説明

状態確認装置

【課題】 組み付け性や増設時の作業性がよく、しかもメンテナンス性に優れた状態確認装置を提供する。
【解決手段】 一対の連通ポート8,9と、これら一対の連通ポート8,9を接続する接続通路10と、接続通路10にオリフィス13を介して連通する検出通路12と、上記オリフィス13前後の圧力差を検出する差圧検出手段Sとを備えた圧力検出ブロックAを複数設けるとともに、上記連通ポート8,9を接続してこれら複数の圧力検出ブロックAを連結し、各圧力検出ブロックAの接続通路10が連通して供給通路を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作物の着座状況等を検出する状態確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
状態確認装置として、例えば、工作物の着座状況を確認する着座確認装置があるが、従来の着座確認装置について図7を用いて説明する。
加工機械において工作物であるワークWを着座するテーブル1には、検出孔2が通常4ヶ所に形成されている。上記検出孔2には、検出圧通路3aをそれぞれ接続するとともに、これら検出圧通路3aをオリフィス4を介して分岐通路3に接続している。そして、各分岐通路3は、供給通路5で合流して圧力源6に接続している。
また、各分岐通路3であって、オリフィス4よりも圧力源側には、それぞれレギュレータRを設けるとともに、オリフィス4よりも検出孔2側、すなわち検出圧通路3aには、センサを有する圧力検出手段7を設け、検出圧通路3aの圧力を検出している。
【0003】
上記の構成からなる着座確認装置を用いて、ワークWの着座状況を確認する場合には、圧力源6からエアを供給するとともに、検出孔2を塞ぐようにしてテーブル1上にワークWを着座させる。すると、圧力源6から供給された検出用エアが、供給通路5を介して各分岐通路3に導かれる。各分岐通路3に導かれた検出用エアは、レギュレータRによって所定の圧力に調整されるとともに、この調整圧がオリフィス4および検出圧通路3aを介して検出孔2から噴出する。
【0004】
このとき、ワークWがテーブル1上にぴったりと着座していれば、言い換えれば、ワークWとテーブル1との間に隙間が全くなければ、検出用エアが検出孔2から噴出することができず、検出圧通路3aの圧力が高くなる。一方、ワークWとテーブル1との間に切削屑等のゴミや水滴が入り込み、ワークWとテーブル1との間に隙間がある場合には、検出用エアが検出孔2から噴出する。このワークWとテーブル1との間にできる隙間が大きくなるほど、より多くの検出用エアが噴出するため、隙間が大きくなるにつれて検出圧通路3aの圧力が低くなる。
そして、この圧力の変化を圧力検出手段7が検出しているので、この圧力検出手段7によって、ワークWと各検出孔2との間の隙間量を検出することができる。
【特許文献1】特開平7−040199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の着座確認装置においては、1つの圧力源から複数の検出孔2に検出用エアを供給しているため、各分岐通路3には、必ずレギュレータRが必要となる。なぜなら、レギュレータRを設けないと、各分岐通路3に供給される検出用エアが、他の分岐通路3の圧力に干渉されてしまうためである。すなわち、ワークWがテーブル1に対して傾いて着座しており、一の検出孔2とワークWとの隙間量が大きい場合には、この検出孔2における圧力が低くなる。そのため、検出用エアは、当該一の検出孔2に対して優先的に供給されてしまい、他の検出孔2に供給される検出用エアの圧力が低下してしまう。したがって、他の検出孔2においては、ワークWがテーブル1に対してしっかりと着座しているにもかかわらず、圧力検出手段7が検出する圧力が低くなってしまう。上記の理由により、各分岐通路3には、それぞれレギュレータRを設けなければならなかった。
【0006】
このように、各分岐通路3にレギュレータRを設けるとなると、各分岐通路3と各レギュレータRとをパイプで接続しなければならず、しかも、各レギュレータRから圧力源までをさらに別のパイプで接続しなければならない。したがって、従来の着座確認装置においては、その配管が非常に多く、複雑になってしまい、組み付け作業が面倒になるという問題があった。
