説明

熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法

【課題】本発明は耐熱性に優れた熱可塑性エラストマー組成物、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に架橋剤を介して変性4−メチル−1−ペンテン共重合体と結合したアクリルゴムを安定かつ均一に分散せしめることによって、150℃以上の高温環境下においても充分な柔軟性を有する熱可塑性エラストマー組成物を提供することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱性に優れた熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から常温では加硫ゴムと同じような性質を示し、加熱により軟化して成形可能となる熱可塑性エラストマーが成形材料として使用されている。
上記熱可塑性エラストマーとしてはスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が例示されるが、上記熱可塑性エラストマーはソフトセグメントとハードセグメントとを含み、該ソフトセグメントは可撓性を付与し、該ハードセグメントは常温で拘束相として作用して耐熱性を付与する。
上記熱可塑性エラストマーは例えば自動車エンジンルーム内等の高温環境下(例えば150℃)に曝露される場所に配置されるホース、ガスケット等の部品の材料として使用するには、機械的強度、耐油性能、あるいは耐熱老化性能等に問題がある。
【0003】
そこでこのような苛酷な条件下で使用する部品の材料としては架橋した、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム等が使用されているが、これらゴムは架橋型であり、成形時に架橋工程があり、その分成形サイクルが長くなり、また架橋したゴムは流動性を喪失するから成形性が悪くなり、生産性に問題があった。
上記耐熱性と成形性とを両立させるために、ポリプロピレンマトリクス内にニトリル系ゴム架橋物、アクリルゴム架橋物、エチレンプロピレンゴム架橋物を分散させた動的架橋型エラストマー等が提供されている。
【特許文献1】米国特許第4409365号公報
【0004】
しかし上記ポリプロピレンをマトリクスとした動的架橋型エラストマーは150℃を超える高温環境下での使用については、信頼性が充分あるとは云い難いものである。
そこで近年4−メチル−1−ペンテン系重合体を主体とする熱可塑性エラストマーが提供されている。上記4−メチル−1−ペンテン系重合体は可撓性に乏しいため、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体をマトリクスとし、該マトリクス中に架橋ゴム粒子を分散させて可撓性を改良している。上記架橋ゴムの中では耐熱性に富むアクリルゴム架橋物を使用することが望ましい。
【特許文献2】特開平11−269330号公報
【特許文献3】特開2002−20562号公報
【特許文献4】特開2006−274119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら4−メチル−1−ペンテン系共重合体と、アクリルゴム架橋物とは相溶性に乏しいので、4−メチル−1−ペンテン系重合体マトリクス中のアクリルゴム架橋物粒子が粗大化して微分散しないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決し、150℃以上の苛酷な高温環境下においても充分な柔軟性を有する熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とするものであり、官能基を導入した変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とアクリルゴムとを架橋剤を介して結合した結合体を、4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に分散せしめたことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。かかる構成にあっては、上記アクリルゴム100質量部に対して4−メチル−1−ペンテン共重合体5〜100質量部、変性4−メチル−1−ペンテン共重合体1〜100質量部、架橋剤0.1〜20質量部の割合で配合されることが望ましい。また、上記4−メチル−1−ペンテン共重合体は、4−メチル−1−ペンテン−1−デセン共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合物であることが望ましい。さらに、上記4−メチル−1−ペンテン−デセン−共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合比は、10/0〜4/6であることが望ましい。
また、上記架橋剤は、ジカルボン酸化合物であることが好ましい。あるいは、上記架橋剤は、多官能ヒドラジド化合物であってもよい。また、上記変性4−メチル−1−ペンテン共重合体はカルボン酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体であることが望ましい。さらに、上記カルボン酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体は、無水マレイン酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体であることが望ましい。
