説明

球根類根除去機の移送ベルト駆動装置

【課題】球根類を移送する移送ベルトの耐久性を向上させようとするものである。
【解決手段】球根類(イ)を移送する一対の移送ベルト25の移送終端部間の隙間へ該球根類(イ)の根を巻き込み切断して除去する。この移送ベルト25を回転駆動する移送始端側に設けるベルト駆動ローラ軸20は、中空形状21に形成すると共に、この中空形状21部へ冷却水を注水し排水する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、球根類を移送する一対の移送ベルトの移送終端部間の隙間へ該球根類の根を巻き込み切断して除去するこの移送ベルトを回転駆動する移送始端部側に設けたベルト駆動ローラ軸は、中空形状に形成して、この中空形状部へ冷却水を注入して排水する技術であり、球根類除去機の移送ベルト駆動装置として使用できる。
【0002】
【従来の技術】球根類が、例えば、チューリップの球根であったとすると、移送始端部のベルト駆動ローラ軸と、移送終端部のナイフエッジとには、移送ベルトを掛け渡して一対設け、この移送ベルトはこのベルト駆動ローラ軸で回転駆動され、この一対の移送ベルト上へチューリップ球根は、両側から供給され、これら両側の移送ベルトで移送終端部へ向けて移送され、この両移送ベルトの移送終端部間の隙間でチューリップ球根の根は巻き込まれ、このチューリップ球根の根を切断して除去する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ナイフエッジの移送終端部の半円形状は、小形状でないと根の巻き込みが悪くなり、このために、小形状に形成され、これによって、該ナイフエッジに巻き掛ける移送ベルトの移送終端部の半円形状も小形状となり、この移送ベルトは移送終端部での抵抗が大となり、摩擦熱が発生し、更にこれら移送ベルト間の隙間が小隙間であることにより、これら移送ベルトが接触することが発生して摩擦熱が発生し、これら移送ベルトの温度が上昇し、更にベルト駆動ローラ軸の温度も上昇することにより、この移送ベルトの耐久性が低下することが発生していたが、この発明により、この問題を解決しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】このために、この発明は、球根類(イ)の供給を受けて移送する一対の移送ベルト25を回転駆動する移送始端部側にベルト駆動ローラ軸20と、該移送ベルト25を受ける移送終端部側にナイフエッジ26とを設けて該移送ベルト25,25の移送終端部の隙間に該球根類(イ)の根を巻き込んで除去する球根類根除去機において、該ベルト駆動ローラ軸20を中空形状21に形成すると共に、該中空形状21部へ冷却水を注入して排水させることを特徴とする球根類根除去機の移送ベルト駆動装置の構成とする。
【0005】
【発明の作用】移送始端部のベルト駆動ローラ軸20と、移送終端部のナイフエッジ26とには、移送ベルト25を掛け渡して一対設け、この移送ベルト25,25はこのベルト駆動ローラ軸20,20で個別に回転駆動され、この一対の移送ベルト25上へチューリップ球根(イ)は供給され、これら両側の移送ベルト25,25で移送終端部へ向けて移送され、この移送ベルト25,25の移送終端部間の隙間へチューリップ球根(イ)の根は巻き込まれ、このチューリップ球根(イ)の根を切断して除去する。
【0006】この根を切断作業中は、前記ベルト駆動ローラ軸20の中空形状21部へ冷却水が注水され排水されて、このベルト駆動ローラ軸20が冷却され、この冷却に伴なって移送ベルト25も間接的に同時に冷却される。
【0007】
【発明の効果】チューリップ球根(イ)の根を切断して除去する作業中は、移送ベルト25を回転駆動するベルト駆動ローラ軸20は、冷却水によって冷却されることにより、このベルト駆動ローラ軸20で間接的に移送ベルト25も冷却され、この移送ベルト25の温度上昇が規制されることにより、この移送ベルト25の耐久性の向上を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図例は、入荷する球根類(イ)は、例えば、チューリップ球根(イ)であったとすると、このチューリップ球根(イ)の入荷を受けて根を切断する球根類根除去機2等を具備する乾燥選別施設1(以下、施設1)の概要を説明すると、該施設1は生産者から出荷されたチューリップ球根(イ)(以下、球根(イ))を商品化する自動化行程であって、荷受部A、洗浄部B、籾殻混合部C、一次乾燥部D、前処理部E、選別仕分部F、籾殻乾燥、及び返却部G、本乾燥部H、出荷部I、及び付帯設備J等よりなる。
