画像形成装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラム
【課題】画像処理における処理量を削減し、画像処理の高速化に貢献することが可能な画像形成装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手段を有し、前記γ合成処理手段は、前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手段と、前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手段と、を有する。
【解決手段】画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手段を有し、前記γ合成処理手段は、前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手段と、前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、画像形成装置の多機能化が進んでいる。例えば近年の画像形成装置は、両面同時読み取り機能、省エネルギーモードでの動作、CMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の4色よりも多い色に対応した画像処理等の機能を有する。このような画像処理を実行する際は、画像処理制御ソフトを複数のタスクに分け、決められた時間やタスクごとの優先順位に従って処理を切り替える。
【0003】
この画像処理には、膨大な数の計算が必要な処理が含まれるため、演算処理装置は数秒毎に割り当てられる処理を切り替えながら実行する。1つの処理を実行するためには、演算処理装置を長時間占有するよりも、処理を数秒単位に分割して単位ごとに実行した方が効率的に演算処理装置を使用することができ、処理を高速化できる。
【0004】
また画像処理をさらに高速化させる方法として、画像処理を行う際の各種パラメータを前回の処理に用いたパラメータと比較し、差分があった場合にのみ再計算を行う差分管理が知られている。例えば特許文献1には、色補正処理の処理時間短縮させることを目的で、使用者設定情報で差分比較して処理時間短縮することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の差分管理では、差分が発生した場合には要求される画像処理を全て行うため、差分が発生した場合の画像処理の高速化に対する貢献度が低い。さらに、ここで要求される画像処理は、コピーや印刷等の指示により記録紙が給紙トレイから画像形成部に到達するまでの間に実行される必要がある。この間に画像処理の実行が完了しない場合、遅延が蓄積し、複数枚目の印刷においてジャムを起こすという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされてものであり、画像処理における処理量を削減し、画像処理の高速化に貢献することが可能な画像処理制御装置、画像形成装置及び画像処理制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成すべく、以下の如き構成を採用した。
【0008】
本発明は、画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置であって、前記画像処理制御手段は、当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手段を有し、前記γ合成処理手段は、前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手段と、前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手段と、を有する。
【0009】
また本発明の画像形成装置において、前記計算判断手段は、前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されており、且つ前記変更が全ての色版に影響を及ぼす変更であった場合に、前記全ての色版に対して前記複数のγデータの合成処理を行うものと判断し、前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されており、且つ前記変更が特定の色版にのみ影響を及ぼす変更であった場合に、前記特定の色版に対して前記複数のγデータの合成処理を行うものと判断する。
【0010】
また本発明の画像形成装置は、前記計算手段による計算結果を記憶領域に保存する設定保存手段と、前記計算結果が保存された前記記憶領域のアドレスを前記γ合成処理手段に設定するパラメータ設定手段と、を有する。
【0011】
また本発明の画像形成装置は、前記計算判断手段により、前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されていないと判断されたとき、前記設定保存手段は、前記記憶領域に前記計算判断手段による判断結果を示す値を保存する。
【0012】
また本発明の画像形成装置において、前記計算手段は、前記設定の変更により前記複数のγデータが更新要求を受けたとき、前記設定の変更に基づき前記複数のγデータのうち一部のγデータの合成処理を前記色版毎に実行し、計算結果を保持する。
【0013】
また本発明の画像形成装置において、前記計算手段は、前記γデータの合成処理を行うとき、保持された前記計算結果と、前記複数のγデータにおいて前記一部のγデータ以外のγデータとの合成処理を実行する。
【0014】
本発明は、画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置により画像処理制御方法であって、当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手順を有し、前記γ合成処理手順において、前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手順と、前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手順と、を有する。
【0015】
本発明は、画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置において実行される画像処理制御プログラムであって、前記画像処理制御手段に、当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理ステップを実行させ、前記γ合成処理ステップは、前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断ステップと、前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像処理において実行される処理量を削減し、画像処理の高速化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】第一の実施形態の画像形成装置における画像処理を説明するための図である。
【図3】合成要素の値を変える要因の区分について説明する図である。
【図4】第一の実施形態の適応γ処理部を説明する図である。
【図5】第一の実施形態の適応γ処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図6】第二の実施形態の適応γ処理部を説明する図である。
【図7】第二の実施形態のパラメータ計算部による中間データの計算について説明する図である。
【図8】中間データを保持していた場合の画像形成要求を受けたときのγ合成処理を説明する図である。
【図9】パラメータ更新要求を受けた場合のγ合成の計算処理を説明するフローチャートである。
【図10】予めγ合成された中間データの一例を示す図である。
【図11】第二の実施形態における中間データの最適化を説明する図である。
【図12】第二の実施形態の適応γ処理部の動作を説明する第一の図である。
【図13】第二の実施形態の適応γ処理部の動作を説明する第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明では、カラー印刷の際の画像処理におけるγ合成処理に係る処理量を低減することで、画像処理の高速化に貢献する。
【0019】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0020】
画像形成装置100は、それぞれバスBで相互に接続されているスキャン装置11、プロッタ装置12、ドライバ13、HDD(Hard disk drive)14、メモリ装置15、演算処理装置(Central Processing Unit)16、インターフェース装置17、操作パネル18で構成される。
【0021】
スキャン装置11はスキャナ、スキャナエンジン、エンジン制御部等で構成され、原稿をスキャンして文書データとするために用いられる。プロッタ装置12はプロッタ、プロッタエンジン、エンジン制御部等で構成され、文書データを印刷するために用いられる。操作パネル18は、表示機能を有するタッチパネル等で実現され、画像形成装置100を操作するための操作画面が表示される。また操作パネル18は、画像形成装置100による処理の進捗の案内画面等が表示される。
