説明

画像形成方法およびこれを用いた画像形成装置

【課題】タンデム型の画像形成装置において単色画像を形成する場合に、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費も抑制できる画像形成方法を提供すること。
【解決手段】2つ以上の画像形成ユニットと、中間転写体とを含み、前記画像形成ユニットが、静電潜像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードを少なくとも備えたクリーニング手段とを含み、前記単色画像の形成が、前記2つ以上の画像形成ユニットのうち、いずれか1つの画像形成ユニットのみによりトナー像を形成するプロセスを少なくとも経て行われる際に、前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、潤滑用トナーを供給することを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を利用して画像を形成する画像形成方法およびこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用したフルカラーや白黒の画像等を形成することが可能な複写機やプリンター等の画像形成装置としては、カラー画像を高速かつ高画質な画像を得ることができるいわゆるタンデム型の画像形成装置(以下、「タンデム機」と称す場合がある)が種々提案されており、実際に製品化もなされている。
このタンデム機の構成上の特徴は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各々色の異なるトナー像を形成する複数の画像形成ユニットを、中間転写ベルト等の中間転写体の外周面側に、中間転写体の回転方向に沿って配置されたところにある。
【0003】
タンデム機によるカラー画像の形成は、各色に対応した画像形成ユニットにより順次形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各色のトナー像を、中間転写体外周面に、元のカラー画像情報と対応するように重ね合わせて一次転写した後、この重ね合わせたトナー像(カラートナー像)を中間転写体から記録媒体表面に一括して二次転写し、このカラートナー像を記録媒体表面に定着することによって行われる。
また、白黒画像の形成は、黒色に対応した画像形成ユニットのみを用いて黒色のトナー形成した後、中間転写体外周面上でのトナー像の重ね合わせが無いことを除けば、カラー画像と同様にして一次転写、二次転写、および、定着することによって行われる。
【0004】
かかるタンデム機の典型的な構成を図面を用いて説明する。図3は、従来のタンデム型の画像形成装置の構成の一例を示す概略模式図であり、図中、100Y、100M、100C、100Kは、各々イエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー像を形成する画像形成ユニット、101は感光体(静電潜像担持体)、102は接触型の帯電装置、103は露光装置、104は現像装置、105は一次転写用の帯電器、106は中間転写ベルト、107はクリーニング装置、108、109、110、111、112はローラ、113は二次転写ロール、114は記録媒体を表す。
【0005】
図3に示すタンデム機は、中間転写ベルト106の外周面側に、その回転方向(図中矢印A方向)に沿って、4つの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kがこの順に一定の間隔を隔てて、並列的に配置されたタンデム機特有の構成を有している。
【0006】
4つの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kは、形成するトナー像の色が異なるほかは、すべて同様に構成されている。画像形成ユニット100Yを例として説明すると、画像形成ユニット100Yは、中間転写ベルト106外周面と当接して配置された感光体101に加えて、感光体101の外周面に沿って、接触型の帯電装置102と、現像装置104と、クリーニング装置107とが、感光体101の回転方向に沿ってこの順に配置された構成を有するものである。
【0007】
ここで、イエロートナー像の形成は、次のようにして実施される。まず、帯電装置102により感光体101外周面を帯電した後、露光装置103により帯電された感光体101外周面を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像を、現像装置104により現像してイエロートナー像を形成する。
なお、このイエロートナー像は、画像形成ユニット100Yと中間転写ベルト106との当接部(1次転写部)にて、中間転写ベルト106を介して、感光体101と対向配置された帯電器105によって中間転写ベルト106外周面に転写される。また、イエロートナー像転写後の感光体101外周面に残留したトナーは、クリーニング装置107によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
【0008】
フルカラー画像の形成に際しては、同様のプロセスが他の画像形成ユニット100M、100C、100Kでも実施され、各色のトナー像が、元の画像情報に対応するように、中間転写ベルト106外周面上に順次重ね合わされて、フルカラーのトナー像が形成される。なお、白黒画像を形成する場合は、画像形成ユニット100Kのみがトナー像を形成し、中間転写ベルト106外周面に転写される。
【0009】
一方、中間転写ベルト106は、その内周面に当接して配置された駆動ローラを含む5本のローラ108〜112によって張架されており、画像の形成に際しては、感光体101の回転速度と等しい速度で循環駆動することができる。また、5本のローラ108〜112のうち、ローラ111は、2次転写部を構成するように、中間転写ベルト106を介して、二次転写ロール113と対向配置されている。ここで、画像形成に際しては、中間転写ベルト106外周面と、二次転写ロール113との当接部には、不図示の搬送手段により搬送された記録媒体114が図中矢印B方向に挿通される。
【0010】
ここで、上述した中間転写ベルト106外周面に形成されたフルカラーのトナー像は、2次転写部にて記録媒体114表面に転写される。フルカラーのトナー像が転写された記録媒体114は、更に矢印B方向に搬送されることにより不図示の定着装置まで運ばれ、ここで定着されることによりフルカラーの画像が形成され、最後に、装置外へと排出される。
【0011】
