説明

画像処理装置

【課題】原本性を確実に証明できる多数枚の記録シートからなる書類を作成する。
【解決手段】一定順に出力される記録シートに対し、複数の記録シートにそれぞれ異なる特定画像を形成する。特定画像が形成された記録シートよりも上位の記録シートに、特定画像の位置に合わせて確認孔を形成する。これらの記録シートを積み重ねた書類を上から見ると、確認孔を通して特定画像を見ることができると、その書類の原本性を証明できる。確認孔から特定画像を見ることができない場合、一部の記録シートの落丁、入れ替わり等によって、書類が変化したことがわかり、その書類の原本性を証明できない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原本性の証明が可能な書類を作成するための画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公的文書等の書類の原本性を証明するために、桜紙が使用されたり、書類に地紋やウォータマークが入れられている。これによって、原本の書類とコピーされた書類とが明確に区別できる。
【0003】
しかし、書類が多数枚の記録シートからなる場合、桜紙を使用すると、コストがかかってしまう。また、地紋やウォータマークが入れられた書類の場合、コピーされた書類をさらにコピーするといったように、何回もコピーされると、地紋やウォータマークの判別が不能となり、原本との区別がつかなくなる。
【0004】
そこで、書類に機械的な加工を施すことにより、原本性を保証できるようにした画像処理装置が特許文献1に記載されている。この画像処理装置では、印刷した記録シートに、所定規則に配列された貫通孔を形成する。このように貫通孔が形成された原本の書類とコピーされた書類とでは、一目で違いがわかる。
【特許文献1】特開2003−1905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように貫通孔が形成された書類によって、原本性の証明が可能となる。しかし、多数枚の記録シートからなる書類において、記録シートが抜き取られて落丁していたり、ページ順が入れ替わっていたりした場合、各記録シートには貫通孔があるので、このような不備を見つけることができない。そのため、書類としては不完全であり、確実に原本性を証明できるものではない。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑み、多数枚の記録シートからなる書類において、その原本性の証明が可能な書類を作成できる画像処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、記録シートに画像を形成する画像形成部と、記録シートの一部を切り抜いて確認孔を形成する加工部と、画像形成部および加工部を制御する制御部とを備え、制御部は、確認孔が形成された記録シートに対して所定の関係を有する他の記録シートに特定画像を形成するように、画像形成部を制御するものである。
【0008】
利用者は、記録シートに形成された確認孔および特定画像を見ることができる。そして、確認孔および特定画像はそれぞれ異なる記録シートに形成される。ここで、確認孔と特定画像とは、上位下位あるいは連続といった所定の関係を有する別々の記録シートにそれぞれ形成されることにより、確認孔を通じて特定画像を見ることが可能となり、これが原本性の証明となる。しかし、記録シートの所定の関係が崩れると、利用者は、確認孔を通じて特定画像を見ることができなくなり、この書類は原本でないと認識できる。
【0009】
画像形成部は、一定順に出力される記録シートにおいて、確認孔が形成された記録シートの下位の記録シートを他の記録シートとして、この記録シートに特定画像を形成する。すなわち、他の記録シートと下位の記録シートとは、隣り合うシート同士であり、これが所定の関係となる。
【0010】
加工部は、複数の記録シートの所定位置に確認孔をそれぞれ形成し、画像形成部は、この確認孔に対応する特定画像を他の記録シートの所定位置に形成する。確認孔および特定画像は、それぞれの記録シートの同じ所定位置に形成される。
【0011】
確認孔は各記録シートの同じ所定位置に形成されるので、複数の記録シートが積み重ねられたとき、各確認孔は1つの孔となる。一方、特定画像は、確認孔と同じ所定位置に形成されるので、孔の底に位置する。したがって、確認孔を通じて特定画像を確認することができる。
【0012】
