説明

珪素含有ウレタン化合物及びその製造方法、並びにその化合物を含有する組成物

【課題】弾性的な形態を持つゼリー状のシリコーン組成物あるいはエステル油組成物を形成できる新規な珪素含有ウレタン化合物からなるゲル化剤を提供すること。
【解決手段】下記の一般式(1)で表される珪素含有ウレタン化合物、この化合物の製造方法ならびにこの化合物を含む組成物。


[式中、AおよびAはそれぞれ水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アシド基およびアミノ基から選択される1種又は2種以上の基を置換基として有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表わす。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の珪素含有ウレタン化合物に関する。更に詳しくは、シリコーンオイルやエステル油をゲル状あるいは弾力感のあるゼリー状に増粘させることができる新規な珪素含有ウレタン化合物およびその製造方法、並びにその珪素含有ウレタン化合物を含有したシリコーン組成物またはエステル油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリジメチルシロキサン、環状シリコーンオイル等のシリコーンオイルは生理的に不活性であり、人体に対して安全性が高く、化合物としての安定性が高い。また、シリコーンオイルは一般に炭化水素系の油や水との相溶性が低いため、化粧料の原料として使用した場合、潤滑性や撥水性等の他の原料では得られない効果が期待できることから、化粧料の原料として多くの種類の製品に使用されている。
こうした多種多様の製品にシリコーンオイルは使用され、様々な配合の組成物が開発されてきたが、化粧料の機能や形態の多様化にともない、シリコーンオイルをゲル状等に増粘させることが求められるようになった。シリコーンオイルは油や水との相溶性が低く、一般的に増粘剤やゲル化剤と呼ばれる化合物はその多くがシリコーンオイルに溶解せず、溶解したとしても期待通りの増粘効果を発揮しないものがほとんどであったが、近年では、シリコーンオイルもゲル化できるゲル化剤が開発されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
特許文献1に記載のゲル化剤は、分子内にアミノ酸骨格を持つ低分子量のゲル化剤である。こうしたゲル化剤は、シリコーンオイル中で格子状に規則正しく配列し、格子の中にシリコーンオイルを閉じ込めることによりシリコーンオイルをゲル化(固化)させると考えられる。そのため得られるゲル化物は硬いワックス状の組成物である。
特許文献2に記載のゲル化剤は、ポリジメチルシロキサン等をポリエーテル等で変性(グラフト重合)した高分子量のゲル化剤である。こうしたゲル化剤は、シリコーンオイル中に比較的容易に溶解し、分子内のポリエーテル鎖等が互いに作用して網目状の形態をとると考えられる。この網目状の形態については、ゲル化剤分子内のポリジメチルシロキサン等がシリコーンオイル中を自由に移動することができるため、得られるゲル化物は比較的軟らかいペースト状の組成物である。
【0004】
しかしながら、化粧料の用途においては、触ったときの感触や肌への広がり等が重要な要素であり、ゲル化させたシリコーンオイルに対して様々な形態が求められている。具体的には、ワックス状やペースト状以外に、弾性的な形態を持つゼリー状のゲル化したシリコーンオイルが求められているが、そうした形態を与えるシリコーンオイル用のゲル化剤は知られていなかった。
また、エステル油のゲル化剤においては、12−ヒドロキシステアリン酸等の既存のゲル化剤が知られている(例えば、特許文献3を参照)が、これらのゲル化剤ではワックス状やペースト状の組成物しか得ることができず、シリコーンオイルと同様に弾性的な形態が得られるゲル化剤は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/078013号パンフレット
【特許文献2】特開2007−254538号公報
【特許文献3】特開平5−238915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、いままで主にワックス状あるいはペースト状のシリコーン組成物やエステル油組成物しか得られなかったゲル化剤に対し、異なる形態を与えることができるゲル化剤を提供することである。更に詳しくは、弾性的な形態を持つゼリー状のシリコーン組成物あるいはエステル油組成物を形成できる新規な珪素含有ウレタン化合物からなるゲル化剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者等は鋭意検討し、弾性的な形態を持つシリコーン組成物あるいはエステル油組成物を形成できる新規な化合物を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の一般式(1)で表される珪素含有ウレタン化合物である。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、AおよびAはそれぞれ水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびアミノ基から選択される1種または2種以上の基を置換基として有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ炭素数1〜20の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ酸素原子またはNHで表される基のいずれかを表し、YおよびYはそれぞれエステル基を有してもよい炭素数1〜8の炭化水素基、下記の一般式(2)から珪素原子を除いた基、および下記の一般式(3)から珪素原子を除いた基から選択されるいずれかの基を表し、ZおよびZはそれぞれ炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは1〜200の数を表し、mは1〜10の数を表す。)
Si−(OR− (2)
(式中、Rは炭素数2または3のアルキレン基を表し、rは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
Si−(RO)−R− (3)
(式中、RおよびRはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基を表し、sは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は、オイルへ添加量することで、弾性的な形態を持つシリコーン組成物あるいはエステル油組成物を形成できる珪素含有ウレタン化合物を提供したことにある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の珪素含有ウレタン化合物は、下記の一般式(1)で表される化合物である。
