説明

照明用電源装置

【課題】広い電圧範囲の商用交流電源に対応でき、充電電圧の不足が生じるのを避けられ、位相制御された電圧に対応できる照明用電源装置を提供すること。
【解決手段】整流された直流電圧をトランスの一次巻線T1aを介してスイッチングすることにより二次巻線T1bおよび補助巻線T1cに電圧を誘起させるスイッチング回路8と、スイッチングを制御する制御回路4と、制御回路に作動用電流を供給する第一の蓄電部C3および第二の蓄電部C4と、整流された直流電圧で第一の蓄電部を充電する第一の充電部R1と、誘起電圧で第二の蓄電部を充電する第二の充電部D2とを備える。第一および第二の蓄電部の正極同士は、第一の蓄電部C3の充電電圧が第二の蓄電部C4の充電電圧よりも高い場合に、第一の蓄電部C3から第二の蓄電部C4へ蓄電エネルギーを供給し、その逆供給を阻止する一方向性素子D1によって接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明用電源装置に関する。例えば、力率改善、および、点灯電流の定電流制御を同時におこなう制御回路を備える電源装置において、制御回路を動作させるための補助電源回路の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電源からの交流電圧を変換してLEDランプに点灯電力を供給するための電源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。電源装置には、力率改善用の回路や定電流制御用の回路が設けられ、さらに、これらの回路を制御するための制御用ICが設けられる場合がある。
制御用ICのような制御回路を有する場合、制御回路を動作させるための補助電源回路が必要となる。一般的に、制御回路の作動用電流は、電源装置に印加される入力電圧から専用の補助電源回路によって生成される。図4は、特許文献1に記載の電源装置において、トランスT1に隣接して設けられたスイッチング回路8のスイッチングを制御する制御回路4に注目した場合、この制御回路4に対する補助電源回路としてのスイッチング電源7に関する構成のブロック図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−103743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図4に示す電源装置を用いて、広い電圧範囲の商用交流電源に対応させることは困難であった。すなわち、スイッチング電源7には、常にダイオードブリッジ(DB)6で整流された直流電圧が印加され続けるため、電力ロスが大きくなる。
従って、本発明の目的は、電力ロスを極力抑えることで広い電圧範囲の商用交流電源に対応することができ、かつ、補助電源回路の充電電圧が不足して制御回路が正常に動作しなくなることを避けることができ、さらに、位相制御された交流電圧にも対応することができる制御回路用の補助電源回路を備えた照明用電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる照明用電源装置は、
入力電圧を整流して直流電圧を生成する整流回路と、
一次巻線、二次巻線および補助巻線を有するトランスと、
前記整流回路によって生成された直流電圧を前記一次巻線を介してスイッチングすることにより前記二次巻線および前記補助巻線に電圧を誘起させるスイッチング回路と、
前記二次巻線に誘起した電圧を整流平滑してLEDランプの点灯電流を生成する二次電圧側の整流平滑回路と、
前記スイッチング回路のスイッチングを制御する制御回路と、
前記制御回路に作動用電流を供給する第一の蓄電部、および、前記整流回路によって生成された直流電圧で前記第一の蓄電部を充電する第一の充電部を有する第一の補助電源回路と、
を備えている。
さらに、前記照明用電源装置は、
前記制御回路に作動用電流を供給する第二の蓄電部、および、前記補助巻線に誘起した電圧を整流して生成した直流電圧で前記第二の蓄電部を充電する第二の充電部を有する第二の補助電源回路と、
