説明

用紙排出装置および用紙排出方法

【課題】ロール状の用紙に印字するサーマルプリンタの用紙排出装置において、部品点数を多くすることなく、用紙を搬送するローラの用紙挿入口側と用紙排出口側の両方の紙詰まりを検出することができる用紙排出装置および用紙排出方法を提供する。
【解決手段】プリンタ装置によって印字された用紙を挿入して挟み込んで保持するとともに、ローラの回転によって用紙を搬送する用紙排出ローラと、用紙排出ローラの外側の円周に向かう中心線上で、用紙排出ローラが用紙を挟み込んだ際の該用紙排出ローラと該用紙が接する線上の用紙位置を検出するように配置され、該用紙排出ローラが該用紙を挟み込んだ量に基づいた電圧値を出力する用紙センサと、用紙センサの出力値に基づいて用紙排出ローラを制御し、用紙を搬送する用紙排出制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタの用紙排出装置において用紙の挿入口側と、排出口側との両方の紙詰まりを検出する用紙排出装置および用紙排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レシート等に使用されるロール状の用紙に印字するサーマルプリンタでは、印字中の用紙を該サーマルプリンタの内部に格納することにより、用紙の受取人が印字中の用紙に触れることを防止して安定した印字を確保している。また、印字完了後に一部を残して切断した用紙を排出し、排出した用紙の後端部を用紙排出装置のローラが保持することにより、印字した用紙の落下を防ぎ、用紙の受取人が印字された用紙を引き抜くことによって用紙の未切断部が切断され、受取人が印字された用紙を受け取りやすくしている。このようなサーマルプリンタに装備される用紙排出装置では、用紙を搬送するローラの用紙排出口側に用紙の有無を検出する用紙センサを配置して用紙の搬送を制御している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−73095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のように用紙センサをローラの用紙排出口側に配置した場合、用紙が排出されたことの検出を行うことができるが、用紙挿入口側から用紙が挿入されたことを検出することができず、また、逆に用紙センサをローラの用紙挿入口側に配置した場合は、用紙排出口側から用紙が排出されたことを検出することができない。このため、用紙センサが検出できない側において用紙の紙詰まりが起こった場合は、その紙詰まりを検出することができないという問題がある。
【0004】
また、用紙挿入口側と用紙排出口側の両方の紙詰まりを検出するため、用紙センサの前後に用紙を搬送するローラを配置して紙詰まりを検出する方法や、用紙を搬送するローラの用紙挿入口側と用紙排出口側の両方に用紙センサを配置して紙詰まりを検出する方法があるが、これらの方法は部品点数が多くなり、また、用紙排出装置を小型化するのは困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、ロール状の用紙に印字するサーマルプリンタの用紙排出装置において、部品点数を多くすることなく、用紙を搬送するローラの用紙挿入口側と用紙排出口側の両方の紙詰まりを検出することができる用紙排出装置および用紙排出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の用紙排出装置は、プリンタ装置によって印字された用紙を排出する用紙排出装置において、挿入された用紙を挟み込んで保持するとともに、ローラの回転によって前記用紙を搬送する用紙排出ローラと、前記用紙排出ローラの外側の円周に向かう中心線上で、前記用紙排出ローラが前記用紙を挟み込んだ際の該用紙排出ローラと該用紙が接する線上の用紙位置を検出するように配置され、該用紙排出ローラが該用紙を挟み込んだ量に基づいた電圧値を出力する用紙センサと、前記用紙センサの出力値に基づいて前記用紙排出ローラを制御し、前記用紙を搬送する用紙排出制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の前記用紙排出制御手段は、前記用紙が挿入され、前記用紙センサが該用紙の先端部を検出したときに前記ローラの回転を開始して該用紙を挟み込んで前記ローラの回転を停止し、前記プリンタ装置の印字が完了した後に前記ローラの回転を開始して前記プリンタ装置が印字した量に応じた該用紙を搬送した後に前記ローラの回転