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、AおよびAはそれぞれ水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびアミノ基から選択される1種または2種以上の基を置換基として有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ炭素数1〜20の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ酸素原子またはNHで表される基のいずれかを表し、YおよびYはそれぞれエステル基を有してもよい炭素数1〜8の炭化水素基、下記の一般式(2)から珪素原子を除いた基、および下記の一般式(3)から珪素原子を除いた基から選択されるいずれかの基を表し、ZおよびZはそれぞれ炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは1〜200の数を表し、mは1〜10の数を表す。)
Si−(OR− (2)
(式中、Rは炭素数2または3のアルキレン基を表し、rは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
Si−(RO)−R− (3)
(式中、RおよびRはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基を表し、sは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
【0014】
一般式(1)のAおよびAはそれぞれ水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびアミノ基から選択される1種または2種以上の基を置換基を有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。これらの中で置換基を有さない炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2級ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2級へキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2級オクチル基、ノニル基、イソノニル基、2級ノニル基、デシル基、イソデシル基、2級デシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、2級ウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、2級ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、2級トリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、2級テトラデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、2級ヘキサデシル基、ステアリル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、トリアコンチル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、モノメチル分枝−イソステアリル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
置換基を有する場合は、水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびアミノ基から選択される置換基によって、上記の炭化水素基の1箇所または2箇所以上の水素原子を置換したものであればよく、該炭化水素基の炭素原子を置換して該炭化水素基内の1箇所または2箇所以上に導入される形であってもよい。また、フェノールやアニリン等のベンゼン環の炭化水素の一部を窒素原子等で置換したヒドロキシピリジンやアミノピリジン等の複素環式化合物であってもよい。
【0015】
これらの基の中でも、低い添加量でシリコーンオイルやエステル油をゲル化できることから、アリール基およびアリール基を置換基で置換した基であることが好ましく、フェノール類またはアニリン類由来の基であることがより好ましく、フェノール類由来の基であることが更に好ましい。なお、フェノール類由来の基とは、一般式(1)のXまたはXがフェノールまたはフェノール類由来の酸素原子の場合であり、アニリン類由来の基とは、一般式(1)のXまたはXがアニリンまたはアニリン類由来のNH基の場合である。
【0016】
およびRはそれぞれ炭素数1〜20の炭化水素基を表す。これらの炭化水素基は炭素数1〜20の範囲内であればいずれでもよいが、後に記載するジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた基であることが好ましい。特に好ましい基はアルキレン基であるが、これについては後に記載するジイソシアネート化合物の記載において詳しく説明する。
【0017】
〜Xはそれぞれ酸素原子またはNHで表される基のいずれかを表し、YおよびYはそれぞれエステル基を有してもよい炭素数1〜8の炭化水素基、下記の一般式(2)から珪素原子を除いた基、および下記の一般式(3)から珪素原子を除いた基から選択されるいずれかの基を表し、ZおよびZはそれぞれ炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは1〜200の数を表し、mは1〜10の数を表す。これらの中で好ましい基あるいは好ましい数については、後に記載する本発明の珪素含有ウレタン化合物の合成において詳しく説明する。
Si−(OR− (2)
(式中、Rは炭素数2または3のアルキレン基を表し、rは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
Si−(RO)−R− (3)
(式中、RおよびRはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基を表し、sは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
【0018】
上記一般式(1)で表される化合物の製造方法は規定されず、公知の方法で製造すればよいが、製造が容易であることから、下記の一般式(4)〜(8)の化合物を原料として製造することが好ましい。
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、Aは水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびアミノ基から選択される1種または2種以上の基を置換基として有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Xは酸素原子またはNHで表される基を表す。)
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、Aは水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびアミノ基から選択される1種または2種以上の基を置換基として有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Xは酸素原子またはNHで表される基を表す。)
【0023】
【化5】

