説明

物品保持装置

【課題】物品を適切に保持できる物品保持装置を提供する。
【解決手段】物品保持装置1は、ロボットアーム5の先端部に取り付けるベース体11と、このベース体11に対して昇降する昇降体12とを備える。物品保持装置1は、物品Wの上面を吸着保持する吸着保持体21と、昇降体12と吸着保持体21とを連結する可撓性連結体22とを備える。物品保持装置1は、吸着保持体21が上面を吸着保持した物品Wを両側方から挟持してセンタリングする対をなす挟持体51を備える。可撓性連結体22は、金属製のワイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保持する物品保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された物品保持装置が知られている。
【0003】
この従来の物品保持装置は、複数の穴を有するボディと、このボディの穴に上下方向に摺動可能に挿入されたシャフトと、このシャフトの下端部に取り付けられ先端に物品の上面を吸着保持可能なスカート状の弾性体を有する柔軟なチューブと、ボディに設けられシャフトをクランプするためのエアシリンダおよびブロックとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−24289号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の物品保持装置では、確かに、物品の上面の傾斜には対応できるが、例えば物品が水平方向に位置ずれしていた場合には対応できず、物品を適切に保持できないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、物品を適切に保持できる物品保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の物品保持装置は、ベース体と、このベース体に対して昇降する昇降体と、物品の上面を吸着保持する吸着保持体と、前記昇降体と前記吸着保持体とを連結する可撓性連結体と、前記吸着保持体にて上面が吸着保持された物品を両側方から挟持してセンタリングする対をなす挟持体とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の物品保持装置は、請求項1記載の物品保持装置において、吸着保持体を昇降体に対して位置決めする位置決め手段を備えるものである。
【0009】
請求項3記載の物品保持装置は、請求項2記載の物品保持装置において、吸着保持体は、係合受部を有し、位置決め手段は、昇降体に対して昇降する昇降部と、この昇降部の下端側に設けられ、前記係合受部との係合により前記吸着保持体を前記昇降体に対して位置決めする係合部とを有するものである。
【0010】
請求項4記載の物品保持装置は、請求項3記載の物品保持装置において、係合部および係合受部のいずれか一方は、嵌合凸部にて構成され、前記係合部および前記係合受部のいずれか他方は、前記嵌合凸部と嵌脱可能に嵌合する嵌合凹部にて構成されているものである。
【0011】
請求項5記載の物品保持装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の物品保持装置において、可撓性連結体は、上端側が昇降体に取り付けられかつ下端側が吸着保持体に取り付けられたワイヤであるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、昇降体と吸着保持体とを連結する可撓性連結体と、吸着保持体にて上面が吸着保持された物品を両側方から挟持してセンタリングする対をなす挟持体とを備えるため、物品の上面の傾斜や物品の水平方向の位置ずれに対応でき、物品を適切に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る物品保持装置を示す一部省略の正面図である。
【図2】同上物品保持装置の昇降体が下降した状態時の正面図である。
【図3】同上物品保持装置の平面図である。
【図4】同上物品保持装置の側面図である。
【図5】同上物品保持装置の部分側面図である。
【図6】同上物品保持装置の可撓性連結体を示す図である。
【図7】同上物品保持装置の動作説明図である。
【図8】図7に続く動作説明図である。
【図9】図8に続く動作説明図である。
【図10】図9に続く動作説明図である。
【図11】図10に続く動作説明図である。
【図12】図11に続く動作説明図である。