【0022】
インターフェース装置17は、モデム、LAN(Local Area Network)カードなどで構成されており、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0023】
本発明の画像処理制御プログラムは、画像形成装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。画像処理制御プログラムは例えば記録媒体19の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。画像処理制御プログラムを記録した記録媒体19は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0024】
また、画像処理制御プログラムを記録した記録媒体19がドライバ13にセットされると、画像処理制御プログラムは記録媒体19からドライバ13を介してHDD14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた画像処理制御プログラムは、インターフェース装置17を介してHDD14にインストールされる。
【0025】
HDD14は、インストールされた画像処理制御プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、コンピュータの起動時にHDD14から画像処理制御プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納された画像処理制御プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0026】
以下に、本実施形態の画像形成装置の説明に先立ち、画像形成装置100で実行される画像処理について説明する。
【0027】
本実施形態の画像形成装置では、画像処理に含まれるγデータの合成処理の処理量を低減させる。図2は、第一の実施形態の画像形成装置における画像処理を説明するための図である。図2(A)は、画像処理制御部を説明する図であり、図2(B)はγ合成処理を説明する図である。
【0028】
本実施形態の画像形成装置100では、例えば画像データ等が格納されたメモリ装置15から画像データを読み出して、画像処理制御部200へ渡す。画像処理制御部200は、この画像データに画像処理を施し、プロッタ装置12へ渡す。プロッタ装置12は、画像処理が施された画像データに基づき、画像を出力する。
【0029】
本実施形態の画像処理制御部200は、適応γ処理部210と階調処理部220とを有する。本実施形態の適応γ処理部210は、画像データに対するγ合成処理と後処理とを行う。本実施形態の後処理とは、例えばγ合成処理の結果作り出されるγデータに対して行う処理であり、地肌除去、単調増加、平滑化処理等がある。階調処理部220は、適応γ処理部210から出力された画像データに階調処理を施す。
【0030】
以下に本実施形態の適応γ処理について説明する。
【0031】
適応γ処理では、γ合成処理に用いられるパラメータとなる複数の合成要素(γデータ)を合成し、後処理を行う。図2(B)では、複数の合成要素の一例として、合成要素A〜Gを示す。複数の合成要素A〜Gは、画像形成装置100が対応可能な色の色版毎に、通常の文字印刷に対応したものと、写真印刷に対応したものとがそれぞれ設けられている。例えば画像形成装置100がCMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の4色に対応した装置である場合、C版、M版、Y版、K版をそれぞれ形成するための各色毎の画像データに対して適応γ処理が施される。
【0032】
合成要素A〜Gのうち、合成要素A〜E、Gは、メモリ装置15のROM領域に格納されており、合成要素Fはメモリ装置15のRAM領域格納されている。合成要素A〜Gは、画像形成装置100の各種設定によって値が変化するものである。例えば合成要素A、Bはユーザ設定により値が変わる。また合成要素C、D、E、Gは、画像形成装置100の管理者モードの設定(以下、特定ユーザ設定と呼ぶ。以下の図面では、特定ユーザ設定を)SPと示す。)によって値が変わる。また合成要素Fは、ACC(オートカラーキャリブレーション)自動調整の設定の有無によって値が変わる。すなわち適応γ処理では、各種設定の変更が合成要素の値を変える要因となる。本実施形態では、合成要素の値を変える要因となる設定の変更を差分と呼ぶ。
【0033】
本実施形態では、合成要素の値を変える要因を区分して区分毎に差分が存在するか否かを判断し、差分が存在する場合は差分に対応したγ合成処理を行うことで、印刷時に常にγ合成処理を行うことを回避でき、適応γ処理部210の処理量を減らすことができる。
【0034】
以下に、図3を参照して合成要素の値を変える要因の区分について説明する。図3は、合成要素の値を変える要因の区分について説明する図である。
【0035】
本実施形態では、変更があった場合に全ての色版に影響が及ぶ要因と、変更があった場合に特定の色版のみに影響が及ぶ要因と、に区分されている。
【0036】
例えば全ての色版に影響が及ぶ要因とは、ACC自動調整の実行の有無、特定ユーザ設定の変更である。特定ユーザ設定の変更とは、例えば合成要素の並び順を決める設定の変更等である。またユーザ設定の変更でも、例えば出力設定が通常の印刷モードから写真モードへ変更されたり、モノクロモードからカラーモードへ変更された場合に全ての色版に影響が及ぶ要因となる。
【0037】
特定の色版のみに影響が及ぶ要因とは、例えば特定ユーザ設定に含まれる合成要素のバリエーションの変更等がある。
【0038】
本実施形態の画像処理制御部200において、適応γ処理部210は、要因の区分に基づきどの色版に対してγ合成の再計算を行うか判断する。したがって本実施形態の適応γ処理部210は、画像処理を行う際に前回の設定と比較して差分があった場合でも、再計算する項目を削減することができる。
【0039】
以下に図4を参照して本実施形態の適応γ処理部210の詳細について説明する。図4は、第一の実施形態の適応γ処理部を説明する図である。
【0040】
本実施形態の適応γ処理部210は、計算判断部211、パラメータ計算部212、設定保存部213、パラメータ設定部214を有する。
【0041】
計算判断部211は、合成要素の値を変える要因に基づきγ合成の再計算が必要か否かを判断する。また本実施形態の計算判断部211は、γ合成の再計算が必要な色版を判断する。パラメータ計算部212は、γ合成の計算を行う。設定保存部213は、パラメータ計算部212による計算結果を保存する。パラメータ設定部214は、設定保存部213により保存された計算結果を適応γ処理部210へ設定する。
【0042】
以下に、図5を参照して本実施形態の適応γ処理部210による処理について説明する。図5は、第一の実施形態の適応γ処理部の処理を説明するフローチャートである。
【0043】
本実施形態の画像形成装置100において、画像処理が開始されると、適応γ処理部210は、計算判断部211により、ACC自動調整の実行の有無について判断する(ステップS501)。ACC自動調整が実行された場合、全ての色版に影響が及ぶ要因となる。よって計算判断部211は全色版についてγ合成の再計算を行うものと判断し、後述するステップS503へ進む。
【0044】
ステップS501においてACC自動調整が実行されていない場合、計算判断部211は、その他に全ての色版に影響が及ぶ要因に差分が存在するか否かを判断する(ステップS502)。すなわち計算判断部211は、全ての色版に影響が及ぶ設定の変更がなされたか否かを判断する。
【0045】
ステップS502において、全ての色版に影響が及ぶ要因に差分が存在する場合、パラメータ計算部212は、全色版のγ合成の再計算を行う(ステップS503)。続いて設定保存部213は、パラメータ計算部212による計算結果を保存する(ステップS504)。尚本実施形態の適応γ処理部210には、計算結果を保存するためのヒープ領域が設けられている。
【0046】
続いてパラメータ設定部214は、設定保存部213により計算結果が保存されたヒープ領域のアドレスを設定する(ステップS505)。本実施形態において、パラメータを計算した場合、画像処理制御部200へこのパラメータを設定する必要となる。したがって本実施形態では、画像処理制御部200での設定時に参照されるポインタに対し、計算結果が保存された領域のアドレスを設定する。
【0047】
続いて計算判断部211は、差分管理情報を適応γ処理部210の有する記憶領域へ保存し(ステップS506)、処理を終了する。尚差分管理情報とは、画像形成装置100のユーザの設定情報、特定ユーザの設定情報を今回設定された内容に更新した情報である。また差分管理情報に含まれるACC自動調整の実行については「無」として更新する。
【0048】
ステップS502において、全ての色版に影響が及ぶ要因に差分が存在しない場合、すなわち全ての色版に影響が及ぶ設定には変更がない場合、計算判断部211は、後述するステップS508〜ステップS514までの処理を全色版について行ったか否かを判断する(ステップS507)。