前記第一の蓄電部および第二の蓄電部の同極同士を接続し、前記第一の蓄電部の充電電圧が前記第二の蓄電部の充電電圧よりも高い場合に、前記第一の蓄電部から前記第二の蓄電部へ蓄電エネルギーを供給するとともに、前記第一の蓄電部の充電電圧が前記第二の蓄電部の充電電圧よりも低い場合に、前記第二の蓄電部から前記第一の蓄電部への蓄電エネルギーの逆供給を阻止する一方向性素子と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、第一の補助電源回路および第二の補助電源回路の2系統の補助電源回路を設けたので、高い入力電圧に対する電力ロスを極力抑えることができ、広い電圧範囲の商用交流電源に対応することができるとともに、補助電源回路の充電電圧が不足して制御回路が正常に動作しなくなることを避けることができる。さらに、位相制御された交流電圧にも対応することができる。従って、制御回路に対して安定した電源供給を確実に継続させることができる。
【0007】
また、本発明にかかる照明用電源装置は、
前記第二の蓄電部の充電電圧が所定の電圧以上に達した場合に、第一の蓄電部に対する前記直流電圧の印加を停止させる停止回路を備えている。
さらに、前記停止回路は、
前記第二の蓄電部の充電電圧が所定の電圧以上に達したことを検出して応答電圧を発生する検出部と、
前記検出部からの応答電圧を受けることで、バイアス電圧を低下させるバイアス電圧変更部と、を有する。
そして、前記バイアス電圧の低下によって、前記第一の補助電源回路に設けられたスイッチ素子をオン(ON)からオフ(OFF)に切り換えることにより、前記直流電圧の印加を停止させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第一の補助電源回路が自動的に動作を停止して電力変換部分が一箇所のみとなるので、例えば、高電圧の交流電源が供給される場合であっても、補助電源回路の電力ロスを低減することができ、省エネを実現することができる。
【0009】
また、本発明にかかる照明用電源装置は、
前記第二の蓄電部の充電電圧が所定の電圧より低くなった場合に、第一の蓄電部に対する前記直流電圧の印加を再開させる再開回路を備える。
さらに、前記再開回路は、
前記第二の蓄電部の充電電圧が所定の電圧より低くなったことを検出して応答電圧の発生を停止する検出部と、
前記検出部からの応答電圧が停止することで、バイアス電圧を上昇させるバイアス電圧変更部と、を有する。
そして、前記バイアス電圧の上昇によって、前記第一の補助電源回路に設けられたスイッチ素子をオフからオンに切り換えることにより、前記直流電圧の印加を再開させることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、電源装置が、調光器による位相制御された交流電圧を受ける場合に、調光率の絞りすぎによって交流電源の入力期間が短くなり、制御回路の動作不良が生じるおそれがある。これに対して、本発明の電源装置であれば、第二の補助電源回路の出力電圧が低下しても、第一の補助電源回路の動作を自動的に再始動するので、制御回路の動作を確実にかつ安定して継続させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の照明用電源装置によれば、電力ロスを極力抑えることで広い電圧範囲の商用交流電源に対応することができ、かつ、補助電源回路の充電電圧が不足して制御回路が正常に動作しなくなることを避けることができ、さらに、位相制御された交流電圧にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る照明用電源装置の回路図である。
【図2】図1に示す照明用電源装置に設けられる制御回路用の補助電源回路の動作を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示す制御回路用の補助電源回路の動作を説明する波形図であり、(A)は第一の補助電源回路における充電電圧の波形図、(B)は第二の補助電源回路における充電電圧の波形図である。
【図4】従来の技術の制御回路用の補助電源回路を説明するための回路図である。
【図5】(A)、(B)は、本発明の力率改善制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明にかかる照明用LEDランプの電源装置をフライバック型の電源に適用した実施の形態について説明する。
