説明

画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】 センサチップ間で出力レベルに大きなばらつきがある場合であっても、センサチップの継ぎ目を目立ちにくくすることができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 欠落画素に隣接するチップ端画素を含む周辺画素グループ内における隣接画素間で画素データの差分を求める周辺画素変化パターン算出部と、周辺画素グループとは位置が異なる任意の比較画素グループ内における隣接画素間で画素データの差分を求める比較画素変化パターン算出部と、周辺画素グループ及び比較画素グループ間で変化パターンを比較し、相関が最も高い比較画素グループを参照画素グループとして抽出する変化パターン比較部と、参照画素グループ内のチップ端画素に対応する画素の画素データ、参照画素グループに隣接する画素であって、欠落画素に対応する画素の画素データ及びチップ端画素の画素データに基づいて、欠落画素の画素データを求める画素データ算出部により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに係り、さらに詳しくは、多数の受光素子がそれぞれ形成された複数のセンサチップを含むラインセンサから受光素子の画素データを取得してライン読取画像を生成する画像処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
密着型のラインイメージセンサ、いわゆるCIS(Contact Image Sensor:コンタクトイメージセンサ)は、略直線状に配列された複数のセンサチップにより構成され、原稿台上に載置された原稿を読み取って、1ライン分の画像を順次に生成する光学読取装置である。各センサチップは、多数の受光素子の1次元配列からなる撮像回路であり、共通の基板上にマウントされる。また、各センサチップは、受光素子の配列方向に連結される。
【0003】
現在のセンサマウント技術では、解像度が高くなれば、隣接する2つのセンサチップの継ぎ目部分の間隔をセンサチップ内における受光素子の配列ピッチ以下にすることが困難である。このため、読取画像の品質がセンサチップの継ぎ目部分で劣化するという課題があった。そこで、ラインイメージセンサが読み取った画素データに対し、センサチップ間において欠落する画素データを補間してライン読取画像を生成する画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
センサチップ間の欠落画素の画素データは、例えば、欠落画素に隣接する画素の画素データを用いた線形補間、或いは、画素列間の輝度比較によるパターンマッチングにより求められる。線形補間による方法では、欠落画素に隣接する2つの画素について、画素データの平均値を算出することにより、欠落画素の画素データが求められる。しかし、この様な方法では、読取画像が、比較的に長い周期で輝度が変化する低周波数成分からなる場合に、良好な補間結果が得られるものの、輝度が短い周期で変化する高周波数成分からなる場合には、適切な補間結果が得られないという問題があった。
【0005】
一方、パターンマッチングによる方法では、例えば、欠落画素と比較するための比較対象画素を含み、その比較対象画素の位置が異なる複数の比較ブロックについて、比較ブロック内の画素データが欠落画素を含む基準ブロック内の画素データと比較される。欠落画素の画素データは、基準ブロックに対して輝度分布の相関が最も高い比較ブロックに基づいて決定される。この様な方法では、読取画像が高周波数成分からなる場合であっても、良好な補間結果が得られる。しかしながら、センサチップの個体差に起因して、センサチップ間で出力レベルに大きなばらつきがある場合に、適切な補間結果が得られないという問題があった。すなわち、センサチップ間で出力レベルに大きなばらつきがあれば、対応する画素間における画素データの比較では、基準ブロックと同じ輝度変化の比較ブロックを正しく特定することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−142667号公報
【特許文献2】特開2010−178174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、欠落画素の画素データを補間して生成されるライン読取画像の画質を向上させることができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【0008】
特に、個体差に起因してセンサチップ間で出力レベルに大きなばらつきがある場合であっても、良好な補間結果が得られ、センサチップの継ぎ目を目立ちにくくすることができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【0009】
また、本発明は、その様な画像処理装置において用いられる画像処理方法を提供することを目的としている。また、本発明は、コンピュータを上記画像処理装置として機能させるための画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明による画像処理装置は、多数の受光素子がそれぞれ形成された2以上のセンサチップを含むラインセンサから上記受光素子の画素データを取得し、上記センサチップ間において欠落する画素データを補間してライン読取画像を生成する画像処理装置であって、上記センサチップ間の欠落画素に隣接するチップ端画素を含み、かつ、上記センサチップ内において連続する3以上の画素からなる周辺画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める周辺画素変化パターン算出部と、上記周辺画素グループとは位置が異なる比較画素グループであって、連続する3以上の画素からなる任意の比較画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める比較画素変化パターン算出部と、上記周辺画素グループの変化パターンと、互いに位置が異なる2以上の上記比較画素グループの変化パターンとを比較し、上記周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い上記比較画素グループを参照画素グループとして抽出する変化パターン比較部と、上記参照画素グループ内の上記チップ端画素に対応する第1画素の画素データ、上記参照画素グループに隣接する画素であって、上記欠落画素に対応する第2画素の画素データ、及び、上記チップ端画素の画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求める画素データ算出部とを備えて構成される。
