説明

照明器具

【課題】LEDパッケージがバランスを崩すことによる配光ムラを小さくするとともに、温度効率および配線効率が優れた配線パターンを得ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】LEDパッケージ212の配置される円Rの中心CPに対するアノード・カソードの向き(AR)が、隣に配置されるLEDパッケージ212のアノード・カソードの向き(AR)と異なるように配置したので、照射面のムラを減少できる。また、配線パターン28の流れを自然に引けるようにすることにより配線効率を改善し、配線パターン28を広くして放熱面積を大きくすることにより温度効率を改善できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLEDを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネ等の観点から、LEDを用いた照明器具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図6(A)および図6(B)に示すように、特許文献1に記載の照明器具に用いられる発光モジュール100(以後、「LEDユニット100」という。)では、環状のベース102上に、5台の発光装置101(以後、「LEDパッケージ101」という。)が搭載されている。5台のLEDパッケージ101は、ベース102の中心Oを中心点として同一円周上に均等な中心角で配置されている。従って、隣接するLEDパッケージ101間の中心角度θは、72度で等しい。
【0003】
図6(B)に示すように、各LEDパッケージ101は、半径方向と直交する方向の間仕切り103により二等分されており、各領域にLEDが設けられている。すなわち、LEDパッケージ101の向きである間仕切り103の方向は、LEDパッケージ101ごとに異なった向きとなる。
これにより、発光ムラを抑えて光を合成されやすくなるため、発光モジュール100から照射される発光の、照射面における分離を回避することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−231525号公報(第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような従来の照明器具においては、各LEDの配線方向は、+−(アノード・カソード)の向きが間仕切り103と平行、すなわち、接線方向に向けられている。このため、等分に分割した中心角に対応して、各LEDパッケージの方向が規則的に変化するので、配光のムラ消し効果が弱くなる場合があるという問題があった。
また、逆に、+−(アノード・カソード)の向きが放射状に向けられている場合には、配線パターンが細くなったり、長くなったりして、温度効率、配線効率が不利になるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、LEDパッケージがバランスを崩すことによる配光ムラを小さくするとともに、温度効率および配線効率が優れた配線パターンを得ることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明器具は、同一円周上に配置される複数のLEDパッケージの当該円の中心に対するアノード・カソードの向きが、隣に配置されるLEDパッケージのアノード・カソードの向きと異なるものである。
【0008】
また、本発明の照明器具は、各LEDパッケージのアノード・カソードの向きを、LEDパッケージの個数で略均等に分割したいずれか一つの角度に設定したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、LEDパッケージの配置される円の中心に対するアノード・カソードの向きが、隣に配置されるLEDパッケージのアノード・カソードの向きと異なるように配置したので、照射面のムラを減少できる。また、配線パターンの流れを自然に引けるようにすることにより配線効率を改善し、配線パターンを広くして放熱面積を大きくすることにより温度効率を改善できるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態の照明器具の全体斜視図
【図2】天井に取り付けた灯具の断面図
【図3】LEDパッケージを搭載した基板の斜視図
【図4】(A)は基板に搭載されたLEDパッケージの設置方向を示す平面図であり、(B)はLEDパッケージおよび取付方向の拡大図
【図5】各LEDパッケージの取付方向を示す説明図
【図6】(A)は従来の照明器具に用いられるLEDユニットの構成を示す斜視図であり、(B)はLEDパッケージの配置を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1および図2に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、被取付部である天井11に設けられた取付孔12に埋設して下方を照明するダウンライトとすることができる。
【0012】
照明器具10は、光源であるLEDパッケージ21を収容して所定方向へ照明光を照射する灯具20を有する。
灯具20には、LEDパッケージ21を点灯させる電力を供給する電源部30が、電線31で接続されており、天井裏111に、灯具20とは別々に載置あるいは取り付けられる。
【0013】
図1および図2に示すように、灯具20は、円柱形状の枠体23に、回動可能(図1中矢印A参照)に支持されており、照明方向の調整が可能となっている。枠体23の下端(図1において下端)には、鍔部材24が取り付けられ、枠体23の側面には複数個(ここでは、例えば3個)の取付バネ25が略水平方向外側へ放射状に張り出して設けられている。
従って、図2に示すように、灯具20は、天井11の下面に鍔部材24を当接させ、取付バネ25が天井11の上面を下方へ押圧することにより、鍔部材24と取付バネ25とで天井11を挟んで取り付けられる。
【0014】
図1および図2に示すように、灯具20には、LEDパッケージ21が発する熱を放熱する複数枚の薄板状の放熱フィン22が一体的に設けられている。放熱フィン22は、灯具20の回動方向と反対側に設けられている幅広の第1放熱フィン221と、回動方向側に設けられている幅狭な第2放熱フィン222を有する。第2放熱フィン222側の枠体23上面には、灯具20を傾けた際に、第2放熱フィン222を下側から支持する板バネからなる押え板26が取り付けられている。