を停止して該用紙を保持し、次の用紙が挿入される前に回収されなかった該用紙を排出する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の用紙排出方法は、プリンタ装置によって印字された用紙を排出する用紙排出装置における用紙排出方法において、挿入された用紙を挟み込んで保持するとともに、ローラの回転によって前記用紙を搬送する用紙搬送手順と、前記ローラの外側の円周に向かう中心線上で、前記ローラが前記用紙を挟み込んだ際の該ローラと該用紙が接する線上の用紙位置を検出する用紙位置検出手順と、前記用紙位置検出手順が検出した前記用紙の位置に基づいて前記ローラを制御する用紙排出制御手順と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロール状の用紙に印字するサーマルプリンタの用紙排出装置において、ローラが挟み込んだ用紙の位置を検出する用紙センサからの出力値に基づいて、印字が開始されてから予め定められた時間以上経過しても用紙センサの出力値が変化しない場合は、ローラの用紙挿入口側で紙詰まりが起こっている可能性があると判断することができる。また、用紙を排出してから予め定められた時間以上経過しても用紙センサの出力値が変化しない場合は、ローラの用紙排出口側で紙詰まりが起こっている可能性があると判断することができるので、部品点数を多くすることなく、用紙を搬送するローラの用紙挿入口側と用紙排出口側の両方の紙詰まりを検出することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態によるプリントシステムの概略構成を示した図である。なお、図1(A)は、本実施形態のプリントシステム全体の概略構成を示した図であり、図1(B)は、用紙排出装置3の概略の配置を示した図である。図1(A)において、プリントシステムは、プリンタ装置2と用紙排出装置3から構成され、図示しない制御手段から入力された印字指示に従って該制御手段から入力された印字データをロール状の感熱用紙1に印字する。また、図1(B)は、用紙排出装置3を用紙の排出口側から見た図である。なお、本実施形態のプリントシステムは、プリントシステム全体の制御を行うための図示しない印字制御部を備え、該印字制御部によってプリンタ装置2および用紙排出装置3の各部の動作が制御される。
【0011】
本実施形態のプリントシステムは、感熱用紙1に印字中のときは、印字された感熱用紙1をプリンタ装置2と用紙排出装置3との間で図1(A)のa点のように屈曲して格納され、感熱用紙1の受取人が印字中の感熱用紙に触れることを防止している。また、印字が完了したときに感熱用紙1に印字されている範囲で切断し、該切断された感熱用紙1を搬送し、搬送した感熱用紙1の後端部を用紙排出装置3のローラが保持することで、受取人が印字された感熱用紙1を受け取りやすくしている。また、予め定められた時間後に受取人が印字された感熱用紙1を引き抜いて受け取ったか否かを確認し、感熱用紙1が受け取られていない場合は、該感熱用紙1を用紙排出装置3より排出する。
【0012】
プリンタ装置2は、図示しない印字制御部からの制御信号に従って感熱用紙1に印字を行う感熱式プリンタである。プリンタ装置2は、感熱用紙1に印字を行うプリント部21と、印字済みの感熱用紙1を切断する用紙カット部22とから構成される。また、プリント部21は、感熱用紙1に熱を印加することによって印字を行うサーマルヘッド211と、印字を行う際に感熱用紙1を移動させるためのプリントローラ212を備え、用紙カット部22は、印字済みの感熱用紙1を切断するための用紙カッタ221を備えている。
【0013】
プリンタ装置2は、印字制御部から印字開始命令が入力されると、例えば、図示しないモータによってプリントローラ212を回転させて感熱用紙1を移動(紙送り)させ、印字するデータに応じた熱をサーマルヘッド211に印加することによって感熱用紙1に印字を行う。また、プリンタ装置2は、印字制御部からの用紙切断命令に従って、例えば図示しないモータを回転させることによって用紙カッタ221を下方に移動させて感熱用紙1を切断する。なお、本発明においては、プリントローラ212の回転方法、サーマルヘッド211への熱の印加方法、用紙カッタ221による用紙の切断方法は、規定しない。
【0014】