また、上記のように配管が複雑になると、検出孔2を新たに増加する場合に、圧力源6に通路やレギュレータR等を増設する増設作業も面倒になってしまうという問題があった。
また、圧力検出手段を構成するセンサが故障等して、当該センサを交換する必要が生じた場合には、上記の複雑な配管を取り外してセンサを交換しなければならないため、メンテナンス作業が面倒になるという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、組み付け性や増設時の作業性がよく、しかもメンテナンス性に優れた状態確認装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、一対の連通ポートと、これら一対の連通ポートを接続する接続通路と、接続通路にオリフィスを介して連通する検出通路と、上記オリフィス前後の圧力差を検出する差圧検出手段とを備えた圧力検出ブロックを複数設けるとともに、上記連通ポートを接続してこれら複数の圧力検出ブロックを連結し、各圧力検出ブロックの接続通路が連通して供給通路を構成する点に特徴を有する。
【0009】
第2の発明は、圧力検出ブロックが、ベースブロックとこのベースブロックに着脱可能にしたセンサ組み込みブロックとからなり、上記ベースブロックには、一対の連通ポートと、これら一対の連通ポートを接続する接続通路と、接続通路にオリフィスを介して連通する検出通路とを備える一方、上記センサ組み込みブロックには、差圧検出手段を組み込む点に特徴を有する。
【0010】
第3の発明は、上記ベースブロックであって、当該ベースブロックとセンサ組み込みブロックとの固定面に開口を設けるとともに、この開口にオリフィス構成部材を組み込んでなり、しかもこのオリフィス構成部材に上記オリフィスを形成した点に特徴を有する。
【0011】
第4の発明は、圧力検出ブロックが、ベースブロックとこのベースブロックに着脱可能にしたセンサ組み込みブロックとからなり、上記ベースブロックには、一対の連通ポートと、これら一対の連通ポートを接続する接続通路と、この接続通路とは非連通状態を維持する検出通路とを備える一方、上記センサ組み込みブロックには、上記接続通路および検出通路を連通するオリフィスを設けるとともに、このオリフィス前後の圧力差を検出する差圧検出手段を組み込んだ点に特徴を有する。
【0012】
第5の発明は、センサ組み込みブロックであって、当該センサ組み込みブロックとベースブロックとの固定面に開口を設けるとともに、この開口にオリフィス構成部材を組み込んでなり、しかもこのオリフィス構成部材に上記オリフィスを形成した点に特徴を有する。
第6の発明は、一対の連通ポートを上記ベースブロックの対向する面に開口させるとともに、上記センサ組み込みブロックは、ベースブロックにおける連通ポートを開口していない面に着脱可能にした点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、接続通路と検出通路との間にオリフィスを設け、このオリフィス前後の圧力差を検出する構成にしたので、接続通路の圧力が低下した場合でも、差圧検出手段が検出する圧力差にはあまり影響がない。このように、接続通路の圧力が低下した場合でも、圧力差は精度よく検出できるので、圧力検出手段ごとにレギュレータを設ける必要がなくなる。したがって、圧力検出ブロックをマニホールド化して、配管を簡易にすることができ、組み付け作業を容易にすることができる。
また、通路を構成した圧力検出ブロックを連結するだけでよいので、増設作業を容易に行うことができる。
【0014】
第2,4の発明によれば、圧力検出ブロックをベースブロックとセンサ組み込みブロックとで構成し、しかも、センサ組み込みブロックとベースブロックとを着脱可能にしたので、差圧検出手段が故障等した場合には、センサ組み込みブロックのみを取り外すことができる。したがって、メンテナンス作業時の作業効率が高くなる。
【0015】
