説明

照明装置

【課題】安定した給電を行えるとともに素子の寿命の低下を抑えることのできる照明装置を提供する。
【解決手段】透光性を有する材料から成る基板10、基板10の一表面側に積層される第1の電極12、有機層11、第2の電極13、基板10の前記一表面側に形成されて第1の電極12及び第2の電極13と各々電気的に接続された第1の給電部15、第2の給電部16から成る発光素子1と、外部電源Aと接続されるとともに第1の給電部15及び第2の給電部16と各々電気的に接続される複数の給電部材2とを備えた照明装置であって、基板10の前記一表面側に配設されて発光素子1の少なくとも第1の給電部15及び第2の給電部16を除いた部位と接触する金属製の枠体3を有し、枠体3には、第1の給電部15及び第2の給電部16と対向する位置に給電部材2を挿通させるための挿通孔30aを貫設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機EL素子を用いた照明装置が提供されており、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。この従来例は、熱伝導層、第1の電極、絶縁層、有機層、第2の電極を有する積層体をガラス基板上に形成して成る照明装置であって、有機層は、蒸着等の方法によって正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を順次形成して成る。積層体の熱伝導層は、ガラス基板上の略全域に亘って形成されており、熱伝導層上に積層体を封止する封止ガラスが接着剤によって接合されるとともに、熱伝導層上における封止ガラスの外側には、複数の放熱フィンを有するヒートシンク(放熱部材)が接着剤によって接合されている。而して、高輝度で連続駆動する際に有機層から発する熱を熱伝導層を介してヒートシンクから放出することで、有機EL素子が劣化して発光輝度が低下するという問題を解消している。
【特許文献1】特開2006−210216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来例では、ガラス基板上に無機層・有機層を積層して封止する構造であるため、基板及び積層体の発光面を除いた部位を枠体で覆って保護することで、利用の際の安全性を高める必要がある。しかしながら、この枠体を樹脂材料で形成した場合、枠体に覆われた基板部分に熱が篭もり、発光素子の寿命を低下させるという問題があった。また、放熱性を考慮して枠体を金属材料で形成した場合、枠体と電極との間で短絡が生じ、安定した給電を行うことができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、安定した給電を行えるとともに素子の寿命の低下を抑えることのできる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、透光性を有する材料から成る基板、基板の一表面側に積層される第1の電極、第1の電極層の基板と反対側の面に積層されて少なくとも発光層を含む有機層、有機層の基板と反対側の面に積層される第2の電極、基板の前記一表面側に形成されて第1の電極と電気的に接続された第1の給電部、基板の前記一表面側に形成されて第2の電極と電気的に接続された第2の給電部から成る発光素子と、外部電源と接続されるとともに第1の給電部及び第2の給電部と各々電気的に接続される複数の給電部材とを備えた照明装置であって、基板の前記一表面側に配設されて発光素子の少なくとも第1の給電部及び第2の給電部を除いた部位と接触する金属製の枠体を有し、枠体には、第1の給電部及び第2の給電部と対向する位置に給電部材を挿通させるための挿通孔が貫設されたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、給電部材は、ピン状に形成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、給電部材は、自身を第1の給電部及び第2の給電部と接触する方向に付勢する付勢手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項の発明において、貫設孔は、その内周面が絶縁性材料から成る被膜で覆われたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項の発明において、発光素子と枠体との間に熱伝導性を有する熱伝導部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、発光素子と接触する金属製の枠体を設けたので、装置駆動時における発光素子での発熱を枠体を介して外部に放出することで発光素子の温度を下げることができ、したがって発光素子の寿命の低下を抑えることができる。また、枠体において第1の給電部及び第2の給電部と対向する位置に給電部材を挿通させるための挿通孔を貫設したので、第1の給電部及び第2の給電部と枠体との間を短絡させることなく給電部材を各給電部に接続できるので、安定した給電を行うことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、給電部材をピン状に形成したので、給電部材を挿通孔に容易に差し込むことができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、各給電部に対する給電部材の接圧を高めることができるので、更に安定した給電を行うことができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、貫設孔の内周面を絶縁性の被膜で覆ったので、枠体と短絡することなく給電部材を各給電部に取り付けることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、発光素子から枠体への熱伝導性が向上するので、装置駆動時における発光素子の温度を下げることができ、発光素子の寿命の低下を更に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
