説明

物品収納用容器

【課題】頂部開口を繰り返し開閉したとしても、頂壁や頂部フラップが損傷することはなく、長期間使用することができる包装容器を提供する。
【解決手段】包装容器10Aでは、頂部開口22を開放するときに容器10Aの内側へ向かって凹ませることが可能な中央可撓領域43が頂部フラップ18の横方向中央に画成され、頂部開口22の開放時では、中央可撓領域43を容器10Aの内側へ向かって凹ませつつ頂壁15を上方へ旋回させると、中央可撓領域43を除く頂部フラップ18の残余の両側領域52が頂壁15の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11および前部フラップ17の内側から外れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に所定の物品を収納する包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
前後壁および両側壁と、頂壁および底壁と、両側壁に連接された一対の側部フラップとを備え、それら六つの壁が実質的に直交する六面体であり、それら側部フラップの一部を切欠き内方に折曲して舌片を形成した包装容器がある(特許文献1参照)。この包装容器は、頂部開口からその内部に物品を収容し、それら側部フラップを下方へ旋回させると、一方の側部フラップの舌片を他方の側部フラップの切欠き部に挿入し、下方に突出した2つの舌片の端縁が収容物品を押圧する。次に、頂壁を下方に旋回させて頂部開口を閉じる。頂部開口を閉じた状態では、頂部フラップに連接された頂部フラップが前壁の内側に当接下に重なり、頂部フラップと前壁とが係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−49614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の包装容器は、頂部開口を開放した後、その内部に収容された物品を取り出す。頂部開口を開放するには、頂壁を上方へ旋回させるとともに各側部フラップを上方へ旋回させる。頂壁を上方へ旋回させる場合、頂壁に連接された頂部フラップを前壁の内側から抜き出す必要がある。その手順として、前壁と頂部フラップとの間に指を入れ、頂部フラップの中央領域を後壁に向かって後方へ押圧しつつ、頂壁に指を掛けて頂壁を上方へ旋回させる。このとき、頂壁や頂部フラップが強制的に折り曲げられるから、頂部開口の繰り返しの開閉操作によって頂壁や頂部フラップが容易に損傷し、包装容器の寿命がその分短くなり、包装容器の長期使用が難しい。また、頂部開口の開放作業において、頂部フラップと前壁との係合を無理矢理に解除しなければならず、頂部開口の開放作業に手間取る場合がある。
【0005】
本発明の課題は、頂部開口を繰り返し開閉したとしても、頂壁や頂部フラップが損傷することはなく、長期間使用することができる包装容器を提供することにある。本発明の他の課題は、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、互いに対向する前後壁および互いに対向する両側壁と、頂部開口を開閉可能な頂壁および底部開口を塞ぐ底壁と、頂壁に連接された頂部フラップとを備え、それら六つの壁が実質的に直交する六面体であり、頂部フラップが、頂部フラップと頂壁とを連接して横方向へ延びる連接端縁と、連接端縁の反対側に位置して横方向へ延びる自由端縁とを有し、頂壁によって頂部開口を閉鎖したときに頂部フラップが前壁の内側に重なる包装容器である。
【0007】
前記前提における本発明の特徴として、頂部フラップの横方向中央には、頂部開口を開放するときに容器の内側へ向かって凹ませることが可能な中央可撓領域が画成され、頂部開口の開放時では、中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませつつ頂壁を上方へ旋回させると、中央可撓領域を除く頂部フラップの残余の両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から外れることにある。
【0008】
本発明の一例として、頂部フラップの横方向中央には、連接端縁において横方向へ延びる所定長さの第1切り込み線と、第1切り込み線の横方向両側から頂部フラップの自由端縁に向かって縦方向へ延びる所定長さの一対の第2切り込み線と、縦方向へ延びていて第1切り込み線の横方向中央から頂部フラップの自由端縁に達する第1折り曲げ線と、縦方向へ延びていて頂部フラップの縦方向中央に位置する第2切り込み線の延出端からフラップの自由端縁に達する一対の第2折り曲げ線とが作られ、中央可撓領域が第1および第2切り込み線と第2折り曲げ線とに囲繞された領域である。
【0009】
本発明の他の一例としては、それら第2切り込み線が頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜し、それら第2折り曲げ線が頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜している。
【0010】
本発明の他の一例としては、それら第2切り込み線の延出端が頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって延びた後、頂部フラップの自由端縁の側から連接端縁の側に向かって折り返している。
【0011】
本発明の他の一例として、頂部フラップの横方向中央には、連接端縁において横方向へ延びる所定長さの第1切り込み線と、縦方向へ延びていて第1切り込み線の横方向中央から頂部フラップの自由端縁に達する第1折り曲げ線と、縦方向へ延びていて第1切り込み線の横方向両側から頂部フラップの自由端縁に達する一対の第2折り曲げ線とが形成され、中央可撓領域が第1切り込み線と第2折り曲げ線とに囲繞された領域である。
【0012】
本発明の他の一例としては、それら第2折り曲げ線が頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜している。
【0013】
本発明の他の一例としては、第1切り込み線の両側延出端が連接端縁から頂壁または頂部フラップに向かって延びた後、再び連接端縁と平行して延びている。
【0014】
本発明の他の一例としては、第2折り曲げ線の間に延びる頂部フラップの自由端縁が頂部フラップの連接端縁に向かって凹んでいる。
【0015】
本発明の他の一例としては、包装容器が両側壁の上端縁に連接された一対の側部フラップを含み、頂部フラップの連接端縁の横方向両側には、第1切り込み線に向かって横方向へ延びる所定長さの一対の第3切り込み線が作られ、頂部開口の閉鎖時では、それら側部フラップが頂壁の下に重なるとともに第3切り込み線に係入する。
【0016】
本発明の他の一例として、前壁の上端縁の横方向中央には、上端縁から前壁の下端縁に向かって凸となる第1切り欠き領域が画成され、中央可撓領域が第1切り欠き領域において露出している。
【0017】
