説明

照明システムおよび照明制御装置

【課題】照明装置により照射される対象物の照度を適切に調整するための技術を提供することを課題とする。
【解決手段】照明制御装置3は、看板102を含む領域を撮像する。照明制御装置3は、看板102の領域内、および、看板102の周辺領域内に、2つの測光エリアを設定する。照明制御装置3は、2つの測光エリアの照度を算出し、照度差が所定の基準を満たすように、照明制御情報を生成する。照明装置2は、生成された照明制御情報に基づいて、看板102に照射する光量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の照度を調整するための照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明エリア内の照度を検知し、検知した照度に応じて照明器具の明るさを調整するシステムが存在する。
【0003】
特許文献1の調光装置は、外光レベルを検出する。特許文献1の調光装置は、外光レベルに応じて、照明器具の照度を調整するようにしている。特許文献2の照明制御装置は、センサによって周囲の明るさを検知する。特許文献2の照明制御装置は、検知した明るさのレベルと記憶している閾値とを比較した上で照明制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−3754号公報
【特許文献2】特開2008−251443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2においては、いずれも、周辺環境の照度を測定することで、照明エリア内の光量を調整している。照明エリア内の全体の照度を調整することが目的となっている。これに対して、たとえば看板など特定の対象物の照度を最適に調整したいという要望がある。しかし、このような要望に対して、有効な技術は未だ考えられていない。
【0006】
本発明の目的は、対象物の照度を調整し、対象物の視認性を向上させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態の照明ユニットは、照明装置と照明装置を制御するための照明制御装置とを備える。照明制御装置は、イメージセンサ、測光エリア設定部、制御装置および出力部を含む。イメージセンサは、対象物を含む領域を撮像する。測光エリア設定部は、イメージセンサによって取得された画像データの撮像範囲内で、対象物の領域内に第1測光エリアを設定し、および、対象物の周辺領域内に第2測光エリアを設定する。制御装置は、第1測光エリアと第2測光エリアとの照度差が所定の基準を満たすように、照明装置を制御するための照度制御情報を生成する。出力部は、照度制御情報を照明装置に対して出力する。照明装置は、照明制御情報に基づいて、対象物に照射する光量を調整する。
【0008】
本実施の形態の照明システムにおいて、測光エリア設定部は、対象物の領域内に第1測光エリアとは異なる第3測光エリアを設定する第3測光エリア設定部を含む。制御装置は、第1測光エリアと第3測光エリアとの照度差が所定の基準を満たすように照明制御情報を生成する。
【0009】
本実施の形態の照明システムにおいて、対象物は、看板を含む。
【発明の効果】
【0010】
対象物と対象物周辺の領域の照度差を考慮して、対象物の照度を調整することができる。対象物の照度だけを測定して対象物の照度を調整する場合と比較して、より正確に、対象物の照度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】照明ユニットの全体外観図である。
【図2】照明制御装置の外観図である。
【図3】ビルの屋上に照明ユニットを設置させた状態を示す図である。
【図4】照明制御装置のブロック図である。
【図5】インタフェース装置の機能を示す図である。
【図6】モニタに表示された測光エリアの指定枠を示す図である。
【図7】モニタに表示された測光エリアの指定枠を示す図である。
【図8】モニタに表示された測光エリアの指定枠を示す図である。
【図9】制御プログラムの処理内容を示すフローチャートである。
【図10】キャンセルエリア指定枠を示す図である。
【図11】第2の実施の形態に係る照明ユニットの設置状態を示す図である。
【図12】第2の実施の形態に係る測光エリアの指定枠を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
