画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体
【課題】画像劣化の原因について画質因子と相関のある評価量を総合的に分析し、画質補正や故障の予測を行う画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置201は、画像形成部210によって感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンに対して、画像計測部220が少なくとも形状を計測し、画質算出部230は画像計測部220による画像パターンの計測に基づいて出力画像の品質を予測する。画質算出部230による画質予測の履歴情報を履歴記憶部250が記憶し、故障予測部240は履歴記憶部250が記憶した履歴情報を用いて故障を予測する。
【解決手段】画像形成装置201は、画像形成部210によって感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンに対して、画像計測部220が少なくとも形状を計測し、画質算出部230は画像計測部220による画像パターンの計測に基づいて出力画像の品質を予測する。画質算出部230による画質予測の履歴情報を履歴記憶部250が記憶し、故障予測部240は履歴記憶部250が記憶した履歴情報を用いて故障を予測する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体に関し、特に画像形成装置が出力する画質を、画像パターンの計測結果から予測して故障予測を行う画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テストパターン出力の評価と、その結果によるプロセスパラメータへのフィードバックを含む校正サイクルを定期的に実行して画像品質を保持すると共に、プロセスパラメータの補正履歴を勘案してプロセスの劣化限界を予測しアラームを発する技術があった。この技術で行っているテストパターン評価は、ラインパターンを出力し、このパターンと装置内に設けた格子状のスリットパターンとの干渉による輝度変動を検出することで、ラインの再現性能つまり鮮鋭性に関する評価を行っている(特許文献1)。
【0003】
また、画質を測定し、プロセスを調整するものとして以下のような技術がある。像担持体上に基準画像を形成し、該基準画像の濃度をPセンサ等の検出手段により検出し、出力値と比較する基準値に上下限値を設け、これらの関係からプロセス条件を変えることにより現像材の劣化による文字のつぶれ、にじみなどが画像に発生するのを防止することを図っている(特許文献2)。
【0004】
また、感光ドラム上に形成した基準パターンに対するトナー付着量をPセンサにより検知し、検知結果に基づき転写用電流の制御値を補正している技術がある。このとき、Pセンサの出力値が3.6Vより低い場合は帯電を50V高く電流を2μA低くし、Pセンサの出力が3.8Vより高い場合は帯電を50V低く電流を2μA高くするように調整を行っている(特許文献3)。
【0005】
また、画像出力装置の出力状態を検知し、検知結果を通信手段を介して画像出力装置の制御装置に送信し、制御装置において補正値を算出し、算出された補正値を用いて出力装置を制御する技術もある。この技術では、たとえば色ずれや線幅、線濃度等を測定し、目標値となるように、補正を行うものである(特許文献4)。
【0006】
また、ドットやラインにより面積率の異なるパターンを形成し、Pセンサにより濃度を検出し、検出結果に基づいてプロセス条件を異ならせることで、ドットつぶれやラインつぶれを防止することを行っている技術がある(特許文献5)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−351166号公報
【特許文献2】特開2002−040725号公報
【特許文献3】特開2001−215761号公報
【特許文献4】特開2002−214865号公報
【特許文献5】特開平5−313453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、画質要因には、特許文献1に示されているような実質評価を行っている鮮鋭性の他に、画像のざらつきを表す粒状性や、階調の滑らかさに対応した階調性がある。とくに、自然画などのピクトリアル画像に対し、ユーザが満足する品質で画像出力するためには、前述の画質要因がバランスよく調整されている必要があるが、特許文献1には、このような調整については記載されていない。もちろん、文字画像のみを対象にする場合には鮮鋭性が最も重要な因子であるが、現状の出力装置において文字出力のみを対象とした装置はほとんどなく、用途として文字出力が主であっても、ピクトリアル画像の品質も高いことが要求されている。
【0009】
一般に電子写真の場合、各種パラメータと画質因子との関連は複雑であり、パラメータの補正により全ての画質要因が向上するとは限らない。つまり、あるパラメータの値を補正したことにより、たとえば粒状性は向上するが、鮮鋭性が低下するといった、相反する結果をもたらすことが多い。したがって、プロセスパラメータの補正値の決定や、画質劣化の限界値を設定し故障の有無の判定や予測を行う場合には、画質因子との相関がある評価量を総合的に分析し、補正値の決定や故障の予測を行う必要がある。
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術では、鮮鋭性に係わる評価量から決められた補正パラメータ値やその履歴情報のみから故障を判断しているので、鮮鋭性に対しては正常であっても、他の画質因子がどのような状態であるか把握できない。このため、判定を誤る可能性が高く、結果として画像が形成できないような極端な値になるまで、実質故障の判定できない場合が考えられる。よって、画質的にはまだ我慢ができるような早期の段階で故障を予測したり、プロセスへフィードバックすることが困難であった。
【0011】
また、出力装置に故障が発生し、画質的に満足できないような状態となった場合、ユーザからの呼び出しに応じてサービスマンが来訪し、故障状況を把握し、修理を行う。しかし、一般に来訪して故障状況を把握するまで修理に必要な部品等は不明であるから、交換部品等が手元にない場合には、調達後再訪し修理するといった手順が取られることになる。このように、故障が発生しユーザのもとへ出向くまで故障内容が把握できないことにより、ユーザを来訪する回数が増え、場合によっては部品発注のタイミングが遅くなるなどして、迅速な対応ができない、修理サービスに対するコストが増加するといった問題があった。
【0012】
また、特許文献2〜4に示された技術では、Pセンサのような検出手段を作像プロセスにより感光体や中間転写体上に形成された画像の平均的な反射率または濃度を測定し、この測定結果からプロセス条件を調整することで、異常画像等の発生を防止しようとするものである。しかしながら、反射率や濃度は、感光体や中間転写体の特性の影響を受けやすいので、材質が変更された場合、サービスマンが設定値の変更を行う必要が生じたり、ロットバラツキにより補正精度が低下するといった問題を有していた。画像品質を決定する因子として、粒状性、鮮鋭性、階調性が重要な因子であることは周知の事柄であるが、ここで示された技術では、階調特性(測定される濃度値)のみから、画像形成装置の作像条件を調整しており、1次元または2次元的な変動に関する測定は行っていない。したがって、前記変動特性と相関の高い粒状性や鮮鋭性の劣化を補正する調整は行うことができなかった。
【0013】
また、特許文献4の技術では、画像形成装置から実際に紙等の記録媒体に出力した画像の品質を測定し、測定結果を用いて画像処理へフィードバックしているので、画質測定のために記録媒体を消費しなければならずランニングコストが上昇するという問題を有していた。
【0014】
また、特許文献2、3,および5の技術では、画像形成装置が行っている濃度等の検出結果は、その画像形成装置が出力する粒状性、鮮鋭性、階調性といった主観的な画像品質と直接関連づけられていないので、出力により得られる画質の優劣を判断できない。したがって、検出結果を、画像処理装置がネットワーク上にある画像形成装置の画質の状態を知るために利用することは困難であり、出力装置の状態を測定しても内部調整以外には利用することができなかった。
【0015】
本発明はこのような問題に鑑みてなされ、その目的は、画像劣化の原因について画質因子と相関のある評価量を総合的に分析して画質の補正や故障の予測を行うことができ、また、故障が発生した場合にはユーザが故障内容を把握できることによりメンテナンスのコストを抑えることができ、また、画質劣化や故障予測についての情報をネットワーク上の画像処理装置に送信できる画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、画像形成装置であって、感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置において、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンの、少なくとも形状を計測する画像パターン計測手段と、前記画像パターン計測手段による画像パターンの計測に基づいて、出力画像の品質を予測する画質予測手段と、前記画質予測手段による画質予測の履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、前記履歴情報記憶手段による履歴情報を用いて故障を予測する故障予測手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記画像形成装置の状態情報を取得する状態情報取得手段を、さらに備え、前記履歴情報記憶手段は、前記状態情報取得手段による状態情報の履歴情報を記憶するものであり、前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記状態情報の履歴情報に基づいて、故障を予測するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記画質予測手段による画質予測に基づいて、画像形成のプロセス条件を調整する画像形成条件調整手段を、さらに備え、前記状態情報取得手段は、前記画像形成条件調整手段によって調整された画像形成のプロセス条件に基づいた前記画像形成装置の状態情報を取得するものであり、前記履歴情報記憶手段は、前記状態情報取得手段による状態情報の履歴情報を記憶するものであり、前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記状態情報の履歴情報に基づいて故障を予測するものであることを特徴とする。
【0019】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記故障予測手段は、前記画像パターン計測手段による画像パターンの計測、前記画質予測手段による画質予測、前記画像形成条件調整手段によるプロセス条件の調整、および前記画像パターン計測手段による前記プロセス条件の調整に基づく画像パターンの計測のサイクルを少なくとも1回以上繰り返した後に、前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記履歴情報に基づいて故障を予測するものであることを特徴とする。
【0020】
請求項5にかかる発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置は、互いに色の異なる画像形成ユニットを備えるものであり、前記画像パターン計測手段は、前記互いに色の異なる画像形成ユニットごとに画像パターンを計測するものであり、前記画質予測手段は、前記画像パターン計測手段による色ごとの画像パターンの計測に基づいて色ごとの出力画像の品質を予測し、前記履歴情報記憶手段は、前記画質予測手段による色ごとの画質予測を記憶し、前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段に記憶された色ごとの画質予測の履歴情報に基づいて、故障を予測するものであることを特徴とする。
【0021】
請求項6にかかる発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、前記画像パターン計測手段は、前記画像パターンを構成するドットの平均面積、前記ドットの平均面積の標準偏差、ドットの平均円相当径、前記ドットの平均円相当径の標準偏差、前記画像パターンを構成するラインのライン幅、および前記ラインのエッジ幅のうち、少なくともいずれかを計測して画像パターンを計測するものであることを特徴とする。
【0022】
請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置において、画像形成装置がトナーによる画像出力を行うものである場合、前記画像パターン計測手段は、所定サイズ以下で形成されるトナー像に対応する画像情報を、計測した画像情報から排除して、画像パターンを計測するものであることを特徴とする。
【0023】
請求項8にかかる発明は、請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像パターン計測手段は、前記画像パターンに対して略平行化された光束によって照明する照明手段、前記照明手段の光束を、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれに正反射させて結像させる結像手段、前記結像手段による結像を光電変換する光電変換素子、および前記光電変換素子によって光電変換された画像情報を解析する画像解析手段、を有し、前記画像パターンの少なくとも形状を計測するものであることを特徴とする。
【0024】
請求項9にかかる発明は、請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画質予測手段は、出力画像の品質として、粒状性、階調性、および鮮鋭性のうちの少なくともいずれかを予測するものであることを特徴とする。
【0025】
請求項10にかかる発明は、請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、前記画質予測手段は、前記粒状性については、ドット面積の標準偏差およびドット円相当径の標準偏差の少なくともいずれかを算出して予測するものであることを特徴とする。
【0026】
請求項11にかかる発明は、請求項1〜10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、前記画質予測手段は、前記階調性については、階調特性曲線のリニアリティを、ドット面積平均およびドット円相当径平均の少なくともいずれかと、階調画像を生成する所定の線数と、から算出して予測するものであることを特徴とする。
【0027】
請求項12にかかる発明は、請求項1〜11のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画質予測手段は、前記鮮鋭性については、特定空間周波数におけるMTFを、ライン幅およびラインエッジ幅から算出して予測するものであることを特徴とする。
【0028】