なお、第1放熱フィン221と、第2放熱フィン222を総称する場合には、放熱フィン22と記すこととする。
【0015】
図1に示すように、電源部30は、矩形箱形の筐体32を有し、例えば長手方向両端に、天井11に載置あるいは固定するための取付部33を有する。また、電源部30は、天井裏111に配線されている商用電源の電源線(図示省略)に接続するための接続端子台34を有しており、電源線の先端を接続端子台34に差し込みことにより電気的に接続されるようになっている。
【0016】
図2に示すように、灯具20には、複数のLEDパッケージ21を搭載する基板27が収容されている。
図3に示すように、基板27には、中心にLEDパッケージ211が搭載されており、このLEDパッケージ211の周囲に円周上(円R)に6個のLEDパッケージ212が搭載されている。
図4(A)に示すように、LEDパッケージ212は、基準線AR0から時計方向に略均等な中心角で配置される。すなわち、時計方向に、LEDパッケージ212A、LEDパッケージ212B、LEDパッケージ212C、LEDパッケージ212D、LEDパッケージ212E、LEDパッケージ212Fと配置される。
ここで、基準線AR0とは、中心のLEDパッケージ211の取付方向を示す矢印である。
【0017】
なお、中心のLEDパッケージ211と周囲のLEDパッケージ212とを区別することなく総称する際には、LEDパッケージ21で示す。
また、LEDパッケージ212A、LEDパッケージ212B、LEDパッケージ212C、LEDパッケージ212D、LEDパッケージ212E、LEDパッケージ212Fを総称する場合には、LEDパッケージ212で示す。
【0018】
図3および図4(A)に示すように、各LEDパッケージ21は、隣接するLEDパッケージ21と配線パターン28を介して電気的に接続される。配線パターン28は、同一円周上で隣り合うLEDパッケージ212の、カソード21Bとアノード21Aとを電気的に接続する。配線パターン28は、配線の流れが自然になるように設定する。
【0019】
図4(A)には、基板27に搭載されるLEDパッケージ21の円Rの中心CPに対するアノード21Aからカソード21Bに向かう取付方向が、矢印ARで示されている。
なお、取付方向とは、図4(B)に示すように、LEDチップ29からカソード(陰極)21B側に伸ばした矢印ARの方向である。
すなわち、アノード(陽極)21Aからカソード(陰極)21Bに向かう方向であり、同一円周上に配置されるLEDパッケージ212Aの方向を矢印ARAで示す。同様に、LEDパッケージ212Bの方向は矢印ARB、LEDパッケージ212Cの方向は矢印ARC、LEDパッケージ212Dの方向は矢印ARD、LEDパッケージ212Eの方向は矢印ARE、LEDパッケージ212Fの方向は矢印ARFで示す。
【0020】
ここで、同一円円周上(すなわち、円Rの周上)に配置される複数のLEDパッケージ212の、円Rの中心CPに対する取付方向(矢印AR)は、隣に配置されるLEDパッケージ212の取付方向と異なるように設定する。
すなわち、図4(A)に示すように、矢印ARは、全て別の方向に向かっていて、全てのLEDパッケージ212の取付方向が異なっており、隣のLEDパッケージ212とは取付方向が異なることがわかる。
【0021】
図5には、各LEDパッケージ212の取付方向である矢印ARを、1点を中心に重ねて表示した。各矢印ARが基準線AR0となす角度をθとする。すなわち、矢印ARAの角度をθA、矢印ARBの角度をθB、矢印ARCの角度をθC、矢印ARDの角度をθD、矢印AREの角度をθE、矢印ARFの角度をθFで表示する。
【0022】
各矢印ARは、中心から放射状に向かっており、全ての矢印ARが異なる向きであることがわかる。すなわち、隣同士を含めて全てのLEDパッケージ212は、異なる方向に取り付けられている。
また、各矢印ARは、図5に示すように、全周(360度)にわたって、略均等な中心角度で伸びている。すなわち、360度を、同一円周上のLEDパッケージ212の個数(すなわち6個)で略均等に分割したいずれか一つの角度に設定する。
さらに、各矢印ARは、LEDパッケージ212の配置順とはなっていない。すなわち、図5に示すように、矢印ARの時計回りの配置は、矢印ARF、矢印ARE、矢印ARA、矢印ARC、矢印ARB、矢印ARDであり、不規則である。
【0023】
以上、説明した本発明に係る実施形態の照明器具10によれば、LEDパッケージ212が配置される円Rの中心CPに対する取付方向(AR)が、隣に配置されるLEDパッケージ212の取付方向と異なるように配置したので、照射面のムラを減少できる。
また、配線パターン28の流れを自然に引けるようにすることにより配線効率を改善することができ、配線パターン28を広くして放熱面積を大きくすることにより温度効率を改善できる。
【0024】
また、各LEDパッケージ212の取付方向(AR)を、LEDパッケージ212の個数で略均等に分割したいずれか一つの角度に設定したので、照射面を全体として均一化できる。
【0025】
なお、本発明の照明器具は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、電源部30として、灯具20とは別個に設置する場合を例示したが、本発明は、電源部30が灯具20に取り付けられる場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 照明器具
21 LEDパッケージ
21A アノード
21B カソード
AR 矢印(取付方向)
CP 中心
R 円

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一円周上に配置される複数のLEDパッケージの当該円の中心に対するアノード・カソードの向きが、隣に配置されるLEDパッケージのアノード・カソードの向きと異なる照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
各LEDパッケージのアノード・カソードの向きを、LEDパッケージの個数で略均等に分割したいずれか一つの角度に設定した照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45706(P2013−45706A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183882(P2011−183882)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】