特に第4の発明によれば、センサ組み込みブロックにオリフィスを設けたので、ベースブロックをマニホールド化したままの状態で、オリフィスを清掃する等、容易にメンテナンスすることができ、メンテナンス作業の効率化を図ることができる。
第3,5の発明によれば、センサ組み込みブロックとベースブロックとの固定面に開口を設け、この開口にオリフィス構成部材を組み込んだので、オリフィス構成部材を簡単に交換することができる。したがって、径の異なるオリフィス構成部材を組み込むだけで簡単にオリフィス径を変更することができる。このようにオリフィス径を簡単に変更することができるので、同一の装置内でオリフィス径を大きくして広い範囲で隙間量を特定したり、あるいはオリフィス径を小さくして検出範囲内での検出精度を高めたりするなど、装置ごとに最適な特性をもたせることができる。
【0016】
第6の発明によれば、ベースブロックにおける連通ポートを開口していない面に、センサ組み込みブロックを着脱可能にしたので、配管や組み付けをそのままにした状態で、センサ組み込みブロックを取り外すことができる。したがって、差圧検出手段が故障等した場合に、センサ組み込みブロックのみを取り外せば、配管や組み付けをそのままにしてメンテナンス作業をすることができる。このように、圧力検出ブロックにおいて、故障が発生しやすい差圧検出手段を収納したセンサ組み込みブロックのみを着脱すれば、メンテナンス時の作業効率がさらに高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜4を用いて、この発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、この第1実施形態における状態確認装置は、複数の圧力検出ブロックAを一列に連結してなるが、この圧力検出ブロックAは、ベースブロックA1とセンサ組み込みブロックA2とから構成している。
上記ベースブロックA1は、図2に示すように、一対の連通ポート8,9を対向する側面に開口するとともに、接続通路10によって、この一対の連通ポート8,9を連通させている。なお、上記連通ポート8,9を開口する側面には連結壁aを設けるとともに、この連結壁aの表面に溝bを形成している。
【0018】
また、ベースブロックA1の他の面(図2においては底面)には、検出ポート11を開口するとともに、この検出ポート11に連通する検出通路12を設けている。そして、上記接続通路10と検出通路12との連通過程にはオリフィス13を設けるとともに、このオリフィス13を介して接続通路10と検出通路12とが連通するようにしている。なお、上記オリフィス13は、オリフィス構成部材Xに形成した孔で構成している。つまり、接続通路10と検出通路12との連通過程にオリフィス構成部材Xを固定するとともに、このオリフィス構成部材Xにオリフィス13を形成して、両通路10,12を連通させている。
上記の構成からなるベースブロックA1は次のようにして連結する。すなわち、一のベースブロックA1における連通ポート8と、その隣に位置する他のベースブロックA1における連通ポート9とが、対向するように連結壁aを重ね合わせる。この状態から、図1に示すように、一対のジョイナーJを、連結壁aを挟み込むようにして位置させるとともに、両溝bが対向して形成する孔にネジを挿入して固定する。このようにベースブロックA1を連結すると、各ベースブロックA1の接続通路10が、連通ポート8,9を介して直線上に位置して連通し、これら複数の接続通路10が相俟って、この発明の供給通路を構成する。
【0019】
また、図3に示すように、ベースブロックA1には、接続通路10に連通する信号通路14と、検出通路12に連通する信号通路15とを設け、これら両信号通路14,15を、連通ポート8,9の開口面とは異なる、センサ組み込みブロックA2の固定面側に開口している。
一方、図3,4に示すように、センサ組み込みブロックA2には、ケーシング16内に差圧検出手段Sを収納するが、この差圧検出手段Sは、基板部17と、この基板部17に着脱可能なセンサ部18とを備えている。なお、基板部17には基板フランジ部17aを設けるとともに、この基板フランジ部17aには、複数の基板固定ネジ貫通孔17bを形成している。また、センサ部18には、圧力を検出する信号検知片19,20が突出して設けられている。