加工部は、1枚の記録シートの複数の所定位置に確認孔を形成し、上位の記録シートの確認孔の個数は、下位の記録シートの確認孔の個数よりも多くされ、画像形成部は、各確認孔に応じて異なる記録シートに異なる特定画像を形成する。すなわち、記録シートが下位になるにしたがって、確認孔の個数が減っていく。
【0013】
制御部は、記録シートの余白に所定位置を設定する。これによって、確認孔および特定画像は、記録シートの余白に形成されることになる。その結果、確認孔および特定画像は、記録シートに形成される画像と重ならないので、画像を損なうことはない。
【0014】
加工部は、複数の記録シートを綴じるための綴じ孔を形成し、確認孔は、綴じ孔とは異なる位置に形成される。綴じ孔に対して、特定画像は形成されない。また、制御部は、最上位となる記録シートへの確認孔の形成を禁止する。最上位の記録シートは、表紙となる。この表紙には確認孔が形成されず、表紙が下位の記録シートに形成された確認孔を隠す。したがって、書類としての見栄えがよくなる。また、原本性を証明するための細工が施されていることを隠蔽できる。
【0015】
また、加工部は、一定順に出力される記録シートにおいて、連続する記録シートに確認孔を形成し、画像形成部は、確認孔が形成された最下位の記録シートの下位の記録シートに特定画像を形成する。すなわち、確認孔が形成される記録シートと特定画像が形成される他の記録シートとは、ページ順が連続する関係を有する。
【0016】
このとき、画像形成部は、特定画像をそれぞれ異なる記録シートに形成し、加工部は、各特定画像に応じて複数の記録シートに確認孔を形成する。各特定画像に対して、確認孔が形成される記録シートの枚数が決まり、加工部は、該当する記録シートに確認孔を形成する。ここで、特定画像に対応する確認孔が形成された記録シートの枚数が増減すると、確認孔が形成される記録シートと特定画像が形成される他の記録シートとの関係が変化する。これによって、確認孔を通じて特定画像を見ることができなくなり、このような書類の原本性が証明されない。
【0017】
特定画像は、文字、記号、模様、地色のいずれかとされる。また、特定画像は、画像に対する管理情報を示す。特定画像に管理情報としての機能を付加することにより、管理情報を示す画像を別途形成する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、記録シートに確認孔を形成し、これに対応する特定画像を他の記録シートに形成することにより、確認孔を通じて特定画像を見ることができれば、その書類が原本であることを証明できる。一方、確認孔を通じて特定画像を見ることができなければ、記録シートの落丁や入れ替わりがあったことになり、原本から変化した書類であることがわかる。したがって、書類が原本であるか否かを簡単に見分けることができる。しかも、落丁等の書類の不備も簡単に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本実施形態の画像処理装置を図1に示す。本画像処理装置は、コピーモード、プリントモード、スキャナモードおよびファクシミリモードを実行する複合機であり、キャビネット1に、原稿を読み取って画像データを入力するスキャナ部2と、画像データを処理する画像データ処理部3と、認証情報等の入力された情報を処理する情報処理部4と、シートに加工を施す加工部5とを備えている。
【0020】
画像データ処理部3は、入力された画像データの編集、記憶、出力処理を行う画像処理部6と、ネットワークを介してデータ通信を行うネットワーク通信部7と、画像データを記録シートに印刷するプリント部(画像形成部)8と、装置全体の制御情報や設定情報等を記憶している管理部9と、装置全体の制御を司る機器制御部10とを有する。画像処理部6は、画像データを保存するハードディスク装置およびメモリを備えている。
【0021】
情報処理部4は、入力操作用の操作部11と、操作画面を表示する表示部12と、USB機器やICカード等の携帯端末機器と通信を行うインターフェース部13と、認証情報等の情報を記憶するメモリ14と、入力された操作情報や認証情報の処理を行う制御部15とを有する。インターフェース部13による通信は、有線に限らず無線であってもよい。
【0022】
操作部11および表示部12は、操作パネルに設けられる。操作部11は、各種の操作キーを備えている。表示部12は、液晶ディスプレイからなり、タッチパネルとされる。表示部12に表示される操作画面内にタッチキーが形成され、これらも操作キーとして機能する。
【0023】
