説明

田植機における苗植付け機構

【課題】 駆動軸13に固着した回転ケース14に,分割爪20を備えた苗植ケース18を装着し,この苗植ケースを,前記回転ケースの回転によって,上下に往復動するように構成し,更に,前記苗植ケースに,前記分割爪に沿って往復動するように設けた押し出し具25,26を,前記往復動のうち下降行程の下死点から上昇行程に移行する時期に,ばね手段29に抗して分割爪の先端から後退動し,その往復動のうち下降行程の下死点の時期に,前記ばね手段にて分割爪の先端に向かって前進動するように構成して成る苗植付け機構において,前記回転ケースの回転に回転変動が発生することを低減する。
【解決手段】 前記駆動軸と一緒に又はこれに連動して回転するカム36と,回転しない弾性体37,38とを備え,前記カムに,隆起部39,40を設けて,この隆起部を,前記弾性体に,前記往復動のうち下降行程の下死点又はその近傍の時期に,当該弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,田植機において,一つの回転ケースに,少なくとも二つの苗植体を備えて成るロータリー式の苗植付け機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,この種のロータリー式の苗植付け機構は,例えば,特許文献1等に記載されているように,田植機における伝動ケースに横向きに軸支した駆動軸に回転ケースを固着し,この回転ケースにおける前記駆動軸を中心とする円周上の等分二箇所に,植付け軸を前記駆動軸を平行に軸支して,この各植付け軸に,分割爪を備えた苗植ケースを装着し,前記回転ケース内のうち前記駆動軸と前記各植付け軸との間に,当該回転ケースの一回転中に各植付け軸を逆方向に一回転するようにした連動機構を設けて,前記各苗植ケースを,田植機における苗載台と圃場面との間を,その各々における分割爪の先端が上下方向の閉ループの運動軌跡を描いて往復動するように構成する。
【0003】
また,この従来のロータリー式苗植付け機構においては,前記各苗植ケースに,前記分割爪に沿って往復動する押し出し具を設け,この押し出し具を,前記苗植ケースの往復動に連動して,その往復動のうち下降行程の下死点から上昇行程に移行する時期においてばね手段に抗して分割爪の先端から後退動し,その往復動のうち下降行程の下死点の時期において,前記ばね手段におけるばね力にて分割爪の先端に向かって前進動するという構成にしている。
【0004】
この構成によると,前記苗植ケースにおける分割爪の先端部が,その下降行程において,苗載台から一株の苗を分割し,この一株の苗を保持した状態で圃場面に進入した時期に,前記押し出し具が,前記ばね手段におけるばね力で,分割爪の先端部に向かって前進動することにより,前記一株の苗を強制的に押し出すことになるから,苗の植付けの確実性を向上できるとともに,植付け姿勢の安定化を図ることができる。
【特許文献1】特開2000−139146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,従来のロータリー式苗植付け機構においては,前記押し出し具を,回転ケースの一回転中のうち前記分割爪が圃場面に最も深く進入する下死点から上昇動するとき,分割爪の先端からばね手段に抗して,つまり,このばね手段に弾性力を蓄えるようにして後退動させ,前記下死点に向かって下降動するとき,前記ばね手段に蓄えた弾性力にて分割爪の先端に向かって前進動するように構成しているために,以下に述べるような問題があった。
【0006】
すなわち,前記回転ケースの一回転のうち前記往復動の下死点後の時期には,前記押し出し具を,そのばね手段に抗して後退動するためのトルクが,前記回転ケースの回転を妨げるように作用し,換言すると,前記回転ケースの回転駆動には,前記押し出し具を,そのばね手段に抗して後退動するためのトルクが,回転ケースの回転を妨げる負のトルクとして作用するから,前記回転ケースの一回転中における回転速度が,前記往復動の下死点後の時期において遅れ勝手になるというように変動することになる。
【0007】
前記回転ケースの一回転中におけるこのような回転速度の変動は,圃場面に対する苗の植付け姿勢の変動を招来するばかりか,圃場面に植付けた苗の蹴飛ばしを招来するという問題があった。
【0008】
特に,前記回転ケースの一回転のうち前記各苗植体における分割爪が苗載台から苗を分割するときには,この苗分割に要するトルクが当該回転ケースの回転を妨げる抵抗として作用し,この苗分割に要するトルクは,前記往復動のうち前記下死点と丁度反対の上死点を過ぎた時期において作用し,換言すると,回転ケースの回転駆動には,前記苗分割に要するトルクが,前記押し出し具をそのばね手段に抗して後退動することに要する負のトルクに引き続いて,回転ケースの回転を妨げる負のトルクとして作用するから,前記回転ケースの一回転中における回転速度の変動は,一層に拡大されるのであった。
【0009】