【0024】
(式中、XおよびXは酸素原子またはNHで表される基を表し、YおよびYはそれぞれエステル基を有してもよい炭素数1〜8の炭化水素基、下記の一般式(2)から珪素原子を除いた基、および下記の一般式(3)から珪素原子を除いた基から選択されるいずれかの基を表し、ZおよびZはそれぞれ炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは1〜200の数を表す。)
Si−(OR− (2)
(式中、Rは炭素数2または3のアルキレン基を表し、rは1〜100の数を表す。)
Si−(RO)−R− (3)
(式中、RおよびRはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基を表し、sは1〜100の数を表す。)
【0025】
【化6】

(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
【0026】
【化7】

(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
【0027】
一般式(4)および一般式(5)で表される化合物としては、XおよびXが酸素原子の場合は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ターシャリブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ネオペンタノール、ターシャリペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、ヘプタノール、イソヘプタノール、オクタノール、2―エチルヘキサノール、イソオクタノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、イソウンデカノール、ドデカノール、イソドデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール、テトラデカノール、イソテトラデカノール、ヘキサデカノール、イソヘキサデカノール、オクタデカノール、イソオクタデカノール、オレイルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ミリシルアルコール、ラッセロール、テトラトリアコンタノール、2―ブチルオクタノール、2―ブチルデカノール、2―ヘキシルオクタノール、2―ヘキシルデカノール、2―オクチルデカノール、2―ヘキシルドデカノール、2―オクチルドデカノール、2―デシルテトラデカノール、2―ドデシルヘキサデカノール、2―ヘキサデシルオクタデカノール、2―テトラデシルオクタデカノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、メチルシクロペンタノール、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘプタノール、ベンジルアルコール、ベンジリデンソルビトール等のアルコール類;フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ターシャリブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、デシルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、スチレン化フェノール、p―クミルフェノール、アセトアミドフェノール、p−フェノキシフェノール、p−ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシピリジン等のフェノール類が挙げられる。これらの中でも、シリコーンオイルやエステル油をゲル化する能力が高いことからフェノール類が好ましい。
【0028】
また、XおよびXがNHで表される基の場合は、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、イソヘキシルアミン、ヘプチルアミン、イソヘプチルアミン、オクチルアミン、イソオクチルアミン、ノニルアミン、イソノニルアミン、デシルアミン、イソデシルアミン、ウンデシルアミン、イソウンデシルアミン、ドデシルアミン、イソドデシルアミン、トリデシルアミン、イソトリデシルアミン、テトラデシルアミン、イソテトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、イソヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、イソオクタデシルアミン、エイコシルアミン、イソエイコシルアミン、ドコシルアミン、イソドコシルアミン等の1級アミン類;アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、メトキシアニリン、エトキシアニリン、メトキシメチルアニリン、トリメチルアニリン、イソプロピルアニリン、テトラメチルアニリン、アセトアミドアニリン、アミノピリジン等のアニリン類が挙げられる。これらの中でも、シリコーンオイルやエステル油をゲル化する能力が高いことからアニリン類が好ましい。
【0029】
なお、上記フェノール類およびアニリン類のシリコーンオイルやエステル油をゲル化する能力を比較するとフェノール類の方がゲル化する能力が高いので、一般式(4)および一般式(5)で表される化合物の中ではフェノール類が最も好ましい。また、反応効率の面から、一般式(4)と一般式(5)は同一であることが好ましい。
【0030】
一般式(6)で表されるシリコーン系化合物のZおよびZは、それぞれ炭素数1〜6の炭化水素基を表すが、こうした炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2級ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2級へキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基:フェニル基等のアリール基が挙げられる。これらの中でも、シリコーンオイルとの相溶性が良いことから、炭素数1〜3の炭化水素基およびフェニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0031】
およびYはそれぞれエステル基を有してもよい炭素数1〜8の炭化水素基、一般式(2)から珪素原子を除いた基、および一般式(3)から珪素原子を除いた基から選択されるいずれかの基を表す。
Si−(OR− (2)
(式中、Rは炭素数2または3のアルキレン基を表し、rは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
Si−(RO)−R− (3)
(式中、RおよびRはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基を表し、sは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
【0032】
エステル基を有してもよい炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、へキシレン基、イソへキシレン基、ヘプチレン基、イソヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ベンジレン基等の炭化水素基や、エステル基を置換基として有する場合は、上記に例示した炭化水素基の分子内にエステル基を有すればよく、例えば、−CCOOC−、−CCOOC−等の基が挙げられる。これらの中でも加水分解しないことから炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。
【0033】
およびYが一般式(2)から珪素原子を除いた基の場合、一般式(6)は下記の一般式(9)の構造となり、YおよびYが一般式(3)から珪素原子を除いた基の場合、一般式(6)は下記の一般式(10)の構造となる。
【0034】
【化8】