【0011】
この画像処理装置では、欠落画素に隣接する周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い比較画素グループを抽出して欠落画素の画素データが求められる。画素グループ内の隣接画素間における画素データの差分から変化パターンを求めて周辺画素グループ及び比較画素グループの比較を行うので、個体差に起因してセンサチップ間で出力レベルに大きなばらつきがある場合であっても、比較画素グループを適切に抽出することができる。つまり、周辺画素グループに対する変化パターンの相関が最も高い比較画素グループが正しく特定されるので、良好な補間結果が得られ、センサチップの継ぎ目を目立ちにくくすることができる。
【0012】
第2の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記変化パターン比較部が、変化パターンが上記周辺画素グループと一致する上記比較画素グループを上記参照画素グループとして抽出するように構成される。この様な構成によれば、周辺画素グループと輝度変化のパターンが同じ比較画素グループを正しく特定することができる。
【0013】
第3の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記画素データ算出部が、変化パターンが上記周辺画素グループと一致する上記比較画素グループが存在しない場合に、上記欠落画素を挟んで配置される第1チップ端画素及び第2チップ端画素の各画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求めるように構成される。この様な構成によれば、周辺画素グループと同じ輝度変化の比較画素グループが特定できなくても、良好な補間結果を得ることができる。
【0014】
第4の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記画素データ算出部が、上記第1画素の画素データと上記第2画素の画素データとから求められる画素データの変化量を上記チップ端画素の画素データに加算して、上記欠落画素の画素データを求めるように構成される。この様な構成によれば、参照画素グループ内の第1画素の画素データ、参照画素グループに隣接する第2画素の画素データ及びチップ端画素の画素データから欠落画素の画素データを求める構成を簡素化することができる。
【0015】
第5の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記周辺画素変化パターン算出部が、上記欠落画素を挟んで配置される第1周辺画素グループ及び第2周辺画素グループをそれぞれ上記周辺画素グループとし、各周辺画素グループについて上記変化パターンを求め、上記比較画素変化パターン算出部が、上記欠落画素と比較するための比較対象画素を挟んで配置される第1比較画素グループ及び第2比較画素グループをそれぞれ上記比較画素グループとし、各比較画素グループについて上記変化パターンを求め、上記変化パターン比較部が、上記第1及び第2周辺画素グループの変化パターンと、上記比較対象画素の位置が異なる2以上の上記第1及び第2比較画素グループの変化パターンとを比較し、第1及び第2周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い第1及び第2比較画素グループを第1及び第2参照画素グループとして抽出し、上記画素データ算出部が、上記第1参照画素グループに基づいて上記欠落画素の第1画素データを求めるとともに、上記第2参照画素グループに基づいて上記欠落画素の第2画素データを求め、上記第1及び第2画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求めるように構成される。
【0016】
この様な構成によれば、欠落画素を挟んで配置される第1及び第2周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い第1及び第2比較画素グループを抽出して欠落画素の画素データを求めるので、欠落画素の輝度特定の精度を向上させることができる。
【0017】
第6の本発明による画像処理方法は、多数の受光素子がそれぞれ形成された2以上のセンサチップを含むラインセンサから取得した上記受光素子の画素データに対し、上記センサチップ間において欠落する画素データを補間してライン読取画像を生成する画像処理方法であって、上記センサチップ間の欠落画素に隣接するチップ端画素を含み、かつ、上記センサチップ内において連続する3以上の画素からなる周辺画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める周辺画素変化パターン算出ステップと、上記周辺画素グループとは位置が異なる比較画素グループであって、連続する3以上の画素からなる任意の比較画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める比較画素変化パターン算出ステップと、上記周辺画素グループの変化パターンと、互いに位置が異なる2以上の上記比較画素グループの変化パターンとを比較し、上記周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い上記比較画素グループを参照画素グループとして抽出する変化パターン比較ステップと、上記参照画素グループ内の上記チップ端画素に対応する第1画素の画素データ、上記参照画素グループに隣接する画素であって、上記欠落画素に対応する第2画素の画素データ、及び、上記チップ端画素の画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求める画素データ算出ステップとを備えて構成される。
【0018】
第7の本発明による画像処理プログラムは、多数の受光素子がそれぞれ形成された2以上のセンサチップを含むラインセンサから取得した上記受光素子の画素データに対し、上記センサチップ間において欠落する画素データを補間してライン読取画像を生成する画像処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、上記センサチップ間の欠落画素に隣接するチップ端画素を含み、かつ、上記センサチップ内において連続する3以上の画素からなる周辺画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める周辺画素変化パターン算出手順と、上記周辺画素グループとは位置が異なる比較画素グループであって、連続する3以上の画素からなる任意の比較画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める比較画素変化パターン算出手順と、上記周辺画素グループの変化パターンと、互いに位置が異なる2以上の上記比較画素グループの変化パターンとを比較し、上記周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い上記比較画素グループを参照画素グループとして抽出する変化パターン比較手順と、上記参照画素グループ内の上記チップ端画素に対応する第1画素の画素データ、上記参照画素グループに隣接する画素であって、上記欠落画素に対応する第2画素の画素データ、及び、上記チップ端画素の画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求める画素データ算出手順とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明による画像処理装置では、周辺画素グループに対する変化パターンの相関が最も高い比較画素グループが正しく特定されるので、個体差に起因してセンサチップ間で出力レベルに大きなばらつきがある場合であっても、良好な補間結果を得ることができる。従って、センサチップの継ぎ目を目立ちにくくすることができ、欠落画素の画素データを補間して生成されるライン読取画像の画質を向上させることができる。
【0020】
また、本発明によれば、上述した様な画像処理装置において用いられる画像処理方法を提供することができる。また、本発明によれば、コンピュータを上記画像処理装置として機能させるための画像処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態による画像処理装置20を含む画像読取システム100の一構成例を示したブロック図である。
【図2】図1の画像処理装置20内の変化パターン算出部25の構成例を示したブロック図である。
【図3】図1のラインイメージセンサ10の構成例を模式的に示した説明図であり、ラインイメージセンサ10をA−A切断線で切断した場合の切断面が示されている。
【図4】ラインイメージセンサ10により読み取られた画素データから生成されるライン読取画像の一例を示した図である。
【図5】欠落画素pを挟んで配置されるセンサチップ11間の出力レベルのばらつきを示した図である。
【図6】図1の画像処理装置20の動作の一例を示した図であり、周辺画素グループ及び比較画素グループ間で輝度の変化パターンを比較する様子が示されている。
【図7】図1の画像処理装置20の動作の一例を示した図であり、クロック信号と同期して順次に入力される画素データが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<画像読取システム>
図1は、本発明の実施の形態による画像処理装置20を含む画像読取システム100の一構成例を示したブロック図である。この画像読取システム100は、複数のセンサチップ11を備えたラインイメージセンサ10と画像処理装置20とからなり、原稿から読み取った画素データに対し、センサチップ11間において欠落する画素データを補間してライン読取画像を生成する。
【0023】
センサチップ11は、多数の受光素子が略直線状に配列された撮像回路である。センサチップ11には、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサなどの固体撮像素子が用いられる。受光素子には、PD(フォトダイオード)が用いられる。
【0024】
ラインイメージセンサ10は、複数のセンサチップ11が受光素子の配列方向に連結されたラインアレイ型の光学読取装置であり、例えば、原稿台上に載置された原稿を読み取り、受光量に応じた輝度値を示す画素データを生成する。ラインイメージセンサ10において、各センサチップ11は、例えば、直列に接続され、受光素子ごとに生成される画素データが受光素子の配列順に順次に出力される。
【0025】
画像処理装置20は、ラインイメージセンサ10から画素データを取得し、センサチップ11間の欠落画素pの画素データを補間することにより、1ライン分の読取画像、すなわち、ライン読取画像を生成する。欠落画素pは、ラインイメージセンサ10上に対応する受光素子が実在しない仮想的な画素であり、センサチップ11間には、1つの欠落画素pが仮想的に配置される。
【0026】
原稿読取では、受光素子の配列方向を主走査方向と呼ぶことにすれば、主走査方向について、1ライン分の読み取りが終了するごとに、主走査方向と交差する副走査方向へ、ラインイメージセンサ10又は原稿を移動させる。この様な1ライン分の読取動作を繰り返すことにより、多数のライン読取画像からなる1ページ分の原稿画像が得られる。
【0027】
この画像処理装置20は、画素データ記憶部21、画素データ挿入部22、シフトレジスタ23、画素データ算出部24,27、変化パターン算出部25、変化パターン比較部26、補間タイミング信号生成部28、ディレイ回路29及びセレクタ回路30により構成される。また、画像処理装置20は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラム可能な論理回路により構成される。
【0028】
画素データ記憶部21は、ラインイメージセンサ10から取得した画素データを一時的に保持するためのバッファメモリである。補間タイミング信号生成部28は、欠落画素pの画素データを補間させるタイミングを規定する補間タイミング信号を生成し、画素データ挿入部22及びディレイ回路29へ出力する。
【0029】
画素データ挿入部22は、画素データ記憶部21から画素データを読み出してシフトレジスタ23に順次に書き込むとともに、補間タイミング信号に基づいて、欠落画素用のデータ領域を確保する。具体的には、所定のクロック信号に同期して入出力される画素データのデータ列に対し、所定のダミーデータが欠落画素pの画素データとして挿入される。
