無線通信装置
【課題】利用者の利便性を確保しつつ、電波の放出を抑制する無線通信装置、を提供する。
【解決手段】無線通信装置は、振動を検出するセンサ部と、センサ部の出力に基づいて移動量を検出する移動量検出部と、検出された移動量を累積加算して得た総移動量を格納する総移動量格納部と、総移動量が所定の閾値を超えたか否かを判定する総移動量判定部と、総移動量が所定の閾値を超えたと判定された場合、無線通信装置の動作状態を電波を発信しない状態に変更する無線通信制御部とを有する。
【解決手段】無線通信装置は、振動を検出するセンサ部と、センサ部の出力に基づいて移動量を検出する移動量検出部と、検出された移動量を累積加算して得た総移動量を格納する総移動量格納部と、総移動量が所定の閾値を超えたか否かを判定する総移動量判定部と、総移動量が所定の閾値を超えたと判定された場合、無線通信装置の動作状態を電波を発信しない状態に変更する無線通信制御部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置において、電波障害の発生を抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電波や高周波の電気信号を扱う電子機器が、電波障害の発生源となる可能性があることから、その対策技術が提案されている。なお、電波障害とは、電波の受信に障害が発生したり、電波により電子機器が誤動作することである。
【0003】
特許文献1には、無線通信ネットワークにおいて、データブロックを受信する受信部と、受信部に接続された制御部と、制御部に接続された送信部とを備え、データブロックは有効期間フィールドを含み、制御部は有効期間フィールドに基づきチャンネルスキャン方法を選択する無線ステーションが記載されている。
【0004】
特許文献2には、セルラー無線信号により通信を行うセルラー無線システムと無線LAN信号により通信を行う無線LANシステムとを統合したハイブリッド無線通信システムにおける移動通信端末装置であって、セルラー無線信号を受信してセルラー受信信号を生成するセルラー無線信号受信手段と、セルラー無線信号受信手段からのセルラー受信信号の情報から所定のセルラー無線通信エリアの圏内であるか否かを判定するセルラー無線エリア判定手段と、無線LAN信号を受信してLAN受信信号を生成する無線LAN信号受信手段と、無線LAN信号受信手段への電力の供給を制御する電力供給制御手段と、無線LAN信号受信手段からのLAN受信信号の情報から所定の無線LANシステムの通信エリアの圏内であるか否かを判定する無線LANエリア判定手段と、を具備し、電力供給制御手段は特定の周期で無線LAN信号受信手段への電力供給を実行する手段を有し、無線LANエリア判定手段は無線LAN信号受信手段が電力供給制御手段から電力を供給された時のみ無線LANシステムの通信エリアの圏内であるか否かを判定する無線通信システムが記載されている。
【0005】
特許文献3には、GPS(全地球測位システム)衛星から接続装置の位置情報を受信するGPS受信モジュールと、無線LAN−APに接続するための無線LANモジュールと、無線LAN−APの位置情報を記憶する記憶装置と、GPS受信モジュールから出力される通信装置の位置情報と、記憶された無線LAN−APの位置情報とに基づいて、無線LANモジュールを選択的に動作させる制御部と、を有する通信装置が記載されている。これによると、通信装置が無線LAN−APのサービス領域に存在する場合にのみデータサービスを受ける処理過程が実行され、通信装置が無線LAN−APのサービス領域に居ない場合には、動作中の無線LAN−APを継続的に探索する、とされている。そのため、無線LANモジュールは必要なときだけ動作するので、電源消費を最少にする、とされている。
【0006】
特許文献4には、アクティブスキャンとパッシブスキャンの双方の機能を有する無線端末装置において、無線基地局を探索する際に、無線端末装置の状態によってスキャン方法を選択するように動作する無線端末装置が記載されている。これによると、アクティブスキャンを選択することにより、早急に探索する必要がある場合には探索時間を短縮することができ、また、基地局探索に要する端末装置における電力消費を低減することができる、とされている。また、早急に探索する必要が無い場合にはパッシブスキャンを選択することにより、基地局探索に関して無線リソースの消費を抑えることができる、とされている。
【特許文献1】特開2004-229278号公報
【特許文献2】特開2004-349863号公報
【特許文献3】特表2006-508603号公報
【特許文献4】特開2005-12539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、GPS等を利用して取得された位置情報に基づいて電波の放出が好ましくない特定の領域内に存在しているか否かを判断するため、所定時間間隔においてGPS等を用いた位置情報を取得する処理を実行する必要がある。通常、GPS等を用いた位置情報の取得処理の実行には多くの消費電力を必要とする。
【0008】
さらに、従来技術では、通信圏外であることを検出した場合に、パッシブスキャン方式を用いて基地局の探索を行なうため、例えば、通信圏内と圏外との境目付近に存在する場合、パッシブスキャン方式を用いた基地局の探索を頻繁に行なうことになり、消費電力の無駄が生じる。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、利用者の利便性を確保しつつ、電波の放出を抑制する無線通信装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願に開示する無線通信装置は、振動を検出するセンサ部と、センサ部の出力に基づいて移動量を検出する移動量検出部と、検出された移動量を累積加算して得た総移動量を格納する総移動量格納部と、総移動量が所定の閾値を超えたか否かを判定する総移動量判定部と、総移動量が所定の閾値を超えたと判定された場合、無線通信装置の動作状態を電波を発信しない状態に変更する無線通信制御部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、無線通信装置が有するセンサ部からの出力に基づいて移動状態か否かを検出し、検出した状態に基づいて電波の放出を抑制する処理の実行契機を調整するため、利用者の利便性を確保しつつ、電波の放出を抑制することができる、という優れた効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
〔1.システムの構成〕
図1は、本実施例に係る無線通信システムの概略を示す図である。
【0014】
図1に示す無線通信システムは、無線通信装置100と、無線通信基地局200と、を有する。
【0015】
無線通信基地局200は、破線で示す無線通信領域300を有し、無線通信領域300の内側に存在する無線通信装置100と無線通信ができる。
【0016】
さらに、無線通信基地局200は、図示しない通信回線と接続されており、無線通信装置100から受信したデータを図示しない通信回線を介して上位装置などに転送したり、図示しない通信回線を介して上位装置から受信したデータを無線通信装置100へ転送したりできる。
【0017】
無線通信装置100は、無線通信領域300の内側に存在する場合、無線基地局200を介して図示しない他の装置と通信することができる。
【0018】
無線通信装置100は、無線通信領域300の外側に存在する場合、無線基地局200との無線通信を行なうことができない、いわゆる通信圏外の状態となる。
【0019】
無線通信装置100は、無線基地局200から送信される電波の受信強度を検出し、検出値が所定レベル以下になった場合に通信圏外の状態であることを判定できる。
【0020】
無線通信装置100は、通信圏外の状態にあることを判定した場合、無線基地局200の通信圏内に存在することを検出するため、無線基地局の探索処理を行なう。
【0021】
無線通信装置100は、無線基地局の探索処理として、例えば、アクティブ方式とパッシブ方式とを選択的に用いることができる。
【0022】
例えば、本実施例に係る無線通信装置100を携帯する利用者400が、経路500を通って駅600まで移動する場合、無線通信装置100は、無線通信領域300の外側へ移動することになる。
【0023】
この場合、無線通信装置100は、経路500を通って駅600へ辿りつくまでの間、無線通信領域300に存在するか否かを検出するために、アクティブ方式又はパッシブ方式を用いて、無線基地局200の探索処理を行なう。これは、無線通信装置100が、無線通信領域300の内側へ存在することとなった場合に、無線通信を自動的に再開するために行う処理である。上述の処理は、通信装置100の利用者の利便性を確保する上で重要な処理である。
【0024】
しかし、例えば、利用者400が駅600に辿りついた後、電車に乗車した場合には、無線通信装置100の無線通信処理を停止させることが望ましい。なぜなら、無線通信処理において無線通信装置100から出力される電波が、他の電子機器の動作に影響を与える恐れがあるからである。
【0025】
例えば、携帯電話やPHSなどの無線通信装置から出力される電波により心臓ペースメーカが誤動作する可能性があることから、公共交通機関や病院等において、無線通信装置が電波を出力しない状態にすることが利用者に求められている。
【0026】
本実施例に係る無線通信装置100は、利用者400の利便性を考慮しつつ、無線通信装置100の動作状態を適切なタイミングで切り替えることができる。
〔2.無線通信端末の構成〕
図2は、本実施例に係る無線通信装置100のハードウェア構成を示す図である。
【0027】
図2に示す無線通信装置100は、制御部101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、タイマ部104と、センサ部105と、表示部106と、操作部107と、音声処理部108と、音声出力部109と、音声入力部110と、無線通信部111と、第一通信部112と、第二通信部113と、を有しており、各部は通信線120を介して通信可能に接続されている。
【0028】
制御部101は、通信線120を介して無線通信装置100のハードウェア各部と接続されており、例えば、補助記憶部103に記録されたプログラムを主記憶部102に格納させ、主記憶部102に格納したプログラムが有する命令コード及びデータを演算処理することにより、所定の機能を実現する。制御部101として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を用いることができる。
【0029】
主記憶部102は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を用いることができる。
【0030】
補助記憶部103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、SSD(Solid State Disk)を用いることができる。
【0031】
タイマ部104は、無線通信装置100が有する各部の動作に用いられるクロック信号などを用いて時間の経過を計測する機能を有する。
【0032】
センサ部105は、無線通信装置の移動を検出する機能を有し、例えば、加速度センサ、振動センサなどを用いることができる。
【0033】
表示部106は、制御部101の演算処理の結果などを表示する機能を有し、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0034】
操作部107は、利用者の操作を受付ける機能を有し、利用者の操作に応じた信号を、通信線120を介して制御部101へ出力する。操作部107は、例えば、入力ボタン、タッチパネルなどを用いることができる。
【0035】
音声処理部108は、音声出力部109を介して音声を出力し、音声入力部110を介して音声の入力を受ける機能を有する。音声出力部109は、例えば、スピーカや、音声出力端子などを用いることができる。音声入力部110は、例えば、マイクロフォンや、音声入力端子などを用いることができる。
【0036】
無線通信部111は、異なる通信方式の第一通信部112と第二通信部113を有する。
【0037】
第一通信部112は、例えば、WCDMAなどの無線通信方式を用いた公衆回線網との無線通信を行なう機能を有する通信部を用いることができる。
【0038】
第二通信部113は、例えば、802.11bや802.11gなどの無線通信方式を用いて無線LANアクセスポイントとしての無線基地局200との無線通信を行なう機能を有する通信部を用いることができる。
【0039】
制御部101は、第一通信部112又は第二通信部113を介して受信した音声信号を音声出力部109より出力する。また、制御部101は、音声入力部110を介して取得した音声信号を第一通信部112又は第二通信部113より無線基地局200へ送信する。
〔3.無線通信端末のプログラムの構成〕
図3は、本実施例に係る無線通信装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図である。図3に示すプログラムの構成要素は、検出制御部(PG101)と、移動量検出部(PG102)と、移動量格納部(PG103)と、総移動量判定部(PG104)と、無線通信制御部(PG105)と、を有する。
【0040】
検出制御部は、本実施例に係る検出処理を実行させる条件が満たされているか否かに応じて無線通信装置の動作を制御する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0041】
移動量検出部は、センサ部105の出力に基づいて、無線通信装置の移動量を検出する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0042】
移動量格納部は、検出された移動量を主記憶部102又は補助記憶部103などに蓄積する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0043】
総移動量判定部は、蓄積された移動量から総移動量を取得し、総移動量が所定の条件を満たすか否かに応じて無線通信装置の動作を制御する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0044】
無線通信制御部は、無線通信部111の動作を制御する構成要素として、制御部101を機能させる。
〔4.処理の流れ〕
図4は、本実施例に係る無線通信装置における検出処理の流れを示す図である。
【0045】
まず、無線通信装置100の制御部101は、総移動量の初期化を行なう(S100)。例えば、制御部101は、主記憶部102に格納する総移動量の値を0値に設定して初期化する。
【0046】
制御部101は、検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。制御部101は、例えば、無線通信部111により受信される無線基地局200からの電波の受信強度が所定の閾値以下になった場合に、検出実行の条件を満たすと判定することができる(S101でYES)。一方、制御部101は、例えば、無線通信部111により受信される無線基地局200からの電波の受信強度が所定の閾値を超える場合、検出実行の条件を満たさないと判定することができる(S101でNO)。
【0047】
また、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行を指示する制御信号を受信した無線通信部111から通信線120を介してその制御信号を受信していた場合に、検出実行の条件を満たすと判定することができる(S101でYES)。一方、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行を指示する制御信号を受信していない場合に、検出実行の条件を満たさないと判定することができる(S101でNO)。
【0048】
また、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行を指示する操作を受けた操作部107から通信線120を介して検出実行を指示する制御信号を受信していた場合に、検出実行の条件を満たすと判定することができる(S101でYES)。一方、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行を指示する制御信号を受信していない場合に、検出実行の条件を満たさないと判定することができる(S101でNO)。
【0049】
制御部101は、検出実行の条件を満たすと判定した場合(S101でYES)、移動量を検出する(S102)。移動量の検出の詳細については、後述する。
【0050】
制御部101は、検出した移動量を、主記憶部102に格納されている総移動量に加算し、主記憶部102に格納する総移動量を更新する(S103)。
【0051】
制御部101は、更新された総移動量が、所定の条件を満たすか否かを判定する(S104)。例えば、制御部は、更新された総移動量が所定の閾値を超える場合に、所定の条件を満たすと判定する(S104でYES)。一方、制御部101は、例えば、更新された総移動量が所定の閾値以下である場合に、所定の条件を満たさないと判定し(S104でNO)、上述の処理S101を実行する。この場合、制御部101は、センサ部105を休止させてもよい。これにより、センサ部105による消費電力を削減させることができる。
【0052】
制御部101は、上述のS104において総移動量が所定の条件を満たすと判定された場合(S104でYES)、無線通信部111の動作状態を変更する(S105)。
【0053】
ここで、上述のS104において、利用者400が電波の利用を制限する公共機関としての駅600までに移動する際に要する移動量を上述のS104における所定の条件として設定しておくことが望ましい。なぜならば、上述のS104において総移動量が所定の条件を満たすと判定された場合に、無線通信装置100を携帯する利用者400が、経路500を移動し、電波の利用を制限する公共機関としての駅600に到着する頃である、とみなすことができるからである。
【0054】
制御部101は、上述のS105において、例えば、無線通信部111の動作状態を、電波を出力しない状態に変更することができる。これにより、電波の利用を制限する公共機関としての駅600に到着した頃に、無線通信装置100の動作状態を自動的に電波を出力しない状態に変更することができる。
【0055】