また、本発明は、アクリルゴムと、4−メチル−1−ペンテン共重合体と、官能基を導入した変性4−メチル−1−ペンテン共重合体と、架橋剤とを高せん断混練装置によって動的に加熱混練を行なうことによって、該アクリルゴムと該変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とを該架橋剤を介して化学的に結合せしめると共に、該結合体を該4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に分散せしめることを特徴とする、上記の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法である。上記4−メチル−1−ペンテン共重合体は、4−メチル−1−ペンテン−1−デセン共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合物であることが望ましい。また、上記4−メチル−1−ペンテン−デセン−共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合比は、10/0〜4/6であることが望ましい。さらに、上記架橋剤は、ジカルボン酸化合物、または、多官能ヒドラジド化合物が好適である。
【発明の効果】
【0007】
〔作用〕
本発明の熱可塑性エラストマーのマトリクスを形成する4−メチル−1−ペンテン共重合体は、融点が220℃〜240℃であって耐熱性に非常に優れており、またアクリルゴムも従来から自動車エンジンルーム内に配置される部品の材料として使用されており、耐熱性、耐油性に富むゴムとして評価されているから、従来のポリプロピレン等をマトリクスとする動的架橋型エラストマーよりも耐熱性、耐油性に優れたエラストマーを提供できる。
【0008】
上記4−メチル−1−ペンテン共重合体とアクリルゴムとは非相溶であるため、該アクリルゴムを該変性4−メチル−1−ペンテン共重合体と架橋剤を介して化学的結合せしめる。該アクリルゴム−変性4−メチル−1−ペンテン共重合体結合体にあっては、変性4−メチル−1−ペンテン共重合体が4−メチル−1−ペンテン共重合体に対して親和性を有するから、アクリルゴム該変性4−メチル−1−ペンテン共重合体を介して該4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に微粒子として安定に分散する。
【0009】
〔効果〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物、およびその製造方法は、アクリルゴム架橋剤を介して変性4−メチル−1−ペンテン共重合体と結合することによって4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に安定に分散しているから、耐熱性、耐油性に優れており、更にアクリルゴムやニトリルゴムのような加硫ゴムに比べると成形性もはるかに優れているから、成形コストが低減出来、耐熱性、耐油性を有する低廉な成形物が提供出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を以下に詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマーの成分は、(a)アクリルゴム、(b)4−メチル−1−ペンテン共重合体、所望なれば(c)変性4−メチル−1−ペンテン共重合体、および(d)架橋剤である。
【0011】
(a)アクリルゴム
本発明に使用するアクリルゴムの主原料としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルコキシアルキルエステルが例示される。上記アクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルコキシアルキルエステルは単独あるいは二種以上併用されてもよい。
【0012】
上記アクリルゴムを架橋剤と反応させるためには、上記アクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルコキシアルキルエステルと官能基を有するビニル単量体とを共重合せしめる。上記官能基を有するビニル単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アトロパ酸、シトラコン酸等のα−β不飽和脂肪酸、β−ハイドロキシエチルアクリレート、β−ハイドロキシエチルメタクリレート、β−ハイドロキシプロピルアクリレート、β−ハイドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール等の水酸基含有ビニル単量体、2−クロロエチルビニルエーテル、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロルアセテート、ビニルクロルプロピオネートアリルクロルアセテート、アリルクロルプロピオネート等の活性塩素含有ビニル単量体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有ビニル単量体等が例示される。上記官能基を有するビニル単量体は単独あるいは二種以上併用されてもよい。
【0013】
上記ビニル単量体以外、本発明のアクリルゴムには、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、エチレン、プロピレン、エチレンビニル酢酸(エチレンビニルアセテート)等のオレフィン系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、クロロプレン等の非共役ジエン、その他スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等のビニル単量体が共重合されてもよい。
