照明装置および画像読取装置
【課題】安価で消費電力の小さい、照度の高い画像読取装置用の照明装置を提供する。
【解決手段】主走査方向に延伸する平面光源22と、多数の光ファイバを彎曲可能に束ねてなり、受光端23aが平面光源22に対向する光ファイバ束23と、光ファイバ束23の受光端23aと反対側の投光端23bの姿勢を、副走査方向に移動したり、主走査方向の軸周りに回動させたりして調整可能に位置決めする位置決め手段18とを有する。
【解決手段】主走査方向に延伸する平面光源22と、多数の光ファイバを彎曲可能に束ねてなり、受光端23aが平面光源22に対向する光ファイバ束23と、光ファイバ束23の受光端23aと反対側の投光端23bの姿勢を、副走査方向に移動したり、主走査方向の軸周りに回動させたりして調整可能に位置決めする位置決め手段18とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置用の照明装置および画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、照明装置によって原稿を照明し、反射光を受光センサで受光して電気信号に変換する。一般に、照明装置および受光センサは、副走査方向に移動しながら主走査方向に1列ずつの画像を読み取る。高速で高画質の読み取りを可能にするためには、照明装置の光量を上げる必要がある。従来のハロゲンランプや蛍光灯を光源とする照明装置では、消費電力が大きく、光量を上げるに従って発熱が増加し、冷却ファンなどを設ける必要が生じる。
【0003】
複数のLED素子を光源として用いることもあるが、照度のリップルを拭い去ることができず、読み取り画質が低くなる。また、特許文献1に記載されているような、有機EL等の面発光の平面光源では、原稿読取目線(主走査方向のライン)上に光を集光できないため、照明装置の実行的な照度を十分に上げられないという問題があった。
【特許文献1】特開2000−115470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記問題点に鑑みて、本発明は、安価で消費電力が小さく、照度の高い画像読取装置用の照明装置、および、高速で高画質の画像読取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明による画像読取装置用の照明装置は、主走査方向に延伸する平面光源と、多数の光ファイバを彎曲可能に束ねてなり、受光端が前記平面光源に対向する光ファイバ束と、前記光ファイバ束の前記受光端と反対側の投光端の姿勢を調整可能に位置決めする位置決め手段とを有するものとする。
【0006】
この構成によれば、平面光源の発した光線を導光する光ファイバ束を彎曲させることによって、投光する位置や方向を調整することができる。これにより、最大照度となる位置を読取目線に合致させることができ、高速で高画質の画像読み取りを可能にする。
【0007】
また、本発明の照明装置において、前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、前記受光端に対して前記主走査方向に直交する副走査方向に移動可能であってもよい。
【0008】
この構成によれば、原稿と平行な副走査方向に、光ファイバ束の投光端を移動させるので、原稿上においてピーク照度を低下させることなく照度分布を平行移動させることができる。これにより、画像読取装置の画像品質を一定にできる。
【0009】
また、本発明の照明装置において、前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、前記主走査方向の軸周りに回動可能であってもよい。
【0010】
この構成によれば、光ファイバ束の変形量が少なくて済む。
【0011】
また、本発明の照明装置において、前記照明装置は、前記光ファイバ束の前記投光端に、集光レンズを備えてもよい。
【0012】
この構成によれば、光線を集光して、ピーク照度を高くできる。
【0013】
また、本発明による画像読取装置は、前記照明装置のいずれかを備え、前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、原稿の読取目線に対向させ、さらに、前記原稿からの反射光を受光する受光センサを備えるものとする。
【0014】
この構成によれば、読取目線における照明の照度が高いので、高速で高画質の読み取りができる。
【0015】