また、上述のS101において検出実行の条件を満たすと判定された場合においても、上述のS104において総移動量が所定の条件を満たすと判定される前に、再度のS101において検出実行の条件を満たさないと判定されたときは、上述のS100において総移動量が初期化される。これにより、例えば、利用者400が、経路500を通って駅600へ向かう途中で、無線通信領域300の内側へと戻った場合には、上述のS105が実行されることは無いため、無線通信装置100は、無線基地局200との無線通信を行なうことが可能となる。
〔5.移動量の検出方法について〕
〔5−1.移動距離による検出〕
移動量の検出方法として移動距離による検出を行なう場合、例えば、無線通信装置100は、センサ部105として歩数計を用いることができる。歩数計は、加速度センサを有し、加速度センサからの出力値に基づいて歩数を計測するための信号を出力する機能を有する。
【0056】
図8は、歩数の検出処理の流れを示した図である。
【0057】
まず、センサ部105は、加速度センサの出力を取得し(S200)、出力値が上限値を超えるか否かを判定する(S201)。
【0058】
センサ部105は、加速度センサから取得した出力値が所定の上限値より大きな値となる場合、出力値が所定の上限値を超えると判定し(S201でYES)、歩行フラグがON状態であるか否かを判定する(S203)。なお、図8に示す処理が開始された時点では、歩行フラグはOFF状態である。
【0059】
一方、センサ部105は、加速度センサから取得した出力値が上限値を超えないと判定した場合(S201でNO)、出力値が所定の下限値を超えるか否かを判定する(S202)。センサ部105は、出力値が所定の下限値よりも小さい場合、出力値が所定の下限値を超えると判定し(S202でYES)、上述のS203の処理を実行する。センサ部105は、処理S202において出力値が所定の下限値を超えないと判定した場合、上述の処理S200から再度実行する。
【0060】
センサ部105は、上述の処理S203において、歩行フラグがON状態であると判定した場合(S203でYES)、歩数を出力し(S204)、歩行フラグをOFF状態に変更し(S205)、上述の処理S200から再度実行する。
【0061】
一方、センサ部105は、上述の処理S203において、歩行フラグがOFF状態であると判定した場合(S203でNO)、歩行フラグをON状態に変更し、上述の処理S200から再度実行する。
【0062】
無線通信装置100の制御部101は、上述のS204でセンサ部105から出力された歩数を通信線120を介して受信することにより、センサ部105により検出された歩数を取得することができる。
【0063】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105として用いられる歩数計の出力を計数することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400の歩数を計測することができる。
【0064】
さらに、制御部101は、測定した歩数に対して、予め設定しておいた一歩当りの距離を掛け算することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400の移動距離を検出することができる。
【0065】
上述の算出処理は下記式で表わされる。ここで、xは移動距離、hは歩数、lは一歩当りの距離を意味する。
【0066】
【数1】
【0067】
図5は、加速度センサの出力と歩数計の出力との関係を示す概略図である。
【0068】
図5(A)は、縦軸に加速度センサ値を示し、横軸に時間を示した図である。図5(A)に示す例では、時点t1において加速度センサの出力値が上限5A1を超え、時点t2において加速度センサの出力値が下限5A2を超え、時点t3において加速度センサの出力値が上限5A1を超え、時点t4において加速度センサの出力値が下限5A2を超えている様子を示している。
【0069】
図5(B)は、加速度センサの出力が図5(A)に示す上限5A1を超えている期間及び下限5A2を超えている期間を、図5(A)の横軸に示す時間に同期させて表示した図である。
【0070】
図5(C)は、加速度センサの出力が図5(A)に示す下限5A2を超えている期間に同期して、歩数計の出力が生成される例を示す図である。図5(C)に示す例では、時点t2、時点t4、時点t6、時点t8、時点t10、時点t12、時点t14、時点t16において、加速度センサの出力が図5(A)に示す下限5A2を超えたことに同期して、歩数計の出力が生成されている。
【0071】
なお、上述の例では、図8に示す処理の流れを、センサ部105において実行する例としたが、制御部105において実行してもよい。この場合、制御部101は、図5(A)に示すようなセンサの出力値を、通信線120を介して、センサ部105から取得する。さらに、この場合、制御部101は、図8に示す処理の流れの処理S204において、図4に示す処理の流れで示す処理S102を実行する構成要素へ、プロセス間通信等の技法を用いて歩数を出力する。
〔5−2.移動距離による検出2〕
上述の移動距離による移動量の検出において、センサ部105として用いる歩数計が有する加速度センサの出力値に応じて、一歩当りの距離を変更することができる。例えば、加速度センサの出力値の大きさに応じて、一歩当りの距離を変更することにより、移動距離の検出精度を向上させることができる。
【0072】
図9は、歩数及び出力レベルの検出処理の流れを示した図である。
【0073】
まず、センサ部105は、出力レベルの変数Rに0値を設定することにより出力レベルを初期化し(S300)、加速度センサの出力を取得する(S301)。
【0074】
センサ部105は、出力値が0値を超えるか否かを判定し(S302)、超えると判定された場合(S302でYES)、ループ変数iを初期化して、ループ処理S303を開始する。
【0075】
センサ部105は、まず、上述の処理S301で取得した出力が、所定の上限値(i)を超えるか否かを判定する(S304)。
【0076】
図10は、上限値(i)の内容例を示した図である。図10に示す例では、ループ変数i=1の場合、上限値(1)は50となる。図10に示す例では、ループ変数i=2の場合、上限値(2)は100となる。
【0077】
センサ部105は、上述の処理S304において、出力値が所定の上限値(i)より大きい場合、出力値が所定の上限値(i)を超えると判定し(S304でYES)、出力レベルを示す変数Rにループ変数の値を設定する(S305)。
【0078】
センサ部105は、上述の処理S305を実行した後、ループ変数がループ回数の上限nに達したか否かを判定し(S306)、達していないと判定した場合には、ループ変数を1つ加算して更新し(S303)、処理S304から実行する。
【0079】
一方、センサ部105は、上述の処理S302において、出力値が0値を超えないと判定された場合(S302でNO)、ループ変数iを初期化して、処理S307のループ処理を開始する。そして、センサ部105は、処理S303のループ処理と同様に、出力値が所定の下限値(i)を超えるか否かを判定し(S308)、超えると判定された場合に(S308でYES)、出力レベルを示す変数Rにループ変数の値を設定する(S309)。
【0080】
図11は、下限値(i)の内容例を示した図である。図11に示す例では、ループ変数i=1の場合、下限値(1)は−50となる。図11に示す例では、ループ変数i=2の場合、下限値(2)は−100となる。
【0081】
センサ部105は、上述のS306のループ処理と同様に、ループ変数がループ回数の上限nに達したか否かを判定し(S310)、達していないと判定した場合には、ループ変数を1つ加算して更新し(S307)、処理S308から実行する。
【0082】
センサ部105は、上述のS302乃至S306に示すループ処理、あるいは、上述のS307乃至S310に示すループ処理が終了した後、出力レベルを示す変数Rが0値を超えるか否かを判定する(S311)。
【0083】
センサ部105は、出力レベルを示す変数Rが0値より大きい場合、すなわち、上述の処理S305又は処理S309において出力レベルを示す変数Rにループ変数が設定された場合、出力レベルを示す値が0値を超えると判定し(S311でYES)、歩行フラグがON状態であるか否かを判定する(S312)。
【0084】
センサ部105は、処理S312において、歩行フラグがON状態であると判定した場合(S312でYES)、歩数及び出力レベルを出力し(S313)、歩行フラグをOFF状態に変更した後(S314)、上述の処理S300からの処理を再度実行する。
【0085】
センサ部105は、上述の処理S311において、出力レベルを示す変数Rが0値を超えないと判定された場合(S311でNO)、すなわち、出力レベルを示す変数Rが上述の処理S300において初期化した値から変更されていない場合、上述の処理S300からの処理を再度実行する。この場合、上述の処理S313とは異なり、歩数及び出力レベルは出力されない。
【0086】
また、上述の処理S312において、歩行フラグがON状態でないと判定された場合(S312でNO)、歩行フラグをON状態に変更し(S315)、上述の処理S300からの処理が再度実行される。
【0087】
無線通信装置100の制御部101は、上述の処理S313でセンサ部105から出力された歩数及び出力レベルを、通信線120を介して受信することにより、センサ部105により検出される歩数及び出力レベルを取得することができる。
【0088】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105として用いられる歩数計の出力を、出力レベルごとに計数することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400の歩数を計測することができる。
【0089】
さらに、制御部101は、センサ部105として用いられる歩数計の出力の出力レベルに対応して予め主記憶部102に格納された一歩当りの距離を、主記憶部102から取得する。
【0090】
図12は、出力レベルに対応付けて格納された一歩当りの距離の内容例を示した図である。図12に示す例では、出力レベル(1)に対して一歩当りの距離(0.5m)が格納されている。図12に示す例では、出力レベル(2)に対して一歩当りの距離(1.0m)が格納されている。これは、出力レベルの数値が大きいほど、例えば、歩行時の上下運動が大きいことから、歩行速度が速い状態にあると推定し、出力レベルに比例して一歩当りの距離を大きく設定した例である。
【0091】
制御部101は、所定の単位時間毎に、出力レベルごとに計数した歩数に対して、主記憶部102から取得した対応する出力レベルの一歩当りの距離を掛け算することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400の移動距離を検出することができる。上述の算出処理は下記式で表わされる。ここで、xは移動距離、h(i)は出力レベルごとの歩数、l(i)は出力レベルごとの一歩当りの距離を意味する。なお、nは歩数計が出力可能な出力レベルの数を意味する。すなわち、図6に示す例では、歩数計が出力する出力レベルの数は2つであるため、n=2となる。なお、所定時間ごとに算出する例としたが、センサ部からの出力を取得する毎に、出力レベルに応じた一歩当りの距離を移動距離として、総移動距離に加算してもよい。
【0092】
【数2】
【0093】
図6は、加速度センサの出力と歩数計の出力との関係を示す概略図である。
【0094】
図6(A)に示す例では、上限値6A1と上限値6A3、下限値6A2と下限値6A4を有し、時点t1において加速度センサの出力値が上限値6A1を超え、時点t2において加速度センサの出力値が下限値6A2を超え、時点t3において加速度センサの出力値が上限値6A3を超え、時点t4において加速度センサの出力値が下限値6A2を超え、時点t4’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t6’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t8’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t10’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t12’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t14において加速度センサの出力値が下限値6A2を超え、時点t16において加速度センサの出力値が下限値6A2を超えている様子を示している。例えば、図6(A)は、時点t1から時点t2において通常の歩行状態を検出した様子を示しており、時点t3’から時点t12’において駆け足での歩行状態を検出した様子を示し、時点t14から時点t16において通常の歩行状態を検出した様子を示している。
【0095】
図6(B)は、上述の図5(B)と同様のため、説明を省略する。
【0096】
図6(C)は、加速度センサの出力が図6(A)に示す上限6A3を超えている期間及び下限5A4を超えている期間を、図6(A)の横軸に示す時点に同期させて表示した図である。
【0097】
図6(D)は、加速度センサの出力が図6(A)に示す下限6A2又は下限6A4を超えている期間に同期して、歩数計の出力が生成される例を示す図である。図6(D)に示す例では、時点t2及び時点t14及び時点t16のそれぞれにおいて加速度センサの出力値が下限6A2を超えたことに同期して第一の出力値6D2が生成され、時点t4’及び時点t6’及び時点t8’及び時点t10’及び時点t12’のそれぞれにおいて加速度センサの出力値が下限6A4を超えたことに同期して第二の出力値6D1が生成されている様子を示している。
【0098】
なお、上述の例では、図9に示す処理の流れを、センサ部105において実行する例としたが、制御部105において実行してもよい。この場合、制御部101は、図6(A)に示すようなセンサの出力値を、通信線120を介して、センサ部105から取得する。さらに、この場合、制御部101は、図9に示す処理の流れの処理S313において、図4に示す処理の流れで示す処理S102を実行する構成要素へ、プロセス間通信等の技法を用いて歩数及び出力レベルを出力する。
〔5−3.移動時間による検出〕
移動量の検出方法として移動時間による検出を行なう場合、例えば、無線通信装置100は、センサ部105として加速度センサ、振動センサなどを用いることができる。
【0099】
図13は、移動時間の検出処理の流れを示した図である。
【0100】
まず、センサ部105は、歩行フラグをOFF状態に設定し(S400)、計測時間tを0値に設定することにより初期化し(S401)、計測時間tの計測を開始する(S402)。すなわち、タイマ部104の出力に基づいて、経過時間を測定する。
【0101】
センサ部105は、処理S403のループ処理を開始し、例えば、加速度センサの出力を取得する(S404)。
【0102】
センサ部105は、取得した出力値が所定の上限値を超えるか否かを判定し(S405)、出力値が所定の上限値より大きい場合、出力値が所定の上限値を超えると判定する(S405でYES)。
【0103】
一方、上述の処理S405において、出力値が所定の上限値を超えないと判定された場合(S405でNO)、出力値が所定の下限値を超えるか否かを判定する(S406)。センサ部105は、取得した出力値が所定の下限値より小さい場合、出力値が所定の下限値を超えると判定する(S406でYES)。
【0104】
上述の処理S405において出力値が所定の上限値を超えると判定した場合(S405でYES)、又は、上述の処理S406において出力値が所定の下限値を超えると判定した場合(S406でYES)、歩行フラグをON状態に変更する(S407)。
【0105】
センサ部105は、計測時間tが所定の単位時間以上になったか否かを判定し(S408)、所定の単位時間以上であると判定された場合、上述のS403からS408までのループ処理を終了する。一方、センサ部105は、計測時間tが所定の単位時間以上ではないと判定された場合、上述の処理S403に戻り、処理S404からの処理を実行する。
【0106】
センサ部105は、上述のS403からS408までのループ処理を終了した場合、歩行フラグがON状態であるか否かを判定する(S409)。
【0107】
センサ部105は、歩行フラグがON状態である場合(S409でYES)、計測時間を出力し(S410)、上述の処理S400からの処理を再度実行する。なお、上述の処理S410を実行した後に、本検出処理の実行を終了させてもよい。
【0108】
一方、センサ部105は、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、上述の処理S400からの処理を再度実行する。すなわち、この場合には、上述の処理S410は実行されず、計測時間tは出力されない。なお、上述の処理S409において、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、検出結果が無い旨の信号を出力してもよい。また、上述の処理S409において、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、本検出処理の実行を終了させてもよい。
【0109】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105からの出力を、通信線120を介して受信することにより、センサ部105により検出される計測時間を取得することができる。
【0110】
制御部101は、センサ部から取得した計測時間を累積加算したものを移動時間として管理することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400が移動している時間を計測することができる。
【0111】
図7は、センサ部の出力と移動時間との関係を示す図である。
【0112】
図7(A)は、縦軸にセンサ部の出力値を示し、横軸に時間を示した図である。図7(B)は、図7(A)及び図7(C)及び図7(D)の横軸に示す時間において、検出処理に用いる単位時間を示す図である。図7(C)は、タイマ部の出力値に基づいて計測される移動時間を縦軸に示し、経過した時間を横軸に示した図である。図7(D)は、総移動時間を縦軸に示し、経過した時間を横軸に示した図である。
【0113】