本発明は,この問題を,つまり,回転ケースの一回転中における回転速度の変動を低減することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は,
「田植機における伝動ケースに横向きに軸支した駆動軸に回転ケースを固着し,この回転ケースにおける前記駆動軸を中心とする円周上の少なくとも等分二箇所に軸支した植付け軸に,分割爪を備えた苗植ケースを装着し,この各苗植ケースを,前記回転ケースの回転によって,当該苗植ケースにおける分割爪が田植機における苗載台の方向を向いた姿勢で上下に往復動するように構成し,更に,前記各苗植ケースに,前記分割爪に沿って往復動する押し出し具を設け,この押し出し具を,前記苗植ケースの往復動に連動して,その往復動のうち下降行程の下死点から上昇行程に移行する時期に,前記苗植ケースに設けたばね手段に抗して分割爪の先端から後退動し,その往復動のうち下降行程の下死点の時期に,前記ばね手段にて分割爪の先端に向かって前進動するように構成して成る苗植付け機構において,
前記駆動軸と一緒に又はこれに連動して回転するように設けたカムと,回転しないように設けた弾性体とを備え,前記カムに,隆起部を設けて,この隆起部を,前記弾性体に対して,前記各苗植ケースにおける往復動のうち下降行程の下死点又はその近傍の時期に,当該弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当するか,或いは,前記各苗植ケースにおける往復動のうち上昇行程の上死点又はその近傍の時期に,当該弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当する。」
ことを特徴としている。
【0011】
また,本発明の請求項2は,
「田植機における伝動ケースに横向きに軸支した駆動軸に回転ケースを固着し,この回転ケースにおける前記駆動軸を中心とする円周上の少なくとも等分二箇所に軸支した植付け軸に,分割爪を備えた苗植ケースを装着し,この各苗植ケースを,前記回転ケースの回転によって,当該苗植ケースにおける分割爪が田植機における苗載台の方向を向いた姿勢で上下に往復動するように構成し,更に,前記各苗植ケースに,前記分割爪に沿って往復動する押し出し具を設け,この押し出し具を,前記苗植ケースの往復動に連動して,その往復動のうち下降行程の下死点から上昇行程に移行する時期に,前記苗植ケースに設けたばね手段に抗して分割爪の先端から後退動し,その往復動のうち下降行程の下死点の時期に,前記ばね手段にて分割爪の先端に向かって前進動するように構成して成る苗植付け機構において,
前記駆動軸と一緒に又はこれに連動して回転するように設けたカムと,回転しないように設けた二つの弾性体とを備え,前記カムに,二つの隆起部を設けて,この両隆起部のうち一方の隆起部を,前記二つの弾性体のうち一方の弾性体に対して,前記各苗植ケースにおける往復動のうち下降行程の下死点又はその近傍の時期に,当該一方の弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当する一方,前記両隆起部のうち他方の隆起部を,前記二つの弾性体のうち他方の弾性体に対して,前記各苗植ケースにおける往復動のうち上昇行程の上死点又はその近傍の時期に,当該他方の弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当する。」
ことを特徴としている。
【0012】
更にまた,本発明の請求項3は,
「前記請求項2の記載において,前記二つの隆起部を,前記カムにおける外周面に180度の角度をずらせて設ける一方,前記二つの弾性体を板ばねにして,この両板ばねを,前記カムをその回転軸線と直角方向の左右両側から挟むように配設した。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
前記請求項1に記載した構成にすることにより,苗植ケースにおける下降行程のうち下死点に至るまでの間,或いは,上昇行程のうち上死点に至るまでの間において,回転するカムに設けた隆起部が,弾性体をその弾性に抗して弾性変形することにより,前記弾性体に,弾性力が蓄えられる。
【0014】
次いで,前記苗植ケースにおける往復動が,下死点を越えるか,上死点を越えると,前記回転するカムには,前記弾性体に蓄えられた弾性力が,隆起部を介して当該カムを進み回転するように作用する。
【0015】
このように,回転ケースに連動して回転するカムに対して,苗植ケースにおける往復動のうち下死点から上昇行程に移行する時期において,当該カムを進み回転するようにした正のトルクが付与されることにより,この正のトルクの分だけ,前記苗植ケースにおける押し出し具をそのばね手段に抗して後退動することに要する負のトルク,及び苗植ケースにおける分割爪が苗載台から苗に分割することに要する負のトルクを確実に減少でき,これにより,前記回転ケースの回転が,苗植ケースにおける往復動のうち下死点から上昇行程に移行する時期において遅れ勝手になることを確実に低減できるから,回転ケースにおける回転の大幅な安定化を図ることができる。
