現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】 現像領域通過後の現像スリーブ上の画像履歴を有した残存現像剤を速やか、確実に剥離、除去する。
【解決手段】 回転可能な非磁性スリーブと当該スリーブ内で固定配置され複数磁極を有する磁界発生手段とで成る現像ローラが潜像担持体の側方に配設される現像装置にして、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体(40)に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極(2d)とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石(7)を配置し、剥離極に面する側が剥離極と同極である。
【解決手段】 回転可能な非磁性スリーブと当該スリーブ内で固定配置され複数磁極を有する磁界発生手段とで成る現像ローラが潜像担持体の側方に配設される現像装置にして、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体(40)に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極(2d)とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石(7)を配置し、剥離極に面する側が剥離極と同極である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真法、磁気記録法等によって画像形成を行う画像形成装置、特にそのような画像形成装置に用いられる二成分現像方式の現像装置、あるいはその現像装置を備えたプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平7−13435号公報
【特許文献2】特許第3237940号公報
【0003】
電子写真複写装置、静電記録装置、磁気記録装置等の画像形成装置において、像担持体上に形成された静電潜像を現像するために磁気ブラシ方式が公知である。これは、現像装置筐体等に回転自在に取り付けられた現像剤担持体たる非磁性円筒(現像スリーブ)上に現像剤を磁気的に担持しつつ搬送し、現像領域(現像剤担持体と像担持体の間で現像可能電界が確保されている領域)にて現像剤の磁気ブラシを形成させて(穂立て)像担持体(感光体)に摺擦して像担持体上の静電潜像を顕像化するものである。そのため、現像スリーブ内に複数のマグネットを固定状態で配置し(場合によってはプラスチック樹脂を混練した所謂プラスチックマグネットを成型時に磁場をかけて配向し必要な磁極分布を得ることもある)、現像スリーブを回転することで現像剤を搬送する。現像スリーブ内に配置された複数の磁極の一つは、静電潜像が形成される像担持体表面に対向する位置に配置された現像磁極であり、その他は、現像スリーブを介して現像剤を搬送するための複数の搬送磁極や汲み上げ磁極である。
【0004】
特許文献1には、このような二成分現像方式の現像装置が開示されている。その現像装置では、回転自在な現像スリーブの内側に磁石が配置されている。磁石の磁極のうち、同極の搬送磁極N2、N3が隣接して現像容器側に配されている。現像後には、現像スリーブ上の残存現像剤を速やかに剥離させて、現像スリーブ表面を次の現像処理に供することができるようにする必要があるが、磁極N2、N3の間に反発磁界が形成されるため、硬強度磁性粒子とトナーとからなる現像剤が上流側の磁極N2近傍に滞留しがちとなる。そこで特許文献1では磁極N2に対向させて現像剤剥離手段を配置している。この現像剤剥離手段は、回転軸、羽根部材を有し、所定方向に回転することで現像剤を剥離、攪拌する構成となっている。
【0005】
しかしながら、このように現像剤剥離部近傍に回転軸、羽根部材を有し現像剤を機械的に現像剤担持体から剥離させる手法は、現像剤にストレスを与え、現像剤寿命を短くする。また、近年のユーザーの要望から、機械全体がコンパクトになり、現像器自体も小さくすることが必要になっているが、これに反して上記手法では現像器の構成が複雑になり且つ大きくなってしまう欠点がある。
【0006】
また現像スリーブから現像剤を剥離させる別の方法として、現像スリーブの現像剤剥離部で、現像剤剥離極とこれに隣接する同極の磁極の反発電界によって磁力を一部0mTに近づけ、現像スリーブ上に現像剤を保持できないようにし、現像剤を現像スリーブ上から分離することが従来知られている。しかし、このようなやり方では、現像剤剥離部には、隣接する同極の磁極の反発電界によって画像履歴をもった残存現像剤が滞留する。画像履歴とは像担持体の静電潜像担持面における画像、非画像の形成経過を意味し、画像部については現像位置において現像スリーブ上の現像剤(トナー)が消費されるが、非画像部については現像剤(トナー)が消費されずに現像スリーブ上にそのまま残存する。このような現像剤が滞留することにより現像スリーブ上の現像に使用できる現像剤の量が少なくなると共に現像剤にストレスを与え、現像剤寿命にも影響を与える。その結果、画像濃度低下などの画像品質の劣化等にも繋がる。
【0007】
特許文献2には、現像寄与後の現像剤の剥離性能を向上するために、隣接する1対の同極性の磁極のうち現像スリーブ回転方向下流側磁極に案内部材の垂直部上端を対向させて、1対の同極性磁極間に案内部材の端部を対向させ、発生する磁力により現像剤カーテンを形成して現像剤を現像スリーブから剥離させることが提案されている。この提案構成では、回転方向上流側に滞留する現像剤を除去することができず、したがって滞留現像剤をスムーズに剥離することで現像剤の寿命を向上させる作用を奏することがない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、現像領域通過後の現像スリーブ上の画像履歴を有した残存現像剤を速やか、確実に剥離、除去することができるように構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にしたがい、回転可能な非磁性スリーブと当該スリーブ内で固定配置され複数磁極を有する磁界発生手段とで成る現像ローラが潜像担持体の側方に配設される現像装置にして、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、剥離極に面する側が剥離極と同極とする。また上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、当該磁石の現像スリーブに最近接する面が非着磁であり、磁石のスリーブ回転下流側に現像剤剥離極と同極磁極を配することによっても、上記課題を解決でき、隣接する同極の磁極の反発電界によって滞留しがちな残存現像剤を良好に剥離除去して、その結果、現像剤に無用なストレスを与えず、現像剤寿命を延ばすことができる。なお「象限」は数学上の専門用語として一般に用いられており、図13に示すように、平面上に平行座標系を定めると、座標軸(直交軸・斜交軸)によって平面が4つの部分に分けられ、右上部分から反時計回りにそれぞれ順に第1、第2、第3、第4象限となる。本発明の骨子は、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点とし、現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において磁気ブラシを潜像担持体に摺擦させて現像を行う場合に、現像剤剥離極を現像ローラ横断面での第2象限に位置させ、対向磁極を同極とすることにある。現像スリーブの左側に潜像担持体が位置し、磁気ブラシが下から上に向かって移動して潜像担持体に摺擦して現像を行う位置関係にある場合は鏡像関係となり、スリーブが時計回りに回転し、現像領域が第3象限から第2象限にあり、現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第1象限に位置して、対向磁極が同極となることで課題を解決でき、本質的に同じことである。
【0010】
上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁束密度が現像剤剥離極の磁束密度と少なくとも同じであるのが好適である。特に上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁束密度が現像剤剥離極の磁束密度の5倍以下であるのが良い。剥離面に面する側を同極とする場合、上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石が、現像剤剥離極と剥離極のスリーブ回転上下流側の極との極間までの角度範囲にあるのが、好都合である。現像スリーブに最近接する面が非着磁であり、磁石のスリーブ回転下流側に現像剤剥離極と同極磁極を配する場合、上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石が、現像剤剥離極のスリーブ回転上流側の極上から剥離極までの角度範囲にあるのが、好都合である。上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石が現像ケーシング壁に配置されているのが合理的である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、剥離極に面する側が剥離極と同極とするか、当該磁石の現像スリーブに最近接する面が非着磁であり、磁石のスリーブ回転下流側に現像剤剥離極と同極磁極を配するので、現像剤剥離極とスリーブ回転下流側の同極磁極の反発電界によって滞留しがちな残存現像剤を良好に剥離除去でき、その結果、現像剤に無用なストレスを与えないので、現像剤寿命を延ばすことができる。。