{第1の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る照明ユニット1の全体外観図である。照明ユニット1は、照明装置2と照明装置2に接続された照明制御装置3とを備えている。
【0013】
照明装置2は、本実施の形態においては、LED(Light Emitting Diodes)照明装置を利用している。
【0014】
照明制御装置3は、照明装置2を制御するための装置である。照明制御装置3は、ケーブル4を介して照明装置2に接続されている。
【0015】
図2は、照明制御装置3の外観図である。図2に示すように、照明制御装置3には、ケーブル6を介してモニタ5が接続されている。モニタ5は、環境設定時にのみ照明制御装置3に接続される。実際に照明エリア内で照明ユニット1が動作しているときには、モニタ5は取り外される。モニタ5としては、たとえば、320ドット×240ドットなどの小型の液晶モニタなどが利用される。
【0016】
図2に示すように、照明制御装置3には、ケーブル7を介して操作ユニット350が接続されている。操作ユニット350は、環境設定時にのみ照明制御装置3に接続される。実際に照明エリア内で照明ユニット1が動作しているときには、操作ユニット350は取り外すこともできる。操作ユニット350には、ボタンやカーソルで構成される操作部351が配置されている。
【0017】
また、本実施の形態においては、ケーブル7を利用して操作ユニット350を照明制御装置3に接続しているが、操作ユニット350を無線通信を利用して照明制御装置3に接続してもよい。無線を利用する場合には、小電力無線やZigBeeなどを利用することができる。
【0018】
本実施の形態においては、操作ユニット350を照明制御装置3とは別の外部ユニットで構成しているが、操作部351を照明制御装置3に組み込み、装置表面に配置するようにしてもよい。
【0019】
図3は、照明ユニット1の設置状態を示す図である。この実施の形態においては、照明ユニット1は、ビル100の屋上101に設置され、看板102に光を照射する用途で使用される。照明装置2は、看板102を含む照明エリアに向けて光を照射するように設置されている。
【0020】
図4は、照明制御装置3のブロック図である。照明制御装置3は、CPU31、イメージセンサ32、インタフェース装置33、メモリ34およびタイマIC39を備える。
【0021】
CPU31は、照明制御装置3の全体制御を行う。イメージセンサ32は、看板102を含む照明エリア内を撮像する装置である。本実施の形態では、イメージセンサ32として、CMOSを利用している。しかし、イメージセンサ32の構成は特に限定されるものではない。イメージセンサ32として、CCDを利用してもよい。
【0022】
インタフェース装置33は、CPU31とイメージセンサ32との間に配置される。インタフェース装置33は、イメージセンサ32が取得した画像データに画像処理を行うハードウェアである。
【0023】
図5は、インタフェース装置33の機能を示す図である。インタフェース装置33の1つ目の機能は、図5に示すように、イメージセンサ32が取得した画像データ91を加工して、メモリ34に格納する画像データ92を生成する機能である。インタフェース装置33の1つ目の機能は具体的には、以下のとおりである。
【0024】
イメージセンサ32は、カラー画像センサである。本実施の形態のイメージセンサ32は、RGB色空間の画像データ91を出力する。インタフェース装置33は、画像データ91から輝度信号を抽出し、輝度信号のみからなる画像データ92を生成する。輝度信号としては、たとえばG信号を抽出してもよい。イメージセンサ32がYCbCr色空間の画像データを出力するのであれば、インタフェース装置33は、Y信号を抽出することで、画像データ92を生成してもよい。あるいは、輝度信号のみを出力するCMOSカメラユニットを利用するのであれば、CMOSカメラユニットから出力される輝度信号をそのまま用いることができる。
【0025】
