説明

無線LANにおけるノード配置決定方法及びそれに用いるプログラム

【課題】 無線LANにおけるノード配置を短時間で決定する。
【解決手段】 反射境界2で囲まれたエリア1を想定し、エリア1内に発信点4と受信点5とを配置し、発信点4から周囲複数方向に直進して延長される電磁波線6を想定し、電磁波線6が発信点4から反射境界2に到達するまでの延長距離6に基づき各電磁波線6に優先度を付与し、優先度の高い順に電磁波線6を延長し、反射境界2に再び到達した電磁波線6は優先度を低く変更し、その時点で優先度の高い順に電磁波線6の延長を継続し、受信点5に到達した電磁波線6を保存し、所定本数の電磁波線6が受信点5に到達したら、到達した電磁波線6の延長距離及び反射境界到達回数から利得を算出し、利得に基づき発信点4を評価し、対応する位置にノードを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANにおけるノード配置決定方法及びそれに用いるプログラムに係り、特に、短時間で決定ができる無線LANにおけるノード配置決定方法及びそれに用いるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
部屋で使われる無線LANのノード(アンテナ)を部屋内のどこに設置すれば端末との通信がうまくできるかといった問題は、従来、ノード設置をするユーザ或いはサービス業者の経験や電波知識などに基づくノウハウ的な判断で解決がなされている。
【0003】
移動体通信の分野では、基地局をどこに設置すれば、移動端末との通信がうまくできるかといった問題を解決するために、任意の場所に想定した発信点からの電磁波の伝搬をレイ・トレース法(光線追跡法)により調べることがある。レイ・トレース法は、本来、光学の分野で利用されているもので、光源から出た光がどこを通って行くか幾何光学的に解析するものである。電磁波では回り込みの現象などがあって幾何光学的には導き出せない面もあるが、波長が短くなるにつれて電磁波でも直線的に進む傾向が強いことから、電磁波を幾何光学的に描ける電磁波線とみなして伝搬を解析するレイ・トレース法が有効と考えられる。
【0004】
レイ・トレース法は、イメージ法とレイランチング法とに分類されるが、計算時間が比較的短いと言われるレイランチング法においてさえ多大な計算時間を要する。
【0005】
非特許文献1には、移動体通信の基地局を屋内に設置するに際して、天井、床を考慮しない二次元のレイランチング法と、天井、床を考慮した三次元のイメージ法とを組み合わせた方法が記載されている。
【0006】
【非特許文献1】「レイ・トレース法を用いた屋内エリア推定システムの高速アルゴリズム」今井哲郎、藤井輝也、電子情報通信学会論文誌B Vol.J83−B No.8 pp.1167−1177、2000年8月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レイ・トレース法では、発信点から適宜な方向に放出される電磁波線の1本1本について、この電磁波線を直接或いは何度かの反射を経て受信先に到達させ、この到達した電磁波線の受信強度を算出し、この1本の電磁波線による受信強度を発信点から全ての方向(平面的解析ならば円の全周、立体的解析なら球の全周)に放出される電磁波線について重ね合わせることにより、受信先でのトータルの受信強度を求める。しかし、無限に多い方向について電磁波線を追跡することは無限の時間がかかり不可能であるから、方向を離散的に選択し、追跡するべき電磁波線の本数をいかに減らすかが重要である。反面、本数を減らすために選択する方向の間隔(角度)を大きく取りすぎると、受信先に高い強度で到達するはずの電磁波線を見落としてしまう確率が高くなり、好ましくない。
【0008】
本出願人は、これからノードを設置しようという現場において簡易に使用できかつ短時間でノード配置が決定できる方法及びこの方法を未経験者でも簡単に実施できるコンピュータプログラムの実現を図るものである。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、短時間で決定ができる無線LANにおけるノード配置決定方法及びそれに用いるプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の方法は、無線LANを設置する部屋を模擬した反射境界で囲まれたエリアを想定し、このエリア内に発信点と受信点とを配置し、発信点から周囲の複数の方向に直進して延長される電磁波線を想定し、これら電磁波線が発信点から反射境界に到達するまでの延長距離に基づいて各電磁波線に優先度を付与し、この優先度の高い順に電磁波線を延長し、反射境界に再び到達した電磁波線は優先度を低く変更し、その変更時点で優先度の高い順に電磁波線の延長を継続し、受信点に到達した電磁波線を保存しておき、所定本数の電磁波線が受信点に到達したとき、これら到達した電磁波線の延長距離及び反射境界到達回数から利得を算出し、この利得に基づいて発信点を評価し、この発信点に対応する部屋内位置に無線LANのノードを配置するようにしたものである。