【0020】
そして、上記ケーシング16には、差圧検出手段Sの基板部17がちょうど収納可能な寸法からなる基板収納室21を設けるとともに、基板収納室21に連続するセンサ収納室22を設けている。このセンサ収納室22は、上記基板収納室21よりも内径を大きくしているため、両収納室21,22の間には段部23が形成される。また、センサ収納室22は、基板収納室21と反対側、すなわち、ベースブロックA1側を開口している。
上記のセンサ組み込みブロックA2に差圧検出手段Sを組み込む場合には、センサ収納室22の開口、すなわちケーシング16の開口から基板部17を挿入する。基板部17を基板収納室21内に収納すると、基板部17の基板フランジ部17aが段部23に当接する。この状態で基板部17にセンサ部18を取り付ければ、センサ部18がちょうどセンサ収納室22内に位置することになる。
【0021】
このようにセンサ組み込みブロックA2に差圧検出手段Sを組み込んだら、カバープレート24で収納室22の開口(ケーシング16の開口)を塞ぐ。このカバープレート24は、収納室22の開口にちょうど一致する形状からなるプレート部24aと、このプレート部24aから突出するガイド筒部24bとからなる。なお、上記プレート部24aには、複数の基板固定ネジ貫通孔25と、センサ部18の信号検知片19,20を接続する貫通孔26,27を形成している。
また、このカバープレート24を収納室22の開口に位置させると、ガイド筒部24bの先端が段部23に着座した基板部17における基板フランジ部17aに当接するようにしている。
【0022】
このように、カバープレート24によって収納室22の開口を塞いだら、基板固定ネジ貫通孔25から基板固定ネジ28を挿入する。そして、基板固定ネジ貫通孔25、ガイド筒24b、基板固定ネジ貫通孔17bを貫通させるとともに、基板固定ネジ28の先端を段部23に固定する。このとき、センサ部18から突出する信号検知片19,20は、プレート部24aの貫通孔26,27に臨むようにしている。
上記のようにしてセンサ組み込みブロックA2を構成したら、カバープレート24に形成した貫通孔26,27と、ベースブロックA1に形成した信号通路14,15の開口とを一致させる。そして、ベースブロックA1およびセンサ組み込みブロックA2に設けた図示しないネジ孔に、ベースブロックA1側からネジ29を挿通して両者を固定すれば、圧力検出ブロックAを形成することができる。
【0023】
なお、図中符号30はセンサ組み込みブロックA2表面に設けた表示部、31aは基板部17に設けたコネクタ接続部雄、31bはコネクタ接続部雄31aに接続するコネクタ接続部雌、32はカバープレート24に形成したコネクタ接続孔、33はベースブロックA1から突出して設けたプラグハウジング、34は上記プラグハウジング33に接続するコネクタ、図2中35は加工機械におけるテーブル、36はテーブル35に設けた検出孔、37は上記検出孔36と各検出ポート11とを連通するパイプ、Rは供給通路に接続したレギュレータ、PはレギュレータRを介して供給通路に検出用エアを供給する圧力源、Wは工作物等のワークである。
【0024】
次に、この実施形態における状態確認装置の作用を説明する。
図2に示すように、テーブル35上において各検出孔36を塞ぐようにしてワークWを着座させる。このワークWの着座状況、言い換えればワークWとテーブル35との間の隙間量の検出は、次のようにして行う。
まず、圧力源Pから検出用エアを供給するとともに、この検出用エアをレギュレータRで圧力調整した後、供給通路(各圧力検出ブロックAの接続通路10)に供給する。ただし、供給通路は、その一端に圧力源Pを接続するとともに、他端には栓をして供給通路から供給圧が漏れないようにしている。
【0025】
接続通路10に供給された検出用エアは、各接続通路10からオリフィス13を介して検出通路12に導かれるとともに、検出通路12→検出ポート11→パイプ37を介してテーブル35に設けた検出孔36から噴出する。このとき、ワークWがテーブル35上にぴったりと着座していれば、言い換えれば、ワークWとテーブル35との間に隙間が全くなければ、検出用エアが検出孔36から噴出することができず、検出通路12側の圧力と接続通路10(供給通路)側の圧力とが等しくなる。したがって、検出通路12側と接続通路10側との圧力差はゼロになる。