【0016】
特に,前記請求項2に記載した構成することにより,前記カムを進み回転する正のトルクを,二つの隆起部と二つの弾性体によって付与することができるから,前記した効果を助長できる。
【0017】
また,請求項3に記載した構成によると,前記カムを進み回転する正のトルクを付与するための機構を,小型・軽量化できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下,本発明の実施の形態を,乗用型の多条植え田植機に適用した場合の図面について説明する。
【0019】
図において,符号1は,8条植えの乗用型田植機を示し,この田植機1は,左右一対の前輪3及び後輪4にて支持された走行機体2と,この走行機体2の後部に昇降可能に装着した苗植装置5とを備えて,前記走行機体2には,エンジン6が搭載されるとともに,操縦座席7が設けられている。
【0020】
前記苗植装置5は,前記エンジン6から動力伝達される伝動ケース8と,この伝動ケース8に横方向に適宜の条間隔で並列に配設した8個のロータリー式苗植付け機構9と,左右往復移動するように後方下向き傾斜配設された苗載台10と,前記各苗植付け機構9の間において圃場面11の表面を滑走するように配設した複数個のフロート12とによって構成されている。
【0021】
前記各苗植付け機構9は,図3〜図6に示すように構成されている。
【0022】
すなわち,前記伝動ケース8に水平横向きにして軸支され,且つ,前記エンジン6から動力される駆動軸13を備えて,この駆動軸13のうち前記伝動ケース8から突出する部分には,側面視小判型の回転ケース14を着脱可能に固着して,この回転ケース14を,前記駆動軸13によって田植機1の側面視において矢印Aで示すように,反時計方向に回転するもので,この回転ケース14内における前記駆動軸13上には,太陽歯車15が回転自在に被嵌され,該太陽歯車15は,前記伝動ケース8に対して連結部材35を介して回転不能に係止されている。
【0023】
前記回転ケース14の外周部,つまり,左右両端部には,前記駆動軸13からの距離が等しい位置に,後述する押し出し具用の作動軸16が駆動軸13と平行に軸支されている。また,前記回転ケース14内における両作動軸16上には,中空状の植付け軸17が回転自在に被嵌されている。
【0024】
この植付け軸17及び前記作動軸16の各端部を回転ケース14の側面から外に突出して,この各植付け軸17の突出端の各々に,アルミ合金等の軽合金にて上面に開放するように中空状にした苗植ケース18をボルト19にて取付け,この各苗植ケース18の先端におけるボス部18aには,分割爪20が前記苗載台10に向かう姿勢位置にして固着されている一方,前記作動軸16の先端は,前記苗植ケース18の中空部内に突出して,この部分に,押し出し作動用のカム21が固着されており,前記苗植ケース18の上面には,当該苗植ケース18内を密封するための蓋体33が取付けられている。
【0025】
そして,前記各植付け軸17上には,前記太陽歯車15と同歯数の遊星歯車22が嵌着されている一方,前記回転ケース14内には,前記太陽歯車15と前記遊星歯車22とに同時に噛合する中間歯車23を設けて,歯車列機構を構成して,この歯車列機構にて,前記回転ケース14における反時計方向の一回転中に,前記各植付け軸17を時計方向に一回転することにより,前記各苗植ケース18を,その分割爪20が苗載台10に向かう姿勢を保持した状態で,前記苗載台10と圃場面11との間を往復動するように構成している。
【0026】
この場合,前記歯車機構を構成する前記太陽歯車15,前記遊星歯車22及び前記中間歯車23を例えば特公昭63−20486号公報及び特開昭63−74413号公報等に記載されているように偏芯歯車等の非円形歯車に構成することにより,前記各苗植ケース18における分割爪20の先端が,図3に図示したように,上下方向に長い楕円状閉ループの運動軌跡24を描くように構成している。
【0027】
前記各苗植ケース18におけるボス部18aには,押し出し具を構成する押し出し軸25が,前記分割爪20の長手方向と平行に延びる軸線方向に摺動自在に貫通するように設けられ,その下端には断面U字状にした押し出し片26が,前記分割爪20の後面に近接するように固定されており,前記押し出し軸25の上端は苗植ケース18内に突出され,この押し出し軸25の上端に,前記苗植ケース18内に上下方向に揺動回動するようにピン27にて枢着して成る押し出しレバー28の先端が,当該押し出しレバー28における下向き回動により前記押し出し軸25が分割爪20の先端部に向かう方向に前進動し,当該押し出しレバー28における上向き回動により前記押し出し軸25が分割爪20の先端部から根元部の方向に後退動するように,連結片34を介して連結されている。
【0028】
