説明

物品保持具

【課題】布巾やタオル等の物品保持具であって、取り付け個所に簡単に着脱移動でき、且つ引出し前板等の被取付体の厚みが異なっていても確実に取り付け可能な物品保持具を提供する。
【解決手段】カウンター(2)の側周面に取り付けて使用される物品保持具(10)であって、物品を保持する掛支部(11)と、前記側周面の被取付体を挟持して該掛支部(11)を取り付ける一対の取付片(21a,21b)と、該取付片を覆うカバー(13)とを備え、前記一対の取付片(21a,21b)を軸体(22)で連結し、該軸体(22)に取り付けられたバネ(25)で被取付体を挟持する方向に付勢している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カウンターの側周面に取り付けて使用される、布巾やタオル等の物品保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンカウンターや洗面カウンターに取り付けられ、布巾やタオル等を簡単に保持でき、且つ、着脱又は移動できる物品保持具として吸盤式や磁石式のものが多く提案され、また、実用化されている。しかしながら、吸盤式や磁石式は被取付部に凹凸があったり、被取付部が非磁性体であったりすると取付できず、また、物品保持具を強く引っ張るとずれたり、落下しやすい欠点があった。
そのため、使用する際に保持した布巾やタオル等の物品を強く引っ張っても物品取付具が簡単にずれ落ちることがない取付構造として、移動範囲に若干の制約はあるものの、カウンター周側面に配置されるレールや引出し等のライン取手にスライド移動可能に物品保持具を取り付けるものとして、例えば、特許文献1の掛支具を有するキッチン台等の収納家具や、特許文献2の扉への補助バーツの取付構造が紹介されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−026251号
【特許文献2】特開2007−068557号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2の取付構造では、レール部の内側に係止させてレール部内をスライドさせる構造であり、レール部内形状に対応させた係止部形状とする必要があり、当該掛支具に専用のレールを必要とする問題があった。また、同様に特許文献2の取付構造も、扉の上端部の取手部材の前面側が開口した断面コ字状をした取手用溝部に、補助バーツに上方に向けて突設した嵌め込み突部の前面に係止部材を取付ける構造であるが、取手の断面コ字状形状が異なったり、正面板の厚みが異なった扉の取手には取り付けが困難であった。
【0005】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、キッチンカウンター等の側周面にタオル等の物品保持具を取り付けるに際し、取付部を覆い隠して意匠性に優れるとともに、着脱移動可能で、ある程度強固に取り付けでき、且つ、被取付部の厚みが異なっていても取り付け可能な取付構造を有し、且つ、側周面の下方に取り付けた場合であっても物品をなるべく上部に位置させて使い易くすることのできる物品保持具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の物品保持具は、カウンターの側周面に取り付けて使用される物品保持具であって、物品を保持する掛支部と、前記側周面の被取付体を挟持して該掛支部を取り付ける一対の取付片と、該取付片を覆うカバーとを備え、前記一対の取付片を軸体で連結し、該軸体に取り付けられたバネで被取付体を挟持する方向に付勢させるものである。
【0007】
この発明にあっては、物品保持具の取付部の前面がカバーで覆われているため、キッチンカウンターの側周面からの見栄えがよく、被取付体を挟持して取り付けることができるため、板厚みのある引出し正面板、開き戸扉等の上端に簡単に着脱固定でき、使用者の使い勝手の良い位置に物品保持具を取り付けることができる。また、挟持機構による取り付けであるため、その他厚みのある突状枠部であればどこでも取り付けることが可能なため、キッチンカウンター端部の側周面や、引出し正面板側部でも取り付け可能であり、取り付け個所を任意の位置にすることができる。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の物品保持具は、請求項1の発明に加えて、一対の取付片のうち、カウンターの周側面の内部側に配置される第2取付片は、第2起立片と第2中間片と第2垂下片とからなり、第2中間片の奥行方向長さは被取付体の厚みを超える長さであって、第2中間片と第2垂下片の折り曲げ角度が90度未満の鋭角であり、第2垂下片は挟持空間側に突き出した湾曲形状である。