(式中、Rは炭素数2または3のアルキレン基を表し、rは1〜100の数を表す。)
【0035】
【化9】

(式中、RおよびRはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基を表し、sは1〜100の数を表す。)
【0036】
〜Rはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基であり、こうしたアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。rおよびsは1〜100の数であるが、ゲル化性能が良好なことから、それぞれ1〜50が好ましく、1〜20がより好ましい。また、重合度rの(OR)からなるポリオキシアルキレン基、および重合度sの(RO)からなるポリオキシアルキレン基は、RおよびRが炭素数2のアルキレン基または炭素数3のアルキレン基のホモポリマーでも、炭素数2および炭素数3のアルキレン基からなるブロックポリマーあるいはランダムポリマーのいずれの形態でもよい。
【0037】
およびXは酸素原子またはNHで表される基を表す。よって一般式(6)の両末端は、−OHで表される水酸基か、−NHで表されるアミノ基となる。また、XおよびXは同一でも異なっていてもよいが、製造が容易なことから同一であることが好ましく、更にゲル化性能が良好なことからXおよびXともに酸素原子であることがより好ましい。
【0038】
nの値は1〜200を表すが、一般式(6)の分子量が低すぎても高すぎても、シリコーンオイルやエステル油をゲル化させる効果が低くなるので、nの値は3〜150が好ましく、5〜120がより好ましい。また、一般式(6)の重量平均分子量としては1000〜10000が好ましく、2000〜8000がより好ましい。
【0039】
一般式(7)および一般式(8)で表されるジイソシアネート化合物としては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5,2’,5’−テトラメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4−イソシアントフェニル)メタン、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジエトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチル−5,5’−ジメトキシジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族イソシアネートが挙げられる。これらのジイソシアネート化合物の中でも、シリコーンオイルをゲル化させる効果が高いことから脂肪族ジイソシアネートが好ましく、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートが更に好ましい。また、反応効率の面から、一般式(7)と一般式(8)は同一であることが好ましい。
【0040】
上記の一般式(4)〜(8)で表される化合物を原料として一般式(1)で表される化合物を製造する方法としては、例えば、一般式(6)で表される化合物1モルに対して、一般式(7)と一般式(8)で表される化合物を合計量で1.5〜3.0モル、好ましくは1.8〜2.7モル、より好ましくは2.0〜2.5モル、および一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物を合計量で1.5〜3.0モル、好ましくは1.8〜2.7モル、より好ましくは2.0〜2.5モル反応させればよい。この反応によりmの値が異なるポリマーが合成されるが、mの値が10より大きくなるとゲル化の効果は大きく低下し、mの値が0の場合はゲル化の効果がでない。また、mの値が1の場合もゲル化の効果が低下することから、mの値は2〜8が好ましく、3〜8がより好ましい。
【0041】
具体的な反応方法としては、例えば、必要な全ての化合物を混合し、60〜100℃で1〜10時間一括して反応させてもよいが、好ましくは、一般式(6)で表される化合物および触媒を配合、好ましくは更に溶媒を配合した系に、一般式(7)および一般式(8)で表される化合物を添加して60〜100℃で1〜5時間反応させた後、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物を添加して、60〜100℃で1〜5時間反応させればよい。一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物がフェノールやアニリンの場合、反応する基がフェノール性水酸基やアミノ基であり、一般式(6)で表される化合物の反応する基はアルコール性水酸基である。これらはそれぞれ一般式(7)あるいは一般式(8)で表される化合物のイソシアネート基と反応するが、それぞれの反応速度が違うため、全ての化合物を混合して一括反応させると反応が均一に進まない場合があり、未反応の原料が残る場合や、一般式(1)においてmの値が0の化合物(不純物)が多くできてしまう場合がある。
【0042】
溶媒を使用すると、最終生成物の粘度が下がるので取扱いが容易になる。更に溶媒を使用しないと系全体が高粘度になり、反応が系内で局在的に進んで不均一な反応となる場合があるため、反応を均一的に進めるためにも溶媒の使用は好ましい。なお、溶媒を使用すると本発明のゲル化剤は溶媒中に溶解した状態で得られる。この状態でも製品として成り立つが、溶媒を除去して100%品としてもよい。溶媒の除去は公知の方法であればいずれの方法を使用してもよく、例えば、減圧蒸留、加温しての乾燥、スプレードライ、あるいはこれらの方法の組み合わせ等が挙げられる。
【0043】
上記の反応時に使用できる溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトンミリスチン酸イソプロピル、トリグリセライド類等のエステル系溶媒;各種シリコーンオイル等が挙げられる。溶媒の使用量は全体の系に対して95〜30質量%、好ましくは90〜50質量%になるように配合すればよい。なお、シリコーンオイルや一部のエステル油を溶媒として使用すると得られる配合物はゲル状になるが、該ゲル状配合物は化粧料にそのまま利用することが可能である。
【0044】
また上記の反応時に使用できる触媒としては、例えば、硫酸やトルエンスルフォン酸などの強酸;四塩化チタン、塩化ハフニウム、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化鉄、塩化スズ、フッ化硼素等の金属ハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ソヂウムメチラート、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルコラート物、炭酸塩;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウム等の金属酸化物;テトライソプロピルチタネート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)等の有機金属化合物;オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム等の石鹸を、全体の系に対して0.01〜1質量%程度添加して反応すればよい。触媒を使用しなくても反応は進むが、触媒を使用すると反応速度が上がるので、反応時間を短縮する効果が得られる。
【0045】
本発明の珪素含有ウレタン化合物は、常温で液状であり、シロキサン結合及びウレタン結合という耐熱性の高い結合を有していることから、耐熱油、難燃油等の用途や、化粧料用の新規溶媒として利用することもできるが、シリコーンオイルやエステル油に添加することで弾力性のあるゲル状組成物が得られることから、シリコーンオイルやエステル油用のゲル化剤として使用することが好ましい。
【0046】
