説明

照明制御システム

【課題】実際の使用状況に応じて適切な明るさに制御することができる照明制御システムを提供する。
【解決手段】少なくとも複数の照明機器Lと、照明空間を区割りしたエリアE毎に設置され照明空間の照度を計測する複数の照度センサSと、設定値に基づいて照明機器の照明出力を制御する制御部2とを備え、前記制御部は、夜間における前記照明機器の点灯時の前記照度センサによる計測値に基づいて前記エリア毎に設定値を設定し、昼間における前記照度センサの計測値が、前記設定値より高いときは、その該当エリアに設置された前記照明機器の照明出力を下げる一方、前記設定値よりも低いときは、その該当エリアに設置された前記照明機器の照明出力を上げる制御を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照度センサでの測定値に基づいて照明機器の無駄な点灯を省く制御を行う調光システムや照明制御装置が提案されている。
例えば特許文献1には、昼光の明るさを検知する昼光センサと、昼光センサの検知した明るさが一定レベル以上の時、昼光センサからの検知信号に対応してあるレベルの点灯状態から除々に一定時間かけて所定調光状態に照明負荷を調光制御する調光制御手段とを備えた調光システムが記載されている。
また特許文献2には、受光素子と、受光素子により照明空間の照度を測定する照明センサと、照明器具の照射を制御するコントローラとを備えた照明制御装置が記載されている。この照明制御装置は、受光素子の出力を演算して可視光線領域の成分を抽出し、抽出結果に基づいて照明空間を予め設定した所定照度になるように照明器具の照射を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−96489号公報
【特許文献2】特開2004−303582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように室内などの照明空間の明るさを制御する方法は種々提案されているが、実際に、その室内を使用する人にとって、その明るさが妥当なものかはわからない点が問題となる。すなわち、室内で必要な明るさの程度は、人の行動範囲や家具などの設置位置にも左右され、人が行動しない場所や家具などが設置されている場所などは明るさを必要としない。よって、照度センサによる計測値などに基づいて制御を行う場合でも、室内全体を一様に明るくする必要はないといえる。また室内を模様替えすることによって、家具などの配置や照明機器の設置位置が変わる場合、エリアによって必要な明るさが変わることもある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、実際の使用状況に応じて適切な明るさに制御することができる照明制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る照明制御システムは、少なくとも複数の照明機器と、照明空間を区割りしたエリア毎に設置され照明空間の照度を計測する複数の照度センサと、設定値に基づいて照明機器の照明出力を制御する制御部とを備え、前記制御部は、夜間における前記照明機器の点灯時の前記照度センサによる計測値に基づいて前記エリア毎に設定値を設定し、昼間における前記照度センサの計測値が、前記設定値より高いときは、その該当エリアに設置された前記照明機器の照明出力を下げる一方、前記設定値よりも低いときは、その該当エリアに設置された前記照明機器の照明出力を上げる制御を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記設定値は、夜間に前記エリア毎に計測を行い、前記エリア毎に計測値を複数回サンプリングして取得した数値の平均値としてもよい。
また本発明において、前記制御部は、前記設定値に基づいて昼間の前記照明機器の制御を行う日射利用運転モードと、通常の運転を行う通常運転モードとを切り替え制御するモード切替部を有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る照明制御システムは、上述のような構成としたことで、実際の使用状況に応じて適切な明るさに制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る照明制御システムが採用された室内の一例を示す模式的斜視図である。
【図2】同照明制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】(a)〜(c)同照明制御システムにおける制御の一例を示した表である。
【図4】同照明制御システムにおける夜間の設定値センシング処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】同照明制御システムにおける昼間の照明機器制御処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る照明制御システム1は、少なくとも複数の照明機器Lと、照明空間を区割りしたエリアE毎に設置され照明空間の照度を計測する複数の照度センサSと、設定値に基づいて照明機器Lの照明出力を制御する制御部2とを備えている。
