施形態におけるシステム状態テーブルの内容を示す参考図である。
【図16】本発明の第2の実施形態における制御データの無線通信のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態では、3台のカート上に構成された医療装置群(外部装置)を有するリモート制御システム(無線通信システム)に本発明を適用した場合を例に説明を行っている。
【0025】
図1〜図2を用いて、リモート制御システムの構成を説明する。図1は、本実施形態によるリモート制御システムの構成を示している。
【0026】
カート10には、内視鏡画像や各種制御画面を表示する画像モニタ1、画像データ及び制御データの通信を行う無線通信装置2、内視鏡3、気腹装置4、超音波処理装置5、電気メス6、中継装置7、システムコントローラ8、フットスイッチ9が搭載されている。カート10上のこれらの機材は本発明の無線通信システムにおける外部装置を構成している。
【0027】
カート18には、内視鏡画像や各種制御画面を表示する画像モニタ11、画像データや制御データの通信を行う無線通信装置12、内視鏡13、シェーバー14、ポンプ15、中継装置16、システムコントローラ17が搭載されている。カート18上のこれらの機材は本発明の無線通信システムにおける外部装置(第1の外部装置)を構成している。
【0028】
各医療装置の遠隔制御用のリモコン19は、カート18の近傍にあり、リモコン19からの信号は赤外線通信により中継装置16にのみ伝わっている状態になっている。図1ではリモコン19がカート18の近傍にあるが、リモコン19がカート10の近傍にある場合、リモコン19からの信号はカート10上の中継装置7のみに伝わる。
【0029】
カート22には、画像モニタ20と無線通信装置21が搭載されており、無線通信装置21が受信した画像を画像モニタ20が表示している。カート22上のこれらの機材は本発明の無線通信システムにおける外部装置(第2の外部装置)を構成している。
【0030】
患者ベッド24には、患者23が載せられ、内視鏡等の医療装置からのプローブが取り付けられている。
【0031】
図中、内視鏡、気腹装置、超音波処理装置、電気メス、シェーバー、ポンプは公知の医療装置であり、本実施形態においても公知の機能を持つ物として説明を行うので、これらについてはこれ以上の説明を省略する。
【0032】
フットスイッチ9は、システムコントローラ8に接続されており、超音波処理装置5、若しくは、電気メス6の出力を制御する。フットスイッチ9の動作状態を切り替えることにより、超音波処理装置5、電気メス6のどちらの制御を行うかの切り替えをリモコン19から行えるようになっている。
【0033】
無線通信装置、中継装置、システムコントローラ、リモコンについては、後に説明を行う。
【0034】
図2は、リモート制御システムが有する各医療装置の接続関係を示している。図示するように、カート10に搭載されている各装置(機材)はシステムコントローラ8に接続されており、システムコントローラ8が各装置の動作状態を把握している。同様に、カート18に搭載されている各装置(機材)はシステムコントローラ17に接続されており、システムコントローラ17が各装置の動作状態を把握している。
【0035】
図2は、リモコン19が出力する信号が中継装置16にのみ伝わっている状態を示している。中継装置7は、システムコントローラ8からの情報に基づいて、カート10に搭載されている各装置の動作状態を把握すると共に、無線通信装置2及び無線通信装置12を介した無線通信により中継装置16と情報交換を行い、カート18に搭載されている各装置の動作状態も把握している。同様に、中継装置16は、システムコントローラ17からの情報に基づいて、カート18に搭載されている各装置の動作状態を把握すると共に、無線通信装置2及び無線通信装置12を介した無線通信により中継装置7と情報交換を行い、カート10に搭載されている各装置の動作状態も把握している。これらの中継装置による各装置の動作状態の把握方法については、後に図5〜図11を用いて詳しく説明を行う。
【0036】
カート10の無線通信装置2、カート18の無線通信装置12、カート22の無線通信装置21は、所定の電波帯域(周波数帯域)に属する無線通信を行う。これらの無線通信装置は画像通信機能を有しており、図2ではカート10の無線通信装置2とカート22の無線通信装置21が画像データの無線通信を行う。又、カート10の無線通信装置2とカート18の無線通信装置12は、画像通信機能を使用して、各装置の動作を制御するための制御データの無線通信を行う。
【0037】
次に、図3〜図5を用いて、リモコン19と中継装置7,16の構成を説明する。以下の説明では、図1、図2に示したように、リモコン19からの信号が中継装置16のみに伝わっている状態を想定している。
【0038】
図3は、リモコン19から送信される制御データ(制御命令)の構造を示している。図示するように、制御データは、制御対象の装置のIDを示す装置ID(ID情報)と、制御対象の装置に対する指示内容(制御内容)を示す指示情報から構成されている。
【0039】
図4はリモコン19の構成を示している。リモコン19は、赤外線発光素子27、可視光受光素子28、通信インターフェイス回路30、制御ボタン26、表示素子25、記憶回路31、リモコン制御回路29から構成されている。
【0040】
赤外線発光素子27は、赤外線通信により制御データを送信する。赤外線を用いるため、リモコン19と中継装置7,16との通信は、電気メス6等が発生する電磁ノイズの影響を受けにくい。本発明の実施形態では、リモコン19が赤外線通信を行う例を示しているが、リモコン19が行う通信は、中継装置の近傍でのみ通信が可能な近接通信(近距離通信)であればよく、赤外線の代わりに超音波等を用いてもよい。
【0041】
可視光受光素子28は、各装置の装置IDを、画像モニタを介した光通信で受信する。この光通信による装置IDの受信については、後に図12を用いて詳しく説明を行う。
