画像形成方法及び画像形成装置
【課題】トナーの帯電量変化率が現像装置駆動時間単位のトナー消費量に相関が強いことを利用し、経時でのトナー帯電量変動幅を一定範囲に制御することで現像剤中のTCの変動幅を異常画像の発生しない適正範囲に保ち、良好な画質を維持する2成分電子写真方式の画像形成方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーとキャリアからなる2成分現像方式の画像形成方法において、作像開始に際して、現像装置駆動時間とトナー消費量を検知S1し、作像工程の際に現像装置駆動時間当たりのトナー消費量を表すαの値が一定範囲となるように、前記αが設定下限を下回った時はトナーを強制的に消費S2し、反対に前記αが設定上限を上回った時は現像装置を駆動S4し、現像剤を攪拌する制御を行う。
【解決手段】トナーとキャリアからなる2成分現像方式の画像形成方法において、作像開始に際して、現像装置駆動時間とトナー消費量を検知S1し、作像工程の際に現像装置駆動時間当たりのトナー消費量を表すαの値が一定範囲となるように、前記αが設定下限を下回った時はトナーを強制的に消費S2し、反対に前記αが設定上限を上回った時は現像装置を駆動S4し、現像剤を攪拌する制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー濃度(TC)を経時的に安定して画像形成を行う、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成方法、及び画像形成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子写真方式を利用するデジタル複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置が広く使用されている。そのような画像形成装置では、像担持体となる感光体上にレーザビームで静電潜像を形成し、トナーで現像して、記録紙などの記録部材上に、直接または間接にトナー像を転写することによって画像を形成している。
近年、電子写真方式の画像形成法においても高画質が要求されているが、現像剤のトナー濃度(以下、TCとする)により画質が大きく変化する。例を挙げると、高TCでは現像剤嵩が増して現像剤の循環不良から帯状の白抜け画像が発生する。また、高TC推移はトナー飛散にも不利である。
逆に、低TCではトナー量が不足していることから濃度ムラに対して不利である。さらに、現像剤を攪拌・搬送スクリュで搬送する方式では現像剤嵩が減少して現像スリーブへの汲み上げ不良を起こすことから画像に攪拌・搬送スクリュピッチのムラが発生する。
このように、画像形成において高画質を得るにはTCを一定範囲に制御することが望ましいが、画像濃度を一定に保つ制御においてはトナーの帯電量を一定推移にする必要がある。
【0003】
トナー帯電量は現像剤の使用される条件で変動することが確認されている。単位時間当たりのトナー消費量が少ない条件下ではドクタ部を通過して帯電するトナーが多くなるために帯電量は上昇し、逆に単位時間当たりのトナー消費量が多い条件下では、キャリアへトナー添加剤が付着するのが促進され、帯電量が低下する。
上述のごとく、2成分現像剤は、単位時間当たりのトナー消費量によって経時でトナーの帯電量が増加、又は低下する方向が変化する。トナーの帯電量が増加する理由は、単位時間当たりのトナー消費量が小さいとキャリアとの接触時間の長いトナーが存在するためであり、その場合、目標の画像濃度を得ようとするとTCを上げる必要が生じる。
また、トナー帯電量が減少する理由は、単位時間当たりのトナー消費量が大きいと、キャリアへのトナー添加剤の付着によりキャリアの帯電能力が低下し、目標画像濃度を得ようとするとTCを下げる必要が生じる。
このことは、つまり、トナー帯電量を一定に保てる単位時間当たりのトナー消費量の範囲が存在することを表しており、この範囲であれば、トナー帯電量を経時で安定させ、結果的にTCを経時で安定させて画質を安定化することができる筈である。
【0004】
TCが変化した時の画像への影響について説明する。先ず、TCが上昇し過ぎた時には、現像剤嵩が増すことによる現像装置内の分散不良が起こり、白帯が発生することがある。また、トナー飛散にも不利である。
逆に低下し過ぎた時には、トナー絶対量の不足から濃度ムラの余裕度が無くなり、また、現像剤の嵩が減ることからスリーブへの汲み上げ不良を起こし、画像に攪拌・搬送スクリュピッチでムラが発生することがある。このようにTCは一定範囲で用いる必要があるが、帯電量を環境及び経時を含めて一定範囲に保つのは困難であった。
環境による現像剤帯電量の変化については、温湿度検知素子等の情報から補正を行うことにより対処は可能であるが、経時での変化については現像剤が使用される状況により傾向が変わるため制御が困難である。
例として挙げると、1回の作像動作で低画像面積率の画像を1枚ずつ出力する条件下では帯電量は上昇し、1回の作像動作で高画像面積率の画像を100枚ずつ出力する条件下では帯電量は下降して行く。つまり、枚数基準または現像駆動時間基準では制御不可能である。
【0005】
ここで、トナー帯電量を一定範囲に維持するためには、現像装置を駆動する時間とトナーを消費する量を調整して単位時間当たりのトナー消費量を一定範囲に収めることが必要となる。かかる問題に対し多くの提案がなされてきた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、像担持体に現像されたトナーの表面電位を測定し、基準値と比較して現像器を駆動またはトナーを強制消費させて帯電量を適正範囲に制御する技術が提案されている。
【特許文献1】特開平6−186856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この技術ではトナーの表面電位を測定する手段が必要であることと、湿度やTCでトナーの帯電量は変化するため検知手段が必要となるとともに制御が複雑になってしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、トナーの帯電量変化率が現像装置駆動時間単位のトナー消費量に相関が強いことを利用し、経時でのトナー帯電量変動幅を一定範囲に制御することで現像剤中のTCの変動幅を異常画像の発生しない適正範囲に保ち、良好な画質を維持する2成分電子写真方式の画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、トナーとキャリアからなる2成分現像方式の画像形成方法において、作像開始に際して、現像装置駆動時間とトナー消費量を検知し、作像工程の際に現像装置駆動時間当たりのトナー消費量を表すαの値が一定範囲となるように、前記αが設定下限を下回った時はトナーを強制的に消費し、反対に前記αが設定上限を上回った時は現像装置を駆動し、現像剤を攪拌する制御を行う画像形成方法を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記制御を定期的に行い、その間隔は一定現像装置駆動時間間隔で行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記制御を定期的に行い、その間隔はトナー消費量基準で行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記αの範囲としては、適正トナー濃度が得られる帯電量の値を基準として、帯電量の変動が±10μC/g以内となるαの範囲を用いる請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記αの目標範囲の下限は画像のボソツキが許容範囲となるように設定する請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
【0008】