【0012】
また現像スリーブと現像ケーシング壁までの距離を短く狭くすると、現像装置のコンパクト化を図ることができるが、現像剤剥離極上の現像スリーブ表面から現像ケーシングまでの距離が近すぎると現像剤が剥離されず、現像剤が現像スリーブに連れ回ってしまう傾向が強くなる。従来の構成では、現像剤剥離極上の現像スリーブ表面から現像スリーブ壁までの最近接距離を10mm程度にすると、近過ぎる現像ケーシング壁のための連れ回りが頻繁に発生した。しかしながら、本発明のように、現像剤剥離極の外方に対向磁極を配置することで、現像剤剥離極上の現像スリーブ表面から現像ケーシング壁までの最近接距離を10mm以下にしても、現像剤の連れ回りを起こすことなく現像剤搬送を滞りなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としての電子写真方式フルカラープリンタを示す。このプリンタの画像ユニット10は、矢印方向に無端移動する像担持体としての中間転写ベルト11を備え、中間転写ベルト11の下部張架面には、トナー像形成手段である4個の画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Kが配置されている。画像形成ユニットの番号に沿えたY、C、M、Kは、扱うトナーの色と対応するもので、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタ、Kはブラックを意味している。画像形成ユニットに備えられ、中間転写ベルト11とともに回転する感光体40に対しても同じようにY、C、M、Kを沿えている。なお感光体40Y〜40Kは等間隔に配置され、少なくとも画像形成時には中間転写ベルト11との張架部の一部と接触するようになっている。
【0014】
扱うトナーの色は異なるが、画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Kの構成はそれぞれ同じであるので、その構成を画像形成ユニット12として図2により説明する。図2において、プリンタの動作時に、不図示の駆動源により、矢印方向に回転するよう支持された円筒状の感光体40が配設されている。そして、感光体40の周囲には、静電写真プロセスに従い帯電手段、露光装置、現像装置1、クリーニング装置、光除電装置などの作像部材や電位センサ、画像センサが配されているが、それらの構成・作動は基本的に公知であるので、説明の簡略化のために、ここでは本発明と特に関わりのある部分について述べる。
【0015】
一様帯電された感光体40の表面は、画像情報に基づいた露光により静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置1により現像され、感光体表面上にトナー像が形成される。トナー像は転写帯電器13により中間転写ベルト11(図1)に転写させられる。中間転写ベルト11に転写されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色トナー像は重ね合わされ、給紙ユニット14(図1)から給紙ローラ、レジストローラ対を経て搬送された用紙上に二次転写ローラ15を用いて転写される。転写終了後の用紙は、定着ユニット16によりトナー像を定着され、片面画像形成の場合には、そのまま機外に排出され、両面画像形成の場合には、公知のように、反転路(図示せず)を介した後、両面部(図示せず)を通って再び二次転写ユニットへ送られる。
【0016】
なお本実施形態では、少なくとも感光体40と現像装置1とでカートリッジユニットが構成され、更に帯電装置、クリーニングユニット、除電装置を備えてプロセスカートリッジが構成可能である。プロセスカートリッジと称する場合、現像装置と他のプロセス手段が一体となって着脱可能にされたものであり、上記カートリッジユニットだけでもプロセスカートリッジとなり得るし、現像装置と感光体と帯電装置、現像装置と感光体と帯電装置とクリーニング装置など、様々なバリエーションが存在し得る。
【0017】
次に、本実施形態に係る現像装置の全体構成について説明する。図2において、現像装置1は感光体ドラム40の側方に配設され、現像ケーシングの感光体ドラム40側に形成された開口部から一部を露出した現像ローラ2が感光体ドラム40の周方向に、感光体ドラム40に一定のギャップをもって対向し並設されている。現像ローラの現像スリーブ2aは、磁性トナーと磁性キャリアで成る二成分現像剤を表面に担持する現像剤担持体として、アルミニウムなど非磁性の円筒状部材からなっており、不図示の駆動装置により、感光体ドラム40と対向する現像領域において現像剤を上方に移動させる向きに回転駆動可能になっている。
【0018】
現像装置1はまた、現像スリーブ上に担持され現像領域に向けて搬送される現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード4、現像ケーシング内の現像剤を攪拌混合・搬送する攪拌スクリューローラ5,6、現像ケーシング内のトナー濃度を測定してトナーホッパーからトナーを補給するためのTセンサ等を備えている。
【0019】
また現像ローラ2の内部には、磁界発生手段としてのマグネットローラが固定配置されている。マグネットローラは、プラスチックローラに複数のマグネットブロックを埋め込むことで形成されているが、プラスチック樹脂粉末(高分子化合物)に磁性粉を分散混練した所謂プラスチックマグネット、あるいはゴムマグネットを磁場印加しながら押し出し成形又は射出成形して、しかる後に現像極部分にマグネットブロックを埋設することで得ることもできる。マグネットローラは図示の例のように6極の磁極を形成する(磁石自体は5つであるが一般に6極磁極と称する)が、必要に応じて8極や10極で構成されていてもよい。
【0020】
現像ローラ2の磁極配置については、現像ローラ2と感光体40の最近接位置の近傍において、現像磁石2b(図示の例ではS極)が通常感光体の最近接位置か、それよりも数度上流側に配置されている。また2成分系現像システムの場合、感光体ドラム40を現像しトナー消費した後の低トナー含有量現像剤を現像装置(ケーシング)内で解放し、攪拌された現像剤をローラで再び汲み上げるというサイクルを繰り返している。そのため、現像極下流側の磁石2cの更に下流側で現像剤を剥離(解放)するようになっており、剥離磁石2dと更に下流側の磁石2eは同極の磁気特性となっていて、磁石2eで現像剤を汲み上げて、磁石2fに対向するドクターブレード4で現像剤の厚みが規制され、現像領域へ現像剤が搬送される。
【0021】
従来構成のように剥離磁石2dの対向近接位置に磁石がない場合、図3に示すように、磁石2c,2dの磁力線により剥離磁石2dのスリーブ回転上流側に現像剤の穂立ちが形成され、また剥離磁石2dの端部がスリーブ2aに近いため、剥離磁石2d自体の磁力線により磁石2dのスリーブ回転下流側で現像剤を保持する状態が起こり、剥離磁石2dの範囲で現像剤が滞留し、現像剤の流れがスムーズでなくなっており、そのため現像剤にストレスを与え、寿命を短くしている。
【0022】
本実施形態の場合、スリーブ半径方向外方で剥離磁石2dに対向し、現像ケーシングの外壁に配置されている磁石7が、剥離磁石2dと同極性の磁極を剥離磁石に向けている。ケーシング外壁に配置することにより対向磁石7に直接現像剤が接触することが回避でき、経時的に初期状態と同じ性能を発揮せしめることができる。なお現像剤剥離促進磁極である対向磁石7と対向する剥離磁石2dの位置であるが、現像スリーブ2aの回転中心を垂直平面座標系の原点とし、現像スリーブを反時計方向に回して汲み上げた現像剤を現像ローラ横断面の第4象限から第1象限にかけて対向する感光体に摺擦させる場合に、第2象限に存するものである。磁石7は、剥離磁石2dに対して反発磁界を生じるものであり、その作用を用いて現像スリーブからの現像剤の剥離を促進させるようになっていて、現像剤が重力作用で自然落下することが期待できないような位置に剥離磁石2dが配される場合を前提とするので、その限りで第1象限側に剥離磁石2dがずれ込むことも考えられる。したがって幾何学的に厳格な意味において第2象限に限定されず、第1象限から第2象限に至る領域も本発明においては第2象限の範囲と理解されるべきである。対向する剥離促進磁石7は剥離磁石2dが第1象限側にずれ込む際には、それに伴って同じく第1象限側にずれ込み得るが、更に後述するように剥離磁石2dが第2象限に位置していても、剥離極よりスリーブ回転上流側の極との極間中心(極と極とのちょうど真ん中)に対向する位置あたりへ剥離促進磁石を配置しても剥離促進の効果が認められるので、剥離促進磁石7は剥離磁石2dよりも広範な角度範囲で配設可能である。
【0023】