【0042】
通信インターフェイス回路30は、赤外線発光素子27と可視光受光素子28を使って通信を行う。制御ボタン26は、リモコン19の動作を指示するための操作入力を受け付ける。表示素子25は、リモコン19の動作状態を表示する。記憶回路31は、光通信で受信した装置IDを記憶する。リモコン制御回路29はリモコン19全体の動作を制御する。
【0043】
操作者が制御ボタン26を操作して所望の指示内容(制御内容)を入力すると、リモコン制御回路29がその指示内容を解釈して指示情報を生成し、結果を表示素子25に表示すると共に、記憶回路31に記憶されている装置IDを指示情報に付加して制御データを生成する。制御データは、通信インターフェイス回路30、赤外線発光素子27を介して赤外線で送信され、近傍の中継装置で受信される。
【0044】
図5は、中継装置16の構成を示している。中継装置16は、赤外線受光素子32、赤外線インターフェイス回路33、中継装置制御回路34、記憶回路35から構成されている。
【0045】
赤外線受光素子32は赤外線通信によりリモコン19から制御データを受信する。赤外線インターフェイス回路33は赤外線受光素子32からの信号を処理して中継装置制御回路34に伝送する。中継装置制御回路34は中継装置16全体を制御する。記憶回路35は、カート10上の各装置(機材)の状態及びカート18上の各装置(機材)の状態の一覧を示すシステム状態テーブルと、中継装置への送信待ちとなっている制御データの一覧を示す制御データ送信待ちテーブルとを記憶する。又、中継装置7は、中継装置制御回路34からの中継装置入出力信号36を介してシステムコントローラ17に接続されている。尚、中継装置7の構成も中継装置16と同一である。
【0046】
中継装置16は、リモコン19から制御データを受信すると、制御データ中の装置IDに基づき、制御対象の装置が接続しているシステムコントローラに制御命令を通知する。制御命令を受け取ったシステムコントローラは、制御命令に基づき、適宜、対象装置の制御を行う。
【0047】
例えば、制御命令がシェーバー14に対する命令の場合、シェーバー14は中継装置16と同じカート18のシステムコントローラ17に接続されているので、中継装置16は、受信した制御データに基づく制御命令を直接システムコントローラ17に通知する。又、制御命令が、気腹装置4に対する命令の場合、気腹装置4は中継装置7の載っているカート10のシステムコントローラ8に接続されている為、無線通信装置2,12を介した無線通信で制御データを中継装置7に送信し、中継装置7がシステムコントローラ8に制御命令を通知する。これらの手順については、後に図8〜図11を用いて説明を行う。
【0048】
次に、図6〜図7を用いて、中継装置が使用するシステム状態テーブル及び制御データ送信待ちテーブルを説明する。図6はシステム状態テーブルの例である。システム状態テーブルは、リモート制御システム中の中継装置が搭載されているカート上の装置の動作状態を把握して行う、リモコン19からの制御データを無線通信により送信するか否かの判断と無線通信の開始タイミングの決定とに使用されるテーブルである。
【0049】
図6に示すように、システム状態テーブルには、各カートに搭載されている装置の種類、装置ID、動作状態、装置動作時に発生する電磁ノイズの有無が記録される。例えば、図6において、カート10に搭載されている電気メス6は、装置ID:SG-001、動作状態:動作中、装置動作時に発生する電磁ノイズ:有、と登録されている。これは、電気メス6が動作中のとき、電磁ノイズが発生する為、リモコン19からの制御データの無線通信はできないことを示している。
【0050】
図7は、中継装置が使用する制御データ送信待ちテーブルの例である。制御データ送信待ちテーブルは、リモコン19から受信した制御データの中で、他のカートの中継装置に無線通信により送信しなければならない制御データをまとめたテーブルである。図7に示すように、制御データ送信待ちテーブルには、送信先となる中継装置のID、制御対象となる装置の種類、装置ID、制御内容、制御データの受信に基づく受付時間が記録される。図7には、フットスイッチの接続先を現在の電気メス6から超音波処理装置5に変更する命令と、気腹装置4の流量を変更する命令とが登録されている例が示されている。
【0051】
次に、図8〜図11を用いて、リモコン19からの制御データを無線通信で送信する手順を説明する。本説明は、内視鏡3の画像を、無線通信装置2、無線通信装置21を介して、画像モニタ20に接続された無線通信装置21に通信中であり、リモコン19から図7に示した制御内容(フットスイッチの接続先の変更、気腹装置の流量変更)が中継装置16に指示され、電気メス6は最初動作中であり、その後停止した場合を例として行う。
【0052】
図8は、上記手順で制御データを無線送信する様子を示している。図8において、電気メス6は時刻t6まで動作中で、その後停止している。無線通信装置2は周期的に内視鏡3の画像を送信している。例えば1フレームが60枚の画像で構成される場合、転送周期は16.7msであり、図では時刻t1-t5間が16.7msとなる。時刻t4-t5の期間は、画像データが送信されていないブランキング期間であり、制御データはこの期間を利用して無線通信される。
【0053】
電気メス6の動作中は電磁ノイズが発生する為、無線通信の内容が正確に伝わるとは限らない。画像データは連続して送信されている為、電磁ノイズの影響で画面に乱れが生じても許容されるが、制御データの誤りは重大な問題を引き起こす可能性がある為、電磁ノイズが発生している期間は制御データの無線通信は行わない。
【0054】
図8ではリモコン19からの制御命令(気腹装置の流量変更)を示す制御データが時刻t2-t3の期間に中継装置16に送信される。中継装置16で受信された制御データは、制御データ送信待ちテーブルに加えられる。この時は、電気メス6が動作中で無線送信が行われていない為、図7に示したように、以前に指示されたフットスイッチの接続先の変更命令を示す制御データの後に新たな制御データが追加される。