また、請求項6に記載の発明は、前記制御において、前記現像装置を駆動させる補正を行う際に駆動速度を作像動作時よりも速くする請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記制御のためにトナー消費を行うトナー消費実施は、作像の間にパターンを作ることにより行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記制御の実施は、前記現像装置が複数存在する場合には、それぞれの現像装置において前記αを計算し、補正が入る条件の現像装置のみに対してトナー消費及び現像装置駆動を行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記制御を、画像濃度調整時及び位置合わせ動作時と同時に行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いて画像形成を行う画像形成装置において、請求項1記載の画像形成方法における補正制御を、定着装置のウォームアップ時に行う画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、単位時間当たりのトナー消費量が小さい場合、トナーを強制的に消費することで、全体のトナー帯電量を下げることにより、TCを上げる必要を無くすことができる。また、αが大きい場合、現像装置を駆動させて攪拌することでキャリアに付着した添加物を除去するとともにトナーとキャリアの接触機会を増加することで全体の帯電量を上昇させ、TCの低下を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明を適用するカラー画像形成装置、具体的には、タンデム型間接転写方式の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。図2は図1のタンデム画像形成部の画像形成手段周辺を拡大して示す概略図である。
図1及び図2を参照して、この画像形成装置は画像形成装置本体1、画像形成装置本体1を載せる給紙テーブル2、画像形成装置本体1上に取り付けるスキャナ(読み取り光学系)3、さらにその上に取り付ける自動原稿搬送装置(ADF)4から構成されている。
画像形成装置本体1の中央位置には、横方向へ延びる無端ベルト状の中間転写体10を設けている。そして、図示例では中間転写体10を3つの支持ローラ14、15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能としている。
図示例では、3つの支持ローラ14、15、16の中で、第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設けている。
また、3つの支持ローラ14、15、16の中で第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成部20を構成している。
【0011】
タンデム画像形成部20の直上には、図1に示すように、さらに露光装置21を設けている。一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22を備えている。
2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像を給紙テーブルからのシートに転写する。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設けている。定着装置25は無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。上述した2次転写装置22は、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転させるシート反転装置28を備えている。
【0012】
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーを取るときは、自動原稿搬送装置4の原稿台30上に原稿をセットする。または、自動原稿搬送装置4を開いてスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿搬送装置4を閉じて原稿を押さえる。
図示してないスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置4に原稿をセットした時は、原稿を搬送して読み取りガラス32(図示せず)上へと移動させた後、他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ3を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。
そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
また、図示してないスタートスイッチを押すと、図示してない駆動モータで支持ローラ14、15、16のうちの1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。
同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0013】
一方、図示してないスタートスイッチを押すと、給紙テーブル2の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出す。
繰り出されたシートを分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機(画像形成装置)本体1内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込む。定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切り換え爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。
又は、切り換え爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0014】
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17によって画像転写後にその上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。
図1のタンデム画像形成部の2つの画像形成手段周辺を拡大して示す図2のように、上述したタンデム画像形成部20において、個々の画像形成手段18(図2では2つのみ示している)は、詳しくは、例えば、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64などを備えている。
現像装置61は、現像剤容器65内に、現像剤攪拌・搬送手段としての第1の現像剤攪拌部(トナー補給側)66の現像剤攪拌・搬送スクリュ66a、第2の現像剤撹拌部(現像剤担持体側)67の攪拌・搬送スクリュ67a、現像剤担持体(現像ローラ、現像スリーブ)68を備えている。
【0015】
第1の現像剤撹拌部66の現像剤容器65外壁には図示しない補給口を設けてあり、図示しないトナー補給装置からトナーが供給される。トナー補給側現像剤攪拌スクリュ66aは、トナー補給装置から補給されたトナーと現像剤容器65内の現像剤(磁性粒子とトナーとを有する2成分現像剤)とを攪拌・搬送する。
また、第2の現像剤撹拌部(現像剤担持体側)67の攪拌スクリュ67aは、現像剤容器65内の現像剤を攪拌・搬送する。第1の現像剤攪拌部66と第2現像剤攪拌部67は仕切り壁69で仕切られており、両端部に現像剤を受け渡す開口部(図示せず)がある。図2中、符号10は中間転写体、71はトナー濃度センサ、73は現像剤ブレード、75はクリーニングブレード、76はクリーニングローラを示している。
【0016】
次に、本発明に用いた画像形成装置のカラー画像形成のプロセスについて説明する。カラー画像の形成時には、まず、第1画像形成部18において、回転する感光体ドラム40の表面に帯電装置である帯電ローラ60によって均一に電荷が付与されて、約−650Vに均一帯電が行われる。
その後、露光装置であるレーザ光学系によって画像露光を施し、感光体ドラム40の表面の光導電層上に静電潜像を形成する。そしてその静電潜像に現像装置61に備えられた現像スリーブ68から、イエロー現像剤を用いて現像が行われて、潜像をイエロートナー像として可視化する。
【0017】
現像行程について説明する。現像装置61は2成分現像剤を収容した現像容器65に、現像スリーブ68、攪拌スクリュ66a、67a、及び現像スリーブ68の表面にトナー薄層を形成するドクターブレード73を配置して構成されている。
現像スリーブ68は、少なくとも現像時は、感光体ドラム40に対して近接して配置され、現像剤が感光体ドラム40に接触する状態で現像できるように設定されている。
本実施の形態で用いた2成分現像剤は、粉砕法によって製造した平均粒径6〜7μmのネガ帯電トナーと平均粒径が35μmの磁性キャリアを混合して構成されている。また、この実施の形態では、現像時には、現像スリーブ68に−500vが現像バイアスとして印加されかつ現像が行われている。
【0018】
転写行程について説明する。感光体ドラム40上に可視化されたトナー像は、第1の中間転写部で中間転写ベルトに転写され、その後、第2、第3、第4の画像形成手段18の順でそれぞれの感光体ドラム40上のトナー像は中間転写ベルト10に転写が行われ、これにより中間転写ベルト10上に色重ねした像が形成される。
この中間転写ベルト上に色重ねをして形成されたトナー像は、2次転写ベルト24により転写紙に転写が行われ、その後、定着装置25によりトナー像は転写紙に熱定着されて、画像定着した転写紙が排紙部57に出力される。