【0014】
(b)4−メチル−1−ペンテン共重合体
本発明に使用する4−メチル−1−ペンテン共重合体としては、例えば4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、または4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合体である。好ましい共重合体は、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンまたは1−エイコセン等の炭素数10〜20のα−オレフィンである。4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンは単独あるいは二種以上併用されてもよい。また上記4−メチル−1−ペンテン共重合体は単独あるいは二種以上併用されてもよい。さらにまた、4−メチル−1−ペンテン共重合体として上記重合体のどれを用いてもよいが、好ましくは4−メチル−1−ペンテン−デセン−1共重合体と4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合、もしくは4−メチル−1−ペンテン−デセン−1共重合体単独で用いる方がよい。より好ましくは混合質量比、4−メチル−1−ペンテン−
デセン−1共重合体/4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体=10/0〜4/6であることが望ましい。4−メチル−1−ペンテン−デセン−1共重合体と4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合質量比が4/6を下回ると高温(例えば150℃)における耐油性が充分でなくなる。
【0015】
(c)変性4−メチル−1−ペンテン共重合体
変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とは上記4−メチル−1−ペンテン共重合体中に酸無水物、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基等の官能基を導入した共重合体である。上記共重合体に上記官能基を有する不飽和化合物を上記共重合体に添加し、有機過酸化物、アゾ化合物、金属酸化物等のラジカル発生剤存在下に加熱混練するかおよび/または紫外線、電子線等の高エネルギー線照射下に加熱混練することによって、上記不飽和化合物を上記共重合体内に取入れ結合する。通常加熱混練は主として高混練2軸押出機によって行なわれ、この場合変性共重合体は押出機より押出した後、ペレタイザーを用いてペレット化される。上記変性共重合体は二種以上併用してもよい。
望ましい変性4−メチル−1−ペンテン共重合体としては、カルボン酸変性共重合体がある。上記カルボン酸変性共重合体としては、例えば無水マレイン酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体、無水フタル酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体、無水コハク酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体が例示される。これらカルボン酸変性共重合体も、二種以上併用されてもよい。
【0016】
(d)架橋剤
本発明において用いられる架橋剤は、アクリルゴムと変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とを架橋するものであり、また、アクリルゴム単体も架橋するものである。このような架橋剤としては、アクリルゴムに含有されている官能基と反応可能な官能基と、変性共重合体に含有されている官能基と反応可能な官能基とを有する化合物、アクリルゴムおよび/または変性共重合体にラジカルを発生させるラジカル発生剤等がある。
上記架橋剤を例示すれば、例えばシュウ酸、マロン酸、ジエチルマロン酸、フマル酸、シトラコン酸、アリルマロネート酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルゴキシレート酸、コハク酸、2,2,3,3−テトラメチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2,5−ジエチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、2−エチルスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロペンタンジカルボン酸、デカヒドロ−1,5−(または2,6−)ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ジシクロヘキシルジカルボン酸、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルカルボン酸)、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビ安息香酸、ナフタル酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−スルホニルジ安息香酸などの鎖式、脂環式、あるいは芳香族ジカルボン酸化合物、ならびに上記脂環式または芳香族ジカルボン酸化合物のC1〜C10アルキル基置換誘導体およびハロ、アルコキシまたはアリール基置換誘導体などの環置換誘導体等の多官能カルボン酸化合物、トリレンジイソソシアナート、パラフェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4―ナフタレンジイソシアナート、4,4‘―ジフェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4‘―ジフェニルジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4‘ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシー4,4‘−ジフェニルジイソシアナート、2−クロロー1,4−フィニルジイソシアナート、1−クロロー2,4ーフェニレンジイソシアナート、m−フェニレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、2,2’、5,5‘−テトラメチルー4,4’−m−キシリレンジイソシアナート、ω‘−キシリレンジイソシアナート、ω‘−キシリレンジイソシアナート等のジイソシアネート、イソプロピルトリ(Nーエチレンジアミノ)エチルチタネート、イソブチルトリ(Nーイソプロピレンジアミノ)エチルチタネート等のチタネート系カップリング剤、γーグリシドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランエタノール等のシランカップリング剤、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等の多官能ヒドラジド化合物、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、4,4メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’ーメチレンジアニリン等のアミノ基含有化合物、グリセリン、ペンタエリスリトール、等の多価アルコール、シランスルホン酸アジド等の酸アジド、アゾ化合物、有機過酸化物、金属酸化物等のラジカル発生剤、その他ジシアンジアミド、エポキシ樹脂、変性脂肪族ポリアミン、変性脂環式ポリアミン、アミドアミン、ポリアミン、未変性脂環式ポリアミン、三級アミン、変性イミダゾール、酸無水物、メルカプタン、ケチミン等のエポキシ樹脂用硬化物等がある。
上記架橋剤のうち望ましいものは、多官能ヒドラジド化合物である。該多官能ヒドラジド化合物は、架橋反応性が高く、上記アクリルゴムと上記変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とを効率よく架橋させ、より高強度で高耐熱性、高耐油性、良好な成形性の組成物を提供する。
上記架橋剤のうちさらに望ましいものは、ジカルボン酸化合物等の多官能カルボン酸化合物である。該多官能カルボン酸化合物は、架橋反応をゆっくりと進め、ゴム粒子径を小さくして分散を向上させると考えられ、上記アクリルゴムと上記変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とを一層効率よく架橋させ、より一層高強度で高耐熱性、高耐油性、良好な成形性の組成物を提供する。上記カルボン酸化合物の中で望ましいものは、下記の化学式を有するジカルボン酸化合物である。
HOOC(CHCOOH (ここにnは5〜15の整数である。)
上記nが5以上のジカルボン酸化合物は鎖長が充分大であり、架橋結合する4−メチル−1−ペンテン共重合体分子とアクリルゴム分子相互が密接せず、ある程度の距離を保って結合するので、立体障害が起こり難くなり、架橋反応が円滑に進み、また組成物の可撓性も維持される。しかしnが15を越えると、希釈効果により架橋反応性が低下する。
【0017】
(e)可塑剤
本発明の組成物には、必要に応じて可塑剤を配合することが出来る。上記可塑剤としては、例えばアクリルポリマー、エポキシ基含有アクリルポリマー、水酸基含有アクリルポリマー、カルボキシル基含有アクリルポリマー、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリオール等を使用することが出来る。
【0018】
(f)充填剤
本発明の組成物には、必要に応じて無機充填剤を配合することが出来る。上記無機充填剤としては汎用のものを用いることが出来るが、具体的には、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム)、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、疎水性シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維等がある。
【0019】
(g)ポリオレフィン系樹脂
本発明の組成物には、必要に応じてポリオレフィン系樹脂を配合することが出来る。上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えばプロピレン樹脂(ブロック、ランダムおよびホモポリマーのいずれであってもよい)、エチレン樹脂(低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、シングルサイト触媒にて重合されたエチレンと少量の好ましくは1〜10モル%の1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンとのコポリマー)、ポリ(1−ブテン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム等が例示される。
【0020】
(h)各種添加剤