用紙排出装置3は、図示しない印字制御部からの制御信号に従って印字済みの感熱用紙1の排出を制御する用紙排出制御装置である。用紙排出装置3は、図1(B)に示すように、それぞれ2つに分割され、上下から挟むことによって印字済みまたは印字中の感熱用紙1を支持する上ローラ31−1および下ローラ31−2(以下、まとめて表すときには「用紙排出ローラ31」という。)と、該用紙排出ローラ31の分割された間に配置され、感熱用紙1の有無および感熱用紙1の先端部と後端部を検出する反射型フォトセンサからなる用紙センサ32から構成される。
【0015】
なお、用紙排出装置3における用紙センサ32は、図1(A)および図1(B)に示すように上ローラ31−1の回転中心C1と下ローラ31−2の回転中心C2を結んだ中心線Y上で、上ローラ31−1と下ローラ31−2によって感熱用紙1を挟み込んだ際に下ローラ31−2と感熱用紙1が接する点の集合である接線X上で、用紙排出ローラ31の長さ方向の幅Wの中心位置に配置され、感熱用紙1の位置を用紙の下方から検出している。
【0016】
なお、上ローラ31−1の代わりに用紙を押さえつけて支える役割のみを備えた用紙抑え部材を使用し、感熱用紙1を移動(紙送り)させる部材が下ローラ31−2のみで構成されたプリントシステムにおいても、同様の考えで用紙センサ32を配置することができる。また、下ローラ31−2の代わりに上記と同様な用紙抑え部材を使用し、感熱用紙1を移動(紙送り)させる部材が上ローラ31−1のみで構成されたプリントシステムにおいては、下ローラ31−2のみで構成されたプリントシステムを上下逆に考えることで同様に構成することができる。
【0017】
用紙排出装置3は、印字制御部から印字開始命令が入力されると、例えば、図示しないモータによって用紙排出ローラ31を回転させて感熱用紙1を挟み込み、感熱用紙1の先端部を挟み込んだ時点で停止し、感熱用紙1を固定する。また、印字制御部から用紙搬送命令が入力されると、用紙排出ローラ31を回転させて感熱用紙1を搬送(紙送り)して、感熱用紙1の後端部を挟み込んだ時点で停止し、感熱用紙1を固定する。また、印字制御部から用紙排出命令が入力されると、用紙排出ローラ31を回転させて感熱用紙1を排出する。なお、本発明においては、用紙排出ローラ31の回転方法は、規定しない。
【0018】
次に、本実施形態におけるプリントシステムの制御について説明する。図2は、本実施形態のプリントシステムにおける印字制御部の構成を示したブロック図である。図2において、印字制御部は、印字処理部200、プログラムメモリ201、プリンタ制御部202、用紙排出制御部203から構成される。なお、印字制御部は、図示しない制御手段から入力された印字指示に従って該制御手段から入力された印字データを、プリンタ装置2を用いてプリントする。
【0019】
プログラムメモリ201は、本実施形態のプリントシステムの全体制御を行うためのシステムプログラムを記憶し、後述する印字処理部200から読み出されるメモリである。
【0020】
印字処理部200は、制御手段から入力された印字指示に従って後述するプリンタ制御部202および用紙排出制御部203を制御する例えばCPU(Central Processing Unit)等の処理手段である。
印字処理部200は、本実施形態のプリントシステムの電源がオンされたときにプログラムメモリ201からシステムプログラムを読み出し、印字待機状態となる。印字処理部200は、印字指示が入力されると、後述するプリンタ制御部202に印字開始命令を出力すると共に、入力された印字データを後述するプリンタ制御部202に出力し、印字の処理を行う。なお、印字処理部200による印字処理は、入力された印字データを印字する1ライン毎に分割し、その分割した1ライン毎の印字データを後述するプリンタ制御部202からの印字完了信号が入力される毎に順次出力する。また、印字処理中に印字処理部200は、後述する用紙排出制御部203に用紙センサ32のセンサ電圧検出命令を出力し、用紙排出の制御を行う。
【0021】
印字処理部200は、入力された印字データの印字が完了すると、後述するプリンタ制御部202に用紙切断命令を出力する。また、印字処理部200は、後述するプリンタ制御部202からの用紙切断完了信号が入力されると、後述する用紙排出制御部203に用紙搬送命令を出力する。また、印字処理部200は、用紙搬送命令を出力してから予め定められた時間が経過すると、後述する用紙排出制御部203に用紙排出命令を出力する。
【0022】
プリンタ制御部202は、印字処理部200から入力された印字開始命令、印字データ、および用紙切断命令に応じて該プリンタ制御部202が制御するプリンタ装置2を制御するブロックである。