【0019】
画像濃度制御について説明する。電子写真方式において、現像ポテンシャルを段階的に変化させて現像されるトナー量を光学素子による検知量から計算すると、現像ポテンシャルと付着量との関係は線形性を示す。その傾きを現像γ、現像されるトナー量が0となる時の現像ポテンシャルの値を現像開始電圧:Vkと呼ぶ。
この現像γとVkの値から、望みのトナー付着量が得られる現像ポテンシャルを計算し、帯電電位Vc、現像電位Vb、及びレーザ光量を予め設定してあるテーブルから選択する方法が取られている。
TCの変化について説明する。本方式では目標の現像γ値を設定し、現像ポテンシャルを一定範囲に収めるようにトナー補給量を制御している。現像剤という範囲でのみ考えると、これは現像剤の帯電量を一定範囲に収めることを意味しており、環境や経時での現像剤の帯電量変化にはTCを変化させることによる帯電量調整が行われる。その結果、帯電量が低下する際にはTCは低下し、帯電量が上昇する際にはTCは上昇する。
【0020】
図3は本発明による画像形成方法の現像剤制御のフローを説明するフローチャートである。図3に示すように、作像開始に際して、現像装置駆動時間当たりのトナー消費量αを検知して、αが基準範囲内かどうか判断する(S1)。
この場合に、αが基準範囲を下回るならば、トナーを強制的に消費し(S2)、電位制御を行って(S3)作像準備に入る。また、αが基準範囲を上回るならば、現像スリーブ68(図2)の駆動モータ(図示せず)を駆動し(S4)、電位制御を行って(S3)作像準備に入る。さらに、ステップ(S1)において、αが基準範囲内であるならば、そのまま電位制御を行って(S3)作像準備に入る。
このように、本発明による画像形成方法は、現像装置駆動時間とトナー消費量を検知し、作像工程の際に現像装置駆動時間当たりのトナー消費量を表すαの値が一定範囲となるように、前記αが設定下限を下回った時はトナーを強制的に消費し、反対に前記αが設定上限を上回った時は現像装置を駆動し、現像剤を攪拌する制御を行うようになっている。
この制御を行う制御回路は本発明を使用するタンデム型間接転写方式の画像形成装置の全体構成に組み込まれ、タンデム画像形成部の現像装置に含まれるので制御回路としてはとくに図示していない。
【0021】
図4は単位時間当たりのトナー消費量(=α)と初期TCで正規化した帯電量(=DA)変化量をグラフで示す図である。図5は単位時間当たりのトナー消費量:大でのTC推移(補正有り/無し)をグラフで示す図である。図6は単位時間当たりのトナー消費量:少でのTC推移(補正有り/無し)をグラフで示す図である。
図4乃至図6を参照して、本発明による第1の実施の形態を説明する。図4は現像装置61(図2)の駆動時間当たりのトナー消費量:αを変化させた時のTC7wt%に換算した初期からの帯電量の変化量:ΔDAを示したものである。
(〔DA〕=〔Q/M〕×〔TC〕/7)
α<15[mg/秒]では帯電量が上昇し、α>25[mg/秒]では帯電量が下降しているのが確認できる。ここで、15<α<25[mg/秒]とし、この範囲から外れた時の動作として、
α<15[mg/秒]・・・αに収まるようにトナーを強制的に消費する
α>25[mg/秒]・・・αに収まるように現像装置61を駆動し、現像剤を攪拌する
を行うように設定した。
【0022】
図5及び図6は本発明の第1の実施の形態での補正の有り/無しでTCの推移を調査した結果を示している。補正を入れることにより、現像駆動時間当たりのトナー消費量に拘わらずTC推移を安定できていることが確認できた。
図7は枚数基準補正のTC推移をグラフで示す図である。図8は現像器駆動時間基準補正のTC推移をグラフで示す図である。図9は現像器駆動時間基準補正のTC推移を横軸に枚数をとってグラフで示す図である。
本発明における第1の実施の形態の補正を搭載した例として、第2の実施の形態としてトナー消費量が少なく、画像濃度調整や位置合わせ動作が一定作像枚数毎に入る条件下で100枚毎に本発明の補正を反映したTC推移を図7に示している。
作像枚数に対し、TCが経時で上昇していることが判る。これは画像濃度調整や位置合わせ動作は作像動作を行うため現像装置は駆動するものの、枚数としては0である。そのため作像枚数と現像装置駆動時間と枚数は必ずしも直線関係にはならず、想定しているよりも現像装置駆動時間が長いためにトナー帯電量が増加してしまうことが原因と考えられる。
このことから、実使用上、作像枚数は補正には不向きであるといえる。このことは1回の作像動作(ジョブ)で出力される枚数や紙サイズ等も現像装置駆動時間と作像枚数に直線関係を成立させない要因である。
【0023】
ここで現像装置駆動時間を基準とし、100分毎に本補正を入れて同じ条件で通紙した時のTC推移を図8に示している。作像枚数基準よりもTC上昇が抑えられており、現像装置駆動時間を基準とすることでTC制御が安定して行えることが確認できた。図9に示すように同じ枚数で比較してみてもやはりTC上昇が抑制されている。
TCを一定に保つには、第1の実施の形態に示す制御を定期的に行う必要がある。ここで現像装置駆動時間を基準とすることで、単に印刷動作時だけでなく画像濃度調整動作時や位置合わせ動作時の駆動時間も考慮するため正確な補正が可能である。
【0024】
図10は現像装置駆動時間基準のTC推移をグラフで示す図である。第2の実施の形態では現像装置駆動時間基準で補正を行うものであった。この制御を入れてトナー消費量が多い条件下で通紙を行った場合のTC推移を第3の実施の形態として図10の◆にて示している。帯電量の低下に伴うTC低下が見られる。
これは一定現像装置駆動時間内に消費されるトナーが多いために補正が行われる前に帯電量が低下してしまっているためである。そこでトナー消費量を考慮し、一定トナー消費量毎に補正を入れるようにした条件でのTCの推移を■で示している。この場合は、帯電量が低下する前に補正が行われ、TCの低下が抑えられていることが確認できる。
第2の実施の形態にて示した現像装置攪拌時間基準の補正では、補正の間に多量のトナーが消費された場合に帯電量が大きく低下してしまい、補正動作での攪拌時間が伸びてしまう。ここでトナー消費量を基準とすることで、補正間の大幅な帯電量低下を抑制でき、攪拌時間も短縮することができる。
【0025】
図11はトナー消費量が多い場合の現像装置駆動時間基準によるTC推移をグラフで示す図である。図12はトナー消費量が少ない場合の現像装置駆動時間基準によるTC推移をグラフで示す図である。
第4の実施の形態は本発明である補正が行われるαの範囲を規定したものである。αの範囲が大き過ぎると、補正が行われずに従来とほぼ変わらず効果が低減してしまう。
補正の行われるαの範囲は、第1の実施の形態におけるDAの変化量が0となる点を基準として、一定範囲の帯電量変動に収まるように設定するのが望ましい。
【0026】
図11はαの範囲を変えて、以下の条件で作像を繰り返したときのTCの推移を見たものである。ここで、第1の実施の形態におけるDAの変化量が0となる単位時間当たりのトナー消費量をα0とし、本発明における補正が入る範囲を第1の実施の形態においてそれぞれDAの変動が±10、15、20μC/gとなる単位時間当たりの消費量:α0±5、10、15mg/秒としたもので比較を行っている。
補正の入る範囲がα=0±15mg/秒(DA変動±20μC/g)では補正の効果が追いつかず、αが大きい時には帯電量が低下し、その結果、TCが低下している。また、αが小さい時には帯電量が上昇し、その結果TCも上昇しており、本補正の効果が得られていない。
このような結果から、帯電量の変化量が±15μC/g以内となるαの範囲を用いるのが帯電量を一定範囲で推移させるのに効果的であることを確認することできる。
単位時間当たりのトナー消費量によってトナー帯電量の推移が変化し、帯電量上昇と低下のバランスが取れる範囲が存在する。現像装置駆動時間に対する帯電量の変化率が±10μC/gの範囲となるαを用いることで、常に帯電量を適正な範囲に維持することができる。
【0027】
図13は第4の実施の形態でのボソツキランク推移をグラフで示す図である。第5の実施の形態では単位時間当たりのトナー消費量が少ない場合の画像のボソツキ、すなわち、画像上のベタ部の濃度ムラを抑えることに関心を向けている。
単位時間当たりのトナー消費量が少ない場合にはぼそついた画像となることがある。これは、現像装置中で長い間攪拌されることによって帯電量が高くなったトナーが多く存在し、転写しにくくなることが1つの原因として挙げられる。
ここで、本制御においてボソツキが許容範囲となる単位時間当たりのトナー消費量の下限を予め調べ、その下限を下回った際にトナー消費をすることで、ボソツキのない画質を維持することができると考えた。