【0011】
上記部屋内に障害物がある場合には、上記エリア内の該当位置に反射境界を設定してもよい。
【0012】
上記電磁波線が反射境界に到達したときに、その電磁波線の利得を算出し、この利得が所定のしきい値以下であれば、この電磁波線は廃棄してもよい。
【0013】
また、本発明のプログラムは、無線LANを設置する部屋を模擬した反射境界で囲まれたエリアを想定するエリア想定ステップと、このエリア内に発信点と受信点とを配置する点配置ステップと、発信点から周囲の複数の方向に直進して延長される電磁波線を想定する電磁波線想定ステップと、これら電磁波線が発信点から反射境界に到達するまでの延長距離に基づいて各電磁波線に優先度を付与する優先度付与ステップと、この優先度の高い順に電磁波線を延長する電磁波線延長ステップと、反射境界に到達した電磁波線は優先度を低く変更する優先度変更ステップと、その変更時点で優先度の高い順に電磁波線の延長を継続する電磁波線延長継続ステップと、受信点に到達した電磁波線を保存しておく電磁波線保存ステップと、所定本数の電磁波線が受信点に到達したとき、これら到達した電磁波線の延長距離及び反射境界到達回数から利得を算出する利得算出ステップと、この利得に基づいて発信点を評価する発信点評価ステップとをコンピュータが解読可能に記述したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0015】
(1)短時間でノード配置の決定ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
図1〜図7は、本発明の手順を理解しやすいように、レイ・トレース法によって作図を進めていく様子をイメージ的に表したものである。実際にはコンピュータを用いて幾何光学的な演算を行えばよいので、必ずしも図1〜図7を作図しなくとも手順を実行することができる。以下、図1〜図7に従い本発明の手順を説明する。
【0018】
まず、図1に示されるように、エリア1を想定する。このエリア1は、無線LANを設置する部屋を模擬したもので、部屋の形状を写し取った見取り図のようなものである。ここでは簡単のためエリア1は長方形とした。エリア1は反射境界2で囲まれる。反射境界2は部屋の壁に相当する。部屋の周囲は壁だけでなく壁とは反射特性が異なる出入口や窓もあるが、ここでは簡単のため反射境界2は全周均一な反射特性とした。また、ノードの配置場所は一般に天井か壁上部であり端末の設置場所は机上か床上であるからエリア1は三次元であるのが好ましいが、ここでは簡単のため二次元とした。
【0019】
部屋内に柱型や大型書棚などの障害物がある場合には、図2に示されるように、エリア1内の該当位置に反射境界3を設定する。ここでは簡単のため反射境界3は反射境界2と同じ反射特性とした。以下の説明では、反射境界3も反射境界2の一部として扱い、反射境界3の記載を省略する。
【0020】
次に、図3に示されるように、エリア1内に発信点4と受信点5とを配置する。受信点5は、無線LANの端末としてのパソコン、プリンタ、端末電話機、サーバ、家電機器、防犯機器などに相当し、これらの端末は部屋に多数置かれるが、ここでは簡単のため受信点5を1つだけ配置した場合を考える。発信点4は、ノードに相当し、これから最良のノード配置を見出だそうとするために、エリア1内の任意位置に仮に配置する。
【0021】
ここでは簡単のためノードは無指向性とする。よって、発信点4に特定の向きはない。
【0022】
図4に示されるように、発信点4から周囲の複数の方向に直進して延長される電磁波線6を想定する。電磁波線6は、発信点4の全周に亘り、一定刻み角度θ毎に描く。一般に電磁波線6の本数を多くすれば計算時間が長くなり、本数を少なくすれば受信強度算出の精度が低下するが、本発明では後に詳述する優先度の導入により計算を省略できるので、電磁波線6の本数を多くしてもよい。
【0023】
次に、図4の電磁波線6を発信点4から最初の反射境界2に到達するまで延長する。図5では、簡単のため2本の電磁波線6だけ示した。このとき各電磁波線6について発信点4から反射境界2に到達するまでの延長距離が計算できる。この延長距離に基づいて各電磁波線6に優先度を付与する。優先度は反射境界2に到達したところでの電磁波強度の高い順に高く付ける。本発明では電磁波強度は伝搬距離に反比例すると考え、伝搬距離の短い電磁波は強度が強いと考える。そこで、延長距離の短い電磁波線6に高い優先度を付与することになる。これにより、図4で想定した全ての電磁波線6に優先度が割り振られることになる。図5の2本の電磁波線6の中では太線で示した電磁波線6のほうが延長距離が短いので優先度が高い。優先度は反射境界2で反射する電磁波線6´の強度の順序を表しているとも言える。