プリンタ制御部202は、印字処理部200から印字開始命令が入力されると、プリンタ装置2のプリントローラ212へのプリント制御信号を出力して印字を開始する。また、プリンタ制御部202は、印字処理部200から入力された印字データを、サーマルヘッド211が印加する熱に対応したプリントデータに変換し、印字する1ライン毎にプリントデータをサーマルヘッド211に出力する。また、プリンタ制御部202は、印字処理部200から入力された印字データの印字が完了すると、印字完了信号を印字処理部200に出力する。
【0023】
プリンタ制御部202は、印字処理部200から用紙切断命令が入力されると、プリンタ装置2の用紙カット部22へのカッタ制御信号を出力して印字された用紙を切断し、該用紙の切断完了後に用紙切断完了信号を印字処理部200に出力する。
【0024】
用紙排出制御部203は、印字処理部200から入力されたセンサ電圧検出命令、用紙搬送命令、および用紙排出命令に応じて該用紙排出制御部203が制御する用紙排出装置3を制御するブロックである。
用紙排出制御部203は、印字処理部200からセンサ電圧検出命令が入力されると、用紙センサ32が出力するセンサ電圧を検出する。また、検出したセンサ電圧が予め定められた電圧値以下になると、用紙排出装置3の用紙排出ローラ31へのローラ制御信号を出力して感熱用紙1の先端部を用紙排出ローラ31に挟み込んで固定する。
【0025】
用紙排出制御部203は、印字処理部200から用紙搬送命令が入力されると、用紙排出装置3の用紙排出ローラ31へのローラ制御信号を出力し、感熱用紙1の後端部を用紙排出ローラ31に挟み込んで固定した状態で用紙排出ローラ31を停止させる。なお、印字処理部200から用紙搬送命令による用紙排出ローラ31の制御は、例えば、印字処理部200から入力された印字データに応じて印字したライン数等、印字された感熱用紙1の長さに関する情報に基づいて、紙送り(用紙搬送)の制御を行う。なお、本発明においては、用紙搬送命令に伴う用紙排出ローラ31の制御方法は、規定しない。
【0026】
用紙排出制御部203は、印字処理部200から用紙排出命令が入力されると、用紙排出装置3の用紙排出ローラ31へのローラ制御信号を出力し、感熱用紙1が排出されると用紙排出ローラ31を停止させ、印字処理部200に次の印字が可能であることを示す次印字可能信号を出力する。なお、印字処理部200から用紙排出命令による用紙排出ローラ31の制御は、用紙センサ32が出力するセンサ電圧を検出し、検出したセンサ電圧が予め定められた電圧値以下のとき、用紙排出ローラ31を回転させるローラ制御信号を出力して感熱用紙1を排出(紙送り)する。また、検出したセンサ電圧が予め定められた電圧値以上になると、用紙排出ローラ31の回転を停止させる。
【0027】
次に、本実施形態における用紙排出装置3において、用紙センサ32のセンサ電圧と用紙排出ローラ31の動作の関係について説明する。図3は、本実施形態の用紙排出装置3における用紙センサ32のセンサ電圧の変化を示したグラフである。図3において、用紙センサ32を覆う用紙の量(用紙センサ32が用紙によって隠れる量)によって変化するセンサ電圧を示している。
【0028】
まず、印字処理部200からの印字開始命令によって印字が開始されると、プリンタ装置2によって1ラインずつ印字が行われ、印字された感熱用紙1が用紙排出ローラ31に挿入され、感熱用紙1の先端部が用紙センサ32を覆うことによって、センサ電圧が下降してくる。
【0029】
続いて、用紙センサ32が感熱用紙1によって覆われ、センサ電圧がVAよりも低い電圧(ローラ回転開始ポイントA1)になると、用紙排出制御部203は1ステップずつ用紙排出ローラ31を回転させて、感熱用紙1の先端部を用紙排出ローラ31に挟み込む。
【0030】
続いて、用紙センサ32がさらに感熱用紙1によって覆われ、センサ電圧がVBよりも低い電圧(ローラ回転一時停止ポイントB1)になると、用紙排出制御部203は用紙排出ローラ31の回転を停止して、感熱用紙1の先端部を用紙排出ローラ31に完全に挟み込み固定する。なお、印字処理部200による印字処理中は、用紙排出ローラ31の停止が継続されるため、センサ電圧はローラ回転一時停止ポイントB1の値が継続される。
【0031】