図13は第4の実施の形態のトナー消費量が少ない場合において、画像のボソツキをランク付けし、その推移を見たものである。トナー消費を行うしきい値を10mg/秒とすることでボソツキの良い画質が維持できていることが確認できた。
【0028】
図14は補正時の現像装置駆動速度変更時の補正に掛かった時間をグラフで示す図である。第6の実施の形態は単位時間当たりのトナー消費量が多い場合の現像装置を駆動する補正を行う際に、現像装置駆動速度を作像動作時より速くすることで補正に掛かる時間を短縮することに関心を向けている。
図14には、現像装置駆動時間を、それぞれ、作像時と同じ、作像時の1.5倍、及び作像時の2倍とし、単位時間当たりのトナー消費量が40mg/秒の条件下において連続作像動作をさせた時の補正に掛かった時間を示している。補正動作時の現像装置駆動速度を作像時より速くすることで補正時間を短縮することが確認できる。
【0029】
図15はトナー消費のタイミングによる一定枚数出力に掛かった時間をグラフで示す図である。第7の実施の形態は単位時間当たりのトナー消費量が少ない場合に、作像動作を停めることなくトナー消費による補正を行うことに関心を向けている。
トナー消費動作を、それぞれ、一定枚数作像後と作像間(紙間)に行うものとで一定枚数通紙を行った時の時間を図15に示している。作像間に補正を行うことで通紙に要する時間を短縮することができた。
このように、単位時間当たりのトナー消費量が一定量より少ない場合、現像装置中のトナーを消費させるが、作像の間に消費パターンを作成することにより、補正に掛かる時間を短縮できる。
【0030】
図16は動作させる対象の差による現像剤劣化(キャリア膜の削れ量)の違いをグラフで示す図である。第8の実施の形態は複数の現像装置を有する場合に、各現像装置それぞれでαを算出し、必要なもののみ同時にトナー消費および現像装置駆動による補正を行い、補正が必要のないものは動作させないことで、補正での現像剤劣化の抑制を意図している。
図16は補正時に全てのユニットを動作させたものと、補正が必要なもののみ動作させたもので、キャリアの劣化度合いを各現像装置のキャリアの膜の削れ量の合計を表したものである。
全ての現像装置を動作させると補正が必要ないものも含まれるため、トータルでのキャリアの劣化が進行しており、補正が必要なユニットのみ動作させることでキャリアの劣化が抑えられている。
【0031】
図17は画像濃度調整時及び位置合わせ時での補正の有無による通紙時間の違いをグラフで示す図である。第9の実施の形態では、定期的に行われる画像濃度調整時及び位置合わせ動作時に、本発明による補正を行うことによりさらなる時間短縮を目途としている。
単位時間当たりのトナー消費量が少ない場合の現像装置攪拌動作は画像濃度調整時や位置合わせ動作時に同時に行う。また、単位時間当たりのトナー消費量が多い場合には、画像濃度調整時や位置合わせ動作時に作成するパターンと干渉しない位置に、本発明での消費パターンを作成することにより同時に消費を行うことで時間短縮を実現できる。
図17には本発明による補正を、画像濃度調整時及び位置合わせ時に行うものと行わないもので一定枚数通紙するのに要した時間を表している。画像濃度調整時及び位置合わせ時に本発明の補正を行うことで、補正に掛かる時間を短縮できている。
従って、濃度調整動作や位置合わせ動作ではそれぞれ特別なパターンを作像するが、そのパターンに干渉しない位置に消費パターンを作成してトナー消費を行う場合の補正を行い、現像装置駆動による補正も画像濃度調整時及び位置合わせ時と同時に行うことで補正に掛かる時間を短縮することができる。
【0032】
図18は定着装置立ち上げ時間での補正の有無による補正に掛かる時間の違いをグラフで示す図である。第10の実施の形態では、定着装置の温度が立ち上がる間に、本発明による補正を行うことによりさらなる時間短縮を図ることを目途としている。
第10の実施の形態によれば、エネルギ削減のため機械電源を落としている時からスタンバイまでには定着装置の立ち上げ時間を要するが、その時間を利用して本補正を行うことで効率的に補正を行うことができる。
図18は本発明による補正を、定着装置立ち上げ時に行うものと行わないもので10日間に補正に要した時間を表したものである。定着装置立ち上げ時に本発明の補正を行うことで、補正だけ行っている時間を削減でき、補正に掛かる時間を短縮でき、効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を適用するカラー画像形成装置、具体的には、タンデム型間接転写方式の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1のタンデム画像形成部の画像形成手段周辺を拡大して示す概略図である。
【図3】本発明による画像形成方法の現像剤制御のフローを説明するフローチャートである。
【図4】単位時間当たりのトナー消費量(=α)と初期TCで正規化した帯電量(=DA)変化量をグラフで示す図である。
【図5】単位時間当たりのトナー消費量:大でのTC推移(補正有り/無し)をグラフで示す図である。
【図6】単位時間当たりのトナー消費量:少でのTC推移(補正有り/無し)をグラフで示す図である。
【図7】枚数基準補正のTC推移をグラフで示す図である。
【図8】現像器駆動時間基準補正のTC推移をグラフで示す図である。
【図9】現像器駆動時間基準補正のTC推移を横軸に枚数をとってグラフで示す図である。
【図10】現像装置駆動時間基準のTC推移をグラフで示す図である。
【図11】トナー消費量が多い場合の現像装置駆動時間基準によるTC推移をグラフで示す図である。
【図12】トナー消費量が少ない場合の現像装置駆動時間基準によるTC推移をグラフで示す図である。
【図13】第4の実施の形態でのボソツキランク推移をグラフで示す図である。
【図14】補正時の現像装置駆動速度変更時の補正に掛かった時間をグラフで示す図である。
【図15】トナー消費のタイミングによる一定枚出力に掛かった時間をグラフで示す図である。
【図16】動作させる対象の差による現像剤劣化(キャリア膜削れ量)の違いをグラフで示す図である。
【図17】画像濃度調整時及び位置合わせ時での補正の有無による通紙時間の違いをグラフで示す図である。
【図18】定着装置立ち上げ時間での補正の有無による補正に掛かる時間の違いをグラフで示す図である。
【符号の説明】
【0034】
20 タンデム画像形成部、40 ドラム状の感光体、60 帯電装置、61 現像装置、62 1次転写装置、66a 現像剤攪拌・搬送スクリュ、67a 現像剤攪拌・搬送スクリュ、68 現像剤担持体(現像スリーブ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー濃度(TC)を経時的に安定して画像形成を行う、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成方法、及び画像形成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子写真方式を利用するデジタル複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置が広く使用されている。そのような画像形成装置では、像担持体となる感光体上にレーザビームで静電潜像を形成し、トナーで現像して、記録紙などの記録部材上に、直接または間接にトナー像を転写することによって画像を形成している。
近年、電子写真方式の画像形成法においても高画質が要求されているが、現像剤のトナー濃度(以下、TCとする)により画質が大きく変化する。例を挙げると、高TCでは現像剤嵩が増して現像剤の循環不良から帯状の白抜け画像が発生する。また、高TC推移はトナー飛散にも不利である。
逆に、低TCではトナー量が不足していることから濃度ムラに対して不利である。さらに、現像剤を攪拌・搬送スクリュで搬送する方式では現像剤嵩が減少して現像スリーブへの汲み上げ不良を起こすことから画像に攪拌・搬送スクリュピッチのムラが発生する。
このように、画像形成において高画質を得るにはTCを一定範囲に制御することが望ましいが、画像濃度を一定に保つ制御においてはトナーの帯電量を一定推移にする必要がある。
【0003】
トナー帯電量は現像剤の使用される条件で変動することが確認されている。単位時間当たりのトナー消費量が少ない条件下ではドクタ部を通過して帯電するトナーが多くなるために帯電量は上昇し、逆に単位時間当たりのトナー消費量が多い条件下では、キャリアへトナー添加剤が付着するのが促進され、帯電量が低下する。
上述のごとく、2成分現像剤は、単位時間当たりのトナー消費量によって経時でトナーの帯電量が増加、又は低下する方向が変化する。トナーの帯電量が増加する理由は、単位時間当たりのトナー消費量が小さいとキャリアとの接触時間の長いトナーが存在するためであり、その場合、目標の画像濃度を得ようとするとTCを上げる必要が生じる。