【0026】
一方、ワークWとテーブル35との間に切削屑等のゴミや水滴が入り込み、ワークWとテーブル35との間に隙間がある場合には、検出用エアが検出孔36から噴出する。このワークWとテーブル35との間にできる隙間が大きくなるほど、より多くの検出用エアが噴出するため、隙間が大きくなるにつれてパイプ37および検出通路12の圧力が低くなる。したがって、ワークWとテーブル35との間の隙間量が大きくなるにつれて、接続通路10側の圧力と検出通路12側との圧力差が大きくなる。
このように、接続通路10と検出通路12との圧力差を検出すれば、ワークWとテーブル35との間の隙間量を検出することができる。
【0027】
そして、図3からも明らかなように、検出通路12の圧力は、信号通路15にも導かれるため、センサ部18から突出する信号検知片20が、この検出通路12の圧力を検出している。また、接続通路10の圧力は、信号通路14に導かれているので、信号検知片19が接続通路10側の圧力も検出している。
差圧検出手段Sは、検出通路12側の圧力と接続通路10(供給通路)側の圧力差を検出するとともに、当該検出値をコネクタ34に接続した図示しない演算装置や制御装置に送信する。また、基板部17が、差圧検出手段Sが検出した圧力差に基づいて、ワークWとテーブル35(各検出孔36)との間の隙間量を演算して、この隙間量を表示部30に表示するようにしている。
【0028】
なお、ワークWがテーブル35に対して傾いて着座しており、一の検出孔36とワークWとの隙間量が大きい場合には、この検出孔36に連通する検出通路12における圧力が低くなる。そのため、供給通路に供給された検出用エアは、当該一の検出孔36に対して優先的に供給されるため、供給通路側の圧力が低下することが考えられる。しかし、供給通路側の圧力が低下した場合には、それに応じて各検出通路12側の圧力も低下するため、他の差圧検出手段Sが検出する供給通路側および各検出通路12側の圧力差はほとんど変化しない。特に、供給通路側と各検出通路12側との圧力差が小さい範囲においては、供給圧の差が両通路の圧力差に及ぼす影響が小さい。
【0029】
したがって、状態確認装置の実際の使用域においては、高い検出精度を維持することができる。なぜなら、ワークWの加工精度を高めるためには、ワークWとテーブル35とが密着していなければならないが、ワークWとテーブル35とが密着した状態では、供給圧の大小とは無関係に必ず圧力差がゼロとなるからである。
また、ワークWとテーブル35との間の隙間量が目視できるほど大きい場合には、一般的に表示部30にNG表示等をすれば足りるので、高い検出精度が要求されない。そのため、高い検出精度が求められる実際の使用域は、ワークWとテーブル35との隙間量が極めて小さい範囲ということができる。したがって、状態確認装置の実際の使用域では、供給通路側と各検出通路12側との圧力差が小さいので、供給圧の差が両通路の圧力差に及ぼす影響が小さい。
【0030】
このように、この実施形態の状態確認装置によれば、供給通路の圧力が低下した場合でも圧力差は精度よく検出できるので、差圧検出手段SごとにレギュレータRを設ける必要がなく、その結果、複数の圧力検出ブロックAを連結してマニホールド化することができる。したがって、状態確認装置を加工機械に設置する際の配管を簡易にすることができ、組み付け作業や増設作業を容易にすることができる。
【0031】
また、各圧力検出ブロックAにおいては、センサ組み込みブロックA2とベースブロックA1とを着脱可能な構成にしたので、配管や組み付けをそのままにした状態で、センサ組み込みブロックA2を取り外すことができる。
つまり、ベースブロックA1には通路を構成しているだけなので、故障等が生じることがほとんどなく、そのためベースブロックA1を交換することはほとんどない。一方、差圧検出手段Sは、精密機器であるセンサを有するため故障等が生じる可能性が高く、交換する可能性が高い。このような交換頻度の高い差圧検出手段Sを、センサ組み込みブロックA2に収納するとともに、センサ組み込みブロックA2を、交換することがほとんどないベースブロックA1に対して着脱可能にしたので、メンテナンス時の作業効率が非常に高くなる。言い換えれば、差圧検出手段Sのメンテナンス時に、配管作業や組み付け作業をする必要がなく、作業効率が非常に高い。