続いて、印字処理部200による印字処理が完了し、印字処理部200から用紙搬送命令が入力されると、用紙排出制御部203は、用紙排出ローラ31を回転させて感熱用紙1の搬送を行う。その際、用紙センサ32が感熱用紙1によってさらに覆われることにより、センサ電圧は、完全に覆われた状態を示す最低電圧値となる。なお、用紙排出制御部203が、感熱用紙1の後端部を用紙排出ローラ31に挟み込んで固定した状態で用紙排出ローラ31の回転を停止させるため、センサ電圧は最低電圧値が継続される。
【0032】
続いて、予め定められた時間が経過後、印字処理部200から用紙排出命令が入力されると、用紙排出制御部203は、用紙排出ローラ31を回転させて感熱用紙1の排出を行う。その際、感熱用紙1の後端部が用紙センサ32を覆わなくなってくると、センサ電圧が上昇してくる。
【0033】
続いて、用紙センサ32がさらに感熱用紙1によって覆われなくなり、センサ電圧がVAよりも高い電圧(ローラ回転停止ポイントA2)になると、用紙排出制御部203は感熱用紙1が無くなったことを認識し、用紙排出ローラ31の回転を停止する。なお、印字処理部200から用紙排出命令が入力される前に用紙の受取人が印字された感熱用紙1を引き抜いた場合も、センサ電圧がVAより高くなり、用紙排出制御部203は感熱用紙1が無くなったことを認識することができる。なお、この場合、印字処理部200からの用紙搬送命令による処理によって、すでに用紙排出ローラ31は停止しているため、その後に入力される印字処理部200から用紙排出命令に応じた用紙排出ローラ31の制御は行わない。なお、本発明においては、用紙の受取人が印字された感熱用紙1を引き抜いた場合の用紙排出ローラ31の制御方法は、規定しない。
【0034】
次に、本実施形態におけるプリントシステムの処理手順について説明する。図4は、本実施形態のプリントシステムの処理手順を示したフローチャートである。なお、本実施形態のプリントシステムは、電源がオンされて印字待機状態となっているところから説明を行う。また、用紙センサ32のセンサ電圧に応じた判断の説明を行う際には、図3に示した用紙センサ32のセンサ電圧のグラフを参照する。
【0035】
まず、ステップS10において、印字処理部200は、制御手段から印字指示が入力されたか否かを確認し、印字指示が入力された場合は、ステップS20において、印字開始命令をプリンタ制御部202に出力し、印字を開始する。また、ステップS10において、印字指示が入力されていない場合は、ステップS10を繰り返す。
【0036】
続いて、印字処理部200は、ステップS30において、印字する1ライン分の印字データをプリンタ制御部202に出力する。また、印字処理部200は、用紙センサ32のセンサ電圧検出命令を用紙排出制御部203に出力する。
【0037】
続いて、印字処理部200は、ステップS40において、入力された印字データの全てをプリンタ制御部202に出力したか否かを判断し、全ての印字データをプリンタ制御部202に出力していない場合は、ステップS30に戻って次の1ライン分の印字データをプリンタ制御部202に出力すると共に、センサ電圧検出命令を用紙排出制御部203に出力する。このことにより、用紙排出制御部203に対するセンサ電圧検出命令が、印字する1ライン毎に出力される。
【0038】
なお、図示していないが、印字処理部200からの印字開始命令によって印字が開始されると、プリンタ制御部202は、プリンタ装置2のプリントローラ212へのプリント制御信号を出力して印字を開始する。また、印字処理部200から1ライン分の印字データが入力される毎に、プリンタ制御部202は、プリンタ装置2のプリントローラ212へのプリント制御信号(紙送り)、およびサーマルヘッド211が印加する熱に対応したプリントデータを出力する。また、プリンタ制御部202は、印字処理部200から入力された印字データの印字が完了すると、印字完了信号を印字処理部200に出力する。このことにより、プリンタ装置2において、プリントローラ212による感熱用紙1の紙送りと、サーマルヘッド211による感熱用紙1への熱印加が1ライン毎に行われ、この処理を繰り返すことにより、感熱用紙1への印字が行われる。
【0039】
また、印字処理部200によって印字が開始されると、用紙排出制御部203は、ステップS310において、印字処理部200からのセンサ電圧検出命令が入力された否かを確認し、印字処理部200からセンサ電圧検出命令が入力された場合は、ステップS320において、用紙センサ32のセンサ電圧を検出する。また、ステップS310において、印字処理部200からセンサ電圧検出命令が入力されていない場合は、ステップS310を繰り返す。
【0040】
