説明

画像処理装置及び画像処理装置の制御方法

【課題】メディアデータサーバーからの画像信号を高画質リンクで視聴する際、全体として最良の鮮鋭化処理経路を自動的に構築する。
【解決手段】本実施形態では、画像信号を受信するインターフェースと、前記画像信号を第1の鮮鋭化処理で鮮鋭化した第1の画像信号に変換し、この第1の画像信号をさらに第2の鮮鋭化処理で鮮鋭化した第2の画像信号に変換する信号処理部と、前記信号処理部を制御する制御部を有する。そして前記制御部は、外部機器から画像信号の入力を受け付ける状態に選択されている場合、前記信号処理部を第1の状態に切換えて、当該画像信号に対して前記第1の鮮鋭化処理を行うことなく前記第2の鮮鋭化処理を行なうよう制御する切換部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置及び画像処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高解像度変換部を備えたテレビジョン受信装置及び画像信号再生装置が普及している。高解像度変換技術は、第1の画像信号(第1の解像度)が持つ画素周辺の仮想画素の値を推定し、第1の画像信号の画素数よりも画素数の多い第2の画像信号(第2の解像度)を生成する鮮鋭化処理技術である。また鮮鋭化処理技術には、第1の画像信号(第2の解像度)が持つ画素値の本来の値を推定し、第1の画像信号の画素値を補正して第2の画像信号(同じく第2の解像度)を生成する技術も含まれる場合がある。
【0003】
上記した高解像度変換部が、画像信号再生装置(例えばDVDプレーヤ、BDプレーヤ、セットトップボックス)とテレビジョン受信装置の両方に装備された場合、両者を接続したときに問題が生じる。即ち、画像信号再生装置の出力画像信号がテレビジョン受信装置に入力され処理されると、二重の高解像度変換が施されることになる。この場合、ノイズや映像輪郭が異様に強調され、映像品質を劣化させることがある。このような問題を解決するために、画像信号再生装置とテレビジョン受信装置が双方向通信機能で互に情報を交換し、一方が高解像度処理を実施し、他方が高解像処理を弱めるシステムも開発されている。
【0004】
また、リンク可能な外部機器(例えば高品位の画像信号を出力する画像信号再生装置)が接続されたことをテレビジョン受信装置が検出した場合、当該テレビジョン受信装置側では、ユーザが自由に画質モード(ピュアモード、ノーマルモードなど)を選択できるようにした技術も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−549040号公報
【特許文献2】特開2010−251988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の技術では、リンク可能な対応機器が接続されていることをテレビジョン受信装置が検出すると、このテレビジョン受信装置は、画質モードを設定可能な状態に移行する。しかし最近ではテレビジョン受信装置に対してリンク可能な各種の外部機器を接続可能となっている。そのため、リンク可能な例えばオーディオ増幅器などの各種の登録機器が接続された場合、誤動作をすることがありその対応が要求されている。
【0007】
そこで、本実施形態では、サーバー或いは情報再生装置(メディアデータサーバー)からの画像信号を高画質モードで視聴可能な環境の中でユーザが視聴目的で指定できる高画質リンク機能を設け、高画質リンクが指定された場合に、全体として最良の鮮鋭化処理経路を自動的に構築する画像処理装置及び画像処理装置及び画像処理装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態では、画像信号を受信するインターフェースと、前記画像信号を第1の鮮鋭化処理で鮮鋭化した第1の画像信号に変換し、この第1の画像信号をさらに第2の鮮鋭化処理で鮮鋭化した第2の画像信号に変換する信号処理部と、前記信号処理部を制御する制御部を有する。そして前記制御部は、外部機器から画像信号の入力を受け付ける状態に選択されている場合、前記信号処理部を第1の状態に切換えて、当該画像信号に対して前記第1の鮮鋭化処理を行うことなく前記第2の鮮鋭化処理を行なうよう制御する切換部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態である画像処理装置の全体的な構成の一例を示すである。
【図2】図1に示した画像処理装置を簡略化し、制御部の内部の例を詳しく示した図である。
【図3】画質設定用のメニュー画面の例を示す図である。