【0030】
シフトレジスタ23は、画素データ挿入部22により画素データが書き込まれるごとに画素データのデータ列をシフトさせ、セレクタ回路30、画素データ算出部24及び27の各チップに対し、所定のタイミングで画素データを出力する。
【0031】
画素データ算出部24は、欠落画素pに隣接する画素の画素データを用いた線形補間により、欠落画素pの画素データを求め、セレクタ回路30へ出力する。欠落画素pに隣接する画素は、センサチップ11内のチップ端画素(後述)であり、欠落画素pの画素データは、欠落画素pを挟んで配置される2つのチップ端画素p,p間で画素データの平均値を求めることにより、算出される。
【0032】
画素データ算出部27は、欠落画素pに隣接するチップ端画素p,pの画素データと、後述する比較対象画素及び隣接画素間の輝度変化量とに基づいて、欠落画素pの画素データを求め、セレクタ回路30へ出力する。
【0033】
変化パターン算出部25は、画素データ挿入部22から入力される画素データのデータ列について、周辺画素グループと、互いに位置が異なる複数の比較画素グループとを定め、各画素グループについて、画素グループ内の画素に関する輝度の変化パターンを求める。周辺画素グループは、欠落画素pに隣接するチップ端画素を含み、かつ、センサチップ11内において連続する3以上の画素からなる画素グループである。
【0034】
比較画素グループは、周辺画素グループとは位置が異なる画素グループであって、連続する3以上の画素からなる任意の画素グループである。変化パターン算出部25では、欠落画素pと比較するための比較対象画素qの画素データと、比較対象画素qに隣接する画素の画素データとの差分から、比較対象画素q及び隣接画素間の輝度変化量が求められる。
【0035】
変化パターン比較部26は、周辺画素グループの変化パターンと、互いに位置が異なる複数の比較画素グループの変化パターンとを比較し、周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い比較画素グループを参照画素グループとして抽出する。この変化パターン比較部26では、比較対象画素qの位置を1画素ずつ異ならせるごとに、比較画素グループの変化パターンを周辺画素グループの変化パターンと比較することが繰り返され、その比較結果がセレクタ回路30へ出力される。
【0036】
また、変化パターン比較部26では、変化パターンが周辺画素グループと一致する比較画素グループを参照画素グループとして抽出し、参照画素グループに隣接する比較対象画素qの位置が画素データ算出部27へ通知される。画素データ算出部27では、この比較対象画素qの画素データと、比較対象画素qに隣接する画素であって、参照画素グループ内のチップ端画素に対応する画素の画素データとから求められる輝度変化量に基づいて、欠落画素pの画素データが算出される。
【0037】
ディレイ回路29は、補間タイミング信号生成部28から入力される補間タイミング信号を一定時間だけ遅延させて、セレクタ回路30へ出力する遅延時間調整部である。補間タイミング信号を遅延させる際の遅延時間は、画素データ算出部24,27、変化パターン算出部25及び変化パターン比較部26における各処理に要する時間に基づいて、予め定められる。
【0038】
セレクタ回路30は、ディレイ回路29から入力される補間タイミング信号と、変化パターン比較部26の比較結果とに基づいて、シフトレジスタ23、画素データ算出部24及び27から入力される画素データのいずれかを選択し、ライン読取画像を構成する画素データとして出力する。
【0039】
具体的には、欠落画素p以外の画素に対し、シフトレジスタ23から入力される画素データがそのまま出力され、また、欠落画素pに対し、画素データ算出部24又は27から入力される画素データが出力される。
【0040】
欠落画素pの画素データが入力されるタイミングでは、変化パターンが周辺画素グループと一致する比較画素グループが存在する場合、画素データ算出部27から入力される画素データが出力される。すなわち、チップ端画素p,pの画素データと、比較対象画素q及び隣接画素間の輝度変化量とから求められる画素データが出力される。
【0041】
一方、変化パターンが周辺画素グループと一致する比較画素グループが存在しない場合には、画素データ算出部24から入力される画素データが出力される。すなわち、チップ端画素p,p間の画素データの平均値が出力される。
【0042】
図2は、図1の画像処理装置20内の変化パターン算出部25の構成例を示したブロック図である。この変化パターン算出部25は、周辺画素変化パターン算出部251、比較画素変化パターン算出部252及び変化量算出部253により構成される。
【0043】
周辺画素変化パターン算出部251は、欠落画素pに隣接するチップ端画素p,pを含む周辺画素グループについて、隣接する画素間で画素データの差分から輝度変化量を求め、主走査方向の画素位置に関する輝度の変化パターンを算出する。具体的には、欠落画素pを挟んで配置される第1周辺画素グループ及び第2周辺画素グループをそれぞれ周辺画素グループとし、各周辺画素グループについて、輝度の変化パターンが算出される。
【0044】
第1周辺画素グループは、欠落画素pよりもラインイメージセンサ10の一端側に配置される周辺画素グループであり、第2周辺画素グループは、欠落画素pよりもラインイメージセンサ10の他端側に配置される周辺画素グループである。また、チップ端画素pは、第1周辺画素グループ内のチップ端画素であり、例えば、欠落画素pよりも前に画素データが入力される。一方、チップ端画素pは、第2周辺画素グループ内のチップ端画素であり、欠落画素pよりも後に画素データが入力される。
【0045】
比較画素変化パターン算出部252は、比較対象画素qに隣接する画素q,qを含み、比較対象画素qの位置が異なる複数の比較画素グループについて、隣接する画素間で画素データの差分から輝度変化量を求め、主走査方向の画素位置に関する輝度の変化パターンを算出する。具体的には、比較対象画素qを挟んで配置される第1比較画素グループ及び第2比較画素グループをそれぞれ比較画素グループとし、各比較画素グループについて、輝度の変化パターンが算出される。
【0046】