加工部5は、印刷後の記録シートに孔を開けるといった後処理を行う。また、後処理として、印刷された複数の記録シートをまとめてステープル止めすることを行ってもよい。
【0024】
そして、複数の画像処理装置が、LAN、WANといったネットワークに接続されている。ネットワークには、複数の外部装置が接続されている。外部装置としては、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置やサーバとされる。ネットワークは、ルータから電話回線や光ファイバ等の通信回線を介してインターネットに接続される。画像処理装置のネットワーク通信部は、外部装置とネットワークを通じて所定の通信プロトコルによって通信可能とされる。また、画像処理装置同士も通信可能とされる。なお、ネットワーク内での通信は有線でも無線でもよい。これらの画像処理装置および外部装置によって、画像処理システムが形成される。
【0025】
また、画像処理装置は、モデム装置を有し、モデム装置に電話回線が接続される。画像処理装置は、ファクシミリ通信を行える。さらに、画像処理装置および外部装置は、ネットワークを通じてインターネットファクシミリによるデータ通信も行える。
【0026】
機器制御部10は、CPU、ROM、RAMを有するマイクロコンピュータからなる。そして、機器制御部10は、画像データの入力があると、操作部11からの入力情報や外部装置から入力された画像データのヘッダ情報に含まれる処理条件に基づいてプリントモード、コピーモード、スキャナモード、ファクシミリモードのいずれかの処理を実行する。
【0027】
画像データは、スキャナ部2において、原稿を読み取ることにより入力される。スキャナ部は、原稿の画像データを入力する入力部として機能する。また、画像データは、外部装置からネットワーク6を通じて画像処理装置に送信される。ネットワーク通信部7が、画像データを受信して入力する。ファクシミリによる受信の場合は、モデム装置が画像データを入力する。このように、ネットワーク通信部7およびモデム装置は、画像データを入力する入力部として機能する。
【0028】
プリントモードやコピーモードでは、画像処理部6において画像データの画像処理を行ってから、プリント部8により記録シートに画像を印刷する。スキャナモードでは、画像データをハードディスク装置に記憶し、外部装置からの呼び出しによってネットワーク通信部7を通じて画像データを外部装置に送信する。ファクシミリモードでは、モデム装置を通じて画像データをファクシミリ装置に送信する。このように、プリント部8、ネットワーク通信部7およびモデム装置は、画像データを出力する出力部として機能する。
【0029】
ここで、本画像処理装置のスキャナ部2およびプリント部8について説明する。図2に示すように、スキャナ部2は、原稿搬送装置20を備えている。原稿搬送装置20は、原稿の画像データを読み取るために原稿を自動的に搬送する。原稿搬送装置20は、キャビネット1の上方に配置される。キャビネット1の上面に、プラテンガラスからなる原稿台21が設けられ、原稿台21を覆う原稿カバー22が設けられる。原稿搬送装置20は、原稿カバー22に一体的に搭載される。
【0030】
原稿カバー22は、開閉自在とされ、原稿カバー22が閉状態のとき、原稿搬送装置20によって原稿が搬送される。原稿カバー22が開状態のとき、原稿を原稿台21に載置できる。原稿カバー22の開閉を検出するカバー開閉センサ23が設けられ、原稿カバー22の開状態あるいは閉状態が検出される。また、原稿台21に載置された原稿のサイズを検出する原稿サイズ検出センサが設けられている。
【0031】
原稿が原稿搬送装置20の原稿セットトレイ30にセットされると、原稿検出センサ31が原稿をセットされたことを検出する。そして、操作パネルにおいて、記録用紙のサイズおよび変倍率等のコピー条件が入力される。その後、スタートキーの入力操作により、コピーが開始される。
【0032】
原稿搬送装置20において、ピックアップローラ32により原稿セットトレイ30上の各原稿が1枚ずつ引き出される。原稿は、捌き板33と搬送ローラ34間を通って、原稿台21に送り出される。原稿は、原稿台21上で副走査方向に搬送され、原稿排出トレイ35に排出される。原稿排出トレイ35には、原稿排出センサ36が設けられ、原稿排出トレイ35上の原稿の有無が検出される。
【0033】
原稿台21の一側に、読取領域が形成され、原稿が原稿台21を搬送されるとき、読取領域を通過する。読取領域の下方には、第1読取部37の第1走査ユニット38が位置して、原稿の表面(下側面)が読み取られる。