請求項13にかかる発明は、請求項1〜12のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記故障予測手段は、前記画像パターン計測手段が算出する各特性値のマハラノビス距離を、前記画像形成装置が故障であると判定された画像群に対してあらかじめ設定された前記特性値の基準空間に基づいて算出し、前記算出したマハラノビス距離に基づいて故障予測値を算出するものであることを特徴とする。
【0029】
請求項14にかかる発明は、請求項1〜13のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像パターンの計測、前記画像パターンの計測の履歴情報、前記故障予測、および前記故障予測の履歴情報の少なくとも1つの情報を、ネットワークを介して接続する端末に対して送信する送信手段を、さらに備えることを特徴とする。
【0030】
請求項15にかかる発明は、請求項14に記載の画像形成装置において、前記送信手段は、前記少なくとも1つの情報を、予め設定した所定の周期で予め登録した前記端末へ前記ネットワークを介して送信するものであることを特徴とする。
【0031】
請求項16にかかる発明は、請求項15に記載の画像形成装置において、前記故障予測が予め設定した所定値以上であると判定した場合、前記予め登録した端末へ故障予測を報知する決定をなす報知手段を、さらに備え、前記送信手段は、前記報知手段の決定に基づいて、前記予め登録した端末へ前記故障予測を送信するものであることを特徴とする。
【0032】
請求項17にかかる発明は、請求項16に記載の画像形成装置において、前記報知手段は、前記故障予測手段による故障予測に応じて、送信の周期を変更するものであることを特徴とする。
【0033】
請求項18にかかる発明は、請求項1〜17のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記故障予測手段は、前記画像形成装置を構成する各部分についての故障予測値も算出するものであることを特徴とする。
【0034】
請求項19にかかる発明は、画像形成方法であって、感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置における画像形成方法であって、画像パターン計測手段によって、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンの、少なくとも形状を計測する画像パターン計測工程と、画質予測手段によって、前記画像パターン計測工程における画像パターンの計測に基づいて、出力画像の品質を予測する画質予測工程と、履歴情報記憶手段によって、前記画質予測工程における画質予測の履歴情報を記憶する履歴情報記憶工程と、故障予測手段によって、前記履歴情報記憶工程における履歴情報を用いて故障を予測する故障予測工程と、を含むことを特徴とする。
【0035】
請求項20にかかる発明は、プログラムであって、請求項19に記載の画像形成方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0036】
請求項21にかかる発明は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、請求項20に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1にかかる発明によれば、感光体または中間転写体上にパターンを形成し、パターンの形状を計測するようにしているので、パターンの測定において、従来よく行われているPセンサ等の検出手段による濃度測定よりも、感光体や中間転写体の濃度ムラ等によるノイズの影響を受けにくく、精度および安定性のよい測定が可能である。また、形状測定を行った結果から画像形成装置が出力する画像の粒状性や階調性、鮮鋭性などに関する品質を予測し、予測結果およびその履歴情報に基づいて故障を予測するようにしているので、主観的な画質の良否と線形性が保証されないプロセスパラメータから故障を判断していたときに比べ、精度よく故障を予測することが可能となる。
【0038】
請求項2にかかる発明によれば、装置の状態に係わる情報、たとえば環境温度や湿度、プロセスパラメータなどの状態情報を予め取得し、この情報も用いて故障の予測を行うようにしているので、さらに精度の高い故障予測が可能となる。
【0039】
請求項3にかかる発明によれば、画質予測手段により得られた画質予測結果に基づき、画像形成のプロセス条件を調整する手段と、故障予測手段を有しているので、画像品質を安定して確保できると共に、画質が確保できないときに迅速な対応が可能となる。
【0040】
請求項4にかかる発明によれば、プロセス条件の調整後に再度画質予測を行い、この結果を用いて故障予測を行うようにしているので、プロセス調整による画質の向上度合や最新の状態での画質をもとに故障を予測でき、精度の高い故障予測が可能となる。
【0041】
請求項5にかかる発明によれば、カラー画像を形成する各色ユニットごとに画質予測と故障予測を行っているので、各色ごとに画像形成条件の最適化を行うことができ、結果高品質のカラー画像を得ることが可能となる。
【0042】
請求項6にかかる発明によれば、パターン計測手段はパターンを構成するドットの平均面積およびその標準偏差、ドットの平均円相当径およびその標準偏差、パターンを構成するラインのライン幅およびラインエッジ幅をのうち少なくともいずれかを計測するので、画像の基本的な品質を予測することができる。
【0043】
請求項7にかかる発明によれば、中間転写体上で画像パターンの形状特性を測定する場合、測定した画像から検出されるトナー像のうち、所定サイズよりも小さいものを除去するので、画質予測において、感光体から中間転写体へトナー像を転写したときに発生する飛散トナーのうち、記録媒体へ転写されない微粒子トナー成分を除くことができ、より精度の高い画質予測が可能となる。
【0044】
請求項8にかかる発明によれば、感光体または中間転写体上に形成されたパターンの検出を、略平行光化された光束により照明し、感光体または中間転写体上からの正反射光を結像するようにしているので、反射率が高い感光体や中間転写体は、白く検出されるのに対し、トナー像は反射率が低いため影のように黒く検出され、この結果高いコントラストでトナー像を取得することができるため、精度よくパターンの形状を測定することができる。
【0045】
請求項9にかかる発明によれば、画質予測手段が少なくとも粒状性、階調性、および鮮鋭性のいずれかを予測するので、画像形成装置により出力される画像品質を、効率および精度よく把握することができる。
【0046】
請求項10にかかる発明によれば、粒状性をドット面積の標準偏差、またはドット円相当径の標準偏差から算出するので、精度よく粒状性を予測することができる。
【0047】
請求項11にかかる発明によれば、階調特性曲線のリニアリティを、ドット面積平均もしくはドット円相当径平均と階調画像を作成するのに使用する所定の線数から算出するので、精度よく階調性を予測することができる。
【0048】
請求項12にかかる発明によれば、特定空間周波数におけるMTFを、ライン幅およびラインエッジ幅から算出するようにしているので、精度よく鮮鋭性を予測することができる。
【0049】
請求項13にかかる発明によれば、装置の故障を、良画像と判定された画像群により構成された基準空間をもとに、パターンを測定手段から得られた各特性値のマハラノビス距離を算出し、マハラノビス距離から故障確率を定量的に算出するようにしているので、効率的に故障の発生を予測することができる。
【0050】
請求項14にかかる発明によれば、測定結果、故障予測結果、およびこれらの履歴情報をネットワークを介して接続された端末へ送信可能であるので、画像形成装置を利用しようとするネットワーク上のユーザが、画像形成装置による出力画像品質を知ることができるとともに、故障発生時に故障内容を、送信先の外部端末に送信できるので、故障に対する適切な対応を迅速にとることができ、故障による損失を低減できる。
【0051】
請求項15にかかる発明によれば、測定結果、故障予測結果、およびこれらの履歴情報をネットワークを介して接続された端末へ定期的に所定の端末へ送信するので、装置の状態を管理者またはサービスマンなどにより、監視することができ、重大な故障にいたる前に処置を行うことが可能となり、故障による損失を回避することができる。
【0052】
請求項16にかかる発明によれば、故障予測結果が所定値以上となったとき、その情報を報知する報知手段を設けているので、不必要な通信を低減でき、装置を効率的に管理できる。
【0053】
請求項17にかかる発明によれば、故障予測結果に応じて校正のタイミングを変更するので、装置が劣化に伴い画質も劣化し、不安定になった場合にも、校正周期を自動的に調整することで、画質の経時変動を抑え、安定した画質を提供することが可能となる。
【0054】
請求項18にかかる発明によれば、故障している確率が安宅以下書を予測できるので、効率良く各部のメンテナンスを施すことが出来る。
【0055】
請求項19にかかる発明によれば、感光体または中間転写体上にパターンを形成し、パターンの形状を計測するようにしているので、パターンの測定において、従来よく行われているPセンサ等の検出手段による濃度測定よりも、感光体や中間転写体の濃度ムラ等によるノイズの影響を受けにくく、精度および安定性のよい測定が可能である。また、形状測定を行った結果から画像形成装置が出力する画像の粒状性や階調性、鮮鋭性などに関する品質を予測し、予測結果およびその履歴情報に基づいて故障を予測するようにしているので、主観的な画質の良否と線形性が保証されないプロセスパラメータから故障を判断していたときに比べ、精度よく故障を予測することが可能となる。
【0056】
請求項20にかかる発明によれば、請求項19に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させることが出来る。
【0057】
請求項21にかかる発明によれば、請求項20に記載のプログラムを記憶してコンピュータに読み取らせることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体の最良な実施の形態を、実施の形態1〜4に分けて詳細に説明する。
【0059】
(1.実施の形態1)
(1.1.画像形成装置の要部)
図1は、実施の形態1による画像形成装置の要部の機能的ブロック図である。図2は、実施の形態1による画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタを示す概略構成図である。タンデム型のデジタルカラープリンタ1には、実施の形態1による画像形成装置の要部が組み込まれている。デジタルカラープリンタ1は、画像読取装置2を備えており、フルカラーで複写出力できる。
【0060】
デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像出力装置100を構成する画像形成ユニットとして、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cが、水平方向に沿って一定の間隔をおいて配列されている。各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cで形成された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を、中間転写ベルト25上に互いに重ね合わせた状態で一次転写した後、当該中間転写ベルト25から記録用紙34上に一括して二次転写することにより、カラー画像を形成する。
【0061】
実施の形態1による画像形成装置201は、画像形成部210、画像計測部220、画質算出部230、故障予測部240、履歴記憶部250、通信部260、および入力部270を備える。
【0062】
画像形成部210は、ここでは、上記各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cを使用して、中間転写体上に画像パターンを形成する。しかし、画像形成部210は、感光体上に画像パターンを形成して、以下形成された画像パターンを検出する構成としても良い。
【0063】
画像計測部220は、画像形成部210によって作成された中間転写体上の画質測定用パターンを検出する。画質算出部230は、画像計測部220により計測された結果を基に出力画像品質を予測する。故障予測部240は、画質算出部230により算出された画質予測結果をもとに故障確率を算出する。履歴記憶部250は、各部の動作に必要な情報および各部で算出された結果やそれらの履歴情報を格納する。通信部260は、ネットワークにより接続された任意の端末90とコネクタを介して通信を行う。入力部270は、ユーザが各種設定を行うための入力を、ユーザインターフェースを介して受け付けるものであり、後述する画質予測の実施回数や、予測結果の送信先の設定を受け付ける。
【0064】
実施の形態1による画像形成装置は、画像形成部210が形成した画質測定用の画像パターンに対して、画質算出部230が画質を算出し、故障予測部240が履歴記憶部250から履歴情報を読み出して故障を予測するものである。
【0065】
以下、本発明の特徴となる故障予測の機能部分である画像形成装置の要部について重点的に説明し、一般的なデジタルカラープリンタ1の構成については公知であるので後述(図23)する。
【0066】
(1.2.画質の算出)
(画像計測部220)
図3は、画像計測部の機能的ブロック図である。画像計測部220は、パターン検出部60、画像メモリ221、解析部222、およびCPU223を有し、バスがこれらを接続している。
【0067】
パターン検出部60は画像を検出し、画像メモリ221は検出された画像を一時記憶する。解析部222は、読み取ったパターンを解析し、ドット面積およびドット面積の標準偏差、ライン幅、ラインエッジ幅などの計測値を算出する。ここで、パターン検出部60は、中間転写体上に形成された測定用パターンを読み取る。
【0068】
図4は、実施の形態による画像形成部が形成する測定用の画像パターンの一例を示す模式図である。図5は、パターン検出部が検出する動作を説明する図である。パターン検出部60は、光源61、結像レンズ62、および光電変換素子63を有する。
【0069】
光源61は、中間転写体25上に生成された画像パターンを照射し、反射光を結像レンズ62により、たとえばCCDセンサのような光電変換素子63上に結像させ、中間転写体上に形成されたトナー像を読み取る。このとき、光電変換素子63は、素子を1次元に配列した1次元ラインセンサであっても、2次元配列したエリアセンサであってもよい。検出部60は、図4に示した計測用のパターン401および402において、ドットおよびラインが周期的に配置されているかどうかを検出する。
【0070】
図6は、測定用画像パターンを照明する光束を説明する図である。ここで、照明光束を略平行光化し、中間転写体25からの正反射光を結像するように構成している。光源61は、1次元または2次元のLEDアレイを示しており、光源61からの光束を、拡散板64により拡散光化し、これを通称ライトコントロールフィルムと呼ばれる透過光束の配光方向を規制する機能性フィルム65を用いて平行光化したものを、ハーフミラー66により中間転写体25へ垂直落射照明する。そして、中間転写体25からの反射光束を、結像レンズ62により光電変換素子63上へ結像し、測定パターンの像を得る。