一方、従来の電子写真法を利用した画像形成装置において、トナー像を転写した後の感光体(静電潜像担持体)表面に残留するトナーを除去する方式としては、クリーニングブレード方式が知られている。この方式は、クリーニングブレードをウレタンゴム等のゴム製材料で板状に形成し、その先端部エッヂを、回転する感光体表面に所定の押圧力で物理的に接触させ、感光体上の残留トナーを除去するものである。このクリーニングブレード方式は、構成が非常に簡単なために上述したようなタンデム機においても多用されている。
【0012】
しかしながら、感光体のクリーニングにクリーニングブレード方式を採用しているタンデム型の画像形成装置においては、2色以上の色を用いてカラー画像のみならず、画像形成のモードを切り替えることによって白黒画像等の単色画像の形成も行われる。この場合、単色画像の形成により、クリーニングブレードの振動による騒音(鳴き)の発生による高周波の騒音トラブルや、感光体の磨耗量の増大による画像形成ユニットの寿命の短命化を招くという問題があった。
この原因は、単色画像を形成する場合には、トナー像を形成しない画像形成ユニットの感光体表面には、現像装置からトナーが供給されず、感光体と、これに当接するクリーニングブレードとの間に存在するトナーが枯渇し、摩擦力が増大するためである。なお、このような現象から、クリーニングブレードと感光体の間に存在するトナーは、両者の間の摩擦力の増大を抑える潤滑剤としても機能しているといえる。
【0013】
このような単色の画像形成時に発生する不具合を解消する方法、大別して、リトラクト機構の採用、あるいは、画像形成に寄与していない画像形成ユニットにおいても強制的に感光体にトナー像を形成する方法がある。
【0014】
リトラクト機構を採用した技術としては、感光体を含む画像形成ユニットが、圧接/退避する機構(特許文献1等参照)や、中間転写ベルトが圧接/退避をする機構(特許文献2〜6参照)が提案されている。これらの技術では、単色画像作成時に中間転写ベルトと感光体とが物理的に離間するため、画像形成を行わない感光体の寿命を延長することができる。
【0015】
また、画像形成に寄与していない画像形成ユニットにおいても、強制的に感光体にトナー像を形成する技術としては、現像装置から感光体表面に強制的にトナーを供給することによって、クリーニングブレードと感光体と間のトナーを枯渇させる防止する技術がある(例えば、特許文献7等)。この技術においても、結果として感光体の寿命が延長でき、また、クリーニングブレードの鳴きを抑制すすることができる。
【特許文献1】特開平10−186774号公報
【特許文献2】特開平3−2881号公報
【特許文献3】特開平6−258914号公報
【特許文献4】特開平9−292753号公報
【特許文献5】特開平10−142932号公報
【特許文献6】特開平10−319664号公報
【特許文献7】特開2001−356642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、単色画像作成時に中間転写ベルトと感光体とを物理的に離間させるリトラクト機構は、構成が複雑である。このため、タンデム機の大型化やコスト高を招く。さらに、中間転写ベルトと感光体とを物理的に離間させるという動作は、色ずれ補正や、転写パラメータの設定が難しくなるという問題点を有している。
また、画像形成に寄与していない画像形成ユニットにおいても強制的に感光体にトナー像を形成する技術は、画像形成以外の目的でトナーを浪費してしまうという問題もある。このため、結果として、トナーの補給/トナーカートリッジの交換が早期に必要になる。
【0017】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、タンデム型の画像形成装置において単色画像を形成する場合に、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費も抑制できる画像形成方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、タンデム型の画像形成装置において単色画像を形成する場合に、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費の抑制およびリトラクト機構を備えた従来のタンデム型の画像形成装置よりも構成が簡易な画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1>
2つ以上の画像形成ユニットと、前記2つ以上の画像形成ユニットを、回転方向に沿って外周面側に配置した中間転写体と、を含み、
前記画像形成ユニットが、前記中間転写体外周面と当接して1次転写部を形成する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を前記中間転写体外周面に1次転写した後の前記静電潜像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードを少なくとも備えたクリーニング手段とを含み、
前記中間転写体の回転方向最下流側に配置された画像形成ユニットと、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面に、前記トナー像を記録媒体に転写する2次転写部が設けられた画像形成装置を用いて単色画像を形成する画像形成方法において、
前記単色画像の形成が、前記2つ以上の画像形成ユニットのうち、いずれか1つの画像形成ユニットのみによりトナー像を形成するプロセスを少なくとも経て行われる際に、
前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、潤滑用トナーを供給することを特徴とする画像形成方法である。
【0019】
<2>
前記潤滑用トナーが、廃トナーであることを特徴とする<1>に記載の画像形成方法である。
【0020】
<3>
前記単色画像の形成を、<1>または<2>に記載の画像形成方法を利用して行う画像形成装置であって、
前記単色画像の形成に際して、前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、前記中間転写体外周面を介して前記潤滑用トナーを供給するトナー供給手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0021】
<4>
前記いずれか1つの画像形成ユニットが、前記中間転写体の回転方向最下流側に配置された画像形成ユニットであることを特徴とする<3>に記載の画像形成装置である。
【0022】
<5>
前記2次転写部と、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面側に、2次転写後の前記中間転写体外周面に残留するトナーをクリーニングし、回収・蓄積するクリーニング装置を備えた<3>または<4>に記載の画像形成装置であって、
前記潤滑用トナーが、前記クリーニング装置から供給されることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
