説明

画像形成装置、印刷制御方法

【課題】簡単な構成で用紙のスミア汚れを防止できる画像形成装置を得る。
【解決手段】画像形成装置11は、給紙部14と排紙部15とに連続した搬送路13と、搬送路13に沿って用紙Sを搬送する搬送機構16と、搬送路13上を搬送される用紙Sに液を吐出する複数の液吐出ヘッドと、複数の液吐出ヘッドと排紙部15との間の位置に設けられるとともに、液が吐出された用紙Sの光沢度を測定するセンサと、液が吐出された直後の用紙Sの光沢度と、センサで測定された光沢度とを比較して液の乾燥時間を算出し、複数の液吐出ヘッドから排紙部15までの用紙Sの搬送時間が乾燥時間と等しくなるように搬送機構16の搬送速度を制御する制御機構20と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙のスミア汚れを防止した画像形成装置および印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本の特開2002−337319号公報に、用紙のいわゆるスミア汚れを防止したインクジェット記録装置が開示されている。このインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドと、用紙を排出位置に排出する排出手段と、用紙が先行する用紙に接触するまでの期間を決定する期間決定手段と、用紙の記録速度を制御する速度制御手段と、を備えている。
【0003】
このインクジェット記録装置では、期間決定手段が用紙上の記録比率を測定して用紙の搬送を停止する時間を決定する。さらに速度制御手段は、用紙の乾燥が完了するまで後続の用紙の記録動作を停止させ、乾燥が完了した後に記録動作を再開させる。こうして、インクの乾燥が完全でないまま先行する用紙に対して後続する用紙が擦れるように接触して発生する「スミア」が生ずることが防止する。
【0004】
しかしながら、用紙の乾燥のために必要な時間は、想定される使用環境の中で最も条件の悪い場合、つまり高湿環境を想定して決定される。このため、実際の使用環境においては、必要以上に長い乾燥時間を確保することとなり、その間ずっと記録動作を停止すると、印刷の完了までに長い時間を要することとなり改良の余地がある。
【0005】
また、日本の特開平8−52869号公報に、記録紙表面の反射率によってインクの乾燥の有無を判断する記録装置が開示されている。この記録装置は、記録ヘッドと、記録紙を搬送する搬送手段と、記録紙の表面状態を判別する表面状態判別手段と、表面状態判別手段による判別結果にもとづいて搬送手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0006】
この記録装置では、記録紙の後端付近に黒マークを印字する。そして、記録紙を搬送手段によって表面状態判別手段の下方に移動させる。表面状態判別手段は、記録紙の反射率を測定する。このとき、反射光の出力がある場合には、インクが乾燥していないと判断され、記録動作が停止される。反射光の出力がなくなってインクが乾燥していると判断された時点で記録紙を再び搬送して記録紙を排出し記録を終了する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−337319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この記録装置では、黒マークは、記録紙の後端に最後に印字されるため、記録紙の中で乾燥するのが一番遅くなる。このため、実際には記録紙が乾燥しているにもかかわらず記録動作を停止している場合があり、改良の余地がある。また、記録紙の後端部に必ず黒マークを印字する必要があり、記録紙の仕上がりの見栄えが悪くなる点においても改良の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で用紙のスミア汚れを防止できる画像形成装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る画像形成装置は、用紙の給紙部と排紙部とに連続した搬送路と、前記搬送路に沿って用紙を搬送する搬送機構と、前記搬送路上を搬送される前記用紙に液を吐出する複数の液吐出ヘッドと、前記複数の液吐出ヘッドと前記排紙部との間の位置に設けられるとともに、前記液が吐出された前記用紙の光沢度を測定するセンサと、前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度と、前記センサで測定された光沢度とを比較して前記液の乾燥時間を算出し、前記複数の液吐出ヘッドから前記排紙部までの前記用紙の搬送時間が前記乾燥時間と等しくなるように前記搬送機構の搬送速度を制御する制御機構と、を具備する。
【0010】