図1に示すように、電源装置10は、交流電源1から出力される交流を全波整流するダイオードブリッジ(DB)6によって生成された直流電圧、すなわち脈流電圧Vdを結合コンデンサC1でわずかに平滑したあと、トランスT1の一次巻線T1aを介してスイッチングするスイッチング回路8を備えている。
また、電源装置10は、LED5に流れる電流の定電流制御をおこないつつ力率改善制御も同時に実行するようにスイッチング回路8のスイッチングを高周波数制御する制御回路4と、制御回路4に電源を供給するための第一の補助電源回路2および第二の補助電源回路3とを備えている。
【0014】
スイッチング回路8は、例えばFETで構成されている。
制御回路4は、図1のように、LED5に流れる電流を抵抗R4を介して検出し、絶縁型オペアンプ9を通して当該電流を認識する。さらに、制御回路4は、検出された電流値が所定の電流値となるようにスイッチング回路8のスイッチングのON時間幅を制御することで、定電流制御をおこない、LED5の電流値を安定化させる。
また、制御回路4は、交流電源1から流れ込む入力電流の電流波形を正弦波に近似させるために、スイッチング回路8のスイッチングの周期(スイッチングのON時間幅+スイッチングのOFF時間幅)の内、スイッチングのOFF時間幅を脈流電圧Vdの瞬時値に比例するように制御することで力率改善をおこなっている。スイッチングの周期一定、ON時間幅一定で制御すると、図5(A)の力率改善説明図のような中央のとがった電流波形となる。通常、電流波形を図5(B)のように電圧波形と相似にする方法には二つあり、一つは中央付近でON時間幅を短くする方法であり、もう一つは中央付近でスイッチングの周期を長くする方法である。しかしながら、本実施形態ではON時間幅を制御してLEDの定電流制御をもおこなっているため、上記の二つの方法では、制御が複雑となる。そこで、全波整流波形の電圧値、すなわち脈流電圧Vdの瞬時値に比例するようにOFF時間幅を制御する方法を採用している。これによって、定電流制御動作と力率改善動作とを非常に容易におこなわせることができる。
【0015】
トランスT1における二次巻線T1b側には、本発明の二次電圧側の整流平滑回路に相当する整流用のダイオードD3、平滑用のコンデンサC5、およびLEDランプ電流検出用の抵抗R4が配設されている。
【0016】
第一の補助電源回路2は、第一の充電部に相当する電流制限用の抵抗R1と、本発明のスイッチ素子に相当するFETQ1と、第一の蓄電部に相当する電解コンデンサC3とを有する。抵抗R1、FETQ1および電解コンデンサC3は、この順番での直列回路21を構成し、脈流電圧Vdが印加されるように結合コンデンサC1に対して並列に接続されている。よって、FETQ1がON、すなわち導通である場合、電解コンデンサC3には、脈流電圧Vdが抵抗R1によって分圧された直流電圧Vc3が印加される。つまり、図1中の接続点11の電位はVc3となり、電解コンデンサC3の充電電圧となる。
なお、第一の補助電源回路2は、直列回路21と、FETQ1のバイアス電圧を変化させる切換回路22とが一体形成された回路である。切換回路22は、本発明の停止回路に相当し、また再開回路にも相当する回路であるが、詳しい構成については、第二の補助電源回路3の後に説明する。
【0017】
図1にて、第二の補助電源回路3は、トランスT1における補助巻線T1cの誘起電圧を整流する本発明の第二の充電部に相当するダイオードD2と、第二の蓄電部に相当する電解コンデンサC4とを備えている。電解コンデンサC4には、ダイオードD2で整流される直流電圧Vc4が印加されるように接続される。つまり、図1中の接続点12の電位はVc4となり、電解コンデンサC4の充電電圧Vc4となる。
【0018】
接続点11と接続点12との間には、本発明の一方向性素子に相当するダイオードD1が設けられ、電解コンデンサC3および電解コンデンサC4の正極同士を接続して、第一の補助電源回路2と第二の補助電源回路3とを結合している。
ダイオードD1は、コンデンサC3の充電電圧Vc3がコンデンサC4の充電電圧Vc4よりも上昇したときにコンデンサC3からコンデンサC4に蓄電エネルギーを供給する。逆に、ダイオードD1は、コンデンサC4の充電電圧Vc4がコンデンサC3の充電電圧Vc3よりも上昇したときにコンデンサC4からコンデンサC3に流れる電流の逆流を阻止する。