以上に説明したように本発明によれば、タンデム型の画像形成装置において単色画像を形成する場合に、(1)感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費も抑制できる画像形成方法、および、(2)感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費の抑制およびリトラクト機構を備えた従来のタンデム型の画像形成装置よりも構成が簡易な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、2つ以上の画像形成ユニットと、前記2つ以上の画像形成ユニットを、回転方向に沿って外周面側に配置した中間転写体と、を含み、前記画像形成ユニットが、前記中間転写体外周面と当接して1次転写部を形成する静電潜像担持体(以下、「感光体」と称す場合がある)と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を前記中間転写体外周面に1次転写した後の前記静電潜像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードを少なくとも備えたクリーニング手段とを含み、前記中間転写体の回転方向最下流側に配置された画像形成ユニットと、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面に、前記トナー像を記録媒体に転写する2次転写部が設けられた画像形成装置を用いて単色画像を形成する画像形成方法において、前記単色画像の形成が、前記2つ以上の画像形成ユニットのうち、いずれか1つの画像形成ユニットのみによりトナー像を形成するプロセスを少なくとも経て行われる際に、前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、潤滑用トナーを供給することを特徴とする。
【0025】
本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置は、画像形成ユニットが、単色画像形成時に騒音の発生原因となるクリーニングブレードを備えたいわゆるタンデム型の画像形成装置である点において、従来のタンデム型の画像形成装置と同様の構成を有するものである。
また、この画像形成装置は、単色画像(例えば、白黒画像等)を形成する画像形成モードおよびカラー画像を形成する画像形成モードの2つの画像形成モードを有し、必要に応じて、単色画像とカラー画像とを形成することができる。
【0026】
ここで、単色画像の形成は、2つ以上の画像形成ユニットのうち、いずれか1つの画像形成ユニットのみによりトナー像を形成するプロセスを少なくとも経て行われる。なお、通常、画像形成ユニットにより形成されたこのトナー像は、1次転写部にて画像形成ユニットから、中間転写体外周面へと1次転写され、さらに、2次転写部にて中間転写体外周面から記録媒体表面へと2次転写され、この記録媒体上に定着されることにより行われる。
また、カラー画像の形成は、各々の画像形成ユニットにより形成された各色のトナー像を、元の原稿画像と一致するように中間転写体外周面に順次重ね合わせて1次転写してカラートナー像とし、このカラートナー像を2次転写部にて記録媒体に2次転写した後に、記録媒体上に定着されることにより行われる。
【0027】
ここで、単色画像の形成に際して、トナー像を形成する画像形成ユニット(以下、「単色画像形成ユニット」と称す場合がある)においては、その感光体表面には、画像形成の為に現像手段から供給されたトナー(画像形成用トナー)が存在するため、感光体とクリーニングブレードとの間の潤滑性が十分に確保され、摩擦力が増大することによる騒音の発生や、感光体の磨耗による感光体寿命の短命化を防止することができる。
【0028】
一方、単色画像の形成に際して、トナー像を形成しない画像形成ユニット(以下、「非単色画像形成ユニット」と称す場合がある)の感光体表面には、現像手段から画像形成のためにトナーが供給されないため、このままの状態では、感光体とクリーニングブレードとの間の潤滑性が十分に確保できず、摩擦力が増大して騒音が発生したり、感光体の磨耗が促進され、その寿命を短くしてしまう。しかしながら、本発明の画像形成方法では、非単色画像形成ユニットの感光体表面に、潤滑用トナーが供給されるため、このような問題を防ぐことができる。
【0029】
ここで、「潤滑用トナー」とは、画像形成ユニットに具備された現像手段から、感光体表面に直接供給される画像形成用トナー以外のトナーを意味し、画像形成ではなく、単色画像形成時における非単色画像形成ユニットの感光体とクリーニングブレードとの間の潤滑性の確保を主目的として利用されるトナーを意味する。
なお、画像形成装置内における潤滑用トナーの供給源の詳細については後述するが、潤滑用トナーとしては、感光体表面や中間転写体外周面のクリーニングにより回収された廃トナーを用いることが特に好ましい。また、潤滑用トナーとしては、トナー製造時の不良品や現行の画像形成装置に対応できなくなった旧式のトナー等のように、画像形成には利用できず、廃棄処分以外には余り使い道が無いようなトナーも利用することができる。
【0030】
従って、本発明の画像形成方法は、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費も抑制できる。それゆえ、単色画像形成時において、非単色画像形成ユニットの感光体とクリーニングブレードとの間の潤滑性を確保するために、現像手段に内蔵された画像形成用トナーを使用する必要がないため、従来のようにトナーの補給/トナーカートリッジの交換が早期に必要になることもない。
【0031】
(画像形成装置)
次に、本発明の画像形成方法を利用した画像形成装置について説明する。
本発明の画像形成装置は、単色画像の形成を、本発明の画像形成方法を利用して行う画像形成装置であって、単色画像の形成に際して、非単色画像形成ユニットの感光体表面に、中間転写体外周面を介して潤滑用トナーを供給するトナー供給手段を備えたことを特徴とする。
従って、本発明の画像形成装置は、単色画像を形成する場合に、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費も抑制できる。更に単色画像の形成に際して、非単色画像形成ユニットの感光体表面に、これと当接する中間転写体を介して潤滑用トナーを供給するトナー供給手段を有するため、単色画像形成時に、非単色画像形成ユニットの感光体と、中間転写体とを離間させるリトラクト機構を設ける必要がなく、構成が簡易である。
【0032】