【0049】
ステップS507において全色版に対する処理が終了している場合は、ステップS506へ進み処理を終了する。
【0050】
ステップS507において全色版に対する処理が終了していない場合、計算判断部211は、特定の色版のみに影響が及ぶ要因に差分が存在するか否かを判断する(ステップS508)。すなわち計算判断部211は、特定の色版のみに影響する設定の変更があったか否かを判断する。
【0051】
ステップS508において差分がある場合、パラメータ計算部212は、差分の存在する色版のγ合成の再計算を行う(ステップS509)。ステップS510とステップS511は、ステップS504とステップS505の処理と同様であるから説明を省略する。
【0052】
ステップS508において差分がない場合、再計算は不要となる。そこでパラメータ設定部214は、計算結果が保存された領域のアドレスが設定されているか否かを判断する(ステップS512)。
【0053】
ステップS512においてアドレスが設定されている場合、差分が存在しないため再計算が不要となるため、アドレスの示す領域にNULL(=0)を設定し(ステップS513)、ステップS507へ戻る。本実施形態では、アドレスの示す領域に計算結果ではなくNULLを設定することにより、画像処理制御部200が所定のアドレスを参照した際に画像処理制御部200に再計算不要と判断させる。
【0054】
ステップS512においてアドレスが設定されていない場合、パラメータ設定部214は計算結果を保存する領域のアドレスを設定し(ステップS514)、ステップS507へ戻る。尚差分がなくアドレスが設定されていない場合とは、例えば画像形成装置100が計算結果を保存する前にジャム等により予期せぬ動作停止を起こした場合等である。
【0055】
尚本実施形態では、パラメータ設定部214がアドレスを設定した後に、計算判断部211にその旨を通知しても良い。計算判断部211は、この通知結果を次回以降の再計算を行うか否かの判断に用いても良い。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態によれば、前回の画像処理の際の設定に変更があった場合に、変更の内容によって必要な色版のみγ合成の再計算を行う。したがって本実施形態によれば、画像処理における処理量を削減し、画像処理の高速化に貢献することができる。
【0057】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態では、変更の少ない合成要素を予めγ合成しておき、その計算結果を中間データとして保持しておく点が第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0058】
図6は、第二の実施形態の適応γ処理部を説明する図である。本実施形態の画像処理制御部200において、適応γ処理部210はパラメータの更新要求を受けた場合、予めγ合成を行い、その結果を中間データとして保持しておく。本実施形態では、通常の使用においては差分が生じることが少ない要因に差分が生じたとき、この差分により値が変更される合成要素のみのγ合成を予め行い、計算結果を中間データとして保持する。差分が生じることが少ない要因とは、例えばACC自動調整の実行により生じる差分、特定ユーザ設定の変更により生じる差分等である。本実施形態では、ユーザ設定の変更により生じる差分は、画像形成要求が成される度に生じる可能性があるため、予めγ合成する合成要素としない。
【0059】
本実施形態では、この構成により、画像形成要求がなされてから画像形成開始までの間に実行すべきγ合成処理の処理量を低減し、処理時間を短縮できる。
【0060】
以下に図7を参照して本実施形態のパラメータ計算部212による中間データ60の計算について説明する。図7は、第二の実施形態のパラメータ計算部による中間データの計算について説明する図である。図7では、文字印刷時のC版を例とした。
【0061】
図7に示すC版では、合成要素A〜Gが設けられている。合成要素A〜Fのうち、ACC自動調整の実行により変更される合成要素は合成要素Fであり、特定ユーザ設定により変更される合成要素は合成要素C〜E、Gである。
【0062】
本実施形態のパラメータ計算部212は、例えばACC自動調整が実行された場合や特定ユーザ設定が変更された場合に、パラメータ更新要求を受ける。パラメータ計算部212は、合成要素Fと合成要素C〜E、Gとを予め合成して合成要素CDEFGとし、合成要素CDEFGを中間データとして保持しておく。尚ACC自動調整や特定ユーザ設定の変更は、任意のタイミングで行われるものであって良い。また合成要素CDEFGは、例えばメモリ装置15に含まれるRAM領域へ記憶されることが好ましい。
【0063】
尚図7では、文字印刷時のC版を例としたが、本実施形態のパラメータ計算部212は、パラメータ更新要求を受けると、文字印刷時の各色版毎にγ合成を実行し、その結果を中間データとして保持する。またパラメータ計算部212は、写真印刷時の各色版についても同様にγ合成を行い、その結果を中間データ60として保持する。
【0064】
本実施形態では、合成要素の一部を予め合成して中間データ60を保持していれば、画像形成要求を受けたときのγ合成処理の処理量を低減できる。図8は、中間データを保持していた場合の画像形成要求を受けたときのγ合成処理を説明する図である。
【0065】
図8の例では、合成要素CDEFGが中間データ60として保持された状態を示している。中間データ60が保持された状態でコピーや印刷等の画像形成要求を受けた場合、適応γ処理部210は、合成要素Aと合成要素Bと中間データ60である合成要素CDEFGとをγ合成すれば良い。したがって適応γ処理部210におけるγ合成処理の処理量が低減する。本実施形態の適応γ処理部210は、γ合成処理の結果に後処理を行った結果を合成結果として保持しても良い。合成結果を保持することで、2枚目の画像形成からこの合成結果を用いることができる。
【0066】
以下に、図9を参照してパラメータ計算部212がパラメータ更新要求を受けた場合のγ合成の計算処理について説明する。図9は、パラメータ更新要求を受けた場合のγ合成の計算処理を説明するフローチャートである。図9では、ACC自動調整が実行されたことにより、パラメータ更新要求を受けた場合の処理を示している。
【0067】
本実施形態では、ACC自動調整の実行により値が変更される合成要素Fと隣り合っており、且つ特定ユーザ設定の変更により値が変更される合成要素を、予め合成要素Fと合成する。
【0068】
本実施形態においてACC自動調整が実行されると、パラメータ計算部211は合成要素F′を生成する(ステップS901)。続いてパラメータ計算部211は、合成要素の並び順を指定している特定ユーザ設定を参照する(ステップS902)。続いてパラメータ計算部212は、合成要素の並び順に基づき、特定ユーザ設定の変更により値が変更される合成要素が合成要素F′の前後にあるか否かを判断する(ステップS903)。本実施形態では、本実施形態では、例えば合成要素E、D、C、B、A、Gの順に参照し、特定ユーザ設定の変更により値が変更される合成要素があるか否かを判断する。
【0069】
ステップS903において、該当する合成要素が存在する場合、パラメータ計算部212は、該当する合成要素の値を変更する要因である特定ユーザ設定を参照する(ステップS904)。続いてパラメータ計算部212は、要因となる特定ユーザ設定から該当する合成要素のγデータを特定し、合成要素Fとのγ合成を行い(ステップS905)、ステップS903へ戻る。ステップS903において該当する合成要素が存在しない場合、パラメータ計算部212は処理を終了する。
【0070】
図10は、予めγ合成された中間データの一例を示す図である。図10では、ACC自動調整の実行により変更された合成要素F′には合成要素Eと合成要素Gとが隣接している。合成要素Eは特定ユーザ設定で変更される合成要素であるため、合成要素F′と予め合成される。続いて合成要素Dも、合成要素F′に合成された合成要素Eと隣接してり且つ特定ユーザ設定で値が変更される。よって合成要素Dも予め合成される。同様にして合成要素C、合成要素Gが予め合成要素F′に合成される。
【0071】
本実施形態のパラメータ計算部212では、合成要素C、D、E、F′、Gを合成した合成要素CDEF′Gを中間データとして保持しておくことができる。
【0072】
本実施形態では、このように中間データを保持しておけば、画像形成前のγ合成において、合成要素A、合成要素B、合成要素CDEF′Gの3つの合成要素の合成処理とすることができ、γ合成に係る処理量や処理時間を短縮できる。
【0073】
さらに本実施形態のパラメータ計算部212は、複数の合成要素の一部を予め合成して中間データとする際に、最適化された中間データとすることができる。
【0074】
以下に図11を参照して中間データの最適化について説明する。図11は、第二の実施形態における中間データの最適化を説明する図である。
【0075】