【0034】
原稿搬送装置20によって原稿が原稿台21に搬送されるとき、第1走査ユニット38は読取位置に移動して位置決めされ、第2走査ユニット39も所定位置に位置決めされる。第1走査ユニット38の露光ランプにより、原稿の表面が原稿台21の下方から照射される。原稿からの反射光は、第1、第2走査ユニット38、39の各反射ミラーにより結像レンズ40に導かれる。原稿の反射光は、結像レンズ40によりCCD(Charge Coupled Device)41に集光される。原稿の表面の画像がCCD41上に結像される。これにより、搬送される原稿の表面の画像が読み取られる。
【0035】
また、第2読取部22によって、原稿の裏面(上側面)が読み取られる。第2読取部42は、原稿台21の上方に配置され、原稿の裏面を照射するLED、蛍光灯等を有する露光ランプアレイ、画素毎に原稿の反射光を集光するセルフォックレンズアレイ、セルフォックレンズアレイを通じて受光した原稿からの反射光を光電変換して、アナログの画像信号を出力する密着イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)等を備えている。これにより、搬送される原稿の裏面の画像が読み取られる。
【0036】
原稿台21に原稿を載置したとき、第1読取部37により原稿の表面の画像が読み取られる。第1、第2走査ユニット38、39は相互に所定の速度関係を維持しつつ副走査方向に移動する。第1走査ユニット38によって、原稿台21上の原稿が露光され、第1、第2走査ユニット38、39によって、原稿からの反射光が結像レンズ40に導かれる。結像レンズ40によって、原稿の画像がCCD41上に結像される。
【0037】
このようにして、原稿の片面もしくは両面が読み取られると、原稿の片面もしくは両面の画像データが画像データ処理部3に入力される。ここで、画像処理部6は、画像データに各種の画像処理を施す。この画像データがプリント部8に出力される。
【0038】
画像形成部8は、画像データに基づいて原稿の画像を記録シートに印刷する。画像形成部8は、感光体ドラム50、帯電装置51、レーザスキャンユニット52、現像装置53、転写装置54、クリーニング装置55、除電装置(図示せず)、定着装置56等を備えている。また、記録シートを供給して搬送するために、供給部60、搬送装置61および排出処理装置62を備えている。
【0039】
搬送装置61には、主搬送路63および反転搬送路64が形成されており、供給部60から供給された記録シートは、搬送ローラにより主搬送路63に沿って搬送される。供給部60は、カセット65に収納された記録シートまたは手差トレイ66に載置された記録シートを1枚ずつ引き出して、主搬送路63に送り出す。
【0040】
主搬送路63に沿って感光体ドラム50、定着装置56が配置され、転写装置54が主搬送路63を挟んで感光体ドラム50と対向配置される。記録シートは、感光体ドラム50と転写装置54との間を通過し、定着装置56を通過する。この通過中に、記録シートに画像が印刷される。
【0041】
感光体ドラム50は、一方向に回転しており、クリーニング装置55および除電装置は、感光体ドラム50の表面を除電し、クリーニングする。帯電装置51は、感光体ドラム50の表面均一に帯電する。レーザスキャンユニット52は、スキャナ部2からの画像データに基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光によって感光体ドラム50表面を主走査方向に繰り返し走査して、静電潜像を感光体ドラム50表面に形成する。現像装置53は、トナーを感光体ドラム50表面に供給して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム50表面に形成する。転写装置54は、記録シートに感光体ドラム50表面のトナー像を転写する。定着装置56は、記録シートを加熱および加圧して、記録シート上のトナー像を定着する。
【0042】
主搬送路63と反転搬送路64の接続位置には、分岐爪67が配設されている。分岐爪67は回転自在とされ、その姿勢が切り替えられる。記録シートの片面だけに印刷が行われる場合は、分岐爪67が搬送姿勢に切り替えられ、この分岐爪67により定着装置56からの記録シートが排出トレイ68あるいは排出処理装置62に導かれる。記録シートの両面に印刷が行われる場合は、分岐爪67が反転姿勢に切り替えられ、記録シートが反転搬送路64に導かれる。そして、記録シートは、反転搬送路64を通過して、その表裏を反転されて主搬送路63に再び搬送される。この搬送中に、記録シートの裏面に印刷が行われる。