なお、上述した「トナー供給手段」とは、単色画像形成時に、非単色画像形成ユニットの感光体表面に、中間転写体外周面を介して潤滑用トナーを供給する機能(以下、「潤滑用トナー供給機能」と称す場合がある)を有するものである。このトナー供給手段は、潤滑用トナー供給機能が発揮できるのであればその構成は特に限定されるものではない。本発明においては、基本的には、感光体のクリーニング手段としてクリーニングブレードを具備した画像形成ユニットを2つ以上有する一般的なタンデム型の画像形成装置内に設けられた中間転写体を含む既存の部材や装置がほぼそのまま、あるいは、必要に応じて多少の変更を加える程度で利用できる。
【0033】
この場合、トナー供給手段は、これら既存の部材や装置を2つ以上組み合わせて構成されるハードウエア部分と、この複数の部材や装置からなるハードウエア部分を、潤滑用トナー供給機能が発揮できるように統合・制御するソフトウエア部分(制御手段)とから構成される。
ここで、ソウトウエア部分は、潤滑用トナーの供給が状況に応じて適宜発揮できるように、既存の制御回路を新たなものに置き換えたり、あるいは、既存のプログラムを書き換えたものが利用できる。この場合、潤滑用トナーの供給のタイミング、供給量などは、例えば、画像形成パターンや、単色画像の積算形成枚数、温湿度等のような、感光体とクリーニングブレードとの潤滑状態に影響を与える種々の要因をデーターベース化し、これに基づいて決定することができる。
なお、単色画像形成時に、騒音(鳴き)が大きくなったら、これに気付いた人がボタンを押して潤滑用トナーの供給を開始させるなどのように、半自動的/手動制御であってもよい。
【0034】
従って、本発明の画像形成装置は、制御回路やプログラムなどのソフトウエア的要素を変更する以外は、既存のタンデム型の画像形成装置のハードウエア要素がほぼそのまま利用できるというメリットがある。勿論、必要であれば、上記機能を達成するために、既存のタンデム型の画像形成装置内に新たな部材・装置を設けてもよい。
【0035】
例えば、タンデム型の画像形成装置の中間転写体外周面側には、2次転写後の中間転写体外周面をクリーニングするためのクリーニング装置が配置されているのが一般的である。このため、トナー供給手段のハードウエア部分としては、中間転写体の他に、このクリーニング装置も利用することができる。
具体的には、本発明の画像形成装置が、2次転写部と、中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の中間転写体外周面側に、2次転写後の中間転写体外周面に残留するトナーをクリーニングし、回収・蓄積するクリーニング装置を備えたものである場合、単色画像形成時に、中間転写体を介して非単色画像形成ユニットの感光体表面に供給される潤滑用トナーは、このクリーニング装置から供給することができる。
【0036】
ここで、トナー供給手段として用いることができるクリーニング装置は、クリーニングにより回収したトナー(廃トナー)を、このクリーニング装置内に蓄積する機能と、中間転写体外周面に残留するトナーをクリーニング装置側に回収するのみならず、一旦回収・蓄積された廃トナーを、再び中間転写体外周面に供給できる機能とを有していることが必要である。
【0037】
このようなクリーニング装置としては、例えば、導電性ブラシのような静電的な方法によりトナーを回収するタイプのクリーニング装置を利用することができる。このクリーニング装置では、導電性ブラシのようなクリーニング部材と中間転写体との間の電位差を利用してトナーを回収するため、トナー回収時に対して、クリーニング部材と中間転写体との間に逆極性の電圧を印加したり、両者の間の電位勾配を逆にすれば、クリーニング装置から中間転写体表面へと廃トナーを容易に供給できるからである。
【0038】
この場合、電圧を印加する時間や、電圧値を制御することによって、クリーニング装置から中間転写体表面へと廃トナーを供給するタイミングや、廃トナーの供給量を容易に制御できる。従って、制御手段については、廃トナーが所望のタイミング・供給量でクリーニング装置から中間転写体へと供給できるように、クリーニング装置のクリーニング部材と中間転写体との間に印加される電圧を制御する制御回路/プログラムを、置き換える/書き換えたものを利用すればよい。
【0039】
なお、導電性の有無に関係なく、ブラシ状のクリーニング部材を利用したクリーニング装置の場合、ブラシの回転速度を、クリーニング時よりも大きくして遠心力により、ブラシに一旦付着した廃トナーを中間転写体表面に供給することも可能である。
また、クリーニング装置が、上述したようなブラシ状のクリーニング部材の他に、このクリーニング部材に対して中間転写体の回転方向下流側にクリーニングブレードを具備するものである場合には、潤滑用トナー供給時には、このクリーニングブレードを、中間転写体から離間させることが必要である。クリーニングブレードが中間転写体表面と当接した状態のままであれば、クリーニングブレードの中間転写体の回転方向上流側で、中間転写体表面へと供給された廃トナーがクリーニングブレードによって回収されるためである。
【0040】
以上に説明したように、潤滑用トナーの供給源としては、中間転写体用のクリーニング装置を利用することができ、この場合、廃トナーを再利用できるというメリットもある。勿論、潤滑用トナーの供給源としては、中間転写体用のクリーニング装置のみに限定されるものではない。例えば、中間転写体用のクリーニング装置と、中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の中間転写体外周面側に、潤滑用トナーを供給のみを目的とした専用の装置を設けてもよい。
【0041】
なお、クリーニング装置内の廃トナーだけでは量が不足するような場合は、予め予備のトナーをクリーニング装置内に充填しておいてもよい。また、このような補充用トナーや、専用の装置を用いる場合のトナーとしては、例えば、メンテナンス時に画像形成ユニットから回収された廃トナー、トナー製造時の不良品や現行の画像形成装置に対応できなくなった旧式のトナー等のように廃棄処分以外には余り使い道が無いようなトナー等を適宜利用することができる。
【0042】
一方、感光体表面から中間転写体表面へのトナー像の転写も、上述と同様、両者の間の電位差を利用したものである。このため、クリーニング装置から中間転写体表面に供給された廃トナーは、上述した場合と同様に感光体と中間転写体との間に印加される電圧を制御すれば、中間転写体表面から感光体表面へと廃トナーを潤滑用トナーとして供給することができる。なお、この場合における中間転写体表面から感光体表面への廃トナーの供給タイミング等の制御や、制御手段についても、上述と同様である。
【0043】
なお、単色画像形成ユニットは、中間転写体の回転方向に沿って配置された画像形成ユニットのいずれであってもよいが、中間転写体の回転方向最下流側に配置された画像形成ユニットであることが実用上、特に好ましい。