【0024】
全ての電磁波線6に優先度を付与したら、この優先度の最も高い電磁波線6を延長する。図5の段階で電磁波線6は反射境界2に到達しているので、延長する方向は、図6に示されるように、図5の段階で到達した箇所から反射する方向である。
【0025】
図6において、延長した電磁波線6が次の反射境界2に到達したら、この電磁波線6の優先度を低く変更する。この変更は、反射回数の少ない電磁波線6を優先的に追跡するという考えに基づく。壁や障害物で反射した電磁波は、位相がずれたりするので、その後、他の電磁波と重ね合わせをしたときに受信強度を強める作用をするとは限らない。そこで、本発明では、反射回数が多い電磁波は受信強度の増大に寄与する可能性が低いと考え、反射境界2に到達した電磁波線6の優先度を低く変更する。1本の電磁波線6は反射境界到達回数に応じて優先度がどんどん低くなる。
【0026】
さて、図5のように発信点4から反射境界2に到達するまでの延長距離によって優先度を付与する理由は、距離が延びれば強度が弱まるからである。具体的には、電磁波のエネルギPは距離Rの二乗に反比例して弱まる。距離Rが2倍になるとエネルギPは1/4倍になる。
【0027】
P=A×(1/R2) (Aは定数) (1)
一方、図6のように電磁波線6が反射境界2に到達したら優先度を低くする理由は、反射によって強度が弱まるからである。反射で生じる減衰量は反射境界2における反射特性の設定値に依存する。レイトレース法では、壁、障害物などの全ての反射境界に対して反射係数及び透過係数を設定する必要がある。これらの係数は、壁、床、天井、窓など反射境界の材質による。その材質には、ガラスのように大半の電磁波を透過させることが分かっている建材もあれば、電磁シールド室で測定しなければ分からない建材もある。材質を無視し、簡易に係数を一律と考える方法もある。ここでは、反射係数を一律に0.5とする。
【0028】
反射が1回ある場合、式(1)に反射係数0.5をかける。
【0029】
P=A×(1/R2)×0.5 (2)
反射が2回ある場合、式(1)に反射係数0.5を2回かける。
【0030】
P=A×(1/R2)×0.5 (3)
このように計算したエネルギPでもって優先度を決めれば、延長距離による優先度と反射回数による優先度を複合させることができる。
【0031】
優先度の変更後、変更時点で優先度の最も高い電磁波線6の延長を継続する。その延長した電磁波線6が反射境界2に到達したら、また優先度の変更を行う。このようにして、延長の継続と優先度の変更とを繰り返すと、最初の反射境界2に到達したときに延長距離に応じて与えられた優先度は、その後は、反射境界2に到達したという事象の度に低下されることになる。図7に示した2本の電磁波線6では、仮に最初に反射境界2に到達したとき付与した優先度が同じであったとしても、図7のように違っていたとしても、太線で示した電磁波線6のほうが反射境界到達回数が少ないので優先度が高い。また、図7に示した2本の電磁波線6は、仮に発信点4から最後の反射境界2に到達するまでの延長距離が同じであったとしても、太線で示した電磁波線6のほうが反射境界到達回数が少ないので優先度が高い。
【0032】
最初の延長及びその後の延長の継続と優先度の変更との繰り返しを行っている間、電磁波線6が受信点5に到達したならば、その電磁波線6を保存する。この電磁波線6については受信点5まで追跡が完了したので、優先度を除去し、その後の延長の継続には関与させない。
【0033】
また、電磁波線6が反射境界2に到達したときに、その電磁波線6の利得を算出し、この利得が所定のしきい値以下であれば、この電磁波線6は廃棄するようにしてもよい。一般に、電磁波の利得は、伝搬した距離と壁や障害物で反射したときの減衰とに依存するので、本発明においては、発信点4から今回の反射境界2に到達するまでの延長距離と図1、図2で反射境界2を想定したときに設定した反射特性とから計算できる。しきい値は、仮に当該反射境界2で受信をしたときに、受信が正常に行える程度のS/N比が得られると思われる利得の限界値に設定しておく。受信点5に到達する以前にしきい値まで減衰した電磁波線6がその後何回かの反射を経過した後に受信点5に到達したとしても、受信強度の増大に寄与しないと見なせる。よって、この電磁波線6は廃棄する。
【0034】