また、本発明の画像読取装置において、前記照明装置は、前記主走査方向に直交する副走査方向に移動可能な走査ユニット上に設けられてもよい。
【0016】
この構成によれば、原稿台上に原稿を載置するフラットヘッドスキャナを提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、平面光源の発した光線を導光する光ファイバ束を彎曲させることによって、投光する位置や方向を調整することができので、最大照度となる位置を読取目線に合致させることができ、高速で高画質の画像読み取りが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の第1実施形態を備える複合プリンタ1を示す。複合プリンタ1は、入力されたデータに基づいて記録紙上にトナー画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2の上に配設された、本発明の第1実施形態の画像読取装置3とからなる。画像読取装置3は、給紙装置4と、操作パネル5とを備えている。
【0019】
図2に、画像読取装置3の給紙装置4を取り外した状態を示す。画像読取装置3は、給紙装置4によって給紙される原稿を望む主走査方向(図中の矢印X方向)に延伸するスリットガラス6と、ユーザが原稿を載置するガラス製の原稿台7とを有する。
【0020】
さらに、図3に、画像読取装置3の断面を示す。画像読取装置3は、給紙装置4によってスリットガラス6の直上に送り込まれた原稿Pと、原稿台7の上に載置された原稿Pとが、同じ水平高さになるように構成されている。また、画像読取装置3は、スリットガラス6の下方に、スリットガラス6を介して原稿Pを照明する2つの照明装置8と原稿Pの反射光を反射して直角に屈曲させる第1受光反射鏡9とが設けられ、主走査方向と直角で水平な副走査方向(図中の矢印Y方向)に移動可能な走査ユニット10と、原稿Pの反射光をさらに屈曲させる第2受光反射鏡11および第3受光反射鏡12を有し、走査ユニット10と連動して副走査方向に移動可能な調整ユニット13と、第1受光反射鏡9、第2受光反射鏡11および第3受光反射鏡12で折り曲げた原稿Pの反射光を受光する例えばCCDからなる受光センサ14と、原稿Pの反射光を受光センサ14に合焦させる受光レンズ15とを備える。
【0021】
給紙装置4によって原稿Pが副走査方向に自動搬送されることで、原稿Pの画像は、主走査方向に1ライン(読取目線)ずつ、副走査方向に順次、受光センサ14に受光されて電気信号に変換され、データ化される(シートスルー方式)。また、走査ユニット10は、スリットガラス6の直下から、原稿台7の副走査方向の端から端まで、水平に移動可能であり、調整ユニット13は、走査ユニット10の移動距離の半分だけ副走査方向に移動する。これによって、原稿Pの反射光の受光センサ14までの光路距離が一定に保たれる。原稿台7の上に載置した原稿Pの画像は、走査ユニット10が副走査方向に移動することで、受光センサ14に走査読み取りされ、データ化される(反射鏡スキャン)。
【0022】
図4に、走査ユニット10の詳細を示す。走査ユニット10は、フレーム16の上側に2つの照明装置8が設けられ、下側に第1受光反射鏡9が固定されている。フレーム16は、第1受光反射鏡9が垂直にスリットガラス6、または原稿台7を介して原稿Pを望むように、2つの照明装置8の間が開口している。フレーム16は、不図示のレール上を摺動するようになっている。
【0023】
照明装置8は、フレーム16に取り付けられた固定部材17と、固定部材17上で位置を調整可能な調整部材18と、調整部材18に取り付けられた集光レンズ19とを有する。
【0024】
さらに、照明装置8の分解斜視図を図5に、断面図を図6に示す。照明装置8は、さらに、固定部材17の内部に、主走査方向に延伸するガラス基板20と、ガラス基板20の下面に均一に塗装したEL基材を封止する封止部材21とからなり、EL基材が均等に発行する平面光源であるEL発光体22が取り付けられている。EL発光体22は、単位面積当たりの光量は大きくないが、エネルギー変換効率が高いので、発熱量に比して光量が大きい。
【0025】
また、照明装置8は、多数の光ファイバを彎曲可能に束ねてなる光ファイバ束23を有する。光ファイバ束23は、各光ファイバの端面が露出する受光端23aが、ガラス基板20の上面に密接し、EL発光体22のEL基材に対向するように固定部材17によって保持されている。調整部材18は、光ファイバ束23の反対側の端部である投光端23bを、光ファイバ束23から射出される光線の軸が集光レンズの19の軸に合致するように、保持している。集光レンズ19は、光ファイバ束23から射出される光線を、原稿台7(またはスリットガラス6)を通して、原稿Pの読取目線上に合焦するようになっている。
