説明

燃焼装置

【課題】 二次空気が不均一に噴き出して燃焼炎が偏ってしまうのを防止した燃焼装置を提供する。
【解決手段】 中央に通気孔10を設けると共に二次空気孔12を形成したバーナ取付台8の通気孔10の上部に位置するようにしたバーナヘッド14の上方に二次空気を噴き出す二次空気噴出部38に、二次空気孔12からの二次空気を案内する二次空気路をバーナヘッド14の周りに形成し、その二次空気路の中心を通気孔10の中心に対して二次空気孔12の反対方向に偏心させたので、二次空気孔12から二次空気孔12の反対側に向かって流れる二次空気路の断面積が徐々に大きくなるので、二次空気孔12から二次空気孔12の反対側に向かってスムーズに流れ、二次空気噴出部38から二次空気がドーナツ状に上方に均一に噴き出し、燃焼炎が偏ることなく形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は石油等の燃料を燃焼させて暖房を行う暖房機などに用いられる燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の温水暖房装置に於いては、図4に示すように1は有底円筒状の気化筒で、その内部を燃料の気化可能温度まで加熱するシーズヒータ2が埋設されており、気化させた燃料と燃焼用空気とを予め混合して予混合気とするものであり、3はノズルホルダーで、気化筒1内に燃焼用空気を供給するための燃焼用空気口4と、2次空気を供給するための2次空気用口5が設けられ、前記燃焼用空気口4の内部には燃料を噴出する燃料供給用ノズル6を配設し、その燃焼用空気口4を気化筒1の側壁の下方に形成してある差込口7に差し込んで固定し、前記燃料供給用ノズル6を気化筒1内に臨ませてあるものである。
【0003】
8はバーナ取付台で、板状の取付面9の略中央に形成した通気孔10の近くに該通気孔に比べて小径でノズルホルダー3の2次空気用口5をOリング11を介在させて接続する2次空気孔12が形成され、また、通気孔10のまわりにはねじ止め用孔(図示せず)が多数形成され、また、取付面9を水平に位置させた時の正面部分の一辺を上向きに略直角に折り曲げて、その両端にユニット固定孔(図示せず)を形成した前面取付部(図示せず)を設け、更に取付面9を水平に位置させた時の左側部分の一辺を下向きに略L字状に折り曲げて案内部13を設けたものである。
【0004】
14は有底円筒状のバーナヘッドで、バーナ取付台8の通気孔10の上部に底面側を上にして上面として配設され、その上面には外周から中心に向かって主炎孔15が同心円状に、そして外側と内側の該主炎孔15が千鳥足状に形成され、該主炎孔15の形成されたバーナヘッド14の上面部分の内側の面には、金網からなる上部多孔部材16が張設され、また、バーナヘッド14の周壁には、横長の形状をした補助炎孔17が略等間隔に複数形成され、該補助炎孔17の内周及び外周には、筒状の金網からなる内周多孔部材18と外周多孔部材19とが、その該補助炎孔17を覆うように張設されており、バーナ取付台8の通気孔10の上部に位置して配設されるものである。
【0005】
20は抵抗板で、中央の開口部分が下方に向かって一体絞りされて開口突部21が形成され、該開口突部21の上面の開口部分には金網からなる抵抗板用多孔部材22が張設され、そしてバーナヘッド14内部上方に配設されて該バーナヘッド14内部の空間を上下に仕切り、開口突部21の内側の先端から抵抗板20により仕切られたバーナヘッド14内部の上方の空間を通って主炎孔15までの予混合気の通過する主炎孔路を形成するものである。
【0006】
23は有底筒状のバーナ整流キャップで、その底面部分には抵抗板20の開口突部21の外径より大きい開口部24が形成されており、また、底面の反対側の開放部分はその端部を断面L字状にして鍔部25を形成し、そして前記開口部24を上方にして、その開口部24に抵抗板20の開口突部21の一部が挿入された状態でバーナヘッド14内に配設され、それにより開口突部21の外周と開口部24との間にすき間が生じて補助炎孔路入口26を形成すると共に、該補助炎孔路入口26から抵抗板20により仕切られたバーナヘッド14内部の下方の空間を通って補助炎孔17までの予混合気の通過する補助炎孔路を形成するものである。