【図13】図12に続く動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図4において、1は物品Wを保持する物品保持装置で、この物品保持装置1は、例えばロボットデパレタイザ用のハンド(吸着ハンド)である。
【0016】
つまり、物品移送装置であるロボットデパレタイザ3は、パレット上に積み付けられた物品Wを例えば1個ずつ保持し、この保持した物品Wをコンベヤの搬送面上の所定位置まで移送するものであり、このようなロボットデパレタイザのハンドとして物品保持装置1が用いられている。
【0017】
ロボットデパレタイザ3は、基台4を備え、この基台4にはロボットアーム5が設けられ、このロボットアーム5の先端部のハンド取付部6に物品保持装置1が取り付けられている。そして、物品保持装置1は、ロボットアーム5の作動に基づき、設定範囲内において任意の方向に移動可能となっている。なお、物品Wは、例えば直方体状のもので、段ボールケースやプラスチックケース等である。
【0018】
ここで、物品保持装置1は、図1ないし図5に示されるように、ロボットアーム5のハンド取付部6に取り付けられたベース体11と、このベース体11に対して昇降する昇降体12と、ベース体11の前後に設けられ昇降体12をベース体11に対して昇降させる昇降用駆動手段である昇降用シリンダ13とを備えている。
【0019】
昇降用シリンダ13は、ベース体11に取り付けられた縦置きのシリンダ本体14と、このシリンダ本体14内に対して挿入出して昇降する上下方向長手状のロッド15とを有し、このロッド15の下端部に昇降フレームである昇降体12が取り付けられている。
【0020】
また、物品保持装置1は、物品Wの上面を吸着保持する吸着保持体21と、上側の昇降体12と下側の吸着保持体21とを連結する線状の複数の可撓性連結体22とを備えている。つまり、吸着保持体21は、複数本(例えば前後3本ずつで、合計6本)の可撓性連結体22によって、昇降体12に吊り下げられている。
【0021】
そして、可撓性連結体22の撓み変形等により、吸着保持体21が昇降体12に対して可動する。すなわち例えば、可撓性連結体22の撓み変形により吸着保持体21が傾動して水平方向に対して傾斜した傾斜状態となったり、可撓性連結体22が上端側を中心として回動することにより吸着保持体21が水平状態のまま平行移動したりする。
【0022】
可撓性連結体22は、例えば上端側が昇降体12のワイヤ取付部24に脱着可能に取り付けられかつ下端側が吸着保持体21のワイヤ取付部25に脱着可能に取り付けられたステンレス等の金属製の可撓性のワイヤ23である。つまり、ワイヤ23の上端側の環状上端部23aが昇降体12のワイヤ取付部24の軸部分24aに引っ掛けられ、ワイヤ23の下端側の環状上端部23bが吸着保持体21のワイヤ取付部25の軸部分25aに引っ掛けられている。
【0023】
図5および図6に示されるように、ワイヤ23は、物品保持装置1の前後側に、一定長さのものが3本ずつ、上下方向に沿った状態で、等間隔おいて配設されている。これら3本のうちの中央のワイヤ23は、安全用のもので、必ずしも必要ではない。
【0024】
なお、昇降体12のワイヤ取付部24は、昇降体12の矩形状の板部26の前後方向端部に立設されたコ字状の立設部27に上下調整可能に取り付けられている。吸着保持体21のワイヤ取付部25は、吸着保持体21の矩形状の板部30の前後方向端部に上下調整可能に取り付けられている。
【0025】
吸着保持体21は、物品Wの上面を吸着保持する弾性変形可能なゴム製の複数、例えば3列3行で9個の吸着パッド部31を有し、これら吸着パッド部31は、板部30の中央部下面側に設けられたパッド取付管部32に取り付けられている。パッド取付管部32には、吸着パッド部31内を真空にするための空気吸引手段(図示せず)が接続されている。
【0026】
また、物品保持装置1は、昇降体12の板部26に設けられ、吸着保持体21を昇降体12に対して位置決め(ロック)する位置決め手段であるロック手段41を備えている。
【0027】
ロック手段41は、例えばロボットアーム5の作動に基づく物品保持装置1全体の高速移動の際には吸着保持体21を昇降体12に対してロックして吸着保持体21の昇降体12に対する可動を規制し、吸着保持体21が物品Wの上面を吸着保持する際にはそのロックを解除して吸着保持体21の昇降体12に対する可動を許容する。
【0028】
ロック手段41は、昇降体12の板部26の中央部に設けられたロック用駆動手段であるロック用シリンダ43を有している。
【0029】