【0043】
画像が印刷された記録シートは、主搬送路63から排出トレイ68に排出される。あるいは、排出処理装置62の各排出トレイ69のいずれかに排出される。
【0044】
排出処理装置62は、複数の搬送ローラ70を備え、記録シートを各排出トレイ69に仕分けして排出する。すなわち、排出処理装置62では、複数部の書類を作成する場合、各排出トレイ69に書類の1部ずつが割り当てられるように、複数の記録シートを仕分けして、各排出トレイ69に排出する。
【0045】
加工部5は、記録シートをパンチングすることにより孔を開けるパンチユニット71を備えている。パンチユニット71は、主搬送路63に通じる排出処理装置62の入口近傍に配される。機器制御部10がパンチユニット71および排出処理装置62を制御することにより、記録シートがパンチユニット71を通過するときに、記録シートに孔が開けられる。
【0046】
図3に示すように、パンチユニット71は、搬送路72を挟んでダイス73とガイド板74とを備えている。ダイス73は、モータによって回転駆動されるカムに接続される。カムの回転に伴ってダイス73が往復動し、ダイス73は一対のガイド板74の間に進入して、後退する。このとき、ダイス73が搬送路72を通過する記録シートを打ち抜き、記録シートに孔が開けられる。ガイド板74の下方には、パンチ屑収納容器75が設けられ、パンチングによって発生したパンチ屑を回収する。
【0047】
このパンチユニット71のパンチングの動作を説明すると、図4(a)に示すように、印刷された記録シートが、主搬送路63から搬送路72に入ってきて、排出処理装置62内の搬送ローラ70により搬送される。図4(b)に示すように、シート検出センサ76によって、記録シートの後端が検出されると、機器制御部10は、記録シートの搬送を停止して、パンチユニット71を駆動する。
【0048】
図4(c)に示すように、ダイス73が往復動して、記録シートを打ち抜き、記録シートに孔が形成される。このとき生じたパンチ屑がパンチ屑収納容器75に落下する。パンチ屑収納容器75には、パンチ屑の落下を検出する光センサ77が設けられている。光センサ77の発光素子78から発せられた光は、反射板79により反射して、受光素子80が受光する。パンチ屑が落下すると、この光が遮られ、受光素子80は受光しない。
【0049】
機器制御部10は、この受光素子80のオン出力からオフ出力への変化により、パンチングが終了したことを検知する。すると、図4(d)に示すように、機器制御部10は、記録シートの搬送を開始して、記録シートを排出トレイ69に排出する。
【0050】
記録シートに複数の孔を開ける場合、機器制御部10は、1回のパンチングが終了するたびに、記録シートを所定量だけ搬送させて、パンチングを繰り返すようにパンチユニット71を制御する。これによって、記録シートに所定の間隔で複数の孔が形成される。
【0051】
なお、ダイス73およびガイド板74を複数セット設けてもよく、記録シートに複数の孔を同時に開けることができる。また、ダイス73およびガイド板74を移動可能としてもよく、記録シートの任意の位置に孔を開けることができる。
【0052】
本画像処理装置では、画像を印刷して作成した複数の記録シートからなる書類の原本性を証明できるように、図5に示すように、記録シートに確認孔90を形成するとともに、確認孔90に対応した特定画像91を他の記録シートに形成する。
【0053】
この書類は、複数の記録シートが一定順に出力されたものである。例えば、記録シートがページ順に積み重ねられて、1つの書類とされる。確認孔90は、上位から下位に向かって連続して並ぶ複数の記録シートに形成される。特定画像91は、確認孔90が形成された最下位の記録シートの下位の記録シートに形成される。すなわち、特定画像91が形成される他の記録シートは、確認孔90が形成された最下位の記録シートと隣り合う関係にある。なお、ここでの上位、下位とは、ページ順とは関係なく、積み重ねられた記録シートの上下関係のことである。
【0054】
また、複数の確認孔90が形成される。各確認孔90は、それぞれ異なる所定位置に形成される。1枚の記録シートにおける確認孔90の個数は、上位の記録シートほど下位の記録シートよりも多い。各確認孔90に対応して、特定画像が複数形成される。特定画像は、各確認孔90の所定位置と同じ所定位置に記録シート毎に形成される。
【0055】