なお、接続点12とダイオードD1の間に分岐点を設け、制御回路4への電源供給線が接続されている。この電源供給線を通って、コンデンサC4から制御回路4へ作動用電流が供給される。
【0019】
前述の第一の補助電源回路2に一体形成された切換回路22は、検出部23およびバイアス電圧変更部24から構成される。
検出部23は、ツェナーダイオードZ2と、抵抗R3と、接続点13と、コンデンサC2とを有し、この順番で直列回路を構成している。ツェナーダイオードZ2は、誘起電圧(充電電圧Vc4)が印加される接続点12につながり、コンデンサC2は、整流回路であるダイオードブリッジ6の負極側につながっている。
【0020】
バイアス電圧変更部24は、電流制限用の抵抗R2と、ツェナーダイオードZ1と、トランジスタQ2とを有し、FETQ1のゲート電圧を上昇または低下させる。抵抗R2、接続点14、ツェナーダイオードZ1は、この順番で直列回路を構成し、脈動電圧Vdが印加されるように接続される。さらに、トランジスタQ2のコレクタ、エミッタ間は、ツェナーダイオードZ1に対して並列に接続されている。トランジスタQ2のベースは、検出部23の接続点13に接続される。トランジスタQ2のコレクタに接続される接続点14は、第一の補助電源回路2のFETQ1のゲートにも接続されている。
【0021】
抵抗R2、ツェナーダイオードZ1の直列回路に脈動電圧Vdが印加された場合、接続点14の電位Vz1は、ツェナーダイオードZ1によって所定の電圧以下に抑えられる。このツェナーダイオードZ1の定電圧は、FETQ1のゲートオン電圧より大きい。すなわち、脈動電圧Vdが印加され、接続点14の電位Vz1がゲートオン電圧以上に達すると、FETQ1が導通可能な状態になる。ツェナーダイオードZ1の両端に発生する電圧Vz1からFETQ1を導通させるのに必要なゲート電圧を引いた電圧が、コンデンサC3の充電電圧Vc3より大きい期間には、電流制限用の抵抗R1を流れる電流により、コンデンサC3が充電される。
【0022】
ゲート電圧によりFETQ1が導通状態になるのは、ツェナーダイオードZ1に並列接続されたトランジスタQ2が非導通の状態であることが条件となっている。ツェナーダイオードZ1のツェナー電圧を適宜定めることで、制御回路4の起動タイミングを任意に規定することができる。
【0023】
以上の第一の補助電源回路2および第二の補助電源回路3の関係を、図2を参照して説明する。図2に示すように、第一の補助電源回路2は、ダイオードD1を介して第二の補助電源回路3に接続され、第一の補助電源回路2の蓄電エネルギーは、第二の補助電源回路3へ一方的に供給され、第二の補助電源回路3に蓄電エネルギーが蓄えられる。そして、第二の補助電源回路3の蓄電エネルギーが制御回路4に供給される。一方、第二の補助電源回路3には、誘起電圧による充電も行われるため、誘起電圧が所定の電圧以上に達すると、第二の補助電源回路3から第一の補助電源回路2へ停止信号が送られ、第一の補助電源回路2の動作が停止するようになっている。
【0024】
<電源装置の動作>
以降、電源装置10の動作を、図3を参照して説明する。
電源が投入された時間t1の時点においては、脈流電圧Vd、すなわちコンデンサC1の端子間電圧が徐々に上昇する。同時に、高抵抗の抵抗R2を介してFETQ1のゲート電圧Vz1が上昇し、FETQ1が導通状態になる。従って、図3(A)のように脈流電流Vdで第一の充電部である抵抗R1がコンデンサC3を充電して、その充電電圧Vc3が徐々に上昇する。充電電圧Vc3により、ダイオードD1を介して、コンデンサC4も充電される。同時に、制御回路4へ直流電流が供給される。さらに、図3(B)のようにコンデンサC4の放電電圧(充電電圧Vc4)が制御回路4の動作可能電圧を超える時間t2の時点で、制御回路4が起動する。
【0025】
制御回路4は、起動後、すぐには、力率改善動作を開始せず、第二の補助電源回路3によって制御回路4を動作させる場合に必要な最小限の一定なデューティ比でスイッチング回路8を動作させる。スイッチング回路8のスイッチングにより、トランスT1の一次巻線T1aに直流電圧Vdに基づく電流が流れる。これによって、二次巻線T1bに電圧が誘起し、この誘起電圧がダイオードD3によって整流され、かつ整流された脈流が電解コンデンサC5によって平滑される。このようにして、出力電圧Voutが生成され、LED5に点灯電流が流れる。