また、トナー帯電量が減少する理由は、単位時間当たりのトナー消費量が大きいと、キャリアへのトナー添加剤の付着によりキャリアの帯電能力が低下し、目標画像濃度を得ようとするとTCを下げる必要が生じる。
このことは、つまり、トナー帯電量を一定に保てる単位時間当たりのトナー消費量の範囲が存在することを表しており、この範囲であれば、トナー帯電量を経時で安定させ、結果的にTCを経時で安定させて画質を安定化することができる筈である。
【0004】
TCが変化した時の画像への影響について説明する。先ず、TCが上昇し過ぎた時には、現像剤嵩が増すことによる現像装置内の分散不良が起こり、白帯が発生することがある。また、トナー飛散にも不利である。
逆に低下し過ぎた時には、トナー絶対量の不足から濃度ムラの余裕度が無くなり、また、現像剤の嵩が減ることからスリーブへの汲み上げ不良を起こし、画像に攪拌・搬送スクリュピッチでムラが発生することがある。このようにTCは一定範囲で用いる必要があるが、帯電量を環境及び経時を含めて一定範囲に保つのは困難であった。
環境による現像剤帯電量の変化については、温湿度検知素子等の情報から補正を行うことにより対処は可能であるが、経時での変化については現像剤が使用される状況により傾向が変わるため制御が困難である。
例として挙げると、1回の作像動作で低画像面積率の画像を1枚ずつ出力する条件下では帯電量は上昇し、1回の作像動作で高画像面積率の画像を100枚ずつ出力する条件下では帯電量は下降して行く。つまり、枚数基準または現像駆動時間基準では制御不可能である。
【0005】
ここで、トナー帯電量を一定範囲に維持するためには、現像装置を駆動する時間とトナーを消費する量を調整して単位時間当たりのトナー消費量を一定範囲に収めることが必要となる。かかる問題に対し多くの提案がなされてきた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、像担持体に現像されたトナーの表面電位を測定し、基準値と比較して現像器を駆動またはトナーを強制消費させて帯電量を適正範囲に制御する技術が提案されている。
【特許文献1】特開平6−186856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この技術ではトナーの表面電位を測定する手段が必要であることと、湿度やTCでトナーの帯電量は変化するため検知手段が必要となるとともに制御が複雑になってしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、トナーの帯電量変化率が現像装置駆動時間単位のトナー消費量に相関が強いことを利用し、経時でのトナー帯電量変動幅を一定範囲に制御することで現像剤中のTCの変動幅を異常画像の発生しない適正範囲に保ち、良好な画質を維持する2成分電子写真方式の画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、トナーとキャリアからなる2成分現像方式の画像形成方法において、作像開始に際して、現像装置駆動時間とトナー消費量を検知し、作像工程の際に現像装置駆動時間当たりのトナー消費量を表すαの値が一定範囲となるように、前記αが設定下限を下回った時はトナーを強制的に消費し、反対に前記αが設定上限を上回った時は現像装置を駆動し、現像剤を攪拌する制御を行う画像形成方法を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記制御を定期的に行い、その間隔は一定現像装置駆動時間間隔で行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記制御を定期的に行い、その間隔はトナー消費量基準で行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記αの範囲としては、適正トナー濃度が得られる帯電量の値を基準として、帯電量の変動が±10μC/g以内となるαの範囲を用いる請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記αの目標範囲の下限は画像のボソツキが許容範囲となるように設定する請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
【0008】
また、請求項6に記載の発明は、前記制御において、前記現像装置を駆動させる補正を行う際に駆動速度を作像動作時よりも速くする請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記制御のためにトナー消費を行うトナー消費実施は、作像の間にパターンを作ることにより行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記制御の実施は、前記現像装置が複数存在する場合には、それぞれの現像装置において前記αを計算し、補正が入る条件の現像装置のみに対してトナー消費及び現像装置駆動を行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記制御を、画像濃度調整時及び位置合わせ動作時と同時に行う請求項1記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いて画像形成を行う画像形成装置において、請求項1記載の画像形成方法における補正制御を、定着装置のウォームアップ時に行う画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、単位時間当たりのトナー消費量が小さい場合、トナーを強制的に消費することで、全体のトナー帯電量を下げることにより、TCを上げる必要を無くすことができる。また、αが大きい場合、現像装置を駆動させて攪拌することでキャリアに付着した添加物を除去するとともにトナーとキャリアの接触機会を増加することで全体の帯電量を上昇させ、TCの低下を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明を適用するカラー画像形成装置、具体的には、タンデム型間接転写方式の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。図2は図1のタンデム画像形成部の画像形成手段周辺を拡大して示す概略図である。
図1及び図2を参照して、この画像形成装置は画像形成装置本体1、画像形成装置本体1を載せる給紙テーブル2、画像形成装置本体1上に取り付けるスキャナ(読み取り光学系)3、さらにその上に取り付ける自動原稿搬送装置(ADF)4から構成されている。
画像形成装置本体1の中央位置には、横方向へ延びる無端ベルト状の中間転写体10を設けている。そして、図示例では中間転写体10を3つの支持ローラ14、15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能としている。
図示例では、3つの支持ローラ14、15、16の中で、第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設けている。
また、3つの支持ローラ14、15、16の中で第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成部20を構成している。
【0011】
タンデム画像形成部20の直上には、図1に示すように、さらに露光装置21を設けている。一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22を備えている。
2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像を給紙テーブルからのシートに転写する。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設けている。定着装置25は無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。上述した2次転写装置22は、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転させるシート反転装置28を備えている。
【0012】
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーを取るときは、自動原稿搬送装置4の原稿台30上に原稿をセットする。または、自動原稿搬送装置4を開いてスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿搬送装置4を閉じて原稿を押さえる。
図示してないスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置4に原稿をセットした時は、原稿を搬送して読み取りガラス32(図示せず)上へと移動させた後、他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ3を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。
そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
また、図示してないスタートスイッチを押すと、図示してない駆動モータで支持ローラ14、15、16のうちの1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。
同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0013】
一方、図示してないスタートスイッチを押すと、給紙テーブル2の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出す。
繰り出されたシートを分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機(画像形成装置)本体1内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込む。定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切り換え爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。
又は、切り換え爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0014】
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17によって画像転写後にその上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。
図1のタンデム画像形成部の2つの画像形成手段周辺を拡大して示す図2のように、上述したタンデム画像形成部20において、個々の画像形成手段18(図2では2つのみ示している)は、詳しくは、例えば、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64などを備えている。
現像装置61は、現像剤容器65内に、現像剤攪拌・搬送手段としての第1の現像剤攪拌部(トナー補給側)66の現像剤攪拌・搬送スクリュ66a、第2の現像剤撹拌部(現像剤担持体側)67の攪拌・搬送スクリュ67a、現像剤担持体(現像ローラ、現像スリーブ)68を備えている。
【0015】
第1の現像剤撹拌部66の現像剤容器65外壁には図示しない補給口を設けてあり、図示しないトナー補給装置からトナーが供給される。トナー補給側現像剤攪拌スクリュ66aは、トナー補給装置から補給されたトナーと現像剤容器65内の現像剤(磁性粒子とトナーとを有する2成分現像剤)とを攪拌・搬送する。
また、第2の現像剤撹拌部(現像剤担持体側)67の攪拌スクリュ67aは、現像剤容器65内の現像剤を攪拌・搬送する。第1の現像剤攪拌部66と第2現像剤攪拌部67は仕切り壁69で仕切られており、両端部に現像剤を受け渡す開口部(図示せず)がある。図2中、符号10は中間転写体、71はトナー濃度センサ、73は現像剤ブレード、75はクリーニングブレード、76はクリーニングローラを示している。
【0016】
次に、本発明に用いた画像形成装置のカラー画像形成のプロセスについて説明する。カラー画像の形成時には、まず、第1画像形成部18において、回転する感光体ドラム40の表面に帯電装置である帯電ローラ60によって均一に電荷が付与されて、約−650Vに均一帯電が行われる。
その後、露光装置であるレーザ光学系によって画像露光を施し、感光体ドラム40の表面の光導電層上に静電潜像を形成する。そしてその静電潜像に現像装置61に備えられた現像スリーブ68から、イエロー現像剤を用いて現像が行われて、潜像をイエロートナー像として可視化する。
【0017】
現像行程について説明する。現像装置61は2成分現像剤を収容した現像容器65に、現像スリーブ68、攪拌スクリュ66a、67a、及び現像スリーブ68の表面にトナー薄層を形成するドクターブレード73を配置して構成されている。
現像スリーブ68は、少なくとも現像時は、感光体ドラム40に対して近接して配置され、現像剤が感光体ドラム40に接触する状態で現像できるように設定されている。
本実施の形態で用いた2成分現像剤は、粉砕法によって製造した平均粒径6〜7μmのネガ帯電トナーと平均粒径が35μmの磁性キャリアを混合して構成されている。また、この実施の形態では、現像時には、現像スリーブ68に−500vが現像バイアスとして印加されかつ現像が行われている。
【0018】
転写行程について説明する。感光体ドラム40上に可視化されたトナー像は、第1の中間転写部で中間転写ベルトに転写され、その後、第2、第3、第4の画像形成手段18の順でそれぞれの感光体ドラム40上のトナー像は中間転写ベルト10に転写が行われ、これにより中間転写ベルト10上に色重ねした像が形成される。
この中間転写ベルト上に色重ねをして形成されたトナー像は、2次転写ベルト24により転写紙に転写が行われ、その後、定着装置25によりトナー像は転写紙に熱定着されて、画像定着した転写紙が排紙部57に出力される。
【0019】
画像濃度制御について説明する。電子写真方式において、現像ポテンシャルを段階的に変化させて現像されるトナー量を光学素子による検知量から計算すると、現像ポテンシャルと付着量との関係は線形性を示す。その傾きを現像γ、現像されるトナー量が0となる時の現像ポテンシャルの値を現像開始電圧:Vkと呼ぶ。
この現像γとVkの値から、望みのトナー付着量が得られる現像ポテンシャルを計算し、帯電電位Vc、現像電位Vb、及びレーザ光量を予め設定してあるテーブルから選択する方法が取られている。
TCの変化について説明する。本方式では目標の現像γ値を設定し、現像ポテンシャルを一定範囲に収めるようにトナー補給量を制御している。現像剤という範囲でのみ考えると、これは現像剤の帯電量を一定範囲に収めることを意味しており、環境や経時での現像剤の帯電量変化にはTCを変化させることによる帯電量調整が行われる。その結果、帯電量が低下する際にはTCは低下し、帯電量が上昇する際にはTCは上昇する。
【0020】
図3は本発明による画像形成方法の現像剤制御のフローを説明するフローチャートである。図3に示すように、作像開始に際して、現像装置駆動時間当たりのトナー消費量αを検知して、αが基準範囲内かどうか判断する(S1)。
この場合に、αが基準範囲を下回るならば、トナーを強制的に消費し(S2)、電位制御を行って(S3)作像準備に入る。また、αが基準範囲を上回るならば、現像スリーブ68(図2)の駆動モータ(図示せず)を駆動し(S4)、電位制御を行って(S3)作像準備に入る。さらに、ステップ(S1)において、αが基準範囲内であるならば、そのまま電位制御を行って(S3)作像準備に入る。
このように、本発明による画像形成方法は、現像装置駆動時間とトナー消費量を検知し、作像工程の際に現像装置駆動時間当たりのトナー消費量を表すαの値が一定範囲となるように、前記αが設定下限を下回った時はトナーを強制的に消費し、反対に前記αが設定上限を上回った時は現像装置を駆動し、現像剤を攪拌する制御を行うようになっている。
この制御を行う制御回路は本発明を使用するタンデム型間接転写方式の画像形成装置の全体構成に組み込まれ、タンデム画像形成部の現像装置に含まれるので制御回路としてはとくに図示していない。
【0021】
図4は単位時間当たりのトナー消費量(=α)と初期TCで正規化した帯電量(=DA)変化量をグラフで示す図である。図5は単位時間当たりのトナー消費量:大でのTC推移(補正有り/無し)をグラフで示す図である。図6は単位時間当たりのトナー消費量:少でのTC推移(補正有り/無し)をグラフで示す図である。
図4乃至図6を参照して、本発明による第1の実施の形態を説明する。図4は現像装置61(図2)の駆動時間当たりのトナー消費量:αを変化させた時のTC7wt%に換算した初期からの帯電量の変化量:ΔDAを示したものである。
(〔DA〕=〔Q/M〕×〔TC〕/7)
α<15[mg/秒]では帯電量が上昇し、α>25[mg/秒]では帯電量が下降しているのが確認できる。ここで、15<α<25[mg/秒]とし、この範囲から外れた時の動作として、
α<15[mg/秒]・・・αに収まるようにトナーを強制的に消費する
α>25[mg/秒]・・・αに収まるように現像装置61を駆動し、現像剤を攪拌する
を行うように設定した。
【0022】
図5及び図6は本発明の第1の実施の形態での補正の有り/無しでTCの推移を調査した結果を示している。補正を入れることにより、現像駆動時間当たりのトナー消費量に拘わらずTC推移を安定できていることが確認できた。