特定画像91は、例えば文字、記号、模様、地色のいずれか、あるいはこれらを組み合わせた画像とされる。各確認孔90に対応する特定画像91は、それぞれ異なる画像である。ただし、複数の特定画像91を同じ画像としても差し支えない。
【0056】
特定画像91を模様や記号にする場合、管理情報を示す画像としてもよい。管理情報は、画像形成に関する情報、画像データに関する情報等であり、追跡情報として利用できる。また、管理情報として、暗号化キーに関する情報としてもよい。記録シートに形成された特定画像91から暗号化キーを作成して、この記録シートに印刷された画像を読み取った画像データを暗号化キーにより暗号化できる。
【0057】
図6に示すように、複数の記録シートを一定順に積み重ねた書類において、利用者がこの書類を上から見ると、各確認孔90を通じてそれぞれ特定画像91が見える。図7に示すように、最上位の記録シートには、5個の確認孔90と2個の綴じ孔92が形成される。なお、綴じ孔92は、全ての記録シートに形成される。確認孔90、綴じ孔92および特定画像は、記録シートの余白に形成される。
【0058】
そして、下位の記録シートにおいては、5個の特定画像91が、各確認孔90に対応して、それぞれ異なる記録シートに形成される。すなわち、最上位よりも下位の記録シートには、1個の特定画像91と4個の確認孔90が形成される。さらに下位の記録シートには、1個の特定画像91と3個の確認孔90が形成される。下位にいくほど記録シートに形成される確認孔90は少なくなる。
【0059】
ここで、確認孔90から特定画像91が見えないとき、記録シートの一部が落丁している、あるいは記録シートのページ順が入れ替わっているといったことが考えられる。書類に対して何らかの手が加えられたことになる。このように、確認孔90を通じて特定画像91が見えることにより、この書類の原本性を証明できる。
【0060】
上記のように組み合わせられた確認孔90および特定画像91を有する書類を作成するために、機器制御部10は、確認孔90とこれに対応する特定画像91を所定の記録シートに形成するように、画像形成部8およびパンチユニット71を制御する。
【0061】
原本となる書類を作成するとき、機器制御部10は、原本証明有りの指示に基づいて、上記のパンチングおよび特定画像の形成を実行する。ここで、確認孔90および特定画像91の形態は、利用者によって任意に設定できる。この設定動作を図8にしたがって説明する。
【0062】
コピーモードにおいて、原稿をコピーして原本となる書類を作成する。まず、図9に示すように、利用者は、操作パネルに表示されるコピーモードでの操作画面において、「アウトプット」の操作キーを操作すると、出力設定画面が表示される。「パンチ」の操作キーを操作すると、パンチ孔設定画面が表示される。この画面において、綴じ孔の位置およびパンチ数を設定できる(S1)。「原本証明」の操作キーを操作する(S2)と、原本証明用パンチ設定画面が表示される。
【0063】
利用者は、確認孔90のパンチ数を設定し(S2)、確認孔90の配置を設定し(S3)、確認孔90のパンチ方向を設定する(S4)。確認孔90の配置としては、等間隔あるいはランダムを選択できる。確認孔90が形成される所定位置は、綴じ孔92と同様、記録シートの余白とされ、画像が印刷される領域には設定できない。
【0064】
確認孔90のパンチ方向として、上下を設定できる。例えば、書類が昇順になっているとき、上方向に設定すれば、ページの昇順に確認孔90が形成される。下方向に設定すれば、ページの降順に確認孔90が形成される。
【0065】
また、利用者は、特定画像91の形態を設定する(S6)。例えば、文字、記号、模様、地色のいずれかを選択できる。文字を選択したとき、図10に示すように、文字入力画面が表示され、ひらがなあるいは英数のいずれかにより、任意の文字を設定できる(S7)。記号や模様を選択する場合も、同様に記号選択画面あるいは模様選択画面が表示され、任意の記号あるいは模様を設定できる。地色を選択すると、下地の色を設定できる(S8)。
【0066】
なお、特定画像91を形成する記録シートは、利用者が指定したページに対応する記録シートとする。あるいは、機器制御部10がランダムにページを指定してもよい。また、最上位のページを除いて、残りのページ全部に特定画像91を形成してもよい。この場合、最上位のページが表紙であれば、特定画像91をページ番号とする。これによって、ページ番号を印刷する必要がなくなる。
【0067】