【0032】
さらに、差圧検出手段Sにおいては、センサ部18がもっとも故障等しやすく取り換え頻度が高い。したがって、基板部17を収納したままでセンサ部18を取り外せば、一層メンテナンス時の作業効率が高くなる。
また、各圧力検出ブロックAは、ジョイナーJで連結しているため、既に使用している圧力検出ブロックAをそのままの状態にしながら、増設作業を行うことができる。したがって、増設作業を極めて簡単に行うことができ、増設時の作業効率が非常に高い。
なお、この第1実施形態においては、圧力検出ブロックAを3つ用いて説明したが、圧力検出ブロックAはいくつ連結してもよいこと当然である。
【0033】
図5,6を用いて、この発明の第2実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態における状態確認装置は、オリフィス13(オリフィス構成部材X)をセンサ組み込みブロックA2側に設けた点、および分岐通路38,39を設けた点のみ上記第1実施形態と異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。
したがって、上記第1実施形態と同じ構成要素については、上記と同様の符号を付して説明するとともに、その詳細な説明は省略する。
図5に示すように、ベースブロックA1には接続通路10に連通する信号通路14を設けるとともに、この信号通路14および接続通路10に連通する分岐通路38を設けている。そして、上記信号通路14および分岐通路38を、連通ポート8,9の開口面とは異なるセンサ組み込みブロックA2の固定面側に開口している。なお、上記信号通路14および分岐通路38が開口する面には、上記第1実施形態と同様、検出通路12に連通する信号通路15が開口している。
【0034】
一方、センサ組み込みブロックA2には、ケーシング16の開口を塞ぐカバープレート24を設けており、このカバープレート24をベースブロックA1に対向させている。このカバープレート24のプレート部24aには、貫通孔26,27を設けるとともに、この貫通孔26,27の一方の側からセンサ部18の信号検知片19,20を臨ませている。
そして、上記貫通孔26,27の他方の側を、ベースブロックA1に形成した信号通路14および分岐通路38の開口と一致させた状態で、ベースブロックA1とセンサ組み込みブロックA2とを固定している。
ただし、この第2実施形態においては、カバープレート24すなわちセンサ組み込みブロックA2であって、当該センサ組み込みブロックA2とベースブロックA1との固定面に開口を設け、この開口にオリフィス構成部材Xを組み込んでいる。より詳細には、一方の貫通孔27の開口部分にオリフィス構成部材Xを組み込むとともに、このオリフィス構成部材Xを分岐通路38と貫通孔27との対向部分に位置させている。そして、分岐通路38と貫通孔27とが、オリフィス構成部材Xに形成したオリフィス13を介して連通するようにしている。
また、上記貫通孔27には、分岐通路39を接続するとともに、この分岐通路39をベースブロックA1との固定面側に開口させている。
【0035】
なお、ベースブロックA1には検出ポート11に連通する検出通路12を形成しているが、この検出通路12は、上記接続通路10に対して非連通状態を維持するようにしている。そして、この検出通路12に連通する信号通路15を、センサ組み込みブロックA2側に開口させている。そして、上記信号通路15と、センサ組み込みブロックA2に設けた分岐通路39とが、その開口を一致させている。
したがって、一方の信号検知片19は、オリフィス13の一方の側(接続通路10側)の圧力を検出し、他方の信号検知片20は、オリフィス13の他方の側(検出通路12側)の圧力を検出することとなる。そのため、差圧検出手段Sの検出結果は、上記第1実施形態と同様である。
【0036】