以下、本発明に係る照明装置の実施形態1について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、特に断りの無い限りは図1(a)における上下左右を上下左右方向と定めるものとする。本実施形態は、図1(a)に示すように、略平板状に形成された発光素子1と、外部電源Aと接続されるとともに発光素子1に給電するための複数(図示では2つ)の給電部材2と、少なくとも一部が発光素子1と接触するとともに発光素子1を支持する枠体3とから成る。
【0016】
発光素子1は、図2に示すように、透光性を有する材料から成る基板10と、基板10に積層される有機材料から成る有機発光層11と、有機発光層11を挟んで設けられる陽極となる第1の電極層12及び陰極となる第2の電極層13と、第1の電極層12及び第2の電極層13を覆うように設けられて有機発光層11を封止する封止層14と、第1の電極層12及び第2の電極層13に各々接続されて外部電源Aから電圧を供給するための第1の給電部15、第2の給電部16とから成る。
【0017】
基板10は、有機発光層11を支持するための平板状の部材であって、例えばガラス等の透光性を有する材料から成る。有機発光層11は、蛍光物質の有機材料又は蛍光物質を含む有機材料から成る発光層を少なくとも含んで構成され、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を含んで構成される。
【0018】
第1の電極層12は、透光性を有する材料から成る導電性の薄膜であって、例えばインジウム・すず酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)等で形成される。尚、第1の電極層12は、その一部が基板10の長手方向における一方の端部側に後述する封止層14から露出するように引き出され、陽極端子部12aを形成している。
【0019】
第2の電極層13は、有機発光層11で発光する光を反射する材料から成る導電性の薄膜であって、例えば、アルミニウム(Al)、アルミリチウム(Al:Li)、マグネシウム銀(Mg:Ag)等の金属や合金などで形成される。本実施形態では、導電性、反射率及びコスト等の観点から、第2の電極層13はアルミニウムで形成されている。第2の電極層13は、その一部が基板10の長手方向における他方の端部側に後述する封止層14から露出するように引き出され、陰極端子部13aを形成している。
【0020】
封止層14は、基板10と併せて有機発光層11を気密に封止するための絶縁性を有する薄膜であって、例えばシリコン樹脂等から形成される。封止層14は、第2の電極層13の図2における上面及び右側面を覆うとともに、有機発光層11の左側面を覆うように形成される。
【0021】
外部電源Aは、例えば商用電源の交流出力を全波整流するダイオードブリッジから成る整流回路と、整流された脈流電圧を平滑化するコンデンサと、平滑化された直流電圧を発光素子1の定格に応じた電圧に変換するDC−DCコンバータ回路とから構成される直流電源である。尚、このような直流電源は周知であるので、ここでは図示及び詳細な説明を省略する。
【0022】
第1の給電部15及び第2の給電部16は、何れも例えばクロムめっきから形成され、一端が陽極端子部12a若しくは陰極端子部13aと接続される幅寸法の短い細幅部15a,16aと、細幅部15a,16aの各他端と一体に形成されて外部電源Aからの給電部材2が接続される幅寸法の長い太幅部15b,16bとから成る。尚、各給電部15,16は何れも封止層14の外側に形成される。
【0023】
而して、各給電部15,16に外部電源Aからの給電部材2を接続し、陽極端子部12aと陰極端子部13aとの間に直流電圧を印加することで有機発光層11が可視光を発光する。この有機発光層11で発光した光は、直接或いは第2の電極層12で反射することにより、基板10の図2における下面から取り出され、基板10の前記下面が面状発光する(以下では、基板10の面状発光する面を「発光面10a」と呼ぶものとする)。
【0024】
枠体3は、例えば鉄、銅、ステンレス鋼等の金属材料から形成され、図1(a)に示すように、略平板状の本体部30と、本体部30の左右両端部から上方に突出して形成された略鈎形の保持部31とから構成される。尚、本実施形態では、熱伝導率や重量を考慮してアルミニウムで形成されている。本体部30の上面には、発光素子1が発光面10aを上向きにした状態で載置される。この際、発光素子1は封止層14が本体部30と当接するとともに、各給電部15,16が本体部30と上下方向に間隔を空けて配設されるので、各給電部15,16が本体部30と接触して短絡しないようになっている。保持部31は、各々の先端部が互いに近づく方向に突出しており、これら先端部と本体部30との間に発光素子1が保持されることで、発光素子1と枠体3との間の密着が長期に亘って維持されるようになっている。また、本体部30には、図1(b)に示すように、左右両端部にそれぞれ長手方向が本体部30の短手方向に沿った略矩形状の挿通孔30aが貫設されている。
【0025】
給電部材2は、図1(a)に示すように、その一端部に各給電部15,16と接触する導通部2aを有するピン状に形成されており、他端部は外部電源Aに接続されている。而して、各給電部材2の導通部2aを枠体3の挿通孔30aを介して各給電部15,16にそれぞれ接触させることで、発光素子1に点灯電力を給電するようになっている。また、給電部材2がピン状に形成されているため、給電部材2を挿通孔30aに容易に差し込むことができるとともに、給電部材2を挿通孔30aの内側の範囲で自由に動かすことができ、発光素子1の取付位置、角度がずれた場合にも給電部材2を各給電部15,16に取り付けることができて安定した給電を行うことができる。尚、図示しないが、枠体3には、導通部2aが給電部15,16と接触した状態で給電部材2を固定する固定手段が設けられている。また、給電部材2には、図示しないが導通部2aを各給電部15,16と接触する方向に付勢する付勢手段が設けられている。このため、各給電部15,16に対する給電部材2の導通部2aの接圧を高めることができ、接触抵抗を安定させることで安定した給電を行うことができる。尚、本実施形態では給電部材2をピン状に形成しているが、他の形状に形成しても構わない。