【0071】
ここで、照明光を略平行光化する方法を、ライトコントロールフィルム等の機能性フィルムを用いることに限定するものではなく、レンズを組み合わせて同様の効果を得てもよい。
【0072】
また、照明および結像方向も垂直落射に限定するものではなく、正反射光束を検出する相対的な位置関係にあればよい。しかし、斜め方向からエリアセンサを用いて2次元画像を得た場合には、画像の歪みを補正するための補正処置が必要となる。
【0073】
(画質算出部230)
画質算出部230は、画像計測部220で算出した測定量をもとに紙等の記録媒体上に出力されたときの画像品質の予測値を算出する。画質算出部230で予測する画質の詳細と予測方法については以下の通りである。
【0074】
一般に画質を決定する因子として、粒状性、鮮鋭性、階調性が重要であるとされており、少なくとも、前記3因子に対する画質評価値を求めることにより、最終的に得られる画質の大部分を説明することができる。
【0075】
ただし、本発明が測定パターンの形状特性から予測する画質評価量はこれら3因子のみに限定するものではなく、たとえばバンディングや色ずれ、地肌汚れ等の評価量を追加しても勿論よい。以下、測定パターンの形状特性値を用いて粒状性、鮮鋭性、階調性を予測する方法について説明する。
【0076】
(粒状性)
粒状性の予測方法について説明する。前述の図4のパターンのうちドットで構成されたパターン401は、600dpi,150線,0度の網点パターンを示しており、図中の各点は2×2ドットで構成されている。電子写真方式では、1×1ドットの再現性は著しく悪いことが多く、1×1ドットの面積を測定しても、全階調レベルでの粒状性との相関が低いことは、本発明者が行った実験により分かっており、少なくとも1×2ドット以上、好適には2×2ドットのドットパターンを用いることが好ましい。
【0077】
図7は、ドット面積の標準偏差に対する粒状度を示すグラフである。図17は、感光体または中間転写体上で、図4のパターン401の各点の面積を測定して算出した標準偏差と、実際に数種類の階調パターンを出力し測定した平均粒状度との相関を示している。図7に示すように、ドットの面積の標準偏差と平均粒状度には高い相関関係が存在する。したがって、ドットの面積の標準偏差を測定することにより、実際に紙に出力しなくとも、画像の平均粒状性を予測することができる。これが、平均粒状性を予測できる根拠である。
【0078】
図8は、測定パターンを、各領域に1ドットを含む矩形領域に分割したことを示す模式図である。ここで、各点の面積の測定は、次のようにして行った。画像を反射率等の測定量を用いて所定のスレッシュレベルにより2値化を行う。2値化により低反射率側に分類された画素の総和に1画素あたりの面積を乗じた値を、各領域におけるドット面積として算出する。図7に示した、面積の標準偏差と出力画像の粒状度との関係は、複数の線数(106線、150線、212線)での測定結果を含んでおり、同一パターンを用いる限りにおいては線数に依存しない。
【0079】
このことは、本発明者が実験によって明らかにした事項である。したがって、粒状性を予測するために使用する測定パターンは、出力機種や中間調処理が異なる場合にも、同一パターンを用いることができる。逆に、異なる測定パターンを使用すると、面積の標準偏差に対する粒状度の傾きが異なるため、正確な画質予測ができなくなるので、必ず同一パターンを使用する必要がある。
【0080】
また、ドット面積の標準偏差の代わりに、たとえば、各矩形領域ごとに算出される面積から、該面積と等しい面積を与える円の半径(これを、円相当径とよぶ)を算出してもよいし、各矩形領域での面積率や面積率から算出される明度や濃度等の値を用いてもよい。
【0081】
(1)式にドット面積の標準偏差を用いた粒状度予測式を示す。
粒状度=472.5×[ドット面積の標準偏差]−0.1 (1)式
ちなみに、円相当径は、半径をr、図18の各矩形内でのトナーの総面積をSとすると、
r=(S/π)^0.5
と表される。
【0082】
ここで、中間転写体25上に形成されたパターンを検出しパターン計測部でドット面積等の計測を行う場合には、感光体から中間転写体へ画像の転写時に、トナー飛散が多く発生する。これら、小さなトナー粒子は実際には紙に転写されないものが多く、最終画質へは影響を与えない。
【0083】
したがって、パターン計測に先立ち、検出された画像データ中から微粒子の除去を行うことで、紙等の記録媒体に転写されないトナー粒子を除去でき、より精度の高い画質予測が可能となる。
【0084】
(階調性)
図9は、ドットの平均面積と出力に使用した線数の積に対する階調性を示したグラフである。これは、明度特性を直線回帰したときの寄与率、および、粒状度予測に用いたパターンのドットの平均面積と出力に使用した線数の積との関係を示している。図9を参照しながら、階調性の予測方法について説明する。ここで、階調性とは入力された画像信号に対する出力画像の明度特性として定義する。
【0085】
式(2)に予測式の例を示す。但し、本発明はこの予測式に限定するものではない。
階調のリニアリティ=
−0.23×[ドット面積]×[線数]−0.5 (2)式
【0086】
明度特性を直線回帰したときの寄与率が高い(1に近い)ほど、明度特性はリニアであることを示している。明度は人間の明るさ知覚と線形になるように構成された心理物理量である。したがって、出力機の出力特性が明度リニアであることは、出力されるすべての階調において、隣接する階調との差が均等となり、階調がつぶれたり、あるレベルで階調が飛んで偽輪郭を生じさせるといったことが少ないことを意味し、エンジンの階調特性としては最も好適な状態であることを示している。
【0087】
(鮮鋭性)
図10は、6c/mmの空間周波数におけるMTFを、(3)式により、ライン幅とラインのエッジ幅を用いてMTF予測した結果を示したグラフである。(3)式は以下の通りである。
鮮鋭度=
−4.6×|理想線幅−線幅|−4.1[ラインエッジ幅]+0.76 (3)式
Modulation Transfer Function (振幅伝達関数)とは、被写体のコントラストをどれだけ忠実に像として再現できるかを表す指標である。図10を参照しながら、鮮鋭性の予測方法について説明する。両者は高い相関を示しており、ラインの形状特性からMTFを予測できることが分かる。
【0088】
本発明はMTFの予測を(3)式を用いて行ったが、これに限定するものではなく、たとえば、エッジ幅に代わる測定量としてライン間に飛散したトナー粒子数や面積を用いてMTFを予測してもよい。
【0089】
ライン幅は、検出されたパターンの画像を、画像の反射率の最大値と最小値から算出される所定の閾値レベルで2値化して得られる2値画像におけるライン幅方向の画素数として算出することができる。ライン幅の算出方法についてはJIS X 6930で定義されており、これに準じた方法で測定するものであってもよい。
【0090】
ラインエッジ幅は、ライン幅の測定を異なる2つの閾値レベルで実施し、そのときのライン幅の差分値に1/2を乗じて求めることができる。
【0091】
(1.3.故障の予測)
(故障予測部240)
故障予測部240が算出する故障確率の算出方法の具体例を以下に説明する。ここで、故障予測をマハラノビス距離(Mahalanobis distance)を用いて行うことができる。マハラノビス距離とは、正規母集団と標本との距離尺度である。たとえば、予めプロセス条件を種々に変化させて画像品質をふった画像群を作成し、これに対して主観評価を行い、装置故障と判定された画像群を抽出し、抽出された画像を用いて、基準空間を作成する。この場合、故障していない状態を基準空間としてもよいことは、いうまでもない。
【0092】
そして、実際に感光体または中間転写体上の測定パターンを測定して得られた各測定値に対して、基準空間をもとに、マハラノビス距離を算出し、各測定値のマハラノビス距離から故障予測値を算出すればよい。また、基準空間からの距離を故障予測値としてもよいし、該距離に応じて算出される確率として故障予測値を与えてもよい。
【0093】
故障確率は、たとえば正常状態から故障状態へ(4)式に示すようなロジスティック関数に従って遷移すると仮定すると、簡単に求めることができる。
故障確率=1/(1+exp(−x)) (4)式
ただし、xは正常(故障していない)状態を基準空間としたときの、基準空間からの距離である。
【0094】
マハラノビス距離を用いることにより、面積や幅など、さらには履歴情報から得られる経時的な変動特性など、次元の異なる測定量を基準空間からのマハラノビス距離として取り扱うことができるので、故障判定や評価尺度の構築を効率的に行うことができる。
【0095】
また、装置における各部の故障確率も、装置に対して作成した基準空間を各部ごとに作成することで、全く同様に算出することができる。
【0096】
故障確率を算出する方法は、マハラノビス距離を用いる方法に限定するものではなく、ベイズ統計を用いて故障確率を推定してもよいし、他の統計手法によってもよい。
【0097】
ここでは、実際に紙等の記録媒体に出力することなく、中間転写体25上のドットパターンとラインパターンを作成し、前記パターンを読み取り、読み取ったパターンの形状特性から粒状性、階調性、鮮鋭性などの画質因子に対する品質を予測する。このとき、予測に必要なパラメータ等は記憶手段から読み込み使用する。また、中間転写体25上でなく、感光体上に潜像を形成して形成された潜像におけるパターンを読み取って予測する構成とすることも出来る。
【0098】
次に、故障予測部240は、測定された画質予測結果を履歴記憶部250に記憶すると共に、履歴記憶部250に記憶された過去の画質予測結果を含めて、現状が所定の変動範囲にあって、各画質因子はバランスがとれ安定した状態にあるのか、それとも劣化傾向にあるのか等について統計的な手法を用いて解析し、装置が故障している確率を算出する。
【0099】
算出する値は、厳密な意味での確率である必要はなく故障のし易さ、または故障している可能性の度合を表す評価量であればよく、故障が発生するまでの出力枚数のようなものであってもよい。さらには、算出される故障確率は、現時点での故障確率であってもよいし、所定枚数出力後の故障確率であってもよい。
【0100】
図11は、実施の形態1による画像形成手順を説明するフローチャートである。画像形成部210は、画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cを制御して、図4に示した計測用画像パターン生成する(ステップS101)。画像計測部220は、生成された画像パターンを図5および6で示したパターン検出部により読み取り(ステップS102)、画像パターンの形状を計測する(ステップS103)。画質算出部230は、既に説明した粒状性、鮮鋭性、および階調性などを含む出力画像の品質予測値を算出し(ステップS104)、故障予測部240は、履歴記憶部250の履歴情報を読み出して、故障確率を算出する(ステップS105)。故障予測部240が算出する故障確率の手順は以下に説明する。
【0101】
図12は、故障予測の手順説明するフローチャートである。故障予測部240が行う故障予測の手順は、先ず故障予測部240が履歴記憶部250から履歴情報を読み出して(ステップS201)、マハラノビス距離を算出する(ステップS202)。そして、故障確率を(4)式1/(1+exp(−x))によって、算出する(ステップS203)。
【0102】
(1.4.効果)
このように実施の形態1による画像形成装置102は、画像計測部220は、画像形成部210によって作成された中間転写体上の画質測定用パターンを計測し、画質算出部230は、画像計測部220により計測された結果を基に出力画像品質を予測し、故障予測部240は、画質算出部230により算出された画質予測結果をもとに故障確率を算出するので、画像パターンを記録媒体上に形成することなく、効率的に故障確率を予測することが出来る。
【0103】
(2.実施の形態2)
図13は、実施の形態2による画像形成装置の機能的ブロック図である。実施の形態202が実施の形態1と異なる点は、状態情報取得部280をさらに備えて装置の状態に関する情報を取得し、故障予測部240は、画質算出部230によって算出された画質に加えて、状態情報に基づいて故障を予測する点である。
【0104】
状態情報取得部280は、画像形成装置の状態情報を取得し、取得した状態情報および履歴記憶部250に格納された履歴情報に基づいて、故障確率を求めるものである。ここでは、故障確率を算出に先立ち、設置環境情報(温度、湿度)を含む装置の状態に関する情報を取得し、この情報をさらに加えて、故障確率算出に用いる。
【0105】
図14は、実施の形態3による画像形成手順を説明するフローチャートである。ステップS304までは、図11におけるステップS104までと同じであるので説明を省略する。状態情報取得部280は、装置の環境情報である装置の温度および湿度の情報を取得し(ステップS305)、故障予測部240は、出力画像の品質予測値と、装置の温度および湿度情報とに従って故障確率を予測する(ステップS306)。
【0106】
これにより、たとえば、環境温度により、故障判定に対し補正する等の処理を行うことで予測精度の向上を図ることができる。
【0107】
(3.実施の形態3)
図15は、実施の形態3による画像形成装置の機能的ブロック図である。実施の形態3による画像形成装置203が実施の形態2と異なる点は、プロセス制御部290をさらに備えて、故障確率の算出の前に、装置の状態に関する情報(たとえば、プロセスパラメータ値や設置環境情報(温度、湿度))を取得し、故障予測部240は、画質算出部230によって算出された画質および状態情報に加えて、上記のプロセスパラメータ値や設置環境情報(温度、湿度))などに基づいて故障を予測する点である。これによりプロセスパラメータ値、たとえば、環境温度により故障判定に対し補正する等の処理を行うことで予測精度の向上を図ることができる。
【0108】
得られた画質予測結果が、たとえば粒状性が悪い場合、これはドットの再現が不安定であるために発生するので、露光量を増加することにより、再現するドットサイズを大きくすることで安定化を図ることができる。また、ハーフトーン処理を変えることで粒状性の劣化を目立たなくするなどの画像処理方式の選択などの対応を図ることができる。
【0109】
プロセス制御部290は、画質算出部230で算出された画像品質の予測値をもとに、画像出力条件を決定する。このとき、予め画像品質の基準値を設定しておき、基準値との偏差の大きさに応じて出力条件を調整させるようにしてもよい。
【0110】
図16は、実施の形態3による画像形成手順を説明するフローチャートである。ステップS401からステップS404までは図11のステップS101からステップS104までと同じであるので説明を省略する。プロセス制御部290は、作像プロセス条件を算出する。ここでは、例えばプロセス制御部290は、出力画像の品質予測値から露光量を増加させる増加量を算出し(ステップS405)、算出した露光量の増加量によりプロセス条件を制御し(ステップS406)、状態情報取得部280は、装置の状態情報を取得し(ステップS407)、故障予測部240は、プロセス制御部290によって制御されたプロセス条件の下での装置の状態情報によって故障確率を算出する(ステップS408)。