制御部2は、夜間における照明機器Lの点灯時の照度センサSによる計測値に基づいてエリアE毎に設定値を設定する。そして昼間における照度センサSの計測値が、設定値より高いときは、その該当エリアEに設置された照明機器Lの照明出力を下げる(または照明出力をオフにしてもよい)。その一方、昼間における照度センサSの計測値が、設定値よりも低いときは、その該当エリアEに設置された照明機器Lの照明出力を上げる制御を行う。
以下、詳しく説明する。
【0011】
まず図1に示すように照明制御システム1が採用される室内、すなわち照明空間は、複数のエリアEに区割りされている。エリアEをどのように区割りするかは特になにか限定される事項があるわけではなく、例えば照明器具Lの設置場所毎にエリアEを区割りしてもよいし、エリアEを等分するようにわけてもよく、エリアEの広さに応じて設定される。区割りするエリアEの数が多いほど、きめ細かい制御を行うことができ、図例ではエリアEをE1〜E4の4つに分けた例を示している。以下ではひとつの照明空間を4つに区割りした場合について説明する。
【0012】
照明空間には、区割りされたエリアEの夜間及び昼間の照度を計測するため、エリアE毎に照度センサSが設けられている。具体的には、図1に示すように区割りされたエリアE1,E2・・・毎の周辺の壁などに照度センサS1,S2・・・が設置される。図1ではエリアE4の照度センサSの図示は省略しているが、実際には、エリアE4の周辺の壁などに設置される。なお、照度センサSは壁に設置されるものに限定されず、床に暖房パネルを配している場合は、暖房パネルのヒータブロック毎に日射センサを内蔵させるようにしてもよい。
照明機器Lの構成としては、特に限定されず、図例では、エリアE1に設置された家具10の上に吊り下げタイプの照明機器L1が設置され、エリアE2にはスタンドタイプの照明機器L2が設置されている。またエリアE3とエリアE4の間には、同じくエリアE3とエリアE4に設置されたテーブル11の上方に吊り下げタイプの照明機器L3が設置されている。図1において、1aは、照明空間の壁に設置され、この照明制御システム1のオンオフやモードの切り替え等を操作する操作部3等を備えた統合制御ユニットである。
【0013】
統合制御ユニット1aは、図2に示すように照明機器Lのオンオフ、モードの切り替え、センシングによる設定される設定値に基づいて制御を行う制御部2と、上述の操作部3と、夜間と昼間とを判別するために時間を計時するタイマ部4とを備えている。また制御部2は、設定値に基づいて昼間の照明機器Lの制御を行う日射利用運転モードと、通常の運転を行う通常運転モードとを切り替え制御するモード切替部20を備える他、設定値、計測値等を記憶するメモリ部(不図示)等を備えている。ここで、設定値の設定方法は、特に限定されないが、後述するように夜間の照明機器L点灯時にエリアE毎に計測を行い、エリアE毎の計測値を複数回サンプリングして取得した数値の平均値としてもよいし、夜間のピーク値を設定値としてもよい。
さらに本実施形態では、昼夜の判別をタイマ部4による計時によって判別する例を説明するが、これに限定されず図1に点線で示すように画像センサC(カメラ)を設置し、室内全体をセンシングして昼夜の判別を行うようにしてもよい。
そして統合制御ユニット1aと、制御対象となる複数の照明機器L(L1,L2・・・)及び照度を計測する複数の照度センサS(S1,S2・・・)とは、信号線が接続されている。これにより、制御部2から照明機器Lへ制御信号を送ることができる。また、照度センサSでの計測値を制御部2へ送ることができる。
このようにモード切替部20を有したものとすれば、日射利用運転モードと通常運転モードとを切り替え制御することができるので、使用者の所望するモードで使用することができる。
【0014】
図3(a)〜(c)は、照明制御システム1における制御の一例を示した表である。図3(a)に示した表は、各エリアE(E1〜E4)の夜間のセンシングにより決定された設定値を示している。また図3(b)に示した表は、各エリアE(E1〜E4)の昼間の照度センサS(S1,S2・・・)による計測結果を示している。図3(c)に示した表は、昼間の計測値と夜間のセンシングにより決定された設定値から行われる照明出力への制御内容を示している。この表では明るさを5段階の数値1〜5で示し、暗いほど「1」、明るいほど「5」で示している。
【0015】
例えば図3(a)の表から、エリアE1の夜間における照明機器Lの点灯時の照度センサS1の計測値に基づいて設定値が、明るさ「1」と判別されたとことがわかる。そして図3(b)より、昼間のエリアE1は、明るさ「2」と照度センサS1によって計測されているので、エリアE1は昼間における照度センサS1の計測値が、設定値より高いということになる。よって昼間の照度は十分にあるとして、エリアE1に設置された照明機器L1の照明出力を下げる制御がなされる。なお、この場合、照明出力をオフする制御を行うようにしてもよい。
【0016】
同様に例えば図3(a)から、エリアE2の夜間における照明機器Lの点灯時の照度センサS2の計測値に基づいて設定値が、明るさ「3」と判別されたとことがわかる。そして図3(b)より、昼間のエリアE2は、明るさ「2」と照度センサS2によって計測されているので、エリアE2は昼間における照度センサS2の計測値が、設定値より低いということになる。よって昼間の照度が足りないとして、エリアE2に設置された照明機器L2の照明出力を上げる制御がなされる。