【0026】
照明装置8は、原稿Pの反射光を、受光センサ22に導くために、第1受光反射鏡9に入射させる光路を挟んで、反射光の光路と干渉しないように、副走査方向(図中の矢印Y方向)の上流側および下流側の両側に設けられ、原稿Pに対して傾斜して光線を照射するようになっている。
【0027】
図7および図8に示すように、照明装置8の調整部材18は、固定部材17上で、副走査方向にスライドして、その位置を調整して位置決めできるようになっている(位置決め手段)。調整部材18を副走査方向に移動すると、照明装置8の内部で、光ファイバ束23は、図示するように彎曲し、EL発光体22が発した光を、全て集光レンズ19を介して原稿Pに照射することができる。
【0028】
図9に、本実施形態の画像読取装置3の製造時の光学特性を示す。2つの照明装置8は、両者の中心の直上にそれぞれ光線を合焦するように照射する。これにより、原稿Pは、副走査方向に、照明装置8の中心位置の照度が最も高くなるように照明される。つまり、照明装置8は、照度分布が平坦な平面光源であるEL発光体22の発した光線を、光ファイバ束23で案内して、集光レンズ19で原稿P上に集光するように照射するので、照度のピークが高くなるように配光できる。
【0029】
一方、受光センサ14に原稿Pの反射光を導く第1受光反射鏡9、第2受光反射鏡11および第3受光反射鏡12などの組立誤差や寸法誤差等により、図示するように、照明装置8の中心位置Y0から副走査方向にずれた位置Y1の反射光が受光センサ14に受光されるようになることが少なくない。このため、実際に受光センサ14が受光する光線を反射する原稿Pの読取目線上の照度は、照明装置8の配光のピーク位置からずれた位置になってしまう。このような、照明中心位置Y0と読取目線位置Y1とのずれによる実効的な照度の低下は、画像読取の画質の低下を招く。
【0030】
そこで、本実施形態では、画像読取装置3毎に検査を行い、実際に受光センサ14が受光する原稿P上の位置(読取目線位置)と照明装置8の配光のピーク位置(照明中心位置)との副走査方向のずれを測定し、図10に示すように、そのずれ量だけ、照明装置8の調整部材18を副走査方向に移動して固定する。これにより、図示するように、照明装置8が投光する光線の中心位置を、受光センサ14の読取目線位置に合致させることができ、原稿Pの読取に実効的な照明の照度を最大化できる。このため、読み取った画像の画質が高く、高速な読み取りを行っても画質が低下しない。
【0031】
以上の第1実施形態の画像読取装置3では、受光センサ14が画像読取装置3内部に固定されており、第1受光反射鏡9、第2受光反射鏡11および第3受光反射鏡12が移動するようになっているが、例えば、図11に示す変形例のように、受光センサ14と複数の受光反射鏡9aが走査ユニット10に設けられて照明装置8と共に移動するモジュールスキャンタイプであってもよく、例えば、図12に示すさらなる変形例のように、等倍の密着型センサ(CIS)14aを用いて、原稿Pに近接させて移動させてもよい。尚、先に説明した構成要素と同じ構成要素には、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0032】
また、図13に、本発明の第2実施形態の照明装置8aを示す。本実施形態の照明装置8aは、光ファイバ束23の投光端を第1投光端23cと第2投光端23dとに分割して、両者の先端にそれぞれ集光レンズ19a,19bが配置している。第1投光端23cは、原稿Pの読取目線に対向しているが、第2投光端23dは、反射光の光路の反対側に設けられた投光反射鏡24に対向し、投光反射鏡24で反射された光線が原稿Pの読取目線に上に合焦するようになっている。本実施形態では、1つのEL発光体22だけを用いるので、EL発光体22の駆動回路が1系統で済む。
【0033】
また、図14に示す本発明の第3実施形態の照明装置8bのように、第2投光端23dの先端には集光レンズ19bを設けず、反射光の光路の反対側に設けた凹面状の投光反射鏡24aによって、原稿Pの読取目線に上に合焦させてもよい。
【0034】