【0007】
27は整流筒で、中央の開口部分が下方に向かって一体絞りされて開口突起部28が形成され、該開口突起部28の上方の開口部分は、外側の第1鍔部29と該第1鍔部29より低い内側の第2鍔部30の二段の鍔状部分により鍔状部31が形成されているものである。
【0008】
32はバーナ整流板で、中央に整流孔33が形成された円板部34に断面L字状の脚部35が略等間隔で3つ設けられ、整流孔33の上方に抵抗板20の開口突部21の先端中央が位置するように脚部35が整流筒27の第2鍔部30に固定されおり、そして、バーナ整流板32の固定された整流筒27の第1鍔部29とバーナ整流キャップ23の鍔部25とが、カシメやスポット溶接などにより一体化され、整流筒27の開口突起部28が気化筒1内に臨むような状態でバーナヘッド14内部から気化筒1の開放部分の内部にかけて配設されるものである。
【0009】
36はバーナヘッドリングで、バーナヘッド14の周囲下方よりリング状に補助炎孔17を覆うように配設したもので、バーナ取付台8にバーナヘッド14と共にねじ(図示せず)にて固定され、バーナヘッド14の補助炎孔17に形成される炎により加熱され、シーズヒータ2により加熱されなくとも、気化筒1を燃料の気化可能温度に保つ、いわゆるヒートバックを取るものである。
【0010】
37は外筒で、一端を熱交換器(図示せず)と連通させ、他端にはバーナヘッド14が筒内略中央に位置するようにバーナヘッド14と気化筒1が取り付けられたバーナ取付台8が取り付けられるもので、バーナ取付台8が取り付けられる端部内側には、ノズルホルダー3の2次空気用口5と連通して2次空気を筒内のバーナヘッド14の上方に噴き出す2次空気噴出部38が形成され、また、バーナヘッド14より噴き出す予混合気を点火する点火プラグ(図示せず)と、炎の状態を検知するフレームロッド(図示せず)とが外筒37内に臨むように固定されている。
【0011】
次にこの燃焼装置の燃焼動作について説明する。
まず、シーズヒータ2により高温に加熱されている気化筒1内に燃料供給用ノズル6から燃料を噴射して気化させると共に、ノズルホルダー3の燃焼用空気口4から気化筒1内に燃焼用空気が供給されることにより、燃料の気化ガスと燃焼用空気が気化筒1内で予め混合されて予混合気となり、この予混合気が気化筒1内を上昇して、気化筒1内に位置する整流筒27の開口突起部28からバーナヘッド14内へ流入し、開口突起部28からバーナ整流板32の円板部34の整流孔33へ直進してバーナ整流板32を通過して抵抗板20の開口突部21へと向かう大部分の予混合気と、バーナ整流板32の脚部35間を通過する一部の予混合気とに分かれる。
【0012】
さらに、そのバーナ整流板32の脚部35間を通過した予混合気は、そのまま上昇して補助炎孔路入口26へと向かう予混合気と、再び抵抗板20の開口突部21へ戻って、バーナ整流板32の円板部34の整流孔33へ直進して抵抗板20の開口突部21へと向かう大部分の予混合気と合流する予混合気とに分かれ、そして、抵抗板20の開口突部21内を上昇する予混合気は、開口突部21から始まる主炎孔路を通過して、バーナヘッド14の上面の主炎孔15より噴き出し、また、補助炎孔路入口26へ向かった予混合気は、補助炎孔路入口26から始まる補助炎孔路を通過してバーナヘッド14側壁に形成した補助炎孔17より噴き出す。
【0013】
そして、点火プラグにより点火動作を行うと、主炎孔15及び補助炎孔17より噴き出していた予混合気が着火して、主炎孔15ではバーナヘッド14の上方向に炎を形成し、補助炎孔17ではバーナヘッド14の側壁から横方向に炎を形成するものである。
【0014】