前記目的を達成するため、本発明の他の形態に係る画像形成装置は、用紙の給紙部と排紙部とに連続した搬送路と、前記搬送路に沿って用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送路上を搬送される前記用紙に液を吐出する複数の液吐出手段と、前記複数の液吐出手段と前記排紙部との間の位置に設けられるとともに、前記液が吐出された前記用紙の光沢度を測定する測定手段と、前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度と、前記測定手段で測定された光沢度とを比較して前記液の乾燥時間を算出し、前記複数の液吐出手段から前記排紙部までの前記用紙の搬送時間が前記乾燥時間と等しくなるように前記搬送手段の搬送速度を制御する制御手段と、を具備する。
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る印刷制御方法は、複数の液吐出手段により用紙上に液を吐出し、液が吐出された用紙を搬送手段により排紙部に向けて送り、測定手段により前記搬送手段で送られる前記用紙の光沢度を測定するとともに、制御手段により前記光沢度と液が吐出された直後の用紙の光沢度とを比較して前記液の乾燥時間を算出し、前記液吐出手段から前記排紙部までの前記用紙の搬送時間が前記乾燥時間と等しくなるように前記搬送手段を制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単な構成で用紙のスミア汚れを防止できる画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を参照して、この発明の画像形成装置について説明する。画像形成装置は、用紙に対して液を吐出して、用紙上に文字や画像を形成することができる。
【0014】
図1と図2に示すように、画像形成装置11は、用紙Sに液滴を吐出する液吐出ヘッド(液吐出手段)の一例であるインクジェットヘッド12と、用紙Sが送られる搬送路13と、搬送路13に用紙Sを供給する給紙部14と、画像が形成された用紙Sを搬送路13から回収する排紙部15と、搬送路13上で用紙Sを搬送方向Fに送る搬送手段である搬送機構16と、搬送路13上を搬送される用紙Sの光沢度を検出する第1のセンサ17および第2のセンサ18と、第2のセンサ18を搬送路13の幅方向に移動させる移動機構19と、これらを統括的に制御する制御手段である制御機構20と、を具備している。搬送路13は、給紙部14と排紙部15とに連続している。
【0015】
インクジェットヘッド12は、搬送機構16で搬送される用紙Sに対して液滴、つまりインク滴を吐出することができる。インクジェットヘッド12は、図2に示すように、搬送路13の幅方向全域に亘るいわゆるラインヘッドである。インクジェットヘッド12は、インクを吐出するための図示しない複数のノズルを有している。インクジェットヘッド12は、例えば、駆動素子として機能するPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)製の圧電素子を有している。圧電素子に電圧を印加すると、圧電素子は変形してノズルに対応する圧力室の内部の圧力を増加させる。これによって、ノズルから用紙Sに向かって、液滴が吐出される。
【0016】
図1に示すように、搬送機構16は、用紙Sを搬送方向Fに沿って送るための複数の駆動ローラ16Aを有している。制御機構20は、例えば、CPU、ROM、RAM、およびこれらを接続する内部バスなどを具備しており、画像形成装置11の各部を制御するコンピュータ機能を有している。
【0017】
第1のセンサ17および第2のセンサ18は、光学式のセンサであり、用紙表面の光沢度(反射率)を測定することができる。第1のセンサ17は、給紙部14とインクジェットヘッド12との間の位置で、搬送路13に対向するように設けられている。第2のセンサ18は、排紙部15とインクジェットヘッド12との間の位置で、搬送路13に対向するように設けられている。
【0018】
第1のセンサ17および第2のセンサ18は、LEDなどで構成される発光素子と、フォトトランジスタなどで構成される受光素子と、をそれぞれ含んでいる。
【0019】
図2に示すように、移動機構19は、用紙Sが搬送される搬送方向Fと直交する搬送路13の幅方向に第2のセンサ18を移動させることができる。移動機構19は、駆動源となるステッピングモータ23と、ステッピングモータ23の駆動力が伝達される第1のプーリ24、ベルト25、および第2のプーリ26と、を有している。
【0020】
ところで、上記したインクジェットヘッド12から吐出されるインクは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色が用意されている。ブラックインクは、例えば、以下のような組成である。