【0009】前記荷受部Aは、球根(イ)を収容したコンテナ3を積み重ねておく載置部4を有した通気ダクト5によって構成され、トラック等から適宜リフト装置(図示なし)を介してこの載置部4に順次積み重ね、載置期間中任意に該コンテナ3へ通気可能な構成である。前記洗浄部Bは荷受部Aから順次移送される球根(イ)収容コンテナ3をコンテナダンパー等によって反転しながら供給されるこの球根(イ)を水槽6に浸積して移送しながら付着した泥土を除去しうる構成である。
【0010】前記籾殻混合部Cは泥土が除去された球根(イ)はベルトコンベア7を介して水切りコンベア8送られ、更にベルトコンベア9へ送られ、このベルトコンベア9で移送中の球根(イ)には、サイクロン10へ収納した籾殻が籾殻タンク11へ供給され、この籾殻タンク11下部に設けた繰出バルブ11aの回転駆動により、この籾殻タンク11内の籾殻が落下し、球根(イ)にふりかけされる構成である。
【0011】球根(イ)と籾殻とが混合され、球根(イ)の表面に付着した水滴をこの籾殻へ吸収させる構成であり、混合した混合物は、バッファリングタンク12を経由して一次乾燥部Dに送られる。前記一次乾燥部Dは後行程の根の除去作用を円滑に行わせることを主眼に実施されるもので、水分値を所定水分値まで乾燥すべく構成である。即ち、この一時乾燥部Dはバッファリングタンク12と、バッファリング装置13とよりなり、このバッファリング装置13内部にジグザグ状に傾斜案内面を形成したメッシュコンベア、除湿機(共に図示せず)等よりなるバッファリング装置13に適宜供給される除湿風により、ゆっくりと乾燥する構成である。
【0012】前記一時乾燥部Dのバッファリング装置13から排出される混合物はベルトコンベア13aで移送され、テンパリング兼用の中継タンク14ヘ供給されて貯留され、テンパリングが行われる構成である。前記前処理部Eは、株分離機15、粗選機16、球根類根除去機2(以下、根除去機2)をこの順に配設してなり、選別、本乾燥・貯留のための前処理を行う。粗選機16は所定の外径より小さい球根(以下、小球)は商品化の対象となり難いので、前処理の一部を省略すべく予め分離除去すると共に、球根(イ)と籾殻とに分離し、籾殻を除去する構成であり、選別機構は、例えば、回転ドラムに所定の孔径、又は所定幅の選別孔を形成する円筒形状の板材により、3室形成するとよい。この選別孔を漏下した小球は生産者に還元する還元球として扱われる。該回転ドラムの排出側端部から、出荷用球根(イ)、小玉、及び籾殻に分離して排出される構成であり、出荷用の球根(イ)のみが以後処理される。これらのうち、出荷用の球根(イ)のみが該根除去機2に移送供給される。
【0013】前記籾殻乾燥、及び返却部Gは、粗選機16で選別されて排出された籾殻は、ファン移送装置17a等により、エアー移送されて籾殻乾燥機17へ供給されて乾燥される。乾燥済籾殻はファン移送装置17b等により、エアー移送されて、サイクロン10内へ還元する構成である。前記前処理部Eでこの発明に係る根除去機2の具体的構成は、図5〜図7で示す如く各機壁18により、前後方向が長方形状の箱形状に形成し、前側機壁18はボルト、及びナット等により、左・右機壁18,18の前部へ装着した構成である。この箱体の下側には、後述する注水側Aが排水側Bより所定高さ高く形成した土台枠19を設け、この根除去機2を後部へ向けて下り傾斜状態に設置している。
【0014】前記根除去機2は、機壁18で形成する箱体の前・後機壁18,18内で上部の左右両側部には、図1で示す如くベルト駆動ローラ軸20を内装して設けるべく、このベルト駆動ローラ軸20は、該前・後機壁8,8外側面にボルト、及びナット等で装着して設ける軸受メタル22で回転自在に軸支した構成であり、前後両側の軸受部は小径20aに形成すると共に、この小径20a部、及び中央部の大径20b部の内径部は、中空形状21に形成して連通させた構成である。このベルト駆動ローラ軸20を挿入する該前・後側機壁18,18の挿入孔は、左右方向に長孔18a,18aとすると共に、該軸受メタル22の装着部も左右方向に長孔22aとし、このベルト駆動ローラ軸20を左右移動調節自在とし、後述する移送ベルト25を伸張可能に構成している。