この場合、全ての非単色画像形成ユニットは、単色画像形成ユニットに対して中間転写体の回転方向上流側に配置されることになる。このため、単色画像の形成に際しては、中間転写体の回転方向最下流側に位置する単色画像形成ユニットで形成されたトナー像の中間転写体表面への1次転写と、単色画像形成ユニットに対して中間転写体の回転方向上流側に配置された非単色画像形成ユニットの感光体への中間転写体を介した潤滑用トナーの供給とを、同時に行うことができるからである。また、1次転写および潤滑用トナーの供給が同時に行えるメリットとして複数の画像形成ユニットを駆動する駆動源が一つでよいため、画像形成装置の構成が簡易化出来る点も挙げられる。
【0044】
一方、単色画像形成ユニットおよび非単色画像形成ユニットが、中間転写体の回転方向に対して上述したような配置関係に無い場合には、中間転写体の回転方向に対して単色画像形成ユニットよりも下流側に位置する非単色画像形成ユニットへの潤滑用トナーの供給の供給は、単色画像を形成するタイミングの合間を縫って供給する必要があるため、制御が複雑になるなどの場合がある。
【0045】
なお、単色画像形成ユニットが形成するトナー像の色は、一般的には黒色であるが、これに限定されるものではなく、シアン等のカラー色であってもよい。中間転写体としては、一般的にはベルト状であるが、ドラム状であってもよい。
【0046】
−画像形成装置の具体例−
次に、本発明の画像形成装置の実施の形態について、以下、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタを示したものである。また、図2は、図1に示す画像形成装置の主要部を拡大した拡大図である。
図1および図2中、1は本体、10は画像プロセス系、11K、11C、11M、11Yは画像形成ユニット、12は感光体、13は帯電ロール、14は現像器、14aは現像ロール、15は一次転写ロール、16はクリーニング装置、20は転写ユニット、21は中間転写ベルト、22はドライブロール、23はテンションロール、24はバックアップロール、25はクリーニング装置、25aはクリーニングブラシ、25bはクリーニングブレード、29は定着器、30はROS(Raster Output Scanner)、31はポリゴンミラー32はフレーム、33はウィンドウ、40はシート搬送系、41は給紙装置、42はナジャーロール、43はフィードロール、44は搬送路、45はレジストロール、46は二次転写ロール、47は排出ロール、48は排出トレイ、49は両面用搬送ユニット、50はIPS(Image Processing System)を表す。
【0047】
図1に示す画像形成装置は、本体1に、各色の階調データに対応して画像形成を行う画像プロセス系10、記録用紙(シート)を搬送するシート搬送系40、例えばパーソナルコンピュータや画像読み取り装置等に接続され、受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理系であるIPS(Image Processing System)50とを備えている。
【0048】
画像プロセス系10は、中間転写ベルト21の回転方向に沿って水平方向に一定の間隔を置いて並列的に配置される、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K、この画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体12に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト21上に多重転写させる転写ユニット20、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kに対してレーザ光を照射する光学系ユニットであるROS(Raster Output Scanner)30を備えている。
また本体1には、転写ユニット20によって二次転写された記録用紙(シート)上の画像を、熱および圧力を用いて記録用紙に定着させる定着器29を備えている。更に、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kに対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ19Y,19M,19C,19Kが設けられている。
【0049】
転写ユニット20は、中間転写体である中間転写ベルト21を駆動するドライブロール22、中間転写ベルト21に一定のテンションを付与するテンションロール23、重畳された各色のトナー像を記録用紙に二次転写するためのバックアップロール24、中間転写ベルト21上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置25を備えている。中間転写ベルト21は、このドライブロール22とテンションロール23およびバックアップロール24との間に一定のテンションで掛け回されており、定速性に優れた専用の駆動モータ(図示せず)によって回転駆動されるドライブロール22により、矢印方向に所定の速度で循環駆動される。
【0050】
この中間転写ベルト21は、例えば、チャージアップを起こさないベルト素材(ゴムまたは樹脂)にて抵抗調整されたものが使用されている。クリーニング装置25は、中間転写ベルト21の回転方向に沿って順に配置されたクリーニングブラシ25aとクリーニングブレード25bとを備えており、トナー像の2次転写が終了した後の中間転写ベルト21外周面から残留トナー等を除去して、残留トナーを回収・蓄積する。
なお、クリーニングブラシ25aは、クリーニングブラシ25aと中間転写ベルト21外周面との間に印加される電圧によって生じた電位差による静電力と、クリーニングブラシ25aの回転による機械的な摺動とを利用して、残留トナーを回収するものである。
【0051】
ROS30は、図示しないレーザダイオード(LD)、変調器の他、レーザダイオード(LD)から出射されたレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)を偏向走査するポリゴンミラー31を備えている。図1に示す例では、ROS30は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの下方に備えられることから、トナー等の落下による汚損の危険性を有している。そこで、ROS30は、各構成部材を密閉するための直方体状のフレーム32を設け、また、レーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)が通過するガラス製のウィンドウ33をこのフレーム32の上方に設けて、走査露光と共にシールド効果を高めるように構成されている。
【0052】