現像剤剥離促進磁極である対向磁石7の働きを、磁束密度分布を示すことで説明する。図4は対向磁石7のない従来公知の6極構成の磁力グラフである。横軸が現像ローラと感光体の最近接位置を原点に反時計方向に回る角位置を示し(単位:度)、縦軸が現像スリーブから1mmの高さでの磁力を示す(単位:テスラ)。ほぼ120°の位置に剥離磁石2dが存在している。その対向位置で現像スリーブから6mmの位置に剥離促進磁石7を配した本例に係る構成の磁力グラフを図5に示す。剥離促進磁石7として断面4mm×3mmで80mTの磁力のものを用いている。このような剥離促進磁石7により、剥離磁極では法線成分が弱くなり(20mTほど)、接線成分が強くなっている。図4と図5の比較から、剥離磁極のスリーブ回転上流の穂立ちは、剥離促進磁石を設置することで法線方向に磁束密度ができず接線方向に向いている。回転下流の穂立ちは、法線方向にはできずに、図の左斜め下方に穂が伸びている。この時の磁場は広がりをもたず、一定方向に向かっている。そのイメージを図6に示す。剥離磁石2d上のスリーブ回転方向上流側に現像剤穂立ちを形成する磁力線を強制的に現像スリーブ2a側に押し付け、現像剤の穂立ちを形成させない。これにより滞留する現像剤の量が減る。また剥離磁石2dの現像スリーブ2a回転方向下流にスリーブ回転により運ばれる現像剤を保持する剥離磁石2d自体の端部磁力線を強制的に現像スリーブ2aの回転方向に向けてしまうことで剥離磁石2dの端部に滞留する現像剤が減少する(図7参照)。つまり、剥離極の対向位置に反発磁極をおくことで磁場が広がらず、一定方向に制約されるといえる。
【0024】
剥離促進磁石7の磁束密度として本例では、剥離磁極と同極で同じ80mTとしており、それによって剥離磁極の磁束密度が20mT分減衰し、剥離極よりスリーブ回転下流側で現像剤剥離を促進することができる。剥離促進磁石7が160mTで現像スリーブ上の磁束密度が0mTに近くなり、それ以上大きくすると現像剤が対向磁極めがけて飛ぶようになると考えられる。対向磁極が剥離極の6倍の磁束密度になると、法線方向の磁束密度が+40mTまで達してしまい、剥離促進磁石のない構成の場合と極性が反対となり、現像スリーブから現像剤を剥離することができるものの、対向磁極に現像剤が吸着してしまう問題が生じる。したがって対向磁極の磁束密度は現像剤剥離磁極の5倍程度以下にすべきである。
【0025】
また実機での確認によれば、剥離促進磁石7が、剥離極2dと剥離極前後の極2c,2eの極間までの角度範囲にあれば、現像剤剥離促進作用に効果が認められた。これは接線方向の磁束密度が高いためと考えられる。上記極間を超えた位置に剥離促進磁石を配した場合、磁束密度としては法線成分が大きくなり、現像剤が穂立ち始め、現像剤剥離への寄与が期待できなくなった。
【0026】
次に本発明の別の実施形態について説明する。図8に示す本実施形態は、図2に示した第1の実施形態と、剥離磁石2dに対向してスリーブ半径外方に配置された磁石の点のみが相違する。そこで図2の第1実施形態において説明した部分と同じ部分については同じ参照符号で示すこととし、説明を省略する。
【0027】
本実施形態の場合、剥離磁石2dと対向して、スリーブ半径方向外方の現像ケーシングの外壁に磁石27が配置され、その現像スリーブに最近接する面が非着磁面であり、且つ磁石27のスリーブ回転方向下流面に,剥離磁石2dと同極性の磁極を有している。
【0028】
ケーシング外壁に配置することにより対向磁石27に直接現像剤が接触することが回避でき、経時的に初期状態と同じ性能を発揮せしめることができる。なお現像剤剥離促進磁極である対向磁石27と対向する剥離磁石2dの位置であるが、第1の実施形態の場合と同じであり、現像スリーブ2aの回転中心を垂直平面座標系の原点とし、現像スリーブを反時計方向に回して汲み上げた現像剤を現像ローラ横断面の第4象限から第1象限にかけて対向する感光体に摺擦させる場合に、第2象限に存するものである。磁石27は、剥離磁石2dに対して反発磁界を生じるものであり、その作用を用いて現像スリーブからの現像剤の剥離を促進させるようになっていて、現像剤が重力作用で自然落下することが期待できないような位置に剥離磁石2dが配される場合を前提とするので、その限りで第1象限側に剥離磁石2dがずれ込むことも考えられる。したがって幾何学的に厳格な意味において第2象限に限定されず、第1象限から第2象限に至る領域も第2象限の範囲と理解されるべきである。対向する剥離促進磁石27は剥離磁石2dが第1象限側にずれ込む際には、それに伴って同じく第1象限側にずれ込み得るが、剥離磁石2dが第2象限に位置していても、剥離極よりスリーブ回転上流側の極上に対向する位置あたりへ剥離促進磁石27を配置しても剥離促進の効果が認められるので、剥離促進磁石27は剥離磁石2dよりも広範な角度範囲で配設可能である。
【0029】
本実施形態に係る構成の磁力グラフを図9に示す。図5と図9の比較から、本実施形態の剥離促進磁石27により剥離磁極では法線成分が第1の実施形態の場合より弱くなり(15mTほど)、接線成分が第1実施形態より強く(20mT程)なっている。本実施形態の剥離促進磁石27により、剥離磁極のスリーブ回転上流の穂立ちは、剥離促進磁石を設置することで法線方向に磁束密度が第1実施形態の場合よりできず、接線方向により向いている。そのイメージを図10に示す。剥離磁石2d上のスリーブ回転方向上流側に現像剤穂立ちを形成する磁力線を強制的に現像スリーブ2a側に押し付け、現像剤の穂立ちを形成させない。これにより滞留する現像剤の量が減る。また剥離磁石2dの現像スリーブ2a回転方向下流側にスリーブ回転により運ばれる現像剤を保持する剥離磁石2d自体の端部磁力線を強制的に現像スリーブ2aの回転方向に向けてしまうことで剥離磁石2dの端部に滞留する現像剤がより減少する(図11参照)。また本実施形態の剥離促進磁石27はスリーブ回転上流に対して設置できる範囲が、第1実施形態の場合よりも広くなっており、搬送磁極2c上まで設置が可能で、剥離促進磁石としての効果も達成する(図12参照)。搬送磁極2c近傍で穂立つ現像剤が剥離促進磁石27を設置すると、法線方向の磁束密度が低くなり、接線方向に磁束密度が向いてスムーズに現像剤が搬送される。これは接線方向の磁束密度が高いためと考えられる。
【0030】
剥離促進磁石27の磁束密度として本実施形態でも剥離磁極と同極で同じ80mTとしており、それによって剥離磁極の磁束密度が第1実施形態より15mT分減衰し、剥離極よりスリーブ回転下流側で現像剤剥離を促進することができる。剥離促進磁石27が160mTで現像スリーブ上の磁束密度が0mTに近くなり、それ以上大きくすると現像剤が対向磁極めがけて飛ぶようになると考えられる。対向磁極が剥離極の6倍の磁束密度になると、法線方向の磁束密度が+40mTまで達してしまい、剥離促進磁石のない構成の場合と極性が反対となり、現像スリーブから現像剤を剥離することができるものの、対向磁極に現像剤が吸着してしまう問題が生じる。したがって対向磁極の磁束密度は現像剤剥離磁極の5倍程度以下にすべきである。
【0031】
また実機での確認によれば、剥離促進磁石27が、剥離極2d前の搬送極2cと剥離極2dの極上までの角度範囲にあれば、現像剤剥離促進作用に効果が認められた。これは接線方向の磁束密度が高いためと考えられる。上記極間を超えた位置に剥離促進磁石を配した場合、磁束密度としては法線成分が大きくなり、現像剤が穂立ち始め、現像剤剥離への寄与が期待できなくなった。
【0032】
次に、本発明の画像形成装置に好適に使用されるトナーについて説明する。600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの重量平均粒径は3〜8μmが好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。重量平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。重量平均粒径(D4)が8μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
【0033】
また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0034】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を挙げることができる。以下に測定方法について述べる。
【0035】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)を使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0036】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0037】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
【0038】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
【0039】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナー形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなり、またトナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0040】
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0041】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0042】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0043】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0044】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
【0045】