【0009】
この発明にあっては、請求項1の効果に加え、第2中間片の奥行方向長さは被取付体の厚みを超える長さであるため、被取付体に取付部の起立片を掴んで起立片間を狭め、垂下片間を広げて被取付体を挟み込む場合に、奥行方向に広いため取り付け易く、また、第2中間片と垂下片が鋭角成形されているため、厚みの薄い被取付体も挟持可能であり、第2中間片の長さ未満の厚みの被取付体ならば、色んな厚みに対応して取り付けることできるため、汎用性が高い。また、第2垂下片は挟持側に突状湾曲しているため被取付部に傷が付きにくい。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の物品保持具は、請求項1または請求項2の発明に加えて、掛支部の枢軸にスプリングを設け、上側に掛支部を回動付勢するものである。
この発明にあっては、請求項1または2の効果に加え、タオル等の物品を係止する掛支部が常に上側に回動付勢されているため、上方から物品を取り扱いやすく、また、掛支部が取付位置上部の側周面に常に押圧されているため、側周面から前方への突出量が少なく、キッチン等における調理者の服などを掛支部に引っ掛ける虞がなくなる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の物品保持具は、キッチンカウンター等の側周面にタオル等の物品保持具を取り付けるに際し、取付部を覆い隠すため意匠性に優れるとともに、着脱移動可能で、ある程度強固に取り付けでき、且つ、被取付部の厚みが異なっていても取り付け可能である。更に、専用のレールや異なる取手形状であっても、所定厚みのある個所ならばどこでも簡単に取付けることができるとともに、掛支部への物品の係脱が容易であると言う効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る物品保持具の最良の形態を実施例に基づいて以下説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1における物品保持具をキッチン台の引出し正面板に取り付けた状態を示す斜視図であり、図2は実施例1の物品保持具の側面図であり、図3は実施例1の物品保持具の部品構成図であり、図4は、本発明の物品保持具を取り付けた状態のキッチン台を示している。以下、図1の紙面左下側を物品保持具の正面側(手前側)とし、紙面右上側を後面側(奥側)として説明する。なお、キッチン台の説明では、図4の紙面左下側をキッチン台の正面側(手前側)とし、紙面右上側を後面(奥側)として説明している。
【0014】
図4の符号1は、厨房に配置されるキッチン台1であり、このキッチン台1のカウンター2の面上には、加熱機器4、シンク5、蛇口6等が設けられるとともに、キッチン台1の側周面の一部である正面には、シンク部分を前面から隠す幕板7aや収納部である開き戸扉3及び引出し7が設けられている。各引出しの正面側には、該引出しの収納部(図示略)をキッチン台1の本体内部から引出し自在とするための開口(図示略)を閉塞可能な正面板7や、開き戸扉3である正面板7が取り付けられており、引出しの各正面板7の上部には、正面板7の左右方向の全幅に渡って延びる取手7bが配置されている。この取手7bは、側面視で正面側が開口された略コ字形状を成している。
【0015】
これら引出し9のうち、最上段の引出し9における正面板7の上端縁部には、物品の一例であるタオル8を保持する物品保持具10が取り付けられている。このタオル8は、長手方向に4つ折り(2つ折り以上)に折り畳まれた状態で物品保持具10の開口部18に挿入させて吊下げられている。上段の引出し9における正面板7には、図1に示すように、正面板7の上端部に取手7bが幅方向に延設されており、使用者が該取手7bに手を掛けて引くことで開くことができる。
【0016】
本実施例1の物品保持具10は、図1乃至図3に示すように、正面板7の上端の取手7bを前後から挟み込んで引出し正面板上端に取り付けるための取付部20に、タオル8を掛止可能な掛支部11を連結し、該取付部20や連結部材を覆うカバー13で構成されている。掛支部11は前記取付部20に揺動自在に取付けるための腕部17を両側に有し、その内側が開口部18を形成して、その開口にタオル8を挿通できる形状としたもので合成樹脂材により成形されている。両腕部17の内側には夫々枢軸12が突設され、取付部20に掛支部11を連結するための基部14の基部軸受孔16に該枢軸12を嵌入させて揺動可能に軸支させる。基部14は鋼板や強化プラスチック材の板材で、両側に基部軸受片15を設け、該基部軸受片15に基部軸受孔16を設けている。