本発明の組成物には、必要に応じて加硫促進剤を使用してもよい。上記加硫促進剤としては、例えばグアニジン類、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、チウラム類、チオウレア類等がある。
本発明の組成物には、必要に応じて抗酸化剤を使用してもよい。上記抗酸化剤としては、例えばフェノール系抗酸化剤、ホスファイト系抗酸化剤、およびチオエーテル系抗酸化剤等が例示される。
上記成分の他にブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、増粘剤、加工助剤、老化防止剤、無機系難燃剤、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤等を添加することが出来る。
【0021】
上記各成分の望ましい配合比率は下記の通りである。
(a)アクリルゴム 100質量部
(b)4−メチル−1−ペンテン共重合体 5〜100質量部
(c)変性4−メチル−1−ペンテン共重合体 1〜100質量部
(d)架橋剤 0.1〜 20質量部
上記配合に更に所望なれば前記可塑剤、充填剤、ポリオレフィン系樹脂、各種添加剤等を添加する。
上記(b)4−メチル−1−ペンテン共重合体が、5質量部より少ないと、ゴム粒子径が大きくなってアクリルゴムが分散しにくくなった。これに対し、100質量部より多いと、硬くなりすぎてエラストマーでないものとなった。
上記(c)変性4−メチル−1−ペンテン共重合体が、1質量部より少ないと、相容性が低下し、アクリルゴムが分散しにくくなった。これに対し、100質量部より多いと、相容性は向上したが、所望の物性が得られにくくなった。
上記架橋剤が、0.1質量部より少ないと、(d)架橋剤を介する(a)アクリルゴムと(c)変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とのゴム架橋度が不足し、所望の物性が得られなかった。これに対し、20質量部より多いと、上記ゴム架橋度が高くなり、ゴム粒子径が大きくなってアクリルゴムが分散しにくくなった。
【0022】
本発明のエラストマーを調製するには、通常(a)アクリルゴム、(b)4−メチル−1−ペンテン共重合体、(c)変性4−メチル−1−ペンテン共重合体、更に所望なれば他の添加剤を通常220℃〜260℃程度に加熱した混合機に投入し、150〜250rpm程度の回転数で数分間加熱混練した後、(d)架橋剤を加えて更に加熱混練する。
混合手段としては、ホモミキサー、ホモジナイザー、ブラベンダー・プラスチコーダー等の高せん断混練装置が使用出来る。
【実施例】
【0023】
以下に本発明を更に具体的に説明するために実施例を記載する。なお本発明はこれら実施例の記載のみに限定されるものではない。
【0024】
〔参考例〕
・変性4−メチル−1−ペンテン共重合体の製造
4−メチル−1−ペンテン−デセン−1共重合体(TPX RT18、三井化学(株)製 商品名)100質量部、無水マレイン酸(1級、米山薬品工業(株)製)2.5質量部、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日本油脂(株)製 商品名)1.0質量部、シリカパウダー(トクシールUR、(株)トクヤマ製、商品名)10質量部をヘンシェルミキサーに投入し混合した後、混合物を下記する同方向2軸押出機により加熱混練し、混練物を押出しかつペレット化することによって無水マレイン酸変性4−メチル−1−ペンテン−デセン−1共重合体を調製した。
押出機 :スクリュ径φ25mm、L/D=48
設定温度:C1/C2/C3/C4〜C6/C7〜C8/C9/C10/D=
180/220/260/270/280/290/280/270(℃)
スクリュ回転数:200rpm
樹脂温度:約270℃
【0025】
〔実施例〕
下記の実施例において使用した原料は下記の通りである。
(a)アクリルゴム
(a−1)
アクリル酸エチルゴム
〔NOXTITE Aー5098(NOK(株)製 商品名)〕
架橋性共重合体 :グリシジルメタクリレート(官能基:エポキシ基)
(a−2)
アクリル酸エチルゴム
〔NOXTITE A−1095(NOK(株)製 商品名)〕
架橋性共重合体 :(官能基:塩素基)
(a−3)
アクリル酸エチルゴム
〔NOXTITE PA−401(NOK(株)製 商品名)〕
架橋性共重合体 :(官能基:活性塩素基)
(a−4)
エチレン・エチレン−酢酸ビニル共重合体・アクリル酸エチルゴム
〔デンカER−5300(電気化学工業(株)製 商品名)〕
架橋性共重合体 :グリシジルメタクリレート(官能基:エポキシ基)
【0026】
(b)4−メチル−1−ペンテン共重合体
(b−1)
4−メチル−1−ペンテン−デセン−1共重合体
〔TPX RT18(三井化学(株)製 商品名)〕
(b−2)
4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体
〔TPX MX002(三井化学(株)製 商品名)〕
【0027】
(c)変性4−メチル−1−ペンテン共重合体
参考例1によって製造したマレイン酸変性4−メチル−1−ペンテン−デセン−1共重合体を使用した。
【0028】
(d)架橋剤
(d−1)
ドデカン二酸(n=10)
〔ドデカン二酸(宇部興産(株)製 商品名)〕
(d−2)
セバシン酸(n=8)
〔(豊国製油(株)製 商品名)〕
(d−3)
スベリン酸(n=6)
〔(和光純薬工業(株)製 商品名)〕
(d−4)
アジピン酸ジヒドラジド
〔ADH−S(大塚化学(株)製 商品名)〕
(d−5)
セバシン酸ジヒドラジド
〔SDH−S(大塚化学(株)製 商品名)〕
(d−6)