なお、この第2実施形態において、オリフィス13を形成するオリフィス構成部材Xを、センサ組み込みブロックA2側に設けたのは次の理由からである。すなわち、オリフィス13は、当然のことながら他の通路に比べて径が小さいため、切削屑や油等が逆流すると当該オリフィス13に詰まりが生じるおそれがある。
そのため、着座確認装置においては、ワークWを載置していない状態で、オリフィス13に対してブロー用の高圧エアを供給することにより、オリフィス13の詰まりを取り除くことがある。ところが、オリフィス13前後の圧力差を検出する上記の構成においては、ブロー用のエアをあまり高圧に設定することができない。
なぜなら、センサ部18は検出通路12側の圧力と、接続通路10側の圧力との差を検出しているが、検出通路12側の圧力が大気に開放された状態(ワークWを載置していない状態)で高圧のエアを供給すると、両通路10,12の圧力差が大きくなりすぎて、センサ部18が故障する恐れがあるからである。したがって、上記の構成からなる着座確認装置においては、オリフィス13に高圧のブロー用エアを供給できず、オリフィス13を取り外さなければならない事態が頻繁に発生する可能性がある。
【0037】
そこで、オリフィス構成部材Xを、センサ組み込みブロックA2側に設けることにより、ベースブロックA1をマニホールド化したままの状態で、オリフィス13をメンテナンスできるようにしたのである。つまり、ベースブロックA1の連結状態を維持したまま、センサ組み込みブロックA2を取り外すだけで、オリフィス13を清掃したり、あるいはオリフィス構成部材Xを交換したりする等、容易にメンテナンスすることができ、メンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0038】
また、オリフィス構成部材Xを、ベースブロックA1とセンサ組み込みブロックA2との固定面に開口させているので、センサ組み込みブロックA2を分解することなく、オリフィス13のメンテナンスをすることができる。
そして、上記のように、オリフィス構成部材Xを容易に交換することができるので、装置個々にオリフィス13の径を簡単に変更することができる。
例えば、ワークWとテーブル35の隙間量と、オリフィス13の径との関係は図6に示すとおりである。すなわち、同一の装置において、オリフィス13の径をRとした場合とRとした場合とでは、差圧検出手段Sが検出する圧力差は次のようになる。
つまり、オリフィス径をR<Rとすると、隙間量が0〜xの範囲では、同じ隙間量であったとしても、オリフィス径をRとした方が、オリフィス径をRとするよりも圧力差が大きくなる。これは、隙間量が0〜xの範囲においては、オリフィス径を小さくした方が、より検出精度を高めることができるということを意味する。
【0039】
一方、隙間量がx以上になると、オリフィス径Rにおいては、隙間量が変化しているにもかかわらず圧力差が一定となり、隙間量を特定することができなくなる。これに対してオリフィス径Rにおいては、隙間量がx以上の範囲でも、隙間量に応じて圧力差が変化するので、隙間量を特定することができる。
このように、同一の装置内でオリフィス13の径を大きくすると、広い範囲で隙間量を特定することができ、オリフィス13の径を小さくすると、狭い範囲でしか隙間量を特定することができないものの、その検出範囲内での検出精度を高めることができる。
こうしたオリフィス13の特性を利用すれば、設置状況や使用環境、さらには用いるセンサ(差圧検出手段S)の特性に応じて、最適な検出結果を導き出すことができる。
【0040】
そして、この第2実施形態によれば、オリフィス構成部材Xを簡単に交換することができるので、設置状況や使用環境等のさまざまな要因が変化しても、その要因に応じて最適な特性を装置にもたせることができる。
なお、上記第2実施形態においては、センサ組み込みブロックA2にオリフィス構成部材Xを組み込んだが、センサ組み込みブロックA2とベースブロックA1との固定面に開口するようにしてオリフィス構成部材Xを設ければ、ベースブロックA1に上記オリフィス構成部材Xを組み込んでも構わない。