また、両側の枢軸12にはスプリング12aが嵌め込まれており、該スプリング12aの一方の先端は腕部17側に係止させ、反対側の先端を基部14の面に係止させることにより、常に掛支部11が上側に向くように回動付勢されている(図2の矢印を参照)。
このように掛支部11が揺動可能なため、タオル8を吊下げる場合は掛支部11を上側から前面側に起こして、掛支部11の開口部18にタオル8を押込み、そして手を離すと掛支部11は上側の正面板側に当設する位置に回転するため、キッチン台の正面側に突き出すことがない。
【0017】
カバー13は、ゴム又は軟質樹脂で成形され、図3に示すように、掛支部11の連結部材である基部14や後述の取り付け部を覆い隠し、意匠性を向上させるためのものであり、掛支部11の両腕部17間に配置して取付部20に固着される。取付部20への固着は特に限定するものではないが、カバー13の切り欠き部19を基部軸受孔16に対応させて、カバー13下端側を第1取付片21aの第1垂下片に貼付け固着し、カバー13の上部は第1取付片21aの第1起立片26aを内部に覆い隠して第2取付片21bの第2起立片26bの裏面周囲に貼付け固着すると、外部から取付部20が見え難く意匠性をよくすることができる。尚、当然のことながら、カバー13は内部が空洞の軟質カバー13であるため、物品保持具10を正面板7に取り付けるに際し、第1取付片21aと第2取付片21bの両起立片26a,26bを掴んで両起立片の隙間を狭めて、反対側の垂下片側を広げることは可能である。また、掛支部11の基部14と取付部20の固着は、取付ネジ孔にビス(図示せず)等を挿通させることにより一体化される。
【0018】
次いで、取付部20について説明する。取付部20は図2及び図3に示す如く、第1取付片21aと第2取付片21bと軸体22とバネ25で構成され、第1取付片21aと第2取付片21bの第2軸受孔24bに軸体22を貫通支軸させて、揺動自在に連結される。軸体22にはバネ25が巻きつけられており、該バネ25により両取付片の下端側が狭まる方向に付勢されている(図2の実線を参照)。したがって、引出し9の取手7b(正面板7)に物品保持具10を取り付けるには、該引出し9を引出した後に、両取付片の上端を摘み強く握ることで下端部を広げて、取手7bの上端から挟み込みむことで、簡単に物品保持具10を引出し正面板7の上端側に取り付けることができる。
【0019】
取付部20の第1取付片21aは、第1起立片26a、第1中間片27a、第1垂下片28aとよりなり、第2取付片21bは第2起立片26b、第2中間片27b、第2垂下片28bにより、ともに構成され、第1起立片26a及び第2起立片26bの両端には、夫々第1軸受片23aと第2軸受片23bが折り曲げ成形され、夫々軸受孔を設けることで軸体22の軸受を構成している。引出し9の正面板7に取り付けた時に引出し9の内側に配置される第2取付片21bの第2垂下片28bは、少なくとも弾性変化可能な板体が用いられる。物品保持具10を引出し正面板7から外した状態での取付部20は図2に示す如く、該第2垂下片28bと第2中間片27bとの成す角が90度以下の鋭角となるように形成されており、その下端は第1取付片21a側に突出した湾曲形状に形成される。このようにすることで正面板7又は取手部分の厚みが異なっている場合であっても、本発明の物品保持具10を容易に取り付けることができる。特に第2垂下片28bの下端を湾曲させているため、正面板内面を傷つけることなく、且つ適切に挟み込み物品保持具10を取り付けることができる。
【0020】
また、第2中間片27bの奥行方向長さは前記被取付体の厚みを超える長さ、すなわち、物品保持具10を取り付け使用するキッチン台の側周面に配置される被取付対象の正面板7の最も厚い板厚よりも若干超える長さに第2中間片27bの奥行方向長さとすることで、その長さよりも薄い正面板7ならばどこにでも物品保持具10を取り付けることができる。正面板7を挟持しない状態の第2取付片21bを図2の破線で示しているが、第2中間片27bと第2垂下片28bが90度以下の鋭角に成形されており、バネ25で第1垂下片と第2垂下片28bが当接する方向に付勢されているため、強力な挟持力を発生されることができ、薄い板厚の正面板7でも確実に挟持固定できる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0021】