ドデカンジオヒドラジド
〔DDH−S(大塚化学(株)製 商品名)〕
(d−7)
イソフタル酸ジヒドラジド
〔IDH−S(大塚化学(株)製 商品名)〕
(d−8)
高分子型多官能ヒドラジド系架橋剤(アクリルアミドとアクリル酸ヒドラジドの共重合物)
〔APA−P280(大塚化学(株)製 商品名)〕
(d−9)
ヘキサメチレンジアミンカーバメート
〔CHEMINOX AC−6(NOK(株)製 商品名)〕
(d−10)
4,4’−メチレンジアニリン
〔MDAー220(三井化学ポリウレタン(株)製 商品名)〕
(d−11)
ペンタエリスリトール
〔ペンタエリスリトール(三菱ガス化学(株)製 商品名)〕
(d−12)
トリレンー2,4−ジイソシアネート
〔コスモネート T−80(三井化学ポリウレタン(株)製 商品名)〕
(d−13)
イソプロピル トリ(N−エチレンジアミノ) エチル チタネート
〔プレンアクト KR44(味の素ファインテクノ(株)製 商品名)〕
(d−14)
エポキシ樹脂
〔JER 828(ジャパンエポキシレジン(株)製 商品名)〕
(d−15)
シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
〔SILQUEST A−187 SILANE(GE東芝シリコーン(株)製 商品名)〕
(d−16)
シランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシランエタノール)
〔SILQUEST A−1100 SILANE(GE東芝シリコーン(株)製 商品名)〕
【0029】
(h)各種添加剤
(h−1)
老化防止剤
4,4’−(α,α’ジメチルベンジル)ジフェニルアミン
〔ナウガード445(ユニロイヤルケミカル社製 商品名)〕
【0030】
〔試料の作製〕
実施例1〜22、比較例1〜3において、(a)、(b)、参考例記載の方法で作製した(c)、更に必要に応じて可塑剤、充填剤、ポリオレフィン系樹脂、老化防止剤、カーボンブラック等の原料を、記載の配合比で240℃に加熱したブラベンダー・プラスチコーダーに投入し、200rpmで約3分間混練した後、(d)を添加し、更にロータートルクピークした後、約3〜5分間混練し、その後、溶融混練物を取り出した。取り出した溶融混練物は熱プレス成形によって肉厚2mmのシートに成形し、該シートから試験片を切り取って評価用のシートとした。
【0031】
〔評価試験方法〕
実施例1〜22、比較例1〜3において、評価に用いられた試験方法は、下記の通りである。
(1)比重
JIS−K 7112に規定の試験方法。試験片は肉厚2mmのシート1枚から打ち抜いた。
(2)硬度〔単位:point〕
JIS−K 6253に規定のAタイプ試験方法。試験片は肉厚2mmのシート3枚を重ねて用いた。
(3)メルトフローレート(MFR)〔g/10min〕
JIS−K 7210に規定の試験方法。試験温度は270℃、荷重は5.00kgとした。
(4)引張強度〔単位:MPa〕
JIS−K 6251に規定の試験方法。試験片は肉厚2mmのシート1枚を3号ダンベル型に打ち抜いて使用し、引張速度は500mm/minとした。
(5)破断時伸び率〔単位:%〕
JIS−K 6251に規定の試験方法。試験片は肉厚2mmのシート1枚を3号ダンベル型に打ち抜いて使用し、引張速度は500mm/minとした。
(6)引裂強度〔単位:kN/m〕
JIS−K 6252に規定の試験方法。試験片は肉厚2mmのシート1枚を切り込み無しアングル型に打ち抜いて使用した。
(7)耐油浸漬試験〔単位:%〕
JIS−K 6258に規定の試験方法。試験片は肉厚2mmのシート1枚を3号ダンベル型に打ち抜いたものを用い、該試験片をIRM#903オイル(旧ASTM 3号オイル)に150℃×24hr浸漬した後、下記式(数1)で表される体積変化率を測定した。

【0032】
【数1】

(8)耐熱引張試験
試験片は肉厚2mmのシート1枚をJIS−K 6251に規定の3号ダンベル型に打ち抜いたものを用い、引張試験部位に恒温槽を有する引張試験器を使用して、試験環境温度を150℃に設定し、該試験片を30分間以上養生した後、引張速度を500mm/minとして引張試験を行った。そして、下記式(数2)で表される引張強さの残率を測定した。

【0033】
【数2】

(9)耐熱老化性試験
JIS−K 6257に規定の試験方法。試験片は肉厚2mmのシート1枚を3号ダンベル型に打ち抜いたものを用い、強制循環型空気加熱老化試験機を使用して150℃×336hrエージング後、該試験片を取り出し、室温(23℃)にて16時間以上状態調節した後、引張速度を500mm/minとして引張試験を行った。そして、下記式(数3)で表される引張強さの残率を測定した。

【0034】
【数3】

【0035】
〔実施例1〕
表1記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−1)を添加した。
【0036】
〔実施例2〕
表1記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−2)を添加した。
【0037】
〔実施例3〕
表1記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−3)を添加した。
【0038】
〔実施例4〕
表1記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−4)を添加した。
【0039】
〔実施例5〕
表1記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−5)を添加した。
【0040】