【0111】
このようにして、画質算出部によって算出された画像品質の予測値から、プロセス制御部が作像プロセスを制御して状態情報を取得し、故障予測部が故障確率を算出することによって、より高品質な画像を形成しながら正確な故障予測することが出来る。
【0112】
(3.1.変形例1)
変形例による画像形成装置が、実施の形態3による画像形成装置と異なる点は、プロセス制御の結果をフィードバックする点である。故障予測に先立って行うプロセス制御が異なるものである。
【0113】
図17は、画像形成装置の操作パネル部分の模式図である。ここでは、プロセス制御部が作像プロセス条件を算出して制御する繰り返し回数Nを、操作パネル330の操作ボタンが押下されることによって、入力部270が押下された回数情報(N)を受け付けて設定し、N回の画質予測とプロセス制御を繰り返す。このとき設定回数以内であっても画質予測結果が十分な画質が得られると判断した場合には、プロセス調整は行わない。また、調整の結果画質が十分でなくとも設定回数N以上は調整を繰り返さない。いずれにせよ、最終画質予測結果を用いて故障予測を実施する。
【0114】
プロセス調整を行った後に再度評価パターンを感光体もしくは中間転写体上に形成し、パターンの形状計測と画質予測を行い、測定された画質予測結果と履歴情報から故障を予測するので、プロセス制御を伴う故障予測をよりきめ細かく正確に実施することが出来る。
【0115】
つまり、プロセス制御において、一つの調整項目が単一の画質因子(たとえば粒状性のみ)と独立な関係にあるようなことはほとんどなく、多くの場合、相互作用をもっているので、1回の調整で全ての因子が満足する範囲に収まるとは限らない。
【0116】
たとえば、鮮鋭性、階調性が所定範囲内にあり粒状性のみが悪かった場合、粒状性が向上するようにパラメータを調整した結果、階調性が低下し所定範囲外になってしまうといったことが発生する。
【0117】
図18は、変形例による画像形成手順を説明するフローチャートである。ステップS504までは図11のステップS104と同じであるので説明を省略する。プロセス制御部290のカウンタは受け付けた回数が設定されたNより少なく、かつ、プロセス制御の必要性があるかを判定し(ステップS505)、必要がない場合は(ステップS505のNo)、図16で説明したステップS407と同様のステップS510に移行する。
【0118】
プロセス制御部290が受け付けた回数がNより少なくかつプロセス制御の必要性があると判定した場合(ステップS505のYes)、プロセス制御部はステップS405および406で行ったプロセス制御を行い(ステップS506、507)、カウントがNであるか否かを判定する(ステップS508)。Nでなければ(ステップS508のNo)、カウントをインクリメントして(ステップS509)ステップS501に戻り、同じステップを繰り返す。カウントがNであると判定した場合(ステップS508のYes)、ステップS407および408と同様に状態情報を取得し故障確率を算出するステップを行う(ステップS510、511)。
【0119】
このように最終的な故障予測を、プロセス調整を複数回行った後に測定した画質予測値を用いるようにすることにより、故障予測に対する精度を高めることができる。
【0120】
また、測定とプロセス条件の調整を複数回繰り返すことで、プロセス条件をより最適な状態に設定することが可能である。
【0121】
また、本発明では、実際に紙への出力は行わないので、このような繰り返し調整ステップを踏んだとしても、コスト上の損失は少なくて済むというメリットがある。
【0122】
(3.2.変形例2)
他の変形例による画像形成装置は、装置が故障と判定された場合、各画質予測結果、温度、湿度、各制御パラメータおよびそれらの履歴情報をもとに、出力装置を構成する主要な構成要素ごとに故障確率を算出する点が異なる。
【0123】
これにより、たとえばサービスマンへ故障の旨を報知する際に、各部の故障確率算出結果を付加して報知することにより、熟練したサービスマンでなくとも適切な対応をとることが容易になり、結果としてユーザに対して迅速な対応が可能となり、サービスの向上と故障による損失を低減することが可能となる。
【0124】
また、各部の故障確率も、前述した装置に対して故障予測の説明で述べた基準空間を各部ごとに作成することで、全く同様に装置のみならず各部毎に算出することができる。
【0125】
また、カラープリンタの場合、上記測定パターンの形状特性による画質予測および故障予測は、各色のトナー像を形成するユニットごとに実施することが望ましいが、代表色(たとえば黒色)に対する画像品質を予測し、プロセス条件を調整してもよい。
【0126】
(4.実施の形態4)
図19は、実施の形態4による画像形成装置の機能的ブロック図である。実施の形態4による画像形成装置が、実施の形態1と異なる点は、報知部295を備え、故障予測値が基準値より高いと判定した場合、通信部260にネットワークを介して接続する他の端末に故障予測に関する情報を送信させる点である。
【0127】
ここで、故障確率Pfを故障の有無を判別する基準値として設定しておき、基準値をクリアしない場合に、通信部260は、プリンタ上の表示装置やネットワーク上の端末へ通知、さらには他のサービスマンや管理者の場所にある端末60に報知を行う。
【0128】
ユーザが故障と判断したときにたとえばサービスマンへ画質予測値や故障予測値およびそれら履歴情報を送信するための送信先入力および送信の実行指示は、入力部270より行う。入力部270が操作入力を受け付けることによって、所定のアドレスへ画質予測結果や状態情報およびそれら情報の履歴を送信するようにしてもよいし、予め所定の端末または操作者に対して前記情報の読み取りを許可する形態であってもよい。
【0129】
図20は、実施の形態4による画像形成手順を説明するフローチャートである。図20は、特徴的なステップのみを示したものであり、例えば図11の故障予測部240が故障確率を算出した(ステップS105)後、履歴記憶部250に算出した故障確率を格納し、報知部295は、格納された故障予測値を読み出して(ステップS601)、基準値Pfと比較する(ステップS602)。基準値より高い場合は(ステップS602のYes)、通信部260は、管理端末60などに故障予測値を送信する(ステップS603)。また、基準値以下の場合は(ステップS602のNo)、そのまま終了する。
【0130】
これにより、普段はプリンタの状態をチェックする作業からユーザは解放され、改善処置も速やかに取ることができる。
【0131】
また、サービスマンや管理者への報知に際し、故障確率のみではなく履歴情報の送信もしくは、要求に応じて該履歴情報を送信するように構成することにより、サービスマンは故障状況を詳細に知ることができるので、故障状況把握のためだけにユーザを訪問するといった無駄な作業を省き、故障原因をある程度絞り込み代替え品等を予め用意した上でユーザを訪問するといった、迅速かつ効率的な対応処置を取ることができる。したがって、ユーザは装置の故障による損失を低減することができる。さらには、修理サービスに掛かるコストを低減できる。
【0132】
とくに、本発明の場合、サービスマンへ送信する情報として、単なるプロセスパラメータではなく、人間の知覚との相関がある評価量を含んでいるので、故障の度合が把握しやすく、サービスマンも適切な行動を取りやすいといったメリットがある。
【0133】
さらに、本発明の装置は故障確率が基準値をクリアしていても、ユーザによっては故障であると判断したり、予想し得なかった原因により故障が発生した場合に、ユーザが管理者またはサービスマンに対し、画質予測結果および装置の状態情報を、装置に接続されたネットワーク回線を通じて送信するための、操作手段が設けられていてもよい。
【0134】
いずれにしても、管理者またはサービスマンは必要に応じて、前記情報を容易に取得することができるので、迅速な対応をとることが可能となる。
【0135】
なお、ここで送信先として、登録した端末にのみ送信する構成とするのが望ましい。
【0136】
(4.1.変形例3)
変形例による画像形成装置は、故障確率が故障判別確率Pf以下であっても、故障確率に応じて校正周期を異ならせるようにした構成とする。
【0137】
図21は、出力枚数に対する故障確率の増加を表すグラフである。このグラフから、出力枚数の増加に伴って装置の故障確率が増加していくことがわかる。
【0138】
これにより、故障確率が高くなることは、装置の状態が不安定または不安定に陥りやすい状態になることを示している。このような場合に校正周期を短くすることで、装置の状態を安定に保つことが可能となる。
【0139】
今まで、故障確率がPc以下である場合には、出力枚数がN枚ごとに校正を実施し、故障確率がPc以上のときには、出力枚数がM枚ごとに校正を実施するように、校正周期の設定値を変更する。ここで、M<Nである。つまり、この場合、最初の基準値よりもさらに低い基準値以下である場合はそのままN回の校正周期とし、該さらに低い基準値と最初の基準値の間にある場合には、校正周期を短く、即ちより頻繁に校正を行う。
【0140】
ここでは、校正周期を変更する基準値を1つのみとしたが、これに限定するものではなく、校正周期を切り替える基準値は複数あっても構わないし、校正周期を故障確率の関数とした連続値として設定するようにしても構わない。
【0141】
図22は、変形例による画像形成手順を説明するフローチャートである。ステップS701から703までは、図20のステップS601から603までと同様であるの説明を省略する。
【0142】
報知部295が、故障予測値は基準値Pfより高くないと判定した場合(ステップS702のNo)、さらに基準値Pcより高いか否かを判定し(ステップS704)、高くないと判定した場合(ステップS704のNo)、そのまま終了する。
【0143】
一方、報知部295が、基準値Pcより高いと判定した場合(ステップS704のYes)、校正(キャリブレーション)の周期をM回に変更する(ステップS705)。
【0144】
これにより、出力枚数の増加に伴って、即ち、装置を使用すればするほど、故障確率が高くなり、装置の状態が不安定または不安定に陥りやすい状態になることを、校正周期を短くすることによって、より安定な状態に保つことが可能となる。
【0145】
(5.全体構成)
図23は、実施の形態1にかかる画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタの構成図である。ここではタンデム型のデジタルカラープリンタを用いて、本発明の構成を説明するが、本発明は、カラー複写機/ファクシミリ等においても有効である。図2および図23を参照しながら、デジタルカラープリンタ1による一般的な画像形成動作について説明する。
【0146】
デジタルカラープリンタ本体1は、その一端側の上部に、原稿2の画像を読み取る画像読取装置(IIT:Image Input Terminal)4を備える。また、デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像読取装置4や図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに、所定の画像処理を施す画像処理装置(IPS:Image Processing System)12と、画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置(IOT:Image Output Terminal)100とが配設されている。
【0147】
デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像出力装置100を構成する画像形成ユニットとして、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cが、水平方向に沿って一定の間隔をおいて配列されている。4つの画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cの下方には、これらの画像形成ユニットで順次形成される各色のトナー像を、互いに重ね合わせた状態で転写する中間転写ベルト25が、矢印方向に沿って回動可能に配設されている。中間転写ベルト25上に多重に転写された各色のトナー像は、給紙トレイ39等から給紙される記録材としての記録用紙34上に一括して転写された後、定着器37によって記録用紙34上に定着され、外部に排出される。
【0148】
なお、図23に示す実施の形態では、画像出力装置100が、各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cで形成された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を、中間転写ベルト25上に互いに重ね合わせた状態で一次転写した後、当該中間転写ベルト25から記録用紙34上に一括して二次転写することにより、カラー画像を形成するように構成した例について説明したが、これに限定されるものではなく、各画像形成ユニットで形成された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を、用紙搬送ベルトによって搬送される記録用紙上に互いに重ね合わせた状態で転写することにより、カラー画像を形成するように構成したものにも適用可能である。また、各画像形成ユニットの色の順序は、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に限定されるものではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)など如何なる順序であっても良い。
【0149】
タンデム型のデジタルカラープリンタ1の本体の一端側の上部には、原稿2をプラテンガラス5上に押圧するプラテンカバー3と、プラテンガラス5上に載置された原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配設されている。この画像読取装置4は、プラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0150】
画像読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置12(Image Processing System)に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の反射率データに対して、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。
【0151】
画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8bit)の4色の原稿色材階調データ(ラスタデータ)に変換され、次に述べるように、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像形成ユニット13K、13Y、13M、13CのROS14K、14Y、14M、14C(Raster Output Scanner)に送られる。これらのROS14K、14Y、14M、14Cは、所定の色の原稿色材階調データに応じてレーザー光による画像露光を行なう。
