説明

照明システム

【課題】照明対象面の照度と基準値との明暗を比較する作業が容易に行える照明システムを提供する。
【解決手段】検査装置は、検査対象の印刷物が載せられる天板2bを備えた検査台2aと、天板2bの上方に位置して天板2bを照明する照明器具1と、天板2bの中央位置に埋設された照度センサ3と、照度センサ3の検出値と基準値とを比較した比較結果を表示部5aに出力する制御部6を備え、比較結果に基づいて照度が基準値を満たすように照明器具1を調光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物の撮像領域を照明する照明装置と、撮像領域を撮像する撮像カメラを備え、撮像データをもとに印刷物の検査を行う印刷物検査装置があった(特許文献1参照)。この印刷物検査装置では撮像カメラから得られた撮像データをもとに、撮像領域の照度を求め、撮像領域の照度が目標照度となるように照明装置の光出力を自動調整することが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−42837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記方法では、前記照明装置からの光出力が同じであっても、印刷物表面の反射率が異なると、撮像カメラの撮像データから求めた照度が異なるため、前記撮像領域の実際の照度が基準を満たさない可能性があった。したがって、印刷物の検査装置において印刷物が載せられる検査台の照度を基準値に調整するためには、検査台上の所定の箇所の照度を個別の照度計にて測定し、照度が基準値を満たさない場合には照明装置の光出力を調整する必要があった。そのため、印刷物の検査を行う際に基準の照度が確保された視環境を提供するためには、照度を測定する度に定規や治具などを用いて照度の測定位置を精確に決定した後、前記測定位置に配置された照度計で照度を求めて、前記照明装置の光出力を調整しなければならず、照度の測定や前記照明装置の出力調整に手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、照明対象面の照度を基準値と比較する作業を容易に行える照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の照明システムは、照明器具の照明対象面に埋設された照度センサと、前記照度センサの検出値と基準値とを比較した比較結果を出力する比較部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この照明システムにおいて、前記比較結果を表示する表示部を備えることが好ましい。
【0008】
この照明システムにおいて、前記比較結果に基づいて前記照度センサの検出値が前記基準値を満たすように前記照明器具を調光する制御部を備えることが好ましい。
【0009】
この照明システムにおいて、前記照度センサを開閉自在に覆うカバーを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、照明システムを使用する際に照明対象面の照度と基準値との明暗を比較する作業が容易に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の検査装置の側面図である。
【図2】(a)と(b)は同上の照度センサ部を部分拡大した上面図である。
【図3】同上の検査装置を前側から見た斜視図である。
【図4】同上の照明器具部の側面断面図である。
【図5】同上のブロック図である。
【図6】同上の調整作業のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では本実施形態の照明システムを印刷物の検査装置に適用した実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0013】
この検査装置は、図1〜図5に示すように、天板2b上に検査対象の印刷物(図示せず)が載せられる検査台2aと、天板2bの上方に位置し天板2b及び前記印刷物を照明する照明器具1と、天板2bの中央位置に埋設された照度センサ3とを備える。照度センサ3は例えばフォトダイオードからなり、天板2bの中央位置にて照度を検出する。ここにおいて中央位置とは、天板2bにおいて検査対象の印刷物が載せられる領域の略中央の位置をいう。
【0014】
また、本検査装置は図5のブロック図に示すように、制御部6と表示部5aと操作部11とをさらに備えている。
制御部6は基準値と照度センサ3の検出値とを比較した比較結果を表示部5aに出力し、比較結果に基づいて照度が国際規格(ISO3664)で規定された基準値を満たすように照明器具1を調光する。ここにおいて、制御部6により、基準値と照度センサ3の検出値とを比較した比較結果を表示部5aに出力する比較部が構成される。
【0015】
表示部5aは、例えばタッチパネル機能付きの液晶ディスプレイからなり、天板2b上に設置された支持部5bによって、検査台2aの正面に立った作業者から視認及び操作しやすい位置に支持されている。
【0016】
天板2bには照度センサ3を覆うカバー4が、例えば既知のレール構造を備えることでスライド移動自在に取り付けられている。なお、図1,図3ではカバー4の図示を省略してある。このカバー4は図2(a)の照度センサ3を覆う状態と、図2(b)の照度センサ3を露出させる状態とに切り替えられる。カバー4が閉じた状態では天板2bとカバー4との間に段差が生じないようになっている。なお、カバー4は天板2bに着脱自在に設けられてもよく、照度調整時にはカバー4を外して照度センサ3を露出させるようにしてもよい。