〔実施例6〕
表1記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−6)を添加した。
【0041】
〔実施例7〕
表1記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−7)を添加した。
【0042】
〔実施例8〕
表2記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−8)を添加した。
【0043】
〔実施例9〕
表2記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)を添加した。
【0044】
〔実施例10〕
表2記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−10)を添加した。
【0045】
〔実施例11〕
表2記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−11)を添加した。
【0046】
〔実施例12〕
表2記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−12)を添加した。
【0047】
〔実施例13〕
表3記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−13)を添加した。
【0048】
〔実施例14〕
表3記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−14)を添加した。
【0049】
〔実施例15〕
表3記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−15)を添加した。
【0050】
〔実施例16〕
表3記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−16)を添加した。
【0051】
〔実施例17〕
表4記載のように、成分(a−2)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−10)を添加した。
【0052】
〔実施例18〕
表4記載のように、成分(a−3)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−10)を添加した。
【0053】
〔実施例19〕
表4記載のように、成分(a−4)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−10)を添加した。
【0054】
〔実施例20〕
表5記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−10)を添加した。
【0055】
〔実施例21〕
表5記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−10)を添加した。
【0056】
〔実施例22〕
表5記載のように、成分(a−1)、(b−2)、(c)、(h−1)からなる配合物に、(d−9)と(d−10)を添加した。
【0057】
〔比較例1〕
表6記載のように、成分(a−1)、(b−1)、(b−2)、(h−1)からなる配合物である。
【0058】
〔比較例2〕
表6記載のように、ハード成分が芳香族ポリエステル、ソフト成分が脂肪族ポリエーテルからなるポリエステル系エラストマーであるペルプレンP−40B(東洋紡績株式会社製 商品名)を用いた。
【0059】
〔比較例3〕
表6記載のように、サントプレン121−79(エーイーエスジャパン株式会社製 商品名)を用いた。
【0060】
上記評価試験方法(1)〜(9)の評価結果を、実施例1〜7については表1、実施例8〜12については表2、実施例13〜16については表3、実施例17〜19については表4、実施例20〜22については表5、比較例1〜3については表6に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
【表5】

【0066】
【表6】

【0067】
上記実施例1〜22の組成物は、いずれも良好な機械的特性、耐油性、耐熱性、耐熱老化性能を有しており、特に多官能カルボン酸化合物のドデカン二酸(n=10)、セバシン酸(n=8)、スベリン酸(n=6)を使用した実施例1,2,3の試料は、引張特性や耐熱性、耐油性に優れ、成形性に優れている。
【0068】
比較例1の試験片はアクリルゴムと4−メチル−1−ペンテン共重合体間の相溶化剤として作用するような成分を添加していないため、アクリルゴムが4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に均一に分散せず、実施例1〜22の試験片に比べ機械的強度、耐油性が不十分であり、実使用に耐えうる組成物とはいえない。
【0069】
また、比較例2,3の試験片は市販の熱可塑性エラストマー材料であるが、実施例1〜22は上記市販のTPEと比較しても、優れた耐油性及び耐熱性を有することが判る。
【0070】