さらに、最上位のページには、確認孔90を形成しないようにしてもよい。すなわち、機器制御部10は、最上位となる記録シートへの確認孔90の形成を禁止する。この場合、次のページには、特定画像91は形成されない。最上位のページは、表紙となる場合が多い。そこで、表紙には確認孔90を形成しないことにより、下位の確認孔90が隠され、書類としての見栄えがよくなる。
【0068】
利用者は、設定を完了して、「OK」の操作キーを操作すると、機器制御部10は、原本証明有りの指示を受け付ける。スタートキーが操作されると、図11に示すように、機器制御部10は、原本証明を有する書類を作成するためのコピーモードを実行する。画像形成部8は、入力された画像データに基づいて記録シートに画像を印刷する。機器制御部10は、原本証明の設定に基づき、特定画像91を形成するページおよび確認孔90を形成するページを予め決める。機器制御部10は、画像を印刷するとき、特定画像91を形成するページか否かを確認する。特定画像91を形成するページに該当するとき、機器制御部10は、特定画像91の画像データを画像形成部8に出力する。画像形成部8は、入力された画像に特定画像91を合成して、合成した画像を記録シートに印刷する。該当しないとき、入力された画像を印刷する。
【0069】
印刷された記録シートを排出するとき、機器制御部10は、確認孔90を形成するページか否かを確認する。確認孔90を形成するページに該当するとき、パンチユニット71は、決められた確認孔90の個数に応じてパンチングを行う。決められた個数の確認孔90が形成されると、記録シートは排出トレイ69に排出される。該当しないとき、記録シートはそのまま排出トレイ69に排出される。なお、綴じ孔92が設定されているときは、確認孔90の有無に関係なく、パンチユニット71は、パンチングにより綴じ孔92を形成する。
【0070】
全ての記録シートの印刷が終了するまで、上記の特定画像91の形成と確認孔90の形成が繰り返される。印刷が終了すると、排出トレイ69には、図12に示すように、複数の記録シートが一定順、例えばページの昇順に積み重ねられる。この書類を上から見ると、各確認孔90からそれそれ異なる特定画像91を確認できる。これによって、この書類の原本性が証明される。
【0071】
図13に示すように、記録シートが入れ替わっていた場合、例えば6ページの記録シートが9ページと10ページの記録シートの間に移動していると、上から見たとき、6ページに形成されている特定画像91が確認孔90から見えない。また、6ページの記録シートが落丁している場合も同様である。このような場合、書類に不備があり、書類の原本性を証明できない。
【0072】
図14に示すように、記録シートが裏返っていた場合、例えば6ページの記録シートが裏返っていると、確認孔90の位置が変わる。上から見たとき、6ページよりも下位のページでは、6ページの記録シートにより確認孔90が塞がれ、特定画像91が見えない。また、任意のページの記録シートが確認孔90のない記録シートと差し替えられたり、あるいは確認孔90のない記録シートが挿入された場合も同様である。このような場合、書類に不備があり、書類の原本性を証明できない。
【0073】
上記のように第三者が書類に手を加えることにより、一定順の並んでいる記録シートに不整合が生じる。その結果、特定画像91と確認孔90との関係が崩れ、書類が原本とは異なった状態に変化したことを容易に識別できる。したがって、その書類は原本でないことを証明できる。また、書類がコピーされた場合、コピーされた記録シートには確認孔90が形成されていないので、原本でないことを簡単に見分けることができる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。プリントモードでの印刷あるいはファクシミリモードにより受信した画像データを印刷する場合でも、原本証明有りに設定して、原本性の証明が可能な書類を作成してもよい。
【0075】
確認孔は、記録シートを打ち抜いた孔に限らず、図15に示すように、記録シートの端を切り抜いた切欠き状の孔にしてもよい。パンチユニットは、円形の孔だけでなく、角形の孔も形成できるものとする。また、確認孔を形成する所定位置は、記録シートの余白に限らず、画像が形成される領域内であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の画像処理装置の概略構成を示す図
【図2】画像処理装置のスキャナ部およびプリント部の機構を示す図
【図3】パンチユニットの概略構成を示す図
【図4】パンチユニットのパンチングの動作を示す図