【0021】
自己分散型カーボンブラック分散液
(カーボンブラック固形分濃度) 8.0重量%
グリセリン 30.0重量%
エチレングリコールモノブチルエーテル 0.5重量%
サーフィノール465 1.0重量%
プロキセルXL−2(S) 0.2重量%
イオン交換水 残量
また、イエローインクは、例えば、以下のような組成である。
【0022】
自己分散型イエロー分散液
(イエロー顔料固形分濃度) 6.0重量%
グリセリン 45.0重量%
エチレングリコールモノブチルエーテル 5.0重量%
サーフィノール465 1.0重量%
プロキセルXL−2(S) 0.2重量%
イオン交換水 残量
マゼンタインクは、例えば、以下のような組成である。
【0023】
高分子分散剤分散型マゼンタ分散液
(マゼンタ顔料固形分濃度) 6.0重量%
グリセリン 45.0重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0重量%
サーフィノール465 1.0重量%
プロキセルXL−2(S) 0.2重量%
イオン交換水 残量
シアンインクは、例えば、以下のような組成である。
【0024】
高分子分散剤分散型シアン分散液
(シアン顔料固形分濃度) 6.0重量%
グリセリン 45.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0重量%
サーフィノール465 1.0重量%
プロキセルXL−2(S) 0.2重量%
イオン交換水 残量
続いて、この画像形成装置11で用紙Sに画像を形成する際の各工程について説明する。まず、搬送機構16で搬送される用紙Sに対してインクジェットヘッド12によって画像が形成される前に、第1のセンサ17によって、用紙Sの光沢度が測定される。第1のセンサ17によって測定された光沢度は、続く第2のセンサ18で測定する際の基準値、つまりベースラインとなる。続いて、インクジェットヘッド12に対向する位置に用紙Sが搬送されると、用紙Sに対してインクジェットヘッド12からインクが吐出される。これによって用紙Sに画像が形成される。
【0025】
用紙Sが第2のセンサ18に対向する位置に搬送されると、制御機構20は、図3に示すように、これと同期して第2のセンサ18を移動させるように移動機構19を駆動する。移動機構19は、ステッピングモータ23の駆動によって、用紙S上で記録密度(印字率)が高い領域Hに第2のセンサ18を移動させる。なお、制御機構20は、用紙Sに形成する画像情報から記録密度の情報を予め取得しており、この情報から用紙S上で記録密度が高い領域Hを認識する。
【0026】
第2のセンサ18は、用紙S上で、記録密度の高い領域Hの光沢度を測定する。この用紙Sの光沢度は、用紙S上に吐出されたインクが乾燥するにつれて低くなるので、経過時間に比例して用紙Sの光沢度の値は低くなる。そして、制御機構20は、第2のセンサ18で測定された用紙Sの光沢度と、予め測定しておいたインクを吐出した直後の用紙Sの光沢度と、を比較する。そして、図4に示す原理で、光沢度の低下率から光沢度を示す直線の傾きを算出する。そして、この直線を延長して光沢度の値がベースラインになる時間L2、つまり用紙Sが完全に乾燥する時間を計算する。
【0027】
図4を参照して、この時間L2の算出方法について具体的に説明する。図4では、インクジェットヘッド12から第2のセンサ18まで用紙Sが搬送されるのにかかる時間をL1、インクジェットヘッド12から排紙部15にまで用紙Sが搬送されるのにかかる時間をL2、インクを吐出した直後の地点Aにある用紙の光沢度の出力をA、第2のセンサ18に対向する地点Cにおいて第2のセンサ18で測定された用紙Sの光沢度の出力をC、排紙部15に対応する位置を地点B、第1のセンサ17で測定された用紙Sの光沢度のベースラインの出力をBとしている。なお、Aの値は、用紙Sの種類ごとに、予め測定されたものを制御機構20が記憶している。
【0028】
ここで、図4に示されるような1次関数の一般式は、
【数1】

【0029】
で示される。このとき、AとCとを結ぶ直線の傾きは、
【数2】

【0030】
であり、光沢度の測定によって定数として求めることができる。
【0031】
AとCとを結ぶ直線は、
【数3】

【0032】
となる。ここで、地点Bにおいて、光沢度がB以下になる(インクが完全に乾燥する)ときの時間、つまりL2を求めるので、座標B(L2,B)を上記式に代入して、
【数4】

【0033】
これをL2について解くと、
【数5】

【0034】
として時間L2を求めることができる。
【0035】