また、図15に、本発明の第4実施形態の照明装置8cを示す。本実施形態では、光ファイバ束23の投光端23bを位置決めする調整部材18は、主走査方向の軸18aを中心に回動可能に設けられている。本実施形態でも、照明装置8cの配光の中心位置を副走査方向に調整可能である。この場合、集光レンズ19から原稿P読取目線までの距離が変化するので、照度分布が一定でなくなるが、第1実施形態に比して、光ファイバ束23の変形量が小さくて済むので、調整範囲を広くすることが容易である。
【0035】
図16に、本発明の第5実施形態の照明装置8dを示す。本実施形態では、1つの光ファイバ束23の受光端23aに、2つのEL発光体22が並んで密接している。このように、本発明では、複数の平面光源22を使用することも可能である。
【0036】
さらに、図17に、本発明の第6実施形態の照明装置8eを示す。本実施形態では、それぞれ受光端23aに1つの平面光源22が密接する2つの光ファイバ束23の投光端23bをひとつに束ねて、1つの集光レンズ19に対向させている。これによって、投光端23bにおいて、光線の照射量が小さい光ファイバをなくし、平面光源22の間隔が大きい場合にも、照明のムラや集光性(ピーク照度)の低下を防止できる。また、これは、1つの光ファイバ束23の受光端23aを複数に分割したものと考えてもよい。
【0037】
以上のように、本発明によれば、平面光源22の発した光線を光ファイバ束23によって導光して、原稿Pに照射するので、光線を読取目線に集中的に照射でき、また、集光レンズ19によって照度の分布を調整したり、光ファイバ束23の彎曲によって照明位置を調整したりできる。このため、原稿Pの読取目線上の照度を高め、高速で高画質の画像読取装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態の画像読取装置を有する複合プリンタの斜視図。
【図2】図1の画像読取装置の斜視図。
【図3】図1の画像読取装置の断面図。
【図4】図1の画像読取装置の走査ユニットの斜視図。
【図5】図4の走査ユニットの照明装置の分解斜視図。
【図6】図4の走査ユニットの断面図。
【図7】図4の走査ユニットの照明装置の動作を示す断面図。
【図8】図4の走査ユニットの照明装置の逆方向の動作を示す断面図。
【図9】図4の走査ユニットの製造直後の照明装置による照度分布を示す図。
【図10】図4の走査ユニットの調整後の照明装置による照度分布を示す図。
【図11】図3の画像読取装置の変形例の断面図。
【図12】図4の画像読取装置の異なる変形例の断面図。
【図13】本発明の第2実施形態の照明装置の概略図。
【図14】本発明の第3実施形態の照明装置の概略図。
【図15】本発明の第4実施形態の照明装置の概略図。
【図16】本発明の第5実施形態の照明装置の概略図。
【図17】本発明の第6実施形態の照明装置の概略図。
【符号の説明】
【0039】
1…複合プリンタ
3…画像読取装置
6…スリットガラス
7…原稿台
8,8a,8b,8c,8d,8e…照明装置
9…第1受光反射鏡
10…走査ユニット
14…受光センサ
17…固定部材
18…調整部材
19,19a,19b…集光レンズ
20…ガラス基板
21…封止部材
22…EL発光体(平面光源)
23…光ファイバ束
23a…受光端
23b,23c,24d…投光端
24,24a…投光反射鏡
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置用の照明装置および画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、照明装置によって原稿を照明し、反射光を受光センサで受光して電気信号に変換する。一般に、照明装置および受光センサは、副走査方向に移動しながら主走査方向に1列ずつの画像を読み取る。高速で高画質の読み取りを可能にするためには、照明装置の光量を上げる必要がある。従来のハロゲンランプや蛍光灯を光源とする照明装置では、消費電力が大きく、光量を上げるに従って発熱が増加し、冷却ファンなどを設ける必要が生じる。
【0003】
複数のLED素子を光源として用いることもあるが、照度のリップルを拭い去ることができず、読み取り画質が低くなる。また、特許文献1に記載されているような、有機EL等の面発光の平面光源では、原稿読取目線(主走査方向のライン)上に光を集光できないため、照明装置の実行的な照度を十分に上げられないという問題があった。