【図4】高画質リンクを設定するときの制御部330における手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した画像処理装置において、信号処理部の処理ルーチンが高画質リンクを形成したときの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1の上段には、サーバー或いは情報再生装置(メディアデータサーバーと称する)100のブロック構成を示し。下段には、テレビジョン受信装置300のブロック構成を示している。
【0011】
メディアデータサーバー100側の構成から説明する。105は、外部接続機器であり、端子104を介してHDMI(High Definition Multimedia Interface)データ処理器103に接続されている。HDMIデータ処理器103で取得された画像信号は、セレクタ112に供給され、制御データ(通知信号あるいはコマンドなど)は、制御部130に供給される。102は、チューナ、光ディスク再生装置、ハードディスクドライブなどのメディア再生装置であり、この再生装置からの再生信号は、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ101に入力されてデコードされる。MPEGデコーダ101でデコードされた画像信号は、セレクタ112に入力される。
【0012】
セレクタ112は、制御部130の制御に基づいて、入力画像信号の何れかを選択して画像の鮮鋭化を行う信号処理器110に供給する。信号処理器110は大きく分類すると、例えば4:2:2フォーマットで画像信号を第1の鮮鋭化処理するブロック110Aと、このブロック110Aの出力画像信号を例えば4:4:4フォーマットで第2の鮮鋭化処理するブロック110Bを有する。
【0013】
ブロック110Aは、セレクタの出力が供給されるノイズ低減及び補間(以下NR/IPと記す)変換部113と、このNR/IP変換部113の出力を処理する超解像処理部114を含む。
【0014】
超解像処理部114で超解像化された画像信号は、ブロック110Bの再構成型超解像処理部116に入力する。再構成型超解像処理部116で処理された画像信号は、スケーラ117に入力されてスケール調整され、バックエンドプロセッサ118を介して出力される。バックエンドプロセッサ118からの出力画像信号は、HDMIデータ処理器121、HDMI端子122を介してHDMIケーブルを通り、テレビジョン受信装置300のHDMI端子304に入力する。HDMI端子304からの画像信号は、セレクタ312に入力する。
【0015】
上記のHDMIは、画像信号を輝度(Y)、色差信号(Cr,Cb)で、輝度(Y)の垂直解像度1080画素(=1080p)で伝送するバージョンである。
【0016】
テレビジョン受信装置300においても、内蔵あるいは外付けのチューナ、光ディスク再生装置、ハードディスクドライブなどのメディア再生装置302が設けられている。このメディア再生装置302からの再生信号は、MPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ301に入力されてデコードされる。MPEGデコーダ301でデコードされた画像信号は、セレクタ312に入力される。
【0017】
セレクタ312は、制御部330の制御に基づいて、入力画像信号の何れかを選択して画像の鮮鋭化を行う信号処理器310に供給する。信号処理器310は大きく分類すると、例えば4:2:2フォーマットで画像信号を第1の鮮鋭化処理するブロック310Aと、このブロック310Aの出力画像信号を例えば4:4:4フォーマットで第2の鮮鋭化処理するブロック310Bを有する。
【0018】
ブロック310Aは、セレクタの出力が供給されるノイズ低減及び補間(以下NR/IPと記す)変換部313と、このNR/IP変換部313の出力を処理する超解像処理部114を含む。
【0019】
超解像処理部314で超解像化された画像信号は、ブロック310Bの再構成型超解像処理部316に入力する。再構成型超解像処理部316で処理された画像信号は、スケーラ317に入力されてスケール調整され、バックエンドプロセッサ318を介して出力される。バックエンドプロセッサ318の出力は、表示器400に入力される。バックエンドプロセッサ318は、例えば画質調整を行なう。画質調整としては、ホワイトバランスの調整、シャープネス調整などが行なわれる。さらには、画像エッジのシェーディング、多階調処理のためのディザ処理、魔方陣処理が行われる場合がある。この処理は、液晶表示器が用いられた場合に階調表現を豊富にする上で有効である。
【0020】
上記の各ブロックの近くに示されているビット数は、それぞれのブロックが対応可能な1画素のビット数である。
【0021】
