説明

照明装置

【課題】COBモジュールの発光部からの光の配光制御が可能でありながら、構造が簡単で、小形にできる照明装置を提供する。
【解決手段】COBモジュール12とフレネルレンズ13とを備える。COBモジュール12は、基板15、およびこの基板15の一面に複数のLED素子が実装されるとともに複数のLED素子を封止層で覆って形成された発光部16を有する。フレネルレンズ13は、COBモジュール12の発光部16に対向させ、COBモジュール12の基板15に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光源モジュールを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED素子を光源とするダウンライトやスポットライトなどの照明装置では、LED素子をパッケージ内に収容するとともに封止樹脂で封止した表面実装形のSMD(Surface Mount Device)パッケージを基板に複数個搭載した光源ユニットや、基板に複数のLED素子を実装するとともにこれら複数のLED素子を蛍光体が混入された封止層で覆って面状の発光部を形成した光源モジュールであるCOB(Chip On Board)モジュールが用いられている。
【0003】
複数のSMDパッケージを用いる場合には、各SMDパッケージから放射する光を制御するための反射体やレンズなどの光学部品を用いている。そして、SMDパッケージを搭載した基板および光学部品を筐体などの支持部品にそれぞれ取り付けることにより、これらSMDパッケージと光学部品とを組み合わせている。
【0004】
COBモジュールを用いる場合には、発光部が面状であることから、SMDパッケージで用いているようなレンズは用いられず、光学部品として反射体のみを用いることが多い。そして、COBモジュールの基板および光学部品を筐体などの支持部品に取り付けることにより、COBモジュールと光学部品とを組み合わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−294526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
COBモジュールを用いる照明装置では、発光部が面状であることから、SMDパッケージで用いているようなレンズは用いられず、光学部品として反射体のみで配光制御することが多かった。
【0007】
また、レンズを用いるとしても、COBモジュールの基板とレンズとを組み合わせて照明装置を構成するには、これらCOBモジュールの基板およびレンズをそれぞれ取り付けるための支持部品が必要となり、照明装置の部品点数が多くなり、構造が複雑で大形になる問題がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、レンズによる光源モジュールの発光部からの光の配光制御が可能でありながら、構造が簡単で、小形にできる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の照明装置は、光源モジュールとフレネルレンズとを備える。光源モジュールは、基板、およびこの基板の一面に複数のLED素子が実装されるとともに複数のLED素子を封止層で覆って形成された発光部を有する。フレネルレンズは、光源モジュールの発光部に対向させ、光源モジュールの基板に取り付ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フレネルレンズを用いるとともに、このフレネルレンズを光源モジュールの基板に取り付ける構造とすることにより、フレネルレンズによる発光部からの光の配光制御が可能でありながら、構造が簡単で、小形にできることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態を示す照明装置の断面図である。
【図2】第2の実施形態を示す照明装置の断面図である。
【図3】第3の実施形態を示す照明装置の断面図である。
【図4】第4の実施形態を示す照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、第1の実施形態を、図1を参照して説明する。
【0013】
照明装置11は、光源モジュールとしてのCOB(Chip On Board)モジュール12、およびこのCOBモジュール12の一面である前面を覆うようにCOBモジュール12に直接取り付けられたフレネルレンズ13を備えている。
【0014】
COBモジュール12は、基板15、この基板15の一面の中央領域に形成された発光部16を備えている。
【0015】
基板15は、例えば、アルミニウムなどの金属やセラミックスなど熱伝導性に優れた材料で、円板状に形成されている。基板15の一面である前面を実装面とし、この実装面に図示しない配線パターンが形成されている。基板15が金属製の場合には基板15の実装面に絶縁層が形成され、この絶縁層上に配線パターンが形成されている。なお、基板15は、円板状に限らず、正方形状、長方形状など、他の形状に形成されていてもよい。
【0016】
発光部16は、基板15の実装面側から見た形状が例えば円形や四角形で、その形状領域内に図示しない複数のLED素子が例えば接着剤で接着されて実装され、これら複数のLED素子がワイヤボンディングによって直列に電気接続されるとともに基板15の配線パターンに電気接続されている。さらに、蛍光体が混入された例えばシリコーン樹脂などの透明樹脂で構成される蛍光体層としての封止層で、複数のLED素子が一体に覆われて封止されている。そして、LED素子には例えば青色光を発するLED素子が用いられ、封止層の蛍光体にはLED素子からの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する蛍光体が用いられている。したがって、LED素子および封止層などによって発光部16が形成され、この発光部16の前面である封止層の前面が発光面となり、この発光面から白色系の照明光が放射される。