第1比較画素グループは、比較対象画素qよりもラインイメージセンサ10の一端側に配置される比較画素グループであり、第2比較画素グループは、比較対象画素qよりもラインイメージセンサ10の他端側に配置される比較画素グループである。また、画素qは、第1比較画素グループ内において、チップ端画素pに対応する画素であり、比較対象画素qよりも前に画素データが入力される。一方、画素qは、第2比較画素グループ内において、チップ端画素pに対応する画素であり、比較対象画素qよりも後に画素データが入力される。
【0047】
ここでは、第1周辺画素グループ及び第2周辺画素グループが、同じ画素数からなり、第1比較画素グループ及び第2比較画素グループも、同じ画素数からなるものとする。また、各周辺画素グループと各比較画素グループとは、同じ画素数からなる。
【0048】
変化量算出部253は、比較対象画素qと比較対象画素qに隣接する画素q,qとの間で画素データの差分から輝度変化量を算出する。具体的には、比較対象画素qの画素データと、画素qの画素データとの差分から第1輝度変化量が算出され、また、比較対象画素qの画素データと、画素qの画素データとの差分から第2輝度変化量が算出される。
【0049】
変化パターン比較部26では、比較対象画素qの位置が互いに異なる第1及び第2比較画素グループの複数の対について、第1及び第2周辺画素グループの変化パターンと、第1及び第2比較画素グループの変化パターンとが比較される。そして、第1及び第2周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い第1及び第2比較画素グループが第1及び第2参照画素グループとして抽出される。
【0050】
ここでは、輝度の変化パターンが第1及び第2周辺画素グループと一致する第1及び第2比較画素グループが参照画素グループとして抽出される。変化パターンが一致しているか否かは、画素グループを構成する画素列に関し、対応する画素間で輝度変化量を比較し、画素グループ内の全ての画素について、輝度変化量が概ね一致しているか否かに基づいて、決定される。
【0051】
画素データ算出部27では、第1参照画素グループに基づいて欠落画素pの第1画素データを求めるとともに、第2参照画素グループに基づいて欠落画素pの第2画素データが求められる。そして、第1及び第2画素データに基づいて、欠落画素pの画素データが算出される。
【0052】
第1画素データは、第1参照画素グループ及び第2参照画素グループ間に挟まれた比較対象画素qの画素データと、当該比較対象画素qに隣接する画素qの画素データとから得られる第1輝度変化量を、欠落画素pに隣接するチップ端画素pの画素データに加算することにより、求められる。
【0053】
一方、第2画素データは、比較対象画素qの画素データと、当該比較対象画素qに隣接する画素qの画素データとから得られる第2輝度変化量を、欠落画素pに隣接するチップ端画素pの画素データに加算することにより、求められる。欠落画素pの画素データは、第1画素データと第2画素データとの平均値を求めることにより、算出される。
【0054】
第1及び第2比較画素グループは、3以上のセンサチップ11に跨って指定しても良いが、ここでは、処理負荷が増大するのを抑制するために、第1周辺画素グループが属するセンサチップ11と、第2周辺画素グループが属するセンサチップ11とから指定される。また、位置が異なる複数の欠落画素pがラインイメージセンサ10内に存在する場合には、これらの欠落画素pごとに、周辺画素グループ及び比較画素グループを定めて、輝度の変化パターンが比較される。
【0055】
<ラインイメージセンサ10>
図3は、図1のラインイメージセンサ10の構成例を模式的に示した説明図であり、ラインイメージセンサ10をA−A切断線により切断した場合の切断面が示されている。センサチップ11は、多数の受光素子111が形成された半導体基板112により構成される。各受光素子111は、一定の配列ピッチdで主走査方向の直線に沿って配置されている。
【0056】
ラインイメージセンサ10は、複数のセンサチップ11を共通基板12上に配置することにより構成される。各センサチップ11は、互いにオーバーラップすることなく、一定の間隔で主走査方向の直線に沿って配置されている。
【0057】
隣接する2つのセンサチップ11間の継ぎ目部分の間隔、すなわち、センサチップ11の端部に形成されている受光素子111に対応するチップ端画素間の間隔dは、配列ピッチdに比べて大きい。欠落画素の画素データを補間する処理では、この様なセンサチップ11間において欠落する画素データとして、1画素分の画素データが挿入される。このため、各センサチップ11は、関係式d=d×2が成り立つように、配置される。
【0058】
図4は、ラインイメージセンサ10により読み取られた画素データから生成されるライン読取画像の一例を示した図であり、チップ端画素p,pの画素データを用いた線形補間により、欠落画素pの画素データを求める場合が示されている。図中の(a)には、画像が低周波数成分からなる場合が示され、(b)には、画像が高周波数成分からなる場合が示されている。
【0059】
ライン読取画像が低周波数成分からなる場合、輝度が緩やかに変化することから、欠落画素pを挟んで配置される2つのチップ端画素p及びp間の画素データの平均値を欠落画素pの画素データとしても、低周波数成分の波形に対するずれは比較的に小さい。
【0060】
一方、ライン読取画像が高周波数成分からなる場合には、輝度が激しく変化することから、チップ端画素p及びp間の画素データの平均値を欠落画素pの画素データとすれば、欠落画素pの位置によっては、高周波数成分の波形に対するずれが大きくなる。
【0061】
本実施の形態による画像処理装置20では、欠落画素pに隣接する周辺画素グループに対し、輝度の変化パターンが一致する比較画素グループを抽出して欠落画素pの画素データが求められる。一般に、高周波数特性の読取画像の場合、輝度の変化パターンが周辺画素グループと一致する比較画素グループは、1ライン内に必ず存在する。この様な比較画素グループを抽出して画素データを補間するので、ライン読取画像が高周波数成分からなる場合であっても、良好な補間結果を得ることができる。
【0062】
図5は、欠落画素pを挟んで配置されるセンサチップ11間の出力レベルのばらつきを示した図である。欠落画素pを挟んで配置されるセンサチップ11間には、センサチップ11の個体差により、出力レベルのばらつきが存在する。
【0063】