図7(A)に示す例では、単位時間7B1及び単位時間7B2において歩行状態を検出した様子を示しており、単位時間7B3及び単位時間7B4において歩行状態が検出されなかった様子を示し、単位時間7B5及び単位時間7B6において歩行状態を検出した様子を示している。
【0114】
図7(C)に示す例では、タイマ部の出力に基づいて計測される計測時間が時点tc1から時点tc2にかけて増加し、時点tc2において計測時間の値がリセットされた後、再び時点t2から時点tc3にかけて増加している様子を示している。図7(C)に示す例では、単位時間7B1乃至7B6において増加とリセットが繰り返して実行されている様子を示している。
【0115】
図7(D)に示す例では、単位時間7B1においてセンサ部の出力値が図7(A)に示す上限7A1及び下限7A2を超えているため、歩行状態が検出されたと判定され、図7(C)の時点tc2における計測時間を移動時間とし、図7(D)の時点tc2において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0116】
図7(D)に示す例では、さらに、単位時間7B2においてセンサ部の出力値が図7(A)に示す上限7A1及び下限7A2を超えているため、歩行状態が検出されたと判定され、図7(C)の時点tc3における計測時間を移動時間とし、図7(D)の時点tc3において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0117】
一方、単位時間7B3及び単位時間7B4において、センサ部の出力値が図7(A)に示す上限7A1及び下限7A2のいずれをも超えないため、歩行状態が検出されなかったと判定され、移動時間への計測時間の加算が行なわれず、その結果、図7(D)に示されるように、時点tc3から時点tc6までの総移動時間の増加は、時点tc1及び時点tc3にける増加分よりも、少ない。これにより、非歩行状態における経過時間を移動時間から除外することが可能となる。
【0118】
なお、上述の例では、図13に示す処理の流れを、センサ部105において実行する例としたが、制御部105において実行してもよい。この場合、制御部101は、図7(A)に示すようなセンサの出力値を、通信線120を介して、センサ部105から取得する。さらに、この場合、制御部101は、図13に示す処理S410の実行において、図4に示す処理S102を実行する要素へ、プロセス間通信等の技法を用いて計測時間を出力する。
【0119】
また、図13に示す処理S410の実行において、計測時間を出力するかわりに歩数を検出した旨の信号を出力してもよい。この場合、制御部105は、図13に示す処理S410の実行において歩数を検出した旨の信号が出力されたことに基づいて、予め設定した単位時間を計測時間(移動時間)として、総移動時間に加算することができる。
〔5−4.移動時間による検出(その2)〕
上述の移動時間による移動量の検出において、センサ部105として用いる加速度センサの出力値に応じた重み付け計数を掛けた計測時間を累積加算したものを移動量とすることができる。
【0120】
これにより、移動時の歩行状態に応じて移動時間の検出値を調整することが可能となり、検出精度を向上させることができる。
【0121】
図20は、測定時間及び出力レベルの検出処理の流れを示した図である。図20に示す処理手順は、図13に示す処理手順と同様の内容となる処理手順に対して、同一の参照符号を付している。図20に示す処理手順は、例えば、処理S411乃至処理S424が追加されている点で、図13に示す処理手順と相違する。そこで、説明の簡素化のため、同じ内容となる処理手順については部分的に説明を省略する。
【0122】
まず、センサ部105は、検出処理を実行するための初期設定を行なう。
【0123】
センサ部105は、出力レベル変数Rに0値を設定することにより出力レベルを初期化する(S411)。ここで、出力レベル変数Rは、出力レベルが取り得る値の範囲に応じた要素を有した配列型の変数を用いることができる。例えば、出力レベルが0と1と2の3段階の範囲を取りうる場合、出力レベル変数Rは2つの要素を有する配列型の変数を用いることができる。例えば、出力レベル1に関する情報を出力レベル変数Rの要素1に格納し、出力レベル2に関する情報を出力レベル変数Rの要素2に格納し、出力レベル0に関する情報についてはいずれの要素にも格納しない、とすることできる。
【0124】
さらに、センサ部105は、歩行フラグをOFF状態に設定することにより、歩行フラグを初期化する(S400)。
【0125】
センサ部105は、例えば、計測時間tに0値を設定することにより、計測時間tを初期化する(S401)。
【0126】
センサ部105は、計測時間tの計測を開始し(S402)、ループ処理S403を開始する。
【0127】
センサ部105は、上述のループ処理S403において、センサの出力を取得する(S412)。例えば、加速度センサから出力される出力値を取得する。
【0128】
センサ部105は、取得したセンサの出力値が0値を超えるか否かを判定し(S413)、超えると判定された場合(S413でYES)、ループ変数iを初期化して、ループ処理S414を開始する。
【0129】
センサ部105は、まず、上述の処理S412で取得した出力が、所定の上限値(i)を超えるか否かを判定する(S415)。
【0130】
図10は、上限値(i)の内容例を示した図である。図10に示す例では、ループ変数i=1の場合、上限値(1)は50となる。図10に示す例では、ループ変数i=2の場合、上限値(2)は100となる。
【0131】
センサ部105は、上述の処理S415において、出力値が所定の上限値(i)より大きい場合、出力値が所定の上限値(i)を超えると判定し(S415でYES)、出力レベルを示す変数R(i)を1つ加算して更新する(S416)。すなわち、1回目のループ処理の場合、ループ変数はi=1となり、出力レベル変数Rの配列要素のうち要素1について格納されている値が1つ加算されて更新される。例えば、初回目の更新であれば、上述の処理S411において0値が設定されているため、更新後の値は1となる。
【0132】
さらに、センサ部105は、歩行フラグをON状態に変更する(S417)。
【0133】
センサ部105は、ループ変数がループ回数の上限nに達したか否かを判定し(S418)、達していないと判定した場合には、ループ変数を1つ加算して更新し(S414、S418)、処理S415から実行する。
【0134】
一方、センサ部105は、上述の処理S302において、出力値が0値を超えないと判定された場合(S413でNO)、ループ変数iを初期化して、処理S419のループ処理を開始する。そして、センサ部105は、処理S414のループ処理と同様に、出力値が所定の下限値(i)を超えるか否かを判定し(S420)、超えると判定された場合に(S420でYES)、出力レベルを示す変数Rに出力レベルを示す変数R(i)を1つ加算して更新する(S421)。すなわち、1回目のループ処理の場合、ループ変数はi=1となり、出力レベル変数Rの配列要素のうち要素1について格納されている値が1つ加算されて更新される。例えば、初回目の更新であれば、上述の処理S411において0値が設定されているため、更新後の値は1となる。
【0135】
図11は、下限値(i)の内容例を示した図である。図11に示す例では、ループ変数i=1の場合、下限値(1)は−50となる。図11に示す例では、ループ変数i=2の場合、下限値(2)は−100となる。
【0136】
さらに、センサ部105は、歩行フラグをON状態に変更する(S422)。
【0137】
センサ部105は、ループ変数がループ回数の上限nに達したか否かを判定し(S423)、達していないと判定した場合には、ループ変数を1つ加算して更新し(S419、S423)、処理S420から実行する。
【0138】
センサ部105は、上述のS414乃至S418に示すループ処理、あるいは、上述のS419乃至S423に示すループ処理が終了した後、計測時間tが所定の単位時間以上になったか否かを判定する(S408)。
【0139】
センサ部105は、所定の単位時間以上であると判定された場合、上述のS403からS408までのループ処理を終了する。一方、センサ部105は、計測時間tが所定の単位時間以上ではないと判定された場合、上述の処理S403に戻り、処理S412からの処理を実行する。
【0140】
センサ部105は、上述のS403からS408までのループ処理を終了した場合、歩行フラグがON状態であるか否かを判定する(S409)。
【0141】
センサ部105は、歩行フラグがON状態である場合(S409でYES)、計測時間t及び出力レベルRを出力し(S424)、上述の処理S411からの処理を再度実行する。なお、上述の処理S424を実行した後に、本検出処理の実行を終了させてもよい。
【0142】
一方、センサ部105は、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、上述の処理S400からの処理を再度実行する。すなわち、この場合には、上述の処理S424は実行されず、計測時間t及び出力レベルRは出力されない。なお、上述の処理S409において、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、検出結果が無い旨の信号を出力してもよい。また、上述の処理S409において、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、本検出処理の実行を終了させてもよい。
【0143】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105からの出力を、通信線120を介して受信することにより、センサ部105により検出される計測時間及び出力レベルを取得することができる。
【0144】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105から取得した出力レベルRの配列が有する要素を参照することにより、各出力レベルの出現回数を取得することができる。すなわち、出力レベルRの配列が有する要素1に格納されている値を参照することにより、出力レベル1の出現回数を取得することができる。また、出力レベルRの配列が有する要素2に格納されている値を参照することにより、出力レベル2の出現回数を取得することができる。
【0145】
無線通信装置100の制御部101は、取得した出力レベルRに応じて、取得した計測時間tを調整した値を累積加算することにより、移動時間を取得することができる。
【0146】
例えば、制御部101は、出現レベルRの要素を参照することにより、出現回数が1回以上存在する最大の出力レベルを特定し、特定された出力レベルに対応する係数を用いて、計測時間tを積算することにより、計測時間tを調整した値を取得することができる。
【0147】
図22は、出力レベルに対応付けて格納された係数の内容例を示した図である。図22に示す例では、出力レベル(1)に対して係数(1.0)が格納されている。図22に示す例では、出力レベル(2)に対して係数(1.5)が格納されている。これは、出力レベルの数値が大きいほど、例えば、歩行時の上下運動が大きいことから、歩行速度が速い状態にあると推定し、出力レベルに比例して計測時間tに掛け合わせる係数の値を大きく設定した例である。すなわち、係数の値が1よりも大きい値であるほど、取得される値は計測時間より大きな値となり、その結果、総移動量の増加分が大きくなり、上述の処理S104の判定において所定の条件を満たしやすくなる。また、係数の値が1よりも小さい値(例えば0.5)であるほど、取得される値は計測時間より小さな値となり、その結果、総移動量の増加分が小さくなり、上述の処理S104の判定において所定の条件を満たしにくくなる。
【0148】
上述の算出処理は下記式で表わされる。ここで、xは移動時間、k(i)は出力レベルに対応した係数、tは計測時間を意味する。なお、上述の例において、iは、出現回数が1回以上存在する最大の出力レベルを示す。
【0149】
【数3】
【0150】
制御部101は、上述の算出により取得した移動時間を移動量とし、総移動量に加算することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400が移動した度合をしめす総移動量を計測することができる。
【0151】
図21は、センサ部の出力と移動時間との関係を示す図である。
【0152】
図21(A)は、縦軸にセンサ部の出力値を示し、横軸に時間を示した図である。図21(B)は、図21(A)及び図21(C)及び図21(D)の横軸に示す時間において、検出処理に用いる単位時間を示す図である。図21(C)は、タイマ部の出力値に基づいて計測される移動時間を縦軸に示し、経過した時間を横軸に示した図である。図21(D)は、総移動時間を縦軸に示し、経過した時間を横軸に示した図である。
【0153】
図21(A)に示す例では、単位時間21B1において出力値50を超える歩行状態を検出した様子を示しており、単位時間21B乃至単位時間21B5において出力値100を超える歩行状態を検出した様子を示し、単位時間21B6において出力値50を超える歩行状態を検出した様子を示している。
【0154】
図21(C)に示す例では、タイマ部の出力に基づいて計測される計測時間が時点tc1から時点tc2にかけて増加し、時点tc2において計測時間の値がリセットされた後、再び時点t2から時点tc3にかけて増加している様子を示している。図21(C)に示す例では、単位時間21B1乃至21B6において増加とリセットが繰り返して実行されている様子を示している。
【0155】
図21(D)に示す例では、単位時間21B1においてセンサ部の出力値が図21(A)に示す上限21A1及び下限21A2を超えているが上限21A3及び下限21A4は超えていないため、出力値(50)又は出力値(−50)を超える歩行状態(出力レベル1)が検出されたと判定され、図21(C)において単位時間21B1の終期である時点tc2における計測時間に係数k(1)を掛け合わせて得た値td2(移動時間)を、図21(D)の時点tc2において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0156】
図21(D)に示す例では、さらに、単位時間21B2においてセンサ部の出力値が図21(A)に示す上限21A3及び下限21A4を超えているため、出力値(100)又は出力値(−100)を超える歩行状態(出力レベル2)が検出されたと判定され、図21(C)において単位時間21B2の終期である時点tc3における計測時間に係数k(2)を掛け合わせて得た値td3(移動時間)を、図21(D)の時点tc3において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0157】
図21(D)に示す例では、同様に、単位時間21B3乃至単位時間21B5においてセンサ部の出力値が図21(A)に示す上限21A3及び下限21A4を超えているため、出力値(100)又は出力値(−100)を超える歩行状態(出力レベル2)が検出されたと判定され、図21(C)の時点tc4乃至時点tc6における計測時間に係数k(2)を掛け合わせて得た値td4乃至値td6(移動時間)を、図21(D)の時点tc4乃至時点tc6において総移動時間にそれぞれ加算させた様子を示している。
【0158】
図21(D)に示す例では、さらに、単位時間21B6においてセンサ部の出力値が図21(A)に示す上限21A1及び下限21A2を超えているが上限21A3及び下限21A4は超えていないため、出力値(50)又は出力値(−50)を超える歩行状態(出力レベル1)が検出されたと判定され、図21(C)において単位時間21B6の終期である時点tc7における計測時間に係数k(1)を掛け合わせて得た値td7(移動時間)を、図21(D)の時点tc7において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0159】
なお、上述の例では、図20に示す処理手順を、センサ部105において実行する例としたが、制御部105において実行してもよい。この場合、制御部101は、図21(A)に示すようなセンサの出力値を、通信線120を介して、センサ部105から取得する。さらに、この場合、制御部101は、図20に示す処理S410の実行において、図4に示す処理S102を実行する要素へ、プロセス間通信等の技法を用いて計測時間及び出力レベルを出力する。
【0160】
また、図20に示す処理S410の実行において、計測時間を出力するかわりに歩数を検出した旨の信号を出力してもよい。例えば、歩数を検出した旨の信号として、出力レベルRを用いてもよい。この場合、図20に示す処理S410の実行において、出力レベルRのみが出力される。制御部105は、図20に示す処理S410の実行において出力された出力レベルRに基づいて、上述の算出を行なうに当たって、予め設定した単位時間を計測時間として算出処理を行うことができる。
【0161】
また、上述の例では、出力レベルに応じた係数を計測時間に対して掛け合わせて移動時間を取得する例を示したが、本実施例はこれに限定されるものではない。例えば、出力レベルに応じた補正値を計測時間に対して加算又は減算して移動時間を取得することもできる。
【実施例2】
【0162】
〔1.実施例2の概要〕
本実施例は、図4に示す処理の流れにおいて、総移動量と比較する所定の条件を基地局に応じて変更する処理を追加する。
【0163】
図14は、本実施例に係る無線通信端末において実行されるプログラムの構成要素を示す図である。図14に示すプログラムの構成要素は、図3に示す構成要素と同様の要素については、同一の参照符号を付している。すなわち、図14に示すプログラムの構成要素は、例えば、基地局識別部PG106と、閾値格納部PG107と、閾値取得部PG108と、が追加されている点で、図3に示す構成要素と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる構成要素については部分的に説明を省略する。
【0164】
基地局識別部PG106は、無線通信部111を介して無線基地局200から受信される信号を解析することにより無線基地局の基地局IDを取得する構成として、制御部101を機能させる。
【0165】
閾値格納部PG107は、基地局IDに対応付けて、総移動量と比較する所定の条件を、主記憶部102又は補助記憶部103などに格納させる構成要素として、制御部101を機能させる。
【0166】
閾値取得部PG108は、主記憶部102又は補助記憶部103などに格納された所定の条件を、基地局IDに対応付けて取得する構成要素として、制御部101を機能させる。