【図5】原本性の証明可能な書類の斜視図
【図6】上から見た書類の一部の平面図
【図7】上位から下位にかけて順に並べた記録シートの一部を示す平面図
【図8】確認孔および特定画像を設定するときのフローチャート
【図9】確認孔および特定画像を設定するときの操作画面を示す図
【図10】特定画像を設定するときの文字入力画面を示し、(a)はひらがな入力画面を示す図、(b)は英数入力画面を示す図
【図11】確認孔および特定画像を記録シートに形成するときのフローチャート
【図12】(a)確認孔および特定画像が形成された書類の斜視図、(b)上から見た書類の一部の平面図
【図13】(a)1枚の記録シートが移動した書類の斜視図、(b)上から見た書類の一部を示す平面図
【図14】(a)1枚の記録シートが裏返った書類の斜視図、(b)上から見た書類の一部を示す平面図
【図15】他の形態の確認孔が形成された書類の斜視図
【符号の説明】
【0077】
2 スキャナ部
3 画像データ処理部
4 情報処理部
5 加工部
8 画像形成部
10 機器制御部
71 パンチユニット
73 ダイス
74 ガイド板
90 確認孔
91 特定画像
92 綴じ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成部と、記録シートの一部を切り抜いて確認孔を形成する加工部と、画像形成部および加工部を制御する制御部とを備え、制御部は、確認孔が形成された記録シートに対して所定の関係を有する他の記録シートに特定画像を形成するように、画像形成部を制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像形成部は、一定順に出力される記録シートにおいて、確認孔が形成された記録シートの下位の記録シートを他の記録シートとして、この記録シートに特定画像を形成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
加工部は、複数の記録シートの所定位置に確認孔をそれぞれ形成し、画像形成部は、この確認孔に対応する特定画像を他の記録シートの所定位置に形成することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
加工部は、1枚の記録シートの複数の所定位置に確認孔を形成し、上位の記録シートの確認孔の個数は、下位の記録シートの確認孔の個数よりも多くされ、画像形成部は、各確認孔に応じて異なる記録シートに異なる特定画像を形成することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
制御部は、記録シートの余白に所定位置を設定することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
加工部は、複数の記録シートを綴じるための綴じ孔を形成し、確認孔は、綴じ孔とは異なる位置に形成されることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
制御部は、最上位となる記録シートへの確認孔の形成を禁止することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項8】
加工部は、一定順に出力される記録シートにおいて、連続する記録シートに確認孔を形成し、画像形成部は、確認孔が形成された最下位の記録シートの下位の記録シートに特定画像を形成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像形成部は、特定画像をそれぞれ異なる他の記録シートに形成し、加工部は、各特定画像に応じて複数の記録シートに確認孔を形成することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
特定画像は、文字、記号、模様、地色のいずれかであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
特定画像は、画像に対する管理情報を示すことを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−23853(P2008−23853A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199182(P2006−199182)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】