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0046】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0047】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0048】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0049】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0050】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0051】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0052】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
【0053】
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
【0054】
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0055】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0056】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0057】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこのポリエステルプレポリマーにアミン類を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0058】
PICを反応させる際、及びポリエステルプレポリマーとアミン類を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0059】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0060】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0061】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
【0062】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0063】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0064】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0065】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0066】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0067】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0068】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0069】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0070】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0071】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0072】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0073】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0074】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0075】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0076】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0077】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0078】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0079】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0080】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
【0081】
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0082】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0083】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0084】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0085】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】現像装置の主要構成を示す概略図である。
【図3】剥離磁石の対向近接位置に磁石がない場合の磁力線、現像剤の付着状態を説明する図である。
【図4】剥離促進対向磁石のない従来公知の6極構成の磁力グラフである。
【図5】第1の実施形態に係る構成での磁力グラフである。
【図6】第1の実施形態に係る剥離促進対向磁石の存在下による剥離極での磁場のイメージを示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る剥離促進対向磁石の存在によって剥離磁石周辺に滞留する現像剤が減少する様子を示す図である。
【図8】別の実施形態に係る現像装置の主要構成を示す概略図である。
【図9】第2の実施形態に係る構成での磁力グラフである。
【図10】第2の実施形態に係る剥離促進対向磁石の存在下による剥離極での磁場のイメージを示す図である。
【図11】第2の実施形態に係る剥離促進対向磁石の存在によって剥離磁石周辺に滞留する現像剤が減少する様子を示す図である。
【図12】剥離促進対向磁石が剥離磁極の回転上流側にある搬送極上に存在することによって剥離磁石周辺に滞留する現像剤が減少する様子を示す図である。
【図13】象限を説明するための図である。
【符号の説明】
【0087】
1 現像装置
2a 現像スリーブ
2b 現像極
2d 剥離極
2e 汲み上げ極
4 ドクターブレード
5,6 攪拌スクリューローラ
7 剥離促進磁石
12 画像形成ユニット
13 帯電器
40 感光体
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真法、磁気記録法等によって画像形成を行う画像形成装置、特にそのような画像形成装置に用いられる二成分現像方式の現像装置、あるいはその現像装置を備えたプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平7−13435号公報
【特許文献2】特許第3237940号公報
【0003】
電子写真複写装置、静電記録装置、磁気記録装置等の画像形成装置において、像担持体上に形成された静電潜像を現像するために磁気ブラシ方式が公知である。これは、現像装置筐体等に回転自在に取り付けられた現像剤担持体たる非磁性円筒(現像スリーブ)上に現像剤を磁気的に担持しつつ搬送し、現像領域(現像剤担持体と像担持体の間で現像可能電界が確保されている領域)にて現像剤の磁気ブラシを形成させて(穂立て)像担持体(感光体)に摺擦して像担持体上の静電潜像を顕像化するものである。そのため、現像スリーブ内に複数のマグネットを固定状態で配置し(場合によってはプラスチック樹脂を混練した所謂プラスチックマグネットを成型時に磁場をかけて配向し必要な磁極分布を得ることもある)、現像スリーブを回転することで現像剤を搬送する。現像スリーブ内に配置された複数の磁極の一つは、静電潜像が形成される像担持体表面に対向する位置に配置された現像磁極であり、その他は、現像スリーブを介して現像剤を搬送するための複数の搬送磁極や汲み上げ磁極である。
【0004】
特許文献1には、このような二成分現像方式の現像装置が開示されている。その現像装置では、回転自在な現像スリーブの内側に磁石が配置されている。磁石の磁極のうち、同極の搬送磁極N2、N3が隣接して現像容器側に配されている。現像後には、現像スリーブ上の残存現像剤を速やかに剥離させて、現像スリーブ表面を次の現像処理に供することができるようにする必要があるが、磁極N2、N3の間に反発磁界が形成されるため、硬強度磁性粒子とトナーとからなる現像剤が上流側の磁極N2近傍に滞留しがちとなる。そこで特許文献1では磁極N2に対向させて現像剤剥離手段を配置している。この現像剤剥離手段は、回転軸、羽根部材を有し、所定方向に回転することで現像剤を剥離、攪拌する構成となっている。
【0005】