〔2.処理の流れ〕
図15は、本実施例に係る無線通信装置における検出処理の流れを示す図である。図15に示す処理の流れは、図4に示す実施例1の処理手順と同様の内容となる処理手順に対して、同一の参照符号を付している。図15に示す処理手順は、例えば、処理S106及び処理S107が追加されている点で、図4に示す処理手順と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる処理手順については部分的に説明を省略する。
【0167】
まず、本実施例において、制御部101は、総移動量を初期化し(S100)、無線通信部111を介して無線基地局から受信される信号を解析することにより基地局IDを取得する(S106)。ここで、無線基地局から受信される信号には無線基地局を特定するIDが含まれているものとする。例えば、IEEE802.11シリーズの無線LANシステムにおいては、無線基地局のIDとして無線LANアクセスポイントの識別子であるSSID(Service Set Identifier)又はESSID(Extended Service Set Identifier)を用いることができる。なお、無線基地局から受信される信号のデータ構造等の仕様は特に限定しないため、詳細な説明を省略する。
【0168】
つぎに、制御部101は、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。例えば、制御部101は、無線基地局200としての無線アクセスポイントからの送信される電波の受信強度を、第二通信部113として用いられる無線LANモジュールから取得する。そして、制御部101は、取得した受信強度が所定の閾値以下になったか否かを判定することにより、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。
【0169】
上述の例において、制御部101は、受信強度が所定の閾値以下となった場合、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすと判定し(S101でYES)、移動量の検出処理を実行する(S102)。
【0170】
制御部101は、検出した移動量を総移動量に加算し、総移動量を更新する(S103)。
【0171】
制御部101は、上述の処理S106において取得した基地局IDを用いて、主記憶部102又は補助記憶部103に予め格納された閾値を参照することにより、取得した基地局IDに対応付けて格納されている閾値を取得する(S107)。
【0172】
図16は、総移動量として移動距離を用いた場合の閾値の内容例を示した図である。図16に示す例では、基地局ID「AAA」に対して閾値「800m」、基地局ID「BBB」に対して閾値「500m」、基地局ID「CCC」に対して閾値「1200m」が設定されている。
【0173】
図17は、移動量として移動時間を用いた場合の閾値の内容例を示した図である。図17に示す例では、基地局ID「AAA」に対して閾値「15分」、基地局ID「BBB」に対して閾値「10分」、基地局ID「CCC」に対して閾値「20分」が設定されている。
【0174】
制御部101は、総移動量が所定の条件を満たすか否かを判定する(S104)。すなわち、制御部は、上述の処理S103で更新された総移動量を、上述の処理S107で取得した閾値を越えるか否かを判定する(S104)。
【0175】
例えば、総移動量として移動距離を用いる場合であって、上述の処理S106において取得した基地局IDが「AAA」であるとき、図16に示す例では閾値は「800m」となり、制御部101は総移動量としての移動距離が閾値「800m」を越えるか否かを判定する。
【0176】
制御部101は、上述の処理S104において、総移動量が上述の処理S107で取得した閾値を超えると判定した場合(S104でYES)、無線通信部111の動作状態を変更する。例えば、制御部101は、無線通信部111の動作状態を電波を発信しない状態に変更する。
【0177】
一方、制御部101は、上述の処理S104において、総移動量が上述の処理S107で取得した閾値を超えないと判定した場合(S104でNO)、上述の処理S101からの処理を実行する。ここで、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行の条件を満たさないと判定された場合(S101でNO)、上述の処理S100からの処理を実行する。この場合、制御部101は、センサ部105を休止させてもよい。これにより、センサ部105による消費電力を削減させることができる。
【0178】
以上の処理により、総移動量と比較する条件を、基地局に応じて自動的に変更することが可能となる。すなわち、無線通信部の動作状態を変更する条件を、最後に属していた無線通信領域を提供する無線基地局に応じて変更することができる。
【0179】
これにより、例えば、無線基地局に応じて最寄の公共交通機関までの移動量の目安が異なる場合に、より最適な閾値を自動的に選択することが可能となる。
【0180】
なお、基地局IDに対応して設定される閾値は、設定画面を介して利用者に入力された値を用いて更新してもよい。
【0181】
また、GPS機能を搭載した無線通信装置においては、上述の処理S106で基地局IDを取得する際に、GPS機能を利用して取得した現在位置に基づいて、地図情報から最寄の交通機関までの移動量の目安(例えば、移動距離や移動時間)を取得し、取得した目安の移動量を、基地局IDに対応づけて主記憶部102又は補助記憶部103に格納してもよい。
【実施例3】
【0182】
〔1.実施例3の概要〕
本実施例は、図4に示す処理の流れにおいて、無線通信部111の動作状態を変更する処理を複数追加する。
【0183】
本実施例に係る無線通信装置100は、無線通信領域300を提供する無線通信基地局の存在を探索する手段として、アクティブスキャン方式とパッシブスキャン方式とを選択的に用いる機能を有する。
【0184】
ここで、アクティブスキャン方式とは、無線通信装置から最初に電波を送信(プローブ要求)して無線基地局からの応答(プローブ応答)を待機し、無線基地局からの応答を受信することにより無線接続を行なう方式をいう。
【0185】
ここで、パッシブスキャン方式とは、無線基地局から定期的に送信される電波(ビーコン)の受信を一定時間待機し、受信した無線基地局からの電波(ビーコン)に基づいて無線基地局との無線通信に用いる使用チャネルを確認した後に、無線通信装置から電波を送信し、無線基地局との無線接続を行なう方式をいう。
【0186】
一般的に、パッシブスキャン方式を用いた探索処理の方が、アクティブスキャン方式を用いた探索処理よりも、消費電力が大きくなる。これは、無線基地局から送信される電波を受信するための待ち受け時間の差によるものである。
【0187】
すなわち、アクティブスキャン方式では、プローブ要求信号の送信に対する無線基地局からの応答の受信を待ち受ける時間は通常10ms(ミリ秒)に設定されている。これに対して、パッシブスキャン方式では、無線基地局からのビーコン信号の送信間隔が通常100ms(ミリ秒)に設定されているため、無線基地局からのビーコン信号を受信するための待ち受け時間として通常100ms(ミリ秒)が設定されている。したがって、パッシブスキャン方式を用いた探索処理では、アクティブスキャン方式に比較して待ち受け時間が長くなるぶん、受信回路を動作させるための消費電力が多く必要となる傾向にある。
【0188】
以上の見地より、無線通信装置100の動作電源の省電力化を重視する場合、探索処理をアクティブスキャン方式により実行することが望ましい。
【0189】
しかしながら、アクティブスキャン方式による探索処理において無線通信装置100から送信される電波により、他の電子機器の動作に影響を与える恐れのある場所では、無線通信装置100からの電波の送信を抑制するこが必要とされることがある。
【0190】
以上の見地より、無線通信装置が送信する電波による他の電子機器への誤動作を防止するという点を重視する場合、探索処理をパッシブスキャン方式により実行することが望ましい。
【0191】
そこで、本実施例においては、例えば、無線通信領域300の範囲外に移動したことを検知した無線通信端末100により探索処理を実行する場合に、アクティブスキャン方式とパッシブスキャン方式とを選択的に実行する機能を、無線通信装置100に追加する。
【0192】
図18は、本実施例に係る無線通信端末において実行されるプログラムの構成要素を示した図である。図18に示すプログラムの構成要素は、図3に示す構成と同様の内容となる部分に対して、同一の参照符号を付している。図18に示すプログラムの構成要素は、例えば、無線方式選択部PG109が追加されている点で図3に示す内容と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる構成要素については部分的に説明を省略する。
【0193】
無線方式選択部PG109は、無線通信装置100の動作状態に応じて、無線基地局の探索処理に用いる方式を選択する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0194】
なお、本実施例に係る無線通信端末のハードウェア構成は、図2に示す構成と同様のため、説明を省略する。
〔2.処理の流れ〕
図19は、本実施例係る無線通信装置100における検出処理の流れを示す図である。図19に示す処理の流れは、図4に示す実施例1の処理手順と同様の内容となる処理手順に対して、同一の参照符号を付している。図19に示す処理手順は、例えば、処理S108及び処理S109が追加されている点で、図4に示す処理手順と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる処理手順については部分的に説明を省略する。
【0195】
まず、本実施例において、無線通信装置100の制御部101は、総移動量を初期化し(S100)、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。
【0196】
例えば、制御部101は、無線基地局200としての無線アクセスポイントからの送信される電波の受信強度を、第二通信部113として用いられる無線LANモジュールから取得する。そして、制御部101は、取得した受信強度が所定の閾値以下になったか否かを判定することにより、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。
【0197】
上述の例において、制御部101は、受信強度が所定の閾値以下となった場合、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすと判定し(S101でYES)、無線通信部111の動作状態を変更する(S108)。例えば、無線通信装置100が無線通信領域300の領域外に存在する場合、上述の例に示すように、無線基地局200から送信される電波の受信強度が所定の閾値以下であると判定する。
【0198】
制御部101は、上述の処理S108において、無線通信装置100の動作状態を、無線基地局200を探索する探索処理を実行する動作状態に変更する。例えば、無線通信装置100の動作電力の省電力化を重視する観点から、制御部101は、アクティブスキャン方式による探索処理を実行する動作状態に変更する制御信号を、通信線120を介して無線通信部111に送信する(S108)。
【0199】
そして、制御部101は、移動量を検出し(S102)、総移動量を更新し(S103)、総移動量が所定の条件を満たすか否かを判定する(S104)。例えば、上述の処理S102において検出する移動量として移動距離を検出する場合、制御部101は、検出した移動距離に累積加算して得た総移動距離が所定の閾値である距離より大きい場合、総移動量が所定の条件を満たすと判定する(S104でYES)。
【0200】
この場合には、無線通信装置100を携帯する利用者400が、無線通信装置から送信される電波により他の電子機器の動作に影響を与える恐れのある場所の近辺に存在している可能性がある。
【0201】
そのため、制御部101は、無線通信部111の動作状態を、電波を発信しない状態に変更する。例えば、制御部101は、無線通信装置から送信される電波による他の精密装置の誤動作を防止するという観点から、パッシブスキャン方式による探索処理を実行する動作状態に変更する制御信号を、通信線120を介して無線通信部111に送信する(S105)。
【0202】
一方、制御部101は、上述の処理S104において、総移動量が所定の条件を満たさないと判定した場合(S104)、検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S109)。
【0203】
例えば、制御部101は、上述の処理S109において、無線基地局200としての無線アクセスポイントからの送信される電波の受信強度を、第二通信部113として用いられる無線LANモジュールから取得する。そして、制御部101は、取得した受信強度が所定の閾値以下になったか否かを判定することにより、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S109)。
【0204】
上述の例において、制御部101は、受信強度が所定の閾値以下となった場合、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすと判定し(S109でYES)、上述の処理S102からの処理を実行する。例えば、無線通信装置100が無線通信領域300の領域外に存在する場合、上述の例に示すように、無線基地局200から送信される電波の受信強度が所定の閾値以下であると判定する。
【0205】
一方、制御部101は、検出実行の条件を満たさないと判定された場合(S109でNO)、上述の処理S100からの処理を実行する。この場合には、無線通信装置100が、無線通信領域300の範囲内に存在することから、探索処理により無線基地局200との無線接続が確立され、無線基地局200を介した無線通信が可能となる。
【0206】
なお、上述の処理S109において、検出実行の条件を満たさないと判定された場合、センサ部105を休止させてもよい。これにより、センサ部105による消費電力を削減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】システムの構成を示す図
【図2】無線通信装置のハードウェア構成を示す図
【図3】実施例1に係る無線通信装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図4】実施例1に係る検出処理の流れを示す図
【図5】センサの出力と歩数計の出力との関係を示す図
【図6】センサの出力と歩数計の出力との関係を示す図(その2)
【図7】センサの出力と移動時間との関係を示す図
【図8】歩数を検出する処理の流れを示す図
【図9】歩数及び出力レベルを検出する処理の流れを示す図
【図10】出力レベルと上限値との関係を示す図
【図11】出力レベルと下限値との関係を示す図
【図12】出力レベルと一歩当りの距離との関係を示す図
【図13】移動時間を検出する処理の流れを示す図
【図14】実施例2に係る無線通信装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図15】実施例2に係る検出処理の流れを示す図
【図16】基地局と閾値(距離)との関係を示す図
【図17】基地局と閾値(時間)との関係を示す図
【図18】実施例3に係る無線通信装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図19】実施例3に係る検出処理の流れを示す図
【図20】移動時間及び出力レベルを検出する処理の流れを示す図
【図21】センサの出力と移動時間との関係を示す図
【図22】出力レベルと係数との関係を示す図
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置において、電波障害の発生を抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電波や高周波の電気信号を扱う電子機器が、電波障害の発生源となる可能性があることから、その対策技術が提案されている。なお、電波障害とは、電波の受信に障害が発生したり、電波により電子機器が誤動作することである。
【0003】
特許文献1には、無線通信ネットワークにおいて、データブロックを受信する受信部と、受信部に接続された制御部と、制御部に接続された送信部とを備え、データブロックは有効期間フィールドを含み、制御部は有効期間フィールドに基づきチャンネルスキャン方法を選択する無線ステーションが記載されている。
【0004】
特許文献2には、セルラー無線信号により通信を行うセルラー無線システムと無線LAN信号により通信を行う無線LANシステムとを統合したハイブリッド無線通信システムにおける移動通信端末装置であって、セルラー無線信号を受信してセルラー受信信号を生成するセルラー無線信号受信手段と、セルラー無線信号受信手段からのセルラー受信信号の情報から所定のセルラー無線通信エリアの圏内であるか否かを判定するセルラー無線エリア判定手段と、無線LAN信号を受信してLAN受信信号を生成する無線LAN信号受信手段と、無線LAN信号受信手段への電力の供給を制御する電力供給制御手段と、無線LAN信号受信手段からのLAN受信信号の情報から所定の無線LANシステムの通信エリアの圏内であるか否かを判定する無線LANエリア判定手段と、を具備し、電力供給制御手段は特定の周期で無線LAN信号受信手段への電力供給を実行する手段を有し、無線LANエリア判定手段は無線LAN信号受信手段が電力供給制御手段から電力を供給された時のみ無線LANシステムの通信エリアの圏内であるか否かを判定する無線通信システムが記載されている。
【0005】
特許文献3には、GPS(全地球測位システム)衛星から接続装置の位置情報を受信するGPS受信モジュールと、無線LAN−APに接続するための無線LANモジュールと、無線LAN−APの位置情報を記憶する記憶装置と、GPS受信モジュールから出力される通信装置の位置情報と、記憶された無線LAN−APの位置情報とに基づいて、無線LANモジュールを選択的に動作させる制御部と、を有する通信装置が記載されている。これによると、通信装置が無線LAN−APのサービス領域に存在する場合にのみデータサービスを受ける処理過程が実行され、通信装置が無線LAN−APのサービス領域に居ない場合には、動作中の無線LAN−APを継続的に探索する、とされている。そのため、無線LANモジュールは必要なときだけ動作するので、電源消費を最少にする、とされている。
