説明

照明器具

【課題】小型、低コストで微発光を抑制することができ、且つ施工性を向上させた照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具A1は、交流電源10から入力された交流を整流および昇圧した直流電力を出力する非絶縁型の電源回路1と、電源回路1が出力する直流電力によって点灯する1つ以上の半導体発光素子3を有する光源ユニット2と、接地経路Wa4を介して接地された導電材料で形成されて、電源回路1および光源ユニット2を設けた器具外郭4とを備える。給電路Wa2のスイッチSW1がオフした場合、半導体発光素子3は、接地相を有する交流電源10から、光源ユニット2と器具外郭4との間に形成された浮遊容量Ca、および接地経路Wa4を介して交流電力を供給され、この交流電力を供給されている半導体発光素子3の順電圧は、この順電圧による発光レベルが人の目に認識できない値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)等の半導体発光素子を光源とする照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フィラメントを有する電球や蛍光灯に代わって、寿命が長く、また消費電力の少ないLED等の半導体発光素子が照明器具の光源として採用されるようになってきている。
【0003】
図3は、従来の照明器具B1の概略構成を示しており、電源回路101と、光源ユニット102と、器具外郭104とで構成される。
【0004】
電源回路101は、交流電源110から入力される交流電圧Vi2を整流(全波整流または半波整流)し、整流電圧を昇圧した直流電力を出力する非絶縁型のAC/DCコンバータで構成される。
【0005】
光源ユニット102は、直列接続した複数の半導体発光素子103が実装された基板(図示なし)を具備しており、半導体発光素子103の直列回路の両端間には、電源回路101が出力する直流電圧Vo2が印加される。すなわち、半導体発光素子103は、電源回路101から供給される直流電力によって、点灯する。
【0006】
さらに、電源回路101の入力には、交流電源110から一対の給電路Wb1,Wb2を介して交流電力が供給されており、一方の給電路Wb2には、スイッチSW100が介挿されている。このスイッチSW100は、家庭用の壁スイッチのように交流電源の片切スイッチを構成しており、スイッチSW100をオン・オフすることによって、交流電源110から電源回路101への電源供給を導通・遮断し、半導体発光素子103の点灯・消灯を切り替えることができる。
【0007】
そして、器具外郭104は、金属等の導電性材料で形成されており、電源回路101、光源ユニット102が取り付けられている。なお、図3において、器具外郭104は、その一部のみを図示している。
【0008】
さらに、交流電源110は、接地相を有しており、接地相(スイッチSW100が介挿された給電路Wb2側)は、接地経路Wb3を介して接地している。そして、照明器具B1の器具外郭104も、接地経路Wb4を介して接地している。すなわち、器具外郭104は、交流電源110の接地相と同電位になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−72546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の照明器具B1では、スイッチSW100をオフした状態でも、半導体発光素子103が僅かに発光する微発光を発生し、半導体発光素子103が点灯しているように見えるという問題があった。
【0011】
これは、光源ユニット102を器具外郭104に近接して取り付けた場合、光源ユニット102と器具外郭104との間に発生する浮遊容量Cbによるものである。具体的には、スイッチSW100をオフした状態でも、交流電源110−給電路Wb1−電源回路101−半導体発光素子103−浮遊容量Cb−器具外郭104−接地経路Wb4−接地経路Wb3−交流電源110の電流ループが存在する。この電流ループには、交流電源110から電流が流れ込み、半導体発光素子103は、この電流ループを流れる電流によって、スイッチSW100をオフした状態でも微発光する。なお、浮遊容量Cbは、半導体発光素子103と器具外郭104との間の浮遊容量、半導体発光素子103が実装された基板と器具外郭104との間の浮遊容量、光源ユニット102のケースと器具外郭104との間の浮遊容量等で形成される。
【0012】
この問題を解決するため、従来の照明器具B1では、図3に示すように、光源ユニット102において、半導体発光素子103のそれぞれにコンデンサC100を並列接続している。該構成は、コンデンサC100によって、光源ユニット102と器具外郭104との間に発生する浮遊容量Cbを制限し、半導体発光素子103を含む電流ループを遮断して微発光を防止するものである。