本発明のシリコーン組成物は、シリコーンオイルと本発明のゲル化剤とを含有した組成物である。使用できるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン等が挙げられるが、最も汎用的に使用されるジメチルポリシロキサンおよび環状ジメチルポリシロキサンが好ましい。これらのシリコーンオイルの分子量や粘度に制限はないが、分子量の大きいシリコーンオイルは高粘度であるため、ゲル化させる必要性がない場合や、ゲル化させると硬くなりすぎて使用が困難になる場合がある。よって、25℃におけるシリコーンオイルの動粘度は1〜500mm/sが好ましく、1〜100mm/sがより好ましく、1〜50mm/sが更に好ましく、1〜10mm/sが最も好ましい。なお、シリコーンオイルの場合、分子量と動粘度の値が相関するので、通常動粘度によって製品を管理している。
【0047】
本発明のシリコーン組成物における本発明のゲル化剤の添加量は特に規定されないが、本発明のシリコーン組成物全量に対して0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が更に好ましい。ゲル化剤の添加量が0.1質量%未満の場合はゲル化の効果が発現しない場合があり、30質量%を超えると添加量に見合った効果が得られない場合や、ゲル化剤が完全に溶解しない場合がある。本発明のシリコーン組成物を製造する場合は、シリコーンオイルに本発明のゲル化剤を添加し、均一になるまで混合すればよい。混合時の温度は特に限定されるものではなく、例えば、室温〜200℃程度に加熱して均一になるまで混合すればよい。
【0048】
本発明のエステル油組成物は、エステル油と本発明のゲル化剤とを含有した組成物である。使用できるエステル油としては、1つ以上のエステル結合を持ち、分子量が120以上のエステル基含有化合物であればいずれの化合物でもよい。具体的には、例えば、酢酸へキシル、酢酸デシル、プロピオン酸ブチル、水添ポリブテンミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸へキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等の合成エステル油;ラノリン、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等のトリグリセライド(トリエステル油)が挙げられる。分子量が120未満のエステル油、例えば、酢酸エチルや酢酸ブチル等では、本発明のゲル化剤と混合してもゲル化の効果は得られない。
【0049】
本発明のエステル油組成物における本発明のゲル化剤の添加量は特に規定されないが、本発明のエステル油組成物全量に対して0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が更に好ましい。ゲル化剤の添加量が0.1質量%未満の場合はゲル化の効果が発現しない場合があり、30質量%を超えると添加量に見合った効果が得られない場合や、ゲル化剤が完全に溶解しない場合がある。本発明のエステル油組成物を製造する場合は、エステル油に本発明のゲル化剤を添加し、均一になるまで混合すればよい。混合時の温度は特に限定されるものではなく、例えば、室温〜200℃程度に加熱して均一になるまで混合すればよい。なお、本発明のゲル化剤は、シリコーンオイルとエステル油の両方を含有する溶媒に添加してもゲル化の効果を発揮する。
【0050】
本発明のゲル化剤の用途は限定されず、シリコーンオイルやエステル油を使用する用途であればいずれの用途にも使用することができる。こうした用途としては、例えば、潤滑油、化粧料、医薬品、香料、塗料、繊維等の分野が挙げられるが、ゲル化組成物の形態やゲル化組成物を触ったときの感触が商品としての重要な要素となる化粧料に使用することが好ましい。なお、本発明のシリコーン組成物と本発明のエステル油組成物とを混合して使用することも可能である。
【0051】
本発明の化粧料は本発明のゲル化剤と、シリコーンオイル及び/又はエステル油を含有する化粧料である。化粧料としての具体的な商品としては、例えば、各種紫外線防止剤を含有した日焼け止め、ファンデーション、W/O系の乳液、クリーム、クレンジングオイル、ヘアワックス等を挙げることができる。これらの化粧料を製造するために、本発明の効果を損なわない範囲において、水、界面活性剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、抗菌剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、パール化剤、中和剤、pH調整剤、酵素等の成分を適宜配合することができる。
【実施例】
【0052】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
<実施例1の化合物の製造>
温度計、窒素導入管及び攪拌機を付した容量3000mlの4つ口フラスコに重量平均分子量3000の両末端カルビノール変性ジメチコン(一般式(6)で表される化合物)を300g(0.1モル)、溶媒として酢酸ブチルを1200g、触媒としてジブチル錫ビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)を0.5g仕込み、系内を窒素置換してから75℃まで昇温した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(一般式(7)で表される化合物)を33.6g(0.2モル)添加し、70〜80℃で2時間反応させた。反応終了後、フェノール(一般式(4)及び(5)で表される化合物)を18.8g(0.2モル)添加し、70〜80℃で3時間反応し、赤外分光装置(IR)でイソシアネートの吸収がない(イソシアネートが全て反応している)ことを確認して反応の終了とした。得られた反応生成物から溶媒の酢酸ブチルをエバポレーターで除去して実施例1の化合物を得た。
【0053】
<実施例2〜8の化合物の製造>
表2に記載の配合表に従い、実施例1と同様の製造方法で各原料を反応させ、実施例2〜8の化合物を得た。なお、一般式(6)に対応する各化合物の詳細な構造は下記の通りである。
【0054】
(重量平均分子量3000の両末端カルビノール変性ジメチコン)
一般式(10)において、Z=メチル基、Z=メチル基、R=プロピレン基、R=エチレン基、X=酸素原子、s=1、nは平均35(一般式(10)は一般式(6)に含まれる。)
(重量平均分子量5000の両末端カルビノール変性ジメチコン)
一般式(10)において、Z=メチル基、Z=メチル基、R=プロピレン基、R=エチレン基、X=酸素原子、s=1、nは平均60
(重量平均分子量7000の両末端カルビノール変性ジメチコン)
一般式(10)において、Z=メチル基、Z=メチル基、R=プロピレン基、R=エチレン基、X=酸素原子、s=1、nは平均86
(重量平均分子量10000の両末端カルビノール変性ジメチコン)
一般式(10)において、Z=メチル基、Z=メチル基、R=プロピレン基、R=エチレン基、X=酸素原子、s=1、nは平均125
(重量平均分子量10000の両末端アミノ変性ジメチコン)
一般式(6)において、Z=メチル基、Z=メチル基、Y=プロピレン基、Y=プロピレン基、X=NH基、X=NH基、nは平均126
【0055】
下記の2種類のオイルに対して上記のサンプルを、表3の配合量に従って一定量添加し、100℃に加熱した後1時間攪拌して均一化した。得られた溶液を100mlのガラスビンの中に50ml入れ、25℃の恒温槽内に24時間放置し、放置後のオイルの状態及び外観を観察し、以下の基準で評価した。
オイル1:環状シリコーン(粘度4mm/S(25℃))
オイル2:ミリスチン酸イソプロピル
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
比較例1:12−ヒドロキシステアリン酸
比較例2:ステアリン酸マグネシウム
比較例3:パルミチン酸デキストリン
【0059】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表される珪素含有ウレタン化合物。
【化1】