さらに、インタフェース装置33は、画像データ91の解像度を低下させる処理を実行する。本実施の形態のイメージセンサ32は、640ドット×480ドットの解像度を有している。イメージセンサ32が取得した画像データ91の解像度をそのまま維持して画像データ92を生成してもよいが、画像のサイズが大きいとその後の照度判定処理の負荷が大きくなる。そこで、インタフェース装置33は、画像データ91の解像度を低下させ、低解像度の画像データ92を生成する。たとえば、インタフェース装置33は、4ドット×4ドットの16画素を1画素に置き換える。640ドット×480ドットの画像データ91は、160ドット×120ドットの画像データ92に変換される。画像の変換方法は特に限定されないが、たとえば、4ドット×4ドットのマトリクス内に存在するG信号(輝度信号)の平均値を計算することにより、変換後の画像データ92の画素を構成すればよい。もちろん、出力信号の解像度を選択できるカメラユニットをイメージセンサ32として利用するのであれば、イメージセンサ32において解像度を設定すればよい。
【0026】
インタフェース装置33の2つ目の機能は、イメージセンサ32が取得した画像データを加工して、モニタ5に出力するための表示用画像データ93を生成する機能である。インタフェース装置33は、イメージセンサ32が取得した画像データ91を、NTSCのベースバンド信号である表示用画像データ93に変換して出力ポート38に対して出力する。このように、インタフェース装置33は、画像データを、モニタ5の仕様にあわせた映像フォーマットに変換する映像変換装置を内蔵している。映像変換装置としては、RGBデジタル信号への変換であればエンコーダを備えていればよいし、デジタル信号からアナログ信号(例えばビデオコンポジット信号)への変換であればデコーダを備えていればよい。
【0027】
出力ポート38には、図2で示したケーブル6が接続される。出力ポート38およびケーブル6を介して、表示用画像データ93がモニタ5に出力される。オペレータは、モニタ5を照明制御装置3に接続することで、イメージセンサ32の取得した画像を参照することができる。インタフェース装置33は、イメージセンサ32の取得したカラーの画像をモノクロに変換して出力ポート38に出力してもよい。
【0028】
再び図4を参照する。メモリ34は、画像データ92の保存用に用いられる。画像データ92は、フレーム画像である。メモリ34に保存された画像データ92を利用することで、CPU31は、照明エリア内の照度を測定する。メモリ34に、過去複数フレームの画像データ92、92・・・を保存するようにしてもよい。過去複数フレームの画像データ92、92・・・を評価して、照明エリア内の照度を測定することができる。
【0029】
メモリ34には、また、CPU31において実行される制御プログラム81および設定プログラム82が保存されている。制御プログラム81は、画像データ92を解析することで、看板102を含む照明エリア内の照度を測定するプログラムである。設定プログラム82は、照明エリア内に測光エリアを設定するプログラムである。測光エリアとは、照明エリアの中に設定されるエリアであり、照度を測定する対象のエリアである。後で詳しく説明するが、照明エリア内には、複数の測光エリアが設定される。制御プログラム81は、測光エリアごとの照度を算出し、所定のアルゴリズムに従って、照明制御信号を生成する。メモリ34には、さらに、測光エリア情報83および設定データ84が保存される。測光エリア情報83および設定データ84については、後で説明する。
【0030】
出力ポート35には、図2で示したケーブル7が接続される。ケーブル7および出力ポート35を介して、操作ユニット350からの操作信号がCPU31に入力される。オペレータは、操作ユニット350を照明制御装置3に接続することで、照明制御装置3に対する各種の設定操作を行うことができる。
【0031】
次に、測光エリアの設定方法について説明する。測光エリアの設定は、照明ユニット1の使用を開始するときに、初期設定として行われる操作である。オペレータは、測光エリアを設定するために、まず、照明制御装置3を実際の設置場所に取り付けて固定する。固定方法は図3で示した態様に限定されるものではない。この実施の形態においては、図3に示すように、オペレータは、照明ユニット1をビル100の屋上101に取り付ける。さらに、オペレータは、図2に示すように、モニタ5および操作ユニット350を照明制御装置3に接続する。これにより、モニタ5には、実際の設置環境においてイメージセンサ32が取得するアングルで画像が表示される。
【0032】
ここで、オペレータとは、たとえば、照明ユニット1の取り付け設定を行う業者である。オペレータは、照明装置2および照明制御装置3の設置を行うとともに、測光エリアの設定操作を現地で行う。
【0033】