【0026】
同時に、補助巻線T1cにも電圧が誘起し、この誘起電圧は、ダイオードD2によって整流されて電解コンデンサC4を充電する。この結果、電解コンデンサC4の充電電圧Vc4は、図3(B)に示すように、時間t2を過ぎると急激に上昇する。このように第二の補助電源回路3の出力電圧(充電電圧Vc4)が第一の補助電源回路2の出力電圧(充電電圧Vc3)を上回ると、ダイオードD1を流れる蓄電エネルギーが停止して、第二の補助電源回路3からの電流で制御回路4が動作するようになる。このようにして制御回路4への電源供給元が、第一の補助電源回路2から第二の補助電源回路3に移行する。
【0027】
電解コンデンサC4の充電電圧Vc4が所定の電圧以上に達したことを検出部23のツェナーダイオードZ2が検出すると、ツェナーダイオードZ2の所定電圧が応答電圧として接続点13に印加される。すなわち、第二の補助電源回路3の出力電圧の上昇により、ツェナーダイオードZ2および抵抗R3を介して、第一の補助電源回路2の停止信号がNPN型のトランジスタQ2のベースに加えられ、トランジスタQ2のコレクタ,エミッタ間が導通する。これにより、FETQ1のゲート電圧がソース電圧より低下し、FETQ1はオンからオフに切り換わって非導通状態となり、電解コンデンサC3に対する脈動電圧Vdの印加が停止され、第一の補助電源回路2は動作を停止する。このように、シリーズ電源である第一の補助電源回路2が自動的に動作を停止することにより、電力変換部分が誘起電圧による第二の補助電源回路3の一箇所のみとなるので、例えば、高電圧の交流電源が供給される場合であっても、補助電源回路における電力ロス(主に抵抗R1で発生)を低減させることができ、省エネを実現することができる。
【0028】
制御回路4は、図3(B)のように第二の補助電源回路3の動作が安定した時間t3の時点で、力率改善動作とLEDランプ電流を一定電流に制御する定電流制御動作とを同時に開始する。一般に、時間t3を過ぎると、力率の改善を受けて、第二の補助電源回路3の出力電圧はさらに上昇する。この後、第二の補助電源回路3は、その起動を停止させられることなく、継続して安定に作動する。
【0029】
また、例えば、白熱ランプ用の調光器で、照明用LEDに点灯電力を供給する場合には、LEDランプの電源装置10が、調光器によって位相制御された交流電圧を受けて、LED5への点灯電流を生成することになる。このような場合、調光率の絞りすぎによって交流電源の入力期間が短くなり、コンデンサC4の充電電圧Vc4の低下が生じて、制御回路4の動作不良が生じるおそれがある。
【0030】
これに対して、本実施形態の電源装置10であれば、図3(B)に示す充電電圧Vc4が、ツェナーダイオードZ2の所定電圧まで降下すると、ツェナーダイオードZ2から抵抗R3に電流が流れなくなり、つまり、停止信号(応答電圧)が送られなくなる。これによって停止信号がトランジスタQ2のベースに加わらなくなり、トランジスタQ2が非導通となり、ゲート電圧Vz1がツェナーダイオードZ1の所定電圧まで上昇し、FETQ1を導通状態にする。従って、電解コンデンサC3に対する脈動電圧Vdの印加が再開されるとともに、電解コンデンサC4の充電電圧Vc4が、電解コンデンサC3の充電電圧Vc3まで低下した場合には、ダイオードD1を介して、電解コンデンサC3からの蓄電エネルギーの供給が再開される。電解コンデンサC3の充電電圧Vc3が放電によって低下して、ツェナーダイオードZ1の端子間電圧Vz1からFETQ1を導通させるのに必要なゲート電圧を引いた電圧が充電電圧Vc3よりも大きい期間が生じるようになると、その期間にコンデンサC3が充電され、制御回路4への電源の供給が維持される。このように、第二の補助電源回路3の出力電圧(充電電圧Vc4)が低下しても、第一の補助電源回路2の動作を自動的に再始動するので、制御回路4の動作を確実にかつ安定して継続させることができる。従って、位相制御方式の調光器にも対応可能となり、従来の白熱電球を、照明用LEDに置き換える際、照明用LEDと本実施形態の電源装置10と組み合わせて、従来の白熱電球の交流電源に接続して使用できる。従って、容易に従来の白熱電球を照明用LEDに置き換えることができる。