位置決め用駆動手段としてのロック用シリンダ43は、昇降体12の板部26の中央部に取り付けられた縦置きのシリンダ本体44と、このシリンダ本体44内に対して挿入出して昇降する上下方向長手状のロッド45とを有し、このロッド45の下端部には昇降板46が取り付けられている。これらロッド45および昇降板46にて、昇降体12に対して昇降する昇降部47が構成されている。
【0030】
シリンダ本体44にて昇降駆動される昇降部47の下端部には、吸着保持体21の凹状の係合受部50との係合、すなわち例えば嵌まり込み係合により、吸着保持体21を昇降体12に対して位置決め(ロック)する凸状の係合部(ロック用係合部)48が固設されている。つまり、係合部48および係合受部50のいずれか一方、すなわち例えば係合部48は、下方に向かって縮径する逆円錐形状の嵌合凸部にて構成され、かつ、係合部48および係合受部50のいずれか他方、すなわち例えば係合受部50は、その嵌合凸部と嵌脱可能に嵌合する上方に向かって開口状の嵌合凹部にて構成されている。
【0031】
そして、昇降部47の下降に伴って係合部48が下降して吸着保持体21の係合受部50と嵌合し、この嵌合によって吸着保持体21が昇降体12に対してロックされる。また、昇降部47の上昇に伴って係合部48が上昇してこの係合部48と係合受部50との嵌合が解除され、吸着保持体21の昇降体12に対するロックが解除される。
【0032】
なお、吸着保持体21の係合受部50は、係合部48が嵌り込むすり鉢状のもので、板部30の中央部に立設されたブロック状の立設部49に凹設されている。
【0033】
また、物品保持装置1は、ベース体11に水平方向に沿って移動可能に設けられ互いに接近する方向に等距離だけ同期移動することにより吸着保持体21にて上面が吸着保持された物品Wを両側方から吸着挟持してセンタリングする対をなす左右1対の鉛直板状の挟持体51と、これら両挟持体51をベース体11に対して水平方向に沿って接離方向に等距離だけ同期移動させる挟持用駆動手段である挟持用シリンダ52とを備えている。
【0034】
挟持用シリンダ52は、ベース体11に取り付けられた横置きのシリンダ本体53と、このシリンダ本体53内に対して挿入出して往復移動する左右方向長手状のロッド54とを有し、このロッド54の先端部に左側の挟持体51が取り付けられている。
【0035】
図3に示されるように、左右の両挟持体51同士がベルト等の無端体55にて連結され、この無端体55は左右1対のプーリ等の回転体56に掛け渡されている。このため、挟持用シリンダ52が伸びると両挟持体51が互いに離反する方向に等距離だけ同期移動(開動作である挟持解除動作)し、挟持用シリンダ52が縮むと両挟持体51が互いに接近する方向に等距離だけ同期移動(閉動作である挟持動作)する。
【0036】
挟持体(サイドクランプ)51は、摺動凹部57を上端部に有し、この摺動凹部57がベース体11のカイドレール部58に摺動可能に嵌着されている。また、挟持体51は、物品Wの側面と接触する鉛直板状で矩形状の挟持板部60を有している。挟持板部60の下部には、物品Wの側面を吸着保持する弾性変形可能な複数、例えば2個の吸着パッド部61が取り付けられている。そして、吸着パッド部61の基端側には、この吸着パッド部61内を真空にするための真空にするための空気吸引手段(図示せず)が接続されている。
【0037】
なお、昇降用シリンダ13、ロック用シリンダ43および挟持用シリンダ52は、いずれも例えば伸縮可能な流体圧シリンダであるエアシリンダにて構成されている。これら各エアシリンダおよび空気吸引手段等には制御手段(図示せず)が電気的に接続されている。ロボットアーム5のハンド取付部6には、物品Wの有無をチェックするためのレーザーセンサ(図示せず)が取り付けられている。
【0038】
また、図5に示されるように、昇降体12の板部26には、吸着保持体21が昇降体12に衝突するのを防止するための突き上げ検知手段63が設けられている。突き上げ防止手段63は、昇降体12の板部26に昇降可能に取り付けられた昇降ロッド64と、この昇降ロッド64を下方に付勢する付勢体であるコイルばね65と、昇降ロッド64の上端部を検知する光電センサ66とを有している。
【0039】
次に、物品保持装置1の動作等を説明する。
【0040】
図7に示すように、ロック手段41の係合部48と吸着保持体21の係合受部50との嵌合によって吸着保持体21が昇降体12に対してロックされた状態のまま、ロボットアーム5の作動に基づいて、物品保持装置1全体が保持対象物である物品Wの上方近傍の設定停止位置(例えば予めプログラムにより設定された物品保持位置)まで高速移動する。
【0041】