図7は枚数基準補正のTC推移をグラフで示す図である。図8は現像器駆動時間基準補正のTC推移をグラフで示す図である。図9は現像器駆動時間基準補正のTC推移を横軸に枚数をとってグラフで示す図である。
本発明における第1の実施の形態の補正を搭載した例として、第2の実施の形態としてトナー消費量が少なく、画像濃度調整や位置合わせ動作が一定作像枚数毎に入る条件下で100枚毎に本発明の補正を反映したTC推移を図7に示している。
作像枚数に対し、TCが経時で上昇していることが判る。これは画像濃度調整や位置合わせ動作は作像動作を行うため現像装置は駆動するものの、枚数としては0である。そのため作像枚数と現像装置駆動時間と枚数は必ずしも直線関係にはならず、想定しているよりも現像装置駆動時間が長いためにトナー帯電量が増加してしまうことが原因と考えられる。
このことから、実使用上、作像枚数は補正には不向きであるといえる。このことは1回の作像動作(ジョブ)で出力される枚数や紙サイズ等も現像装置駆動時間と作像枚数に直線関係を成立させない要因である。
【0023】
ここで現像装置駆動時間を基準とし、100分毎に本補正を入れて同じ条件で通紙した時のTC推移を図8に示している。作像枚数基準よりもTC上昇が抑えられており、現像装置駆動時間を基準とすることでTC制御が安定して行えることが確認できた。図9に示すように同じ枚数で比較してみてもやはりTC上昇が抑制されている。
TCを一定に保つには、第1の実施の形態に示す制御を定期的に行う必要がある。ここで現像装置駆動時間を基準とすることで、単に印刷動作時だけでなく画像濃度調整動作時や位置合わせ動作時の駆動時間も考慮するため正確な補正が可能である。
【0024】
図10は現像装置駆動時間基準のTC推移をグラフで示す図である。第2の実施の形態では現像装置駆動時間基準で補正を行うものであった。この制御を入れてトナー消費量が多い条件下で通紙を行った場合のTC推移を第3の実施の形態として図10の◆にて示している。帯電量の低下に伴うTC低下が見られる。
これは一定現像装置駆動時間内に消費されるトナーが多いために補正が行われる前に帯電量が低下してしまっているためである。そこでトナー消費量を考慮し、一定トナー消費量毎に補正を入れるようにした条件でのTCの推移を■で示している。この場合は、帯電量が低下する前に補正が行われ、TCの低下が抑えられていることが確認できる。
第2の実施の形態にて示した現像装置攪拌時間基準の補正では、補正の間に多量のトナーが消費された場合に帯電量が大きく低下してしまい、補正動作での攪拌時間が伸びてしまう。ここでトナー消費量を基準とすることで、補正間の大幅な帯電量低下を抑制でき、攪拌時間も短縮することができる。
【0025】
図11はトナー消費量が多い場合の現像装置駆動時間基準によるTC推移をグラフで示す図である。図12はトナー消費量が少ない場合の現像装置駆動時間基準によるTC推移をグラフで示す図である。
第4の実施の形態は本発明である補正が行われるαの範囲を規定したものである。αの範囲が大き過ぎると、補正が行われずに従来とほぼ変わらず効果が低減してしまう。
補正の行われるαの範囲は、第1の実施の形態におけるDAの変化量が0となる点を基準として、一定範囲の帯電量変動に収まるように設定するのが望ましい。
【0026】
図11はαの範囲を変えて、以下の条件で作像を繰り返したときのTCの推移を見たものである。ここで、第1の実施の形態におけるDAの変化量が0となる単位時間当たりのトナー消費量をα0とし、本発明における補正が入る範囲を第1の実施の形態においてそれぞれDAの変動が±10、15、20μC/gとなる単位時間当たりの消費量:α0±5、10、15mg/秒としたもので比較を行っている。
補正の入る範囲がα=0±15mg/秒(DA変動±20μC/g)では補正の効果が追いつかず、αが大きい時には帯電量が低下し、その結果、TCが低下している。また、αが小さい時には帯電量が上昇し、その結果TCも上昇しており、本補正の効果が得られていない。
このような結果から、帯電量の変化量が±15μC/g以内となるαの範囲を用いるのが帯電量を一定範囲で推移させるのに効果的であることを確認することできる。
単位時間当たりのトナー消費量によってトナー帯電量の推移が変化し、帯電量上昇と低下のバランスが取れる範囲が存在する。現像装置駆動時間に対する帯電量の変化率が±10μC/gの範囲となるαを用いることで、常に帯電量を適正な範囲に維持することができる。
【0027】
図13は第4の実施の形態でのボソツキランク推移をグラフで示す図である。第5の実施の形態では単位時間当たりのトナー消費量が少ない場合の画像のボソツキ、すなわち、画像上のベタ部の濃度ムラを抑えることに関心を向けている。
単位時間当たりのトナー消費量が少ない場合にはぼそついた画像となることがある。これは、現像装置中で長い間攪拌されることによって帯電量が高くなったトナーが多く存在し、転写しにくくなることが1つの原因として挙げられる。
ここで、本制御においてボソツキが許容範囲となる単位時間当たりのトナー消費量の下限を予め調べ、その下限を下回った際にトナー消費をすることで、ボソツキのない画質を維持することができると考えた。
図13は第4の実施の形態のトナー消費量が少ない場合において、画像のボソツキをランク付けし、その推移を見たものである。トナー消費を行うしきい値を10mg/秒とすることでボソツキの良い画質が維持できていることが確認できた。
【0028】
図14は補正時の現像装置駆動速度変更時の補正に掛かった時間をグラフで示す図である。第6の実施の形態は単位時間当たりのトナー消費量が多い場合の現像装置を駆動する補正を行う際に、現像装置駆動速度を作像動作時より速くすることで補正に掛かる時間を短縮することに関心を向けている。
図14には、現像装置駆動時間を、それぞれ、作像時と同じ、作像時の1.5倍、及び作像時の2倍とし、単位時間当たりのトナー消費量が40mg/秒の条件下において連続作像動作をさせた時の補正に掛かった時間を示している。補正動作時の現像装置駆動速度を作像時より速くすることで補正時間を短縮することが確認できる。
【0029】
図15はトナー消費のタイミングによる一定枚数出力に掛かった時間をグラフで示す図である。第7の実施の形態は単位時間当たりのトナー消費量が少ない場合に、作像動作を停めることなくトナー消費による補正を行うことに関心を向けている。
トナー消費動作を、それぞれ、一定枚数作像後と作像間(紙間)に行うものとで一定枚数通紙を行った時の時間を図15に示している。作像間に補正を行うことで通紙に要する時間を短縮することができた。
このように、単位時間当たりのトナー消費量が一定量より少ない場合、現像装置中のトナーを消費させるが、作像の間に消費パターンを作成することにより、補正に掛かる時間を短縮できる。
【0030】
図16は動作させる対象の差による現像剤劣化(キャリア膜の削れ量)の違いをグラフで示す図である。第8の実施の形態は複数の現像装置を有する場合に、各現像装置それぞれでαを算出し、必要なもののみ同時にトナー消費および現像装置駆動による補正を行い、補正が必要のないものは動作させないことで、補正での現像剤劣化の抑制を意図している。
図16は補正時に全てのユニットを動作させたものと、補正が必要なもののみ動作させたもので、キャリアの劣化度合いを各現像装置のキャリアの膜の削れ量の合計を表したものである。
全ての現像装置を動作させると補正が必要ないものも含まれるため、トータルでのキャリアの劣化が進行しており、補正が必要なユニットのみ動作させることでキャリアの劣化が抑えられている。
【0031】
図17は画像濃度調整時及び位置合わせ時での補正の有無による通紙時間の違いをグラフで示す図である。第9の実施の形態では、定期的に行われる画像濃度調整時及び位置合わせ動作時に、本発明による補正を行うことによりさらなる時間短縮を目途としている。
単位時間当たりのトナー消費量が少ない場合の現像装置攪拌動作は画像濃度調整時や位置合わせ動作時に同時に行う。また、単位時間当たりのトナー消費量が多い場合には、画像濃度調整時や位置合わせ動作時に作成するパターンと干渉しない位置に、本発明での消費パターンを作成することにより同時に消費を行うことで時間短縮を実現できる。
図17には本発明による補正を、画像濃度調整時及び位置合わせ時に行うものと行わないもので一定枚数通紙するのに要した時間を表している。画像濃度調整時及び位置合わせ時に本発明の補正を行うことで、補正に掛かる時間を短縮できている。
従って、濃度調整動作や位置合わせ動作ではそれぞれ特別なパターンを作像するが、そのパターンに干渉しない位置に消費パターンを作成してトナー消費を行う場合の補正を行い、現像装置駆動による補正も画像濃度調整時及び位置合わせ時と同時に行うことで補正に掛かる時間を短縮することができる。