例えば、チップ端画素pを含むセンサチップ11と、チップ端画素pを含むセンサチップ11とが同じ輝度の原稿を読み取った場合、一方のセンサチップ11の出力範囲はLであり、他方のセンサチップ11の出力範囲はL(L=L)である。そして、これらのセンサチップ11間で出力レベルには、輝度差Lのギャップが存在している。
【0064】
センサチップ11の出力レベルに上述した様なばらつきがあれば、画素列に関する輝度分布を比較する従来の方法では、欠落画素pを含む画素列と同じ輝度変化の画素列を正しく特定することができない。
【0065】
本実施の形態による画像処理装置20では、輝度の変化パターンを求めて周辺画素グループ及び比較画素グループの比較を行うので、センサチップ11の出力レベルに大きなばらつきがあっても、欠落画素pを含む画素列と同じ輝度変化の画素列を正しく特定することができる。
【0066】
図6は、図1の画像処理装置20の動作の一例を示した図であり、周辺画素グループ及び比較画素グループ間で輝度の変化パターンを比較する様子が示されている。周辺画素グループG11,G12は、欠落画素pを挟んで配置される周辺画素グループである。周辺画素グループG11は、欠落画素pに隣接して配置されるチップ端画素pを含み、周辺画素グループG12は、欠落画素pに隣接して配置されるチップ端画素pを含んでいる。
【0067】
一方、比較画素グループG21,G22は、任意の比較対象画素qを挟んで配置される比較画素グループである。比較画素グループG21は、比較対象画素qに隣接して配置される画素qを含み、比較画素グループG22は、比較対象画素qに隣接して配置される画素qを含んでいる。
【0068】
輝度の変化パターンを比較する処理では、比較画素グループG21の変化パターンが周辺画素グループG11の変化パターンと比較され、比較画素グループG22の変化パターンが周辺画素グループG12の変化パターンと比較される。このパターンマッチング処理は、比較対象画素qの位置を異ならせながら行われ、変化パターンが周辺画素グループG11,G12と一致する比較画素グループG21,G22が参照画素グループとして抽出される。
【0069】
欠落画素pの画素データは、チップ端画素p,pの画素データと、参照画素グループとして抽出された比較画素グループG21,G22内の画素q,qの画素データと、当該比較画素グループG21,G22間の比較対象画素qの画素データとから求められる。すなわち、画素q,q間の輝度変化量をチップ端画素pの画素データに加算して第1画素データを求めるとともに、画素q,q間の輝度変化量をチップ端画素pの画素データに加算して第2画素データを求める。そして、第1画素データ及び第2画素データの平均値を求めることにより、欠落画素pの画素データが得られる。
【0070】
図7は、図1の画像処理装置20の動作の一例を示した図であり、クロック信号と同期して順次に入力される画素データが示されている。画素データの補間処理では、まず、クロック信号と同期して順次に入力される画素データに対し、欠落画素pを基準として、周辺画素グループG11,G12が定められる。すなわち、周辺画素グループG11は、欠落画素pの画素位置をnとし、画素データをa(n)と表せば、周辺画素グループG11内の各画素の画素データが、画素データa(n)よりも前に入力される周辺画素グループである。この周辺画素グループG11内の各画素の画素データは、欠落画素pに近い方から順に画素データa(n+1)〜a(n+8)と表される。
【0071】
周辺画素グループG12は、周辺画素グループG12内の各画素の画素データが、画素データa(n)よりも後に入力される周辺画素グループである。この周辺画素グループG12内の各画素についても、その画素データは、欠落画素pに近い方から順に画素データa(n−1)〜a(n−8)と表される。
【0072】
周辺画素グループG11の変化パターンは、周辺画素グループG11内の各画素について、隣接画素間の輝度変化量b(n+k)(k=1〜7)を求めることにより得られる。輝度変化量b(n+k)は、次式(1)により求められる。
b(n+k)=a(n+k)−a(n+k+1)・・・(1)
【0073】
周辺画素グループG12の変化パターンについても、周辺画素グループG11の場合と同様に、隣接画素間の輝度変化量b(n−k)(k=1〜7)を求めることにより得られる。輝度変化量b(n−k)は、次式(2)により求められる。
b(n−k)=a(n−k−1)−a(n−k)・・・(2)
【0074】
比較画素グループG21,G22についても、周辺画素グループG11,G12の場合と同様に、比較対象画素qを基準として、定められる。また、比較画素グループG21内の各画素の画素データは、比較対象画素qの画素位置をmとし、画素データをc(m)と表せば、比較対象画素qに近い方から順に画素データc(m+1)〜c(m+8)と表される。
【0075】
比較画素グループG21の変化パターンは、比較画素グループG21内の各画素について、隣接画素間の輝度変化量d(m+k)(k=1〜7)を求めることにより得られる。輝度変化量d(m+k)は、次式(3)により求められる。
d(m+k)=c(m+k)−c(m+k+1)・・・(3)
【0076】
一方、比較画素グループG22内の各画素の画素データは、比較対象画素qに近い方から順に画素データc(m−1)〜c(m−8)と表される。比較画素グループG22の変化パターンについても、比較画素グループG21の場合と同様に、隣接画素間の輝度変化量d(m−k)(k=1〜7)を求めることにより得られる。輝度変化量d(m−k)は、次式(4)により求められる。
d(m−k)=c(m−k−1)−c(m−k)・・・(4)
【0077】
また、比較対象画素qとこの比較対象画素qに隣接する画素q,qとの間の輝度変化量e(m),f(m)は、次式(5)により求められる。
e(m)=c(m)−c(m+1),f(m)=c(m−1)−c(m)・・・(5)
【0078】
次に、周辺画素グループG11,G12の変化パターンと、比較画素グループG21,G22の変化パターンとが比較され、輝度の変化パターンが周辺画素グループG11,G12と一致する比較画素グループが参照画素グループとして抽出される。
【0079】
変化パターンの比較方法は、周辺画素グループG11,G12の輝度変化量b(n+7)〜b(n+1),b(n−1)〜b(n−7)と、比較画素グループG21,G22の輝度変化量d(m+7)〜d(m+1),d(m−1)〜d(m−7)とをそれぞれ比較することにより行われる。
【0080】