【0013】
しかしながら、コンデンサC100を用いた場合、少なくとも半導体発光素子103と同数のコンデンサC100が必要となり、照明器具B1の構成部品が多くなる。而して、照明器具B1の小型化、低コスト化が阻害される要因となっていた。
【0014】
また、給電路Wb1,Wb2のうち、接地していない給電路Wb1にスイッチSW100を介挿すれば、上述の電流ループが形成されないので、微発光を防止できる。しかし、接地状況を考慮しながら、スイッチSW100を配線しなければならず、良好な施工性を得ることが困難であった。
【0015】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型、低コストで微発光を抑制することができ、且つ施工性を向上させた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の照明器具は、接地相を有する交流電源から一対の給電路を介して入力された交流を整流および昇圧した直流電力を出力する非絶縁型の電源回路と、前記電源回路が出力する前記直流電力によって点灯する1つ以上の半導体発光素子を有する光源ユニットと、接地経路を介して接地された導電材料で形成されて、前記電源回路および前記光源ユニットを設けた器具外郭とを備えて、前記一対の給電路のうち一方のみが遮断された場合、前記半導体発光素子は、前記交流電源から、前記光源ユニットと前記器具外郭との間に形成された浮遊容量、および前記接地経路を介して交流電力を供給され、この交流電力を供給されている前記半導体発光素子の順電圧は、この順電圧による発光レベルが人の目に認識できない値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明では、小型、低コストで微発光を抑制することができ、且つ施工性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態の照明器具の概略構成を示す回路図である。
【図2】同上の半導体発光素子の特性を示す順電圧−順電流特性図である。
【図3】従来の照明器具の概略構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態)
図1は、本実施形態の照明器具A1の概略構成を示しており、電源回路1と、光源ユニット2と、器具外郭4とで構成される。
【0021】
電源回路1は、交流電源10から入力される交流電圧Vi1を整流(全波整流または半波整流)し、整流電圧を昇圧した直流電力を出力する非絶縁型のAC/DCコンバータで構成される。なお、非絶縁型のAC/DCコンバータとは、入出力間が絶縁されていない構成を有するものであり、非絶縁型の昇圧機能を有するAC/DCコンバータの構成は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0022】
光源ユニット2は、直列接続した複数の半導体発光素子3が実装された基板(図示なし)を具備しており、半導体発光素子3の直列回路の両端間には、電源回路1が出力する直流電圧Vo1が印加される。すなわち、半導体発光素子3は、電源回路1から供給される直流電力によって、点灯する。なお、本実施形態において、半導体発光素子3はLEDで構成されるが、半導体発光素子の形態はLEDに限定されるものではない。
【0023】
さらに、電源回路1の入力には、交流電源10から一対の給電路Wa1,Wa2を介して交流電力が供給されており、一方の給電路Wa2には、スイッチSW1が介挿されている。このスイッチSW1は、家庭用の壁スイッチのように交流電源の片切スイッチを構成しており、スイッチSW1をオン・オフすることによって、交流電源10から電源回路1への電源供給を導通・遮断し、半導体発光素子3の点灯・消灯を切り替えることができる。
【0024】
そして、器具外郭4は、金属等の導電性材料で形成されており、電源回路1、光源ユニット2が取り付けられている。なお、図1において、器具外郭4は、その一部のみを図示している。
【0025】
さらに、交流電源10は接地相を有する単相100Vで構成されており、接地相(スイッチSW1が介挿された給電路Wa2側)は、接地経路Wa3を介して接地している。そして、照明器具A1の器具外郭4も、接地経路Wa4を介して接地している。すなわち、器具外郭4は、交流電源10の接地相と同電位になる。
【0026】
図2は、半導体発光素子3の順電圧−順電流特性を示す。本実施形態では、スイッチSW1をオンした場合、半導体発光素子3の順電流Ifを100mAに設定して、半導体発光素子3の発光レベルを所定の明るさに調整している。具体的には、半導体発光素子3のそれぞれの順電圧Vfが約2.9Vになるように、電源回路1が出力する直流電圧Vo1を設定する。例えば、半導体発光素子3の直列接続数が94個の場合、電源回路1は、約273Vの直流電圧Vo1を出力することによって、半導体発光素子3のそれぞれの順電圧Vfを約2.9Vに設定し、順電流Ifを100mAにしている。このようにして、スイッチSW1のオン時において、半導体発光素子3の発光レベルを、所定の明るさに調整している。