本発明の他の一例としては、包装容器が前壁の上端縁に連接された前部フラップを含み、前部フラップの横方向中央には、前壁の上端縁から前部フラップの自由端縁に向かって凸となる第2切り欠き領域が画成され、中央可撓領域が第1切り欠き領域と第2切り欠き領域とにおいて露出している。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる包装容器は、頂部開口を開放するときに容器の内側へ向かって凹ませることが可能な中央可撓領域が頂部フラップの横方向中央に画成されているから、頂部開口の開放時に頂部フラップの横方向中央を指で押圧してフラップを強制的に凹ませる必要はなく、頂壁や頂部フラップが折り曲げられることによる頂壁やフラップの損傷を防ぐことができる。包装容器は、頂部開口を繰り返し開閉したとしても、頂壁や頂部フラップが損傷することはなく、長期間の使用に耐えることができる。この包装容器は、頂部開口の開放時において、中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませつつ頂壁を上方へ旋回させると、中央可撓領域を除く頂部フラップの残余の両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から外れるから、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができ、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【0019】
中央可撓領域が第1および第2切り込み線と第2折り曲げ線とに囲繞された領域である包装容器は、中央可撓領域が第1折り曲げ線とそれら第2折り曲げ線とによって折れ曲がり、第1切り込み線や第2切り込み線によって容器の内側へ凹むことが可能に作られているから、頂部開口の開放時に頂部フラップの横方向中央を指で押圧してフラップを強制的に凹ませる必要はなく、頂壁や頂部フラップが折り曲げられることによる頂壁やフラップの損傷を防ぐことができる。包装容器は、頂部開口を繰り返し開閉したとしても、頂壁や頂部フラップが損傷することはなく、長期間の使用に耐えることができる。この包装容器は、頂部開口の開放時において、中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませつつ頂壁を上方へ旋回させると、中央可撓領域を除く頂部フラップの残余の両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から外れるから、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができ、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【0020】
それら第2切り込み線が頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜し、それら第2折り曲げ線が頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜している包装容器は、頂部開口の開放時に中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませるとともに頂壁を上方へ旋回させた場合、頂部フラップの両側領域が中央可撓領域によって横方向内方へ確実に引っ張られるから、両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜し、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から容易に外れ、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができる。包装容器は、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【0021】
それら第2切り込み線の延出端が頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって延びた後、頂部フラップの自由端縁の側から連接端縁の側に向かって折り返している包装容器は、第2切り込み線が連接端縁に向かってUターンしているから、中央可撓領域を容器の内側へ向かって繰り返し凹ませたとしても、第2切り込み線から自由端縁に向かって第2折り曲げ線が裂壊することはなく、頂部フラップの中央可撓領域の破損を防ぐことができ、長期間の使用に耐えることができる。
【0022】
中央可撓領域が第1切り込み線と第2折り曲げ線とに囲繞された領域である包装容器は、中央可撓領域が第1折り曲げ線とそれら第2折り曲げ線とによって折れ曲がり、第1切り込み線によって容器の内側へ凹むことが可能に作られているから、頂部開口の開放時に頂部フラップの横方向中央を指で押圧してフラップを強制的に凹ませる必要はなく、頂壁や頂部フラップが折り曲げられることによる頂壁やフラップの損傷を防ぐことができる。包装容器は、頂部開口を繰り返し開閉したとしても、頂壁や頂部フラップが損傷することはなく、長期間の使用に耐えることができる。この包装容器は、頂部開口の開放時において、中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませつつ頂壁を上方へ旋回させると、中央可撓領域を除く頂部フラップの残余の両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から外れるから、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができ、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【0023】
それら第2折り曲げ線が頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜している包装容器は、頂部開口の開放時に中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませるとともに頂壁を上方へ旋回させた場合、頂部フラップの両側領域が中央可撓領域によって横方向内方へ確実に引っ張られるから、両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜し、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から容易に外れ、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができる。包装容器は、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【0024】
第1切り込み線の両側延出端が連接端縁から頂壁または頂部フラップに向かって延びた後、再び連接端縁と平行して延びている包装容器は、第1切り込み線の両側延出端が頂壁または頂部フラップに向かって延びた後、再び連接端縁と平行して延びているから、中央可撓領域を容器の内側へ向かって繰り返し凹ませたとしても、第1切り込み線から連接端縁が裂壊することはなく、頂部フラップの破損を防ぐことができ、長期間の使用に耐えることができる。
【0025】
第2折り曲げ線の間に延びる頂部フラップの自由端縁が頂部フラップの連接端縁に向かって凹んでいる包装容器は、頂部フラップの自由端縁がフラップの連接端縁に向かって凹むことで、その分中央可撓領域の面積が小さくなり、中央可撓領域を容器の内側へ容易に凹ませることができる。この包装容器は、頂部開口の開放時において、中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませつつ頂壁を上方へ旋回させると、中央可撓領域を除く頂部フラップの残余の両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から外れるから、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができ、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【0026】