また,前記苗植ケース18内には,前記押し出しレバー28を下向き方向に付勢するばね手段29が,前記押し出しレバー28と蓋体33との間に設けられている一方,前記押し出しレバー28における基端を,前記押し出し作動用カム21の外周面に接当することにより,前記回転ケース14の回転に連動して,前記各苗植ケース18における分割爪20の先端が回転ケース14の回転に伴ってその往復動のうち下降下限における下死点の近傍に来たとき,前記押し出しレバー28が前記ばね手段29の押圧付勢によって下向きに回動し,各苗植ケース18が回転ケース14の回転に伴ってその往復動のうち下死点から上昇動するとき,前記押し出しレバー28が前記ばね手段29に抗して上向きに回動するように構成している。
【0029】
更にまた,前記苗植ケース18における底面板18bには,苗植ケース18内に突出するボス部31を一体的に設け,このボス部31内に,ゴム等の軟質弾性体32を,着脱可能に装填して,この軟質弾性体32の上面に,前記押し出しレバー28がその下向き回動の終端において接当するように構成する。
【0030】
そして,前記駆動軸13のうち前記伝動ケース8内の部分には,カム36を嵌着して設ける一方,前記伝動ケース8内には,弾性体としての二つの板ばね37,38を,図6及び図7に示すように,前記カム36をその回転軸線と直角方向の左右両側から挟むように配設して,この両板ばね37,38の両端を,前記伝動ケース8に当該両板ばね37,38がその弾性に抗して外向きの湾曲状に弾性変形するように係着する。
【0031】
一方,前記カム36における外周面には,二つの隆起部39,40を,180°の角度をずらせて設けて,この両隆起部39,40のうち一方の隆起部39を,前記二つの板ばね37,38のうち一方の板ばね37に対して,前記各苗植ケース18における往復動のうち下降行程の下死点又はその近傍の時期に,当該一方の板ばね37をその弾性力に抗して外向きに弾性変形するように接当する一方,前記両隆起部39,40のうち他方の隆起部40を,前記二つの板ばね37,38のうち他方の板ばね38に対して,前記各苗植ケース18における往復動のうち上昇行程の上死点又はその近傍の時期に,当該他方の板ばね38をその弾性力に抗して外向きに弾性変形するように接当する。
【0032】
この構成において,回転ケース14の矢印A方向への公転回転に伴って,その公転の回転角度と同じ回転角度だけ矢印A方向とは逆向きの方向に植付け軸17を中心として苗植ケース18が自転するから,各苗植ケース18は,その分割爪20が苗載台10の方向を向いた状態で上下方向に往復動するように旋回運動することになり,この旋回運動中において,苗載台10の上面に面する側において上から下に下降するとき,先端の分割爪20にて苗載台10上の苗マット30から苗を一株だけ分割したのち,この一株の苗を,その下降下限の下死点近傍において分割爪20の先端が圃場面11中に進入する。
【0033】
このとき,前記苗植ケース18内における押し出しレバー28が,ばね手段29のはね力にて下向きに回動することにより,押し出し片26が分割爪20の先端に向かって前進動するから,前記分割爪20の先端における一株の苗は,押し出されるようにして圃場面11に植付けられる一方,両板ばね39,40が,図6に示すように,カム36における両隆起部39,40にて外向きに弾性変形されることにより,前記両板ばね39,40に弾性力が蓄えられる。
【0034】
この苗の植付けが終わると,分割爪20は,圃場面11より上昇動する。この上昇動と同時に,前記押し出しレバー28が,ばね手段29に抗して上向きに回動することにより,前記押し出し片26は,分割爪20の先端から根元部の方向に後退動する一方,前記カム36には,前記両板ばね37,38に蓄えられた弾性力が,隆起部39,40を介して当該カム36を進み回転するように作用する。
【0035】
このように,回転ケース14に連動して回転するカム36に対して,苗植ケース18における往復動のうち下死点から上昇行程に移行する時期において,当該カム36を進み回転するようにした正のトルクが付与されることにより,この正のトルクの分だけ,前記苗植ケース18における押し出し軸25をそのばね手段29に抗して後退動することに要する負のトルク,及び苗植ケース18における分割爪20が苗載台10から苗に分割することに要する負のトルクを確実に減少できる。
【0036】
そして,前記苗植ケース18が,前記下死点と前記上死点との間に位置するときには,前記カム36における両隆起部39,40は,図7に示すように,両板ばね37,38の間に位置して,両板ばね37,38を弾性変形しない状態になる。
【0037】
なお,前記実施の形態は,前記カム36を,前記回転ケース14を固着する駆動軸13に設けた場合であったが,本発明は,これに限らず,前記回転ケース14と一緒に又はこれに連動して回転する軸,例えば,前記駆動軸13への動力伝達軸等に設けるという構成にして良いことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】乗用型田植機の側面図である。