(式中、AおよびAはそれぞれ水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびアミノ基から選択される1種または2種以上の基を置換基として有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ炭素数1〜20の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ酸素原子またはNHで表される基のいずれかを表し、YおよびYはそれぞれエステル基を有してもよい炭素数1〜8の炭化水素基、下記の一般式(2)から珪素原子を除いた基、および下記の一般式(3)から珪素原子を除いた基から選択されるいずれかの基を表し、ZおよびZはそれぞれ炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは1〜200の数を表し、mは1〜10の数を表す。)
Si−(OR− (2)
(式中、Rは炭素数2または3のアルキレン基を表し、rは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
Si−(RO)−R− (3)
(式中、RおよびRはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基を表し、sは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
【請求項2】
炭素数1〜30の炭化水素基であるAおよびAが芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載の珪素含有ウレタン化合物。
【請求項3】
およびRがアルキレン基であることを特徴とする請求項1または2に記載の珪素含有ウレタン化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の珪素含有ウレタン化合物からなるシリコーンオイル又はエステル油用のゲル化剤。
【請求項5】
請求項4に記載のゲル化剤を、シリコーンオイルを含有する組成物全量に対して1〜30質量%含有することを特徴とするシリコーン組成物。
【請求項6】
請求項4に記載のゲル化剤を、エステル油を含有する組成物全量に対して1〜30質量%含有することを特徴とするエステル油組成物。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシリコーン組成物及び/又はエステル油組成物を配合した化粧料。
【請求項8】
下記一般式(4)〜(8)で表される化合物を原料として用いる、下記の一般式(1)で表される珪素含有ウレタン化合物の製造方法。
【化2】