両側壁の上端縁に連接された一対の側部フラップを含み、頂部開口の閉鎖時において、それら側部フラップが頂壁の下に重なるとともに頂部フラップの連接端縁の横方向両側に作られた第3切り込み線に係入する包装容器は、頂壁と頂部フラップとで頂部開口を閉鎖したときに、前壁の内側に重なる頂部フラップとともに、側部フラップが第3切り込み線に係入するから、頂部開口がしっかりと閉鎖され、頂部開口の不用意な開放を防ぐことができる。この包装容器は、頂部開口の開放時において、中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませつつ頂壁を上方へ旋回させると、中央可撓領域を除く頂部フラップの残余の両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から外れ、側部フラップと第3切り込み線との係合を容易に解除することができるとともに、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができ、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【0027】
前壁の上端縁の横方向中央にその上端縁から下端縁に向かって凸となる第1切り欠き領域が画成され、中央可撓領域が第1切り欠き領域において露出している包装容器は、中央可撓領域が第1切り欠き領域において露出し、それによって頂部開口の開放時に前壁と頂部フラップとの間に指を進入させることなく、中央可撓領域を容器の内側へ凹ませることができるから、頂部フラップや前壁の損傷を防ぐことができ、長期間の使用に耐えることができる。この包装容器は、頂部開口の開放時において、中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませつつ頂壁を上方へ旋回させると、中央可撓領域を除く頂部フラップの残余の両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から外れるから、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができ、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【0028】
前壁の上端縁に連接された前部フラップを含み、前部フラップの横方向中央に前壁の上端縁から前部フラップの自由端縁に向かって凸となる第2切り欠き領域が画成され、中央可撓領域が第1切り欠き領域と第2切り欠き領域とにおいて露出している包装容器は、中央可撓領域が第1切り欠き領域および第2切り欠き領域において露出し、それによって頂部開口の開放時に前壁と頂部フラップとの間に指を進入させることなく、中央可撓領域を容器の内側へ凹ませることができるから、頂部フラップや前壁の損傷を防ぐことができ、長期間の使用に耐えることができる。この包装容器は、頂部開口の開放時において、中央可撓領域を容器の内側へ向かって凹ませつつ頂壁を上方へ旋回させると、中央可撓領域を除く頂部フラップの残余の両側領域が頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、中央可撓領域と両側領域とが前壁の内側から外れるから、頂部フラップと前壁との係合を容易に解除することができ、頂部開口の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口をスムースに開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一例として示す包装容器の展開平面図。
【図2】包装容器の斜視図。
【図3】包装容器の部分破断正面図。
【図4】頂壁の一部を含む頂部フラップの拡大平面図。
【図5】容器の頂部開口の開放手順の一例を説明する図。
【図6】図5から続く開放手順を説明する図。
【図7】頂部開口を開放した状態で示す容器の斜視図。
【図8】他の一例として示す包装容器の展開平面図。
【図9】包装容器の斜視図。
【図10】包装容器の部分破断正面図
【図11】頂壁の一部を含む頂部フラップの拡大平面図
【図12】容器の頂部開口の開放手順の一例を説明する図。
【図13】図12から続く開放手順を説明する図。
【図14】頂部開口を開放した状態で示す容器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
一例として示す包装容器10Aの展開平面図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる包装容器の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、包装容器10Aの斜視図であり、図3は、包装容器10Aの部分破断正面図である。図4は、頂壁15の一部を含む頂部フラップ18の拡大平面図である。図1〜3では、縦方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、前後方向を矢印C(図1,3を除く)で示す。包装容器10Aは、図2,3に示すように、可撓性を有する6つの壁11,12,13,14,15,16A,16Bが実質的に直交する六面体であり、その外観形状が前後方向へ長い略直方体に成形されている。
【0031】
包装容器10Aは、互いに対向かつ並行して横方向へ延びる前壁11および後壁12と、前後壁11,12の間に位置し、互いに対向かつ並行して前後方向へ延びる左側壁13(両側壁の一方)および右側壁14(両側壁の他方)と、頂部開口22を開閉可能な頂壁15と、底部開口23を閉鎖する各底壁16A,16Bと、前部フラップ17および頂部フラップ18と、各側部フラップ19A,19Bおよび各底部フラップ20A,20Bとを有する。容器10Aでは、前後壁11,12と左右側壁13,14と頂底壁15,16A,16Bとのうちの隣接する壁11,12,13,14,15,16A,16Bどうしが互いに直交するように折曲されている。
【0032】
包装容器10Aには、それら壁11,12,13,14,15,16A,16Bに囲繞された所定容積の物品収納部21が画成されている。容器10Aは、頂部開口22から物品収納部21に物品を収納した後、頂部開口22を閉じ、それを陳列棚に並べたり、フックに吊下げて陳列する。なお、容器10Aの外観形状を前後方向へ長い直方体に限定するものではなく、その外観形状が上下方向へ長い直方体または横方向へ長い直方体あるいは立方体であってもよい。また、容器10Aの大きさに特に限定はなく、収納する物品に合わせてその大きさを適宜決定することができる。
【0033】
前壁11は、横方向へ長い矩形に作られ、後壁12は、横方向へ長い矩形に作られている。左側壁13は、横方向(図2では、前後方向)へ長い矩形に作られ、右側壁14は、横方向(図2では、前後方向)へ長い矩形に作られている。頂壁15は、縦方向(図2では、前後方向)へ長い矩形に作られ、各底壁16A,16Bは、横方向(図2では、前後方向)へ長い略矩形に作られている。前部フラップ17は、横方向へ長い矩形に作られ、頂部フラップ18は横方向へ長い矩形に作られている。各側部フラップ19A,19Bは、横方向(図2では、前後方向)へ長い略矩形に作られ、各底部フラップ20A,20Bは、略三角形に作られている。