このようにして、各電磁波線6を延長していく間に、受信点5まで追跡が完了した電磁波線6は保存され、しきい値まで減衰した電磁波線6は廃棄されるので、延長の対象となり得る電磁波線6の本数は減ってくる。これらの後回しにされた電磁波線6は、反射境界到達回数が増えて優先度が低くなった電磁波線6であり、既に保存された電磁波線6に比べて受信点5の受信強度への寄与はあまり期待できない。そこで、受信点5に到達して保存された電磁波線6の本数が所定本になったら、残りの電磁波線6については延長を中止し、到達した電磁波線6から受信点5の受信強度を算出し、発信点4での発信強度に対する受信点5の受信強度、即ち、利得を算出する。
【0035】
この利得に基づいて発信点5を評価する。例えば、無線LANの信号送受信が所定のS/N比で行うことができる利得を予めしきい値としておく。上記算出した利得がしきい値を越えていれば、発信点4は合格であり、しきい値に満たなければ不合格である。
【0036】
発信点4が不合格の場合には、エリア1内の異なる位置に発信点4を移動させて図4以降の手順をやり直す。
【0037】
以上の手順により、ノード配置が決定できる。
【0038】
本発明も従来技術も発信点から複数の方向に延長される電磁波線を想定し追跡する点では同じだが、本発明にあっては電磁波線6を1本ずつ手当たり次第に受信点に到達するまで追跡するのではなく、最初に反射境界2に到達したところで優先度を付与し、その後は、優先度の高い順に電磁波線6を延長するようにしたので、優先度の低い電磁波線6を無駄に延長する過程が省略できる。このとき優先度は電磁波線6の延長距離に基づいて付与するので、電磁波強度の強い電磁波線6が優先的に延長されることになる。また、反射境界2に再び到達した電磁波線6は優先度を低く変更することで、反射境界到達回数が多いために受信強度の増大に寄与する可能性が低い電磁波線6の優先度が下がる。相対的に、受信強度の増大に寄与する可能性が高い電磁波線6の優先度が上がる。その後、優先度の高い所定本数の電磁波線6が受信点5に到達したところで発信点4を評価するので、優先度の低い電磁波線6を無駄に延長する過程が省略できる。
【0039】
このように、電磁波線6を延長する演算が大幅に省略できるので、ノード配置決定全体の計算時間を短縮することができ、最初に発信点4において想定する電磁波線6の本数を多くしてもノード配置決定全体の計算時間に大きな影響を与えない。従って、受信先に高い強度で到達するはずの電磁波線6を見落とす確率が低くなり、受信強度算出の精度を高めることができる。
【0040】
図1〜図7による手順の説明では、反射境界2(反射境界3も含む)を均一な反射特性としたが、壁、障害物、窓等における反射・吸収・透過の係数も考慮して場所ごとに反射境界2の反射特性を異ならせてもよい。
【0041】
また、受信点5の近傍に比較的範囲の広い受信テリトリを仮定し、受信テリトリを通過する電磁波線6については、受信点5に到達したと判定してもよい。さらに、受信テリトリを通過する電磁波線6があったとき、発信点4においてその電磁波線6と隣接する電磁波線6との間に新たな電磁波線6を想定することで、電磁波線間隔を精密にして追跡するようにしてもよい。
【0042】
次に、本発明のプログラムについて説明する。
【0043】
本発明のプログラムは、大別して電磁波線追跡のプログラムと受信電磁波線処理のプログラムとから構成される。
【0044】
図8に示されるように、電磁波線追跡のプログラムは、無線LANを設置する部屋を模擬した反射境界2で囲まれたエリア1を想定するエリア想定ステップS1と、このエリア1内に発信点4と受信点5とを配置する点配置ステップS2と、発信点4から周囲の複数の方向に直進して延長される電磁波線6を想定する電磁波線想定ステップS3と、これら電磁波線6が発信点4から反射境界2に到達するまでの延長距離に基づいて各電磁波線6に優先度を付与する優先度付与ステップS4と、この優先度の高い順に電磁波線6を延長するべく最も優先度の高い電磁波線6を延長する電磁波線延長ステップS5と、反射境界2に到達した電磁波線6は優先度を低く変更する優先度変更ステップS6と、電磁波線6が反射境界2に到達したときに、その電磁波線6の利得を算出し、この利得が所定のしきい値以下であれば、この電磁波線6は廃棄する廃棄ステップS7と、変更時点で優先度の高い順に電磁波線6の延長を継続するべく電磁波線延長ステップS5に戻る電磁波線延長継続ステップS8とを有する。
【0045】
図9に示されるように、受信電磁波線処理プログラムは、電磁波線6が受信点5に到達したならば、その電磁波線6を保存し、その後の延長の継続には関与させないようにする電磁波線保存ステップS11と、所定本数の電磁波線6が受信点に到達した(保存した)とき、これら到達した電磁波線6の延長距離及び反射境界到達回数から利得を算出する利得算出ステップS12と、この利得に基づいて発信点を評価する発信点評価ステップS13とを有する。電磁波線6が受信点5に到達しないとき、及び保存した電磁波線6が所定本数に満たないときは、図8の電磁波線追跡のプログラムに戻るようになっている。
【0046】