【0152】
ところで、タンデム型のデジタルカラープリンタ本体1の内部には、上述したように、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4つの画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。これらの4つの画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cは、すべて同様に構成されており、大別して、矢印方向に沿って所定の回転速度で回転する感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電用のスコロトロン16と、当該感光体ドラム15の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する画像露光装置としてのROS14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を現像する現像器17、クリーニング装置18とから構成されている。
【0153】
ROS14は、図23に示すように、半導体レーザー19を原稿色材階調データに応じて変調して、この半導体レーザー19からレーザー光LBを階調データに応じて出射する。この半導体レーザー19から出射されたレーザー光LBは、反射ミラー20、21を介して回転多面鏡22によって偏向走査され、再び反射ミラー20、21及び複数枚の反射ミラー23、24を介して像担持体としての感光体ドラム15上に走査露光される。
【0154】
画像処理装置12からは、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像形成ユニット13K、13Y、13M、13CのROS14K、14Y、14M、14Cに各色の画像データ(ラスタデータ)が順次出力され、これらのROS14K、14Y、14M、14Cから画像データに応じて出射されるレーザービームLBが、それぞれの感光体ドラム15K、15Y、15M、15Cの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。各感光体ドラム15K、15Y、15M、15Cに形成された静電潜像は、現像器17K、17Y、17M、17Cによって、それぞれ黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像として現像される。
【0155】
各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cの感光体ドラム15K、15Y、15M、15C上に、順次形成された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cの下方に配置された中間転写体としての中間転写ベルト25上に、一次転写ロール26K、26Y、26M、26Cによって多重に転写される。この中間転写ベルト25は、ドライブロール27と、ストリッピングロール28と、ステアリングロール29と、アイドルロール30と、バックアップロール31と、アイドルロール32との間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印方向に所定の速度で循環駆動されるようになっている。転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0156】
転写ベルト25上に多重に転写された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像は、バックアップロール31に圧接する2次転写ロール33によって、圧接力及び静電気力で記録用紙34上に2次転写され、この各色のトナー像が転写された記録用紙34は、2連の搬送ベルト35、36によって定着器37へと搬送される。そして、各色のトナー像が転写された記録用紙34は、定着器37によって熱及び圧力で定着処理を受け、複写機本体1の外部に設けられた排出トレイ38上に排出される。
【0157】
記録用紙34は、図2に示すように、複数の給紙トレイ39、40、41のうちの何れかから所定のサイズのものが、給紙ローラ42及び用紙搬送用のローラ対43、44、45からなる用紙搬送経路46を介して、レジストロール47まで一旦搬送される。給紙トレイ39、40、41のうちの何れかから供給された記録用紙34は、所定のタイミングで回転駆動されるレジストロール47によって中間転写ベルト25上へ送出される。そして、黒色、イエロー色、マゼンタ色及びシアン色の4つの画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cでは、上述したように、それぞれ黒色、イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナー像が所定のタイミングで順次形成されるように構成されている。
【0158】
なお、感光体ドラム15K、15Y、15M、15Cは、トナー像の転写工程が終了した後、クリーニング装置18K、18Y、18M、18Cによって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。また、中間転写ベルト25は、ベルト用クリーナー48によって残留トナーが除去される。
【0159】
(6.ハードウェア構成など)
図24は、かかる画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図に示すように、この画像形成装置は、コントローラ910とエンジン部960とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ910は、画像形成装置全体の制御と画像読み取り、画像処理、操作部(不図示)からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能な画像処理エンジンなどであり、例えば取得した画像データに対して誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0160】
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)916と、ハードディスクドライブ918とを有し、ノースブリッジ913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM(Read Only Memory)912aと、RAM(Random Access Memory)912bとをさらに有する。
【0161】
CPU911は、画像形成装置の画像形成制御、および画像形成装置の全体制御を行うものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0162】
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGP915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0163】
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、画像処理時の画像描画メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0164】
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部(不図示)なども接続される。
【0165】
ASIC916は、マルチメディア情報処理用のハードウェア要素を有するマルチメディア情報処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0166】
このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)940、IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース950が接続される。
【0167】
MEM−C917は、送信用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0168】
AGP915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィクスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0169】
ASIC916に接続するキーボード920は、操作者からの操作入力を受け付けて、ASIC916に受け付けられた操作入力情報を送信する。
【0170】
本実施形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0171】
さらに、本実施形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、また、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0172】
本実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、上述した各部(画像形成部、画像計測部、画質算出部、故障予測部、状態情報取得部、通信部、履歴記憶部、入力部、およびプロセス制御部等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、画像形成部、画像計測部、画質算出部、故障予測部、状態情報取得部、通信部、履歴記憶部、入力部、およびプロセス制御部等が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0173】
以上説明した本発明の実施の形態およびそれらの実施例は、説明のための例であって、本発明はここに説明したこれらの例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0174】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体は画像形成技術に有用であり、特に記録紙に印刷出力する画像形成技術に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】実施の形態1による画像形成装置の要部の機能的ブロック図である。
【図2】実施の形態1による画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタを示す概略構成図である。
【図3】画像計測部の機能的ブロック図である。
【図4】実施の形態による画像形成部が形成する測定用の画像パターンの一例を示す模式図である。
【図5】パターン検出部が検出する動作を説明する図である。
【図6】測定用画像パターンを照明する光束を説明する図である。
【図7】ドット面積の標準偏差に対する粒状度を示すグラフである。
【図8】測定パターンを、各領域に1ドットを含む矩形領域に分割したことを示す模式図である。
【図9】ドットの平均面積と出力に使用した線数の積に対する階調性を示したグラフである。
【図10】6c/mmの空間周波数におけるMTFを、(3)式により、ライン幅とラインのエッジ幅を用いてMTF予測した結果を示したグラフである。
【図11】実施の形態1による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図12】故障予測の手順説明するフローチャートである。
【図13】実施の形態2による画像形成装置の機能的ブロック図である。
【図14】実施の形態3による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図15】実施の形態3による画像形成装置の機能的ブロック図である。
【図16】実施の形態3による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図17】画像形成装置の操作パネル部分の模式図である。
【図18】変形例による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図19】実施の形態4による画像形成装置の機能的ブロック図である。
【図20】実施の形態4による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図21】出力枚数に対する故障確率の増加を表すグラフである。
【図22】変形例による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図23】実施の形態1にかかる画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタの構成図である。
【図24】かかる画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0176】
210 画像形成部
220 画像計測部
230 画質算出部
240 故障予測部
250 履歴記憶部
260 通信部
270 入力部
280 状態情報取得部
290 プロセス制御部
295 報知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体に関し、特に画像形成装置が出力する画質を、画像パターンの計測結果から予測して故障予測を行う画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テストパターン出力の評価と、その結果によるプロセスパラメータへのフィードバックを含む校正サイクルを定期的に実行して画像品質を保持すると共に、プロセスパラメータの補正履歴を勘案してプロセスの劣化限界を予測しアラームを発する技術があった。この技術で行っているテストパターン評価は、ラインパターンを出力し、このパターンと装置内に設けた格子状のスリットパターンとの干渉による輝度変動を検出することで、ラインの再現性能つまり鮮鋭性に関する評価を行っている(特許文献1)。
【0003】
また、画質を測定し、プロセスを調整するものとして以下のような技術がある。像担持体上に基準画像を形成し、該基準画像の濃度をPセンサ等の検出手段により検出し、出力値と比較する基準値に上下限値を設け、これらの関係からプロセス条件を変えることにより現像材の劣化による文字のつぶれ、にじみなどが画像に発生するのを防止することを図っている(特許文献2)。
【0004】
また、感光ドラム上に形成した基準パターンに対するトナー付着量をPセンサにより検知し、検知結果に基づき転写用電流の制御値を補正している技術がある。このとき、Pセンサの出力値が3.6Vより低い場合は帯電を50V高く電流を2μA低くし、Pセンサの出力が3.8Vより高い場合は帯電を50V低く電流を2μA高くするように調整を行っている(特許文献3)。
【0005】