本実施形態のパラメータ計算部212は、中間データを生成する際に、より多くの合成要素を合成するように、予め合成する合成要素を選択する。中間データをより多くの合成要素を合成した値とすれば、画像形成前のγ合成処理の処理量を低減できる。
【0076】
図11の例では、合成要素A、C、D、B、E、F、Gの順に合成要素が並んでおり、合成要素A、合成要素Bはユーザ設定の変更により値が変更されるもの、合成要素C、D、E、Gは特定ユーザ設定の変更により値が変更されるもの、合成要素FはACC自動調整の実行により値が変更されるものである。
【0077】
本実施形態では、ACC自動調整の実行により値が変更される合成要素Fと、特定ユーザ設定の変更により値が変更する合成要素C〜E、Gとが予め合成される合成要素である。
【0078】
そこで、例えばACC自動調整の実行により合成要素Fが変更されると、合成要素Fと隣接し且つ特定ユーザ設定で値が変更される合成要素E、Gが合成要素Fと合成された値が中間データとなる。この場合中間データは、合成要素EFGとなる。
【0079】
ここで特定ユーザ設定が変更により合成要素Dの値が変更になった場合を考える。この場合、合成要素Dと隣接し且つ特定ユーザ設定の変更又はACC自動調整の実行により値が変わる合成要素が、合成要素Dと予め合成される合成要素となる。図11の場合、該当する合成要素は合成要素Cのみである。したがってこの場合、中間データは合成要素Cと合成要素Dを合成したものとなる。この場合中間データは、合成要素CDとなる。
【0080】
よって本実施形態では、合成要素の個数が多い合成要素EFGを中間データとして保持する。3つの合成要素を合成した中間データを保持することで、2つの合成要素を合成したものを中間データとするよりも、画像形成前のγ合成処理の回数を1回減らすことができる。
【0081】
このように本実施形態では、効率的に中間データを保持することで、画像形成直前のγ合成処理の処理量を削減し、処理時間を短縮することができる。
【0082】
次に、本実施形態の適応γ処理部210の動作について説明する。図12は、第二の実施形態の適応γ処理部の動作を説明する第一の図である。図12では、計算判断部211により再計算が必要と判断された場合の適応γ処理部210の動作を示している。
【0083】
画像形成装置100において、コピーや印刷等の画像形成要求がなされると(ステップS1201)、計算判断部211は、差分比較処理を行う(ステップS1202)。計算判断部211によりγ合成の再計算が必要と判断された場合、計算判断部211はパラメータ計算部212へ計算要求を行う(ステップと1203)。
【0084】
パラメータ計算部212は、メモリ装置15のRAM領域を参照して中間データ60を読み出す(ステップS1204)。続いてパラメータ計算部212は、中間データを用いてγ合成の再計算を行う(ステップS1205)。再計算が完了すると、設定保存部213が計算結果をヒープ領域へ保存する(ステップS1206)。
【0085】
計算結果が保存されるとパラメータ設定部214は、計算結果が保存されたヒープ領域を参照し(ステップS1207)、計算結果が保存されたアドレスを適応γ処理部210へ設定する(ステップS1208)。続いてパラメータ設定部214は、アドレスを設定したことを計算判断部211へ通知する(ステップS1209)。
【0086】
計算判断部211は、この通知の内容を用いて差分管理の判断やパラメータ設定のためのメモリ確保の判断等を行う。
【0087】
尚計算判断部211による再計算を行うか否かの判断については、第一の実施形態で説明した通りである。本実施形態では、全ての色版についてγ合成の再計算が必要と判断された場合には、図12のステップS1201〜ステップS1209の処理を全ての色版について行う。また特定の色版のみγ合成の再計算が必要と判断された場合には、ステップS1201〜ステップS1209の処理を再計算が必要と判断された色版についてのみ行う。
【0088】
次に図13を参照して計算判断部211により再計算が不要と判断された場合について説明する。図13は、第二の実施形態の適応γ処理部の動作を説明する第二の図である。
【0089】
画像形成装置100において、コピーや印刷等の画像形成要求がなされると(ステップS1301)、計算判断部211は、差分比較処理を行う(ステップS1302)。計算判断部211によりγ合成の再計算が不要と判断された場合、計算判断部211はパラメータ計算部212へその旨を通知する(ステップS1303)。
【0090】
パラメータ計算部212は、設定保存部213に対して、計算が不要であることを示す結果を保存する(ステップS1304)。パラメータ設定部214は、設定保存部213により保存された結果を参照して新たなアドレスの設定が不要であることを判断する(ステップS1305)。
【0091】
以上に説明したように、本実施形態では、γ合成の再計算を行う場合に中間データを用いることでγ合成処理の処理量と処理時間を低減できる。
【0092】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置
200 画像処理制御部
210 適応γ処理部
220 階調処理部
211 計算判断部
212 パラメータ計算部
213 設定保存部
214 パラメータ設定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2009−185775号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置、画像処理制御方法及び画像処理制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、画像形成装置の多機能化が進んでいる。例えば近年の画像形成装置は、両面同時読み取り機能、省エネルギーモードでの動作、CMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の4色よりも多い色に対応した画像処理等の機能を有する。このような画像処理を実行する際は、画像処理制御ソフトを複数のタスクに分け、決められた時間やタスクごとの優先順位に従って処理を切り替える。
【0003】
この画像処理には、膨大な数の計算が必要な処理が含まれるため、演算処理装置は数秒毎に割り当てられる処理を切り替えながら実行する。1つの処理を実行するためには、演算処理装置を長時間占有するよりも、処理を数秒単位に分割して単位ごとに実行した方が効率的に演算処理装置を使用することができ、処理を高速化できる。
【0004】
また画像処理をさらに高速化させる方法として、画像処理を行う際の各種パラメータを前回の処理に用いたパラメータと比較し、差分があった場合にのみ再計算を行う差分管理が知られている。例えば特許文献1には、色補正処理の処理時間短縮させることを目的で、使用者設定情報で差分比較して処理時間短縮することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の差分管理では、差分が発生した場合には要求される画像処理を全て行うため、差分が発生した場合の画像処理の高速化に対する貢献度が低い。さらに、ここで要求される画像処理は、コピーや印刷等の指示により記録紙が給紙トレイから画像形成部に到達するまでの間に実行される必要がある。この間に画像処理の実行が完了しない場合、遅延が蓄積し、複数枚目の印刷においてジャムを起こすという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされてものであり、画像処理における処理量を削減し、画像処理の高速化に貢献することが可能な画像処理制御装置、画像形成装置及び画像処理制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成すべく、以下の如き構成を採用した。
【0008】
本発明は、画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置であって、前記画像処理制御手段は、当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手段を有し、前記γ合成処理手段は、前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手段と、前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手段と、を有する。
【0009】
また本発明の画像形成装置において、前記計算判断手段は、前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されており、且つ前記変更が全ての色版に影響を及ぼす変更であった場合に、前記全ての色版に対して前記複数のγデータの合成処理を行うものと判断し、前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されており、且つ前記変更が特定の色版にのみ影響を及ぼす変更であった場合に、前記特定の色版に対して前記複数のγデータの合成処理を行うものと判断する。
【0010】
また本発明の画像形成装置は、前記計算手段による計算結果を記憶領域に保存する設定保存手段と、前記計算結果が保存された前記記憶領域のアドレスを前記γ合成処理手段に設定するパラメータ設定手段と、を有する。