【0006】
特許文献4には、アクティブスキャンとパッシブスキャンの双方の機能を有する無線端末装置において、無線基地局を探索する際に、無線端末装置の状態によってスキャン方法を選択するように動作する無線端末装置が記載されている。これによると、アクティブスキャンを選択することにより、早急に探索する必要がある場合には探索時間を短縮することができ、また、基地局探索に要する端末装置における電力消費を低減することができる、とされている。また、早急に探索する必要が無い場合にはパッシブスキャンを選択することにより、基地局探索に関して無線リソースの消費を抑えることができる、とされている。
【特許文献1】特開2004-229278号公報
【特許文献2】特開2004-349863号公報
【特許文献3】特表2006-508603号公報
【特許文献4】特開2005-12539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、GPS等を利用して取得された位置情報に基づいて電波の放出が好ましくない特定の領域内に存在しているか否かを判断するため、所定時間間隔においてGPS等を用いた位置情報を取得する処理を実行する必要がある。通常、GPS等を用いた位置情報の取得処理の実行には多くの消費電力を必要とする。
【0008】
さらに、従来技術では、通信圏外であることを検出した場合に、パッシブスキャン方式を用いて基地局の探索を行なうため、例えば、通信圏内と圏外との境目付近に存在する場合、パッシブスキャン方式を用いた基地局の探索を頻繁に行なうことになり、消費電力の無駄が生じる。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、利用者の利便性を確保しつつ、電波の放出を抑制する無線通信装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願に開示する無線通信装置は、振動を検出するセンサ部と、センサ部の出力に基づいて移動量を検出する移動量検出部と、検出された移動量を累積加算して得た総移動量を格納する総移動量格納部と、総移動量が所定の閾値を超えたか否かを判定する総移動量判定部と、総移動量が所定の閾値を超えたと判定された場合、無線通信装置の動作状態を電波を発信しない状態に変更する無線通信制御部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、無線通信装置が有するセンサ部からの出力に基づいて移動状態か否かを検出し、検出した状態に基づいて電波の放出を抑制する処理の実行契機を調整するため、利用者の利便性を確保しつつ、電波の放出を抑制することができる、という優れた効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
〔1.システムの構成〕
図1は、本実施例に係る無線通信システムの概略を示す図である。
【0014】
図1に示す無線通信システムは、無線通信装置100と、無線通信基地局200と、を有する。
【0015】
無線通信基地局200は、破線で示す無線通信領域300を有し、無線通信領域300の内側に存在する無線通信装置100と無線通信ができる。
【0016】
さらに、無線通信基地局200は、図示しない通信回線と接続されており、無線通信装置100から受信したデータを図示しない通信回線を介して上位装置などに転送したり、図示しない通信回線を介して上位装置から受信したデータを無線通信装置100へ転送したりできる。
【0017】
無線通信装置100は、無線通信領域300の内側に存在する場合、無線基地局200を介して図示しない他の装置と通信することができる。
【0018】
無線通信装置100は、無線通信領域300の外側に存在する場合、無線基地局200との無線通信を行なうことができない、いわゆる通信圏外の状態となる。
【0019】
無線通信装置100は、無線基地局200から送信される電波の受信強度を検出し、検出値が所定レベル以下になった場合に通信圏外の状態であることを判定できる。
【0020】
無線通信装置100は、通信圏外の状態にあることを判定した場合、無線基地局200の通信圏内に存在することを検出するため、無線基地局の探索処理を行なう。
【0021】
無線通信装置100は、無線基地局の探索処理として、例えば、アクティブ方式とパッシブ方式とを選択的に用いることができる。
【0022】
例えば、本実施例に係る無線通信装置100を携帯する利用者400が、経路500を通って駅600まで移動する場合、無線通信装置100は、無線通信領域300の外側へ移動することになる。
【0023】
この場合、無線通信装置100は、経路500を通って駅600へ辿りつくまでの間、無線通信領域300に存在するか否かを検出するために、アクティブ方式又はパッシブ方式を用いて、無線基地局200の探索処理を行なう。これは、無線通信装置100が、無線通信領域300の内側へ存在することとなった場合に、無線通信を自動的に再開するために行う処理である。上述の処理は、通信装置100の利用者の利便性を確保する上で重要な処理である。
【0024】
しかし、例えば、利用者400が駅600に辿りついた後、電車に乗車した場合には、無線通信装置100の無線通信処理を停止させることが望ましい。なぜなら、無線通信処理において無線通信装置100から出力される電波が、他の電子機器の動作に影響を与える恐れがあるからである。
【0025】
例えば、携帯電話やPHSなどの無線通信装置から出力される電波により心臓ペースメーカが誤動作する可能性があることから、公共交通機関や病院等において、無線通信装置が電波を出力しない状態にすることが利用者に求められている。
【0026】
本実施例に係る無線通信装置100は、利用者400の利便性を考慮しつつ、無線通信装置100の動作状態を適切なタイミングで切り替えることができる。
〔2.無線通信端末の構成〕
図2は、本実施例に係る無線通信装置100のハードウェア構成を示す図である。
【0027】
図2に示す無線通信装置100は、制御部101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、タイマ部104と、センサ部105と、表示部106と、操作部107と、音声処理部108と、音声出力部109と、音声入力部110と、無線通信部111と、第一通信部112と、第二通信部113と、を有しており、各部は通信線120を介して通信可能に接続されている。
【0028】
制御部101は、通信線120を介して無線通信装置100のハードウェア各部と接続されており、例えば、補助記憶部103に記録されたプログラムを主記憶部102に格納させ、主記憶部102に格納したプログラムが有する命令コード及びデータを演算処理することにより、所定の機能を実現する。制御部101として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を用いることができる。
【0029】
主記憶部102は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を用いることができる。
【0030】
補助記憶部103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、SSD(Solid State Disk)を用いることができる。
【0031】
タイマ部104は、無線通信装置100が有する各部の動作に用いられるクロック信号などを用いて時間の経過を計測する機能を有する。
【0032】
センサ部105は、無線通信装置の移動を検出する機能を有し、例えば、加速度センサ、振動センサなどを用いることができる。
【0033】
表示部106は、制御部101の演算処理の結果などを表示する機能を有し、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0034】
操作部107は、利用者の操作を受付ける機能を有し、利用者の操作に応じた信号を、通信線120を介して制御部101へ出力する。操作部107は、例えば、入力ボタン、タッチパネルなどを用いることができる。
【0035】
音声処理部108は、音声出力部109を介して音声を出力し、音声入力部110を介して音声の入力を受ける機能を有する。音声出力部109は、例えば、スピーカや、音声出力端子などを用いることができる。音声入力部110は、例えば、マイクロフォンや、音声入力端子などを用いることができる。
【0036】
無線通信部111は、異なる通信方式の第一通信部112と第二通信部113を有する。
【0037】
第一通信部112は、例えば、WCDMAなどの無線通信方式を用いた公衆回線網との無線通信を行なう機能を有する通信部を用いることができる。
【0038】
第二通信部113は、例えば、802.11bや802.11gなどの無線通信方式を用いて無線LANアクセスポイントとしての無線基地局200との無線通信を行なう機能を有する通信部を用いることができる。
【0039】
制御部101は、第一通信部112又は第二通信部113を介して受信した音声信号を音声出力部109より出力する。また、制御部101は、音声入力部110を介して取得した音声信号を第一通信部112又は第二通信部113より無線基地局200へ送信する。
〔3.無線通信端末のプログラムの構成〕
図3は、本実施例に係る無線通信装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図である。図3に示すプログラムの構成要素は、検出制御部(PG101)と、移動量検出部(PG102)と、移動量格納部(PG103)と、総移動量判定部(PG104)と、無線通信制御部(PG105)と、を有する。
【0040】
検出制御部は、本実施例に係る検出処理を実行させる条件が満たされているか否かに応じて無線通信装置の動作を制御する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0041】
移動量検出部は、センサ部105の出力に基づいて、無線通信装置の移動量を検出する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0042】
移動量格納部は、検出された移動量を主記憶部102又は補助記憶部103などに蓄積する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0043】
総移動量判定部は、蓄積された移動量から総移動量を取得し、総移動量が所定の条件を満たすか否かに応じて無線通信装置の動作を制御する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0044】
無線通信制御部は、無線通信部111の動作を制御する構成要素として、制御部101を機能させる。
〔4.処理の流れ〕
図4は、本実施例に係る無線通信装置における検出処理の流れを示す図である。
【0045】
まず、無線通信装置100の制御部101は、総移動量の初期化を行なう(S100)。例えば、制御部101は、主記憶部102に格納する総移動量の値を0値に設定して初期化する。
【0046】
制御部101は、検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。制御部101は、例えば、無線通信部111により受信される無線基地局200からの電波の受信強度が所定の閾値以下になった場合に、検出実行の条件を満たすと判定することができる(S101でYES)。一方、制御部101は、例えば、無線通信部111により受信される無線基地局200からの電波の受信強度が所定の閾値を超える場合、検出実行の条件を満たさないと判定することができる(S101でNO)。
【0047】
また、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行を指示する制御信号を受信した無線通信部111から通信線120を介してその制御信号を受信していた場合に、検出実行の条件を満たすと判定することができる(S101でYES)。一方、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行を指示する制御信号を受信していない場合に、検出実行の条件を満たさないと判定することができる(S101でNO)。
【0048】
また、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行を指示する操作を受けた操作部107から通信線120を介して検出実行を指示する制御信号を受信していた場合に、検出実行の条件を満たすと判定することができる(S101でYES)。一方、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行を指示する制御信号を受信していない場合に、検出実行の条件を満たさないと判定することができる(S101でNO)。
【0049】
制御部101は、検出実行の条件を満たすと判定した場合(S101でYES)、移動量を検出する(S102)。移動量の検出の詳細については、後述する。
【0050】
制御部101は、検出した移動量を、主記憶部102に格納されている総移動量に加算し、主記憶部102に格納する総移動量を更新する(S103)。
【0051】
制御部101は、更新された総移動量が、所定の条件を満たすか否かを判定する(S104)。例えば、制御部は、更新された総移動量が所定の閾値を超える場合に、所定の条件を満たすと判定する(S104でYES)。一方、制御部101は、例えば、更新された総移動量が所定の閾値以下である場合に、所定の条件を満たさないと判定し(S104でNO)、上述の処理S101を実行する。この場合、制御部101は、センサ部105を休止させてもよい。これにより、センサ部105による消費電力を削減させることができる。
【0052】
制御部101は、上述のS104において総移動量が所定の条件を満たすと判定された場合(S104でYES)、無線通信部111の動作状態を変更する(S105)。
【0053】
ここで、上述のS104において、利用者400が電波の利用を制限する公共機関としての駅600までに移動する際に要する移動量を上述のS104における所定の条件として設定しておくことが望ましい。なぜならば、上述のS104において総移動量が所定の条件を満たすと判定された場合に、無線通信装置100を携帯する利用者400が、経路500を移動し、電波の利用を制限する公共機関としての駅600に到着する頃である、とみなすことができるからである。
【0054】
制御部101は、上述のS105において、例えば、無線通信部111の動作状態を、電波を出力しない状態に変更することができる。これにより、電波の利用を制限する公共機関としての駅600に到着した頃に、無線通信装置100の動作状態を自動的に電波を出力しない状態に変更することができる。
【0055】
また、上述のS101において検出実行の条件を満たすと判定された場合においても、上述のS104において総移動量が所定の条件を満たすと判定される前に、再度のS101において検出実行の条件を満たさないと判定されたときは、上述のS100において総移動量が初期化される。これにより、例えば、利用者400が、経路500を通って駅600へ向かう途中で、無線通信領域300の内側へと戻った場合には、上述のS105が実行されることは無いため、無線通信装置100は、無線基地局200との無線通信を行なうことが可能となる。
〔5.移動量の検出方法について〕
〔5−1.移動距離による検出〕
移動量の検出方法として移動距離による検出を行なう場合、例えば、無線通信装置100は、センサ部105として歩数計を用いることができる。歩数計は、加速度センサを有し、加速度センサからの出力値に基づいて歩数を計測するための信号を出力する機能を有する。
【0056】
図8は、歩数の検出処理の流れを示した図である。
【0057】
まず、センサ部105は、加速度センサの出力を取得し(S200)、出力値が上限値を超えるか否かを判定する(S201)。
【0058】
センサ部105は、加速度センサから取得した出力値が所定の上限値より大きな値となる場合、出力値が所定の上限値を超えると判定し(S201でYES)、歩行フラグがON状態であるか否かを判定する(S203)。なお、図8に示す処理が開始された時点では、歩行フラグはOFF状態である。
【0059】
一方、センサ部105は、加速度センサから取得した出力値が上限値を超えないと判定した場合(S201でNO)、出力値が所定の下限値を超えるか否かを判定する(S202)。センサ部105は、出力値が所定の下限値よりも小さい場合、出力値が所定の下限値を超えると判定し(S202でYES)、上述のS203の処理を実行する。センサ部105は、処理S202において出力値が所定の下限値を超えないと判定した場合、上述の処理S200から再度実行する。
【0060】
センサ部105は、上述の処理S203において、歩行フラグがON状態であると判定した場合(S203でYES)、歩数を出力し(S204)、歩行フラグをOFF状態に変更し(S205)、上述の処理S200から再度実行する。
【0061】
一方、センサ部105は、上述の処理S203において、歩行フラグがOFF状態であると判定した場合(S203でNO)、歩行フラグをON状態に変更し、上述の処理S200から再度実行する。
【0062】
無線通信装置100の制御部101は、上述のS204でセンサ部105から出力された歩数を通信線120を介して受信することにより、センサ部105により検出された歩数を取得することができる。
【0063】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105として用いられる歩数計の出力を計数することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400の歩数を計測することができる。
【0064】
さらに、制御部101は、測定した歩数に対して、予め設定しておいた一歩当りの距離を掛け算することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400の移動距離を検出することができる。
【0065】
上述の算出処理は下記式で表わされる。ここで、xは移動距離、hは歩数、lは一歩当りの距離を意味する。
【0066】
【数1】
【0067】
図5は、加速度センサの出力と歩数計の出力との関係を示す概略図である。
【0068】