また、画像出力装置の出力状態を検知し、検知結果を通信手段を介して画像出力装置の制御装置に送信し、制御装置において補正値を算出し、算出された補正値を用いて出力装置を制御する技術もある。この技術では、たとえば色ずれや線幅、線濃度等を測定し、目標値となるように、補正を行うものである(特許文献4)。
【0006】
また、ドットやラインにより面積率の異なるパターンを形成し、Pセンサにより濃度を検出し、検出結果に基づいてプロセス条件を異ならせることで、ドットつぶれやラインつぶれを防止することを行っている技術がある(特許文献5)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−351166号公報
【特許文献2】特開2002−040725号公報
【特許文献3】特開2001−215761号公報
【特許文献4】特開2002−214865号公報
【特許文献5】特開平5−313453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、画質要因には、特許文献1に示されているような実質評価を行っている鮮鋭性の他に、画像のざらつきを表す粒状性や、階調の滑らかさに対応した階調性がある。とくに、自然画などのピクトリアル画像に対し、ユーザが満足する品質で画像出力するためには、前述の画質要因がバランスよく調整されている必要があるが、特許文献1には、このような調整については記載されていない。もちろん、文字画像のみを対象にする場合には鮮鋭性が最も重要な因子であるが、現状の出力装置において文字出力のみを対象とした装置はほとんどなく、用途として文字出力が主であっても、ピクトリアル画像の品質も高いことが要求されている。
【0009】
一般に電子写真の場合、各種パラメータと画質因子との関連は複雑であり、パラメータの補正により全ての画質要因が向上するとは限らない。つまり、あるパラメータの値を補正したことにより、たとえば粒状性は向上するが、鮮鋭性が低下するといった、相反する結果をもたらすことが多い。したがって、プロセスパラメータの補正値の決定や、画質劣化の限界値を設定し故障の有無の判定や予測を行う場合には、画質因子との相関がある評価量を総合的に分析し、補正値の決定や故障の予測を行う必要がある。
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術では、鮮鋭性に係わる評価量から決められた補正パラメータ値やその履歴情報のみから故障を判断しているので、鮮鋭性に対しては正常であっても、他の画質因子がどのような状態であるか把握できない。このため、判定を誤る可能性が高く、結果として画像が形成できないような極端な値になるまで、実質故障の判定できない場合が考えられる。よって、画質的にはまだ我慢ができるような早期の段階で故障を予測したり、プロセスへフィードバックすることが困難であった。
【0011】
また、出力装置に故障が発生し、画質的に満足できないような状態となった場合、ユーザからの呼び出しに応じてサービスマンが来訪し、故障状況を把握し、修理を行う。しかし、一般に来訪して故障状況を把握するまで修理に必要な部品等は不明であるから、交換部品等が手元にない場合には、調達後再訪し修理するといった手順が取られることになる。このように、故障が発生しユーザのもとへ出向くまで故障内容が把握できないことにより、ユーザを来訪する回数が増え、場合によっては部品発注のタイミングが遅くなるなどして、迅速な対応ができない、修理サービスに対するコストが増加するといった問題があった。
【0012】
また、特許文献2〜4に示された技術では、Pセンサのような検出手段を作像プロセスにより感光体や中間転写体上に形成された画像の平均的な反射率または濃度を測定し、この測定結果からプロセス条件を調整することで、異常画像等の発生を防止しようとするものである。しかしながら、反射率や濃度は、感光体や中間転写体の特性の影響を受けやすいので、材質が変更された場合、サービスマンが設定値の変更を行う必要が生じたり、ロットバラツキにより補正精度が低下するといった問題を有していた。画像品質を決定する因子として、粒状性、鮮鋭性、階調性が重要な因子であることは周知の事柄であるが、ここで示された技術では、階調特性(測定される濃度値)のみから、画像形成装置の作像条件を調整しており、1次元または2次元的な変動に関する測定は行っていない。したがって、前記変動特性と相関の高い粒状性や鮮鋭性の劣化を補正する調整は行うことができなかった。
【0013】
また、特許文献4の技術では、画像形成装置から実際に紙等の記録媒体に出力した画像の品質を測定し、測定結果を用いて画像処理へフィードバックしているので、画質測定のために記録媒体を消費しなければならずランニングコストが上昇するという問題を有していた。
【0014】
また、特許文献2、3,および5の技術では、画像形成装置が行っている濃度等の検出結果は、その画像形成装置が出力する粒状性、鮮鋭性、階調性といった主観的な画像品質と直接関連づけられていないので、出力により得られる画質の優劣を判断できない。したがって、検出結果を、画像処理装置がネットワーク上にある画像形成装置の画質の状態を知るために利用することは困難であり、出力装置の状態を測定しても内部調整以外には利用することができなかった。
【0015】
本発明はこのような問題に鑑みてなされ、その目的は、画像劣化の原因について画質因子と相関のある評価量を総合的に分析して画質の補正や故障の予測を行うことができ、また、故障が発生した場合にはユーザが故障内容を把握できることによりメンテナンスのコストを抑えることができ、また、画質劣化や故障予測についての情報をネットワーク上の画像処理装置に送信できる画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、画像形成装置であって、感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置において、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンの、少なくとも形状を計測する画像パターン計測手段と、前記画像パターン計測手段による画像パターンの計測に基づいて、出力画像の品質を予測する画質予測手段と、前記画質予測手段による画質予測の履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、前記履歴情報記憶手段による履歴情報を用いて故障を予測する故障予測手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記画像形成装置の状態情報を取得する状態情報取得手段を、さらに備え、前記履歴情報記憶手段は、前記状態情報取得手段による状態情報の履歴情報を記憶するものであり、前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記状態情報の履歴情報に基づいて、故障を予測するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記画質予測手段による画質予測に基づいて、画像形成のプロセス条件を調整する画像形成条件調整手段を、さらに備え、前記状態情報取得手段は、前記画像形成条件調整手段によって調整された画像形成のプロセス条件に基づいた前記画像形成装置の状態情報を取得するものであり、前記履歴情報記憶手段は、前記状態情報取得手段による状態情報の履歴情報を記憶するものであり、前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記状態情報の履歴情報に基づいて故障を予測するものであることを特徴とする。
【0019】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記故障予測手段は、前記画像パターン計測手段による画像パターンの計測、前記画質予測手段による画質予測、前記画像形成条件調整手段によるプロセス条件の調整、および前記画像パターン計測手段による前記プロセス条件の調整に基づく画像パターンの計測のサイクルを少なくとも1回以上繰り返した後に、前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記履歴情報に基づいて故障を予測するものであることを特徴とする。
【0020】
請求項5にかかる発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置は、互いに色の異なる画像形成ユニットを備えるものであり、前記画像パターン計測手段は、前記互いに色の異なる画像形成ユニットごとに画像パターンを計測するものであり、前記画質予測手段は、前記画像パターン計測手段による色ごとの画像パターンの計測に基づいて色ごとの出力画像の品質を予測し、前記履歴情報記憶手段は、前記画質予測手段による色ごとの画質予測を記憶し、前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段に記憶された色ごとの画質予測の履歴情報に基づいて、故障を予測するものであることを特徴とする。
【0021】
請求項6にかかる発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、前記画像パターン計測手段は、前記画像パターンを構成するドットの平均面積、前記ドットの平均面積の標準偏差、ドットの平均円相当径、前記ドットの平均円相当径の標準偏差、前記画像パターンを構成するラインのライン幅、および前記ラインのエッジ幅のうち、少なくともいずれかを計測して画像パターンを計測するものであることを特徴とする。
【0022】
請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置において、画像形成装置がトナーによる画像出力を行うものである場合、前記画像パターン計測手段は、所定サイズ以下で形成されるトナー像に対応する画像情報を、計測した画像情報から排除して、画像パターンを計測するものであることを特徴とする。
【0023】
請求項8にかかる発明は、請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像パターン計測手段は、前記画像パターンに対して略平行化された光束によって照明する照明手段、前記照明手段の光束を、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれに正反射させて結像させる結像手段、前記結像手段による結像を光電変換する光電変換素子、および前記光電変換素子によって光電変換された画像情報を解析する画像解析手段、を有し、前記画像パターンの少なくとも形状を計測するものであることを特徴とする。
【0024】
請求項9にかかる発明は、請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画質予測手段は、出力画像の品質として、粒状性、階調性、および鮮鋭性のうちの少なくともいずれかを予測するものであることを特徴とする。
【0025】
請求項10にかかる発明は、請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、前記画質予測手段は、前記粒状性については、ドット面積の標準偏差およびドット円相当径の標準偏差の少なくともいずれかを算出して予測するものであることを特徴とする。
【0026】
請求項11にかかる発明は、請求項1〜10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、前記画質予測手段は、前記階調性については、階調特性曲線のリニアリティを、ドット面積平均およびドット円相当径平均の少なくともいずれかと、階調画像を生成する所定の線数と、から算出して予測するものであることを特徴とする。
【0027】
請求項12にかかる発明は、請求項1〜11のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画質予測手段は、前記鮮鋭性については、特定空間周波数におけるMTFを、ライン幅およびラインエッジ幅から算出して予測するものであることを特徴とする。
【0028】
請求項13にかかる発明は、請求項1〜12のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記故障予測手段は、前記画像パターン計測手段が算出する各特性値のマハラノビス距離を、前記画像形成装置が故障であると判定された画像群に対してあらかじめ設定された前記特性値の基準空間に基づいて算出し、前記算出したマハラノビス距離に基づいて故障予測値を算出するものであることを特徴とする。
【0029】
請求項14にかかる発明は、請求項1〜13のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像パターンの計測、前記画像パターンの計測の履歴情報、前記故障予測、および前記故障予測の履歴情報の少なくとも1つの情報を、ネットワークを介して接続する端末に対して送信する送信手段を、さらに備えることを特徴とする。
【0030】
請求項15にかかる発明は、請求項14に記載の画像形成装置において、前記送信手段は、前記少なくとも1つの情報を、予め設定した所定の周期で予め登録した前記端末へ前記ネットワークを介して送信するものであることを特徴とする。
【0031】
請求項16にかかる発明は、請求項15に記載の画像形成装置において、前記故障予測が予め設定した所定値以上であると判定した場合、前記予め登録した端末へ故障予測を報知する決定をなす報知手段を、さらに備え、前記送信手段は、前記報知手段の決定に基づいて、前記予め登録した端末へ前記故障予測を送信するものであることを特徴とする。
【0032】
請求項17にかかる発明は、請求項16に記載の画像形成装置において、前記報知手段は、前記故障予測手段による故障予測に応じて、送信の周期を変更するものであることを特徴とする。
【0033】
請求項18にかかる発明は、請求項1〜17のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記故障予測手段は、前記画像形成装置を構成する各部分についての故障予測値も算出するものであることを特徴とする。
【0034】
請求項19にかかる発明は、画像形成方法であって、感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置における画像形成方法であって、画像パターン計測手段によって、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンの、少なくとも形状を計測する画像パターン計測工程と、画質予測手段によって、前記画像パターン計測工程における画像パターンの計測に基づいて、出力画像の品質を予測する画質予測工程と、履歴情報記憶手段によって、前記画質予測工程における画質予測の履歴情報を記憶する履歴情報記憶工程と、故障予測手段によって、前記履歴情報記憶工程における履歴情報を用いて故障を予測する故障予測工程と、を含むことを特徴とする。
【0035】
請求項20にかかる発明は、プログラムであって、請求項19に記載の画像形成方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0036】