続いて、オペレータは、操作部351を操作して、設定プログラム82を起動させる。設定プログラム82は、まず、モニタ5に表示されている表示用画像データ93に重ねて、デフォルトの位置に測光エリアのエリア指定枠821を表示させる。図6は、モニタ5に表示された表示用画像データ93とエリア指定枠821とを示す図である。図では、デフォルト位置として、表示用画像データ93の中央上部の位置にエリア指定枠821が表示されている。
【0034】
オペレータは、操作部351を操作することで、エリア指定枠821の設定操作を行う。この実施の形態においては、設定プログラム82は、表示用画像データ93の撮像エリアを複数のブロックに区分して管理している。図6の例では、デフォルトとして、単一のブロックサイズのエリア指定枠821が表示されている。オペレータは、操作部351を操作して、撮像エリア内の任意のブロックから1つあるいは複数のブロックを選択し、エリア指定枠821の設定操作を行う。オペレータは、エリア指定枠821の設定操作が終わると、操作部351を操作して、エリア指定枠821の決定操作を行う。操作部351によって行われた決定操作を入力すると、設定プログラム82は、エリア指定枠821の位置およびサイズの情報を測光エリア情報83としてメモリ34に保存する。
【0035】
図7は、モニタ5に表示された表示用画像データ93とエリア指定枠821とを示す図である。図では、エリア指定枠821で設定された測光エリアがハッチングにより描かれている。図6に示したデフォルト状態と比べて、エリア指定枠821が拡大していることが分かる。図6に示したデフォルト状態と比べて、エリア指定枠821の位置が移動していることが分かる。この例では、エリア指定枠821が、看板102を囲む領域に設定されている。
【0036】
看板102を対象物とするエリア指定枠821の設定が完了すると、オペレータは、続いて、看板102の周辺領域を対象とするエリア指定枠822の設定操作を行う。オペレータは、操作部351を操作し、エリア指定枠822の設定操作を行う。エリア指定枠822の設定方法は、上述したエリア指定枠821の設定方法と同様である。操作部351によってエリア指定枠822の決定操作が行われると、設定プログラム82は、エリア指定枠822の位置およびサイズの情報を測光エリア情報83としてメモリ34に保存する。図8は、モニタ5に表示された表示用画像データ93とエリア指定枠822とを示す図である。図では、エリア指定枠822で設定された測光エリアがハッチングにより描かれている。この例では、エリア指定枠822が、看板102の周辺領域に設定されている。オペレータが以上の作業を行うことにより、エリア指定枠821およびエリア指定枠822の設定が完了する。エリア指定枠821およびエリア指定枠822の設定が完了すれば、オペレータは、照明制御装置3からモニタ5および操作ユニット350を取り外す。
【0037】
次に、図9を参照しながら、照明制御の方法について説明する。上述した設定プロセスにより、2つの測光エリアが設定された後、照明装置2および照明制御装置3が実際に制御プログラム81の制御のもとで動作する。制御プログラム81は、対象物の照度をユーザの要望にあわせて最適に制御するためのプログラムである。対象物は、この実施の形態においては、看板102である。図9は、CPU31において実行される制御プログラム81のフローチャートである。制御プログラム81は、図9に示すフローチャートを実行することで、対象物の照度を最適制御する。
【0038】
図9に示す処理を実行する前提として、イメージセンサ32は、常時、照明エリア内の画像を撮像している。インタフェース装置33から出力された画像データ92は、たとえば1fps(frame per second)などのフレームレートでメモリ34に保存される。
【0039】
制御プログラム81は、まず、設定データなどを参照し、制御時刻をセットする(ステップS201)。制御時刻は、看板102に対する照度の調整を行う開始時刻と終了時刻の情報を含んでいる。次に、制御プログラム81は、タイマIC39から現在時刻を取得し、現在時刻が制御時刻内であるか否かを判定する(ステップS202)。現在時刻が制御時刻内であれば、制御タイマをリセットする(ステップS203)。これにより、照明制御を行うタイミングのカウントが開始される。制御プログラム81は、制御タイマを参照し、制御タイミングが到来しているか否かを判定する(ステップS204)。たとえば、5秒間隔あるいは10秒間隔などのタイミングで照明制御が行われる。たとえば、前述した制御時刻が、26時から6時までに設定されているとする。この場合であれば、制御時刻内である26時から6時までの間は、制御タイミングを測定し、照明制御を行う。制御時刻外である6時〜26時までの間は、たとえば照明はOFF状態となるので、制御タイミングの検知プロセスなどは省略することができる。タイマICとして電波時計ICを利用する場合は、制御時刻の管理を自動化させることができる。