そして、図8に示すように、物品保持装置1全体が物品保持用の設定停止位置に停止すると、ロック手段41のロック用シリンダ43が縮み、係合部48が上昇してこの係合部48と係合受部50との嵌合が解除され、吸着保持体21の昇降体12に対するロックが解除される。その結果、吸着保持体21は、昇降体12に対して可動可能な状態、つまり、昇降体12にワイヤ23を介してぶら下った状態となる。
【0042】
ここで、保持しようとする物品Wが、何らかの原因(例えばパレット上の物品Wの荷崩れ等)によって、水平方向に対して傾斜した傾斜状態となり、かつ予め設定された基準位置(センタ位置)から水平方向(左右方向)に位置ずれした状態となっている。
【0043】
つまり、物品Wの上下の各面が水平方向(水平面)に対して傾斜し、物品Wの左右の各面が鉛直方向(鉛直面)に対して傾斜している。また、正面視で物品Wの中心(重心)Pが物品保持装置1の上下方向中心軸線A上に位置していない。この上下方向中心軸線Aは、正面視で左右の両挟持体51間の中心(吸着保持体21の中心)を通る線である。
【0044】
次いで、図9に示すように、ベース体11が設定停止位置に停止し、吸着保持体21の昇降体12に対するロックが解除された状態で、昇降用シリンダ13が伸び、昇降体12がベース体11に対して下位置まで下降すると、吸着保持体21が、物品Wの上面に向かって昇降体12およびワイヤ23とともに下降し、その傾斜状に位置した上面を吸着保持する。
【0045】
このとき、吸着パッド部31が物品Wの上面に接触すると、可撓性連結体22であるワイヤ23の撓み変形に基づいて、吸着保持体21が昇降体12に対して傾動して水平方向に対して傾斜した傾斜状態となる。
【0046】
そして、制御手段は、吸着保持体21の吸着パッド部31内の真空圧が規定値以上になると、吸着パッド部31が物品Wの上面を吸着保持したと判断する。
【0047】
すると、図10に示すように、昇降用シリンダ13が縮み、昇降体12がベース体11に対して上位置まで上昇し、この昇降体12とともに吸着保持体21および物品Wも上昇する。
【0048】
そして、吸着保持体21にて上面が吸着保持された物品Wは、下段の物品Wから離れると、吸着保持体21とともに水平状態となるが、基準位置から水平方向に位置ずれした状態のままである。つまり、吸着パッド部31は、物品Wの上面の例えば正面視右側にずれた位置を吸着保持しているため、正面視で物品Wの中心Pが物品保持装置1の上下方向中心軸線A上に位置していない。
【0049】
次いで、図11に示すように、挟持用シリンダ52が縮み、左右の挟持体51が互いに接近する方向に等距離だけ同期移動すると、これら両挟持体51が、吸着保持体21にて上面が吸着保持された物品Wを左右両側方から吸着挟持してセンタリングする。
【0050】
その結果、ワイヤ23が上端側を中心として回動することにより吸着保持体21が水平状態のまま正面視右上側へ平行移動し、正面視で物品Wの中心Pが物品保持装置1の上下方向中心軸線A上に位置した状態となる。
【0051】
次いで、このように吸着保持体21が物品Wの上面を吸着保持しかつ左右の挟持体51が物品Wの左右両側面を吸着挟持した状態のまま、ロボットアーム5の作動に基づいて、物品保持装置1全体が例えばコンベヤの搬送面の上方近傍の設定停止位置(例えば予めプログラムにより設定された物品保持解除位置)まで高速移動する。
【0052】
この高速移動の際、物品Wの中心Pが物品保持装置1の上下方向中心軸線A上に位置するため、物品保持装置1の中心に対して偏荷重が作用せず、安定した高速移動が可能である。
【0053】
そして、図12に示すように、物品保持装置1全体が物品保持解除用の設定停止位置に停止して物品Wの下面がコンベヤの搬送面に接触すると、吸着保持体21による物品Wの上面の吸着保持が解除されるとともに、左右の挟持体51が互いに離反する方向に等距離だけ同期移動してこれら両挟持体51による物品Wの左右両側面の吸着挟持が解除される。その結果、物品Wは、水平状態のままコンベヤの搬送面のセンタ位置に載置される。こうして物品Wがコンベヤの搬送面上に荷下ろしされる。
【0054】
次いで、図13に示すように、吸着保持体21が自重でもとの位置に戻った後、ロック手段41によって吸着保持体21を昇降体12に対してロック(固定)した状態で、物品保持装置1全体を次の保持対象物である物品Wに関する物品保持用の設定停止位置まで高速移動させる。
【0055】
物品保持装置1がその物品保持用の設定停止位置に停止すると、上述の動作を行い、その物品Wをコンベヤの搬送面のセンタ位置まで移送する。こうして、ロボットデパレタイザ3にて物品Wの移送作業が繰り返し行われる。
【0056】