参照画素グループは、比較画素グループG21,G22内の全ての画素について、対応する画素間における輝度変化量の誤差が所定の判定閾値以下である範囲内で、輝度変化量が周辺画素グループG11,G12と一致した比較画素グループである。
【0081】
欠落画素pの画素データa(n)は、欠落画素pに隣接するチップ端画素p,pの画素データa(n+1),a(n−1)と、輝度変化量e(m),f(m)とを用いて次式(6)により求められる。
a(n)={[a(n+1)+e(m)]+[a(n−1)−f(m)]}/2・・・(6)
【0082】
上式(6)では、チップ端画素pの画素データa(n+1)に対し変化量e(m)を加算して第1画素データを求め、チップ端画素pの画素データa(n−1)から変化量f(m)を減算して第2画素データを求め、第1及び第2画素データの平均値を求めている。この様に構成すれば、参照画素グループ内の画素q,qの画素データ、参照画素グループに隣接する比較対象画素qの画素データ及びチップ端画素p,pの画素データから欠落画素pの画素データを求める構成を簡素化することができる。
【0083】
一方、輝度の変化パターンが周辺画素グループG11,G12と一致する比較画素グループが存在しなければ、チップ端画素p,pの画素データa(n+1),a(n−1)を用いた線形補間により、欠落画素pの画素データa(n)が算出される。すなわち、欠落画素pの画素データa(n)は、次式(7)により求められる。
a(n)={a(n+1)+a(n−1)}/2・・・(7)
【0084】
本実施の形態によれば、画素グループ内の隣接画素間における画素データの差分から変化パターンを求めて周辺画素グループ及び比較画素グループの比較を行うので、個体差に起因してセンサチップ11間で出力レベルに大きなばらつきがある場合であっても、比較画素グループを適切に抽出することができる。特に、周辺画素グループと輝度変化のパターンが同じ比較画素グループを正しく特定することができる。従って、良好な補間結果が得られ、センサチップ11の継ぎ目を目立ちにくくすることができる。
【0085】
また、輝度の変化パターンが周辺画素グループと一致する比較画素グループが存在しない場合には、欠落画素pに隣接するチップ端画素p,pの画素データを用いた線形補間により、欠落画素pの画素データが算出される。このため、周辺画素グループと同じ輝度変化の比較画素グループが特定できなくても、良好な補間結果を得ることができる。
【0086】
さらに、欠落画素pを挟んで配置される周辺画素グループG11,G12に対し、変化パターンの相関が最も高い比較画素グループG21,G22を抽出して欠落画素pの画素データを求めるので、欠落画素pの輝度特定の精度を向上させることができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、画素グループ内の全画素について、対応する画素間で輝度変化量の誤差が一定値以下である範囲内で、輝度変化量が周辺画素グループと一致する比較画素グループを抽出して欠落画素pの画素データを求める場合の例について説明した。しかし、本発明は、比較画素グループを特定する方法をこれに限定するものではなく、周辺画素グループに対して変化パターンの相関が最も高い比較画素グループを抽出して欠落画素pの画素データを求めるものであれば、他の構成であっても良い。例えば、画素グループ内の全画素について、対応する画素間における輝度変化量の誤差を求め、当該誤差の2乗平均が最小となる比較画素グループを変化パターンの相関が最も高い参照画素グループとして抽出するというような統計的手法を用いるものも本発明には含まれる。
【0088】
また、本実施の形態では、画素グループ内の全画素について、輝度変化量が周辺画素グループと一致する比較画素グループを参照画素グループとして抽出する場合の例について説明した。しかしながら、一定数以上の画素について、輝度変化量が周辺画素グループと一致する比較画素グループを参照画素グループとして抽出するものも本発明には含まれる。
【0089】
また、本実施の形態では、欠落画素pを挟んで配置される周辺画素グループG11及びG12の変化パターンと、比較対象画素qを挟んで配置される比較画素グループG21及びG22の変化パターンとを比較して欠落画素pの画素データを求める場合の例について説明した。しかしながら、周辺画素グループG11又はG12のいずれか一方についてのみ、比較画素グループG21又はG22と変化パターンを比較して欠落画素pの画素データを求めるものも本発明には含まれる。
【符号の説明】
【0090】
100 画像読取システム
10 ラインイメージセンサ
11 センサチップ
111 受光素子
112 半導体基板
12 共通基板
20 画像処理装置
21 画素データ記憶部
22 画素データ挿入部
23 シフトレジスタ
24,27 画素データ算出部
25 変化パターン算出部
251 周辺画素変化パターン算出部
252 比較画素変化パターン算出部
253 変化量算出部
26 変化パターン比較部
28 補間タイミング信号生成部
29 ディレイ回路
30 セレクタ回路
G11,G12 周辺画素グループ
G21,G22 比較画素グループ
欠落画素
,p チップ端画素
比較対象画素
,q チップ端画素に対応する画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の受光素子がそれぞれ形成された2以上のセンサチップを含むラインセンサから上記受光素子の画素データを取得し、上記センサチップ間において欠落する画素データを補間してライン読取画像を生成する画像処理装置において、
上記センサチップ間の欠落画素に隣接するチップ端画素を含み、かつ、上記センサチップ内において連続する3以上の画素からなる周辺画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める周辺画素変化パターン算出部と、
上記周辺画素グループとは位置が異なる比較画素グループであって、連続する3以上の画素からなる任意の比較画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める比較画素変化パターン算出部と、
上記周辺画素グループの変化パターンと、互いに位置が異なる2以上の上記比較画素グループの変化パターンとを比較し、上記周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い上記比較画素グループを参照画素グループとして抽出する変化パターン比較部と、