【0026】
また、図3に示すように、挿通孔30aの内周面を絶縁性材料から成る被膜5で覆うように構成してもよい。このように構成すれば、枠体3と短絡することなく給電部材2を各給電部15,16に取り付けることができる。尚、挿通孔30aの内周面のみならず枠体3の本体部30の上下両面も被膜5で覆うように構成するのが望ましい。
【0027】
上述のように、発光素子1の封止層14と接触する金属製の枠体3を設けたので、装置駆動時における発光素子1での発熱を枠体3を介して外部に放出することで発光素子1の温度を下げることができ、したがって発光素子1の寿命の低下を抑えることができる。また、枠体3の本体部30の第1の給電部15及び第2の給電部16と対向する位置に給電部材2を挿通させるための挿通孔30aを貫設したので、各給電部15,16と枠体3との間を短絡させることなく給電部材2を各給電部15,16に接続できるので、安定した給電を行うことができる。
【0028】
尚、図4に示すように、発光素子1と枠体3の本体部30との間に熱伝導性を有する熱伝導部材4を設けても構わない。熱伝導部材4は、放熱性を高めるために熱伝導率が高く且つ発光素子1の封止層14及び枠体3と密着性の高い材料で形成されるのが望ましく、例えばシリコンや、シリコンにアルミナ等の高熱伝導率フィラーを加えたものからシート状、ペースト状、又はゲル状に形成するのが望ましい。このように熱伝導部材4を設けることで、発光素子1から枠体3への熱伝導性が向上するので、装置駆動時における発光素子1の温度を下げることができ、発光素子1の寿命の低下を更に抑えることができる。
【0029】
(実施形態2)
以下、本発明に係る照明装置の実施形態2について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的構成は実施形態1と共通であるので、共通する部位には同一の符号を付して説明を省略するものとする。本実施形態は、図5(a),(b)に示すように、枠体3を第1の子枠体32と第2の子枠体33とに分離可能に構成している。第1の子枠体32、第2の子枠体33は、それぞれ実施形態1の枠体3の左半分、右半分を構成する形状に形成されており、第1の子枠体32の右端部及び第2の子枠体33の左端部が図示しない結合手段によって互いに結合することで、実施形態1の枠体3と略同一形状となる。
【0030】
而して、図5(a)に示すように、発光素子1の左右両端部を各子枠体32,33の保持部31に嵌合させるとともに、各子枠体32,33を結合することで発光素子1が枠体3に保持される。このように構成すれば、ガラス等の破壊されやすい材質から成る基板10を有する発光素子1を枠体3に取り付ける際に、かしめ等の後加工を施す必要が無いため、発光素子1の枠体3への取付作業が容易且つ安全なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の照明装置の実施形態1を示す図で、(a)は概略図で、(b)は枠体を下側から見た図である。
【図2】同上の発光素子を示す概略図である。
【図3】同上の挿通孔の周囲に絶縁部材を設けた場合を示す概略図である。
【図4】同上の発光素子と枠体との間に熱伝導部材を設けた場合を示す概略図である。
【図5】本発明の照明装置の実施形態2を示す図で、(a)は第1の子枠体と第2の子枠体を結合する前の状態の概略図で、(b)は第1の子枠体と第2の子枠体とを結合した状態の概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1 発光素子
10 基板
11 有機発光層
12 第1の電極層
13 第2の電極層
14 封止層
15 第1の給電部
16 第2の給電部
2 給電部材
3 枠体
30 本体部
30a 挿通孔
31 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する材料から成る基板、基板の一表面側に積層される第1の電極、第1の電極層の基板と反対側の面に積層されて少なくとも発光層を含む有機層、有機層の基板と反対側の面に積層される第2の電極、基板の前記一表面側に形成されて第1の電極と電気的に接続された第1の給電部、基板の前記一表面側に形成されて第2の電極と電気的に接続された第2の給電部から成る発光素子と、外部電源と接続されるとともに第1の給電部及び第2の給電部と各々電気的に接続される複数の給電部材とを備えた照明装置であって、基板の前記一表面側に配設されて発光素子の少なくとも第1の給電部及び第2の給電部を除いた部位と接触する金属製の枠体を有し、枠体には、第1の給電部及び第2の給電部と対向する位置に給電部材を挿通させるための挿通孔が貫設されたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記給電部材は、ピン状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記給電部材は、自身を第1の給電部及び第2の給電部と接触する方向に付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記貫設孔は、その内周面が絶縁性材料から成る被膜で覆われたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記発光素子と枠体との間に熱伝導性を有する熱伝導部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−76266(P2009−76266A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242769(P2007−242769)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】