【図2】乗用型田植機の平面図である。
【図3】図1における苗植付け機構の拡大側面図である。
【図4】図3のIV−IV視拡大断面図である。
【図5】図4のV−V視拡大断面図である。
【図6】図4のVI−VI視断面図で下死点にある状態を示す図である。
【図7】図4のVI−VI視断面図で上死点にある状態を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 田植機
2 走行機体
3,4 車輪 5 苗植装置
8 伝動ケース
9 苗植付け機構
10 苗載台
11 圃場面
12 フロート
13 駆動軸
14 回転ケース
18 苗植ケース
20 分割爪
21 押し出し作動用カム
25 押し出し軸
26 押し出し片
28 押し出しレバー
29 ばね手段
32 軟質弾性体
36 カム
37,38 板ばね
39,40 隆起部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
田植機における伝動ケースに横向きに軸支した駆動軸に回転ケースを固着し,この回転ケースにおける前記駆動軸を中心とする円周上の少なくとも等分二箇所に軸支した植付け軸に,分割爪を備えた苗植ケースを装着し,この各苗植ケースを,前記回転ケースの回転によって,当該苗植ケースにおける分割爪が田植機における苗載台の方向を向いた姿勢で上下に往復動するように構成し,更に,前記各苗植ケースに,前記分割爪に沿って往復動する押し出し具を設け,この押し出し具を,前記苗植ケースの往復動に連動して,その往復動のうち下降行程の下死点から上昇行程に移行する時期に,前記苗植ケースに設けたばね手段に抗して分割爪の先端から後退動し,その往復動のうち下降行程の下死点の時期に,前記ばね手段にて分割爪の先端に向かって前進動するように構成して成る苗植付け機構において,
前記駆動軸と一緒に又はこれに連動して回転するように設けたカムと,回転しないように設けた弾性体とを備え,前記カムに,隆起部を設けて,この隆起部を,前記弾性体に対して,前記各苗植ケースにおける往復動のうち下降行程の下死点又はその近傍の時期に,当該弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当するか,或いは,前記各苗植ケースにおける往復動のうち上昇行程の上死点又はその近傍の時期に,当該弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当することを特徴とする田植機における苗植付け機構。
【請求項2】
田植機における伝動ケースに横向きに軸支した駆動軸に回転ケースを固着し,この回転ケースにおける前記駆動軸を中心とする円周上の少なくとも等分二箇所に軸支した植付け軸に,分割爪を備えた苗植ケースを装着し,この各苗植ケースを,前記回転ケースの回転によって,当該苗植ケースにおける分割爪が田植機における苗載台の方向を向いた姿勢で上下に往復動するように構成し,更に,前記各苗植ケースに,前記分割爪に沿って往復動する押し出し具を設け,この押し出し具を,前記苗植ケースの往復動に連動して,その往復動のうち下降行程の下死点から上昇行程に移行する時期に,前記苗植ケースに設けたばね手段に抗して分割爪の先端から後退動し,その往復動のうち下降行程の下死点の時期に,前記ばね手段にて分割爪の先端に向かって前進動するように構成して成る苗植付け機構において,
前記駆動軸と一緒に又はこれに連動して回転するように設けたカムと,回転しないように設けた二つの弾性体とを備え,前記カムに,二つの隆起部を設けて,この両隆起部のうち一方の隆起部を,前記二つの弾性体のうち一方の弾性体に対して,前記各苗植ケースにおける往復動のうち下降行程の下死点又はその近傍の時期に,当該一方の弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当する一方,前記両隆起部のうち他方の隆起部を,前記二つの弾性体のうち他方の弾性体に対して,前記各苗植ケースにおける往復動のうち上昇行程の上死点又はその近傍の時期に,当該他方の弾性体をその弾性力に抗して弾性変形するように接当することを特徴とする田植機における苗植付け機構。
【請求項3】
前記請求項2の記載において,前記二つの隆起部を,前記カムにおける外周面に180度の角度をずらせて設ける一方,前記二つの弾性体を板ばねにして,この両板ばねを,前記カムをその回転軸線と直角方向の左右両側から挟むように配設したことを特徴とする田植機における苗植付け機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−129752(P2006−129752A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320604(P2004−320604)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】