【0011】
また本発明の画像形成装置は、前記計算判断手段により、前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されていないと判断されたとき、前記設定保存手段は、前記記憶領域に前記計算判断手段による判断結果を示す値を保存する。
【0012】
また本発明の画像形成装置において、前記計算手段は、前記設定の変更により前記複数のγデータが更新要求を受けたとき、前記設定の変更に基づき前記複数のγデータのうち一部のγデータの合成処理を前記色版毎に実行し、計算結果を保持する。
【0013】
また本発明の画像形成装置において、前記計算手段は、前記γデータの合成処理を行うとき、保持された前記計算結果と、前記複数のγデータにおいて前記一部のγデータ以外のγデータとの合成処理を実行する。
【0014】
本発明は、画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置により画像処理制御方法であって、当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手順を有し、前記γ合成処理手順において、前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手順と、前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手順と、を有する。
【0015】
本発明は、画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置において実行される画像処理制御プログラムであって、前記画像処理制御手段に、当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理ステップを実行させ、前記γ合成処理ステップは、前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断ステップと、前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像処理において実行される処理量を削減し、画像処理の高速化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】第一の実施形態の画像形成装置における画像処理を説明するための図である。
【図3】合成要素の値を変える要因の区分について説明する図である。
【図4】第一の実施形態の適応γ処理部を説明する図である。
【図5】第一の実施形態の適応γ処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図6】第二の実施形態の適応γ処理部を説明する図である。
【図7】第二の実施形態のパラメータ計算部による中間データの計算について説明する図である。
【図8】中間データを保持していた場合の画像形成要求を受けたときのγ合成処理を説明する図である。
【図9】パラメータ更新要求を受けた場合のγ合成の計算処理を説明するフローチャートである。
【図10】予めγ合成された中間データの一例を示す図である。
【図11】第二の実施形態における中間データの最適化を説明する図である。
【図12】第二の実施形態の適応γ処理部の動作を説明する第一の図である。
【図13】第二の実施形態の適応γ処理部の動作を説明する第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明では、カラー印刷の際の画像処理におけるγ合成処理に係る処理量を低減することで、画像処理の高速化に貢献する。
【0019】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0020】
画像形成装置100は、それぞれバスBで相互に接続されているスキャン装置11、プロッタ装置12、ドライバ13、HDD(Hard disk drive)14、メモリ装置15、演算処理装置(Central Processing Unit)16、インターフェース装置17、操作パネル18で構成される。
【0021】
スキャン装置11はスキャナ、スキャナエンジン、エンジン制御部等で構成され、原稿をスキャンして文書データとするために用いられる。プロッタ装置12はプロッタ、プロッタエンジン、エンジン制御部等で構成され、文書データを印刷するために用いられる。操作パネル18は、表示機能を有するタッチパネル等で実現され、画像形成装置100を操作するための操作画面が表示される。また操作パネル18は、画像形成装置100による処理の進捗の案内画面等が表示される。
【0022】
インターフェース装置17は、モデム、LAN(Local Area Network)カードなどで構成されており、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0023】
本発明の画像処理制御プログラムは、画像形成装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。画像処理制御プログラムは例えば記録媒体19の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。画像処理制御プログラムを記録した記録媒体19は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0024】
また、画像処理制御プログラムを記録した記録媒体19がドライバ13にセットされると、画像処理制御プログラムは記録媒体19からドライバ13を介してHDD14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた画像処理制御プログラムは、インターフェース装置17を介してHDD14にインストールされる。
【0025】
HDD14は、インストールされた画像処理制御プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、コンピュータの起動時にHDD14から画像処理制御プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納された画像処理制御プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0026】
以下に、本実施形態の画像形成装置の説明に先立ち、画像形成装置100で実行される画像処理について説明する。
【0027】
本実施形態の画像形成装置では、画像処理に含まれるγデータの合成処理の処理量を低減させる。図2は、第一の実施形態の画像形成装置における画像処理を説明するための図である。図2(A)は、画像処理制御部を説明する図であり、図2(B)はγ合成処理を説明する図である。
【0028】
本実施形態の画像形成装置100では、例えば画像データ等が格納されたメモリ装置15から画像データを読み出して、画像処理制御部200へ渡す。画像処理制御部200は、この画像データに画像処理を施し、プロッタ装置12へ渡す。プロッタ装置12は、画像処理が施された画像データに基づき、画像を出力する。
【0029】
本実施形態の画像処理制御部200は、適応γ処理部210と階調処理部220とを有する。本実施形態の適応γ処理部210は、画像データに対するγ合成処理と後処理とを行う。本実施形態の後処理とは、例えばγ合成処理の結果作り出されるγデータに対して行う処理であり、地肌除去、単調増加、平滑化処理等がある。階調処理部220は、適応γ処理部210から出力された画像データに階調処理を施す。
【0030】
以下に本実施形態の適応γ処理について説明する。
【0031】
適応γ処理では、γ合成処理に用いられるパラメータとなる複数の合成要素(γデータ)を合成し、後処理を行う。図2(B)では、複数の合成要素の一例として、合成要素A〜Gを示す。複数の合成要素A〜Gは、画像形成装置100が対応可能な色の色版毎に、通常の文字印刷に対応したものと、写真印刷に対応したものとがそれぞれ設けられている。例えば画像形成装置100がCMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の4色に対応した装置である場合、C版、M版、Y版、K版をそれぞれ形成するための各色毎の画像データに対して適応γ処理が施される。
【0032】
合成要素A〜Gのうち、合成要素A〜E、Gは、メモリ装置15のROM領域に格納されており、合成要素Fはメモリ装置15のRAM領域格納されている。合成要素A〜Gは、画像形成装置100の各種設定によって値が変化するものである。例えば合成要素A、Bはユーザ設定により値が変わる。また合成要素C、D、E、Gは、画像形成装置100の管理者モードの設定(以下、特定ユーザ設定と呼ぶ。以下の図面では、特定ユーザ設定を)SPと示す。)によって値が変わる。また合成要素Fは、ACC(オートカラーキャリブレーション)自動調整の設定の有無によって値が変わる。すなわち適応γ処理では、各種設定の変更が合成要素の値を変える要因となる。本実施形態では、合成要素の値を変える要因となる設定の変更を差分と呼ぶ。
【0033】