しかしながら、このように現像剤剥離部近傍に回転軸、羽根部材を有し現像剤を機械的に現像剤担持体から剥離させる手法は、現像剤にストレスを与え、現像剤寿命を短くする。また、近年のユーザーの要望から、機械全体がコンパクトになり、現像器自体も小さくすることが必要になっているが、これに反して上記手法では現像器の構成が複雑になり且つ大きくなってしまう欠点がある。
【0006】
また現像スリーブから現像剤を剥離させる別の方法として、現像スリーブの現像剤剥離部で、現像剤剥離極とこれに隣接する同極の磁極の反発電界によって磁力を一部0mTに近づけ、現像スリーブ上に現像剤を保持できないようにし、現像剤を現像スリーブ上から分離することが従来知られている。しかし、このようなやり方では、現像剤剥離部には、隣接する同極の磁極の反発電界によって画像履歴をもった残存現像剤が滞留する。画像履歴とは像担持体の静電潜像担持面における画像、非画像の形成経過を意味し、画像部については現像位置において現像スリーブ上の現像剤(トナー)が消費されるが、非画像部については現像剤(トナー)が消費されずに現像スリーブ上にそのまま残存する。このような現像剤が滞留することにより現像スリーブ上の現像に使用できる現像剤の量が少なくなると共に現像剤にストレスを与え、現像剤寿命にも影響を与える。その結果、画像濃度低下などの画像品質の劣化等にも繋がる。
【0007】
特許文献2には、現像寄与後の現像剤の剥離性能を向上するために、隣接する1対の同極性の磁極のうち現像スリーブ回転方向下流側磁極に案内部材の垂直部上端を対向させて、1対の同極性磁極間に案内部材の端部を対向させ、発生する磁力により現像剤カーテンを形成して現像剤を現像スリーブから剥離させることが提案されている。この提案構成では、回転方向上流側に滞留する現像剤を除去することができず、したがって滞留現像剤をスムーズに剥離することで現像剤の寿命を向上させる作用を奏することがない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、現像領域通過後の現像スリーブ上の画像履歴を有した残存現像剤を速やか、確実に剥離、除去することができるように構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にしたがい、回転可能な非磁性スリーブと当該スリーブ内で固定配置され複数磁極を有する磁界発生手段とで成る現像ローラが潜像担持体の側方に配設される現像装置にして、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、剥離極に面する側が剥離極と同極とする。また上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、当該磁石の現像スリーブに最近接する面が非着磁であり、磁石のスリーブ回転下流側に現像剤剥離極と同極磁極を配することによっても、上記課題を解決でき、隣接する同極の磁極の反発電界によって滞留しがちな残存現像剤を良好に剥離除去して、その結果、現像剤に無用なストレスを与えず、現像剤寿命を延ばすことができる。なお「象限」は数学上の専門用語として一般に用いられており、図13に示すように、平面上に平行座標系を定めると、座標軸(直交軸・斜交軸)によって平面が4つの部分に分けられ、右上部分から反時計回りにそれぞれ順に第1、第2、第3、第4象限となる。本発明の骨子は、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点とし、現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において磁気ブラシを潜像担持体に摺擦させて現像を行う場合に、現像剤剥離極を現像ローラ横断面での第2象限に位置させ、対向磁極を同極とすることにある。現像スリーブの左側に潜像担持体が位置し、磁気ブラシが下から上に向かって移動して潜像担持体に摺擦して現像を行う位置関係にある場合は鏡像関係となり、スリーブが時計回りに回転し、現像領域が第3象限から第2象限にあり、現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第1象限に位置して、対向磁極が同極となることで課題を解決でき、本質的に同じことである。
【0010】
上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁束密度が現像剤剥離極の磁束密度と少なくとも同じであるのが好適である。特に上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁束密度が現像剤剥離極の磁束密度の5倍以下であるのが良い。剥離面に面する側を同極とする場合、上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石が、現像剤剥離極と剥離極のスリーブ回転上下流側の極との極間までの角度範囲にあるのが、好都合である。現像スリーブに最近接する面が非着磁であり、磁石のスリーブ回転下流側に現像剤剥離極と同極磁極を配する場合、上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石が、現像剤剥離極のスリーブ回転上流側の極上から剥離極までの角度範囲にあるのが、好都合である。上記スリーブ半径方向外方に配置された磁石が現像ケーシング壁に配置されているのが合理的である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、剥離極に面する側が剥離極と同極とするか、当該磁石の現像スリーブに最近接する面が非着磁であり、磁石のスリーブ回転下流側に現像剤剥離極と同極磁極を配するので、現像剤剥離極とスリーブ回転下流側の同極磁極の反発電界によって滞留しがちな残存現像剤を良好に剥離除去でき、その結果、現像剤に無用なストレスを与えないので、現像剤寿命を延ばすことができる。。
【0012】
また現像スリーブと現像ケーシング壁までの距離を短く狭くすると、現像装置のコンパクト化を図ることができるが、現像剤剥離極上の現像スリーブ表面から現像ケーシングまでの距離が近すぎると現像剤が剥離されず、現像剤が現像スリーブに連れ回ってしまう傾向が強くなる。従来の構成では、現像剤剥離極上の現像スリーブ表面から現像スリーブ壁までの最近接距離を10mm程度にすると、近過ぎる現像ケーシング壁のための連れ回りが頻繁に発生した。しかしながら、本発明のように、現像剤剥離極の外方に対向磁極を配置することで、現像剤剥離極上の現像スリーブ表面から現像ケーシング壁までの最近接距離を10mm以下にしても、現像剤の連れ回りを起こすことなく現像剤搬送を滞りなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としての電子写真方式フルカラープリンタを示す。このプリンタの画像ユニット10は、矢印方向に無端移動する像担持体としての中間転写ベルト11を備え、中間転写ベルト11の下部張架面には、トナー像形成手段である4個の画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Kが配置されている。画像形成ユニットの番号に沿えたY、C、M、Kは、扱うトナーの色と対応するもので、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタ、Kはブラックを意味している。画像形成ユニットに備えられ、中間転写ベルト11とともに回転する感光体40に対しても同じようにY、C、M、Kを沿えている。なお感光体40Y〜40Kは等間隔に配置され、少なくとも画像形成時には中間転写ベルト11との張架部の一部と接触するようになっている。
【0014】
扱うトナーの色は異なるが、画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Kの構成はそれぞれ同じであるので、その構成を画像形成ユニット12として図2により説明する。図2において、プリンタの動作時に、不図示の駆動源により、矢印方向に回転するよう支持された円筒状の感光体40が配設されている。そして、感光体40の周囲には、静電写真プロセスに従い帯電手段、露光装置、現像装置1、クリーニング装置、光除電装置などの作像部材や電位センサ、画像センサが配されているが、それらの構成・作動は基本的に公知であるので、説明の簡略化のために、ここでは本発明と特に関わりのある部分について述べる。
【0015】
一様帯電された感光体40の表面は、画像情報に基づいた露光により静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置1により現像され、感光体表面上にトナー像が形成される。トナー像は転写帯電器13により中間転写ベルト11(図1)に転写させられる。中間転写ベルト11に転写されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色トナー像は重ね合わされ、給紙ユニット14(図1)から給紙ローラ、レジストローラ対を経て搬送された用紙上に二次転写ローラ15を用いて転写される。転写終了後の用紙は、定着ユニット16によりトナー像を定着され、片面画像形成の場合には、そのまま機外に排出され、両面画像形成の場合には、公知のように、反転路(図示せず)を介した後、両面部(図示せず)を通って再び二次転写ユニットへ送られる。
【0016】
なお本実施形態では、少なくとも感光体40と現像装置1とでカートリッジユニットが構成され、更に帯電装置、クリーニングユニット、除電装置を備えてプロセスカートリッジが構成可能である。プロセスカートリッジと称する場合、現像装置と他のプロセス手段が一体となって着脱可能にされたものであり、上記カートリッジユニットだけでもプロセスカートリッジとなり得るし、現像装置と感光体と帯電装置、現像装置と感光体と帯電装置とクリーニング装置など、様々なバリエーションが存在し得る。