制御機構20は、用紙Sがインクジェットヘッド12から排紙部15に至るまでの時間が、用紙S上のインクが完全に乾燥するまでの時間、つまりL2になるように、搬送機構16の用紙搬送速度を制御する。制御機構20は、タイマー機能を有しており、用紙Sが排紙部15に到達する時間が早すぎる場合には、用紙Sの搬送速度(印刷速度)を通常の搬送速度よりも遅くして、用紙Sが排紙部15に到着する時間を調整する。このような制御を行うことによって、用紙Sが排紙部15に到着する時点で用紙S上のインクは完全に乾燥する。このため、排紙部15において他の用紙の上に重ねられる場合にも、この用紙Sのインクによって、他の用紙を汚してしまうことが防止される。
【0036】
本実施形態によれば、画像形成装置11は、給紙部14と排紙部15とに連続した搬送路13と、搬送路13に沿って用紙Sを搬送する搬送機構16と、搬送路13上を搬送される用紙Sに液を吐出する複数の液吐出ヘッドと、複数の液吐出ヘッドと排紙部15との間の位置に設けられるとともに、液が吐出された用紙Sの光沢度を測定するセンサと、液が吐出された直後の用紙Sの光沢度と、センサで測定された光沢度とを比較して液の乾燥時間を算出し、複数の液吐出ヘッドから排紙部15までの用紙Sの搬送時間が乾燥時間と等しくなるように搬送機構16の搬送速度を制御する制御機構20と、を具備する。
【0037】
また、本実施形態の印刷制御方法では、複数の液吐出手段により用紙S上に液を吐出し、液が吐出された用紙Sを搬送手段により排紙部15に向けて送り、測定手段により搬送手段で送られる用紙Sの光沢度を測定するとともに、制御手段により光沢度と液が吐出された直後の用紙の光沢度とを比較して液の乾燥時間を算出し、液吐出手段から排紙部15までの用紙Sの搬送時間が乾燥時間と等しくなるように搬送手段を制御する。
【0038】
これらの構成によれば、制御機構20(制御手段)は、光沢度の変化率から、用紙上のインクが乾燥する時間を予測する。このため、用紙S上のインクが完全に乾燥した状態で排紙部15に排紙され、用紙S上の未乾燥のインクによって排紙部15にある他の用紙を汚してしまうことが防止される。また、液吐出ヘッドから排紙部15まで用紙Sが運ばれる時間が、用紙S上のインクが乾燥する時間と等しくなるようにしているため、印刷動作を必要以上に遅延させることがなく、従来の画像形成装置に比して印刷速度の向上を図ることができる。なお、本実施形態では、用紙Sの片面に印刷を施す場合を例に説明したが、用紙Sの両面に印刷を施す場合にも特に有用である。
【0039】
この場合、画像形成装置11は、センサを用紙Sが搬送される搬送方向Fと直交する搬送路の幅方向に移動させる移動機構19を具備し、センサは、用紙S上の記録密度の高い領域Hで光沢度を測定する。この構成によれば、用紙S上で最も乾燥がしにくい箇所について乾燥時間を算出できるため、インクの乾燥が不十分なまま排紙部15に用紙Sが排紙され、他の用紙を汚してしまうことを防止することができる。
【0040】
続いて、図5を参照して、画像形成装置の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の画像形成装置31は、インクジェットヘッド32の数が第1の実施形態と異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図5に示すように、画像形成装置31は、フルカラー印刷に対応しており、4個のインクジェットヘッド32を備えている。この4個のインクジェットヘッド32は、搬送方向の上流側からそれぞれ、シアンに対応する第1のインクジェットヘッド32A、マゼンタに対応する第2のインクジェットヘッド32B、イエローに対応する第3のインクジェットヘッド32C、ブラックに対応する第4のインクジェットヘッド32D、を含んでいる。つまり、4個のインクジェットヘッド32は、用紙Sが搬送される搬送方向Fに沿って並んで配置されている。各インクジェットヘッド32は、搬送路13の幅方向全域に亘るいわゆるラインヘッドである。
【0042】
続いて、図5を参照して、第2の実施形態の画像形成装置31で用紙に画像を形成する際の各工程について説明する。まず、搬送機構16で搬送される用紙Sに対してインクジェットヘッド32によって画像が形成される前に、第1のセンサ17によって、用紙Sの光沢度が測定される。第1のセンサ17によって測定された光沢度は、続く第2のセンサ18で測定する際の基準値、つまりベースラインとなる。続いて、4個のインクジェットヘッド32に対向する位置に用紙Sが搬送されると、用紙Sに対して4個のインクジェットヘッド32からインクが吐出される。これによって用紙Sに画像が形成される。
【0043】