実施例22の試験片は(b)成分として(b−2)のみ用いて作製しているが、耐油性、耐熱性共に、(b−1)、(b−2)を併用している実施例10、実施例20、実施例21の各試験片よりもやや下回ることが確認されている。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明にあっては成形が容易で成形に必要なトータルコストの低減化が図れ、しかも加硫ゴムと同等な耐熱性や耐油性に優れた成形物が得られるから産業上利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能基を導入した変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とアクリルゴムとを架橋剤を介して結合した結合体を、4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に分散せしめたことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項2】
官能基を導入した変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とアクリルゴムとを架橋剤を介して結合した結合体を、4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に分散せしめた熱可塑性エラストマー組成物であって、
アクリルゴム100質量部に対して4−メチル−1−ペンテン共重合体5〜100質量部、変性4−メチル−1−ペンテン共重合体1〜100質量部、架橋剤0.1〜20質量部の割合で配合されたことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
官能基を導入した変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とアクリルゴムとを架橋剤を介して結合した結合体を、4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に分散せしめた熱可塑性エラストマー組成物であって、
上記4−メチル−1−ペンテン共重合体は、4−メチル−1−ペンテン−1−デセン共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合物であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項4】
官能基を導入した変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とアクリルゴムとを架橋剤を介して結合した結合体を、4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に分散せしめた熱可塑性エラストマー組成物であって、
上記4−メチル−1−ペンテン共重合体は、4−メチル−1−ペンテン−1−デセン共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合物であり、上記4−メチル−1−ペンテン−デセン−共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合比は、10/0〜4/6であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項5】
上記架橋剤は、ジカルボン酸化合物である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項6】
上記架橋剤は、多官能ヒドラジド化合物である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項7】
上記変性4−メチル−1−ペンテン共重合体はカルボン酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項8】
上記カルボン酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体は、無水マレイン酸変性4−メチル−1−ペンテン共重合体である請求項7に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項9】
アクリルゴムと、4−メチル−1−ペンテン共重合体と、官能基を導入した変性4−メチル−1−ペンテン共重合体と、架橋剤とを高せん断混練装置によって動的に加熱混練を行なうことによって、該アクリルゴムと該変性4−メチル−1−ペンテン共重合体とを該架橋剤を介して化学的に結合せしめると共に、該結合体を該4−メチル−1−ペンテン共重合体マトリクス中に分散せしめることを特徴する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【請求項10】
上記4−メチル−1−ペンテン共重合体は、4−メチル−1−ペンテン−1−デセン共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合物である請求項9記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【請求項11】
上記4−メチル−1−ペンテン−デセン−共重合体と、4−メチル−1−ペンテン−ヘキサデセン−オクタデセン共重合体との混合比は、10/0〜4/6である請求項10記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【請求項12】
上記架橋剤は、ジカルボン酸化合物、または、多官能ヒドラジド化合物である請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。









【公開番号】特開2009−161721(P2009−161721A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70289(P2008−70289)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】