図2は、図1の構成を大きなブロックでまとめて示している。そして、制御部130と330の機能をブロック化して示している。制御部130と制御部330には、それぞれ相互認証のための信号を送受信したり、コマンドを送受信したり、応答信号など所謂通知信号を送受信するための送受信部130a,330aが設けられる。また制御部130と制御部330には、それぞれ信号処理器310の信号処理経路を切り換えることができる処理ルーチン切換部130c,330cが設けられる。処理ルーチン切換部130c,330cには、メディアサーバー100とテレビジョン受信装置300の連携が、高画質リンクの関係である場合に適した切換を行う高画質リンク系と、該連携がモニタ関係である場合に適した切換を行うモニタ系と、該連携がノーマル関係である場合に適した切換を行うノーマル系が含まれている。
【0022】
また、テレビジョン受信装置300の制御部330には、メニュー画面処理部330dも含まれる。さらに制御部330には、高画質リンク指令部330eが設けられている。この高画質リンク指令部330eは、メディアデータサーバーと受信装置が、所定の規格に準拠するインターフェース(1080pHDMI)で接続されている場合に有効となるそして、この高画質リンク指令部330eは、視聴目的のための外部操作(後述するメニュー画面からの操作)に応じて起動し、メディアデータサーバー100へ送信するためのコマンドを出力する。このコマンドは送受信部330aを介して出力される。このコマンドは、後でも説明するが、超解像処理部114の出力画像信号が再構成型超解像処理部116で再構成されることなく、スケーラ117でスケール変換されて4:4:4フォーマットの画像信号で出力されるように設定することができる。
【0023】
今、メディアサーバー100とテレビジョン受信装置300が、1080pHDMIの端子が選択されて接続されているものとする。この接続が行われた場合、メディアサーバー100とテレビジョン受信装置300は、相互認証により、インターフェースの種類及び規格を把握している。また、このときテレビジョン受信装置300の制御部330は、1080p画質モードの画像信号がHDMIを通して入力することを認識する。
【0024】
従って、画像又は映像設定メニューにおいて画質モードの選択が行われると、メニュー画面処理部330dは、図3に示すようなメニュー画面400aを表示器400に表示させる。このメニュー画面400aには、「1080p画質モード」項目が含まれる。
【0025】
メディアサーバー100とテレビジョン受信装置300の接続において、1080pHDMIの端子が選択されていない場合は、メニュー画面400aには、「1080p画質モード」項目は表示されないか、選択できないようになっている。
【0026】
この選択手段つまりメニュー画面400aにおいて、ユーザがリモートコントローラ操作により、該項目をカーソルで選択して決定ボタンを押す。すると、画面が切換り、この画面400bには「オート」、「モニタ」、「ノーマル」という項目(設定ボタン或いは選択ボタンと称してもよい)が表示される。
【0027】
今ユーザが、メディアデータサーバーからの画像信号の視聴を行うために「オート」という項目を選択して決定ボタンを押すと、このことは、送受信部330a,HDMIデータ処理器303、121を通して、制御部130に伝達される。情報の伝送のためには、例えばHDMI規格に設定されているCEC(Consumer Electronics Control)が利用される。
【0028】
すると、制御部130と330の処理ルーチン切換部130c、330cが動作し、メディアサーバー100とテレビジョン受信装置300の連携が最良の動作状態となるように高解像処理系統を設定する。
【0029】
図4は、制御部330が上記の動作を実行する際のフローチャートを示している。HDMIを介して1080pの画像信号が入力されていることが確認されている(ステップS1)。このときは、メニュー画面として「オート」の項目を表示可能である(ステップS2)。そして「オート」の項目が選択されて、高画質リンク対応の機器(メディアデータサーバ)からの画像信号を視聴することに意思表示が行われると(ステップS3)、処理ルーチン切換部130c、330cが動作し、高画質リンク動作が設定される(ステップS4)。メニュー画面400bにおいては、ノーマル(ステップS5)或いはモニタの選択も可能である。
【0030】
図5は、図1に示した画像処理装置において、信号処理部の処理ルーチンが高画質リンクを形成したときの例を示している。図1と同一部には同一符号を付している。このときは、メディアデータサーバー100の信号処理部110内では、信号処理系統が、
NR/IP変換部113、NR/IP変換部113の出力を処理する超解像処理部114、この超解像処理部114の出力をスケール変換するスケーラ117、このスケーら117の出力が入力されるバックエンドプロセッサ118の系統になる。一方、テレビジョン受信装置300の信号処理器310では、セレクタ312の出力が、直接、再構成型超解像処理部316に入力される。そしてこの再構成型超解像処理部316の出力がバックエンドプロセッサ318を介して、表示器400に供給される。