【0034】
図1の展開平面図では、図の右方から左方へ向かって、左側壁13、前壁11、右側壁14、後壁12の順で並んでいる。左側壁13には、側縁24を介して糊代となる接合壁25が連接されている。左側壁13と前壁11とは、側縁26を介して連接され、側縁26においてそれらを折曲することができる。前壁11と右側壁14とは、側縁27を介して連接され、側縁27においてそれらを折曲することができる。右側壁14と後壁12とは、側縁28を介して連接され、側縁28においてそれらを折曲することができる。
【0035】
左側壁13と側部フラップ19Aとは、上端縁29を介して連接され、上端縁29においてそれらを折曲することができる。左側壁13と底壁16Aとは、下端縁30を介して連接され、下端縁30においてそれら折曲することができる。前壁11と前部フラップ17とは、上端縁31を介して連接され、上端縁31においてそれらを折曲することができる。前壁11と底部フラップ20Aとは、下端縁32を介して連接され、下端縁32においてそれらを折曲することができる。
【0036】
右側壁14と側部フラップ19Bとは、上端縁33を介して連接され、上端縁33においてそれらを折曲することができる。右側壁14と底壁16Bとは、下端縁34を介して連接され、下端縁34においてそれらを折曲することができる。後壁12と頂壁15とは、上端縁35を介して連接され、上端縁35においてそれらを折曲することができる。後壁12と底部フラップ20Bとは、下端縁36を介して連接され、下端縁36においてそれらを折曲することができる。
【0037】
頂部フラップ18は、横方向へ延びる連接端縁37と、連接端縁37の反対側に位置して横方向へ延びる自由端縁38とを有する。頂壁15と頂部フラップ18とは、連接端縁37を介して連接され、連接端縁37においてそれらを折曲することができる。頂部フラップ18の横方向中央には、所定長さの第1切り込み線39および所定長さの第2切り込み線40A,40Bと、第1折り曲げ線41および第2折り曲げ線42A,42Bとが作られている。頂部フラップ18の横方向中央には、第1および第2切り込み線39,40A,40Bと第2折り曲げ線42A,42Bとに囲繞された中央可撓領域43が画成されている。
【0038】
第1切り込み線39は、連接端縁37を切断することから作られ、頂部フラップ18を横方向に二分する第1中心線L1を中心として横方向へ延びている。第1切り込み線39は、第1中心線L1から右方へ延びる寸法と第1中心線L1から左方へ延びる寸法とが同一である。第1切り込み線39の両側延出端44は、連接端縁37から頂壁15に向かって延びた後、再び連接端縁37と平行して延びている。なお、両側延出端44は、連接端縁37から頂部フラップ18に向かって延びた後、再び連接端縁37と平行して延びていてもよい。第1切り込み線39の長さ寸法は、頂壁15の横方向の長さ寸法の略1/3である。
【0039】
第2切り込み線40A,40Bは、第1切り込み線39の横方向両側から頂部フラップ18の自由端縁38に向かって縦方向へ延びている。それら第2切り込み線40A,40Bは、第1中心線L1を挟んで左右対称形に作られ、連接端縁37から自由端縁38に向かって互いの離間寸法が次第に広がるように末広がりに傾斜している。第2切り込み線40A,40Bは、頂部フラップ18を縦方向に二分する第2中心線L2近傍(頂部フラップ18の縦方向中央)に達している。頂部フラップ18の縦方向中央に位置する第2切り込み線40A,40Bの延出端45は、連接端縁37から自由端縁38に向かって延びた後、自由端縁38の側から連接端縁37の側に向かって折り返している(Uターン)。
【0040】
第1折り曲げ線41は、第1中心線L1に沿って第1切り込み線39の横方向中央(連接端縁37の横方向中央)から自由端縁38に向かって縦方向へ延びている。第1折り曲げ線41は、第1切り込み線39の横方向中央から自由端縁38に達している。第1折り曲げ線41において頂部フラップ18の横方向中央(中央可撓領域43)を容器10Aの内側(物品収納部21)に向かって谷折りにすることができる。
【0041】
第2折り曲げ線42A,42Bは、頂部フラップ18の縦方向中央(第2中心線L2近傍)に位置する第2切り込み線40A,40Bの延出端45から自由端縁38に向かって縦方向へ延びている。第2折り曲げ線42A,42Bは、第2切り込み線40A,40Bの延出端45から自由端縁38に達している。それら第2折り曲げ線42A,42Bは、第1中心線L1を挟んで左右対称形に作られ、第2切り込み線40A,40Bの延出端45から自由端縁38に向かって互いの離間寸法が次第に広がるように末広がりに傾斜している。第2折り曲げ線42A,42Bにおいて頂部フラップ18の横方向中央(中央可撓領域43)を容器10Bの外側に向かって山折りにすることができる。
【0042】
第2折り曲げ線42A,42Bの間に延びる頂部フラップ18の自由端縁38は、フラップ18の連接端縁37に向かって凹み、連接端縁37に向かって弧を画いている。頂部フラップ18の連接端縁37の横方向両側には、第1切り込み線39に向かって横方向へ延びる所定長さの一対の第3切り込み線46A,46Bが作られている。それら第3切り込み線46A,46Bは、連接端縁37の横方向両側から第1中心線L1に向かってわずかに延びており、それらの横方向の長さ寸法が同一である。第1切り込み線39と第3切り込み線46A,46Bとの間には連接端縁37が存在し、連接端縁37がそれら第3切り込み線46A,46Bに挟まれているとともに、第1切り込み線39がそれら連接端縁37に挟まれている。
【0043】
包装容器10Aでは、頂部フラップ18の横方向中央(中央可撓領域43)を容器10Aの内側(物品収納部21)に向かって押圧すると、第1折り曲げ線41において頂部フラップ18の横方向中央が容器10Aの内側に向かって谷折りになり、第2折り曲げ線42A,42Bにおいて頂部フラップ18の横方向中央が容器10Aの外側に向かって山折りになり、第1および第2切り込み線39,40A,40Bと第2折り曲げ線42A,42Bとに囲繞された中央可撓領域43を容器10Aの内側に向かって凹ませることができる。
【0044】
前壁11の上端縁31の横方向中央には、上端縁31から前壁11の下端縁32に向かって凸となる第1切り欠き領域47が画成されている。第1切り欠き領域47では、前壁11が存在しない。第1切り欠き領域47の横方向の寸法は、それら第2切り込み線40A,40Bの離間寸法と略同一であり、第1切り欠き領域47の縦方向の寸法は、第2切り込み線40A,40Bの長さ寸法と略同一である。
【0045】
前部フラップ17の横方向中央には、前壁11の上端縁31から前部フラップ17の自由端縁48に向かって凸となる第2切り欠き領域49が画成されている。第2切り欠き領域49では、前部フラップ17が存在しない。第2切り欠き領域49の横方向の寸法は、それら第2切り込み線40A,40Bの離間寸法と略同一であり、第2切り欠き領域49の縦方向の寸法は、第2切り込み線40A,40Bの長さ寸法と略同一である。
【0046】