図5(A)は、縦軸に加速度センサ値を示し、横軸に時間を示した図である。図5(A)に示す例では、時点t1において加速度センサの出力値が上限5A1を超え、時点t2において加速度センサの出力値が下限5A2を超え、時点t3において加速度センサの出力値が上限5A1を超え、時点t4において加速度センサの出力値が下限5A2を超えている様子を示している。
【0069】
図5(B)は、加速度センサの出力が図5(A)に示す上限5A1を超えている期間及び下限5A2を超えている期間を、図5(A)の横軸に示す時間に同期させて表示した図である。
【0070】
図5(C)は、加速度センサの出力が図5(A)に示す下限5A2を超えている期間に同期して、歩数計の出力が生成される例を示す図である。図5(C)に示す例では、時点t2、時点t4、時点t6、時点t8、時点t10、時点t12、時点t14、時点t16において、加速度センサの出力が図5(A)に示す下限5A2を超えたことに同期して、歩数計の出力が生成されている。
【0071】
なお、上述の例では、図8に示す処理の流れを、センサ部105において実行する例としたが、制御部105において実行してもよい。この場合、制御部101は、図5(A)に示すようなセンサの出力値を、通信線120を介して、センサ部105から取得する。さらに、この場合、制御部101は、図8に示す処理の流れの処理S204において、図4に示す処理の流れで示す処理S102を実行する構成要素へ、プロセス間通信等の技法を用いて歩数を出力する。
〔5−2.移動距離による検出2〕
上述の移動距離による移動量の検出において、センサ部105として用いる歩数計が有する加速度センサの出力値に応じて、一歩当りの距離を変更することができる。例えば、加速度センサの出力値の大きさに応じて、一歩当りの距離を変更することにより、移動距離の検出精度を向上させることができる。
【0072】
図9は、歩数及び出力レベルの検出処理の流れを示した図である。
【0073】
まず、センサ部105は、出力レベルの変数Rに0値を設定することにより出力レベルを初期化し(S300)、加速度センサの出力を取得する(S301)。
【0074】
センサ部105は、出力値が0値を超えるか否かを判定し(S302)、超えると判定された場合(S302でYES)、ループ変数iを初期化して、ループ処理S303を開始する。
【0075】
センサ部105は、まず、上述の処理S301で取得した出力が、所定の上限値(i)を超えるか否かを判定する(S304)。
【0076】
図10は、上限値(i)の内容例を示した図である。図10に示す例では、ループ変数i=1の場合、上限値(1)は50となる。図10に示す例では、ループ変数i=2の場合、上限値(2)は100となる。
【0077】
センサ部105は、上述の処理S304において、出力値が所定の上限値(i)より大きい場合、出力値が所定の上限値(i)を超えると判定し(S304でYES)、出力レベルを示す変数Rにループ変数の値を設定する(S305)。
【0078】
センサ部105は、上述の処理S305を実行した後、ループ変数がループ回数の上限nに達したか否かを判定し(S306)、達していないと判定した場合には、ループ変数を1つ加算して更新し(S303)、処理S304から実行する。
【0079】
一方、センサ部105は、上述の処理S302において、出力値が0値を超えないと判定された場合(S302でNO)、ループ変数iを初期化して、処理S307のループ処理を開始する。そして、センサ部105は、処理S303のループ処理と同様に、出力値が所定の下限値(i)を超えるか否かを判定し(S308)、超えると判定された場合に(S308でYES)、出力レベルを示す変数Rにループ変数の値を設定する(S309)。
【0080】
図11は、下限値(i)の内容例を示した図である。図11に示す例では、ループ変数i=1の場合、下限値(1)は−50となる。図11に示す例では、ループ変数i=2の場合、下限値(2)は−100となる。
【0081】
センサ部105は、上述のS306のループ処理と同様に、ループ変数がループ回数の上限nに達したか否かを判定し(S310)、達していないと判定した場合には、ループ変数を1つ加算して更新し(S307)、処理S308から実行する。
【0082】
センサ部105は、上述のS302乃至S306に示すループ処理、あるいは、上述のS307乃至S310に示すループ処理が終了した後、出力レベルを示す変数Rが0値を超えるか否かを判定する(S311)。
【0083】
センサ部105は、出力レベルを示す変数Rが0値より大きい場合、すなわち、上述の処理S305又は処理S309において出力レベルを示す変数Rにループ変数が設定された場合、出力レベルを示す値が0値を超えると判定し(S311でYES)、歩行フラグがON状態であるか否かを判定する(S312)。
【0084】
センサ部105は、処理S312において、歩行フラグがON状態であると判定した場合(S312でYES)、歩数及び出力レベルを出力し(S313)、歩行フラグをOFF状態に変更した後(S314)、上述の処理S300からの処理を再度実行する。
【0085】
センサ部105は、上述の処理S311において、出力レベルを示す変数Rが0値を超えないと判定された場合(S311でNO)、すなわち、出力レベルを示す変数Rが上述の処理S300において初期化した値から変更されていない場合、上述の処理S300からの処理を再度実行する。この場合、上述の処理S313とは異なり、歩数及び出力レベルは出力されない。
【0086】
また、上述の処理S312において、歩行フラグがON状態でないと判定された場合(S312でNO)、歩行フラグをON状態に変更し(S315)、上述の処理S300からの処理が再度実行される。
【0087】
無線通信装置100の制御部101は、上述の処理S313でセンサ部105から出力された歩数及び出力レベルを、通信線120を介して受信することにより、センサ部105により検出される歩数及び出力レベルを取得することができる。
【0088】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105として用いられる歩数計の出力を、出力レベルごとに計数することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400の歩数を計測することができる。
【0089】
さらに、制御部101は、センサ部105として用いられる歩数計の出力の出力レベルに対応して予め主記憶部102に格納された一歩当りの距離を、主記憶部102から取得する。
【0090】
図12は、出力レベルに対応付けて格納された一歩当りの距離の内容例を示した図である。図12に示す例では、出力レベル(1)に対して一歩当りの距離(0.5m)が格納されている。図12に示す例では、出力レベル(2)に対して一歩当りの距離(1.0m)が格納されている。これは、出力レベルの数値が大きいほど、例えば、歩行時の上下運動が大きいことから、歩行速度が速い状態にあると推定し、出力レベルに比例して一歩当りの距離を大きく設定した例である。
【0091】
制御部101は、所定の単位時間毎に、出力レベルごとに計数した歩数に対して、主記憶部102から取得した対応する出力レベルの一歩当りの距離を掛け算することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400の移動距離を検出することができる。上述の算出処理は下記式で表わされる。ここで、xは移動距離、h(i)は出力レベルごとの歩数、l(i)は出力レベルごとの一歩当りの距離を意味する。なお、nは歩数計が出力可能な出力レベルの数を意味する。すなわち、図6に示す例では、歩数計が出力する出力レベルの数は2つであるため、n=2となる。なお、所定時間ごとに算出する例としたが、センサ部からの出力を取得する毎に、出力レベルに応じた一歩当りの距離を移動距離として、総移動距離に加算してもよい。
【0092】
【数2】
【0093】
図6は、加速度センサの出力と歩数計の出力との関係を示す概略図である。
【0094】
図6(A)に示す例では、上限値6A1と上限値6A3、下限値6A2と下限値6A4を有し、時点t1において加速度センサの出力値が上限値6A1を超え、時点t2において加速度センサの出力値が下限値6A2を超え、時点t3において加速度センサの出力値が上限値6A3を超え、時点t4において加速度センサの出力値が下限値6A2を超え、時点t4’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t6’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t8’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t10’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t12’において加速度センサの出力値が下限値6A4を超え、時点t14において加速度センサの出力値が下限値6A2を超え、時点t16において加速度センサの出力値が下限値6A2を超えている様子を示している。例えば、図6(A)は、時点t1から時点t2において通常の歩行状態を検出した様子を示しており、時点t3’から時点t12’において駆け足での歩行状態を検出した様子を示し、時点t14から時点t16において通常の歩行状態を検出した様子を示している。
【0095】
図6(B)は、上述の図5(B)と同様のため、説明を省略する。
【0096】
図6(C)は、加速度センサの出力が図6(A)に示す上限6A3を超えている期間及び下限5A4を超えている期間を、図6(A)の横軸に示す時点に同期させて表示した図である。
【0097】
図6(D)は、加速度センサの出力が図6(A)に示す下限6A2又は下限6A4を超えている期間に同期して、歩数計の出力が生成される例を示す図である。図6(D)に示す例では、時点t2及び時点t14及び時点t16のそれぞれにおいて加速度センサの出力値が下限6A2を超えたことに同期して第一の出力値6D2が生成され、時点t4’及び時点t6’及び時点t8’及び時点t10’及び時点t12’のそれぞれにおいて加速度センサの出力値が下限6A4を超えたことに同期して第二の出力値6D1が生成されている様子を示している。
【0098】
なお、上述の例では、図9に示す処理の流れを、センサ部105において実行する例としたが、制御部105において実行してもよい。この場合、制御部101は、図6(A)に示すようなセンサの出力値を、通信線120を介して、センサ部105から取得する。さらに、この場合、制御部101は、図9に示す処理の流れの処理S313において、図4に示す処理の流れで示す処理S102を実行する構成要素へ、プロセス間通信等の技法を用いて歩数及び出力レベルを出力する。
〔5−3.移動時間による検出〕
移動量の検出方法として移動時間による検出を行なう場合、例えば、無線通信装置100は、センサ部105として加速度センサ、振動センサなどを用いることができる。
【0099】
図13は、移動時間の検出処理の流れを示した図である。
【0100】
まず、センサ部105は、歩行フラグをOFF状態に設定し(S400)、計測時間tを0値に設定することにより初期化し(S401)、計測時間tの計測を開始する(S402)。すなわち、タイマ部104の出力に基づいて、経過時間を測定する。
【0101】
センサ部105は、処理S403のループ処理を開始し、例えば、加速度センサの出力を取得する(S404)。
【0102】
センサ部105は、取得した出力値が所定の上限値を超えるか否かを判定し(S405)、出力値が所定の上限値より大きい場合、出力値が所定の上限値を超えると判定する(S405でYES)。
【0103】
一方、上述の処理S405において、出力値が所定の上限値を超えないと判定された場合(S405でNO)、出力値が所定の下限値を超えるか否かを判定する(S406)。センサ部105は、取得した出力値が所定の下限値より小さい場合、出力値が所定の下限値を超えると判定する(S406でYES)。
【0104】
上述の処理S405において出力値が所定の上限値を超えると判定した場合(S405でYES)、又は、上述の処理S406において出力値が所定の下限値を超えると判定した場合(S406でYES)、歩行フラグをON状態に変更する(S407)。
【0105】
センサ部105は、計測時間tが所定の単位時間以上になったか否かを判定し(S408)、所定の単位時間以上であると判定された場合、上述のS403からS408までのループ処理を終了する。一方、センサ部105は、計測時間tが所定の単位時間以上ではないと判定された場合、上述の処理S403に戻り、処理S404からの処理を実行する。
【0106】
センサ部105は、上述のS403からS408までのループ処理を終了した場合、歩行フラグがON状態であるか否かを判定する(S409)。
【0107】
センサ部105は、歩行フラグがON状態である場合(S409でYES)、計測時間を出力し(S410)、上述の処理S400からの処理を再度実行する。なお、上述の処理S410を実行した後に、本検出処理の実行を終了させてもよい。
【0108】
一方、センサ部105は、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、上述の処理S400からの処理を再度実行する。すなわち、この場合には、上述の処理S410は実行されず、計測時間tは出力されない。なお、上述の処理S409において、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、検出結果が無い旨の信号を出力してもよい。また、上述の処理S409において、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、本検出処理の実行を終了させてもよい。
【0109】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105からの出力を、通信線120を介して受信することにより、センサ部105により検出される計測時間を取得することができる。
【0110】
制御部101は、センサ部から取得した計測時間を累積加算したものを移動時間として管理することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400が移動している時間を計測することができる。
【0111】
図7は、センサ部の出力と移動時間との関係を示す図である。
【0112】
図7(A)は、縦軸にセンサ部の出力値を示し、横軸に時間を示した図である。図7(B)は、図7(A)及び図7(C)及び図7(D)の横軸に示す時間において、検出処理に用いる単位時間を示す図である。図7(C)は、タイマ部の出力値に基づいて計測される移動時間を縦軸に示し、経過した時間を横軸に示した図である。図7(D)は、総移動時間を縦軸に示し、経過した時間を横軸に示した図である。
【0113】
図7(A)に示す例では、単位時間7B1及び単位時間7B2において歩行状態を検出した様子を示しており、単位時間7B3及び単位時間7B4において歩行状態が検出されなかった様子を示し、単位時間7B5及び単位時間7B6において歩行状態を検出した様子を示している。
【0114】
図7(C)に示す例では、タイマ部の出力に基づいて計測される計測時間が時点tc1から時点tc2にかけて増加し、時点tc2において計測時間の値がリセットされた後、再び時点t2から時点tc3にかけて増加している様子を示している。図7(C)に示す例では、単位時間7B1乃至7B6において増加とリセットが繰り返して実行されている様子を示している。
【0115】
図7(D)に示す例では、単位時間7B1においてセンサ部の出力値が図7(A)に示す上限7A1及び下限7A2を超えているため、歩行状態が検出されたと判定され、図7(C)の時点tc2における計測時間を移動時間とし、図7(D)の時点tc2において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0116】
図7(D)に示す例では、さらに、単位時間7B2においてセンサ部の出力値が図7(A)に示す上限7A1及び下限7A2を超えているため、歩行状態が検出されたと判定され、図7(C)の時点tc3における計測時間を移動時間とし、図7(D)の時点tc3において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0117】
一方、単位時間7B3及び単位時間7B4において、センサ部の出力値が図7(A)に示す上限7A1及び下限7A2のいずれをも超えないため、歩行状態が検出されなかったと判定され、移動時間への計測時間の加算が行なわれず、その結果、図7(D)に示されるように、時点tc3から時点tc6までの総移動時間の増加は、時点tc1及び時点tc3にける増加分よりも、少ない。これにより、非歩行状態における経過時間を移動時間から除外することが可能となる。
【0118】
なお、上述の例では、図13に示す処理の流れを、センサ部105において実行する例としたが、制御部105において実行してもよい。この場合、制御部101は、図7(A)に示すようなセンサの出力値を、通信線120を介して、センサ部105から取得する。さらに、この場合、制御部101は、図13に示す処理S410の実行において、図4に示す処理S102を実行する要素へ、プロセス間通信等の技法を用いて計測時間を出力する。
【0119】
また、図13に示す処理S410の実行において、計測時間を出力するかわりに歩数を検出した旨の信号を出力してもよい。この場合、制御部105は、図13に示す処理S410の実行において歩数を検出した旨の信号が出力されたことに基づいて、予め設定した単位時間を計測時間(移動時間)として、総移動時間に加算することができる。
〔5−4.移動時間による検出(その2)〕
上述の移動時間による移動量の検出において、センサ部105として用いる加速度センサの出力値に応じた重み付け計数を掛けた計測時間を累積加算したものを移動量とすることができる。
【0120】
これにより、移動時の歩行状態に応じて移動時間の検出値を調整することが可能となり、検出精度を向上させることができる。
【0121】
図20は、測定時間及び出力レベルの検出処理の流れを示した図である。図20に示す処理手順は、図13に示す処理手順と同様の内容となる処理手順に対して、同一の参照符号を付している。図20に示す処理手順は、例えば、処理S411乃至処理S424が追加されている点で、図13に示す処理手順と相違する。そこで、説明の簡素化のため、同じ内容となる処理手順については部分的に説明を省略する。
【0122】