そして、このような物品保持装置1によれば、昇降体12と吸着保持体21とを連結する可撓性連結体22と、吸着保持体21にて上面が吸着保持された物品Wを両側方から挟持してセンタリングする対をなす挟持体51とを備えるため、物品Wの上面の傾斜、凸凹或いは高さの誤差等や、物品Wの水平方向の位置ずれ(左右の位置ずれ)に対応でき、このようなイレギュラーな場合であっても物品Wを適切に保持できる。
【0057】
しかも、左右の両挟持体51が物品Wの左右両側面を吸着挟持するため、物品保持装置1を高速移動させても、例えば非常停止時の衝撃等で物品Wが落下することはなく、安定した移送作業ができる。
【0058】
また、吸着保持体21を昇降体12に対して解除可能にロックするロック手段41を備えるため、吸着保持体21が昇降体12に対して不用意に可動するのを防止でき、よって、例えば物品保持装置1の高速移動が可能となり、移送作業性の向上を図ることができる。
【0059】
さらに、吸着保持体21は凹状の係合受部50を有し、ロック手段41は昇降体12に対して昇降する昇降部47とこの昇降部47の下端側に設けられ係合受部50との係合により吸着保持体21を昇降体12に対してロックする凸状の係合部48とを有するため、吸着保持体21が昇降体12に対して不用意に可動するのを適切に防止できる。
【0060】
また、可撓性連結体22は、上端側が昇降体12に取り付けられかつ下端側が吸着保持体21に取り付けられたワイヤ23であるため、構成が簡単であるにも拘らず、物品Wの上面の傾斜や物品Wの水平方向の位置ずれに適切に対応できる。
【0061】
なお、物品保持装置1の可撓性連結体22は、ワイヤ23等の線状部材からなるものには限定されず、例えば弾性変形可能なゴム板等の板状部材からなるもの等でもよい。
【0062】
また、挟持体51は、物品Wの側面を吸着保持する吸着パッド部61を有するものには限定されず、例えば物品Wの側面に引っ掛り係合するフック部を有するもの等でもよい。
【0063】
さらに、ロック手段41は、例えば係合受部50が嵌合凸部にて構成されかつ係合部48が嵌合凹部にて構成されたもの等でもよい。
【0064】
また、ロック手段41は、例えば係合部と係合受部とが嵌合せずに単に当接係合するようなもの等でもよい。
【0065】
さらに、物品保持装置1は、1個ずつ物品Wを保持するものには限定されず、複数個の物品Wを同時に保持するものでもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 物品保持装置
11 ベース体
12 昇降体
21 吸着保持体
22 可撓性連結体
23 ワイヤ
41 位置決め手段であるロック手段
47 昇降部
48 係合部
50 係合受部
51 挟持体
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース体と、
このベース体に対して昇降する昇降体と、
物品の上面を吸着保持する吸着保持体と、
前記昇降体と前記吸着保持体とを連結する可撓性連結体と、
前記吸着保持体にて上面が吸着保持された物品を両側方から挟持してセンタリングする対をなす挟持体と
を備えることを特徴とする物品保持装置。
【請求項2】
吸着保持体を昇降体に対して位置決めする位置決め手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の物品保持装置。
【請求項3】
吸着保持体は、係合受部を有し、
位置決め手段は、
昇降体に対して昇降する昇降部と、
この昇降部の下端側に設けられ、前記係合受部との係合により前記吸着保持体を前記昇降体に対して位置決めする係合部とを有する
ことを特徴とする請求項2記載の物品保持装置。
【請求項4】
係合部および係合受部のいずれか一方は、嵌合凸部にて構成され、
前記係合部および前記係合受部のいずれか他方は、前記嵌合凸部と嵌脱可能に嵌合する嵌合凹部にて構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の物品保持装置。
【請求項5】
可撓性連結体は、上端側が昇降体に取り付けられかつ下端側が吸着保持体に取り付けられたワイヤである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の物品保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−39644(P2013−39644A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178975(P2011−178975)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】