本実施形態では、合成要素の値を変える要因を区分して区分毎に差分が存在するか否かを判断し、差分が存在する場合は差分に対応したγ合成処理を行うことで、印刷時に常にγ合成処理を行うことを回避でき、適応γ処理部210の処理量を減らすことができる。
【0034】
以下に、図3を参照して合成要素の値を変える要因の区分について説明する。図3は、合成要素の値を変える要因の区分について説明する図である。
【0035】
本実施形態では、変更があった場合に全ての色版に影響が及ぶ要因と、変更があった場合に特定の色版のみに影響が及ぶ要因と、に区分されている。
【0036】
例えば全ての色版に影響が及ぶ要因とは、ACC自動調整の実行の有無、特定ユーザ設定の変更である。特定ユーザ設定の変更とは、例えば合成要素の並び順を決める設定の変更等である。またユーザ設定の変更でも、例えば出力設定が通常の印刷モードから写真モードへ変更されたり、モノクロモードからカラーモードへ変更された場合に全ての色版に影響が及ぶ要因となる。
【0037】
特定の色版のみに影響が及ぶ要因とは、例えば特定ユーザ設定に含まれる合成要素のバリエーションの変更等がある。
【0038】
本実施形態の画像処理制御部200において、適応γ処理部210は、要因の区分に基づきどの色版に対してγ合成の再計算を行うか判断する。したがって本実施形態の適応γ処理部210は、画像処理を行う際に前回の設定と比較して差分があった場合でも、再計算する項目を削減することができる。
【0039】
以下に図4を参照して本実施形態の適応γ処理部210の詳細について説明する。図4は、第一の実施形態の適応γ処理部を説明する図である。
【0040】
本実施形態の適応γ処理部210は、計算判断部211、パラメータ計算部212、設定保存部213、パラメータ設定部214を有する。
【0041】
計算判断部211は、合成要素の値を変える要因に基づきγ合成の再計算が必要か否かを判断する。また本実施形態の計算判断部211は、γ合成の再計算が必要な色版を判断する。パラメータ計算部212は、γ合成の計算を行う。設定保存部213は、パラメータ計算部212による計算結果を保存する。パラメータ設定部214は、設定保存部213により保存された計算結果を適応γ処理部210へ設定する。
【0042】
以下に、図5を参照して本実施形態の適応γ処理部210による処理について説明する。図5は、第一の実施形態の適応γ処理部の処理を説明するフローチャートである。
【0043】
本実施形態の画像形成装置100において、画像処理が開始されると、適応γ処理部210は、計算判断部211により、ACC自動調整の実行の有無について判断する(ステップS501)。ACC自動調整が実行された場合、全ての色版に影響が及ぶ要因となる。よって計算判断部211は全色版についてγ合成の再計算を行うものと判断し、後述するステップS503へ進む。
【0044】
ステップS501においてACC自動調整が実行されていない場合、計算判断部211は、その他に全ての色版に影響が及ぶ要因に差分が存在するか否かを判断する(ステップS502)。すなわち計算判断部211は、全ての色版に影響が及ぶ設定の変更がなされたか否かを判断する。
【0045】
ステップS502において、全ての色版に影響が及ぶ要因に差分が存在する場合、パラメータ計算部212は、全色版のγ合成の再計算を行う(ステップS503)。続いて設定保存部213は、パラメータ計算部212による計算結果を保存する(ステップS504)。尚本実施形態の適応γ処理部210には、計算結果を保存するためのヒープ領域が設けられている。
【0046】
続いてパラメータ設定部214は、設定保存部213により計算結果が保存されたヒープ領域のアドレスを設定する(ステップS505)。本実施形態において、パラメータを計算した場合、画像処理制御部200へこのパラメータを設定する必要となる。したがって本実施形態では、画像処理制御部200での設定時に参照されるポインタに対し、計算結果が保存された領域のアドレスを設定する。
【0047】
続いて計算判断部211は、差分管理情報を適応γ処理部210の有する記憶領域へ保存し(ステップS506)、処理を終了する。尚差分管理情報とは、画像形成装置100のユーザの設定情報、特定ユーザの設定情報を今回設定された内容に更新した情報である。また差分管理情報に含まれるACC自動調整の実行については「無」として更新する。
【0048】
ステップS502において、全ての色版に影響が及ぶ要因に差分が存在しない場合、すなわち全ての色版に影響が及ぶ設定には変更がない場合、計算判断部211は、後述するステップS508〜ステップS514までの処理を全色版について行ったか否かを判断する(ステップS507)。
【0049】
ステップS507において全色版に対する処理が終了している場合は、ステップS506へ進み処理を終了する。
【0050】
ステップS507において全色版に対する処理が終了していない場合、計算判断部211は、特定の色版のみに影響が及ぶ要因に差分が存在するか否かを判断する(ステップS508)。すなわち計算判断部211は、特定の色版のみに影響する設定の変更があったか否かを判断する。
【0051】
ステップS508において差分がある場合、パラメータ計算部212は、差分の存在する色版のγ合成の再計算を行う(ステップS509)。ステップS510とステップS511は、ステップS504とステップS505の処理と同様であるから説明を省略する。
【0052】
ステップS508において差分がない場合、再計算は不要となる。そこでパラメータ設定部214は、計算結果が保存された領域のアドレスが設定されているか否かを判断する(ステップS512)。
【0053】
ステップS512においてアドレスが設定されている場合、差分が存在しないため再計算が不要となるため、アドレスの示す領域にNULL(=0)を設定し(ステップS513)、ステップS507へ戻る。本実施形態では、アドレスの示す領域に計算結果ではなくNULLを設定することにより、画像処理制御部200が所定のアドレスを参照した際に画像処理制御部200に再計算不要と判断させる。
【0054】
ステップS512においてアドレスが設定されていない場合、パラメータ設定部214は計算結果を保存する領域のアドレスを設定し(ステップS514)、ステップS507へ戻る。尚差分がなくアドレスが設定されていない場合とは、例えば画像形成装置100が計算結果を保存する前にジャム等により予期せぬ動作停止を起こした場合等である。
【0055】
尚本実施形態では、パラメータ設定部214がアドレスを設定した後に、計算判断部211にその旨を通知しても良い。計算判断部211は、この通知結果を次回以降の再計算を行うか否かの判断に用いても良い。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態によれば、前回の画像処理の際の設定に変更があった場合に、変更の内容によって必要な色版のみγ合成の再計算を行う。したがって本実施形態によれば、画像処理における処理量を削減し、画像処理の高速化に貢献することができる。
【0057】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態では、変更の少ない合成要素を予めγ合成しておき、その計算結果を中間データとして保持しておく点が第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0058】
図6は、第二の実施形態の適応γ処理部を説明する図である。本実施形態の画像処理制御部200において、適応γ処理部210はパラメータの更新要求を受けた場合、予めγ合成を行い、その結果を中間データとして保持しておく。本実施形態では、通常の使用においては差分が生じることが少ない要因に差分が生じたとき、この差分により値が変更される合成要素のみのγ合成を予め行い、計算結果を中間データとして保持する。差分が生じることが少ない要因とは、例えばACC自動調整の実行により生じる差分、特定ユーザ設定の変更により生じる差分等である。本実施形態では、ユーザ設定の変更により生じる差分は、画像形成要求が成される度に生じる可能性があるため、予めγ合成する合成要素としない。
【0059】
本実施形態では、この構成により、画像形成要求がなされてから画像形成開始までの間に実行すべきγ合成処理の処理量を低減し、処理時間を短縮できる。
【0060】
以下に図7を参照して本実施形態のパラメータ計算部212による中間データ60の計算について説明する。図7は、第二の実施形態のパラメータ計算部による中間データの計算について説明する図である。図7では、文字印刷時のC版を例とした。
【0061】
図7に示すC版では、合成要素A〜Gが設けられている。合成要素A〜Fのうち、ACC自動調整の実行により変更される合成要素は合成要素Fであり、特定ユーザ設定により変更される合成要素は合成要素C〜E、Gである。
【0062】
本実施形態のパラメータ計算部212は、例えばACC自動調整が実行された場合や特定ユーザ設定が変更された場合に、パラメータ更新要求を受ける。パラメータ計算部212は、合成要素Fと合成要素C〜E、Gとを予め合成して合成要素CDEFGとし、合成要素CDEFGを中間データとして保持しておく。尚ACC自動調整や特定ユーザ設定の変更は、任意のタイミングで行われるものであって良い。また合成要素CDEFGは、例えばメモリ装置15に含まれるRAM領域へ記憶されることが好ましい。