【0017】
操作部11は例えば表示部5に備えられたタッチパネル、あるいは、天板2b上に備えられた操作スイッチ(図示せず)からなり、制御部6の動作モードを、印刷物の検査を行う検査モード、又は照度調整を行う調整モードに切り替える際に操作される。
【0018】
印刷物の検査装置では、通常、印刷物の検査を始める前に天板2bの視環境を確認することが行われており、視環境を確認する場合、作業者はカバー4を開き、操作部11を操作して調整モードに切り替える。一方、調整モードが終了すると作業者は操作部11を操作して検査モードに切り替えて、カバー4を閉じたのち、印刷物の検査を開始する。
【0019】
図4は照明器具1の断面図である。照明器具1は図4に示すように、平行に取り付けられた4本の直管形の蛍光ランプ7と、ランプ7の点灯回路8と、各ランプ7から図4の上方及び左右方向に向かう光を下方(天板2b側)へ反射する反射板9を備える。点灯回路8は、制御部6からの制御信号に応じてランプ7を調光する。
【0020】
ここで、図6のフローチャートを参照して、この検査装置の動作を説明する。検査装置の電源が投入されると、点灯回路8がランプ7を点灯させる(ステップS101)。制御部6は操作部11からの操作入力をもとに動作モードを判定する(ステップS102)。検査モードであればステップS201へ移行し、検査装置の状態が表示部5aに表示され、検査を行うことが出来る状態になる。
【0021】
一方ステップS102において調整モードと判定されると、作業者によってカバー4が開けられているので、照度センサ3によって照度が検出される(ステップS103)。ステップS103にて照度センサ3が検出した照度が国際規格(ISO3664)で規定された基準値を満たすと制御部6が判断した場合(ステップS104)は、制御部6によるランプ7の調光は終了し、検査装置の状態が表示部5aに表示される(ステップS201)。作業者は、表示部5aの表示を見て調整完了を確認するとカバー4を閉じ、検査を行える状態となる。一方ステップS104にて、照度センサ3の検出照度が国際規格(ISO3664)で規定された基準値を満たさないと制御部6が判断した場合、比較結果が表示部5aに表示され(ステップS105)、照度センサ3の検出照度が国際規格(ISO3664)で規定された基準値を満たすように制御部6がランプ7を調光(ステップS106)した後、ステップS103に移行する。
【0022】
上述のように、本実施形態に適用された照明システムでは、照明器具1の照明対象面に埋設された照度センサ3と、照度センサ3の検出値と基準値とを比較した比較結果を出力する比較部(制御部6)とを備える。
【0023】
これにより照度調整のために毎回所定の精確な位置で作業者が照度を測定するという手間を省くことができ、照度の検出値と基準値とを比較した結果が出力されるので、照度が基準値を満たしているか否かを確認できる。
【0024】
また、本実施形態に適用された照明システムでは、比較結果を表示する表示部5aを備える。
【0025】
これにより表示部5aの表示をもとに、作業者は比較結果を視覚的に確認できる。
【0026】
また、本実施形態に適用された照明システムでは、比較結果に基づいて照度センサ3の検出値が基準値を満たすように照明器具1を調光する制御部6を備える。
【0027】
これにより照度が基準値を満たすように、作業者が照明器具1を調光する作業を簡略化することができる。
【0028】
また、本実施形態に適用された照明システムでは、照度センサ3を開閉自在に覆うカバー4を備える。
【0029】
これにより照度センサ3は傷や汚れがつきにくくなり、照度センサ3の整備や交換といった保守の手間を減らすことができる。
【0030】
なお、本実施形態では照度センサ3により検出された天板2b中央の照度を国際規格(ISO3664)で規定された基準値と比較しているが、1乃至複数の照度センサ3により天板2bの中央位置を中心とする所定の照射範囲(例えば1m×1m)で照度を検出し、上記照射範囲の照度均斉度がISO3664で規定された基準値である75%以上になっているか否かを判断しても良い。この場合は照度と照度均斉度の両方が基準値を満足しているか否かを比較して、その結果を表示部5aに出力させることができ、ISO3664で規定された視環境の下で印刷物の検査が行われる。
【符号の説明】
【0031】
1 照明器具
2a 検査台
2b 天板
3 照度センサ
4 カバー
5a 表示部
5b 支持部
6 制御部(比較部)
7 ランプ
8 点灯回路
9 反射板
11 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具の照明対象面に埋設された照度センサと、前記照度センサの検出値と基準値とを比較した比較結果を出力する比較部を備えたことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記比較結果を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
前記比較結果に基づいて前記照度センサの検出値が前記基準値を満たすように前記照明器具を調光する制御部を備えたことを特徴とする請求項1又は2の何れか記載の照明システム。
【請求項4】
前記照度センサを開閉自在に覆うカバーを備えたことを特徴とする請求項1ないし3の何れか記載の照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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