【特許文献1】特開平10−185118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、この従来のものでは、図5に示すようにバーナ取付台8の中央部分は小判形で凹形状に形成され、更にその中心に通気孔10が形成され、又その小判形で凹形状部分の一端に二次空気孔12が設けられていると共に、通気孔10の周りに外風洞39と内風洞40とにより二次空気噴出部38が形成され、二次空気孔12から噴き出した二次空気は、二次空気噴出部38から上方に向かってドーナツ状に二次空気を噴き出すものである。
【0016】
これにより二次空気孔12から噴き出した二次空気は、二次空気孔12から小判形で凹形状部分の周囲に沿うような状態で二次空気孔12の反対側まで流れ、それにより二次空気噴出部38からドーナツ状に二次空気を上方に向かって噴き出すものである。
【0017】
しかし、小判形で凹形状部分の周囲の中間部分は、二次空気が通過する二次空気路aが狭くなっており、そのため二次空気が二次空気路aを通過しにくく、二次空気が二次空気孔12の反対側まで充分流れず、二次空気噴出部38から二次空気がドーナツ状に上方に均一に噴き出さず、それにより燃焼炎が偏ってしまい、その燃焼炎の偏りが原因で輻射暖房する暖房機器41などでは、外筒37内でバーナヘッド14の上方に設けるスケルトン42が片赤熱して不均一輻射になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで、本発明は前記課題を解決するため、請求項1では、燃料を気化し、その気化ガスと燃焼用空気とを予混合する気化筒と、該気化筒の開口部分に取り付けたバーナヘッドと、中央に通気孔を設け該通気孔の上部にバーナヘッドが位置するようにすると共に、二次空気孔を形成したバーナ取付台と、前記バーナヘッドを内設するように一端がバーナ取付台に取り付けられた外筒と、該外筒内でバーナヘッドの外周に設けられた外風洞と内風洞とにより形成され、バーナヘッドの上方に二次空気を噴き出す二次空気噴出部とを備え、前記バーナヘッドの周りに二次空気孔からの二次空気を二次空気噴出部に案内する二次空気路を形成した燃焼装置に於いて、前記通気孔の中心に対して二次空気路の中心を二次空気孔の反対方向に偏心させたしたものである。
【0019】
又請求項2に係る燃焼装置では、特にその構成を、請求項1に於いて、前記バーナ取付台の中心に形成された通気孔の周りを楕円形で凹形状に形成して二次空気路を設け、その楕円形で凹形状部分の一端に二次空気孔を設けると共に、その楕円形の中心を通気孔の中心に対して二次空気孔の反対側に偏心させたものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明の請求項1によれば、中央に通気孔を設けると共に二次空気孔を形成したバーナ取付台の該通気孔の上部に位置するようにしたバーナヘッドの上方に二次空気を噴き出す二次空気噴出部に、二次空気孔からの二次空気を案内する二次空気路をバーナヘッドの周りに形成し、その二次空気路の中心を通気孔の中心に対して二次空気孔の反対方向に偏心させたので、二次空気孔から二次空気孔の反対側に向かって流れる二次空気路の断面積が徐々に大きくなるので、二次空気が二次空気路を通過しにくくなることがなく、二次空気孔から二次空気孔の反対側に向かってスムーズに流れ、二次空気が二次空気孔の反対側まで充分流れ、二次空気噴出部から二次空気がドーナツ状に上方に均一に噴き出し、燃焼炎が偏ることなく形成され、輻射暖房する暖房機器などでは、外筒内でバーナヘッドの上方に設けるスケルトンが均一に全赤熱して均一な輻射になるものである。
【0021】
又本発明の請求項2に記載の燃焼装置によれば、請求項1に於いて、前記バーナ取付台の中心に形成された通気孔の周りを楕円形で凹形状に形成して二次空気路を設け、その楕円形で凹形状部分の一端に二次空気孔を設けると共に、その楕円形の中心を通気孔の中心に対して二次空気孔の反対側に偏心させたので、バーナ取付台の中心に形成された通気孔の周りを円形で凹形状に形成して二次空気路を設けた場合よりも、二次空気路内の二次空気圧がより均一になり、それにより二次空気噴出部から二次空気がドーナツ状に上方により均一に噴き出し、燃焼炎が偏ることなく形成され、輻射暖房する暖房機器などでは、外筒内でバーナヘッドの上方に設けるスケルトンがより均一に全赤熱して均一な輻射になるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、従来技術と同じ構成については説明を省略する。