【0031】
なお、本発明の電源装置は、上記の実施の形態に限定されず、その構成を適宜変更することができる。実施の形態では、フライバック型の電源装置10を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、フォワード型の電源装置に適用することもできる。また、LEDランプ以外の照明用電源装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明にかかる照明用電源装置は、LEDランプの調光システム、または、既存の照明器具と組み合わせたLEDランプの調光システム、その他のLEDランプの照明システムとして広く利用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 交流電源
2 第一の補助電源回路
3 第二の補助電源回路
4 制御回路
5 LED
6 整流回路であるダイオードブリッジ
8 スイッチング回路
9 絶縁型のオペアンプ
10 照明用LEDランプの電源装置
22 停止回路および再開回路としての切換回路
23 検出部
24 バイアス電圧変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を整流して直流電圧を生成する整流回路と、
一次巻線、二次巻線および補助巻線を有するトランスと、
前記整流回路によって生成された直流電圧を前記一次巻線を介してスイッチングすることにより前記二次巻線および前記補助巻線に電圧を誘起させるスイッチング回路と、
前記二次巻線に誘起した電圧を整流平滑してLEDランプの点灯電流を生成する二次電圧側の整流平滑回路と、
前記スイッチング回路のスイッチングを制御する制御回路と、
前記制御回路に作動用電流を供給する第一の蓄電部、および、前記整流回路によって生成された直流電圧で前記第一の蓄電部を充電する第一の充電部を有する第一の補助電源回路と、
を備えている照明用電源装置であって、
前記制御回路に作動用電流を供給する第二の蓄電部、および、前記補助巻線に誘起した電圧を整流して生成した直流電圧で前記第二の蓄電部を充電する第二の充電部を有する第二の補助電源回路と、
前記第一の蓄電部および第二の蓄電部の同極同士を接続し、前記第一の蓄電部の充電電圧が前記第二の蓄電部の充電電圧よりも高い場合に、前記第一の蓄電部から前記第二の蓄電部へ蓄電エネルギーを供給するとともに、前記第一の蓄電部の充電電圧が前記第二の蓄電部の充電電圧よりも低い場合に、前記第二の蓄電部から前記第一の蓄電部への蓄電エネルギーの逆供給を阻止する一方向性素子と、
を備えることを特徴とする照明用電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明用電源装置において、
前記第二の蓄電部の充電電圧が所定の電圧以上に達した場合に、第一の蓄電部に対する前記直流電圧の印加を停止させる停止回路を備え、
前記停止回路は、
前記第二の蓄電部の充電電圧が所定の電圧以上に達したことを検出して応答電圧を発生する検出部と、
前記検出部からの応答電圧を受けることで、バイアス電圧を低下させるバイアス電圧変更部と、
を有し、
前記バイアス電圧の低下によって、前記第一の補助電源回路に設けられたスイッチ素子をオンからオフに切り換えることにより、前記直流電圧の印加を停止させることを特徴とする照明用電源装置。
【請求項3】
請求項1記載の照明用電源装置において、
前記第二の蓄電部の充電電圧が所定の電圧より低くなった場合に、第一の蓄電部に対する前記直流電圧の印加を再開させる再開回路を備え、
前記再開回路は、
前記第二の蓄電部の充電電圧が所定の電圧より低くなったことを検出して応答電圧の発生を停止する検出部と、
前記検出部からの応答電圧が停止することで、バイアス電圧を上昇させるバイアス電圧変更部と、
を有し、
前記バイアス電圧の上昇によって、前記第一の補助電源回路に設けられたスイッチ素子をオフからオンに切り換えることにより、前記直流電圧の印加を再開させることを特徴とする照明用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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