【0055】
時刻t4-t5のブランキング期間では、電気メス6が動作中の為、無線送信は行われない。電気メス6が停止した後の最初のブランキング期間に、電気メス6が接続している中継装置7から中継装置16へシステム状態テーブルが送信され、電気メス6の動作停止が通知される(時刻t7-t8)。この通知により、中継装置16において、電気メス6の停止が確認される。その結果、次のブランキング期間で制御データ送信待ちテーブルの内容が送信される(時刻t9-t10)。
【0056】
上記では、無線通信装置2が無線通信装置21に画像データを送信している場合の手順を説明したが、無線通信装置12が無線通信装置21に画像データを送信している場合の手順も同様であり、中継装置16は、電気メス6の停止後のブランキング期間で無線通信装置21が制御データを送信するよう、制御データの送信タイミングを制御する。
【0057】
次に、図9-図11を用いて、中継装置の動作を説明する。図9-図11のフローチャートは、中継装置7と中継装置16で共通である。又、図9-図11に示す処理はOS管理下のソフトウエアで行われ、処理の終了後はOS管理下の別のソフトウエアが実行される。
【0058】
図9は、システム状態テーブル更新処理(S1)を示している。システム状態テーブル更新処理(S1)は、中継装置が、自身の接続しているシステムコントローラを介して、システムコントローラに接続されている各装置の状態を周期的に観測し、システム状態テーブルを更新する処理である。
【0059】
システム状態テーブル更新処理(S1)では、中継装置制御回路34は最初にシステムコントローラを介して各装置の状態をチェックする(S2)。続いて、中継装置制御回路34は、記憶回路35に記憶されているシステム状態テーブルの内容と、システムコントローラから通知された各装置の状態とを比較する(S3)。各装置の状態に変更がなければシステム状態テーブル更新処理(S1)が終了(S7)する。又、各装置の状態に変更があれば、中継装置制御回路34はシステム状態テーブルの更新(S4)を行い、システム状態テーブルフラグをON(S5)とし、送信起動フラグをON(S6)としてシステム状態テーブル更新処理(S1)を終了(S7)する。
【0060】
システム状態テーブルフラグは、システム状態テーブルが更新されていることを示すフラグであり、送信起動フラグは、次に説明する無線送信処理(S8)の起動を要求するフラグである。電気メス6の動作が停止した場合、中継装置7においてシステム状態テーブルの更新(S4)が行われ、その後、システム状態テーブルフラグと送信起動フラグがON(S5,S6)となる。
【0061】
図10は、無線送信処理(S8)を示している。無線送信処理(S8)は、システム状態テーブルと制御データ送信待ちテーブルの内容を送信する処理である。送信起動フラグがONの場合、無線送信処理(S8)が起動され、システム状態テーブルフラグがONの場合、システム状態テーブル更新処理(S1)により更新されたシステム状態テーブルが送信され、制御データ送信待ちテーブルフラグがONの場合、制御データ送信待ちテーブルの内容が送信される。
【0062】
無線送信処理(S8)では、中継装置制御回路34は、送信環境チェック(S9)によりシステム状態テーブルを調べ、送信可能であるか否かを判定する。電磁ノイズ:有と登録されている装置が動作中の場合、中継装置制御回路34は送信不可能と判定して送信環境チェック(S9)を繰り返す。電磁ノイズ:有と登録されている装置が動作していない場合、中継装置制御回路34はシステム状態テーブルフラグをチェック(S10)する。システム状態テーブルフラグがONの場合、中継装置制御回路34はシステム状態テーブル送信処理(S11)とシステム状態テーブルフラグOFF処理(S12)を実行し、その後、制御データ送信待ちテーブルフラグチェック(S13)を実行する。システム状態テーブルフラグがOFFの場合、中継装置制御回路34はそのまま制御データ送信待ちテーブルフラグチェック(S13)を実行する。
【0063】
システム状態テーブル送信処理(S11)では、システム状態テーブル更新処理(S1)により更新されたシステム状態テーブルが送信される。システム状態テーブル送信処理(S11)では、中継装置制御回路34は、システムコントローラを介してシステム状態テーブルを無線通信装置に出力し、無線通信装置は次のブランキング期間を使用して他の無線通信装置にシステム状態テーブルを送信する。他の無線通信装置によって受信されたシステム状態テーブルは、システムコントローラを介して中継装置に出力される。この中継装置において、中継装置制御回路34は、記憶回路35に記憶されているシステム状態テーブルを更新する。
【0064】
システム状態テーブル送信処理(S11)の後、中継装置制御回路34はシステム状態テーブルフラグをOFF(S12)にする。
【0065】
制御データ送信待ちテーブルフラグチェック(S13)では、中継装置制御回路34は制御データ送信待ちテーブルフラグをチェックする。制御データ送信待ちテーブルフラグがONの場合、中継装置制御回路34は制御データ送信待ちテーブル送信処理(S14)と制御データ送信待ちテーブルフラグOFF処理(S15)を実行し、その後、送信起動フラグOFF処理(S16)を実行する。
【0066】
制御データ送信待ちテーブル送信処理(S14)では、中継装置制御回路34は、システムコントローラを介して制御データを無線通信装置に出力し、無線通信装置は次のブランキング期間を使用して他の無線通信装置に制御データを送信する。制御データ送信待ちテーブル送信処理(S14)の後、中継装置制御回路34は制御データ送信待ちテーブルフラグ及び送信起動フラグをOFF(S15,S16)にし、無線送信処理(S8)を終了する。
【0067】