シート搬送系40は、画像が記録される記録用紙(シート)を積載して供給する給紙装置41、給紙装置41から記録用紙を取り上げて供給するナジャーロール42、ナジャーロール42から供給された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送するフィードロール43、フィードロール43により1枚ずつに分離された記録用紙を画像転写部に向けて搬送する搬送路44を備えている。
また、搬送路44を介して搬送された記録用紙に対し、二次転写位置(バックアップロールと二次転写ロールとの当接部)に向けてタイミングを合わせて搬送するレジストロール45、二次転写位置に設けられバックアップロール24に圧接して記録用紙上に画像を二次転写する二次転写ロール46を備えている。更に、定着器29によってトナー画像が定着された記録用紙を本体1の機外に排出する排出ロール47、排出ロール47によって排出された記録紙を積載する排出トレイ48を有する。また、定着器29によって定着された記録用紙を反転させて両面記録を可能とする両面用搬送ユニット49を備えている。
【0053】
次に、画像プロセス系10における画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kについて主に図2を参照しながら詳述する。図2には、イエロー(Y)の画像形成ユニット11Y、マゼンタ(M)の画像形成ユニット11M、シアン(C)の画像形成ユニット11C、ブラック(K)の画像形成ユニット11K、および、転写ユニットとが示されている。
【0054】
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、トナー像を担持させる像担持体としての感光体12、感光体12を帯電させる帯電ロール(帯電器)13、帯電ロール13によって帯電され、ROS30(図2中、不図示)からのレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)によって感光体12上に形成された静電潜像を現像ロール14aによって現像する現像器14、中間転写ベルト21を挟んで感光体12に対向して設けられ、感光体12上に現像されたトナー像を中間転写ベルト21上に転写する一次転写ロール15、転写後に感光体12上に残った残留トナーを除去するために、感光体と当接するように配置されたクリーニングブレードを備えたクリーニング装置16を備えている。
【0055】
また、本実施の形態では、各画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体12、帯電ロール13、およびクリーニング装置16を一体化し、プロセスカートリッジとすることで、画像形成装置の本体1からこのプロセスカートリッジだけを取り外し、また、プロセスカートリッジだけを本体1に対して取り付け可能とし、ユーザによる交換を可能としている。これら各プロセスカートリッジには、不揮発性メモリユニット(図示せず)が搭載されている。
【0056】
この不揮発性メモリユニットには、例えば、感光体12の回転数、高圧電圧印加時間、プリント枚数など、所定の画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kにて、そのプロセスカートリッジが装着された際の、各々のカートリッジ使用履歴情報が格納されている。これらのプロセスカートリッジは、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの間で差し替えて用いることもできる。
各々のプロセスカートリッジに夫々不揮発性メモリユニットが搭載されていることにより、プロセスカートリッジが異なる画像形成ユニットで用いられた場合であっても、トータルとしての自らの使用履歴情報を、プロセスカートリッジ自らが保存することができる。その結果、プロセスカートリッジ毎に、例えば、正しい寿命を判断することができる。
【0057】
次に、図1に示す画像形成装置のフルカラー画像形成動作について説明する。図示しない原稿読み取り装置によって読み取られた原稿の色材反射光像や、図示しないパーソナルコンピュータ等にて形成された色材画像データは、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の各8ビットの反射率データとしてIPS50に入力される。IPS50では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、ROS30に出力される。
【0058】
ROS30では、入力された色材階調データに応じて、レーザダイオード(LD)(図示せず)から出射されたレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)を、f−θレンズ(図示せず)を介してポリゴンミラー31に出射している。ポリゴンミラー31では、入射されたレーザ光を各色の階調データに応じて変調し、偏向走査して、図示しない結像レンズおよび複数枚のミラーを介して画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体12に照射している。
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体12では、帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器14から現像剤が供給されることにより、各々の画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0059】
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体12上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト21上に、元の原稿画像と一致するように多重転写される。ここで、感光体12表面から中間転写ベルト21外周面へのトナー像の転写は、感光体12と、中間転写ベルト21を挟んで感光体12に対向配置された1次転写ロール15との間の電位差を、一方の極性に帯電したトナーが感光体12表面から中間転写ベルト21外周面へと静電的に移動(転写)できるように制御することにより行われる。
なお、各々の画像形成ユニットは、中間転写ベルト21の回転方向に沿って、上流側から下流側へと画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの順に配置されているため、中間転写ベルト21外周面に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の順に各色のトナー像が順次一次転写される。
【0060】