用紙Sが第2のセンサ18に対向する位置に搬送されると、制御機構20は、これに同期して第2のセンサ18を移動するように移動機構19を駆動する。移動機構19は、ステッピングモータ23の駆動によって、用紙S上で記録密度(印字率)が高い領域に第2のセンサ18を移動させる。このとき、第2のセンサ18は、最も下流位置にある第4のインクジェットヘッド32Dによって形成された画像のうち、最も記録密度が高い領域Hに移動する。第2のセンサ18は、用紙S上のこの部分で光沢度を測定する。以後は、第1の実施形態と同様の計算で用紙Sが乾燥する時間を算出する。
【0044】
制御機構20は、用紙Sがインクジェットヘッド32から排紙部15に至るまでの時間が、第4のインクジェットヘッド32Dから吐出されたインクが完全に乾燥するまでの時間と等しくなるように、搬送機構16の用紙搬送速度を制御する。こうして、排紙部15において他の用紙の上に重ねられる際に、この用紙Sのインクによって他の用紙を汚してしまうことが防止される。
【0045】
第2の実施形態によれば、複数の液吐出ヘッドは、用紙Sが搬送される搬送方向Fに沿って並んで配置されており、センサは、搬送方向Fの最も下流位置に配置される液吐出ヘッドにより形成された画像のうち、記録密度の高い領域で光沢度を測定する。
【0046】
この構成によれば、最後に印刷された画像に関して光沢度を測定することができる。これによって、最後に印刷されることで乾燥時間が他の部分に比して短くなる箇所についても、十分な乾燥時間を確保することができる。これによって、未乾燥のまま用紙Sが排紙部15に排紙され、他の用紙を汚してしまうことを防止することができる。また、このとき、最後に印刷された画像のうち、記録密度の高い領域Hで光沢度を測定するようにしているため、最後に印刷された画像のうち、乾燥がしにくい箇所について光沢度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置を示す側面模式図。
【図2】図1に示す画像形成装置を上方向から示す上面模式図。
【図3】図2に示す画像形成装置において、第2のセンサが移動した状態を示す上面模式図。
【図4】図1に示す画像形成装置において用紙の乾燥時間を算出する原理を示すグラフ。
【図5】第2の実施形態に係る画像形成装置を示す上面模式図。
【符号の説明】
【0048】
S…用紙、H…高い領域、F…搬送方向、11…画像形成装置、12…インクジェットヘッド、13…搬送路、14…給紙部、15…排紙部、16…搬送機構、17…第1のセンサ、18…第2のセンサ、19…移動機構、20…制御機構、31…画像形成装置、32A…第1のインクジェットヘッド、32B…第2のインクジェットヘッド、32C…第3のインクジェットヘッド、32D…第4のインクジェットヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部と排紙部とに連続した搬送路と、
前記搬送路に沿って用紙を搬送する搬送機構と、
前記搬送路上を搬送される前記用紙に液を吐出する複数の液吐出ヘッドと、
前記複数の液吐出ヘッドと前記排紙部との間の位置に設けられるとともに、前記液が吐出された前記用紙の光沢度を測定するセンサと、
前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度と、前記センサで測定された光沢度とを比較して前記液の乾燥時間を算出し、前記複数の液吐出ヘッドから前記排紙部までの前記用紙の搬送時間が前記乾燥時間と等しくなるように前記搬送機構の搬送速度を制御する制御機構と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記センサを前記用紙が搬送される搬送方向と直交する前記搬送路の幅方向に移動させる移動機構を具備し、
前記センサは、前記用紙上の記録密度の高い領域で光沢度を測定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の液吐出ヘッドは、前記用紙が搬送される搬送方向に沿って並んで配置されており、
前記センサは、前記搬送方向の最も下流位置に配置される前記液吐出ヘッドにより形成された画像のうち、記録密度の高い領域で光沢度を測定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度は、予め用紙の種類ごとに測定されており、
前記制御機構は、予め測定された、前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度を記憶していることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御機構は、前記用紙上のインクが乾燥する時間を予測することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御機構は、前記用紙に形成する画像情報から記録密度の情報を予め取得して、前記記録密度が高い領域を認識することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度は、予め用紙の種類ごとに測定されており、