図1の展開平面図から容器10Aを組み立てる手順は、以下のとおりである。接合壁25が左側壁13に対して直交するように、接合壁25を側縁24において略直角に折曲し、左側壁13が前壁11に対して直交するように、左側壁13を側縁26において略直角に折曲する。次に、前壁11が右側壁14に対して直交するように、前壁11を側縁27において略直角に折曲し、右側壁14が後壁12に対して直交するように、右側壁14を側縁28において略直角に折曲する。それら前後壁11,12と左右側壁13,14と接合壁25とを折曲した後は、接合壁25が内側になるように後壁12と接合壁25とを重ね合わせ、それら壁12,25どうしを接着剤によって固着する。それら壁12,25どうしを固着すると、前後壁11,12および左右側壁13,14に囲繞された頂部開口22と底部開口23とが形成される。
【0047】
後壁12と接合壁25とを固着した後、底部フラップ20Bが後壁12に対して直交するように、底部フラップ20Bを下端縁36において容器10Aの内側に向かって略直角に折曲し、底壁16Bが右側壁14に対して直交するように、底壁16Bを下端縁34において容器10Aの内側に向かって略直角に折曲する。底部フラップ20Bおよび底壁16Bを折曲すると、底壁16Bの一部が底部フラップ20Bの下に重なる。次に、底壁16Bと底部フラップ20Bとの互いに重なり合う部分を接着剤によって固着する。
【0048】
底壁16Bと底部フラップ20Bとを固着した後、底部フラップ20Aが前壁11に対して直交するように、底部フラップ20Aを下端縁32において容器10Aの内側に向かって略直角に折曲し、底壁16Aが左側壁13に対して直交するように、底壁16Aを下端縁30において容器10Aの内側に向かって略直角に折曲する。底部フラップ20Aおよび底壁16Aを折曲すると、底壁16Aの一部が底部フラップ20Aの下に重なる。次に、底壁16Aと底部フラップ20Aとの互いに重なり合う部分を接着剤によって固着する。底壁16A,16Bと底部フラップ20A,20Bとを固着すると、底壁16A,16Bおよび底部フラップ20A,20Bによって底部開口23が閉塞される。底部開口23を閉塞すると、容器10Aには、前後壁11,12、左右側壁13,14、底壁16A,16B、底部フラップ20A,20Bに囲繞された物品収納部21が形成される。
【0049】
物品収納部21に所定の物品を収納した後、前部フラップ17が前壁11と重なるように、前部フラップ17を上端縁31において容器10Aの内側に向かって折曲する。前部フラップ17を折曲すると、前部フラップ17が前壁11の内側に重なるとともに、前壁11に画成された第1切り欠き領域47と前部フラップ17に画成された第2切り欠き領域49とが重なる。次に、側部フラップ19Bが右側壁14に対して直交するように、側部フラップ19Bを上端縁33において容器10Aの内側に向かって略直角に折曲し、側部フラップ19Aが左側壁13に対して直交するように、側部フラップ19Aを上端縁29において容器10Aの内側に向かって略直角に折曲する。
【0050】
それら側部フラップ19A,19Bを折曲した後、頂部フラップ18が頂壁15に対して直交するように、頂部フラップ18を連接端縁37において頂壁15の内面に向かって略直角に折曲する。次に、頂壁15が後壁12に対して直交するように、頂壁15を上端縁35において容器10Aの内側に向かって略直角に折曲するとともに、互いに重なり合う前部フラップ17と前壁11との内側に頂部フラップ18を挿入する。
【0051】
前部フラップ17および前壁11の内側に頂部フラップ18を挿入すると、それら各側部フラップ19A,19Bが頂壁15の下に重なるとともに、それら側部フラップ19A,19Bの前壁11の側に位置する部分50が連接端縁37に形成された第3切り込み線46A,46Bに係入し、頂部開口22が閉鎖される。頂部開口22を閉鎖すると、中央可撓領域43が第1切り欠き領域47において露出するとともに、第2切り欠き領域49において露出する。頂部開口22が閉鎖された容器10Aは、陳列棚に並べることができる。また、容器10Aは、それを透明な袋に入れ、袋に形成された挿入孔にフックを挿入することで、容器10Aをフックに吊下げることができる。
【0052】
図5は、容器10Aの頂部開口22の開放手順の一例を説明する図であり、図6は、図5から続く開放手順を説明する図である。図7は、頂部開口22を開放した状態で示す容器10Aの斜視図である。図5,6では、上下方向(縦方向)を矢印Aで示し、横方向を矢印Bで示す。図2に示す頂部開口22が閉鎖された状態から、頂部開口22を開放する手順の一例を説明すると、以下のとおりである。
【0053】
図5に示すように、頂部フラップ18の中央可撓領域43を指51で容器10Aの内側(物品収納部21)に向かって押圧する。中央可撓領域43を押圧すると、第1折り曲げ線41において中央可撓領域43が容器10Aの内側に向かって谷折りになり、第2折り曲げ線42A,42Bにおいて中央可撓領域43が容器10Aの外側に向かって山折りになり、中央可撓領域43が容器10Aの内側に向かって凹む。
【0054】
中央可撓領域43を凹ませた後、図5,6に矢印A1で示すように、頂壁15を上方へ向かって引っ張り、上端縁35を旋回軸として頂壁15を上方へ旋回させる。中央可撓領域43を凹ませるとともに頂壁15を引っ張ると、図5,6に矢印B1で示すように、中央可撓領域43を除く頂部フラップ18の残余の両側領域52が横方向内方へ引っ張られ、両側領域52が頂壁15の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜する。
【0055】
頂壁15をさらに上方へ旋回させると、両側領域52の傾斜が一層大きくなるとともに、側部フラップ19A,19Bの部分50と連接端縁37に形成された第3切り込み線46A,46Bとの係合が次第に外れ、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11および前部フラップ17の内側から次第に外れる。側部フラップ19A,19Bの部分50と第3切り込み線46A,46Bとの係合が外れ、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11および前部フラップ17の内側から外れると、図7に示すように、頂部開口22が開放される。頂部開口22が開放された後、物品収納部21に収納された物品を取り出し、頂部開口22を再び閉鎖する。頂部開口22の閉鎖手順は既述のとおりである。
【0056】
包装容器10Aは、頂部フラップ18の横方向中央に第1および第2切り込み線39,40A,40Bと第2折り曲げ線42A,42Bとに囲繞された中央可撓領域43が画成され、頂部開口22を開放するときに中央可撓領域43を容器10Aの内側(物品収納部21)へ向かって凹ませることができるから、頂部開口22の開放時に頂部フラップ18の横方向中央を指51で押圧してフラップ18を強制的に凹ませる必要はなく、頂壁15や頂部フラップ18が強制的に折り曲げられることによる頂壁15やフラップ18の損傷を防ぐことができる。包装容器10Aは、頂部開口22を繰り返し開閉したとしても、頂壁15や頂部フラップ18が損傷することはなく、長期間の使用に耐えることができる。
【0057】