一方、単色画像形成動作時には、画像処理が施された画像データは黒(K)の単色の色材階調データに変換され、ROS30に出力される。フルカラー画像形成時と同等の原理で、画像形成ユニット11Kの感光体12のみに黒(K)の単色のトナー像として現像され、中間転写ベルト21に対して一次転写される。
ここで、単色画像の形成に携わらない画像形成ユニット11Y,11M,11Cの感光体12には、現像器14から現像剤が供給されない状態となるため、中間転写ベルト21を介して、クリーニング装置25内に回収・蓄積された廃トナーを、潤滑用トナーとして画像形成ユニット11Y,11M,11Cの感光体12表面に供給する動作も同時に行う。
【0061】
まず、クリーニング装置25内に回収・蓄積されている廃トナーを、クリーニングブラシ25aを利用して中間転写ベルト21外周面に転写(供給)する。廃トナーの中間転写ベルト21外周面への供給は、クリーニングブラシ25aに印加する電圧の大きさや極性を、廃トナーがクリーニングブラシ25a側から中間転写ベルト21外周面へと転写されるように制御したり、クリーニングブラシ25aの回転速度を、クリーニング時よりも大きくして遠心力を作用させ、クリーニングブラシ25aのブラシ繊維に付着している廃トナーを中間転写ベルト21外周面へと転写することができる。
【0062】
このような動作を実施している最中には、クリーニングブラシ25aに対して、中間転写ベルト21の回転方向下流側に位置するクリーニングブレード25bにより、中間転写ベルト21外周面に一旦供給された廃トナーが回収されないようにクリーニングブレード25bの先端は、中間転写ベルト21外周面から離間した状態に維持される。
【0063】
次に、クリーニング装置25から中間転写ベルト21外周面に供給された廃トナーを画像形成ユニット11Y,11M,11Cの感光体12表面へと転写(逆転写)させる。この逆転写は、1次転写時に対して感光体12と中間転写ベルト21外周面との間に逆極性の電圧を印加したり、印加電圧の大きさを変えて感光体12と一次転写部材間の電位勾配の傾きを逆にすることにより行うことができる。
このようなクリーニング装置25から中間転写ベルト21を介して感光体12表面へと廃トナーを潤滑用トナーとして供給する一連の動作は、単色画像形成時に、常時実施する方式であってもよいが、間欠的に実施する方式(以下、「間欠供給方式」と称す場合がある)であってもよい。
後者の場合、例えば、3つの画像形成ユニット11Y,11M,11Cの感光体12表面とクリーニング装置16のクリーニングブレードとの間の摩擦力が、単色画像形成開始時から所定のレベル以上に増大するまでの時間を画像形成パターンや単色画像の連続プリント枚数、温度湿度環境などから推算し、これに基づいて、潤滑用トナーの供給を自動的に行うように制御してもよい。
なお、騒音(鳴き)が聞こえ始めたら、潤滑用トナーの供給動作を行うためのボタンを押して手動で供給できるような手動モードを設けてもよい。
【0064】
また、3つの画像形成ユニット11Y,11M,11Cの全てに対して同時に行ってもよいが、各々の画像形成ユニットの感光体12に確実に廃トナー供給するためには時間をずらして、1つ毎に順次実施する方式(以下、「時間差供給方式」と称す場合がある)ことが好ましい。
後者の動作を間欠的に実施する場合、例えば、感光体12と中間転写ベルト21外周面との間の電位差を、逆転写が行えるように維持する1サイクルの時間を、12秒間間とした時に、12秒を3つの画像形成ユニット11Y,11M,11Cの各々に4秒づつ割り振り、中間転写ベルト21の回転方向上流側から下流側の画像形成ユニットへと、4秒間づづ逆転写を順次行うことができる。
【0065】
なお、潤滑用トナーの供給源としては、クリーニング装置25の代わりに、専用のトナー供給装置をクリーニング装置25と画像形成ユニット11Yの感光体12との間の中間転写ベルト21外周面側に配置してもよい。
【実施例】
【0066】
(実施例1)
−画像形成装置−
図1に示す画像形成装置と同様の構成を有するタンデム型の画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docu Center a450)を用い、現像剤に含まれるトナーは負帯電トナーを用いた。但し、この装置は、白黒画像形成時に、クリーニング装置25からイエロー、マゼンタ、シアンの各画像形成ユニットへの潤滑用トナーの供給が行えるように改造したものである。
ここで、潤滑用トナー(廃トナー)の供給は、積算プリント枚数が所定枚毎に実施される間欠供給方式であり、3つの画像形成ユニットに対する潤滑用トナー(廃トナー)の供給は時間差供給方式であり、間欠供給のタイミングや、時間差供給のタイミングは、所望条件で実施できるように設定可能である。
なお、クリーニング装置25は、潤滑用トナー(廃トナー)の供給モード時は、クリーニングブレード25bの先端部が、中間転写ベルト21外周面から離間する退避機構が設けられている。
また、潤滑用トナー(廃トナー)の供給モード時の、クリーニング装置25の稼働条件、および、1次転写部における逆転写条件は以下のように設定した。
【0067】
−クリーニング装置25の稼働条件−
潤滑用トナー(廃トナー)の供給モード時の中間転写ベルト21外周面とクリーニングブラシ25aとの電位差を:−800Vに設定した(中間転写ベルト21外周面の電位:0V、クリーニングブラシ25aの電位:−800V)。
なお、クリーニング時(および潤滑用トナー(廃トナー)を供給しない場合も含む)は、中間転写ベルト21外周面とクリーニングブラシ25aとの電位差が1kVに設定されている(中間転写ベルト21外周面の電位:0V、クリーニングブラシ25aの電位:1kV)。
【0068】
−1次転写部における逆転写条件−
潤滑用トナー(廃トナー)の供給モード時の、1次転写ロール15と感光体12との電位差を900Vに設定した(1次転写ロール15の電位:−1.5kV、感光体12の電位:−600V)。
なお、クリーニング時(および潤滑用トナー(廃トナー)を供給しない場合も含む)は、1次転写ロール15と感光体12との電位差は−2.1kVに設定されている(1次転写ロール15の電位:1.5kV、感光体12の電位:−600V)。
【0069】
−画像形成テスト−
次に、28℃85%の環境下で、プロセススピードを52mm/sとして、画像の密度がA4(210×297mm)のサイズに対して1%の画像があるチャートをコピー用原稿として、A4用紙(富士ゼロックスオフィイスサプライ社製、C2)を用いて白黒画像を連続して500枚プリントし、この際の、白黒画像の形成に関与しない画像形成ユニットの感光体12とクリーニングブレードとの間の摩擦力の増大に起因する騒音(鳴き)を評価した。
なお、白黒画像の連続プリント時における潤滑用トナーの供給条件は、間欠供給のタイミングを50枚毎、1サイクルの間欠供給の長さを12秒間として、イエロー、マゼンタ、シアンの各画像形成ユニットの感光体12へ、中間転写ベルトの回転方向上流側の画像形成ユニットから順に4秒間づつ時間差供給が行えるように設定した。なお、1サイクルの間欠供給の間に、約3枚のプリントが実施される。