【特許文献1】特開2000−115470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記問題点に鑑みて、本発明は、安価で消費電力が小さく、照度の高い画像読取装置用の照明装置、および、高速で高画質の画像読取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明による画像読取装置用の照明装置は、主走査方向に延伸する平面光源と、多数の光ファイバを彎曲可能に束ねてなり、受光端が前記平面光源に対向する光ファイバ束と、前記光ファイバ束の前記受光端と反対側の投光端の姿勢を調整可能に位置決めする位置決め手段とを有するものとする。
【0006】
この構成によれば、平面光源の発した光線を導光する光ファイバ束を彎曲させることによって、投光する位置や方向を調整することができる。これにより、最大照度となる位置を読取目線に合致させることができ、高速で高画質の画像読み取りを可能にする。
【0007】
また、本発明の照明装置において、前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、前記受光端に対して前記主走査方向に直交する副走査方向に移動可能であってもよい。
【0008】
この構成によれば、原稿と平行な副走査方向に、光ファイバ束の投光端を移動させるので、原稿上においてピーク照度を低下させることなく照度分布を平行移動させることができる。これにより、画像読取装置の画像品質を一定にできる。
【0009】
また、本発明の照明装置において、前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、前記主走査方向の軸周りに回動可能であってもよい。
【0010】
この構成によれば、光ファイバ束の変形量が少なくて済む。
【0011】
また、本発明の照明装置において、前記照明装置は、前記光ファイバ束の前記投光端に、集光レンズを備えてもよい。
【0012】
この構成によれば、光線を集光して、ピーク照度を高くできる。
【0013】
また、本発明による画像読取装置は、前記照明装置のいずれかを備え、前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、原稿の読取目線に対向させ、さらに、前記原稿からの反射光を受光する受光センサを備えるものとする。
【0014】
この構成によれば、読取目線における照明の照度が高いので、高速で高画質の読み取りができる。
【0015】
また、本発明の画像読取装置において、前記照明装置は、前記主走査方向に直交する副走査方向に移動可能な走査ユニット上に設けられてもよい。
【0016】
この構成によれば、原稿台上に原稿を載置するフラットヘッドスキャナを提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、平面光源の発した光線を導光する光ファイバ束を彎曲させることによって、投光する位置や方向を調整することができので、最大照度となる位置を読取目線に合致させることができ、高速で高画質の画像読み取りが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の第1実施形態を備える複合プリンタ1を示す。複合プリンタ1は、入力されたデータに基づいて記録紙上にトナー画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2の上に配設された、本発明の第1実施形態の画像読取装置3とからなる。画像読取装置3は、給紙装置4と、操作パネル5とを備えている。
【0019】
図2に、画像読取装置3の給紙装置4を取り外した状態を示す。画像読取装置3は、給紙装置4によって給紙される原稿を望む主走査方向(図中の矢印X方向)に延伸するスリットガラス6と、ユーザが原稿を載置するガラス製の原稿台7とを有する。
【0020】
さらに、図3に、画像読取装置3の断面を示す。画像読取装置3は、給紙装置4によってスリットガラス6の直上に送り込まれた原稿Pと、原稿台7の上に載置された原稿Pとが、同じ水平高さになるように構成されている。また、画像読取装置3は、スリットガラス6の下方に、スリットガラス6を介して原稿Pを照明する2つの照明装置8と原稿Pの反射光を反射して直角に屈曲させる第1受光反射鏡9とが設けられ、主走査方向と直角で水平な副走査方向(図中の矢印Y方向)に移動可能な走査ユニット10と、原稿Pの反射光をさらに屈曲させる第2受光反射鏡11および第3受光反射鏡12を有し、走査ユニット10と連動して副走査方向に移動可能な調整ユニット13と、第1受光反射鏡9、第2受光反射鏡11および第3受光反射鏡12で折り曲げた原稿Pの反射光を受光する例えばCCDからなる受光センサ14と、原稿Pの反射光を受光センサ14に合焦させる受光レンズ15とを備える。