【0017】
COBモジュール12には、図示しない点灯装置からLED素子に点灯電源を供給する配線が接続される。
【0018】
また、フレネルレンズ13は、例えば、ポリカーボネートなどの透明樹脂にて一体に形成されており、発光部16の前面に対向するフレネルレンズ部である前面部18、および発光部16の周囲に対向する取付脚部である側面部19を備えている。
【0019】
前面部18は基板15の実装面の形状および大きさと略等しく形成され、発光部16に対向する前面部18の内面に発光部16からの光が入射する入射面でもあるフレネルレンズ面20が形成され、このフレネルレンズ面20とは反対側となる前面部18の外面に光が出射する出射面21が形成されている。フレネルレンズ面20は、通常のレンズを同心円状の領域に分割し、厚みを減らしたレンズであり、径方向にのこぎり状の断面を有し、分割数を多くすればするほど薄くでき、使用材料を減らして軽量化もできる。フレネルレンズ面20では、発光部16から入射した光を所定の出射方向へ向けて出射させるもので、出射面21から出射する光の出射方向が、例えば、発光部16の前面に垂直な光軸方向と平行となるように制御する。
【0020】
側面部19は、例えば、前面部18の周辺部の全域から環状に形成されていて、前面部18に対して反対側の後方へ向けて開口されており、その側面部19の開口端には基板15の周辺部に取り付けられる取付部22が形成されている。この取付部22には、側面部19の内周面に基板15の周辺部に嵌り込む環状の嵌合溝23が形成され、この嵌合溝23に嵌り込んだ基板15の他面である背面に引っ掛かって保持する爪部24が形成されている。がたつき防止のために、基板15と嵌合溝23との間に弾性体や接着剤などを介在させてもよい。
【0021】
そして、このように構成された照明装置11では、点灯装置からCOBモジュール12の複数のLED素子に点灯電源を供給することにより、複数のLED素子が点灯して発光部16の発光面から光が放射され、この光がフレネルレンズ13に入射し、このフレネルレンズ13から外部へ出射される。フレネルレンズ13のフレネルレンズ面20が形成された前面部18に入射した発光部16からの光は、前面部18の出射面21から例えば光軸方向と平行な方向へ向けて出射される。また、発光部16からこの発光部16の周囲へ向かう光が側面部19に入射し、この側面部19を通過して外部へ出射される。
【0022】
第1の実施形態の照明装置11によれば、通常のレンズに比べて、薄く、使用材料を減らして軽量化できるフレネルレンズ13を用いるとともに、このフレネルレンズ13をCOBモジュール12の基板15に直接取り付けることにより、特別な支持部品が必要なく、フレネルレンズ13による発光部16からの光の配光制御が可能でありながら、構造が簡単で、小形にできる。
【0023】
しかも、フレネルレンズ13をCOBモジュール12の基板15に直接取り付けるため、フレネルレンズ面20の中心と発光部16の中心とが一致するとともに、フレネルレンズ面20と発光部16との距離が一定となるなど、フレネルレンズ面20と発光部16との位置関係を正確に合わせることができ、光学特性を安定させることができる。
【0024】
次に、第2の実施形態を、図2を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一構造については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0025】
フレネルレンズ13の側面部19に、COBモジュール12の発光部16の周囲に対向され、その発光部16から周囲の方向へ向かう光を所定の出射方向である光軸方向に平行な方向へ向けて全反射させる全反射面25が一体に形成されている。
【0026】
このフレネルレンズ13により、発光部16から周囲の方向へ向かい、フレネルレンズ面20に入射しない光を、全反射面25で全反射させて出射面21から出射させることができ、出射面21から光を取り出す光取出効率を向上できる。
【0027】
次に、第3の実施形態を、図3を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一構造については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0028】
フレネルレンズ13は、COBモジュール12の発光部16に対向する内面を凹曲面、内面に対して反対側の外面を凸曲面としたメニスカスレンズ構造とし、その内面にフレネルレンズ面20が形成されている。
【0029】
この湾曲したフレネルレンズ13により、集光性を高めることができる。通常、フレネルレンズの集光性を高めるには、フレネルレンズを大形にする必要があるが、大きくすることによって出射光に同心円状の濃淡が発生したり回析の影響による結像性能の悪化が顕著になるが、この湾曲したフレネルレンズ13により、大形になることがなく、その大形になることによる悪影響もなく、集光性を高めることができる。
【0030】
また、湾曲したフレネルレンズ13は、フレネルレンズ面20とCOBモジュール12の発光部16との距離を確保して配光制御を可能とするとともに、発光部16から周囲の方向へ向かう光をフレネルレンズ面20の周辺部領域に入射させて出射面21から出射させ、出射面21から光を取り出す光取出効率を向上できる。