図8の電磁波線追跡のプログラムは、S1からS4までの初期設定を実行した後は、S5〜S8を繰り返し実行する。この電磁波線追跡のプログラムの処理中に電磁波線6が受信点5に到達したイベントが発生するごとに、図9の受信電磁波線処理プログラムの電磁波線保存ステップS11が実行される。このとき所定本数の電磁波線6が受信点5に到達したら、図8の電磁波線追跡のプログラムは実行が終了される。これらのプログラムの実行により実現される動作は図1〜図7で説明したイメージのとおりである。
【0047】
電磁波線追跡のプログラムの実行中の計算値に基づいて図1〜図7のような画像をコンピュータに表示させるプログラムを設けてもよい。
【0048】
これからノードを設置しようという現場において、コンピュータに本発明のプログラムを実行させれば、簡易にかつ短時間でノード配置が決定できる。オペレータは、S1,S2の初期設定において部屋の見取り図や障害物配置に従ってエリア1の座標を入力し、端末配置に従って受信点5の座標を入力し、所望のノード位置として発信点4の座標を入力するだけで、コンピュータから発信点4の評価結果を知ることができる。発信点4の評価が良好でない場合はS2からやり直しすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の手順を作図のイメージで表した図である。
【図2】本発明の手順を作図のイメージで表した図である。
【図3】本発明の手順を作図のイメージで表した図である。
【図4】本発明の手順を作図のイメージで表した図である。
【図5】本発明の手順を作図のイメージで表した図である。
【図6】本発明の手順を作図のイメージで表した図である。
【図7】本発明の手順を作図のイメージで表した図である。
【図8】本発明のプログラムの流れ図である。
【図9】本発明のプログラムの流れ図である。
【符号の説明】
【0050】
1 エリア
2 反射境界
3 反射境界
4 発信点
5 受信点
6 電磁波線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LANを設置する部屋を模擬した反射境界で囲まれたエリアを想定し、このエリア内に発信点と受信点とを配置し、発信点から周囲の複数の方向に直進して延長される電磁波線を想定し、これら電磁波線が発信点から反射境界に到達するまでの延長距離に基づいて各電磁波線に優先度を付与し、この優先度の高い順に電磁波線を延長し、反射境界に再び到達した電磁波線は優先度を低く変更し、その変更時点で優先度の高い順に電磁波線の延長を継続し、受信点に到達した電磁波線を保存しておき、所定本数の電磁波線が受信点に到達したとき、これら到達した電磁波線の延長距離及び反射境界到達回数から利得を算出し、この利得に基づいて発信点を評価し、この発信点に対応する部屋内位置に無線LANのノードを配置するようにしたことを特徴とする無線LANにおけるノード配置決定方法。
【請求項2】
上記部屋内に障害物がある場合には、上記エリア内の該当位置に反射境界を設定することを特徴とする請求項1記載の無線LANにおけるノード配置決定方法。
【請求項3】
上記電磁波線が反射境界に到達したときに、その電磁波線の利得を算出し、この利得が所定のしきい値以下であれば、この電磁波線は廃棄することを特徴とする請求項1又は2記載の無線LANにおけるノード配置決定方法。
【請求項4】
無線LANを設置する部屋を模擬した反射境界で囲まれたエリアを想定するエリア想定ステップと、このエリア内に発信点と受信点とを配置する点配置ステップと、発信点から周囲の複数の方向に直進して延長される電磁波線を想定する電磁波線想定ステップと、これら電磁波線が発信点から反射境界に到達するまでの延長距離に基づいて各電磁波線に優先度を付与する優先度付与ステップと、この優先度の高い順に電磁波線を延長する電磁波線延長ステップと、反射境界に到達した電磁波線は優先度を低く変更する優先度変更ステップと、その変更時点で優先度の高い順に電磁波線の延長を継続する電磁波線延長継続ステップと、受信点に到達した電磁波線を保存しておく電磁波線保存ステップと、所定本数の電磁波線が受信点に到達したとき、これら到達した電磁波線の延長距離及び反射境界到達回数から利得を算出する利得算出ステップと、この利得に基づいて発信点を評価する発信点評価ステップとをコンピュータが解読可能に記述したことを特徴とする無線LANにおけるノード配置決定に用いるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−109245(P2006−109245A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295014(P2004−295014)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】