請求項21にかかる発明は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、請求項20に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1にかかる発明によれば、感光体または中間転写体上にパターンを形成し、パターンの形状を計測するようにしているので、パターンの測定において、従来よく行われているPセンサ等の検出手段による濃度測定よりも、感光体や中間転写体の濃度ムラ等によるノイズの影響を受けにくく、精度および安定性のよい測定が可能である。また、形状測定を行った結果から画像形成装置が出力する画像の粒状性や階調性、鮮鋭性などに関する品質を予測し、予測結果およびその履歴情報に基づいて故障を予測するようにしているので、主観的な画質の良否と線形性が保証されないプロセスパラメータから故障を判断していたときに比べ、精度よく故障を予測することが可能となる。
【0038】
請求項2にかかる発明によれば、装置の状態に係わる情報、たとえば環境温度や湿度、プロセスパラメータなどの状態情報を予め取得し、この情報も用いて故障の予測を行うようにしているので、さらに精度の高い故障予測が可能となる。
【0039】
請求項3にかかる発明によれば、画質予測手段により得られた画質予測結果に基づき、画像形成のプロセス条件を調整する手段と、故障予測手段を有しているので、画像品質を安定して確保できると共に、画質が確保できないときに迅速な対応が可能となる。
【0040】
請求項4にかかる発明によれば、プロセス条件の調整後に再度画質予測を行い、この結果を用いて故障予測を行うようにしているので、プロセス調整による画質の向上度合や最新の状態での画質をもとに故障を予測でき、精度の高い故障予測が可能となる。
【0041】
請求項5にかかる発明によれば、カラー画像を形成する各色ユニットごとに画質予測と故障予測を行っているので、各色ごとに画像形成条件の最適化を行うことができ、結果高品質のカラー画像を得ることが可能となる。
【0042】
請求項6にかかる発明によれば、パターン計測手段はパターンを構成するドットの平均面積およびその標準偏差、ドットの平均円相当径およびその標準偏差、パターンを構成するラインのライン幅およびラインエッジ幅をのうち少なくともいずれかを計測するので、画像の基本的な品質を予測することができる。
【0043】
請求項7にかかる発明によれば、中間転写体上で画像パターンの形状特性を測定する場合、測定した画像から検出されるトナー像のうち、所定サイズよりも小さいものを除去するので、画質予測において、感光体から中間転写体へトナー像を転写したときに発生する飛散トナーのうち、記録媒体へ転写されない微粒子トナー成分を除くことができ、より精度の高い画質予測が可能となる。
【0044】
請求項8にかかる発明によれば、感光体または中間転写体上に形成されたパターンの検出を、略平行光化された光束により照明し、感光体または中間転写体上からの正反射光を結像するようにしているので、反射率が高い感光体や中間転写体は、白く検出されるのに対し、トナー像は反射率が低いため影のように黒く検出され、この結果高いコントラストでトナー像を取得することができるため、精度よくパターンの形状を測定することができる。
【0045】
請求項9にかかる発明によれば、画質予測手段が少なくとも粒状性、階調性、および鮮鋭性のいずれかを予測するので、画像形成装置により出力される画像品質を、効率および精度よく把握することができる。
【0046】
請求項10にかかる発明によれば、粒状性をドット面積の標準偏差、またはドット円相当径の標準偏差から算出するので、精度よく粒状性を予測することができる。
【0047】
請求項11にかかる発明によれば、階調特性曲線のリニアリティを、ドット面積平均もしくはドット円相当径平均と階調画像を作成するのに使用する所定の線数から算出するので、精度よく階調性を予測することができる。
【0048】
請求項12にかかる発明によれば、特定空間周波数におけるMTFを、ライン幅およびラインエッジ幅から算出するようにしているので、精度よく鮮鋭性を予測することができる。
【0049】
請求項13にかかる発明によれば、装置の故障を、良画像と判定された画像群により構成された基準空間をもとに、パターンを測定手段から得られた各特性値のマハラノビス距離を算出し、マハラノビス距離から故障確率を定量的に算出するようにしているので、効率的に故障の発生を予測することができる。
【0050】
請求項14にかかる発明によれば、測定結果、故障予測結果、およびこれらの履歴情報をネットワークを介して接続された端末へ送信可能であるので、画像形成装置を利用しようとするネットワーク上のユーザが、画像形成装置による出力画像品質を知ることができるとともに、故障発生時に故障内容を、送信先の外部端末に送信できるので、故障に対する適切な対応を迅速にとることができ、故障による損失を低減できる。
【0051】
請求項15にかかる発明によれば、測定結果、故障予測結果、およびこれらの履歴情報をネットワークを介して接続された端末へ定期的に所定の端末へ送信するので、装置の状態を管理者またはサービスマンなどにより、監視することができ、重大な故障にいたる前に処置を行うことが可能となり、故障による損失を回避することができる。
【0052】
請求項16にかかる発明によれば、故障予測結果が所定値以上となったとき、その情報を報知する報知手段を設けているので、不必要な通信を低減でき、装置を効率的に管理できる。
【0053】
請求項17にかかる発明によれば、故障予測結果に応じて校正のタイミングを変更するので、装置が劣化に伴い画質も劣化し、不安定になった場合にも、校正周期を自動的に調整することで、画質の経時変動を抑え、安定した画質を提供することが可能となる。
【0054】
請求項18にかかる発明によれば、故障している確率が安宅以下書を予測できるので、効率良く各部のメンテナンスを施すことが出来る。
【0055】
請求項19にかかる発明によれば、感光体または中間転写体上にパターンを形成し、パターンの形状を計測するようにしているので、パターンの測定において、従来よく行われているPセンサ等の検出手段による濃度測定よりも、感光体や中間転写体の濃度ムラ等によるノイズの影響を受けにくく、精度および安定性のよい測定が可能である。また、形状測定を行った結果から画像形成装置が出力する画像の粒状性や階調性、鮮鋭性などに関する品質を予測し、予測結果およびその履歴情報に基づいて故障を予測するようにしているので、主観的な画質の良否と線形性が保証されないプロセスパラメータから故障を判断していたときに比べ、精度よく故障を予測することが可能となる。
【0056】
請求項20にかかる発明によれば、請求項19に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させることが出来る。
【0057】
請求項21にかかる発明によれば、請求項20に記載のプログラムを記憶してコンピュータに読み取らせることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体の最良な実施の形態を、実施の形態1〜4に分けて詳細に説明する。
【0059】
(1.実施の形態1)
(1.1.画像形成装置の要部)
図1は、実施の形態1による画像形成装置の要部の機能的ブロック図である。図2は、実施の形態1による画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタを示す概略構成図である。タンデム型のデジタルカラープリンタ1には、実施の形態1による画像形成装置の要部が組み込まれている。デジタルカラープリンタ1は、画像読取装置2を備えており、フルカラーで複写出力できる。
【0060】
デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像出力装置100を構成する画像形成ユニットとして、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cが、水平方向に沿って一定の間隔をおいて配列されている。各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cで形成された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を、中間転写ベルト25上に互いに重ね合わせた状態で一次転写した後、当該中間転写ベルト25から記録用紙34上に一括して二次転写することにより、カラー画像を形成する。
【0061】
実施の形態1による画像形成装置201は、画像形成部210、画像計測部220、画質算出部230、故障予測部240、履歴記憶部250、通信部260、および入力部270を備える。
【0062】
画像形成部210は、ここでは、上記各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cを使用して、中間転写体上に画像パターンを形成する。しかし、画像形成部210は、感光体上に画像パターンを形成して、以下形成された画像パターンを検出する構成としても良い。
【0063】
画像計測部220は、画像形成部210によって作成された中間転写体上の画質測定用パターンを検出する。画質算出部230は、画像計測部220により計測された結果を基に出力画像品質を予測する。故障予測部240は、画質算出部230により算出された画質予測結果をもとに故障確率を算出する。履歴記憶部250は、各部の動作に必要な情報および各部で算出された結果やそれらの履歴情報を格納する。通信部260は、ネットワークにより接続された任意の端末90とコネクタを介して通信を行う。入力部270は、ユーザが各種設定を行うための入力を、ユーザインターフェースを介して受け付けるものであり、後述する画質予測の実施回数や、予測結果の送信先の設定を受け付ける。
【0064】
実施の形態1による画像形成装置は、画像形成部210が形成した画質測定用の画像パターンに対して、画質算出部230が画質を算出し、故障予測部240が履歴記憶部250から履歴情報を読み出して故障を予測するものである。
【0065】
以下、本発明の特徴となる故障予測の機能部分である画像形成装置の要部について重点的に説明し、一般的なデジタルカラープリンタ1の構成については公知であるので後述(図23)する。
【0066】
(1.2.画質の算出)
(画像計測部220)
図3は、画像計測部の機能的ブロック図である。画像計測部220は、パターン検出部60、画像メモリ221、解析部222、およびCPU223を有し、バスがこれらを接続している。
【0067】
パターン検出部60は画像を検出し、画像メモリ221は検出された画像を一時記憶する。解析部222は、読み取ったパターンを解析し、ドット面積およびドット面積の標準偏差、ライン幅、ラインエッジ幅などの計測値を算出する。ここで、パターン検出部60は、中間転写体上に形成された測定用パターンを読み取る。
【0068】
図4は、実施の形態による画像形成部が形成する測定用の画像パターンの一例を示す模式図である。図5は、パターン検出部が検出する動作を説明する図である。パターン検出部60は、光源61、結像レンズ62、および光電変換素子63を有する。
【0069】
光源61は、中間転写体25上に生成された画像パターンを照射し、反射光を結像レンズ62により、たとえばCCDセンサのような光電変換素子63上に結像させ、中間転写体上に形成されたトナー像を読み取る。このとき、光電変換素子63は、素子を1次元に配列した1次元ラインセンサであっても、2次元配列したエリアセンサであってもよい。検出部60は、図4に示した計測用のパターン401および402において、ドットおよびラインが周期的に配置されているかどうかを検出する。
【0070】
図6は、測定用画像パターンを照明する光束を説明する図である。ここで、照明光束を略平行光化し、中間転写体25からの正反射光を結像するように構成している。光源61は、1次元または2次元のLEDアレイを示しており、光源61からの光束を、拡散板64により拡散光化し、これを通称ライトコントロールフィルムと呼ばれる透過光束の配光方向を規制する機能性フィルム65を用いて平行光化したものを、ハーフミラー66により中間転写体25へ垂直落射照明する。そして、中間転写体25からの反射光束を、結像レンズ62により光電変換素子63上へ結像し、測定パターンの像を得る。
【0071】
ここで、照明光を略平行光化する方法を、ライトコントロールフィルム等の機能性フィルムを用いることに限定するものではなく、レンズを組み合わせて同様の効果を得てもよい。
【0072】
また、照明および結像方向も垂直落射に限定するものではなく、正反射光束を検出する相対的な位置関係にあればよい。しかし、斜め方向からエリアセンサを用いて2次元画像を得た場合には、画像の歪みを補正するための補正処置が必要となる。
【0073】
(画質算出部230)
画質算出部230は、画像計測部220で算出した測定量をもとに紙等の記録媒体上に出力されたときの画像品質の予測値を算出する。画質算出部230で予測する画質の詳細と予測方法については以下の通りである。
【0074】
一般に画質を決定する因子として、粒状性、鮮鋭性、階調性が重要であるとされており、少なくとも、前記3因子に対する画質評価値を求めることにより、最終的に得られる画質の大部分を説明することができる。
【0075】
ただし、本発明が測定パターンの形状特性から予測する画質評価量はこれら3因子のみに限定するものではなく、たとえばバンディングや色ずれ、地肌汚れ等の評価量を追加しても勿論よい。以下、測定パターンの形状特性値を用いて粒状性、鮮鋭性、階調性を予測する方法について説明する。
【0076】
(粒状性)
粒状性の予測方法について説明する。前述の図4のパターンのうちドットで構成されたパターン401は、600dpi,150線,0度の網点パターンを示しており、図中の各点は2×2ドットで構成されている。電子写真方式では、1×1ドットの再現性は著しく悪いことが多く、1×1ドットの面積を測定しても、全階調レベルでの粒状性との相関が低いことは、本発明者が行った実験により分かっており、少なくとも1×2ドット以上、好適には2×2ドットのドットパターンを用いることが好ましい。
【0077】
図7は、ドット面積の標準偏差に対する粒状度を示すグラフである。図17は、感光体または中間転写体上で、図4のパターン401の各点の面積を測定して算出した標準偏差と、実際に数種類の階調パターンを出力し測定した平均粒状度との相関を示している。図7に示すように、ドットの面積の標準偏差と平均粒状度には高い相関関係が存在する。したがって、ドットの面積の標準偏差を測定することにより、実際に紙に出力しなくとも、画像の平均粒状性を予測することができる。これが、平均粒状性を予測できる根拠である。
【0078】
図8は、測定パターンを、各領域に1ドットを含む矩形領域に分割したことを示す模式図である。ここで、各点の面積の測定は、次のようにして行った。画像を反射率等の測定量を用いて所定のスレッシュレベルにより2値化を行う。2値化により低反射率側に分類された画素の総和に1画素あたりの面積を乗じた値を、各領域におけるドット面積として算出する。図7に示した、面積の標準偏差と出力画像の粒状度との関係は、複数の線数(106線、150線、212線)での測定結果を含んでおり、同一パターンを用いる限りにおいては線数に依存しない。
【0079】