制御データ送信待ちテーブルフラグがOFFの場合、中継装置制御回路34はそのまま送信起動フラグOFF処理(S16)を実行する。送信起動フラグOFF処理(S16)の後、無線送信処理(S8)が終了(S17)する。
【0068】
図11は、リモコン制御データ受信処理(S18)を示している。リモコン制御データ受信処理(S18)は、リモコン19からの制御データを受信する時に行われる処理である。リモコン19から制御データを受信する時、中継装置制御回路34はリモコン制御データ受信処理(S18)を起動する。リモコン制御データ受信処理(S18)では、中継装置制御回路34は最初に制御データの受信(S19)を行い、続いて無線送信実行判断(S20)を行う。
【0069】
無線送信実行判断(S20)では、制御データ中の装置IDから特定される制御対象の装置が自己と同じカートに搭載されている場合と、リモコン19からの通信が中継装置7と中継装置16の両方に届いている場合には、中継装置制御回路34は装置位置判断(S24)を実行し、それ以外の場合には、制御データ送信待ちテーブルの更新(S21)を実行する。尚、リモコン19からの通信がどの中継装置に届いているかどうかの判定は、図6に示したシステム状態テーブルの全ての中継装置の動作状態が"リモコン接続中"となっているかどうかを判定することにより行う。
【0070】
装置位置判断(S24)では、中継装置制御回路34は制御データ中の装置IDから制御対象の装置を判断する。制御対象の装置が自己と同じカートにある場合、中継装置制御回路34はシステムコントローラへの制御命令通知(S25)を実行してリモコン制御データ受信処理(S18)を終了(S26)し、それ以外の場合には、直ぐにリモコン制御データ受信処理(S18)を終了(S26)する。
【0071】
制御データ送信待ちテーブルの更新(S21)では、中継装置制御回路34は、記憶回路35に記憶されている制御データ送信待ちテーブルに、リモコン19から受信した制御データを追加する。この際、同一装置への制御データであって制御内容(例えば、気腹装置の流量変更等)が重複する制御データについては、受付時間に基づいて最新の制御データだけが制御データ送信待ちテーブルに載せられる。
【0072】
制御データ送信待ちテーブルの更新(S21)の後、中継装置制御回路34は制御データ送信待ちテーブルフラグをON(S22)とし、送信起動フラグをON(S23)として、リモコン制御データ受信処理(S18)を終了(S26)する。
【0073】
次に、無線送信処理(S8)によるリモコン19の制御データの送信例を説明する。図8に示した例の場合、中継装置16では、電気メス6の動作中に行われたリモコン制御データ受信処理(S18)により無線送信処理(S8)が起動されている。しかし、中継装置7からシステム状態テーブルが送信されて電気メス6の停止が通知されるまでは、送信環境チェック(S9)により通信不可能と判定され、制御データは送信待ちになっている。中継装置7からの通知でシステム状態テーブルが更新されると、送信環境チェック(S9)で送信可能と判断され、システム状態テーブルフラグチェック(S10)以降の処理が実行される。
【0074】
この場合、システム状態テーブルフラグがOFF、制御データ送信待ちテーブルフラグがONであるので、制御データ送信待ちテーブル送信処理(S14)が行われ、続いて制御データ送信待ちテーブルフラグOFF処理(S15)が行われ、送信起動フラグOFF処理(S16)の後、無線送信処理(S8)が終了(S17)する。上記処理により、図8の時刻t9-t10に示したタイミングでリモコン19の制御データの送信が行われることになる。
【0075】
リモコン19の位置が図1,2に示した位置と異なり、リモコン19からの通信が中継装置7と中継装置16の両方に届く場合、図6に示したシステム状態テーブルの中継装置7と中継装置16の動作状態が両方ともリモコン接続中となる為、中継装置16では、無線送信実行判断(S20)では"送信せず"と判断され、装置位置判断(S24)では"他カート"と判断され、そのままリモコン制御データ受信処理(S18)が終了(S26)する。一方、中継装置7では、無線送信実行判断(S20)では"送信せず"と判断され、装置位置判断(S24)では"自カート"と判断され、システムコントローラ8への制御命令通知(S25)が実行され、その後、リモコン制御データ受信処理(S18)が終了(S26)する。
【0076】
上記のように、リモコン19からの通信が中継装置7と中継装置16の両方に届く場合には、無線送信を行わずに制御命令が、制御対象の装置が接続されたシステムコントローラに通知されることになる。
【0077】
次に、リモコン19の初期設定処理を説明する。リモコン19の初期設定処理では、リモコン19にリモート制御システム内の各医療装置の装置IDを設定する処理が行われる。図12は、画像モニタ20に初期設定処理用の画面を表示した場合を示している。
【0078】
図示するように、初期設定処理用の画面には、リモコン19でリモート制御を行う装置の名称がカート毎に示され、その横に、リモコン19に可視光通信で各装置の装置IDを転送する為のID通信ポイント37が配置されている。ID通信ポイント37は輝度の変化(点滅)で装置IDを通知する機能があり、リモコン19の可視光受光素子28を通してリモコン19に装置IDを通知する。
【0079】
各装置IDは、各カートの中継装置によってシステムコントローラを介して収集され、システム状態テーブルの一部として記憶されている。初期設定時には所望の中継装置から装置IDのデータが取り出される。
【0080】
初期設定処理用の画面の表示は、画像モニタ1、画像モニタ11でも可能であるが、本説明では、画像モニタ20にシステムコントローラ8の作成した画面が表示される場合を例としている。その場合、システムコントローラ8は、中継装置7のシステム状態テーブルに記憶されている装置IDを使用して、初期設定処理用の画面を作成する。作成された画面は、無線通信装置2、無線通信装置21を介して画像モニタ20に表示される。本実施形態で使用している、モニタ中の一部分を点滅させ、点滅間隔の変化による可視光通信で情報を伝達する方法は、公知であるので、詳細な説明を省略する。