【0031】
本実施形態をまとめると、メディアデータサーバー110は、図1に示すように、信号処理部110を有する。
【0032】
ここで第1の入力画像信号を超解像処理部114で超解像処理して4:2:2フォーマットの第1の画像信号を生成する。再構成型超解像処理部116とスケーラ117は、この第1の画像信号をさらに再構成型超解像処理及びスケール変換して4:4:4フォーマットの第2の画像信号を出力する。さらにこの信号処理部110を制御する制御部130を有する。
【0033】
一方受信装置300も信号処理部310を有する。ここで、第2の入力画像信号を超解像処理部314で超解像処理して4:2:2フォーマットの第3の画像信号を生成する。再構成型超解像処理部316とスケーラ317は、この第3の画像信号をさらに再構成型超解像処理及びスケール変換して4:4:4フォーマットの第4の画像信号を出力する。さらにこの信号処理部310を制御する制御部330を有する。
【0034】
ここで制御部330は、高画質リンク指令部330eと、送受信部330aと、処理ルーチン切換部330cを有する。そして、高画質リンク指令部と330eは、メディアデータサーバーとテレビジョン受信装置が、所定の規格に準拠するインターフェースで接続されている場合に、視聴目的のための外部操作に応じて起動する。
【0035】
即ち、メニュー画面処理部330dは、メディアデータサーバーと前記受信装置が所定の規格に準拠するインターフェースで接続されている場合に、画質モードの設定画面に高画質リンクの設定を許すメニューを表示する。そして高画質リンク指令部330eは、メニュー上で「オート」の設定操作が行われた場合、コマンドを出力する。そして送受信部330aは、前記コマンドを送信する。このコマンドは、図5に示すように第1の画像信号が再構成されることなくスケール変換されて前記4:4:4フォーマットの第2の画像信号で出力されるように前記第1の信号処理部を制御する。
【0036】
一方、処理ルーチン切換部330cは、図5に示すように、前記第2の入力画像信号が直接再構成型超解像処理され前記4:4:4フォーマットの第4の画像信号として出力されるように前記第2の信号処理部を設定する。
【0037】
ここで第1の画像信号は再構成されることがあり、第1の画像信号は数LSBの微小振幅の画像信号のみ再構成される場合を含む。
【0038】
この時、第2の再構成型超解像処理は、数LSB以上の振幅の画像信号が処理される場合や、全振幅が処理される場合がある。
【0039】
これにより、高画質リンクが指定された場合に、全体として最良の鮮鋭化処理経路(第1の状態)を自動的に構築することができる。本装置の場合、テレビジョン受信装置300は、メディアデータサーバー110にHDMIを介して接続された場合、このHDMIが1080p画質モードに対応しているものであるかどうかを確認するだけである。この状態では、処理ルーチンを自動制御することはしない。図3、図4で説明したように、HDMIが1080p画質モードに対応しているときに、「1080p画質モード」のメニュー項目にアクセスでき、「オート」の設定が可能となるだけである。ユーザが、視聴目的のためにメニューから「オート」の設定の決定を行った場合にはじめて信号処理回路の処理ルーチンの制御が実施される。
【0040】
上記の「オート」状態においては、メディアデータサーバーからの画像信号は、1画素12ビット単位、4:4:4フォーマットでテレビジョン受信装置300に入力する。テレビジョン受信装置300では、4:2:2フォーマット処理のルーチンをスキップさせて、入力画像信号を4:4:4フォーマット処理に導入している。このため、色画質、処理ビット精度に関する劣化がなく、メディアデータサーバーで超解像化された画像信号が忠実にテレビジョン受信装置300で表示される。また、超解像化処理は、メディアデータサーバーで行われる、つまり信号源の近くで行われるので、ノイズなどの影響を受けにくく、良質の画像を提供することができる。またブルーレイディスクからの再生画像において映画を収録したコンテンツ(24Hz)で再生されるものは、60Hzに変換することなくそのまま処理することができるので、途中に変換(24→60Hz変換は通常はNR/IP変換部313で行っている)が伴わない分、画質の品位を良質に維持できる。なお高画質リンクの画質モードでは、HDMIデータ処理は、強制的にY、Cb,Crで転送をしており、全体のビット精度の向上を図っている。
【0041】
また、上記のメニューでは、図3に示すように「オート」の他に、「モニタ」、「ノーマル」の各モードを設定することも可能である。