【0063】
尚図7では、文字印刷時のC版を例としたが、本実施形態のパラメータ計算部212は、パラメータ更新要求を受けると、文字印刷時の各色版毎にγ合成を実行し、その結果を中間データとして保持する。またパラメータ計算部212は、写真印刷時の各色版についても同様にγ合成を行い、その結果を中間データ60として保持する。
【0064】
本実施形態では、合成要素の一部を予め合成して中間データ60を保持していれば、画像形成要求を受けたときのγ合成処理の処理量を低減できる。図8は、中間データを保持していた場合の画像形成要求を受けたときのγ合成処理を説明する図である。
【0065】
図8の例では、合成要素CDEFGが中間データ60として保持された状態を示している。中間データ60が保持された状態でコピーや印刷等の画像形成要求を受けた場合、適応γ処理部210は、合成要素Aと合成要素Bと中間データ60である合成要素CDEFGとをγ合成すれば良い。したがって適応γ処理部210におけるγ合成処理の処理量が低減する。本実施形態の適応γ処理部210は、γ合成処理の結果に後処理を行った結果を合成結果として保持しても良い。合成結果を保持することで、2枚目の画像形成からこの合成結果を用いることができる。
【0066】
以下に、図9を参照してパラメータ計算部212がパラメータ更新要求を受けた場合のγ合成の計算処理について説明する。図9は、パラメータ更新要求を受けた場合のγ合成の計算処理を説明するフローチャートである。図9では、ACC自動調整が実行されたことにより、パラメータ更新要求を受けた場合の処理を示している。
【0067】
本実施形態では、ACC自動調整の実行により値が変更される合成要素Fと隣り合っており、且つ特定ユーザ設定の変更により値が変更される合成要素を、予め合成要素Fと合成する。
【0068】
本実施形態においてACC自動調整が実行されると、パラメータ計算部211は合成要素F′を生成する(ステップS901)。続いてパラメータ計算部211は、合成要素の並び順を指定している特定ユーザ設定を参照する(ステップS902)。続いてパラメータ計算部212は、合成要素の並び順に基づき、特定ユーザ設定の変更により値が変更される合成要素が合成要素F′の前後にあるか否かを判断する(ステップS903)。本実施形態では、本実施形態では、例えば合成要素E、D、C、B、A、Gの順に参照し、特定ユーザ設定の変更により値が変更される合成要素があるか否かを判断する。
【0069】
ステップS903において、該当する合成要素が存在する場合、パラメータ計算部212は、該当する合成要素の値を変更する要因である特定ユーザ設定を参照する(ステップS904)。続いてパラメータ計算部212は、要因となる特定ユーザ設定から該当する合成要素のγデータを特定し、合成要素Fとのγ合成を行い(ステップS905)、ステップS903へ戻る。ステップS903において該当する合成要素が存在しない場合、パラメータ計算部212は処理を終了する。
【0070】
図10は、予めγ合成された中間データの一例を示す図である。図10では、ACC自動調整の実行により変更された合成要素F′には合成要素Eと合成要素Gとが隣接している。合成要素Eは特定ユーザ設定で変更される合成要素であるため、合成要素F′と予め合成される。続いて合成要素Dも、合成要素F′に合成された合成要素Eと隣接してり且つ特定ユーザ設定で値が変更される。よって合成要素Dも予め合成される。同様にして合成要素C、合成要素Gが予め合成要素F′に合成される。
【0071】
本実施形態のパラメータ計算部212では、合成要素C、D、E、F′、Gを合成した合成要素CDEF′Gを中間データとして保持しておくことができる。
【0072】
本実施形態では、このように中間データを保持しておけば、画像形成前のγ合成において、合成要素A、合成要素B、合成要素CDEF′Gの3つの合成要素の合成処理とすることができ、γ合成に係る処理量や処理時間を短縮できる。
【0073】
さらに本実施形態のパラメータ計算部212は、複数の合成要素の一部を予め合成して中間データとする際に、最適化された中間データとすることができる。
【0074】
以下に図11を参照して中間データの最適化について説明する。図11は、第二の実施形態における中間データの最適化を説明する図である。
【0075】
本実施形態のパラメータ計算部212は、中間データを生成する際に、より多くの合成要素を合成するように、予め合成する合成要素を選択する。中間データをより多くの合成要素を合成した値とすれば、画像形成前のγ合成処理の処理量を低減できる。
【0076】
図11の例では、合成要素A、C、D、B、E、F、Gの順に合成要素が並んでおり、合成要素A、合成要素Bはユーザ設定の変更により値が変更されるもの、合成要素C、D、E、Gは特定ユーザ設定の変更により値が変更されるもの、合成要素FはACC自動調整の実行により値が変更されるものである。
【0077】
本実施形態では、ACC自動調整の実行により値が変更される合成要素Fと、特定ユーザ設定の変更により値が変更する合成要素C〜E、Gとが予め合成される合成要素である。
【0078】
そこで、例えばACC自動調整の実行により合成要素Fが変更されると、合成要素Fと隣接し且つ特定ユーザ設定で値が変更される合成要素E、Gが合成要素Fと合成された値が中間データとなる。この場合中間データは、合成要素EFGとなる。
【0079】
ここで特定ユーザ設定が変更により合成要素Dの値が変更になった場合を考える。この場合、合成要素Dと隣接し且つ特定ユーザ設定の変更又はACC自動調整の実行により値が変わる合成要素が、合成要素Dと予め合成される合成要素となる。図11の場合、該当する合成要素は合成要素Cのみである。したがってこの場合、中間データは合成要素Cと合成要素Dを合成したものとなる。この場合中間データは、合成要素CDとなる。
【0080】
よって本実施形態では、合成要素の個数が多い合成要素EFGを中間データとして保持する。3つの合成要素を合成した中間データを保持することで、2つの合成要素を合成したものを中間データとするよりも、画像形成前のγ合成処理の回数を1回減らすことができる。
【0081】
このように本実施形態では、効率的に中間データを保持することで、画像形成直前のγ合成処理の処理量を削減し、処理時間を短縮することができる。
【0082】
次に、本実施形態の適応γ処理部210の動作について説明する。図12は、第二の実施形態の適応γ処理部の動作を説明する第一の図である。図12では、計算判断部211により再計算が必要と判断された場合の適応γ処理部210の動作を示している。
【0083】
画像形成装置100において、コピーや印刷等の画像形成要求がなされると(ステップS1201)、計算判断部211は、差分比較処理を行う(ステップS1202)。計算判断部211によりγ合成の再計算が必要と判断された場合、計算判断部211はパラメータ計算部212へ計算要求を行う(ステップと1203)。
【0084】
パラメータ計算部212は、メモリ装置15のRAM領域を参照して中間データ60を読み出す(ステップS1204)。続いてパラメータ計算部212は、中間データを用いてγ合成の再計算を行う(ステップS1205)。再計算が完了すると、設定保存部213が計算結果をヒープ領域へ保存する(ステップS1206)。
【0085】
計算結果が保存されるとパラメータ設定部214は、計算結果が保存されたヒープ領域を参照し(ステップS1207)、計算結果が保存されたアドレスを適応γ処理部210へ設定する(ステップS1208)。続いてパラメータ設定部214は、アドレスを設定したことを計算判断部211へ通知する(ステップS1209)。
【0086】
計算判断部211は、この通知の内容を用いて差分管理の判断やパラメータ設定のためのメモリ確保の判断等を行う。
【0087】
尚計算判断部211による再計算を行うか否かの判断については、第一の実施形態で説明した通りである。本実施形態では、全ての色版についてγ合成の再計算が必要と判断された場合には、図12のステップS1201〜ステップS1209の処理を全ての色版について行う。また特定の色版のみγ合成の再計算が必要と判断された場合には、ステップS1201〜ステップS1209の処理を再計算が必要と判断された色版についてのみ行う。
【0088】
次に図13を参照して計算判断部211により再計算が不要と判断された場合について説明する。図13は、第二の実施形態の適応γ処理部の動作を説明する第二の図である。
【0089】
画像形成装置100において、コピーや印刷等の画像形成要求がなされると(ステップS1301)、計算判断部211は、差分比較処理を行う(ステップS1302)。計算判断部211によりγ合成の再計算が不要と判断された場合、計算判断部211はパラメータ計算部212へその旨を通知する(ステップS1303)。
【0090】
パラメータ計算部212は、設定保存部213に対して、計算が不要であることを示す結果を保存する(ステップS1304)。パラメータ設定部214は、設定保存部213により保存された結果を参照して新たなアドレスの設定が不要であることを判断する(ステップS1305)。
【0091】
以上に説明したように、本実施形態では、γ合成の再計算を行う場合に中間データを用いることでγ合成処理の処理量と処理時間を低減できる。
【0092】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置
200 画像処理制御部
210 適応γ処理部
220 階調処理部
211 計算判断部
212 パラメータ計算部
213 設定保存部
214 パラメータ設定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2009−185775号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置であって、
前記画像処理制御手段は、
当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手段を有し、
前記γ合成処理手段は、
前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手段と、
前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手段と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記計算判断手段は、
前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されており、且つ前記変更が全ての色版に影響を及ぼす変更であった場合に、前記全ての色版に対して前記複数のγデータの合成処理を行うものと判断し、
前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されており、且つ前記変更が特定の色版にのみ影響を及ぼす変更であった場合に、前記特定の色版に対して前記複数のγデータの合成処理を行うものと判断する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記計算手段による計算結果を記憶領域に保存する設定保存手段と、
前記計算結果が保存された前記記憶領域のアドレスを前記γ合成処理手段に設定するパラメータ設定手段と、を有する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記計算判断手段により、前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されていないと判断されたとき、
前記設定保存手段は、前記記憶領域に前記計算判断手段による判断結果を示す値を保存する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記計算手段は、
前記設定の変更により前記複数のγデータが更新要求を受けたとき、前記設定の変更に基づき前記複数のγデータのうち一部のγデータの合成処理を前記色版毎に実行し、計算結果を保持する請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記計算手段は、
前記γデータの合成処理を行うとき、保持された前記計算結果と、前記複数のγデータにおいて前記一部のγデータ以外のγデータとの合成処理を実行する請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置により画像処理制御方法であって、
当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手順を有し、
前記γ合成処理手順において、
前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手順と、
前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手順と、を有する画像処理制御方法。
【請求項8】
画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置において実行される画像処理制御プログラムであって、
前記画像処理制御手段に、
当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理ステップを実行させ、
前記γ合成処理ステップは、
前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断ステップと、
前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算ステップと、を含む画像処理制御プログラム。
【請求項1】
画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置であって、
前記画像処理制御手段は、
当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手段を有し、
前記γ合成処理手段は、
前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手段と、
前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手段と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記計算判断手段は、
前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されており、且つ前記変更が全ての色版に影響を及ぼす変更であった場合に、前記全ての色版に対して前記複数のγデータの合成処理を行うものと判断し、
前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されており、且つ前記変更が特定の色版にのみ影響を及ぼす変更であった場合に、前記特定の色版に対して前記複数のγデータの合成処理を行うものと判断する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記計算手段による計算結果を記憶領域に保存する設定保存手段と、
前記計算結果が保存された前記記憶領域のアドレスを前記γ合成処理手段に設定するパラメータ設定手段と、を有する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記計算判断手段により、前記設定が前回の出力指示を受けた際の設定から変更されていないと判断されたとき、
前記設定保存手段は、前記記憶領域に前記計算判断手段による判断結果を示す値を保存する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記計算手段は、
前記設定の変更により前記複数のγデータが更新要求を受けたとき、前記設定の変更に基づき前記複数のγデータのうち一部のγデータの合成処理を前記色版毎に実行し、計算結果を保持する請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記計算手段は、
前記γデータの合成処理を行うとき、保持された前記計算結果と、前記複数のγデータにおいて前記一部のγデータ以外のγデータとの合成処理を実行する請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置により画像処理制御方法であって、
当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理手順を有し、
前記γ合成処理手順において、
前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断手順と、
前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算手順と、を有する画像処理制御方法。
【請求項8】
画像データの出力指示を受けて前記画像データを出力画像とする画像処理を施す画像処理制御手段を有する画像形成装置において実行される画像処理制御プログラムであって、
前記画像処理制御手段に、
当該画像形成装置により形成される色版毎に前記画像データを補正するための複数のγデータの合成処理を行うγ合成処理ステップを実行させ、
前記γ合成処理ステップは、
前記出力指示を受けた際の当該画像形成装置の設定の状態に基づき、当該画像形成装置により形成される全ての色版に対してγデータの合成処理を行うか否かを判断する計算判断ステップと、
前記計算判断手段による判断結果に基づきγデータの合成処理を実行する計算ステップと、を含む画像処理制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−141751(P2012−141751A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293540(P2010−293540)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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