【0081】
上述したように、本実施形態によれば、中継装置が、リモコン19から赤外線通信により受信した制御データを自己のカート上の無線通信装置を使用して無線送信する場合に、他の無線通信や電磁ノイズの発生しない、無線通信状況の良いタイミングで制御データを送信することによって、制御データの通信を良好に行うことができる。又、画像データを無線通信して表示するシステムで、画像データの通信期間を避けたタイミングで制御データの無線送信を行うことで、離れた非制御装置群に対して確実に制御命令を通知するリモート制御システムを提供することができる。
【0082】
電気メスのように、動作中に多量の電磁ノイズを発生する装置の動作中は、正常に無線通信を行うことは困難である。その為、電磁ノイズを発生する装置の動作状態を監視し、電源OFF や動作中断のような電磁ノイズの発生が少ない動作状態になる時点を検出し、その時点に制御データの無線通信を行うことにより、電磁ノイズの影響を受けずに正常な通信を行うことができる。
【0083】
又、画像表示モニタから装置IDを読み取ることでリモコン19の設定を行うことが可能となり、利便性が向上する。さらに、画像通信機能を使用して制御データの無線通信を行うことによって、制御データの通信用の無線通信装置を新たに用意する必要がないので、本実施形態によるリモート制御システムを構成する際の原価低減が可能となる。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、主に中継装置の機能が第1の実施形態と異なっている。具体的には、本実施形態の中継装置は無線通信機能を具備しており、中継装置間で無線通信を行っている。又、各医療装置に優先順位が割り振られており、リモコン19からの制御データ受信時に動作中の医療装置の優先順位により、中継装置での処理が変化する。
【0085】
図13は、本実施形態によるリモート制御システムの構成を示している。本実施形態によりリモート制御システムを第1の実施形態によるリモート制御システムと比較すると、中継装置とカート18の構成が異なっている。
【0086】
カート18の構成は、図1に示した構成から、画像モニタ11、無線通信装置12、内視鏡13、を削除した構成となっている。本実施形態においては、カート18に無線通信装置12がない為、第1の実施形態のように中継装置間の制御データの伝送に無線通信装置を使うことはできない。その為、本システムの中継装置38と中継装置39には無線通信機能が搭載されており、中継装置間で直接、無線通信を行っている。
【0087】
図14は、カート10に搭載されている中継装置38の構成を示している。図示するように中継装置制御回路42に無線通信回路44が接続されており、無線通信回路44にはアンテナ46が接続されている。赤外線受光素子40、赤外線インターフェイス回路41、中継装置制御回路42、記憶回路43については第1の実施形態で説明した構成と同一である為、説明を省略する。尚、中継装置39も同一の構成である。上記構成により、中継装置38と中継装置39間で無線通信を行うことが可能となる。
【0088】
本実施形態では、第1の実施形態と異なり、リモート制御システム内の各医療装置に優先順位が割り振られている。優先順位の低い装置の動作中に優先順位の高い装置への制御命令がリモコン19から発せられた場合、中継装置間の無線通信が必要であるが、動作中の優先順位の低い装置がノイズを発生していて無線通信を妨害する場合、優先順位の低い装置の動作状態を変更して無線通信可能な状況を作り出し、中継装置間の無線通信を行う。尚、優先順位が同じ場合には、先に動作している装置が優先となる為、動作状態の変更は行われない。
【0089】
図15は、本実施形態のシステム状態テーブルの例を示す。本実施形態では、第1の実施形態で説明したシステム状態テーブルに対して、各装置の優先順位が追加されている。図示するように、システムコントローラの優先順位が最優先の1であり、以下、電気メス:2、超音波処理装置:3のように続いている。又、本実施形態の中継装置は、リモコン19による制御対象ではないので、優先順位は付けられていない。優先順位が1であるシステムコントローラへの命令には、各種の緊急処理(緊急停止等)の為の命令が含まれている。
【0090】
尚、第1の実施形態では、画像データの無線通信のブランキング期間を用いて制御データの送信を行うことで、無線通信装置の動作に伴う無線信号はノイズとはならない為、システム状態テーブルのノイズの項目は、"無"となっていた。これに対して、本実施形態では、無線通信装置の動作に伴う無線信号は、中継装置間の無線通信に対するノイズとなるので、システム状態テーブルのノイズの項目は、"有"となる。
【0091】
次に、図16を用いて制御データの通信タイミングを説明する。本説明では、図13に示した構成を用いて、リモコン19がシェーバー14に対する制御データを中継装置38に送信する場合を例に説明を行う。この時、無線通信装置2は無線通信装置21に画像データを送信している状態であるとし、その他の装置の動作状態は図15に示した状態であるとする。
【0092】
図16は、上記状態での制御データの通信のタイミングチャートである。リモコン19からの制御データを中継装置38が受信した場合、中継装置38の中継装置制御回路42は、制御データ中の装置IDに対応する制御対象装置の優先順位とシステム状態テーブルの動作中のノイズを発生する装置の優先順位とを比較する。本説明では、シェーバー14に対する制御データを送信するので、シェーバー14の優先順位"2"と、動作中の無線通信装置2の優先順位"7"とを比較することになる。
【0093】