まず、センサ部105は、検出処理を実行するための初期設定を行なう。
【0123】
センサ部105は、出力レベル変数Rに0値を設定することにより出力レベルを初期化する(S411)。ここで、出力レベル変数Rは、出力レベルが取り得る値の範囲に応じた要素を有した配列型の変数を用いることができる。例えば、出力レベルが0と1と2の3段階の範囲を取りうる場合、出力レベル変数Rは2つの要素を有する配列型の変数を用いることができる。例えば、出力レベル1に関する情報を出力レベル変数Rの要素1に格納し、出力レベル2に関する情報を出力レベル変数Rの要素2に格納し、出力レベル0に関する情報についてはいずれの要素にも格納しない、とすることできる。
【0124】
さらに、センサ部105は、歩行フラグをOFF状態に設定することにより、歩行フラグを初期化する(S400)。
【0125】
センサ部105は、例えば、計測時間tに0値を設定することにより、計測時間tを初期化する(S401)。
【0126】
センサ部105は、計測時間tの計測を開始し(S402)、ループ処理S403を開始する。
【0127】
センサ部105は、上述のループ処理S403において、センサの出力を取得する(S412)。例えば、加速度センサから出力される出力値を取得する。
【0128】
センサ部105は、取得したセンサの出力値が0値を超えるか否かを判定し(S413)、超えると判定された場合(S413でYES)、ループ変数iを初期化して、ループ処理S414を開始する。
【0129】
センサ部105は、まず、上述の処理S412で取得した出力が、所定の上限値(i)を超えるか否かを判定する(S415)。
【0130】
図10は、上限値(i)の内容例を示した図である。図10に示す例では、ループ変数i=1の場合、上限値(1)は50となる。図10に示す例では、ループ変数i=2の場合、上限値(2)は100となる。
【0131】
センサ部105は、上述の処理S415において、出力値が所定の上限値(i)より大きい場合、出力値が所定の上限値(i)を超えると判定し(S415でYES)、出力レベルを示す変数R(i)を1つ加算して更新する(S416)。すなわち、1回目のループ処理の場合、ループ変数はi=1となり、出力レベル変数Rの配列要素のうち要素1について格納されている値が1つ加算されて更新される。例えば、初回目の更新であれば、上述の処理S411において0値が設定されているため、更新後の値は1となる。
【0132】
さらに、センサ部105は、歩行フラグをON状態に変更する(S417)。
【0133】
センサ部105は、ループ変数がループ回数の上限nに達したか否かを判定し(S418)、達していないと判定した場合には、ループ変数を1つ加算して更新し(S414、S418)、処理S415から実行する。
【0134】
一方、センサ部105は、上述の処理S302において、出力値が0値を超えないと判定された場合(S413でNO)、ループ変数iを初期化して、処理S419のループ処理を開始する。そして、センサ部105は、処理S414のループ処理と同様に、出力値が所定の下限値(i)を超えるか否かを判定し(S420)、超えると判定された場合に(S420でYES)、出力レベルを示す変数Rに出力レベルを示す変数R(i)を1つ加算して更新する(S421)。すなわち、1回目のループ処理の場合、ループ変数はi=1となり、出力レベル変数Rの配列要素のうち要素1について格納されている値が1つ加算されて更新される。例えば、初回目の更新であれば、上述の処理S411において0値が設定されているため、更新後の値は1となる。
【0135】
図11は、下限値(i)の内容例を示した図である。図11に示す例では、ループ変数i=1の場合、下限値(1)は−50となる。図11に示す例では、ループ変数i=2の場合、下限値(2)は−100となる。
【0136】
さらに、センサ部105は、歩行フラグをON状態に変更する(S422)。
【0137】
センサ部105は、ループ変数がループ回数の上限nに達したか否かを判定し(S423)、達していないと判定した場合には、ループ変数を1つ加算して更新し(S419、S423)、処理S420から実行する。
【0138】
センサ部105は、上述のS414乃至S418に示すループ処理、あるいは、上述のS419乃至S423に示すループ処理が終了した後、計測時間tが所定の単位時間以上になったか否かを判定する(S408)。
【0139】
センサ部105は、所定の単位時間以上であると判定された場合、上述のS403からS408までのループ処理を終了する。一方、センサ部105は、計測時間tが所定の単位時間以上ではないと判定された場合、上述の処理S403に戻り、処理S412からの処理を実行する。
【0140】
センサ部105は、上述のS403からS408までのループ処理を終了した場合、歩行フラグがON状態であるか否かを判定する(S409)。
【0141】
センサ部105は、歩行フラグがON状態である場合(S409でYES)、計測時間t及び出力レベルRを出力し(S424)、上述の処理S411からの処理を再度実行する。なお、上述の処理S424を実行した後に、本検出処理の実行を終了させてもよい。
【0142】
一方、センサ部105は、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、上述の処理S400からの処理を再度実行する。すなわち、この場合には、上述の処理S424は実行されず、計測時間t及び出力レベルRは出力されない。なお、上述の処理S409において、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、検出結果が無い旨の信号を出力してもよい。また、上述の処理S409において、歩行フラグがON状態ではないと判定した場合(S409でNO)、本検出処理の実行を終了させてもよい。
【0143】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105からの出力を、通信線120を介して受信することにより、センサ部105により検出される計測時間及び出力レベルを取得することができる。
【0144】
無線通信装置100の制御部101は、センサ部105から取得した出力レベルRの配列が有する要素を参照することにより、各出力レベルの出現回数を取得することができる。すなわち、出力レベルRの配列が有する要素1に格納されている値を参照することにより、出力レベル1の出現回数を取得することができる。また、出力レベルRの配列が有する要素2に格納されている値を参照することにより、出力レベル2の出現回数を取得することができる。
【0145】
無線通信装置100の制御部101は、取得した出力レベルRに応じて、取得した計測時間tを調整した値を累積加算することにより、移動時間を取得することができる。
【0146】
例えば、制御部101は、出現レベルRの要素を参照することにより、出現回数が1回以上存在する最大の出力レベルを特定し、特定された出力レベルに対応する係数を用いて、計測時間tを積算することにより、計測時間tを調整した値を取得することができる。
【0147】
図22は、出力レベルに対応付けて格納された係数の内容例を示した図である。図22に示す例では、出力レベル(1)に対して係数(1.0)が格納されている。図22に示す例では、出力レベル(2)に対して係数(1.5)が格納されている。これは、出力レベルの数値が大きいほど、例えば、歩行時の上下運動が大きいことから、歩行速度が速い状態にあると推定し、出力レベルに比例して計測時間tに掛け合わせる係数の値を大きく設定した例である。すなわち、係数の値が1よりも大きい値であるほど、取得される値は計測時間より大きな値となり、その結果、総移動量の増加分が大きくなり、上述の処理S104の判定において所定の条件を満たしやすくなる。また、係数の値が1よりも小さい値(例えば0.5)であるほど、取得される値は計測時間より小さな値となり、その結果、総移動量の増加分が小さくなり、上述の処理S104の判定において所定の条件を満たしにくくなる。
【0148】
上述の算出処理は下記式で表わされる。ここで、xは移動時間、k(i)は出力レベルに対応した係数、tは計測時間を意味する。なお、上述の例において、iは、出現回数が1回以上存在する最大の出力レベルを示す。
【0149】
【数3】
【0150】
制御部101は、上述の算出により取得した移動時間を移動量とし、総移動量に加算することにより、無線通信装置100を携帯する利用者400が移動した度合をしめす総移動量を計測することができる。
【0151】
図21は、センサ部の出力と移動時間との関係を示す図である。
【0152】
図21(A)は、縦軸にセンサ部の出力値を示し、横軸に時間を示した図である。図21(B)は、図21(A)及び図21(C)及び図21(D)の横軸に示す時間において、検出処理に用いる単位時間を示す図である。図21(C)は、タイマ部の出力値に基づいて計測される移動時間を縦軸に示し、経過した時間を横軸に示した図である。図21(D)は、総移動時間を縦軸に示し、経過した時間を横軸に示した図である。
【0153】
図21(A)に示す例では、単位時間21B1において出力値50を超える歩行状態を検出した様子を示しており、単位時間21B乃至単位時間21B5において出力値100を超える歩行状態を検出した様子を示し、単位時間21B6において出力値50を超える歩行状態を検出した様子を示している。
【0154】
図21(C)に示す例では、タイマ部の出力に基づいて計測される計測時間が時点tc1から時点tc2にかけて増加し、時点tc2において計測時間の値がリセットされた後、再び時点t2から時点tc3にかけて増加している様子を示している。図21(C)に示す例では、単位時間21B1乃至21B6において増加とリセットが繰り返して実行されている様子を示している。
【0155】
図21(D)に示す例では、単位時間21B1においてセンサ部の出力値が図21(A)に示す上限21A1及び下限21A2を超えているが上限21A3及び下限21A4は超えていないため、出力値(50)又は出力値(−50)を超える歩行状態(出力レベル1)が検出されたと判定され、図21(C)において単位時間21B1の終期である時点tc2における計測時間に係数k(1)を掛け合わせて得た値td2(移動時間)を、図21(D)の時点tc2において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0156】
図21(D)に示す例では、さらに、単位時間21B2においてセンサ部の出力値が図21(A)に示す上限21A3及び下限21A4を超えているため、出力値(100)又は出力値(−100)を超える歩行状態(出力レベル2)が検出されたと判定され、図21(C)において単位時間21B2の終期である時点tc3における計測時間に係数k(2)を掛け合わせて得た値td3(移動時間)を、図21(D)の時点tc3において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0157】
図21(D)に示す例では、同様に、単位時間21B3乃至単位時間21B5においてセンサ部の出力値が図21(A)に示す上限21A3及び下限21A4を超えているため、出力値(100)又は出力値(−100)を超える歩行状態(出力レベル2)が検出されたと判定され、図21(C)の時点tc4乃至時点tc6における計測時間に係数k(2)を掛け合わせて得た値td4乃至値td6(移動時間)を、図21(D)の時点tc4乃至時点tc6において総移動時間にそれぞれ加算させた様子を示している。
【0158】
図21(D)に示す例では、さらに、単位時間21B6においてセンサ部の出力値が図21(A)に示す上限21A1及び下限21A2を超えているが上限21A3及び下限21A4は超えていないため、出力値(50)又は出力値(−50)を超える歩行状態(出力レベル1)が検出されたと判定され、図21(C)において単位時間21B6の終期である時点tc7における計測時間に係数k(1)を掛け合わせて得た値td7(移動時間)を、図21(D)の時点tc7において総移動時間に加算させた様子を示している。
【0159】
なお、上述の例では、図20に示す処理手順を、センサ部105において実行する例としたが、制御部105において実行してもよい。この場合、制御部101は、図21(A)に示すようなセンサの出力値を、通信線120を介して、センサ部105から取得する。さらに、この場合、制御部101は、図20に示す処理S410の実行において、図4に示す処理S102を実行する要素へ、プロセス間通信等の技法を用いて計測時間及び出力レベルを出力する。
【0160】
また、図20に示す処理S410の実行において、計測時間を出力するかわりに歩数を検出した旨の信号を出力してもよい。例えば、歩数を検出した旨の信号として、出力レベルRを用いてもよい。この場合、図20に示す処理S410の実行において、出力レベルRのみが出力される。制御部105は、図20に示す処理S410の実行において出力された出力レベルRに基づいて、上述の算出を行なうに当たって、予め設定した単位時間を計測時間として算出処理を行うことができる。
【0161】
また、上述の例では、出力レベルに応じた係数を計測時間に対して掛け合わせて移動時間を取得する例を示したが、本実施例はこれに限定されるものではない。例えば、出力レベルに応じた補正値を計測時間に対して加算又は減算して移動時間を取得することもできる。
【実施例2】
【0162】
〔1.実施例2の概要〕
本実施例は、図4に示す処理の流れにおいて、総移動量と比較する所定の条件を基地局に応じて変更する処理を追加する。
【0163】
図14は、本実施例に係る無線通信端末において実行されるプログラムの構成要素を示す図である。図14に示すプログラムの構成要素は、図3に示す構成要素と同様の要素については、同一の参照符号を付している。すなわち、図14に示すプログラムの構成要素は、例えば、基地局識別部PG106と、閾値格納部PG107と、閾値取得部PG108と、が追加されている点で、図3に示す構成要素と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる構成要素については部分的に説明を省略する。
【0164】
基地局識別部PG106は、無線通信部111を介して無線基地局200から受信される信号を解析することにより無線基地局の基地局IDを取得する構成として、制御部101を機能させる。
【0165】
閾値格納部PG107は、基地局IDに対応付けて、総移動量と比較する所定の条件を、主記憶部102又は補助記憶部103などに格納させる構成要素として、制御部101を機能させる。
【0166】
閾値取得部PG108は、主記憶部102又は補助記憶部103などに格納された所定の条件を、基地局IDに対応付けて取得する構成要素として、制御部101を機能させる。
〔2.処理の流れ〕
図15は、本実施例に係る無線通信装置における検出処理の流れを示す図である。図15に示す処理の流れは、図4に示す実施例1の処理手順と同様の内容となる処理手順に対して、同一の参照符号を付している。図15に示す処理手順は、例えば、処理S106及び処理S107が追加されている点で、図4に示す処理手順と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる処理手順については部分的に説明を省略する。
【0167】
まず、本実施例において、制御部101は、総移動量を初期化し(S100)、無線通信部111を介して無線基地局から受信される信号を解析することにより基地局IDを取得する(S106)。ここで、無線基地局から受信される信号には無線基地局を特定するIDが含まれているものとする。例えば、IEEE802.11シリーズの無線LANシステムにおいては、無線基地局のIDとして無線LANアクセスポイントの識別子であるSSID(Service Set Identifier)又はESSID(Extended Service Set Identifier)を用いることができる。なお、無線基地局から受信される信号のデータ構造等の仕様は特に限定しないため、詳細な説明を省略する。
【0168】
つぎに、制御部101は、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。例えば、制御部101は、無線基地局200としての無線アクセスポイントからの送信される電波の受信強度を、第二通信部113として用いられる無線LANモジュールから取得する。そして、制御部101は、取得した受信強度が所定の閾値以下になったか否かを判定することにより、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。
【0169】
上述の例において、制御部101は、受信強度が所定の閾値以下となった場合、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすと判定し(S101でYES)、移動量の検出処理を実行する(S102)。
【0170】
制御部101は、検出した移動量を総移動量に加算し、総移動量を更新する(S103)。
【0171】
制御部101は、上述の処理S106において取得した基地局IDを用いて、主記憶部102又は補助記憶部103に予め格納された閾値を参照することにより、取得した基地局IDに対応付けて格納されている閾値を取得する(S107)。
【0172】
図16は、総移動量として移動距離を用いた場合の閾値の内容例を示した図である。図16に示す例では、基地局ID「AAA」に対して閾値「800m」、基地局ID「BBB」に対して閾値「500m」、基地局ID「CCC」に対して閾値「1200m」が設定されている。
【0173】
図17は、移動量として移動時間を用いた場合の閾値の内容例を示した図である。図17に示す例では、基地局ID「AAA」に対して閾値「15分」、基地局ID「BBB」に対して閾値「10分」、基地局ID「CCC」に対して閾値「20分」が設定されている。
【0174】
制御部101は、総移動量が所定の条件を満たすか否かを判定する(S104)。すなわち、制御部は、上述の処理S103で更新された総移動量を、上述の処理S107で取得した閾値を越えるか否かを判定する(S104)。
【0175】
例えば、総移動量として移動距離を用いる場合であって、上述の処理S106において取得した基地局IDが「AAA」であるとき、図16に示す例では閾値は「800m」となり、制御部101は総移動量としての移動距離が閾値「800m」を越えるか否かを判定する。
【0176】