【0017】
次に、本実施形態に係る現像装置の全体構成について説明する。図2において、現像装置1は感光体ドラム40の側方に配設され、現像ケーシングの感光体ドラム40側に形成された開口部から一部を露出した現像ローラ2が感光体ドラム40の周方向に、感光体ドラム40に一定のギャップをもって対向し並設されている。現像ローラの現像スリーブ2aは、磁性トナーと磁性キャリアで成る二成分現像剤を表面に担持する現像剤担持体として、アルミニウムなど非磁性の円筒状部材からなっており、不図示の駆動装置により、感光体ドラム40と対向する現像領域において現像剤を上方に移動させる向きに回転駆動可能になっている。
【0018】
現像装置1はまた、現像スリーブ上に担持され現像領域に向けて搬送される現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード4、現像ケーシング内の現像剤を攪拌混合・搬送する攪拌スクリューローラ5,6、現像ケーシング内のトナー濃度を測定してトナーホッパーからトナーを補給するためのTセンサ等を備えている。
【0019】
また現像ローラ2の内部には、磁界発生手段としてのマグネットローラが固定配置されている。マグネットローラは、プラスチックローラに複数のマグネットブロックを埋め込むことで形成されているが、プラスチック樹脂粉末(高分子化合物)に磁性粉を分散混練した所謂プラスチックマグネット、あるいはゴムマグネットを磁場印加しながら押し出し成形又は射出成形して、しかる後に現像極部分にマグネットブロックを埋設することで得ることもできる。マグネットローラは図示の例のように6極の磁極を形成する(磁石自体は5つであるが一般に6極磁極と称する)が、必要に応じて8極や10極で構成されていてもよい。
【0020】
現像ローラ2の磁極配置については、現像ローラ2と感光体40の最近接位置の近傍において、現像磁石2b(図示の例ではS極)が通常感光体の最近接位置か、それよりも数度上流側に配置されている。また2成分系現像システムの場合、感光体ドラム40を現像しトナー消費した後の低トナー含有量現像剤を現像装置(ケーシング)内で解放し、攪拌された現像剤をローラで再び汲み上げるというサイクルを繰り返している。そのため、現像極下流側の磁石2cの更に下流側で現像剤を剥離(解放)するようになっており、剥離磁石2dと更に下流側の磁石2eは同極の磁気特性となっていて、磁石2eで現像剤を汲み上げて、磁石2fに対向するドクターブレード4で現像剤の厚みが規制され、現像領域へ現像剤が搬送される。
【0021】
従来構成のように剥離磁石2dの対向近接位置に磁石がない場合、図3に示すように、磁石2c,2dの磁力線により剥離磁石2dのスリーブ回転上流側に現像剤の穂立ちが形成され、また剥離磁石2dの端部がスリーブ2aに近いため、剥離磁石2d自体の磁力線により磁石2dのスリーブ回転下流側で現像剤を保持する状態が起こり、剥離磁石2dの範囲で現像剤が滞留し、現像剤の流れがスムーズでなくなっており、そのため現像剤にストレスを与え、寿命を短くしている。
【0022】
本実施形態の場合、スリーブ半径方向外方で剥離磁石2dに対向し、現像ケーシングの外壁に配置されている磁石7が、剥離磁石2dと同極性の磁極を剥離磁石に向けている。ケーシング外壁に配置することにより対向磁石7に直接現像剤が接触することが回避でき、経時的に初期状態と同じ性能を発揮せしめることができる。なお現像剤剥離促進磁極である対向磁石7と対向する剥離磁石2dの位置であるが、現像スリーブ2aの回転中心を垂直平面座標系の原点とし、現像スリーブを反時計方向に回して汲み上げた現像剤を現像ローラ横断面の第4象限から第1象限にかけて対向する感光体に摺擦させる場合に、第2象限に存するものである。磁石7は、剥離磁石2dに対して反発磁界を生じるものであり、その作用を用いて現像スリーブからの現像剤の剥離を促進させるようになっていて、現像剤が重力作用で自然落下することが期待できないような位置に剥離磁石2dが配される場合を前提とするので、その限りで第1象限側に剥離磁石2dがずれ込むことも考えられる。したがって幾何学的に厳格な意味において第2象限に限定されず、第1象限から第2象限に至る領域も本発明においては第2象限の範囲と理解されるべきである。対向する剥離促進磁石7は剥離磁石2dが第1象限側にずれ込む際には、それに伴って同じく第1象限側にずれ込み得るが、更に後述するように剥離磁石2dが第2象限に位置していても、剥離極よりスリーブ回転上流側の極との極間中心(極と極とのちょうど真ん中)に対向する位置あたりへ剥離促進磁石を配置しても剥離促進の効果が認められるので、剥離促進磁石7は剥離磁石2dよりも広範な角度範囲で配設可能である。
【0023】
現像剤剥離促進磁極である対向磁石7の働きを、磁束密度分布を示すことで説明する。図4は対向磁石7のない従来公知の6極構成の磁力グラフである。横軸が現像ローラと感光体の最近接位置を原点に反時計方向に回る角位置を示し(単位:度)、縦軸が現像スリーブから1mmの高さでの磁力を示す(単位:テスラ)。ほぼ120°の位置に剥離磁石2dが存在している。その対向位置で現像スリーブから6mmの位置に剥離促進磁石7を配した本例に係る構成の磁力グラフを図5に示す。剥離促進磁石7として断面4mm×3mmで80mTの磁力のものを用いている。このような剥離促進磁石7により、剥離磁極では法線成分が弱くなり(20mTほど)、接線成分が強くなっている。図4と図5の比較から、剥離磁極のスリーブ回転上流の穂立ちは、剥離促進磁石を設置することで法線方向に磁束密度ができず接線方向に向いている。回転下流の穂立ちは、法線方向にはできずに、図の左斜め下方に穂が伸びている。この時の磁場は広がりをもたず、一定方向に向かっている。そのイメージを図6に示す。剥離磁石2d上のスリーブ回転方向上流側に現像剤穂立ちを形成する磁力線を強制的に現像スリーブ2a側に押し付け、現像剤の穂立ちを形成させない。これにより滞留する現像剤の量が減る。また剥離磁石2dの現像スリーブ2a回転方向下流にスリーブ回転により運ばれる現像剤を保持する剥離磁石2d自体の端部磁力線を強制的に現像スリーブ2aの回転方向に向けてしまうことで剥離磁石2dの端部に滞留する現像剤が減少する(図7参照)。つまり、剥離極の対向位置に反発磁極をおくことで磁場が広がらず、一定方向に制約されるといえる。
【0024】
剥離促進磁石7の磁束密度として本例では、剥離磁極と同極で同じ80mTとしており、それによって剥離磁極の磁束密度が20mT分減衰し、剥離極よりスリーブ回転下流側で現像剤剥離を促進することができる。剥離促進磁石7が160mTで現像スリーブ上の磁束密度が0mTに近くなり、それ以上大きくすると現像剤が対向磁極めがけて飛ぶようになると考えられる。対向磁極が剥離極の6倍の磁束密度になると、法線方向の磁束密度が+40mTまで達してしまい、剥離促進磁石のない構成の場合と極性が反対となり、現像スリーブから現像剤を剥離することができるものの、対向磁極に現像剤が吸着してしまう問題が生じる。したがって対向磁極の磁束密度は現像剤剥離磁極の5倍程度以下にすべきである。
【0025】
また実機での確認によれば、剥離促進磁石7が、剥離極2dと剥離極前後の極2c,2eの極間までの角度範囲にあれば、現像剤剥離促進作用に効果が認められた。これは接線方向の磁束密度が高いためと考えられる。上記極間を超えた位置に剥離促進磁石を配した場合、磁束密度としては法線成分が大きくなり、現像剤が穂立ち始め、現像剤剥離への寄与が期待できなくなった。
【0026】
次に本発明の別の実施形態について説明する。図8に示す本実施形態は、図2に示した第1の実施形態と、剥離磁石2dに対向してスリーブ半径外方に配置された磁石の点のみが相違する。そこで図2の第1実施形態において説明した部分と同じ部分については同じ参照符号で示すこととし、説明を省略する。
【0027】
本実施形態の場合、剥離磁石2dと対向して、スリーブ半径方向外方の現像ケーシングの外壁に磁石27が配置され、その現像スリーブに最近接する面が非着磁面であり、且つ磁石27のスリーブ回転方向下流面に,剥離磁石2dと同極性の磁極を有している。
【0028】
ケーシング外壁に配置することにより対向磁石27に直接現像剤が接触することが回避でき、経時的に初期状態と同じ性能を発揮せしめることができる。なお現像剤剥離促進磁極である対向磁石27と対向する剥離磁石2dの位置であるが、第1の実施形態の場合と同じであり、現像スリーブ2aの回転中心を垂直平面座標系の原点とし、現像スリーブを反時計方向に回して汲み上げた現像剤を現像ローラ横断面の第4象限から第1象限にかけて対向する感光体に摺擦させる場合に、第2象限に存するものである。磁石27は、剥離磁石2dに対して反発磁界を生じるものであり、その作用を用いて現像スリーブからの現像剤の剥離を促進させるようになっていて、現像剤が重力作用で自然落下することが期待できないような位置に剥離磁石2dが配される場合を前提とするので、その限りで第1象限側に剥離磁石2dがずれ込むことも考えられる。したがって幾何学的に厳格な意味において第2象限に限定されず、第1象限から第2象限に至る領域も第2象限の範囲と理解されるべきである。対向する剥離促進磁石27は剥離磁石2dが第1象限側にずれ込む際には、それに伴って同じく第1象限側にずれ込み得るが、剥離磁石2dが第2象限に位置していても、剥離極よりスリーブ回転上流側の極上に対向する位置あたりへ剥離促進磁石27を配置しても剥離促進の効果が認められるので、剥離促進磁石27は剥離磁石2dよりも広範な角度範囲で配設可能である。