【0021】
給紙装置4によって原稿Pが副走査方向に自動搬送されることで、原稿Pの画像は、主走査方向に1ライン(読取目線)ずつ、副走査方向に順次、受光センサ14に受光されて電気信号に変換され、データ化される(シートスルー方式)。また、走査ユニット10は、スリットガラス6の直下から、原稿台7の副走査方向の端から端まで、水平に移動可能であり、調整ユニット13は、走査ユニット10の移動距離の半分だけ副走査方向に移動する。これによって、原稿Pの反射光の受光センサ14までの光路距離が一定に保たれる。原稿台7の上に載置した原稿Pの画像は、走査ユニット10が副走査方向に移動することで、受光センサ14に走査読み取りされ、データ化される(反射鏡スキャン)。
【0022】
図4に、走査ユニット10の詳細を示す。走査ユニット10は、フレーム16の上側に2つの照明装置8が設けられ、下側に第1受光反射鏡9が固定されている。フレーム16は、第1受光反射鏡9が垂直にスリットガラス6、または原稿台7を介して原稿Pを望むように、2つの照明装置8の間が開口している。フレーム16は、不図示のレール上を摺動するようになっている。
【0023】
照明装置8は、フレーム16に取り付けられた固定部材17と、固定部材17上で位置を調整可能な調整部材18と、調整部材18に取り付けられた集光レンズ19とを有する。
【0024】
さらに、照明装置8の分解斜視図を図5に、断面図を図6に示す。照明装置8は、さらに、固定部材17の内部に、主走査方向に延伸するガラス基板20と、ガラス基板20の下面に均一に塗装したEL基材を封止する封止部材21とからなり、EL基材が均等に発行する平面光源であるEL発光体22が取り付けられている。EL発光体22は、単位面積当たりの光量は大きくないが、エネルギー変換効率が高いので、発熱量に比して光量が大きい。
【0025】
また、照明装置8は、多数の光ファイバを彎曲可能に束ねてなる光ファイバ束23を有する。光ファイバ束23は、各光ファイバの端面が露出する受光端23aが、ガラス基板20の上面に密接し、EL発光体22のEL基材に対向するように固定部材17によって保持されている。調整部材18は、光ファイバ束23の反対側の端部である投光端23bを、光ファイバ束23から射出される光線の軸が集光レンズの19の軸に合致するように、保持している。集光レンズ19は、光ファイバ束23から射出される光線を、原稿台7(またはスリットガラス6)を通して、原稿Pの読取目線上に合焦するようになっている。
【0026】
照明装置8は、原稿Pの反射光を、受光センサ22に導くために、第1受光反射鏡9に入射させる光路を挟んで、反射光の光路と干渉しないように、副走査方向(図中の矢印Y方向)の上流側および下流側の両側に設けられ、原稿Pに対して傾斜して光線を照射するようになっている。
【0027】
図7および図8に示すように、照明装置8の調整部材18は、固定部材17上で、副走査方向にスライドして、その位置を調整して位置決めできるようになっている(位置決め手段)。調整部材18を副走査方向に移動すると、照明装置8の内部で、光ファイバ束23は、図示するように彎曲し、EL発光体22が発した光を、全て集光レンズ19を介して原稿Pに照射することができる。
【0028】
図9に、本実施形態の画像読取装置3の製造時の光学特性を示す。2つの照明装置8は、両者の中心の直上にそれぞれ光線を合焦するように照射する。これにより、原稿Pは、副走査方向に、照明装置8の中心位置の照度が最も高くなるように照明される。つまり、照明装置8は、照度分布が平坦な平面光源であるEL発光体22の発した光線を、光ファイバ束23で案内して、集光レンズ19で原稿P上に集光するように照射するので、照度のピークが高くなるように配光できる。
【0029】
一方、受光センサ14に原稿Pの反射光を導く第1受光反射鏡9、第2受光反射鏡11および第3受光反射鏡12などの組立誤差や寸法誤差等により、図示するように、照明装置8の中心位置Y0から副走査方向にずれた位置Y1の反射光が受光センサ14に受光されるようになることが少なくない。このため、実際に受光センサ14が受光する光線を反射する原稿Pの読取目線上の照度は、照明装置8の配光のピーク位置からずれた位置になってしまう。このような、照明中心位置Y0と読取目線位置Y1とのずれによる実効的な照度の低下は、画像読取の画質の低下を招く。
【0030】