図示するタイミング(時刻t2-t3)で中継装置38がリモコン19から制御データを受信した場合、シェーバー14の優先順位が無線通信装置2の優先順位よりも高いので、中継装置38の中継装置制御回路42はシステムコントローラ8に無線通信装置2の動作停止命令を通知する。通知を受けたシステムコントローラ8により無線通信装置2の動作が停止される(時刻t4)。これにより、本来は時刻t7まで行われる画像データの無線通信が時刻t4で停止される。
【0094】
続いて、中継装置制御回路42は無線通信回路44、アンテナ46を介して制御データを中継装置39へ送信する(時刻t5-t6)。中継装置39の中継装置制御回路42は、受信した制御データに基づく制御命令をシステムコントローラ17に通知する。システムコントローラ17は、通知された制御命令に基づいてシェーバー14を制御する。その後、無線通信装置2の動作が再開(時刻t8以降)される。上記手順により、リモコン19からの制御データが中継装置38と中継装置39を経由して、シェーバー14に伝えられる。
【0095】
本実施形態におけるリモコン19の初期設定処理は、第1の実施形態とは異なり、リモコン19に取り付けられた抜き差し可能なUSBメモリからのデータを使って行われる。USBメモリへのリモート制御システム内の各医療装置の装置IDの設定は、USBメモリを中継装置に取り付けて行われる。USBメモリを介した情報の設定方法は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0096】
上述したように、本実施形態によれば、中継装置が、リモコン19から赤外線通信により受信した制御データを自己の無線通信装置を使用して無線送信する場合に、他の無線通信や電磁ノイズの発生しない、無線通信状況の良いタイミングで制御データを送信することによって、制御データの通信を良好に行うことができる。
【0097】
又、優先順位の高い装置への制御データがリモコン19から送信され、リモコン19から制御データを受信した中継装置が属している医療装置群において、動作に伴って多量のノイズを発生する装置が動作中であり、その装置の優先順位が、制御命令を受ける医療装置の優先順位より低い場合、動作中の装置を止めてノイズを減少させてから制御データを送信することが可能となる。この為、優先順位の高い医療装置への制御データを早く確実に伝送することができる。
【0098】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1,11,20・・・画像モニタ、2,12,21・・・無線通信装置(無線通信部)、3,13・・・内視鏡、4・・・気腹装置、5・・・超音波処理装置、6・・・電気メス、7,16,38,39・・・中継装置、8,17・・・システムコントローラ(制御部)、9・・・フットスイッチ、10,18,22・・・カート、14・・・シェーバー、15・・・ポンプ、19リモコン(制御端末)、25・・・表示素子、26・・・制御ボタン、27・・・赤外線発光素子(近接通信部)、28・・・可視光受光素子(読み取り部)、29・・・リモコン制御回路(生成部)、30・・・通信インターフェイス回路、31・・・記憶回路、32,40・・・赤外線受光素子(近接通信部)、33,41・・・赤外線インターフェイス回路、34,42・・・中継装置制御回路(制御部)、35,43・・・記憶回路(記憶部)、44・・・無線通信回路、46・・・アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部装置及び第2の外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う無線通信部と、
制御端末との間で近接通信を行う近接通信部と、
前記制御端末から前記近接通信部を介して受信した、前記第1の外部装置に対する指示を示す制御データを、前記無線通信部を介して前記第1の外部装置へ送信させる制御部であって、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へデータを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データ又は前記データの送信タイミングを調整する制御部と、
を有する無線通信装置。
【請求項2】
外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う無線通信部と、
制御端末との間で近接通信を行う近接通信部と、
前記制御端末から前記近接通信部を介して受信した、前記外部装置に対する指示を示す制御データを、前記無線通信部を介して前記外部装置へ送信させる制御部であって、前記所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態に基づいて、前記制御データの送信タイミングを調整する、又は、前記機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する制御部と、
を有する無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へ画像データを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データの送信タイミングを、前記画像データの所定の無線送信期間とは異なるタイミングに調整する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信部は、前記第1の外部装置と画像データの無線通信を行う機能を有し、当該機能を用いて前記制御データを前記第1の外部装置へ送信する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記制御データの送信タイミングを、前記機材による電磁ノイズの発生が少ないと判断されるタイミングに調整する請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記外部装置は、個々に優先順位を持つ前記機材を有し、
前記制御データは、前記機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、