【0029】
本実施形態に係る構成の磁力グラフを図9に示す。図5と図9の比較から、本実施形態の剥離促進磁石27により剥離磁極では法線成分が第1の実施形態の場合より弱くなり(15mTほど)、接線成分が第1実施形態より強く(20mT程)なっている。本実施形態の剥離促進磁石27により、剥離磁極のスリーブ回転上流の穂立ちは、剥離促進磁石を設置することで法線方向に磁束密度が第1実施形態の場合よりできず、接線方向により向いている。そのイメージを図10に示す。剥離磁石2d上のスリーブ回転方向上流側に現像剤穂立ちを形成する磁力線を強制的に現像スリーブ2a側に押し付け、現像剤の穂立ちを形成させない。これにより滞留する現像剤の量が減る。また剥離磁石2dの現像スリーブ2a回転方向下流側にスリーブ回転により運ばれる現像剤を保持する剥離磁石2d自体の端部磁力線を強制的に現像スリーブ2aの回転方向に向けてしまうことで剥離磁石2dの端部に滞留する現像剤がより減少する(図11参照)。また本実施形態の剥離促進磁石27はスリーブ回転上流に対して設置できる範囲が、第1実施形態の場合よりも広くなっており、搬送磁極2c上まで設置が可能で、剥離促進磁石としての効果も達成する(図12参照)。搬送磁極2c近傍で穂立つ現像剤が剥離促進磁石27を設置すると、法線方向の磁束密度が低くなり、接線方向に磁束密度が向いてスムーズに現像剤が搬送される。これは接線方向の磁束密度が高いためと考えられる。
【0030】
剥離促進磁石27の磁束密度として本実施形態でも剥離磁極と同極で同じ80mTとしており、それによって剥離磁極の磁束密度が第1実施形態より15mT分減衰し、剥離極よりスリーブ回転下流側で現像剤剥離を促進することができる。剥離促進磁石27が160mTで現像スリーブ上の磁束密度が0mTに近くなり、それ以上大きくすると現像剤が対向磁極めがけて飛ぶようになると考えられる。対向磁極が剥離極の6倍の磁束密度になると、法線方向の磁束密度が+40mTまで達してしまい、剥離促進磁石のない構成の場合と極性が反対となり、現像スリーブから現像剤を剥離することができるものの、対向磁極に現像剤が吸着してしまう問題が生じる。したがって対向磁極の磁束密度は現像剤剥離磁極の5倍程度以下にすべきである。
【0031】
また実機での確認によれば、剥離促進磁石27が、剥離極2d前の搬送極2cと剥離極2dの極上までの角度範囲にあれば、現像剤剥離促進作用に効果が認められた。これは接線方向の磁束密度が高いためと考えられる。上記極間を超えた位置に剥離促進磁石を配した場合、磁束密度としては法線成分が大きくなり、現像剤が穂立ち始め、現像剤剥離への寄与が期待できなくなった。
【0032】
次に、本発明の画像形成装置に好適に使用されるトナーについて説明する。600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの重量平均粒径は3〜8μmが好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。重量平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。重量平均粒径(D4)が8μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
【0033】
また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0034】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を挙げることができる。以下に測定方法について述べる。
【0035】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)を使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0036】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0037】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
【0038】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
【0039】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナー形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなり、またトナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0040】
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0041】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0042】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0043】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0044】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
【0045】
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0046】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0047】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0048】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0049】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0050】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0051】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0052】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
【0053】
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
【0054】
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0055】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0056】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0057】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこのポリエステルプレポリマーにアミン類を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0058】
PICを反応させる際、及びポリエステルプレポリマーとアミン類を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0059】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0060】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0061】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
【0062】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0063】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0064】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0065】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0066】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0067】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0068】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0069】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0070】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0071】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0072】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0073】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0074】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0075】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0076】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0077】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0078】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0079】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0080】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