【0031】
次に、第4の実施形態を、図4を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一構造については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0032】
COBモジュール12の基板15の実装面には複数の発光部16が形成されている。例えば、基板15が円板状で、この基板15の同一円周上の3箇所以上に形成されている。基板15の中心部には挿通孔27が形成されている。
【0033】
フレネルレンズ13の前面部18の内面で各発光部16に対向する各領域には、フレネルレンズ面20(図4ではフレネルレンズ面20の図示を省略している)がそれぞれ形成されている。フレネルレンズ13の前面部18の内面の中心部には、ナット28がインサート成形されたボス29が突出形成されている。側面部19の取付部22は、基板15の周辺部が嵌り込む嵌合溝23を有するが、基板15の実装面に対して反対の背面側への突出箇所は設けられていない。
【0034】
また、フレネルレンズ13が取り付けられたCOBモジュール12は、本体31に取り付けられる。この本体31は、例えば、アルミニウムなどの金属製で、前面にCOBモジュール12の基板15の背面が面接触する平面状の取付面32が形成され、背面に複数の放熱フィン33が形成されている。本体31の中心部には、取付面32と背面とに貫通する挿通孔34が形成され、この挿通孔34に固定手段35のねじ36が挿通される。
【0035】
そして、照明装置11を組み立てるには、フレネルレンズ13をCOBモジュール12の基板15に取り付け、これらを基板15の背面が本体31の取付面32に接触するように配置し、ねじ36を本体31の挿通孔34および基板15の挿通孔27を通じてフレネルレンズ13のボス29のナット28に螺着して締め付ける。
【0036】
このねじ36の締め付けにより、COBモジュール12の基板15をフレネルレンズ13と本体31との間で挟み込み、COBモジュール12の基板15の背面を本体31の取付面32に密着させる。
【0037】
これにより、COBモジュール12の点灯時に複数のLED素子が発生する熱を、基板15から本体31に効率よく熱伝導でき、この本体31から効率よく放熱できる。
【0038】
また、例えば、基板15にねじ36を螺着するようにすると、基板15がひずみ、基板15の実装面に形成されている絶縁層などが割れてしまうなどの影響が発生する場合があるが、COBモジュール12の基板15をフレネルレンズ13と本体31との間で挟み込むようにねじ止めすることにより、基板15への影響を防止できる。特に、フレネルレンズ13で基板15の周辺部および中心部の広い範囲を本体31に対して均等に押し付けることができるため、基板15への影響を確実に防止できる。
【0039】
なお、ナット28を用いず、ボス29に孔を設けておいて、このボス29の孔にねじ36を螺着するようにしてもよい。
【0040】
また、固定手段35は、ねじ36に限らず、例えば、フレネルレンズ13の取付部22を利用して本体31に係止するようにしてもよい。
【0041】
また、ボス29から突出するようにねじをインサート成形し、このねじを本体31の挿通孔34に挿通して本体31の背面側でねじにナットを螺着して締め付けるようにしてもよい。
【0042】
また、各実施形態の照明装置11は、例えば、スポットライト、ダウンライト、その他、一般照明用に用いることができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
11 照明装置
12 光源モジュールとしてのCOBモジュール
13 フレネルレンズ
15 基板
16 発光部
20 フレネルレンズ面
25 全反射面
31 本体
35 固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、およびこの基板の一面に複数のLED素子が実装されるとともに複数のLED素子を封止層で覆って形成された発光部を有する光源モジュールと;
光源モジュールの発光部に対向し、光源モジュールの基板に取り付けられたフレネルレンズと;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
フレネルレンズは、光源モジュールの発光部の前面に対向するフレネルレンズ面、および光源モジュールの発光部の周囲に対向して発光部からの光を所定の出射方向へ全反射させる全反射面を有している
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
フレネルレンズは、光源モジュールの発光部に対向する内面を凹曲面、内面に対して反対側の外面を凸曲面とし、内面にフレネルレンズ面が形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
本体と;
光源モジュールの基板をフレネルレンズと本体との間に挟み込み、光源モジュールの基板の他面を本体に接触させた状態に、フレネルレンズを本体に固定する固定手段と;
を具備していることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−104256(P2012−104256A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249405(P2010−249405)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】