【0040】
制御タイミングが到来すると、制御プログラム81は、メモリ34から最新の画像データ92を取得する(ステップS205)。
【0041】
次に、制御プログラム81は、測光エリア情報83を参照し、照明エリア内に設定された複数の測光エリアの位置およびサイズを取得する(ステップS206)。この実施の形態においては、上述したように、エリア指定枠821および822により設定された2つの測光エリアが設定されている。
【0042】
続いて、制御プログラム81は、各測光エリアの照度を算出する(ステップS207)。制御プログラム81は、エリア指定枠821で設定された測光エリアの照度、および、エリア指定枠822で設定された測光エリアの照度を算出する。つまり、看板102の領域内の照度と看板102の周辺領域の照度とを算出する。照度の算出方法は特に限定されない。たとえば、測光エリア内の輝度値の平均値を照度として用いてもよい。
【0043】
次に、制御プログラム81は、制御プログラム81内に記述されたアルゴリズムに従い、照明制御情報を算出する(ステップS208)。
【0044】
制御プログラム81に記述されたアルゴリズムについて説明する。本実施の形態において、制御プログラム81は、周辺の領域の照度を計測し、予め設定された数値以下の場合、看板102の領域内における照度と看板102の周辺の領域の照度とを比較する。つまり、制御プログラム81は、エリア指定枠821内の照度とエリア指定枠822内の照度とを比較する。制御プログラム81は、エリア指定枠821内の照度とエリア指定枠822内の照度との差が予め設定された基準を満たすように、照明制御情報を生成する。制御プログラム81は、周辺の領域の照度が予め設定された数値よりも大きい場合は、照明をOFFするなどの制御を行う。たとえば、制御時刻内であるが日光により看板102に充分な照度が得られるのであれば、照明をOFFさせて、消費電力を低減させることができる。
【0045】
メモリ34には、設定データ84が格納されている。設定データ84には、エリア指定枠821内とエリア指定枠822内の照度差の条件を示す情報が格納されている。たとえば、設定データ84には、看板102の領域であるエリア指定枠821内と、看板102の周辺領域であるエリア指定枠822内のとの照度差の最適値が設定されている。照度差の最適値は、ある程度の幅を持っていてもよい。看板102を目立たせるという目的だけであれば、照度差が最大となるように調整すればよい。つまり、照明装置2は、常に最大出力で看板102を照射すればよいことになる。しかし、照明装置2の出力を上げることにより、消費電力が大きくなり、コスト面、省エネルギーの観点、および環境面の点で問題がある。消費電力をなるべく少なくしつつ、看板102が明確に参照できるような光を看板102に照射できることが望ましい。設定データ84は、初期設定時にオペレータにより設定される。たとえば、オペレータは、実際の設置環境で、照明装置2の照度を様々に調整することにより、ユーザにとって最適な状態を確認すればよい。オペレータは、看板102の領域と看板102の周辺領域との照度差がどの程度必要かを確認すればよい。ユーザは、看板102を目立たせることができるという目的と、消費電力をなるべく抑えるという観点から、照度差の基準を判断すればよい。ユーザによって確認された照度差の値をオペレータは設定データ84に設定する。
【0046】
また、日中と夜間では、照度差と看板102の視認性との関係が異なる。夜間であれば、周辺領域が暗いため、比較的照度差が小さくても、看板102の視認性が上がるケースも考えられる。したがって、設定データ84には、時間帯別の照度差を設定するようにすればよい。時刻帯の設定は、システム内にある、例えば電波時計などの機能を有するタイマIC39あるいはCPU内にあるタイマ機能を使用しても良い。
【0047】