続いて、用紙排出制御部203は、ステップS330において、検出した用紙センサ32のセンサ電圧が、予め定められた値、例えば、図3に示したVAよりも低い電圧であるか否かを判断し、用紙センサ32のセンサ電圧がVAよりも低い電圧である場合は、感熱用紙1の先端部が用紙排出ローラ31の用紙挿入口側に挿入されたと判断し、ステップS340に進む。ステップS330において、用紙センサ32のセンサ電圧がVAよりも低い電圧でない場合は、ステップS310の戻って次のセンサ電圧検出命令が入力されるのを待つ。
【0041】
続いて、用紙排出制御部203は、ステップS340において、印字処理部200からのセンサ電圧検出命令が入力された否かを確認し、印字処理部200からセンサ電圧検出命令が入力された、すなわち、次の1ライン分の印字が開始された場合は、ステップS350において、用紙排出装置3の用紙排出ローラ31へのローラ制御信号を出力して感熱用紙1の先端部を用紙排出ローラ31に挟み込んで固定する。また、用紙センサ32のセンサ電圧を検出する。また、ステップS340において、印字処理部200からセンサ電圧検出命令が入力されていない場合は、ステップS340を繰り返す。
【0042】
続いて、用紙排出制御部203は、ステップS360において、検出した用紙センサ32のセンサ電圧が、予め定められた値、例えば、図3に示したVBよりも低い電圧であるか否かを判断し、用紙センサ32のセンサ電圧がVBよりも低い電圧である場合は、感熱用紙1の先端部が用紙排出ローラ31に完全に挟み込まれて固定されたと判断し、ステップS710に進む。ステップS360において、用紙センサ32のセンサ電圧がVBよりも低い電圧でない場合は、ステップS340に戻って次のセンサ電圧検出命令が入力されるのを待ち、再度、用紙排出ローラ31への感熱用紙1の先端部が完全に挟み込まれるようにする。なお、用紙排出ローラ31に感熱用紙1の先端部が挟み込まれて固定された状態で印字処理部200による印字処理が行われる。このことにより、印字された感熱用紙1がプリンタ装置2と用紙排出装置3との間で図1(A)のa点に示したように屈曲して格納される。このことにより、感熱用紙1の受取人が印字中の感熱用紙に触れることを防止している。
【0043】
印字処理部200による印字処理が完了した場合、すなわち、ステップS40において、入力された全ての印字データをプリンタ制御部202に出力した場合、印字処理部200は、ステップS50において、用紙切断命令をプリンタ制御部202に出力する。印字処理部200から用紙切断命令が入力されると、プリンタ制御部202がプリンタ装置2の用紙カット部22にカッタ制御信号を出力して、印字された感熱用紙1が用紙カッタ221によって切断される。プリンタ制御部202は、感熱用紙1の切断が完了すると、用紙切断完了信号を印字処理部200に出力する。
【0044】
続いて、ステップS60において、印字処理部200は、プリンタ制御部202から用紙切断完了信号が入力されたか否かを確認し、用紙切断完了信号が入力された場合は、ステップS70において、用紙搬送命令を用紙排出制御部203に出力し、ステップS80に進む。また、ステップS60において、プリンタ制御部202からの用紙切断完了信号が入力されていない場合は、ステップS60を繰り返す。
【0045】
用紙排出制御部203は、ステップS710において、印字処理部200から用紙搬送命令が入力された否かを確認し、印字処理部200から用紙搬送命令が入力された場合は、ステップS720において、用紙搬送処理を行う。また、ステップS710において、印字処理部200から用紙搬送命令が入力されていない場合は、ステップS710を繰り返す。なお、ステップS720における用紙搬送処理は、例えば、入力された印字データを印字したときのライン数等、該印字によって使用された感熱用紙1の長さに対応するデータを印字処理部200から取得して、用紙排出装置3の用紙排出ローラ31に該取得した感熱用紙1の長さに対して予め定められた割合の紙送り(用紙搬送)を行うためのローラ制御信号を出力することによって行われる。このことにより、予め定められた割合の紙送りがされた感熱用紙1の後端部が、用紙排出ローラ31に挟み込まれた状態で固定され、感熱用紙1の受取人が印字された用紙を受け取りやすくする。
【0046】
また、印字処理部200は、ステップS80において、予め定められた時間、例えば、60sの経過時間を待ち、予め定められた時間が経過すると、ステップS90において、用紙排出命令を用紙排出制御部203に出力し、ステップS100に進む。
【0047】