包装容器10Aは、頂部開口22の開放時に、中央可撓領域43を容器10Aの内側へ向かって凹ませつつ頂壁15を上方へ旋回させると、中央可撓領域43を除く頂部フラップ18の残余の両側領域52が頂壁15の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、側部フラップ19A,19Bと第3切り込み線46A,46Bとの係合が外れ、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11および前部フラップ17の内側から外れるから、頂部フラップ18と前壁11や前部フラップ17との係合を容易に解除することができ、頂部開口22の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口22をスムースに開放することができる。
【0058】
包装容器10Aは、第2切り込み線40A,40Bが頂部フラップ18の連接端縁37から自由端縁38に向かって末広がりに傾斜し、第2折り曲げ線42A,42Bが頂部フラップ18の連接端縁37から自由端縁38に向かって末広がりに傾斜しているから、頂部開口22の開放時に中央可撓領域43を容器10Aの内側へ向かって凹ませるとともに頂壁15を上方へ旋回させた場合、頂部フラップ18の両側領域52が中央可撓領域43によって横方向内方へ確実に引っ張られ、両側領域52が頂壁15の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜し、側部フラップ19A,19Bと第3切り込み線46A,46Bとの係合が容易に外れるとともに、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11や前部フラップ17の内側から容易に外れ、側部フラップ19A,19Bと第3切り込み線46A,46Bとの係合を容易に解除することができ、頂部フラップ18と前壁11および前部フラップ17との係合を容易に解除することができる。
【0059】
包装容器10Aは、第2切り込み線40A,40Bの延出端45が頂部フラップ18の連接端縁37から自由端縁38に向かって延びた後、頂部フラップ18の自由端縁38の側から連接端縁37の側に向かって折り返しているから(Uターン)、中央可撓領域43を容器10Aの内側へ向かって繰り返し凹ませたとしても、第2切り込み線40A,40Bから自由端縁38に向かって第2折り曲げ線42A,42Bが裂壊することはなく、頂部フラップ18の中央可撓領域43の破損を防ぐことができる。また、包装容器10Aは、第1切り込み線39の両側延出端44が頂壁15に向かって延びた後、再び連接端縁37と平行して延びているから、中央可撓領域43を容器10Aの内側へ向かって繰り返し凹ませたとしても、第1切り込み線39から連接端縁37が裂壊することはなく、頂部フラップ18の破損を防ぐことができる。
【0060】
包装容器10Aは、第2折り曲げ線42A,42Bの間に延びる頂部フラップ18の自由端縁38が頂部フラップ18の連接端縁37に向かって凹んでいるから、その分中央可撓領域43の面積が小さくなり、中央可撓領域43を容器10Aの内側へ容易に凹ませることができる。包装容器10Aは、中央可撓領域43が前壁11の第1切り欠き領域47および前部フラップ17の第2切り欠き領域49において露出し、それによって頂部開口22の開放時に前壁11と頂部フラップ17との間に指を強制的に進入させることなく、中央可撓領域43を容器10Aの内側へ凹ませることができるから、前壁11や頂部フラップ17の損傷を防ぐことができる。
【0061】
図8は、他の一例として示す包装容器10Bの展開平面図であり、図9は、包装容器10Bの斜視図である。図10は、包装容器10Bの部分破断正面図であり、図11は、頂壁11の一部を含む頂部フラップ18の拡大平面図である。図8〜10では、縦方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、前後方向を矢印C(図を除く)で示す。包装容器10Bは、可撓性を有する6つの壁11,12,13,14,15,16A,16Bが実質的に直交する六面体であり、その外観形状が前後方向へ長い略直方体に成形されている。
【0062】
包装容器10Bは、図2の容器10Aと同様に、互いに対向かつ並行して横方向へ延びる前壁11および後壁12と、前後壁11,12の間に位置し、互いに対向かつ並行して前後方向へ延びる左側壁13および右側壁14と、頂部開口22を開閉可能な頂壁15と、底部開口23を閉鎖する各底壁16A,16Bと、前部フラップ17および頂部フラップ18と、各側部フラップ19A,19Bおよび各底部フラップ20A,20Bとを有する。
【0063】
容器10Bでは、前後壁11,12と左右側壁13,14と頂底壁15,16A,16Bとのうちの隣接する壁11,12,13,14,15,16A,16Bどうしが互いに直交するように折曲されている。容器10Bには、それら壁11,12,13,14,15,16A,16Bに囲繞された所定容積の物品収納部21が画成されている。容器10Bは、頂部開口22から物品収納部21に物品を収納した後、頂部開口22を閉じる。
【0064】
前後壁11,12は、横方向へ長い矩形に作られ、左右側壁13,14は、横方向(図9では、前後方向)へ長い矩形に作られている。頂壁15は、縦方向(図9では、前後方向)へ長い矩形に作られ、各底壁16A,16Bは、横方向(図9では、前後方向)へ長い略矩形に作られている。前部フラップ17および頂部フラップ18は、横方向へ長い矩形に作られ、各側部フラップ19A,19Bは、横方向(図9では、前後方向)へ長い略矩形に作られている。各底部フラップ20A,20Bは、略三角形に作られている。
【0065】
図8の展開平面図では、図の右方から左方へ向かって、左側壁13、前壁11、右側壁14、後壁12の順で並んでいる。左側壁13には、側縁24を介して糊代となる接合壁25が連接されている。左側壁13と前壁11とは、側縁26を介して連接され、前壁11と右側壁14とは、側縁27を介して連接されている。右側壁14と後壁12とは、側縁28を介して連接されている。
【0066】
左側壁13と側部フラップ19Aとは、上端縁29を介して連接され、左側壁13と底壁16Aとは、下端縁30を介して連接されている。前壁11と前部フラップ17とは、上端縁31を介して連接され、前壁11と底部フラップ20Aとは、下端縁32を介して連接されている。右側壁14と側部フラップ19Bとは、上端縁33を介して連接され、右側壁14と底壁16Bとは、下端縁34を介して連接されている。後壁12と頂壁15とは、上端縁35を介して連接され、後壁12と底部フラップ20Bとは、下端縁36を介して連接されている。
【0067】
頂部フラップ18は、連接端縁37と、連接端縁37の反対側に位置する自由端縁38とを有する。頂壁15と頂部フラップ18とは、連接端縁37を介して連接されている。頂部フラップ18の横方向中央には、所定長さの第1切り込み線39と、第1折り曲げ線41および第2折り曲げ線42A,42Bとが作られている。頂部フラップ18の横方向中央には、第1切り込み線39と第2折り曲げ線42A,42Bとに囲繞された中央可撓領域43が画成されている。
【0068】
第1切り込み線39は、連接端縁37を切断することから作られ、第1中心線L1を中心として横方向へ延びている。第1切り込み線39は、第1中心線L1から右方へ延びる寸法と第1中心線L1から左方へ延びる寸法とが同一である。第1切り込み線39の両側延出端44は、連接端縁37から頂壁15に向かって延びた後、再び連接端縁37と平行して延びている。第1切り込み線39の長さ寸法は、頂壁15の横方向の長さ寸法の略1/3である。