前記制御機構は、予め測定された、前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度を記憶していることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御機構は、前記用紙上のインクが乾燥する時間を予測することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
給紙部と排紙部とに連続した搬送路と、
前記搬送路に沿って用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送路上を搬送される前記用紙に液を吐出する複数の液吐出手段と、
前記複数の液吐出手段と前記排紙部との間の位置に設けられるとともに、前記液が吐出された前記用紙の光沢度を測定する測定手段と、
前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度と、前記測定手段で測定された光沢度とを比較して前記液の乾燥時間を算出し、前記複数の液吐出手段から前記排紙部までの前記用紙の搬送時間が前記乾燥時間と等しくなるように前記搬送手段の搬送速度を制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記センサを前記用紙が搬送される搬送方向と直交する前記搬送路の幅方向に移動させる移動手段を具備し、
前記測定手段は、前記用紙上の記録密度の高い領域で光沢度を測定することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記複数の液吐出手段は、前記用紙が搬送される搬送方向に沿って並んで配置されており、
前記測定手段は、前記搬送方向の最も下流位置に配置される前記液吐出手段により形成された画像のうち、記録密度の高い領域で光沢度を測定することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度は、予め用紙の種類ごとに測定されており、
前記制御手段は、予め測定された、前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度を記憶していることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記用紙上のインクが乾燥する時間を予測することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記用紙に形成する画像情報から記録密度の情報を予め取得して、前記記録密度が高い領域を認識することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度は、予め用紙の種類ごとに測定されており、
前記制御手段は、予め測定された、前記液が吐出された直後の前記用紙の光沢度を記憶していることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記用紙上のインクが乾燥する時間を予測することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
複数の液吐出手段により用紙上に液を吐出し、液が吐出された用紙を排紙部に向けて送り、送られる前記用紙の光沢度を測定するとともに、前記光沢度と液が吐出された直後の用紙の光沢度とを比較して前記液の乾燥時間を算出し、前記液吐出手段から前記排紙部までの前記用紙の搬送時間が前記乾燥時間と等しくなるように制御することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項18】
前記用紙の記録密度の高い領域で光沢度を測定することを特徴とする請求項17に記載の印刷制御方法。
【請求項19】
前記複数の液吐出手段のうち、前記用紙が搬送される搬送方向の最も下流に配置された液吐出手段により形成された画像のうち、記録密度の高い領域で光沢度を測定することを特徴とする請求項18に記載の印刷制御方法。
【請求項20】
前記用紙に形成する画像情報から記録密度の情報を予め取得して、前記記録密度が高い領域を認識することを特徴とする請求項18に記載の印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−83490(P2009−83490A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248417(P2008−248417)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】