本発明に於いては、図3に示すようにバーナ取付台8の中央部分を楕円形で凹形状に形成して二次空気路aを設け、更にその中心に通気孔10が形成され、又その楕円形で凹形状部分の一端に二次空気孔12が設けられていると共に、その楕円形の中心を通気孔10の中心に対して二次空気孔12の反対側に偏心させたものである。
【0023】
これにより二次空気孔12からの二次空気は、二次空気孔12から楕円形で凹形状部分の周囲に沿うような状態で二次空気孔12の反対側まで流れるが、楕円形の中心を通気孔10の中心に対して二次空気孔12の反対側に偏心させたことにより、二次空気孔12から二次空気孔12の反対側に向かって流れる二次空気路aの断面積が徐々に大きくなるので、二次空気が二次空気路aを通過しにくくなることがなく、二次空気孔12から二次空気孔12の反対側に向かってスムーズに流れる。
【0024】
それにより二次空気が二次空気孔12の反対側まで充分流れ、二次空気噴出部38から二次空気がドーナツ状に上方に均一に噴き出し、燃焼炎が偏ることなく形成され、輻射暖房する暖房機器41などでは、外筒37内でバーナヘッド14の上方に設けるスケルトン42が均一に全赤熱して均一な輻射になるものである。
【0025】
特に、バーナ取付台8の中央部分を円形ではなく楕円形で凹形状に形成して二次空気路aを設け、その楕円形の中心を通気孔10の中心に対して二次空気孔12の反対側に偏心させたことにより二次空気路a内の二次空気圧が均一になり、それにより二次空気噴出部38から二次空気がドーナツ状に上方により均一に噴き出し、燃焼炎が偏ることなく形成され、輻射暖房する暖房機器41などでは、外筒37内でバーナヘッド14の上方に設けるスケルトン42がより均一に全赤熱して均一な輻射になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施形態の燃焼装置を搭載した暖房機器の正面図。
【図2】同一部断面図。
【図3】同燃焼装置の概略平面図。
【図4】本発明及び従来の燃焼装置の要部断面図。
【図5】従来の燃焼装置の概略平面図。
【符号の説明】
【0027】
1 気化筒
8 バーナ取付台
10 通気孔
12 二次空気孔
14 バーナヘッド
37 外筒
38 二次空気噴出部
39 外風洞
40 内風洞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を気化し、その気化ガスと燃焼用空気とを予混合する気化筒と、該気化筒の開口部分に取り付けたバーナヘッドと、中央に通気孔を設け該通気孔の上部にバーナヘッドが位置するようにすると共に、二次空気孔を形成したバーナ取付台と、前記バーナヘッドを内設するように一端がバーナ取付台に取り付けられた外筒と、該外筒内でバーナヘッドの外周に設けられた外風洞と内風洞とにより形成され、バーナヘッドの上方に二次空気を噴き出す二次空気噴出部とを備え、前記バーナヘッドの周りに二次空気孔からの二次空気を二次空気噴出部に案内する二次空気路を形成した燃焼装置に於いて、前記通気孔の中心に対して二次空気路の中心を二次空気孔の反対方向に偏心させたことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記バーナ取付台の中心に形成された通気孔の周りを楕円形で凹形状に形成して二次空気路を設け、その楕円形で凹形状部分の一端に二次空気孔を設けると共に、その楕円形の中心を通気孔の中心に対して二次空気孔の反対側に偏心させたことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−125643(P2006−125643A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310260(P2004−310260)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】