【0069】
第1折り曲げ線41は、第1中心線L1に沿って第1切り込み線39の横方向中央(連接端縁37の横方向中央)から自由端縁38に向かって縦方向へ延びている。第1折り曲げ線41は、第1切り込み線39の横方向中央から自由端縁38に達している。第1折り曲げ線41において頂部フラップ18の中央可撓領域43を容器10Bの内側に向かって谷折りにすることができる。
【0070】
第2折り曲げ線42A,42Bは、第1切り込み線39の横方向両側から頂部フラップ18の自由端縁38に向かって縦方向へ延びている。それら第2折り曲げ線42A,42Bは、第1中心線L1を挟んで左右対称形に作られ、連接端縁37から自由端縁38に向かって互いの離間寸法が次第に広がるように末広がりに傾斜している。第2折り曲げ線42A,42Bにおいて頂部フラップ18の中央可撓領域43を容器10Bの外側に向かって山折りにすることができる。
【0071】
第2折り曲げ線42A,42Bの間に延びる頂部フラップ18の自由端縁38には、連接端縁37に向かって凹む凹部53が形成されている。凹部53では、頂部フラップ18が存在しない。頂部フラップ18の連接端縁37の横方向両側には、第1切り込み線39に向かって横方向へ延びる所定長さの一対の第3切り込み線46A,46Bが作られている。それら第3切り込み線46A,46Bは、連接端縁37の横方向両側から第1中心線L1に向かってわずかに延びており、それらの長さ寸法が同一である。
【0072】
包装容器10Bでは、頂部フラップ18の中央可撓領域43を容器10Bの内側に向かって押圧すると、第1折り曲げ線41において頂部フラップ18の中央可撓領域43が容器10Bの内側に向かって谷折りになり、第2折り曲げ線42A,42Bにおいて頂部フラップ18の中央可撓領域43が容器10Bの外側に向かって山折りになり、第1切り込み線39と第2折り曲げ線42A,42Bとに囲繞された中央可撓領域43を容器10Bの内側に向かって凹ませることができる。
【0073】
前壁11の上端縁31の横方向中央には、上端縁31から前壁11の下端縁32に向かって凸となる第1切り欠き領域47が画成されている。第1切り欠き領域47の横方向の寸法は、それら第2切り込み線40A,40Bの離間寸法と略同一であり、第1切り欠き領域47の縦方向の寸法は、第2折り曲げ線42A,42Bの略半分である。前部フラップ17の横方向中央には、前壁11の上端縁31から前部フラップ17の自由端縁48に向かって凸となる第2切り欠き領域49が画成されている。第2切り欠き領域49の横方向の寸法は、第2切り込み線40A,40Bの離間寸法と略同一であり、第2切り欠き領域49の縦方向の寸法は、第2折り曲げ線42A,42Bの略半分である。なお、図8の展開平面図から容器10Bを組み立てる手順は、図1の展開平面図から容器10Aを組み立てる手順と同一であるから、その説明は省略する。
【0074】
図12は、容器10Bの頂部開口22の開放手順の一例を説明する図であり、図13は、図12から続く開放手順を説明する図である。図14は、頂部開口22を開放した状態で示す容器10Bの斜視図である。図12,13では、上下方向(縦方向)を矢印Aで示し、横方向Bを矢印で示す。図9に示す頂部開口22が閉鎖された状態から、頂部開口22を開放する手順の一例を説明すると、以下のとおりである。
【0075】
図12に示すように、頂部フラップ18の中央可撓領域43を指で容器10Bの内側(物品収納部21)に向かって押圧する。中央可撓領域43を押圧すると、第1折り曲げ線41において中央可撓領域43が容器10Bの内側に向かって谷折りになり、第2折り曲げ線42A,42Bにおいて中央可撓領域43が容器10Bの外側に向かって山折りになり、中央可撓領域43が容器10Bの内側に向かって凹む。
【0076】
中央可撓領域43を凹ませた後、図12,13に矢印A1で示すように、頂壁15を上方へ向かって引っ張り、上端縁35を旋回軸として頂壁15を上方へ旋回させる。中央可撓領域43を凹ませるとともに頂壁15を引っ張ると、図12,13に矢印B1で示すように、中央可撓領域43を除く頂部フラップ18の残余の両側領域52が横方向内方へ引っ張られ、両側領域52が頂壁15の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜する。
【0077】
頂壁15をさらに上方へ旋回させると、両側領域52の傾斜が一層大きくなるとともに、側部フラップ19A,19Bの部分50と連接端縁37に形成された第3切り込み線46A,46Bとの係合が次第に外れ、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11および前部フラップ17の内側から次第に外れる。側部フラップ19A,19Bの部分50と第3切り込み線46A,46Bとの係合が外れ、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11および前部フラップ17の内側から外れると、図14に示すように、頂部開口22が開放される。頂部開口22が開放された後、物品収納部21に収納された物品を取り出し、頂部開口22を再び閉鎖する。頂部開口22の閉鎖手順は既述のとおりである。
【0078】
包装容器10Bは、頂部フラップ18の横方向中央に第1切り込み線39と第2折り曲げ線42A,42Bとに囲繞された中央可撓領域43が画成され、頂部開口22を開放するときに中央可撓領域43を容器10Bの内側へ向かって凹ませることができるから、頂部開口22の開放時に頂部フラップ18の横方向中央を指51で押圧してフラップ18を強制的に凹ませる必要はなく、頂壁15や頂部フラップ18が強制的に折り曲げられることによる頂壁15やフラップ18の損傷を防ぐことができる。包装容器10Bは、頂部開口22を繰り返し開閉したとしても、頂壁15や頂部フラップ18が損傷することはなく、長期間の使用に耐えることができる。
【0079】
包装容器10Bは、頂部開口22の開放時に、中央可撓領域43を容器10Bの内側へ向かって凹ませつつ頂壁15を上方へ旋回させると、中央可撓領域43を除く頂部フラップ18の残余の両側領域52が頂壁15の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、側部フラップ19A,19Bと第3切り込み線46A,46Bとの係合が外れ、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11および前部フラップ17の内側から外れるから、頂部フラップ18と前壁11や前部フラップ17との係合を容易に解除することができ、頂部開口22の開放作業に手間取ることがなく、頂部開口22をスムースに開放することができる。
【0080】
包装容器10Bは、第2折り曲げ線42A,42Bが頂部フラップ18の連接端縁37から自由端縁38に向かって末広がりに傾斜しているから、頂部開口22の開放時に中央可撓領域43を容器10Bの内側へ向かって凹ませるとともに頂壁15を上方へ旋回させた場合、頂部フラップ18の両側領域52が中央可撓領域43によって横方向内方へ確実に引っ張られ、両側領域52が頂壁15の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜し、側部フラップ19A,19Bと第3切り込み線46A,46Bとの係合が容易に外れるとともに、中央可撓領域43と両側領域52とが前壁11や前部フラップ17の内側から容易に外れ、側部フラップ19A,19Bと第3切り込み線46A,46Bとの係合を容易に解除することができ、頂部フラップ18と前壁11および前部フラップ17との係合を容易に解除することができる。