前記ID情報と前記優先順位とを関連付けた機材情報を記憶する記憶部を更に有し、
前記制御部は、前記制御データに含まれる前記ID情報と前記機材情報とに基づいて制御対象の前記機材の優先順位を識別し、当該識別した優先順位と、前記機材情報が示す各機材の優先順位とに基づいて、動作状態を変更する機材を決定し、当該機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記無線通信部は、前記外部装置と画像データの無線通信を行う機能を有し、当該機能を用いて前記制御データを前記外部装置へ送信する請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項8】
第1の外部装置及び第2の外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第1の無線通信部と、
制御端末との間で近接通信を行う第1の近接通信部と、
前記制御端末から前記第1の近接通信部を介して受信した、前記第1の外部装置に対する指示を示す制御データを、前記第1の無線通信部を介して前記第1の外部装置へ送信させる制御部であって、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へデータを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データ又は前記データの送信タイミングを調整する第1の制御部と、
を有する無線通信装置、
前記制御データを生成する生成部と、
前記無線通信装置との間で近接通信を行う第2の近接通信部と、
を有する前記制御端末、
前記第2の外部装置及び前記無線通信装置との間で、前記所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第2の無線通信部と、
前記第2の無線通信部を介して前記無線通信装置から受信された前記制御データに基づく制御を行う第2の制御部と、
を有する前記第1の外部装置を備えた無線通信システム。
【請求項9】
外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第1の無線通信部と、
制御端末との間で近接通信を行う第1の近接通信部と、
前記制御端末から前記第1の近接通信部を介して受信した、前記外部装置に対する指示を示す制御データを、前記第1の無線通信部を介して前記外部装置へ送信させる制御部であって、前記所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態に基づいて、前記制御データの送信タイミングを調整する、又は、前記機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する第1の制御部と、
を有する無線通信装置、
前記制御データを生成する生成部と、
前記無線通信装置との間で近接通信を行う第2の近接通信部と、
を有する前記制御端末、
前記無線通信装置との間で、前記所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第2の無線通信部と、
前記第2の無線通信部を介して前記無線通信装置から受信された前記制御データに基づく制御を行う第2の制御部と、
を有する前記外部装置を備えた無線通信システム。
【請求項10】
前記制御データは、制御対象の機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、
前記制御端末は、画像を表示する表示画面の一部を使って前記ID情報を光学的に伝送する情報伝送機能を持つ画像表示装置の前記表示画面から前記ID情報を読み取る読み取り部を有し、
前記生成部は、前記表示画面から読み取った前記ID情報を用いて前記制御データを生成する請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記制御データは、制御対象の機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、
前記制御端末は、画像を表示する表示画面の一部を使って前記ID情報を光学的に伝送する情報伝送機能を持つ画像表示装置の前記表示画面から前記ID情報を読み取る読み取り部を有し、
前記生成部は、前記表示画面から読み取った前記ID情報を用いて前記制御データを生成する請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項1】
第1の外部装置及び第2の外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う無線通信部と、
制御端末との間で近接通信を行う近接通信部と、
前記制御端末から前記近接通信部を介して受信した、前記第1の外部装置に対する指示を示す制御データを、前記無線通信部を介して前記第1の外部装置へ送信させる制御部であって、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へデータを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データ又は前記データの送信タイミングを調整する制御部と、
を有する無線通信装置。
【請求項2】
外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う無線通信部と、
制御端末との間で近接通信を行う近接通信部と、
前記制御端末から前記近接通信部を介して受信した、前記外部装置に対する指示を示す制御データを、前記無線通信部を介して前記外部装置へ送信させる制御部であって、前記所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態に基づいて、前記制御データの送信タイミングを調整する、又は、前記機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する制御部と、