そこで、本実施形態では、画像読取装置3毎に検査を行い、実際に受光センサ14が受光する原稿P上の位置(読取目線位置)と照明装置8の配光のピーク位置(照明中心位置)との副走査方向のずれを測定し、図10に示すように、そのずれ量だけ、照明装置8の調整部材18を副走査方向に移動して固定する。これにより、図示するように、照明装置8が投光する光線の中心位置を、受光センサ14の読取目線位置に合致させることができ、原稿Pの読取に実効的な照明の照度を最大化できる。このため、読み取った画像の画質が高く、高速な読み取りを行っても画質が低下しない。
【0031】
以上の第1実施形態の画像読取装置3では、受光センサ14が画像読取装置3内部に固定されており、第1受光反射鏡9、第2受光反射鏡11および第3受光反射鏡12が移動するようになっているが、例えば、図11に示す変形例のように、受光センサ14と複数の受光反射鏡9aが走査ユニット10に設けられて照明装置8と共に移動するモジュールスキャンタイプであってもよく、例えば、図12に示すさらなる変形例のように、等倍の密着型センサ(CIS)14aを用いて、原稿Pに近接させて移動させてもよい。尚、先に説明した構成要素と同じ構成要素には、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0032】
また、図13に、本発明の第2実施形態の照明装置8aを示す。本実施形態の照明装置8aは、光ファイバ束23の投光端を第1投光端23cと第2投光端23dとに分割して、両者の先端にそれぞれ集光レンズ19a,19bが配置している。第1投光端23cは、原稿Pの読取目線に対向しているが、第2投光端23dは、反射光の光路の反対側に設けられた投光反射鏡24に対向し、投光反射鏡24で反射された光線が原稿Pの読取目線に上に合焦するようになっている。本実施形態では、1つのEL発光体22だけを用いるので、EL発光体22の駆動回路が1系統で済む。
【0033】
また、図14に示す本発明の第3実施形態の照明装置8bのように、第2投光端23dの先端には集光レンズ19bを設けず、反射光の光路の反対側に設けた凹面状の投光反射鏡24aによって、原稿Pの読取目線に上に合焦させてもよい。
【0034】
また、図15に、本発明の第4実施形態の照明装置8cを示す。本実施形態では、光ファイバ束23の投光端23bを位置決めする調整部材18は、主走査方向の軸18aを中心に回動可能に設けられている。本実施形態でも、照明装置8cの配光の中心位置を副走査方向に調整可能である。この場合、集光レンズ19から原稿P読取目線までの距離が変化するので、照度分布が一定でなくなるが、第1実施形態に比して、光ファイバ束23の変形量が小さくて済むので、調整範囲を広くすることが容易である。
【0035】
図16に、本発明の第5実施形態の照明装置8dを示す。本実施形態では、1つの光ファイバ束23の受光端23aに、2つのEL発光体22が並んで密接している。このように、本発明では、複数の平面光源22を使用することも可能である。
【0036】
さらに、図17に、本発明の第6実施形態の照明装置8eを示す。本実施形態では、それぞれ受光端23aに1つの平面光源22が密接する2つの光ファイバ束23の投光端23bをひとつに束ねて、1つの集光レンズ19に対向させている。これによって、投光端23bにおいて、光線の照射量が小さい光ファイバをなくし、平面光源22の間隔が大きい場合にも、照明のムラや集光性(ピーク照度)の低下を防止できる。また、これは、1つの光ファイバ束23の受光端23aを複数に分割したものと考えてもよい。
【0037】
以上のように、本発明によれば、平面光源22の発した光線を光ファイバ束23によって導光して、原稿Pに照射するので、光線を読取目線に集中的に照射でき、また、集光レンズ19によって照度の分布を調整したり、光ファイバ束23の彎曲によって照明位置を調整したりできる。このため、原稿Pの読取目線上の照度を高め、高速で高画質の画像読取装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態の画像読取装置を有する複合プリンタの斜視図。
【図2】図1の画像読取装置の斜視図。
【図3】図1の画像読取装置の断面図。
【図4】図1の画像読取装置の走査ユニットの斜視図。
【図5】図4の走査ユニットの照明装置の分解斜視図。
【図6】図4の走査ユニットの断面図。
【図7】図4の走査ユニットの照明装置の動作を示す断面図。
【図8】図4の走査ユニットの照明装置の逆方向の動作を示す断面図。