【0015】前記ベルト駆動ローラ軸20の中空形状21内には、水タンク23内に貯留した水はポンプ24により、前側機壁18側から注水され、該中空形状21部を通過し、後側機壁18側から排水され、該水タンク21内へ還元されて循環される構成であり、このベルト駆動ローラ軸20は、通過する水によって冷却する構成である。これらベルト駆動ローラ軸20,20と、後述するナイフエッジ26,26とには、移送ベルト25,25を掛け渡してたがいに異なる方向に回転する構成であり、この移送ベルト25,25は該ベルト駆動ローラ軸20,20が冷却されることにより、間接的に冷却されて耐久力をアップさせる構成としている。
【0016】前記ナイフエッジ26は、図2、及び図3で示す如く三角形状に形成し、前・後機壁18,18内で上部の中央部の左右両側に設け、この三角形状のナイフエッジ26,26間の隙間は所定の小隙間に形成すると共に、先端の半円形状を小半円形状に形成した構成である。このナイフエッジ26の上側面は略平行状態に装着した構成であり、このナイフエッジ26とベルト駆動ローラ軸20の大径20b部とには、移送ベルト25を掛け渡した構成である。
【0017】前記移送ベルト25,25の移送終端部間の隙間Tは小隙間に形成し、移送始端部へ供給される球根(イ)は、この移送ベルト25,25で移送され、球根(イ)の根は隙間Tへ巻き込みされ、この根を切断して除去する構成であり、除去された根は下側に設けた流下棚26aを流下して機外へ排出する構成である。又、根を切断済みの球根(イ)は後側機壁18側へ向けて、若干移動する構成である。該隙間Tは小隙間にし、又、該移送ベルト25の終端部を小半円形状にして、根の巻き込み、及び切断を確実にした構成である。
【0018】前記ナイフエッジ26の三角形状内には、図2、及び図3で示す如く所定の間隔を設けて水パイプ27a,27bを設け、この水パイプ27a,27bの一方側の端部には、蓋29a,29bを設けている。これら水パイプ27a,27bの外周部には、無数の注水孔28a,28bを設けると共に、該ナイフエッジ26の前・後側板29,29と、前・後機壁18,18とで軸支した構成であり、このナイフエッジ26,26は回動しない構成であると共に、水漏れしない構成である。該前側機壁18側から該水パイプ27a内へ注水され、この水はこのパイプ27aの該各注水孔28aから、このナイフエッジ26内排水されて、このナイフエッジ26内は満水状態となり、この満水状態の水は該水パイプ27bの該各注水孔28bからこの水パイプ27b内へ注水され、この水パイプ27bの該後側機壁18側から排水する構成であり、この注水はポンプ24で分水して供給し、排水は水タンク23へ還元して循環する構成である。又、これら水パイプ27a,27bの各注水孔28a,28bの個数により、該ナイフエッジ26が満水状態になる構成である。
【0019】これにより、前記ナイフエッジ26は、通過する水によって冷却する構成であり、移送ベルト25,25は、これらナイフエッジ26,26が冷却されることにより、間接的に冷却され、移送終端部での摩擦による摩擦熱より、該ナイフエッジ26の温度上昇を防止すると共に、間接的に該移送ベルト25の温度上昇を防止して、この移送ベルト25の耐久性の向上を図っている。該ナイフエッジ26,26に変えて直径6mm程度の棒材の固定ロットを前・後機壁18,18間に設け、この前・後機壁18,18に固着した構成とするもよい。
【0020】前記前側機壁18側で箱体内にはモータ33を設け、このモータ33の軸端部近傍には、ギヤー33aを設けると共に、このギヤー33aの外側には、スプロケット33bを設けている。一方側のベルト駆動ローラ軸20の軸端部近傍には、スプロケット34を設け、このスプロケット34と該スプロケット33bとには、チェン35aを掛け渡し、該モータ33の回転により、一方側の該ベルト駆動ローラ軸20を該チェン35a等を介して回転駆動する構成である。
【0021】前記モータ33の上側で前側機壁18の外側面には、中間メタル36で軸支した中間軸37を設け、この中間軸37の軸端部近傍には、ギヤー37aを設け、このギヤー37aの外側には、スプロケット37bを設けている。このギヤー37aとモータ33のギヤー33aとは噛合する構成である。他方側のベルト駆動ローラ軸20の軸端部近傍には、スプロケット38を設け、このスプロケット38と該スプロケット37bとには、チェン35bを掛け渡し、該モータ33の回転により、他方側の該ベルト駆動ローラ軸20を該ギヤー37a、及び該チェン35b等を介して回転駆動させている。