このように、両ブロックA1,A2の固定面に露出するようにしてオリフィス構成部材Xを組み込めば、ベースブロックA1の連結状態を維持したまま、センサ組み込みブロックA2を取り外すだけで、オリフィス13を清掃したり、あるいはオリフィス構成部材Xを交換したりすることができる。
なお、上記各実施形態における状態確認装置は、貫通孔の貫通状況や穴径等の確認等、被検出体の位置や状態等を確認する装置に広く用いることができる。そして、上記のような状態確認は、真空でも同様に行うことができ、しかも、真空の場合には、吸着状況の確認に使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態における状態確認装置の部分斜視図である。
【図2】図1におけるII―II線断面図である。
【図3】図1におけるIII―III線断面図である。
【図4(a)】センサ組み込みブロックの分解図である。
【図4(b)】センサ組み込みブロックの組立図である。
【図5】第2実施形態における状態確認装置の部分斜視図である。
【図6】差圧検出手段の検出する差圧とオリフィス径との関係を示す図である。
【図7】従来の着座確認装置を示す概念図である。
【符号の説明】
【0042】
8,9 連通ポート
10 接続通路
12 検出通路
13 オリフィス
A 圧力検出ブロック
A1 ベースブロック
A2 センサ組み込みブロック
S 差圧検出手段
X オリフィス構成部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の連通ポートと、これら一対の連通ポートを接続する接続通路と、接続通路にオリフィスを介して連通する検出通路と、上記オリフィス前後の圧力差を検出する差圧検出手段とを備えた圧力検出ブロックを複数設けるとともに、上記連通ポートを接続してこれら複数の圧力検出ブロックを連結し、各圧力検出ブロックの接続通路が連通して供給通路を構成する状態確認装置。
【請求項2】
圧力検出ブロックは、ベースブロックとこのベースブロックに着脱可能にしたセンサ組み込みブロックとからなり、上記ベースブロックには、一対の連通ポートと、これら一対の連通ポートを接続する接続通路と、接続通路にオリフィスを介して連通する検出通路とを備える一方、上記センサ組み込みブロックには、差圧検出手段を組み込む構成にした請求項1記載の状態確認装置。
【請求項3】
上記ベースブロックであって、当該ベースブロックとセンサ組み込みブロックとの固定面に開口を設けるとともに、この開口にオリフィス構成部材を組み込んでなり、しかもこのオリフィス構成部材に上記オリフィスを形成した上記請求項2記載の状態確認装置。
【請求項4】
圧力検出ブロックは、ベースブロックとこのベースブロックに着脱可能にしたセンサ組み込みブロックとからなり、上記ベースブロックには、一対の連通ポートと、これら一対の連通ポートを接続する接続通路と、この接続通路とは非連通状態を維持する検出通路とを備える一方、上記センサ組み込みブロックには、上記接続通路および検出通路を連通するオリフィスを設けるとともに、このオリフィス前後の圧力差を検出する差圧検出手段を組み込む構成にした請求項1記載の状態確認装置。
【請求項5】
上記センサ組み込みブロックであって、当該センサ組み込みブロックとベースブロックとの固定面に開口を設けるとともに、この開口にオリフィス構成部材を組み込んでなり、しかもこのオリフィス構成部材に上記オリフィスを形成した上記請求項4記載の状態確認装置。
【請求項6】
一対の連通ポートは、上記ベースブロックの対向する面に開口させるとともに、上記センサ組み込みブロックは、ベースブロックにおける連通ポートを開口していない面に着脱可能にした請求項2〜5のいずれか1に記載の状態確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−23702(P2008−23702A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163333(P2007−163333)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(592189701)日本空圧システム株式会社 (17)
【Fターム(参考)】