【図9】図4の走査ユニットの製造直後の照明装置による照度分布を示す図。
【図10】図4の走査ユニットの調整後の照明装置による照度分布を示す図。
【図11】図3の画像読取装置の変形例の断面図。
【図12】図4の画像読取装置の異なる変形例の断面図。
【図13】本発明の第2実施形態の照明装置の概略図。
【図14】本発明の第3実施形態の照明装置の概略図。
【図15】本発明の第4実施形態の照明装置の概略図。
【図16】本発明の第5実施形態の照明装置の概略図。
【図17】本発明の第6実施形態の照明装置の概略図。
【符号の説明】
【0039】
1…複合プリンタ
3…画像読取装置
6…スリットガラス
7…原稿台
8,8a,8b,8c,8d,8e…照明装置
9…第1受光反射鏡
10…走査ユニット
14…受光センサ
17…固定部材
18…調整部材
19,19a,19b…集光レンズ
20…ガラス基板
21…封止部材
22…EL発光体(平面光源)
23…光ファイバ束
23a…受光端
23b,23c,24d…投光端
24,24a…投光反射鏡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に延伸する平面光源と、多数の光ファイバを彎曲可能に束ねてなり、受光端が前記平面光源に対向する光ファイバ束と、前記光ファイバ束の前記受光端と反対側の投光端の姿勢を調整可能に位置決めする位置決め手段とを有することを特徴とする画像読取装置用の照明装置。
【請求項2】
前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、前記受光端に対して前記主走査方向に直交する副走査方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、前記主走査方向の軸周りに回動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照明装置は、前記光ファイバ束の前記投光端に、集光レンズを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の照明装置を備え、
前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、原稿の読取目線に対向させ、
さらに、前記原稿からの反射光を受光する受光センサを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記照明装置は、前記主走査方向に直交する副走査方向に移動可能な走査ユニット上に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項1】
主走査方向に延伸する平面光源と、多数の光ファイバを彎曲可能に束ねてなり、受光端が前記平面光源に対向する光ファイバ束と、前記光ファイバ束の前記受光端と反対側の投光端の姿勢を調整可能に位置決めする位置決め手段とを有することを特徴とする画像読取装置用の照明装置。
【請求項2】
前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、前記受光端に対して前記主走査方向に直交する副走査方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、前記主走査方向の軸周りに回動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照明装置は、前記光ファイバ束の前記投光端に、集光レンズを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の照明装置を備え、
前記位置決め手段は、前記光ファイバ束の前記投光端を、原稿の読取目線に対向させ、
さらに、前記原稿からの反射光を受光する受光センサを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記照明装置は、前記主走査方向に直交する副走査方向に移動可能な走査ユニット上に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−104033(P2009−104033A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277428(P2007−277428)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]