を有する無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へ画像データを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データの送信タイミングを、前記画像データの所定の無線送信期間とは異なるタイミングに調整する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信部は、前記第1の外部装置と画像データの無線通信を行う機能を有し、当該機能を用いて前記制御データを前記第1の外部装置へ送信する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記制御データの送信タイミングを、前記機材による電磁ノイズの発生が少ないと判断されるタイミングに調整する請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記外部装置は、個々に優先順位を持つ前記機材を有し、
前記制御データは、前記機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、
前記ID情報と前記優先順位とを関連付けた機材情報を記憶する記憶部を更に有し、
前記制御部は、前記制御データに含まれる前記ID情報と前記機材情報とに基づいて制御対象の前記機材の優先順位を識別し、当該識別した優先順位と、前記機材情報が示す各機材の優先順位とに基づいて、動作状態を変更する機材を決定し、当該機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記無線通信部は、前記外部装置と画像データの無線通信を行う機能を有し、当該機能を用いて前記制御データを前記外部装置へ送信する請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項8】
第1の外部装置及び第2の外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第1の無線通信部と、
制御端末との間で近接通信を行う第1の近接通信部と、
前記制御端末から前記第1の近接通信部を介して受信した、前記第1の外部装置に対する指示を示す制御データを、前記第1の無線通信部を介して前記第1の外部装置へ送信させる制御部であって、前記第1の外部装置又は前記無線通信部が前記第2の外部装置へデータを順次送信している間に前記制御データを前記第1の外部装置へ送信させる場合、前記制御データ又は前記データの送信タイミングを調整する第1の制御部と、
を有する無線通信装置、
前記制御データを生成する生成部と、
前記無線通信装置との間で近接通信を行う第2の近接通信部と、
を有する前記制御端末、
前記第2の外部装置及び前記無線通信装置との間で、前記所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第2の無線通信部と、
前記第2の無線通信部を介して前記無線通信装置から受信された前記制御データに基づく制御を行う第2の制御部と、
を有する前記第1の外部装置を備えた無線通信システム。
【請求項9】
外部装置との間で、所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第1の無線通信部と、
制御端末との間で近接通信を行う第1の近接通信部と、
前記制御端末から前記第1の近接通信部を介して受信した、前記外部装置に対する指示を示す制御データを、前記第1の無線通信部を介して前記外部装置へ送信させる制御部であって、前記所定の周波数帯域に属する電波を放出する機材の動作状態に基づいて、前記制御データの送信タイミングを調整する、又は、前記機材の動作状態を変更する指示を当該機材へ送信する第1の制御部と、
を有する無線通信装置、
前記制御データを生成する生成部と、
前記無線通信装置との間で近接通信を行う第2の近接通信部と、
を有する前記制御端末、
前記無線通信装置との間で、前記所定の電波帯域に属する電波を使用した無線通信を行う第2の無線通信部と、
前記第2の無線通信部を介して前記無線通信装置から受信された前記制御データに基づく制御を行う第2の制御部と、
を有する前記外部装置を備えた無線通信システム。
【請求項10】
前記制御データは、制御対象の機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、
前記制御端末は、画像を表示する表示画面の一部を使って前記ID情報を光学的に伝送する情報伝送機能を持つ画像表示装置の前記表示画面から前記ID情報を読み取る読み取り部を有し、
前記生成部は、前記表示画面から読み取った前記ID情報を用いて前記制御データを生成する請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記制御データは、制御対象の機材毎に割り振られたID情報と、前記機材の動作を指示する指示情報とを含み、
前記制御端末は、画像を表示する表示画面の一部を使って前記ID情報を光学的に伝送する情報伝送機能を持つ画像表示装置の前記表示画面から前記ID情報を読み取る読み取り部を有し、
前記生成部は、前記表示画面から読み取った前記ID情報を用いて前記制御データを生成する請求項9に記載の無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−105073(P2012−105073A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251969(P2010−251969)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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