【0042】
「モニタ」モードが設定された場合は、テレビジョン受信装置300では、セレクタ312の出力が、バックエンドプロセッサ318に直接入力される。バックエンドプロセッサ318は、「モニタ」モード及び先の「オート」モードでは、画像サイズを、入力のままで、つまり1画素対1ドット(ドット・バイ・ドット)で出力するように固定される。
【0043】
また「ノーマル」モードが設定された場合は、セレクタ312の出力が、NR/IP変換部313、超解像処理部314、再構成型超解像処理部316、スケーラ317、バックエンドプロセッサ318の経路で処理されて、表示器400に入力される。
【0044】
上記のように本装置は、高画質リンクに対応している装置のみならず、1080p対応HDMIで接続可能な装置に対しても柔軟に対応できるように構成されている。
【0045】
本装置では、超解像処理部314、再構成型超解像処理部316が使用されている。超解像処理部314には、複数フレーム超解像処理、色超解像処理、自己合同性超解像処理が含まれる。再構成型超解像処理技術は、入力画像信号の画素から仮の高解像度の画像信号を生成する。このとき入力画像信号の中の注目画素がカメラ撮像時におけるぼけた成分を含むことを想定して、仮の高解像度の画像信号を入力画像信号と同じ解像度の比較用画像信号に変換する。そして再度、前記オリジナルの入力画像信号と比較用画像信号を比較し、差分成分を得る。この差分成分でさらに仮の高解像の画像信号を補正することで、精度のよい高解像度画像信号を生成している。言い換えると、再構成型超解像処理では、まず初期の高解像度画像を設定し、そこからカメラモデルに基づき観測画像である低解像度画像の各画素値を推定する。推定された画素値と実際の観測画素値の誤差を最小にするように高解像度画像を更新する。収束するまで更新処理を繰り返すことにより、高解像度画像を求める手法が再構成型超解像処理である。
【0046】
自己合同性超解像技術は、例えば画像の絵柄の注目部分(例えば注目エッジ部分)において、周囲から当該エッジ部分に類似した箇所を検出し、この検出箇所の画像を前記注目エッジ部分に重ねて新たな画像を生成し、画像の鮮鋭化を行う。
【0047】
色超解像処理技術は、色差信号の情報量を輝度信号の少なくとも1/2の情報量まで復元する。例えば、色差信号と輝度信号の対応関係を見て、同じ輝度信号に対しては、同じ色の色差信号を増設している。
【0048】
複数フレーム超解像技術は、注目画素の周囲の複数の画素(フレーム間及び同一フレーム内の画素)から、注目画素の本来の値を推定し、注目画素を補正する技術である。再構成型超解像処理技術が基本になっている。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
100・・・メディアデータサーバー、103・・・HDMIデータ処理器、110,310・・・信号処理器、112、312・・・セレクタ、113、313・・・NR/IP変換部、114、314・・・超解像処理部、116,316・・・再構成型超解像処理部、117、317・・・スケーラ、118、318・・・バックエンドプロセッサ、121、303・・・HDMIデータ処理器、300・・・テレビジョン受信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号を受信するインターフェースと、
前記画像信号を第1の鮮鋭化処理で鮮鋭化した第1の画像信号に変換し、この第1の画像信号をさらに第2の鮮鋭化処理で鮮鋭化した第2の画像信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
外部機器から画像信号の入力を受け付ける状態に選択されている場合、前記信号処理部を第1の状態に切換えて、当該画像信号に対して前記第1の鮮鋭化処理を行うことなく前記第2の鮮鋭化処理を行なうよう制御する切換部を有した画像処理装置。
【請求項2】
前記画像信号の映像処理モードの選択をユーザに許可する選択手段を更に備え、
前記制御手段は、前記選択手段にて選択された映像処理モードに応じて、画像信号に対して前記第1の鮮鋭化処理を行うことなく前記第2の鮮鋭化処理を行なうよう制御する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の鮮鋭化処理は第1の超解像処理であり、前記第2の鮮鋭化処理は前記第1の超解像処理とは異なる第2の超解像処理である請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記切換部は、映像処理モードの設定画面で第1の項目が選択された場合、前記信号処理部を前記第1の状態に切換え、前記画像信号を前記第2の鮮鋭化処理して4:4:4のフォーマットの前記第2の画像信号に変換させる請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記切換部は、映像処理モードの設定画面で第2の項目が選択された場合、前記信号処理部を第2の状態に切換え、前記画像信号を前記第1の鮮鋭化処理して第1フォーマットである4:2:2の第1の画像信号に変換し、この第1の画像信号をさらに前記第2の鮮鋭化処理して第2フォーマットである4:4:4の第2の画像信号に変換させる請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2の鮮鋭化処理は、再構成型超解像処理を含む請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の画像信号は第1の信号フォーマットであり、
前記第2の画像信号は、前記第1の信号フォーマットとは異なる第2のフォーマットである請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1の信号フォーマットは、4:2:2の信号フォーマットであり、
前記第2の信号フォーマットは、4:4:4の信号フォーマットである請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
メディアデータサーバーが、サーバー側の入力画像信号を第1の鮮鋭化処理で鮮鋭化したサーバー側第1の画像信号を生成し、このサーバー側第1の画像信号をさらに第2の鮮鋭化処理で鮮鋭化したサーバー側第2の画像信号に変換するサーバー側信号処理部と、前記サーバー側信号処理部を制御するサーバー側制御部を有し、
前記メディアデータサーバーからの入力画像信号を受けつけるインターフェースと、
前記入力画像信号を第1の鮮鋭化処理で鮮鋭化した受信側第1の画像信号に変換し、この受信側第1の画像信号をさらに第2の鮮鋭化処理で鮮鋭化した受信側第2の画像信号に変換する受信側信号処理部と、
前記受信側信号処理部を制御する受信側制御部を有し、
前記受信側制御部は、
外部機器から画像信号の入力を受け付ける状態に選択されている場合、前記信号処理部を第1の状態に切換えて、前記受け付けた画像信号を前記第1の鮮鋭化処理を行うことなく前記第2の鮮鋭化処理を行なうよう制御する切換部と、
前記メディアサーバーに向けて、該メディアデータサーバーでの鮮鋭化の処理形態を指示する通知信号を出力する高画質リンク指令部を有する画像処理装置。
【請求項10】
前記インターフェースは、HDMI(ハイ・ディフィニション・マルチメディア・インターフェース)規格に属する規格であり、
前記インターフェースが選択されたときに、画質モードの設定画面に高画質リンクの設定を許すメニューを表示するメニュー画面処理部をさらに有する請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記メディアデータサーバーが、前記通知信号に応答して処理した、前記サーバー側画像信号を出力している場合、前記受信側信号処理部は、前記サーバー側画像信号を再構成型超解像処理により鮮鋭化した前記受信側第2の画像信号に変換する請求項9記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記サーバー側画像信号は、数LSBの微小振幅の画像信号のみ再構成されており、前記受信側信号処理部の再構成型超解像処理は、前記サーバー側画像信号の前記数LSB以上の振幅の画像信号を処理する請求項11記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記受信側信号処理部の再構成型超解像処理は、前記サーバー側画像信号の全振幅の画像信号を処理する請求項11記載の画像処理装置。
【請求項14】
入力画像信号を受け付けるインターフェースを有し、第1の鮮鋭化処理で鮮鋭化した第1の画像信号に変換し、この第1の画像信号をさらに第2の鮮鋭化処理で鮮鋭化した第2の画像信号に変換する信号処理部を有し、前記信号処理部を制御する制御部を有する画像処理装置の制御方法において、
前記制御部は、外部機器から画像信号の入力を受け付ける状態に選択されている場合、前記信号処理部を第1の状態に切換えて、当該画像信号に対して前記第1の鮮鋭化処理を行うことなく前記第2の鮮鋭化処理を行なうよう制御する画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−51648(P2013−51648A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189798(P2011−189798)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】