【0081】
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0082】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0083】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0084】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0085】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】現像装置の主要構成を示す概略図である。
【図3】剥離磁石の対向近接位置に磁石がない場合の磁力線、現像剤の付着状態を説明する図である。
【図4】剥離促進対向磁石のない従来公知の6極構成の磁力グラフである。
【図5】第1の実施形態に係る構成での磁力グラフである。
【図6】第1の実施形態に係る剥離促進対向磁石の存在下による剥離極での磁場のイメージを示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る剥離促進対向磁石の存在によって剥離磁石周辺に滞留する現像剤が減少する様子を示す図である。
【図8】別の実施形態に係る現像装置の主要構成を示す概略図である。
【図9】第2の実施形態に係る構成での磁力グラフである。
【図10】第2の実施形態に係る剥離促進対向磁石の存在下による剥離極での磁場のイメージを示す図である。
【図11】第2の実施形態に係る剥離促進対向磁石の存在によって剥離磁石周辺に滞留する現像剤が減少する様子を示す図である。
【図12】剥離促進対向磁石が剥離磁極の回転上流側にある搬送極上に存在することによって剥離磁石周辺に滞留する現像剤が減少する様子を示す図である。
【図13】象限を説明するための図である。
【符号の説明】
【0087】
1 現像装置
2a 現像スリーブ
2b 現像極
2d 剥離極
2e 汲み上げ極
4 ドクターブレード
5,6 攪拌スクリューローラ
7 剥離促進磁石
12 画像形成ユニット
13 帯電器
40 感光体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な非磁性スリーブと当該スリーブ内で固定配置され複数磁極を有する磁界発生手段とで成る現像ローラが潜像担持体の側方に配設される現像装置にして、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、
上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、剥離極に面する側が剥離極と同極であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
回転可能な非磁性スリーブと当該スリーブ内で固定配置され複数磁極を有する磁界発生手段とで成る現像ローラが潜像担持体の側方に配設される現像装置にして、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、
上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、そのスリーブに近接する位置が非着磁面であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁極配置が、スリーブ回転方向下流側に現像剤剥離極と同極の磁極を有するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁束密度が現像剤剥離極の磁束密度と少なくとも同じであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁束密度が現像剤剥離極の磁束密度の5倍以下であることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石が、現像剤剥離極と剥離極のスリーブ回転上下流側の極との極間までの角度範囲にあることを特徴とする請求項1、4、5のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項7】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石が、現像剤剥離極のスリーブ回転上流側の極上から現像剤剥離極までの角度範囲にあることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項8】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石が現像ケーシング壁に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の現像装置を備えたプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の現像装置を備えた画像形成装置。
【請求項1】
回転可能な非磁性スリーブと当該スリーブ内で固定配置され複数磁極を有する磁界発生手段とで成る現像ローラが潜像担持体の側方に配設される現像装置にして、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、
上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、剥離極に面する側が剥離極と同極であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
回転可能な非磁性スリーブと当該スリーブ内で固定配置され複数磁極を有する磁界発生手段とで成る現像ローラが潜像担持体の側方に配設される現像装置にして、スリーブの回転中心を垂直平面座標系の原点として、スリーブを反時計方向に回転させてスリーブ表面に汲み上げた2成分現像剤を下方から上方へ送って磁気ブラシとして現像ローラ横断面の第4象限から第1象限の現像領域において潜像担持体に摺擦させて潜像担持体上の潜像の可視像化を行い、スリーブ回転下流側で現像剤をスリーブ表面から剥離すべく現像剤剥離極とその下流側の磁極が同極の磁気特性を有するように構成された現像装置において、
上記現像剤剥離極が現像ローラ横断面での第2象限に位置し、これに対向するスリーブ半径方向外方に磁石を配置し、そのスリーブに近接する位置が非着磁面であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁極配置が、スリーブ回転方向下流側に現像剤剥離極と同極の磁極を有するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁束密度が現像剤剥離極の磁束密度と少なくとも同じであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石の磁束密度が現像剤剥離極の磁束密度の5倍以下であることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石が、現像剤剥離極と剥離極のスリーブ回転上下流側の極との極間までの角度範囲にあることを特徴とする請求項1、4、5のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項7】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石が、現像剤剥離極のスリーブ回転上流側の極上から現像剤剥離極までの角度範囲にあることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項8】
スリーブ半径方向外方に配置された磁石が現像ケーシング壁に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の現像装置を備えたプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の現像装置を備えた画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−293261(P2006−293261A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183278(P2005−183278)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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