以上の処理により、制御プログラム81が照明制御情報を算出すると、CPU31は、出力ポート37を介して照明制御情報を出力する。照明制御情報は、出力ポート37およびケーブル4を介して照明装置2に出力される。照明装置2は、入力した照明制御情報にしたがって、光量を調整する。
【0048】
看板102の周辺領域に設定されるエリア指定枠822は、看板102に隣接した領域に設定することが一般的には、好ましい。看板102の視認性は、隣接する領域とのコントラストが重要な要因となるからである。
【0049】
看板102の周辺領域に照度の高い物体などがある場合、照度差の判定が難しくなる。たとえば、図10に示すように、ビル100の横に、電光掲示による看板103が存在するとする。図8で示したエリア指定枠822により看板周辺の照度を測定すると、看板周辺の照度が高く判定され、それに応じて看板102に照射する光を必要以上に高く設定してしまうことになる。そこで、オペレータは、操作部351を操作して、看板103の周辺をキャンセルエリア指定枠831に設定する。照明制御装置3は、エリア指定枠822からキャンセルエリア指定枠831の領域を除いた上で、看板周辺領域の照度を算出する。これにより、看板102の周辺の照度を適切に判定することができる。
【0050】
このように、本実施の形態の照明ユニット1は、対象物と対象物周辺の領域の照度差を考慮した上で、対象物の照度を調整することができる。対象物の照度だけを測定して対象物の照度を調整する場合と比較して、より正確に、対象物の照度を調整することができる。これにより、対象物の視認性を高めることができる。たとえば、周辺領域が暗い場合には、それに応じて対象物の照度を低下させることも可能であり、消費電力の低減を図ることができる。周辺領域が明るくなったときには、それに応じて対象物の照度も上昇させることで、対象物を目立たせることができる。外部の環境が変化した場合であっても、周辺領域との照度差を常に維持することができるので、看板の広告機能を安定して維持することができる。また、常時、高い照度を維持する方法と比べて消費電力の低減を図ることができる。
【0051】
{第2の実施の形態}
図11は、第2の実施の形態に係る照明ユニット1の使用態様を示すである。第2の実施の形態においては、ビル100の屋上101には、2台の照明ユニット1Aおよび1Bが設置されている。照明ユニット1Aおよび1Bは、いずれも、第1の実施の形態で説明した照明ユニット1と同様のユニットである。つまり、照明ユニット1Aおよび照明ユニット1Bは、それぞれ照明装置2および照明制御装置3を備えるユニットである。
【0052】
照明ユニット1Aは、第1の実施の形態の照明ユニット1と同じ設定が行われている。つまり、照明ユニット1Aは、看板102のほぼ正面に設置され、看板102の全体に照明光を与える。照明ユニット1Aでは、図7および図8で示したように、エリア指定枠821および822が設定されている。
【0053】
照明ユニット1Bは、照明ユニット1Aの左横に設置されている。照明ユニット1Bの照明装置2は、看板102の一部に照明光を照射している。図11の例では、照明ユニット1Bは、会社名「ABC」部分に集中的に光を照射している。つまり、照明ユニット1Bは、看板102の中で、最も強調したい部分に光を照射するよう配置されている。照明ユニット1Bでは、照明ユニット1Aと同様にエリア指定枠821が設定されている。また、照明ユニット1Bでは、図12に示すように、会社名「ABC」部分を領域とするエリア指定枠823が設定されている。
【0054】
照明ユニット1Aは、第1の実施の形態と同様、看板102の領域と、看板102の周辺の領域との照度差を最適な状態に保つように、照明装置2を制御する。
【0055】
照明ユニット1Bの照明制御装置3が保有する設定データ84には、エリア指定枠821とエリア指定枠823の照度差の最適値が設定されている。看板102の領域であるエリア指定枠821内の照度と、看板102の一部の領域であるエリア指定枠823内の照度との最適な関係が設定されている。会社名「ABC」を目立たせるという目的だけであれば、照度差が最大となるように調整すればよい。つまり、照明ユニット1Bの照明装置2は、常に最大出力で会社名「ABC」部分を照射すればよいことになる。消費電力等の問題が生じるのは上述したとおりである。消費電力をなるべく少なくしつつ、会社名「ABC」が明確に参照できるような照度差を設定する必要がある。設定データ84には、会社名「ABC」が明確に参照でき、かつ、消費電力をなるべく少なくすることのできる照度差の設定がされればよい。