用紙排出制御部203は、ステップS910において、印字処理部200から用紙排出命令が入力された否かを確認し、印字処理部200から用紙排出命令が入力された場合は、ステップS920において、用紙センサ32のセンサ電圧を検出する。また、ステップS910において、印字処理部200から用紙排出命令が入力されていない場合は、ステップS910を繰り返す。
【0048】
続いて、用紙排出制御部203は、ステップS930において、検出した用紙センサ32のセンサ電圧が、予め定められた値、例えば、図3に示したVAよりも高い電圧であるか否かを判断し、用紙センサ32のセンサ電圧がVAよりも高い電圧でない場合は、ステップS931において、用紙排出装置3の用紙排出ローラ31へのローラ制御信号を出力して感熱用紙1を排出(紙送り)し、用紙センサ32のセンサ電圧を検出して、ステップS930に戻って用紙センサ32のセンサ電圧の判断を行う。
【0049】
ステップS930において、検出した用紙センサ32のセンサ電圧が、VAよりも高い電圧である場合は、感熱用紙1の後端部が用紙排出ローラ31から完全に排出されたと判断し、ステップS1010に進み、次の印字が可能であることを示す次印字可能信号を印字処理部200に出力して、該印字における用紙排出処理を完了する。
【0050】
印字処理部200は、ステップS100において、用紙排出制御部203からの次印字可能信号が入力された否かを確認し、用紙排出制御部203から次印字可能信号が入力された場合は、ステップS110において、次に印字する印字データが入力されているか否かを確認し、次に印字する印字データが入力されている場合は、ステップS10に戻って次の印字処理を行う。また、印字処理部200は、ステップS100において、用紙排出制御部203から次印字可能信号が入力されていない場合は、ステップS100を繰り返す。また、印字処理部200は、ステップS110において、次に印字する印字データが入力されていない場合は、印字処理を完了する。
【0051】
上記に述べたとおり、本発明を実施するための最良の形態によれば、用紙センサ32の出力するセンサ電圧によって、感熱用紙1の先端部の位置を判断することができる。すなわち、用紙排出制御部203は、センサ電圧が、図3に示したVAより高い場合は、感熱用紙1が無く、センサ電圧がVAより低くVBより高い場合は、感熱用紙1の先端部が用紙センサ32上に有り、センサ電圧がVBより低い場合は、感熱用紙1の先端部が用紙排出ローラ31に完全に挟み込まれて固定されたと判断する。このことにより、印字開始から予め定められた時間以上経過しても用紙センサ32のセンサ電圧が変化しない(センサ電圧が下降してローラ回転開始ポイントA1を超えない)場合は、用紙排出ローラ31の用紙挿入口側で紙詰まりが起こっている可能性があると判断することができる。
【0052】
また、用紙の排出が開始してから予め定められた時間以上経過しても用紙センサ32のセンサ電圧が変化しない(センサ電圧が上昇してローラ回転停止ポイントA2を超えない)場合は、用紙排出ローラ31の用紙排出口側で紙詰まりが起こっている可能性があると判断することができる。
例えば、ステップS90において、用紙排出命令を用紙排出制御部203に出力してから、ステップS100において、用紙排出制御部203から次印字可能信号が入力されていない時間が、予め定められた時間以上経過した場合は、用紙排出口側で紙詰まりと判断することができる。また、例えば、ステップS930において、検出した用紙センサ32のセンサ電圧が、予め定められた値よりも高い電圧でない時間が、予め定められた時間以上経過した場合は、用紙排出口側で紙詰まりと判断することもできる。
【0053】
また、用紙センサ32の出力するセンサ電圧の変化(センサ電圧が下降しているか、またはセンサ電圧が上昇しているか)を確認することによって、感熱紙1の先端部であるか後端部であるかを判断することもできる。
【0054】
また、本実施形態において、ローラ回転開始ポイントA1と、ローラ回転停止ポイントA2とのセンサ電圧は、同じVAの電圧としたが、それぞれ異なる電圧値に設定することもできる。
【0055】
また、本実施形態において、用紙センサ32は、覆われることによってセンサ電圧が下降する構成としたが、用紙によって覆われることにより出力が変化するセンサであれば、予め定めるセンサの出力に応じた用紙排出ローラ31の制御を変更する(ローラ回転一時停止ポイントB1の電圧をローラ回転開始ポイントA1、およびローラ回転停止ポイントA2よりも高い電圧とする)ことによって、例えば、センサが用紙によって覆われることによりセンサ電圧が上昇するセンサ等、どのようなセンサを使用することもできる。