【0022】前記各ベルト駆動ローラ軸20,20の前後両側の軸端部のジョイント部には、回転自在なカップリング31を設け、注水、及び排水用の各ホース39を接合させている。前記チェン35a,35bの略中間位置には、チェン張り装置32,32を設け、該チェン張り装置32,32は、回動自在にチェンアーム杆32aを、前側機壁18に設けた回動ピン32bで軸支して設け、このチェンアーム杆32aの一端部には、回転自在にチェン摺しローラ32cを軸支して設けると共に、このチェンアーム杆32aを回動支持するスプリング32dを設けた構成である。移送ベルト25,25を伸張操作を行なったときは、このチェン35a,35bが該チェン張り装置32,32の作動により、伸張する構成として、これら両者を伸張操作可能な構成である。これらの伝動機構部の外側には、安全カバー39aを装着した構成である。
【0023】前記根除去機2で根が切断された出荷用の球根(イ)は、この根除去機2より取り出しされ、選別仕分部Fへ移送される構成である。前記選別仕分部Fは、選別機41と選別階級毎に対応して設けている引き出し用のコンベア40,40…とを有し、この選別機41は選別孔を形成したベルト搬送型選別部を採用し、供給される出荷用の球根(イ)の階級を5ランク(2S,S,M,L,2L)に仕分ける構成である。
【0024】各階級毎に配設された引き出し用のコンベア40には、夫々数をカウントするカウンタ42を設け、この各コンベア40端から排出される階級別の球根(イ)を、コンテナ内に一定量毎に収容する構成である。球根収容コンテナはコンテナ積込コンベア43とパレタイズロボット44によってフォークリフト45に移され、本乾燥部Hに収容される。
【0025】前記本乾燥部Hは、流通段階で腐敗防止等を主眼に行うためのものであり、出荷時期、及び品種等に応じて任意に選択収容できる構成であり、除湿機による除湿空気を導入可能であり、且つ冷却空気を制御することにより、引き続き冷却貯蔵可能に構成して、所定水分値で貯留する構成である。なお、前記本乾燥部H内で短期間だけ乾燥させる目的で貯留する貯留室46と、本乾燥して貯留する貯留室47とに分割した構成とするもよい。
【0026】前記出荷部Iは、フォークリフト45で収容コンテナを受け入れる製品搬送コンベア48を配設している。前記洗浄部Bから籾殻乾燥、及び返却部Gに至る間に設ける各機材は実施例の図示では夫々2系列設けられ、処理の拡大を図っているが、更に3列設けた構成とするもよい。
【0027】前記付帯設備Jのうち、主なものは、管理用コンピュータがあり、生産者コードと荷受量、選別結果等の情報が関連づけて記憶されるほか、施設1の各部の機械の運転制御、及び生産者への支払金額算出等の機能を備え、必要情報を印字出力する構成である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト駆動ローラ軸の拡大側断面図
【図2】ナイフエッジの拡大側面図
【図3】ナイフエッジの拡大正面図
【図4】球根類根除去機の伝動の拡大正面図
【図5】球根類根除去機の全体正面図
【図6】球根類根除去機の全体平面図
【図7】球根類根除去機の全体側面図
【図8】乾燥選別施設の全体レイアウト図
【符号の説明】
20 ベルト駆動ローラ軸
21 中空形状
25 移送ベルト
26 ナイフエッジ
(イ) 球根類(チューリップ球根)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 球根類(イ)の供給を受けて移送する一対の移送ベルト25を回転駆動する移送始端部側にベルト駆動ローラ軸20と、該移送ベルト25を受ける移送終端部側にナイフエッジ26とを設けて該移送ベルト25,25の移送終端部の隙間に該球根類(イ)の根を巻き込んで除去する球根類根除去機において、該ベルト駆動ローラ軸20を中空形状21に形成すると共に、該中空形状21部へ冷却水を注入して排水させることを特徴とする球根類根除去機の移送ベルト駆動装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図5】
image rotate


【図4】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【公開番号】特開2000−92919(P2000−92919A)
【公開日】平成12年4月4日(2000.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−269894
【出願日】平成10年9月24日(1998.9.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】