【0027】
次に、スイッチSW1をオフした場合、交流電源10から電源回路1への電源供給は遮断される。しかしながら、照明器具A1において、光源ユニット2は、器具外郭4に近接して取り付けられており、光源ユニット2と器具外郭4との間には、浮遊容量Caが発生している。而して、スイッチSW1をオフした状態でも、交流電源10−給電路Wa1−電源回路1−半導体発光素子3−浮遊容量Ca−器具外郭4−接地経路Wa4−接地経路Wa3−交流電源10の電流ループが存在する。この電流ループには、交流電源10から電流が流れ込み、この電流ループ内の半導体発光素子3に電流が流れる。このとき、半導体発光素子3には、交流電圧が印加され、交流電圧の半周期毎に、順電圧が印加される期間と逆電圧が印加される期間とが交互に繰り返される。なお、浮遊容量Caは、半導体発光素子3と器具外郭4との間の浮遊容量、半導体発光素子3が実装された基板と器具外郭4との間の浮遊容量、光源ユニット2のケースと器具外郭4との間の浮遊容量等で形成される。
【0028】
ここで、本実施形態の半導体発光素子3は、順電流Ifが0.01mA以上であれば、人の目で認識できる光を発するものとする。この場合、スイッチSW1がオフして、上述の電流ループが形成された状態では、半導体発光素子3の順電流Ifを0.01mA未満に設定し、人の目が半導体発光素子3の発光を認識できないようにする。
【0029】
図2では、半導体発光素子3に順電流If=0.01mAが流れているとき、その順電圧Vfは、約2.3Vになる。そこで、半導体発光素子3の個体差、交流電源10の交流電圧Vi1の精度等を考慮して、半導体発光素子3のそれぞれの順電圧Vfが1.5V以下になるように、半導体発光素子3の直列接続数を設定する。例えば、交流電圧Vi1の実効値が100Vの場合、交流電圧Vi1の最大振幅は141Vになる。而して、半導体発光素子3の直列接続数を94個以上にすれば、半導体発光素子3のそれぞれの順電圧Vfの最大値が1.5V以下になり、半導体発光素子3の順電流Ifの最大値を0.01mA未満に設定できる。
【0030】
このようにして、照明器具A1は、スイッチSW1のオフ時において、上述の電流ループ内の半導体発光素子3の発光レベル(微発光のレベル)を、人の目が認識できないレベルに維持することができる。また、半導体発光素子3のそれぞれにコンデンサを並列接続する必要はなく、小型化および低コスト化を図ることができる。
【0031】
また、照明器具A1を用いることによって、スイッチSW1を、接地していない給電路Wa1,接地している給電路Wa2のいずれに介挿した場合でも、微発光のレベルを抑制できる。したがって、片切りのスイッチSW1を用いた場合でも、スイッチSW1の配線時に接地状況を考慮する必要がなく、良好な施工性を得ることができる。
【0032】
このように、本実施形態の照明器具A1は、小型、低コストで微発光を抑制することができ、且つ施工性を向上させることができるものである。
【符号の説明】
【0033】
A1 照明器具
1 電源回路
2 光源ユニット
3 半導体発光素子
4 器具外郭
10 交流電源
SW1 スイッチ
Ca 浮遊容量
Wa1,Wa2 給電路
Wa3,Wa4 接地経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地相を有する交流電源から一対の給電路を介して入力された交流を整流および昇圧した直流電力を出力する非絶縁型の電源回路と、
前記電源回路が出力する前記直流電力によって点灯する1つ以上の半導体発光素子を有する光源ユニットと、
接地経路を介して接地された導電材料で形成されて、前記電源回路および前記光源ユニットを設けた器具外郭とを備えて、
前記一対の給電路のうち一方のみが遮断された場合、前記半導体発光素子は、前記交流電源から、前記光源ユニットと前記器具外郭との間に形成された浮遊容量、および前記接地経路を介して交流電力を供給され、この交流電力を供給されている前記半導体発光素子の順電圧は、この順電圧による発光レベルが人の目に認識できない値である
ことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−62064(P2013−62064A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198278(P2011−198278)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】