上記参照画素グループ内の上記チップ端画素に対応する第1画素の画素データ、上記参照画素グループに隣接する画素であって、上記欠落画素に対応する第2画素の画素データ、及び、上記チップ端画素の画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求める画素データ算出部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記変化パターン比較部は、変化パターンが上記周辺画素グループと一致する上記比較画素グループを上記参照画素グループとして抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記画素データ算出部は、変化パターンが上記周辺画素グループと一致する上記比較画素グループが存在しない場合に、上記欠落画素を挟んで配置される第1チップ端画素及び第2チップ端画素の各画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求めることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記画素データ算出部は、上記第1画素の画素データと上記第2画素の画素データとから求められる画素データの変化量を上記チップ端画素の画素データに加算して、上記欠落画素の画素データを求めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記周辺画素変化パターン算出部は、上記欠落画素を挟んで配置される第1周辺画素グループ及び第2周辺画素グループをそれぞれ上記周辺画素グループとし、各周辺画素グループについて上記変化パターンを求め、
上記比較画素変化パターン算出部は、上記欠落画素と比較するための比較対象画素を挟んで配置される第1比較画素グループ及び第2比較画素グループをそれぞれ上記比較画素グループとし、各比較画素グループについて上記変化パターンを求め、
上記変化パターン比較部は、上記第1及び第2周辺画素グループの変化パターンと、上記比較対象画素の位置が異なる2以上の上記第1及び第2比較画素グループの変化パターンとを比較し、第1及び第2周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い第1及び第2比較画素グループを第1及び第2参照画素グループとして抽出し、
上記画素データ算出部は、上記第1参照画素グループに基づいて上記欠落画素の第1画素データを求めるとともに、上記第2参照画素グループに基づいて上記欠落画素の第2画素データを求め、上記第1及び第2画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
多数の受光素子がそれぞれ形成された2以上のセンサチップを含むラインセンサから取得した上記受光素子の画素データに対し、上記センサチップ間において欠落する画素データを補間してライン読取画像を生成する画像処理方法において、
上記センサチップ間の欠落画素に隣接するチップ端画素を含み、かつ、上記センサチップ内において連続する3以上の画素からなる周辺画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める周辺画素変化パターン算出ステップと、
上記周辺画素グループとは位置が異なる比較画素グループであって、連続する3以上の画素からなる任意の比較画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める比較画素変化パターン算出ステップと、
上記周辺画素グループの変化パターンと、互いに位置が異なる2以上の上記比較画素グループの変化パターンとを比較し、上記周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い上記比較画素グループを参照画素グループとして抽出する変化パターン比較ステップと、
上記参照画素グループ内の上記チップ端画素に対応する第1画素の画素データ、上記参照画素グループに隣接する画素であって、上記欠落画素に対応する第2画素の画素データ、及び、上記チップ端画素の画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求める画素データ算出ステップとを備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
多数の受光素子がそれぞれ形成された2以上のセンサチップを含むラインセンサから取得した上記受光素子の画素データに対し、上記センサチップ間において欠落する画素データを補間してライン読取画像を生成する画像処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムにおいて、
上記センサチップ間の欠落画素に隣接するチップ端画素を含み、かつ、上記センサチップ内において連続する3以上の画素からなる周辺画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める周辺画素変化パターン算出手順と、
上記周辺画素グループとは位置が異なる比較画素グループであって、連続する3以上の画素からなる任意の比較画素グループ内において、隣接する画素間における画素データの差分を求め、上記差分の変化パターンを求める比較画素変化パターン算出手順と、
上記周辺画素グループの変化パターンと、互いに位置が異なる2以上の上記比較画素グループの変化パターンとを比較し、上記周辺画素グループに対し、変化パターンの相関が最も高い上記比較画素グループを参照画素グループとして抽出する変化パターン比較手順と、
上記参照画素グループ内の上記チップ端画素に対応する第1画素の画素データ、上記参照画素グループに隣接する画素であって、上記欠落画素に対応する第2画素の画素データ、及び、上記チップ端画素の画素データに基づいて、上記欠落画素の画素データを求める画素データ算出手順とを備えたことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93674(P2013−93674A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233292(P2011−233292)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】