【0056】
また、本実施形態において、用紙排出ローラ31は、センサ電圧がVAよりも低い電圧(ローラ回転開始ポイントA1)になったときに回転させる構成としたが、用紙排出ローラ31の回転を開始するタイミングは規定しない。例えば、印字開始と同時に用紙排出ローラ31を回転させることや、印字開始から予め定められた時間が経過したときに用紙排出ローラ31を回転させることもできる。
【0057】
また、本実施形態において、ステップS80およびステップS90で示したように、予め定められた時間が経過しても受取人によって感熱用紙1が受け取られていない場合の用紙排出処理は、感熱用紙1を紙送りして用紙排出装置3から排出する方法を説明したが、例えば、用紙排出装置3または、プリンタ装置2と用紙排出装置3との間に感熱用紙1を廃棄するために一時保存する構成を設け、用紙排出処理時に用紙排出ローラ31を逆回転させて、受取人によって受け取られなかった感熱用紙1を、この一時保存する構成とすることもできる。
【0058】
なお、本発明においては、プリンタ装置における用紙への印字方法、用紙の紙送り方法、用紙の切断方法は規定しない。
【0059】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態によるプリントシステムの概略構成を示した図である。
【図2】本実施形態のプリントシステムにおける印字制御部の構成を示したブロック図である。
【図3】本実施形態の用紙排出装置におけるセンサ電圧の変化を示したグラフである。
【図4】本実施形態のプリントシステムの処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 感熱用紙 2 プリンタ装置 3 用紙排出装置 21 プリント部 22 用紙カット部 211 サーマルヘッド 212 プリントローラ 221 用紙カッタ 31 用紙排出ローラ 31−1 上ローラ 31−2 下ローラ 32 用紙センサ 200 印字処理部 201 プログラムメモリ 202 プリンタ制御部 203 用紙排出制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ装置によって印字された用紙を排出する用紙排出装置において、
挿入された用紙を挟み込んで保持するとともに、ローラの回転によって前記用紙を搬送する用紙排出ローラと、
前記用紙排出ローラの外側の円周に向かう中心線上で、前記用紙排出ローラが前記用紙を挟み込んだ際の該用紙排出ローラと該用紙が接する線上の用紙位置を検出するように配置され、該用紙排出ローラが該用紙を挟み込んだ量に基づいた電圧値を出力する用紙センサと、
前記用紙センサの出力値に基づいて前記用紙排出ローラを制御し、前記用紙を搬送する用紙排出制御手段と、
を備えることを特徴とする用紙排出装置。
【請求項2】
前記用紙排出制御手段は、
前記用紙が挿入され、前記用紙センサが該用紙の先端部を検出したときに前記ローラの回転を開始して該用紙を挟み込んで前記ローラの回転を停止し、
前記プリンタ装置の印字が完了した後に前記ローラの回転を開始して前記プリンタ装置が印字した量に応じた該用紙を搬送した後に前記ローラの回転を停止して該用紙を保持し、
次の用紙が挿入される前に回収されなかった該用紙を排出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の用紙排出装置。
【請求項3】
プリンタ装置によって印字された用紙を排出する用紙排出装置における用紙排出方法において、
挿入された用紙を挟み込んで保持するとともに、ローラの回転によって前記用紙を搬送する用紙搬送手順と、
前記ローラの外側の円周に向かう中心線上で、前記ローラが前記用紙を挟み込んだ際の該ローラと該用紙が接する線上の用紙位置を検出する用紙位置検出手順と、
前記用紙位置検出手順が検出した前記用紙の位置に基づいて前記ローラを制御する用紙排出制御手順と、
を備えることを特徴とする用紙排出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−115815(P2010−115815A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289479(P2008−289479)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】