(式中、AおよびAはそれぞれ水酸基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびアミノ基から選択される1種または2種以上の基を置換基として有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ炭素数1〜20の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ酸素原子またはNHで表される基のいずれかを表し、YおよびYはそれぞれエステル基を有してもよい炭素数1〜8の炭化水素基、下記の一般式(2)から珪素原子を除いた基、および下記の一般式(3)から珪素原子を除いた基から選択されるいずれかの基を表し、ZおよびZはそれぞれ炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは1〜200の数を表し、mは1〜10の数を表す。)
Si−(OR− (2)
(式中、Rは炭素数2または3のアルキレン基を表し、rは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
Si−(RO)−R− (3)
(式中、RおよびRはそれぞれ炭素数2または3のアルキレン基を表し、sは1〜100の数を表す。なお式中の珪素元素は、一般式(1)中のYおよびYが結合している珪素元素を表す。)
【化3】

(式中、A、Xは上述の通りである。)
【化4】

(式中、A、Xは上述の通りである。)
【化5】

(式中、X、X、Y、Y、Z、Z、nは上述の通りである。)
【化6】

(式中、Rは上述の通りである。)
【化7】

(式中、Rは上述の通りである。)
【請求項9】
一般式(6)で表される化合物に、一般式(7)および一般式(8)で表される化合物を添加して反応させた後、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物を添加する、請求項8に記載の一般式(1)で表される珪素含有ウレタン化合物の製造方法。

【公開番号】特開2011−225729(P2011−225729A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97140(P2010−97140)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】