【0081】
包装容器10Bは、第1切り込み線39の両側延出端44が頂壁15に向かって延びた後、再び連接端縁37と平行して延びているから、中央可撓領域43を容器10Bの内側へ向かって繰り返し凹ませたとしても、第1切り込み線39から連接端縁37が裂壊することはなく、頂部フラップ18の破損を防ぐことができる。包装容器10Bは、第2折り曲げ線42A,42Bの間に延びる頂部フラップ18の自由端縁38に凹部53が形成されているから、その分中央可撓領域43の面積が小さくなり、中央可撓領域43を容器10Bの内側へ容易に凹ませることができる。包装容器10Bは、中央可撓領域43が前壁11の第1切り欠き領域47および前部フラップ17の第2切り欠き領域49において露出し、それによって頂部開口22の開放時に前壁11と頂部フラップ17との間に指を強制的に進入させることなく、中央可撓領域43を容器10Bの内側へ凹ませることができるから、前壁11や頂部フラップ17の損傷を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0082】
10A 包装容器
10B 包装容器
11 前壁
12 後壁
13 左側壁
14 右側壁
15 頂壁
16A,B 底壁
17 前部フラップ
18 頂部フラップ
19A,B 側部フラップ
20A,B 底部フラップ
21 物品収納部
22 頂部開口
23 底部開口
37 連接端縁
38 自由端縁
39 第1切り込み線
40A,B 第2切り込み線
41 第1折り曲げ線
42A,B 第2折り曲げ線
43 中央可撓領域
44 両側延出端
45 延出端
46A,B 第3切り込み線
47 第1切り欠き領域
49 第2切り欠き領域
52 両側領域
53 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する前後壁および互いに対向する両側壁と、頂部開口を開閉可能な頂壁および底部開口を塞ぐ底壁と、前記頂壁に連接された頂部フラップとを備え、それら六つの壁が実質的に直交する六面体であり、前記頂部フラップが、該フラップと前記頂壁とを連接して横方向へ延びる連接端縁と、前記連接端縁の反対側に位置して横方向へ延びる自由端縁とを有し、前記頂壁によって頂部開口を閉鎖したときに前記頂部フラップが前記前壁の内側に重なる包装容器において、
前記頂部フラップの横方向中央には、前記頂部開口を開放するときに前記容器の内側へ向かって凹ませることが可能な中央可撓領域が画成され、前記頂部開口の開放時では、前記中央可撓領域を前記容器の内側へ向かって凹ませつつ前記頂壁を上方へ旋回させると、前記中央可撓領域を除く前記頂部フラップの残余の両側領域が前記頂壁の横方向中央から横方向両側に向かって末広がりに傾斜しつつ、前記中央可撓領域と前記両側領域とが前記前壁の内側から外れることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記頂部フラップの横方向中央には、前記連接端縁において横方向へ延びる所定長さの第1切り込み線と、前記第1切り込み線の横方向両側から前記頂部フラップの自由端縁に向かって縦方向へ延びる所定長さの一対の第2切り込み線と、縦方向へ延びていて前記第1切り込み線の横方向中央から前記頂部フラップの自由端縁に達する第1折り曲げ線と、縦方向へ延びていて前記頂部フラップの縦方向中央に位置する前記第2切り込み線の延出端から該フラップの自由端縁に達する一対の第2折り曲げ線とが作られ、前記中央可撓領域が、前記第1および第2切り込み線と前記第2折り曲げ線とに囲繞された領域である請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
それら第2切り込み線が、前記頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜し、それら第2折り曲げ線が、前記頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜している請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
それら第2切り込み線の延出端が、前記頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって延びた後、前記頂部フラップの自由端縁の側から連接端縁の側に向かって折り返している請求項2または請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記頂部フラップの横方向中央には、前記連接端縁において横方向へ延びる所定長さの第1切り込み線と、縦方向へ延びていて前記第1切り込み線の横方向中央から前記頂部フラップの自由端縁に達する第1折り曲げ線と、縦方向へ延びていて前記第1切り込み線の横方向両側から前記頂部フラップの自由端縁に達する一対の第2折り曲げ線とが形成され、前記中央可撓領域が、前記第1切り込み線と前記第2折り曲げ線とに囲繞された領域である請求項1に記載の包装容器。
【請求項6】
それら第2折り曲げ線が、前記頂部フラップの連接端縁から自由端縁に向かって末広がりに傾斜している請求項5に記載の包装容器。
【請求項7】
前記第1切り込み線の両側延出端が、前記連接端縁から前記頂壁または前記頂部フラップに向かって延びた後、再び前記連接端縁と平行して延びている請求項2ないし請求項6いずれかに記載の包装容器。
【請求項8】
前記第2折り曲げ線の間に延びる前記頂部フラップの自由端縁が、該頂部フラップの連接端縁に向かって凹んでいる請求項2ないし請求項7いずれかに記載の包装容器。
【請求項9】
前記包装容器が、前記両側壁の上端縁に連接された一対の側部フラップを含み、前記頂部フラップの連接端縁の横方向両側には、前記第1切り込み線に向かって横方向へ延びる所定長さの一対の第3切り込み線が作られ、前記頂部開口の閉鎖時では、それら側部フラップが前記頂壁の下に重なるとともに前記第3切り込み線に係入する請求項2ないし請求項8いずれかに記載の包装容器。
【請求項10】
前記前壁の上端縁の横方向中央には、該上端縁から該前壁の下端縁に向かって凸となる第1切り欠き領域が画成され、前記中央可撓領域が、前記第1切り欠き領域において露出している請求項2ないし請求項9いずれかに記載の包装容器。
【請求項11】
前記包装容器が、前記前壁の上端縁に連接された前部フラップを含み、前記前部フラップの横方向中央には、前記前壁の上端縁から該前部フラップの自由端縁に向かって凸となる第2切り欠き領域が画成され、前記中央可撓領域が、前記第1切り欠き領域と前記第2切り欠き領域とにおいて露出している請求項10に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−107688(P2013−107688A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255788(P2011−255788)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(391018743)トーイン株式会社 (8)
【Fターム(参考)】