【0032】
図18は定着装置立ち上げ時間での補正の有無による補正に掛かる時間の違いをグラフで示す図である。第10の実施の形態では、定着装置の温度が立ち上がる間に、本発明による補正を行うことによりさらなる時間短縮を図ることを目途としている。
第10の実施の形態によれば、エネルギ削減のため機械電源を落としている時からスタンバイまでには定着装置の立ち上げ時間を要するが、その時間を利用して本補正を行うことで効率的に補正を行うことができる。
図18は本発明による補正を、定着装置立ち上げ時に行うものと行わないもので10日間に補正に要した時間を表したものである。定着装置立ち上げ時に本発明の補正を行うことで、補正だけ行っている時間を削減でき、補正に掛かる時間を短縮でき、効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を適用するカラー画像形成装置、具体的には、タンデム型間接転写方式の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1のタンデム画像形成部の画像形成手段周辺を拡大して示す概略図である。
【図3】本発明による画像形成方法の現像剤制御のフローを説明するフローチャートである。
【図4】単位時間当たりのトナー消費量(=α)と初期TCで正規化した帯電量(=DA)変化量をグラフで示す図である。
【図5】単位時間当たりのトナー消費量:大でのTC推移(補正有り/無し)をグラフで示す図である。
【図6】単位時間当たりのトナー消費量:少でのTC推移(補正有り/無し)をグラフで示す図である。
【図7】枚数基準補正のTC推移をグラフで示す図である。
【図8】現像器駆動時間基準補正のTC推移をグラフで示す図である。
【図9】現像器駆動時間基準補正のTC推移を横軸に枚数をとってグラフで示す図である。
【図10】現像装置駆動時間基準のTC推移をグラフで示す図である。
【図11】トナー消費量が多い場合の現像装置駆動時間基準によるTC推移をグラフで示す図である。
【図12】トナー消費量が少ない場合の現像装置駆動時間基準によるTC推移をグラフで示す図である。
【図13】第4の実施の形態でのボソツキランク推移をグラフで示す図である。
【図14】補正時の現像装置駆動速度変更時の補正に掛かった時間をグラフで示す図である。
【図15】トナー消費のタイミングによる一定枚出力に掛かった時間をグラフで示す図である。
【図16】動作させる対象の差による現像剤劣化(キャリア膜削れ量)の違いをグラフで示す図である。
【図17】画像濃度調整時及び位置合わせ時での補正の有無による通紙時間の違いをグラフで示す図である。
【図18】定着装置立ち上げ時間での補正の有無による補正に掛かる時間の違いをグラフで示す図である。
【符号の説明】
【0034】
20 タンデム画像形成部、40 ドラム状の感光体、60 帯電装置、61 現像装置、62 1次転写装置、66a 現像剤攪拌・搬送スクリュ、67a 現像剤攪拌・搬送スクリュ、68 現像剤担持体(現像スリーブ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアからなる2成分現像方式の画像形成方法において、作像開始に際して、現像装置駆動時間とトナー消費量を検知し、作像工程の際に現像装置駆動時間当たりのトナー消費量を表すαの値が一定範囲となるように、前記αが設定下限を下回った時はトナーを強制的に消費し、反対に前記αが設定上限を上回った時は現像装置を駆動し、現像剤を攪拌する制御を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記制御を定期的に行い、その間隔は一定現像装置駆動時間間隔で行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記制御を定期的に行い、その間隔はトナー消費量基準で行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記αの範囲として、適正なトナー濃度が得られる帯電量の値を基準として、帯電量の変動が±10μC/g以内となるαの範囲を用いることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記αの目標範囲の下限は、画像のボソツキが許容範囲となるように設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記制御において、前記現像装置を駆動させる補正を行う際に駆動速度を作像動作時よりも速くすることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記制御のためにトナー消費を行うトナー消費実施は、作像の間にパターンを作ることにより行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記制御の実施は、前記現像装置が複数存在する場合には、それぞれの現像装置において前記αを計算し、補正が入る条件の現像装置のみに対してトナー消費及び現像装置駆動を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記制御を、画像濃度調整時及び位置合わせ動作時と同時に行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項10】
トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いて画像形成を行う画像形成装置において、請求項1記載の画像形成方法における補正制御を、定着装置のウォームアップ時に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナーとキャリアからなる2成分現像方式の画像形成方法において、作像開始に際して、現像装置駆動時間とトナー消費量を検知し、作像工程の際に現像装置駆動時間当たりのトナー消費量を表すαの値が一定範囲となるように、前記αが設定下限を下回った時はトナーを強制的に消費し、反対に前記αが設定上限を上回った時は現像装置を駆動し、現像剤を攪拌する制御を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記制御を定期的に行い、その間隔は一定現像装置駆動時間間隔で行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記制御を定期的に行い、その間隔はトナー消費量基準で行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記αの範囲として、適正なトナー濃度が得られる帯電量の値を基準として、帯電量の変動が±10μC/g以内となるαの範囲を用いることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記αの目標範囲の下限は、画像のボソツキが許容範囲となるように設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記制御において、前記現像装置を駆動させる補正を行う際に駆動速度を作像動作時よりも速くすることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記制御のためにトナー消費を行うトナー消費実施は、作像の間にパターンを作ることにより行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記制御の実施は、前記現像装置が複数存在する場合には、それぞれの現像装置において前記αを計算し、補正が入る条件の現像装置のみに対してトナー消費及び現像装置駆動を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記制御を、画像濃度調整時及び位置合わせ動作時と同時に行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項10】
トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いて画像形成を行う画像形成装置において、請求項1記載の画像形成方法における補正制御を、定着装置のウォームアップ時に行うことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−3311(P2008−3311A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172701(P2006−172701)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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