【0056】
{その他の実施の形態}
図9のステップS204において、制御プログラム81は、最新の画像データ92を参照している。最新の画像データ92から看板102と看板102の周辺領域との照度差を算出している。他の実施の形態として、過去複数フレームの画像データ92を参照するようにしてもよい。
【0057】
外部の環境の変化によって、看板102と看板102の周辺領域との照度差が時々刻々変化する。この変化に追随して照明装置2の照度を調整した場合、頻繁に看板102に照射される光量が変化するケースが考えられる。このような状況を回避するために、過去複数フレームの画像データ92から、各エリア指定枠の平均照度を算出する。各エリア指定枠の平均照度差によって、照明装置2を制御することにより、光量の調整を緩やかに行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
1、1A、1B 照明ユニット
2 照明装置
3 照明制御装置
5 モニタ
100 ビル
101 屋上
102、103 看板
821、822、823 エリア指定枠
831 キャンセルエリア指定枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置と、
前記照明装置を制御するための照明制御装置と、
を備え、
前記照明制御装置は、
対象物を含む領域を撮像するイメージセンサと、
前記イメージセンサによって取得された画像データの撮像範囲内で、前記対象物の領域内に第1測光エリアを設定し、および、前記対象物の周辺領域内に第2測光エリアを設定する測光エリア設定部と、
前記第1測光エリアと前記第2測光エリアとの照度差が所定の基準を満たすように、前記照明装置を制御するための照度制御情報を生成する制御装置と、
前記照度制御情報を前記照明装置に対して出力する出力部と、
を含み、
前記照明装置は、前記照明制御情報に基づいて、前記対象物に照射する光量を調整する照明システム。
【請求項2】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記測光エリア設定部は、
前記対象物の領域内に前記第1測光エリアとは異なる第3測光エリアを設定する第3測光エリア設定部、
を含み、
前記制御装置は、前記第1測光エリアと前記第3測光エリアとの照度差が所定の基準を満たすように前記照明制御情報を生成する照明システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明システムであって、
前記対象物は、看板を含む照明システム。
【請求項4】
照明装置を制御するための照明制御装置であって、
対象物を含む領域を撮像するイメージセンサと、
前記イメージセンサによって取得された画像データの撮像範囲内で、前記対象物の領域内に第1測光エリアを設定し、および、前記対象物の周辺領域内に第2測光エリアを設定する測光エリア設定部と、
前記第1測光エリアと前記第2測光エリアとの照度差が所定の基準を満たすように、前記照明装置を制御するための照度制御情報を生成する制御装置と、
前記照度制御情報を前記照明装置に対して出力する出力部と、
を備える照明制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の照明制御装置であって、
前記測光エリア設定部は、
前記対象物の領域内に前記第1測光エリアとは異なる第3測光エリアを設定する第3測光エリア設定部、
を含み、
前記制御装置は、前記第1測光エリアと前記第3測光エリアとの照度差が所定の基準を満たすように前記照明制御情報を生成する照明制御装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の照明制御装置であって、
前記対象物は、看板を含む照明制御装置。
【請求項7】
請求項3に記載の照明ユニットと、前記看板とを含む看板ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−233299(P2011−233299A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101102(P2010−101102)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】