制御部101は、上述の処理S104において、総移動量が上述の処理S107で取得した閾値を超えると判定した場合(S104でYES)、無線通信部111の動作状態を変更する。例えば、制御部101は、無線通信部111の動作状態を電波を発信しない状態に変更する。
【0177】
一方、制御部101は、上述の処理S104において、総移動量が上述の処理S107で取得した閾値を超えないと判定した場合(S104でNO)、上述の処理S101からの処理を実行する。ここで、制御部101は、上述の処理S101において、検出実行の条件を満たさないと判定された場合(S101でNO)、上述の処理S100からの処理を実行する。この場合、制御部101は、センサ部105を休止させてもよい。これにより、センサ部105による消費電力を削減させることができる。
【0178】
以上の処理により、総移動量と比較する条件を、基地局に応じて自動的に変更することが可能となる。すなわち、無線通信部の動作状態を変更する条件を、最後に属していた無線通信領域を提供する無線基地局に応じて変更することができる。
【0179】
これにより、例えば、無線基地局に応じて最寄の公共交通機関までの移動量の目安が異なる場合に、より最適な閾値を自動的に選択することが可能となる。
【0180】
なお、基地局IDに対応して設定される閾値は、設定画面を介して利用者に入力された値を用いて更新してもよい。
【0181】
また、GPS機能を搭載した無線通信装置においては、上述の処理S106で基地局IDを取得する際に、GPS機能を利用して取得した現在位置に基づいて、地図情報から最寄の交通機関までの移動量の目安(例えば、移動距離や移動時間)を取得し、取得した目安の移動量を、基地局IDに対応づけて主記憶部102又は補助記憶部103に格納してもよい。
【実施例3】
【0182】
〔1.実施例3の概要〕
本実施例は、図4に示す処理の流れにおいて、無線通信部111の動作状態を変更する処理を複数追加する。
【0183】
本実施例に係る無線通信装置100は、無線通信領域300を提供する無線通信基地局の存在を探索する手段として、アクティブスキャン方式とパッシブスキャン方式とを選択的に用いる機能を有する。
【0184】
ここで、アクティブスキャン方式とは、無線通信装置から最初に電波を送信(プローブ要求)して無線基地局からの応答(プローブ応答)を待機し、無線基地局からの応答を受信することにより無線接続を行なう方式をいう。
【0185】
ここで、パッシブスキャン方式とは、無線基地局から定期的に送信される電波(ビーコン)の受信を一定時間待機し、受信した無線基地局からの電波(ビーコン)に基づいて無線基地局との無線通信に用いる使用チャネルを確認した後に、無線通信装置から電波を送信し、無線基地局との無線接続を行なう方式をいう。
【0186】
一般的に、パッシブスキャン方式を用いた探索処理の方が、アクティブスキャン方式を用いた探索処理よりも、消費電力が大きくなる。これは、無線基地局から送信される電波を受信するための待ち受け時間の差によるものである。
【0187】
すなわち、アクティブスキャン方式では、プローブ要求信号の送信に対する無線基地局からの応答の受信を待ち受ける時間は通常10ms(ミリ秒)に設定されている。これに対して、パッシブスキャン方式では、無線基地局からのビーコン信号の送信間隔が通常100ms(ミリ秒)に設定されているため、無線基地局からのビーコン信号を受信するための待ち受け時間として通常100ms(ミリ秒)が設定されている。したがって、パッシブスキャン方式を用いた探索処理では、アクティブスキャン方式に比較して待ち受け時間が長くなるぶん、受信回路を動作させるための消費電力が多く必要となる傾向にある。
【0188】
以上の見地より、無線通信装置100の動作電源の省電力化を重視する場合、探索処理をアクティブスキャン方式により実行することが望ましい。
【0189】
しかしながら、アクティブスキャン方式による探索処理において無線通信装置100から送信される電波により、他の電子機器の動作に影響を与える恐れのある場所では、無線通信装置100からの電波の送信を抑制するこが必要とされることがある。
【0190】
以上の見地より、無線通信装置が送信する電波による他の電子機器への誤動作を防止するという点を重視する場合、探索処理をパッシブスキャン方式により実行することが望ましい。
【0191】
そこで、本実施例においては、例えば、無線通信領域300の範囲外に移動したことを検知した無線通信端末100により探索処理を実行する場合に、アクティブスキャン方式とパッシブスキャン方式とを選択的に実行する機能を、無線通信装置100に追加する。
【0192】
図18は、本実施例に係る無線通信端末において実行されるプログラムの構成要素を示した図である。図18に示すプログラムの構成要素は、図3に示す構成と同様の内容となる部分に対して、同一の参照符号を付している。図18に示すプログラムの構成要素は、例えば、無線方式選択部PG109が追加されている点で図3に示す内容と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる構成要素については部分的に説明を省略する。
【0193】
無線方式選択部PG109は、無線通信装置100の動作状態に応じて、無線基地局の探索処理に用いる方式を選択する構成要素として、制御部101を機能させる。
【0194】
なお、本実施例に係る無線通信端末のハードウェア構成は、図2に示す構成と同様のため、説明を省略する。
〔2.処理の流れ〕
図19は、本実施例係る無線通信装置100における検出処理の流れを示す図である。図19に示す処理の流れは、図4に示す実施例1の処理手順と同様の内容となる処理手順に対して、同一の参照符号を付している。図19に示す処理手順は、例えば、処理S108及び処理S109が追加されている点で、図4に示す処理手順と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる処理手順については部分的に説明を省略する。
【0195】
まず、本実施例において、無線通信装置100の制御部101は、総移動量を初期化し(S100)、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。
【0196】
例えば、制御部101は、無線基地局200としての無線アクセスポイントからの送信される電波の受信強度を、第二通信部113として用いられる無線LANモジュールから取得する。そして、制御部101は、取得した受信強度が所定の閾値以下になったか否かを判定することにより、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S101)。
【0197】
上述の例において、制御部101は、受信強度が所定の閾値以下となった場合、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすと判定し(S101でYES)、無線通信部111の動作状態を変更する(S108)。例えば、無線通信装置100が無線通信領域300の領域外に存在する場合、上述の例に示すように、無線基地局200から送信される電波の受信強度が所定の閾値以下であると判定する。
【0198】
制御部101は、上述の処理S108において、無線通信装置100の動作状態を、無線基地局200を探索する探索処理を実行する動作状態に変更する。例えば、無線通信装置100の動作電力の省電力化を重視する観点から、制御部101は、アクティブスキャン方式による探索処理を実行する動作状態に変更する制御信号を、通信線120を介して無線通信部111に送信する(S108)。
【0199】
そして、制御部101は、移動量を検出し(S102)、総移動量を更新し(S103)、総移動量が所定の条件を満たすか否かを判定する(S104)。例えば、上述の処理S102において検出する移動量として移動距離を検出する場合、制御部101は、検出した移動距離に累積加算して得た総移動距離が所定の閾値である距離より大きい場合、総移動量が所定の条件を満たすと判定する(S104でYES)。
【0200】
この場合には、無線通信装置100を携帯する利用者400が、無線通信装置から送信される電波により他の電子機器の動作に影響を与える恐れのある場所の近辺に存在している可能性がある。
【0201】
そのため、制御部101は、無線通信部111の動作状態を、電波を発信しない状態に変更する。例えば、制御部101は、無線通信装置から送信される電波による他の精密装置の誤動作を防止するという観点から、パッシブスキャン方式による探索処理を実行する動作状態に変更する制御信号を、通信線120を介して無線通信部111に送信する(S105)。
【0202】
一方、制御部101は、上述の処理S104において、総移動量が所定の条件を満たさないと判定した場合(S104)、検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S109)。
【0203】
例えば、制御部101は、上述の処理S109において、無線基地局200としての無線アクセスポイントからの送信される電波の受信強度を、第二通信部113として用いられる無線LANモジュールから取得する。そして、制御部101は、取得した受信強度が所定の閾値以下になったか否かを判定することにより、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすか否かを判定する(S109)。
【0204】
上述の例において、制御部101は、受信強度が所定の閾値以下となった場合、無線通信装置100の動作状態が検出実行の条件を満たすと判定し(S109でYES)、上述の処理S102からの処理を実行する。例えば、無線通信装置100が無線通信領域300の領域外に存在する場合、上述の例に示すように、無線基地局200から送信される電波の受信強度が所定の閾値以下であると判定する。
【0205】
一方、制御部101は、検出実行の条件を満たさないと判定された場合(S109でNO)、上述の処理S100からの処理を実行する。この場合には、無線通信装置100が、無線通信領域300の範囲内に存在することから、探索処理により無線基地局200との無線接続が確立され、無線基地局200を介した無線通信が可能となる。
【0206】
なお、上述の処理S109において、検出実行の条件を満たさないと判定された場合、センサ部105を休止させてもよい。これにより、センサ部105による消費電力を削減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】システムの構成を示す図
【図2】無線通信装置のハードウェア構成を示す図
【図3】実施例1に係る無線通信装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図4】実施例1に係る検出処理の流れを示す図
【図5】センサの出力と歩数計の出力との関係を示す図
【図6】センサの出力と歩数計の出力との関係を示す図(その2)
【図7】センサの出力と移動時間との関係を示す図
【図8】歩数を検出する処理の流れを示す図
【図9】歩数及び出力レベルを検出する処理の流れを示す図
【図10】出力レベルと上限値との関係を示す図
【図11】出力レベルと下限値との関係を示す図
【図12】出力レベルと一歩当りの距離との関係を示す図
【図13】移動時間を検出する処理の流れを示す図
【図14】実施例2に係る無線通信装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図15】実施例2に係る検出処理の流れを示す図
【図16】基地局と閾値(距離)との関係を示す図
【図17】基地局と閾値(時間)との関係を示す図
【図18】実施例3に係る無線通信装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図19】実施例3に係る検出処理の流れを示す図
【図20】移動時間及び出力レベルを検出する処理の流れを示す図
【図21】センサの出力と移動時間との関係を示す図
【図22】出力レベルと係数との関係を示す図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置であって、
振動を検出する、センサ部と、
前記センサ部の出力に基づいて移動量を検出する、移動量検出部と、
前記検出された移動量を累積加算して得た総移動量を格納する、総移動量格納部と、
前記総移動量が所定の閾値を超えたか否かを判定する、総移動量判定部と、
前記総移動量が所定の閾値を超えたと判定された場合、無線通信装置の動作状態を、電波の出力電力を制限した状態に変更する、無線通信制御部と、
を有する無線通信装置。
【請求項2】
無線通信装置であって、
無線通信装置の動作状態に応じて前記移動量検出部における検出動作を制御する、検出制御部と、
を有する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
無線通信装置であって、
前記検出制御部は、
無線システムにおける基地局から送信される電波の受信強度が所定の閾値以下である場合に、前記移動量検出部における移動量の検出処理を実行させ、
前記受信強度が所定の閾値を超える場合に、前記移動量検出部における移動量の検出処理を休止させる、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
無線通信装置であって、
前記無線通信制御部による動作状態の変更を実行させるまでの目安となる移動量を、無線システムにおける基地局ごとに対応付けて格納する、閾値格納部と、
前記無線システムにおける基地局から受信した電波信号に基づいて、前記基地局を識別する情報を取得する、基地局識別部と
前記取得した基地局を識別する情報を用いて、前記閾値格納部により格納された移動量のうち前記基地局を識別する情報により特定される基地局に対応する移動量を取得する、閾値取得部と、
を有し、
前記総移動量判定部は、前記閾値取得部により取得された前記移動量を、前記総移動量と比較する閾値として用いる、
請求項1乃至3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
無線通信装置であって、
前記移動量検出部は、
前記センサ部の出力に基づいて移動状態であるか否かを判定し、移動状態であると判定された場合に、計測された経過時間を移動量として検出する、第一の移動量検出部と、
前記センサ部の出力に基づいて前記無線通信装置を携帯する利用者の歩数を検出し、検出された歩数に基づいて算出した移動距離を移動量として検出する、第二の移動量検出部と、
のいずれか一つを有する、
請求項1乃至4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
プログラムであって、
振動を検出するセンサ部を有する無線通信装置を、
前記センサ部の出力に基づいて移動量を検出する、移動量検出部と、
前記検出された移動量を累積加算して得た総移動量を格納する、総移動量格納部と、
前記総移動量が所定の閾値を超えたか否かを判定する、総移動量判定部と、
前記総移動量が所定の閾値を超えたと判定された場合、無線通信装置の動作状態を、電波の出力電力を制限した状態に変更する、無線通信制御部、
として機能させるプログラム。
【請求項1】
無線通信装置であって、
振動を検出する、センサ部と、
前記センサ部の出力に基づいて移動量を検出する、移動量検出部と、
前記検出された移動量を累積加算して得た総移動量を格納する、総移動量格納部と、
前記総移動量が所定の閾値を超えたか否かを判定する、総移動量判定部と、
前記総移動量が所定の閾値を超えたと判定された場合、無線通信装置の動作状態を、電波の出力電力を制限した状態に変更する、無線通信制御部と、
を有する無線通信装置。
【請求項2】
無線通信装置であって、
無線通信装置の動作状態に応じて前記移動量検出部における検出動作を制御する、検出制御部と、
を有する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
無線通信装置であって、
前記検出制御部は、
無線システムにおける基地局から送信される電波の受信強度が所定の閾値以下である場合に、前記移動量検出部における移動量の検出処理を実行させ、
前記受信強度が所定の閾値を超える場合に、前記移動量検出部における移動量の検出処理を休止させる、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
無線通信装置であって、
前記無線通信制御部による動作状態の変更を実行させるまでの目安となる移動量を、無線システムにおける基地局ごとに対応付けて格納する、閾値格納部と、
前記無線システムにおける基地局から受信した電波信号に基づいて、前記基地局を識別する情報を取得する、基地局識別部と
前記取得した基地局を識別する情報を用いて、前記閾値格納部により格納された移動量のうち前記基地局を識別する情報により特定される基地局に対応する移動量を取得する、閾値取得部と、
を有し、
前記総移動量判定部は、前記閾値取得部により取得された前記移動量を、前記総移動量と比較する閾値として用いる、
請求項1乃至3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
無線通信装置であって、
前記移動量検出部は、
前記センサ部の出力に基づいて移動状態であるか否かを判定し、移動状態であると判定された場合に、計測された経過時間を移動量として検出する、第一の移動量検出部と、
前記センサ部の出力に基づいて前記無線通信装置を携帯する利用者の歩数を検出し、検出された歩数に基づいて算出した移動距離を移動量として検出する、第二の移動量検出部と、
のいずれか一つを有する、
請求項1乃至4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
プログラムであって、
振動を検出するセンサ部を有する無線通信装置を、
前記センサ部の出力に基づいて移動量を検出する、移動量検出部と、
前記検出された移動量を累積加算して得た総移動量を格納する、総移動量格納部と、
前記総移動量が所定の閾値を超えたか否かを判定する、総移動量判定部と、
前記総移動量が所定の閾値を超えたと判定された場合、無線通信装置の動作状態を、電波の出力電力を制限した状態に変更する、無線通信制御部、
として機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−87724(P2010−87724A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252926(P2008−252926)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]