【0017】
次いで例えば図3(a)から、上述と同様にみていくと、エリアE3及びE4の設定値が、明るさ「5」と判別されたとことがわかる。図3(b)より、昼間のエリアE3は明るさ「4」、エリアE4は明るさ「5」と計測されている。このエリアE3及びE4には、照明機器Lが照明機器L3のひとつなので、エリアE3の計測値に従えば、照明機器L3の照明出力を上げる制御がなされる。
このときの制御は、照明出力を上げる方に基づく制御としてもよいし、節電効果を挙げるために照明出力を下げる方に基づく制御としてもよい。また、エリアE4では、設定値と計測値が同じ値を示したので、照明出力の制御は行わない制御としてもよい。この場合も節電効果が期待できる。
以上によれば、例えば昼間の室内の明るさが、夜間における照明機器Lの点灯時の明るさよりも明るい場合は、そのエリアEの明るさは足りているとして照明機器Lの照明出力を下げる制御がなされる。したがって、実際の使用状況に応じて適切な明るさに制御することができるので、快適な空間とすることができるとともに、無駄な点灯を防ぎ節電することができる。
【0018】
次に図4を参照しながら、夜間の設定値センシング処理の動作の一例を説明する。なお、図4に示すフローチャートは一例であって、これに限定されない。
まずタイマ部4での計時によって夜間の時間帯に照明機器Lのオンされたら、エリアE毎に明るさのサンプリングを開始する(S100)。そしてエリアE1〜E4の明るさのサンプリングを順次エリアE毎に行う(S101)。エリアE毎の計測値を複数回サンプリングして取得した数値の平均値を設定値とする(S102,S104)。これを全エリアE1〜E4の設定値の設定が終了するまで行う(S103)。
【0019】
続いて図5を参照しながら、昼間の照明機器制御処理の動作の一例を説明する。なお、図5に示すフローチャートも一例であって、これに限定されない。
まずタイマ部4での計時によって昼間の時間帯に通常運転モードから日射利用運転モードにモード変更があると(S200)、照度センサSによるエリアE毎の明るさのサンプリングを開始する(S201)。そして例えばエリアE1の明るさが設定値とって計測された計測値が設定値と同じだった場合は、照明機器Lの出力制御は行わず、次のエリアEの計測値と設定値を比較する(S202,S206)。そこで、計測値が設定値より低い場合は、照明機器Lの照明出力を上げ、計測値が設定値より高い場合は照明出力を下げる制御を行う(S202〜S205)。ここで昼間の日射量は、時間とともに変化するので、昼間通常運転モードに切り替わらないかぎりはこの制御を繰り返し実施する。
以上によれば、明るさの設定が使用者に違和感を感じさせない明るさ、すなわち昼夜が同じ明るさの空間で過ごすことができる。また自動制御で照明出力の制御を行うことができ、使用者側での設定も不要なため、使用上の煩わしさもない。さらに使用者、エリアEにあった明るさの設定を行うことができるので、室内の模様替えや照明機器の設置位置の変更にも対応することができる。
【0020】
以上、実施形態で説明した照明制御システム1、照明機器L1,L2・・・、照度センサS1,S2・・・などの構成、形状等は図例に限定されない。例えば照明機器Lは、区割りされたエリアEの数以上あってもよいし、照明機器Lのタイプも図例の他、天井や壁などに直接取り付けられるもの、ダクトを介して取り付けられるものでもよい。また室内に設置された家具10やテーブル11の構成、形状等ももちろん限定されない。
【符号の説明】
【0021】
1 照明制御システム
L(L1,L2・・・) 照明機器
E(E1,E2・・・) エリア
S(S1,S2・・・) 照度センサ
2 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも複数の照明機器と、照明空間を区割りしたエリア毎に設置され照明空間の照度を計測する複数の照度センサと、設定値に基づいて照明機器の照明出力を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、夜間における前記照明機器の点灯時の前記照度センサによる計測値に基づいて前記エリア毎に設定値を設定し、昼間における前記照度センサの計測値が、前記設定値より高いときは、その該当エリアに設置された前記照明機器の照明出力を下げる一方、前記設定値よりも低いときは、その該当エリアに設置された前記照明機器の照明出力を上げる制御を行うことを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記設定値は、夜間に前記エリア毎に計測を行い、前記エリア毎に計測値を複数回サンプリングして取得した数値の平均値とすることを特徴とする照明制御システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記制御部は、前記設定値に基づいて昼間の前記照明機器の制御を行う日射利用運転モードと、通常の運転を行う通常運転モードとを切り替え制御するモード切替部を有していることを特徴とする照明制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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