結果を表1に示す。
【0070】
(実施例2)
実施例1と同様の装置を用いて、間欠供給のタイミングを100枚毎に変更した以外は実施例1と同様の条件で評価した。結果を表1に示す。
【0071】
(実施例3)
実施例1と同様の装置を用いて、白黒画像形成時の温湿度環境を10℃15%に変更した以外は、実施例1と同様の条件で評価した。結果を表1に示す。
【0072】
(実施例4)
実施例1と同様の装置を用いて、白黒画像形成時の温湿度環境を10℃15%に変更し、且つ、間欠供給のタイミングを100枚毎に変更した以外は、実施例1と同様の条件で評価した。結果を表1に示す。
【0073】
(比較例1)
実施例1で用いた装置の改造前の装置(クリーニング装置25からイエロー、マゼンタ、シアンの各画像形成ユニットへの潤滑用トナーの供給が行えない装置)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で評価した。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
−騒音の評価−
白黒画像連続形成時における騒音の評価は、画像形成装置以外には主たる音源の無い部屋で、装置から約1m離れた位置から、クリーニングブレードの振動に起因する異音が聞き取れるか否かや、異音の程度を官能評価した。評価基準は以下の通りである。
○:クリーニングブレードの振動に起因する異音は、500枚プリント中、まったく聞こえない。
△:500枚プリント中、クリーニングブレードの振動に起因する異音が確認できたが、装置がプリント中の通常動作音の大きさと大差がなく、意識して聞かないと異音が判別できない。
×:500枚プリント中、クリーニングブレードの振動に起因する異音が明らかに確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略模式図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の主要部を拡大した拡大図である。
【図3】従来のタンデム型の画像形成装置の構成の一例を示す概略模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1 本体
10 画像プロセス系
11K、11C、11M、11Y 画像形成ユニット
12 感光体
13 帯電ロール
14 現像器
14a 現像ロール
15 一次転写ロール
16 クリーニング装置
19K、19C、19M、19Y トナーカートリッジ
20 転写ユニット
21 中間転写ベルト
22 ドライブロール
23 テンションロール
24 バックアップロール
25 クリーニング装置
25a クリーニングブラシ
25b クリーニングブレード
29 定着器
30 ROS(Raster Output Scanner)
31 ポリゴンミラー
32 フレーム
33 ウィンドウ
40 シート搬送系
41 給紙装置
42 ナジャーロール
43 フィードロール
44 搬送路
45 レジストロール
46 二次転写ロール
47 排出ロール
48 排出トレイ
49 両面用搬送ユニット
50 IPS(Image Processing System)
100Y、100M、100C、100K 画像形成ユニット
101 感光体
102 帯電装置
103 露光装置
104 現像装置
105 帯電器
106 中間転写ベルト
107 クリーニング装置
108、109、110、111、112 ローラ
113 二次転写ロール
114 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の画像形成ユニットと、前記2つ以上の画像形成ユニットを、回転方向に沿って外周面側に配置した中間転写体と、を含み、
前記画像形成ユニットが、前記中間転写体外周面と当接して1次転写部を形成する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を前記中間転写体外周面に1次転写した後の前記静電潜像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードを少なくとも備えたクリーニング手段とを含み、
前記中間転写体の回転方向最下流側に配置された画像形成ユニットと、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面に、前記トナー像を記録媒体に転写する2次転写部が設けられた画像形成装置を用いて単色画像を形成する画像形成方法において、
前記単色画像の形成が、前記2つ以上の画像形成ユニットのうち、いずれか1つの画像形成ユニットのみによりトナー像を形成するプロセスを少なくとも経て行われる際に、
前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、潤滑用トナーを供給することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記潤滑用トナーが、廃トナーであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記単色画像の形成を、請求項1または2に記載の画像形成方法を利用して行う画像形成装置であって、
前記単色画像の形成に際して、前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、前記中間転写体外周面を介して前記潤滑用トナーを供給するトナー供給手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記いずれか1つの画像形成ユニットが、前記中間転写体の回転方向最下流側に配置された画像形成ユニットであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記2次転写部と、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面側に、2次転写後の前記中間転写体外周面に残留するトナーをクリーニングし、回収・蓄積するクリーニング装置を備えた請求項3または4に記載の画像形成装置であって、
前記潤滑用トナーが、前記クリーニング装置から供給されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−243657(P2006−243657A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62822(P2005−62822)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】