例えば、前記実施例では、物品保持具10が設けられるキッチン台1を一例として、厨房の壁面に設置されるキッチンカウンター2に適用されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば側周面の一部(例えば背面)をダイニング側に面するように配置される対面キッチンカウンター2に本発明の物品保持具10を設けてもよい。さらに、厨房に設置されるキッチンカウンター2に限らず、洗面所に設置される洗面カウンター2、あるいはその他の種々の目的で使用されるカウンター2やキャビネット等の什器類に本発明の物品保持具10を設けても良い。
【0022】
また、前記実施例では、キッチンカウンター2の側周面の一例である正面に物品保持具10が設けられていたが、物品保持具10の配置位置は正面に限定されるものではなく、キッチンカウンター2の上面(天板面)及び底面以外の面である左右側面や背面の所定個所に設けても良い。
【0023】
更に、前記実施例では、引出し9の正面板7の上端縁の取手7bに取り付けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、物品保持具10としてのタオル8を、特に図示はしないが、天板2の直下等に引き出し自在に設けられる補助テーブル等の前端に取り付けられる正面板7や、引戸或いは開き扉3等、キッチンカウンター2の側周面に対して手前側に引き出し(開放)自在に設けられた種々の板材に取り付けてもよい。
【0024】
また、本発明の物品保持具10は、前記実施例に記載したようにキッチンカウンター2の側周面に対して手前側に引き出し自在に設けられた種々の板材(正面板7等)だけでなく、キッチンカウンター2の側周面に固定された幕板7等の上端縁に取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1における物品保持具をキッチン台1の引出し正面板に取付けた状態を示す斜視図である。
【図2】実施例1の物品保持具の側面図である。
【図3】実施例1の物品保持具の部品構成図である。
【図4】本発明の物品保持具を取付た状態のキッチン台の斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 キッチン台
2 カウンター(天板)
3 開き戸扉
4 加熱機器
5 シンク
6 蛇口(水栓)
7 正面板(被取付体)
7a 幕板
7b 取手
8 タオル
9 引出し
10 物品保持具
11 掛支部
12 枢軸
12a スプリング
13 カバー
14 基部
15 基部軸受片
16 基部軸受孔
17 腕部
18 開口部
19 切り欠き部
20 取付部
21a 第1取付片
21b 第2取付片
22 軸体
23b 第2軸受片
24b 第2軸受孔
25 バネ
26b 第2起立片
27b 第2中間片
28b 第2垂下片
31 取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンター(2)の側周面に取り付けて使用される物品保持具(10)であって、物品を保持する掛支部(11)と、前記側周面の被取付体を挟持して該掛支部(11)を取り付ける一対の取付片(21a,21b)と、該取付片を覆うカバー(13)とを備え、前記一対の取付片(21a,21b)を軸体(22)で連結し、該軸体(22)に取り付けられたバネ(25)で被取付体を挟持する方向に付勢していることを特徴とする物品保持具。
【請求項2】
前記一対の取付片(21a,21b)のうち、カウンター(2)の周側面の内部側に配置される第2取付片(21b)は、第2起立片(26b)と第2中間片(27b)と第2垂下片(28b)とからなり、前記第2中間片(27b)の奥行方向長さは前記被取付体の厚みを超える長さであって、前記第2中間片(27b)と第2垂下片(28b)の折り曲げ角度が90度未満の鋭角であり、前記第2垂下片(28b)は挟持空間側に突き出した湾曲形状であることを特徴とする請求項1に記載の物品保持具。
【請求項3】
前記掛支部(11)の枢軸(12)にスプリング(12a)を設け、上側に前記掛支部(11)を回動付勢することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品保持具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−213679(P2009−213679A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60544(P2008−60544)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】