このことは、本発明者が実験によって明らかにした事項である。したがって、粒状性を予測するために使用する測定パターンは、出力機種や中間調処理が異なる場合にも、同一パターンを用いることができる。逆に、異なる測定パターンを使用すると、面積の標準偏差に対する粒状度の傾きが異なるため、正確な画質予測ができなくなるので、必ず同一パターンを使用する必要がある。
【0080】
また、ドット面積の標準偏差の代わりに、たとえば、各矩形領域ごとに算出される面積から、該面積と等しい面積を与える円の半径(これを、円相当径とよぶ)を算出してもよいし、各矩形領域での面積率や面積率から算出される明度や濃度等の値を用いてもよい。
【0081】
(1)式にドット面積の標準偏差を用いた粒状度予測式を示す。
粒状度=472.5×[ドット面積の標準偏差]−0.1 (1)式
ちなみに、円相当径は、半径をr、図18の各矩形内でのトナーの総面積をSとすると、
r=(S/π)^0.5
と表される。
【0082】
ここで、中間転写体25上に形成されたパターンを検出しパターン計測部でドット面積等の計測を行う場合には、感光体から中間転写体へ画像の転写時に、トナー飛散が多く発生する。これら、小さなトナー粒子は実際には紙に転写されないものが多く、最終画質へは影響を与えない。
【0083】
したがって、パターン計測に先立ち、検出された画像データ中から微粒子の除去を行うことで、紙等の記録媒体に転写されないトナー粒子を除去でき、より精度の高い画質予測が可能となる。
【0084】
(階調性)
図9は、ドットの平均面積と出力に使用した線数の積に対する階調性を示したグラフである。これは、明度特性を直線回帰したときの寄与率、および、粒状度予測に用いたパターンのドットの平均面積と出力に使用した線数の積との関係を示している。図9を参照しながら、階調性の予測方法について説明する。ここで、階調性とは入力された画像信号に対する出力画像の明度特性として定義する。
【0085】
式(2)に予測式の例を示す。但し、本発明はこの予測式に限定するものではない。
階調のリニアリティ=
−0.23×[ドット面積]×[線数]−0.5 (2)式
【0086】
明度特性を直線回帰したときの寄与率が高い(1に近い)ほど、明度特性はリニアであることを示している。明度は人間の明るさ知覚と線形になるように構成された心理物理量である。したがって、出力機の出力特性が明度リニアであることは、出力されるすべての階調において、隣接する階調との差が均等となり、階調がつぶれたり、あるレベルで階調が飛んで偽輪郭を生じさせるといったことが少ないことを意味し、エンジンの階調特性としては最も好適な状態であることを示している。
【0087】
(鮮鋭性)
図10は、6c/mmの空間周波数におけるMTFを、(3)式により、ライン幅とラインのエッジ幅を用いてMTF予測した結果を示したグラフである。(3)式は以下の通りである。
鮮鋭度=
−4.6×|理想線幅−線幅|−4.1[ラインエッジ幅]+0.76 (3)式
Modulation Transfer Function (振幅伝達関数)とは、被写体のコントラストをどれだけ忠実に像として再現できるかを表す指標である。図10を参照しながら、鮮鋭性の予測方法について説明する。両者は高い相関を示しており、ラインの形状特性からMTFを予測できることが分かる。
【0088】
本発明はMTFの予測を(3)式を用いて行ったが、これに限定するものではなく、たとえば、エッジ幅に代わる測定量としてライン間に飛散したトナー粒子数や面積を用いてMTFを予測してもよい。
【0089】
ライン幅は、検出されたパターンの画像を、画像の反射率の最大値と最小値から算出される所定の閾値レベルで2値化して得られる2値画像におけるライン幅方向の画素数として算出することができる。ライン幅の算出方法についてはJIS X 6930で定義されており、これに準じた方法で測定するものであってもよい。
【0090】
ラインエッジ幅は、ライン幅の測定を異なる2つの閾値レベルで実施し、そのときのライン幅の差分値に1/2を乗じて求めることができる。
【0091】
(1.3.故障の予測)
(故障予測部240)
故障予測部240が算出する故障確率の算出方法の具体例を以下に説明する。ここで、故障予測をマハラノビス距離(Mahalanobis distance)を用いて行うことができる。マハラノビス距離とは、正規母集団と標本との距離尺度である。たとえば、予めプロセス条件を種々に変化させて画像品質をふった画像群を作成し、これに対して主観評価を行い、装置故障と判定された画像群を抽出し、抽出された画像を用いて、基準空間を作成する。この場合、故障していない状態を基準空間としてもよいことは、いうまでもない。
【0092】
そして、実際に感光体または中間転写体上の測定パターンを測定して得られた各測定値に対して、基準空間をもとに、マハラノビス距離を算出し、各測定値のマハラノビス距離から故障予測値を算出すればよい。また、基準空間からの距離を故障予測値としてもよいし、該距離に応じて算出される確率として故障予測値を与えてもよい。
【0093】
故障確率は、たとえば正常状態から故障状態へ(4)式に示すようなロジスティック関数に従って遷移すると仮定すると、簡単に求めることができる。
故障確率=1/(1+exp(−x)) (4)式
ただし、xは正常(故障していない)状態を基準空間としたときの、基準空間からの距離である。
【0094】
マハラノビス距離を用いることにより、面積や幅など、さらには履歴情報から得られる経時的な変動特性など、次元の異なる測定量を基準空間からのマハラノビス距離として取り扱うことができるので、故障判定や評価尺度の構築を効率的に行うことができる。
【0095】
また、装置における各部の故障確率も、装置に対して作成した基準空間を各部ごとに作成することで、全く同様に算出することができる。
【0096】
故障確率を算出する方法は、マハラノビス距離を用いる方法に限定するものではなく、ベイズ統計を用いて故障確率を推定してもよいし、他の統計手法によってもよい。
【0097】
ここでは、実際に紙等の記録媒体に出力することなく、中間転写体25上のドットパターンとラインパターンを作成し、前記パターンを読み取り、読み取ったパターンの形状特性から粒状性、階調性、鮮鋭性などの画質因子に対する品質を予測する。このとき、予測に必要なパラメータ等は記憶手段から読み込み使用する。また、中間転写体25上でなく、感光体上に潜像を形成して形成された潜像におけるパターンを読み取って予測する構成とすることも出来る。
【0098】
次に、故障予測部240は、測定された画質予測結果を履歴記憶部250に記憶すると共に、履歴記憶部250に記憶された過去の画質予測結果を含めて、現状が所定の変動範囲にあって、各画質因子はバランスがとれ安定した状態にあるのか、それとも劣化傾向にあるのか等について統計的な手法を用いて解析し、装置が故障している確率を算出する。
【0099】
算出する値は、厳密な意味での確率である必要はなく故障のし易さ、または故障している可能性の度合を表す評価量であればよく、故障が発生するまでの出力枚数のようなものであってもよい。さらには、算出される故障確率は、現時点での故障確率であってもよいし、所定枚数出力後の故障確率であってもよい。
【0100】
図11は、実施の形態1による画像形成手順を説明するフローチャートである。画像形成部210は、画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cを制御して、図4に示した計測用画像パターン生成する(ステップS101)。画像計測部220は、生成された画像パターンを図5および6で示したパターン検出部により読み取り(ステップS102)、画像パターンの形状を計測する(ステップS103)。画質算出部230は、既に説明した粒状性、鮮鋭性、および階調性などを含む出力画像の品質予測値を算出し(ステップS104)、故障予測部240は、履歴記憶部250の履歴情報を読み出して、故障確率を算出する(ステップS105)。故障予測部240が算出する故障確率の手順は以下に説明する。
【0101】
図12は、故障予測の手順説明するフローチャートである。故障予測部240が行う故障予測の手順は、先ず故障予測部240が履歴記憶部250から履歴情報を読み出して(ステップS201)、マハラノビス距離を算出する(ステップS202)。そして、故障確率を(4)式1/(1+exp(−x))によって、算出する(ステップS203)。
【0102】
(1.4.効果)
このように実施の形態1による画像形成装置102は、画像計測部220は、画像形成部210によって作成された中間転写体上の画質測定用パターンを計測し、画質算出部230は、画像計測部220により計測された結果を基に出力画像品質を予測し、故障予測部240は、画質算出部230により算出された画質予測結果をもとに故障確率を算出するので、画像パターンを記録媒体上に形成することなく、効率的に故障確率を予測することが出来る。
【0103】
(2.実施の形態2)
図13は、実施の形態2による画像形成装置の機能的ブロック図である。実施の形態202が実施の形態1と異なる点は、状態情報取得部280をさらに備えて装置の状態に関する情報を取得し、故障予測部240は、画質算出部230によって算出された画質に加えて、状態情報に基づいて故障を予測する点である。
【0104】
状態情報取得部280は、画像形成装置の状態情報を取得し、取得した状態情報および履歴記憶部250に格納された履歴情報に基づいて、故障確率を求めるものである。ここでは、故障確率を算出に先立ち、設置環境情報(温度、湿度)を含む装置の状態に関する情報を取得し、この情報をさらに加えて、故障確率算出に用いる。
【0105】
図14は、実施の形態3による画像形成手順を説明するフローチャートである。ステップS304までは、図11におけるステップS104までと同じであるので説明を省略する。状態情報取得部280は、装置の環境情報である装置の温度および湿度の情報を取得し(ステップS305)、故障予測部240は、出力画像の品質予測値と、装置の温度および湿度情報とに従って故障確率を予測する(ステップS306)。
【0106】
これにより、たとえば、環境温度により、故障判定に対し補正する等の処理を行うことで予測精度の向上を図ることができる。
【0107】
(3.実施の形態3)
図15は、実施の形態3による画像形成装置の機能的ブロック図である。実施の形態3による画像形成装置203が実施の形態2と異なる点は、プロセス制御部290をさらに備えて、故障確率の算出の前に、装置の状態に関する情報(たとえば、プロセスパラメータ値や設置環境情報(温度、湿度))を取得し、故障予測部240は、画質算出部230によって算出された画質および状態情報に加えて、上記のプロセスパラメータ値や設置環境情報(温度、湿度))などに基づいて故障を予測する点である。これによりプロセスパラメータ値、たとえば、環境温度により故障判定に対し補正する等の処理を行うことで予測精度の向上を図ることができる。
【0108】
得られた画質予測結果が、たとえば粒状性が悪い場合、これはドットの再現が不安定であるために発生するので、露光量を増加することにより、再現するドットサイズを大きくすることで安定化を図ることができる。また、ハーフトーン処理を変えることで粒状性の劣化を目立たなくするなどの画像処理方式の選択などの対応を図ることができる。
【0109】
プロセス制御部290は、画質算出部230で算出された画像品質の予測値をもとに、画像出力条件を決定する。このとき、予め画像品質の基準値を設定しておき、基準値との偏差の大きさに応じて出力条件を調整させるようにしてもよい。
【0110】
図16は、実施の形態3による画像形成手順を説明するフローチャートである。ステップS401からステップS404までは図11のステップS101からステップS104までと同じであるので説明を省略する。プロセス制御部290は、作像プロセス条件を算出する。ここでは、例えばプロセス制御部290は、出力画像の品質予測値から露光量を増加させる増加量を算出し(ステップS405)、算出した露光量の増加量によりプロセス条件を制御し(ステップS406)、状態情報取得部280は、装置の状態情報を取得し(ステップS407)、故障予測部240は、プロセス制御部290によって制御されたプロセス条件の下での装置の状態情報によって故障確率を算出する(ステップS408)。
【0111】
このようにして、画質算出部によって算出された画像品質の予測値から、プロセス制御部が作像プロセスを制御して状態情報を取得し、故障予測部が故障確率を算出することによって、より高品質な画像を形成しながら正確な故障予測することが出来る。
【0112】
(3.1.変形例1)
変形例による画像形成装置が、実施の形態3による画像形成装置と異なる点は、プロセス制御の結果をフィードバックする点である。故障予測に先立って行うプロセス制御が異なるものである。
【0113】
図17は、画像形成装置の操作パネル部分の模式図である。ここでは、プロセス制御部が作像プロセス条件を算出して制御する繰り返し回数Nを、操作パネル330の操作ボタンが押下されることによって、入力部270が押下された回数情報(N)を受け付けて設定し、N回の画質予測とプロセス制御を繰り返す。このとき設定回数以内であっても画質予測結果が十分な画質が得られると判断した場合には、プロセス調整は行わない。また、調整の結果画質が十分でなくとも設定回数N以上は調整を繰り返さない。いずれにせよ、最終画質予測結果を用いて故障予測を実施する。
【0114】
プロセス調整を行った後に再度評価パターンを感光体もしくは中間転写体上に形成し、パターンの形状計測と画質予測を行い、測定された画質予測結果と履歴情報から故障を予測するので、プロセス制御を伴う故障予測をよりきめ細かく正確に実施することが出来る。
【0115】
つまり、プロセス制御において、一つの調整項目が単一の画質因子(たとえば粒状性のみ)と独立な関係にあるようなことはほとんどなく、多くの場合、相互作用をもっているので、1回の調整で全ての因子が満足する範囲に収まるとは限らない。
【0116】
たとえば、鮮鋭性、階調性が所定範囲内にあり粒状性のみが悪かった場合、粒状性が向上するようにパラメータを調整した結果、階調性が低下し所定範囲外になってしまうといったことが発生する。
【0117】
図18は、変形例による画像形成手順を説明するフローチャートである。ステップS504までは図11のステップS104と同じであるので説明を省略する。プロセス制御部290のカウンタは受け付けた回数が設定されたNより少なく、かつ、プロセス制御の必要性があるかを判定し(ステップS505)、必要がない場合は(ステップS505のNo)、図16で説明したステップS407と同様のステップS510に移行する。
【0118】
プロセス制御部290が受け付けた回数がNより少なくかつプロセス制御の必要性があると判定した場合(ステップS505のYes)、プロセス制御部はステップS405および406で行ったプロセス制御を行い(ステップS506、507)、カウントがNであるか否かを判定する(ステップS508)。Nでなければ(ステップS508のNo)、カウントをインクリメントして(ステップS509)ステップS501に戻り、同じステップを繰り返す。カウントがNであると判定した場合(ステップS508のYes)、ステップS407および408と同様に状態情報を取得し故障確率を算出するステップを行う(ステップS510、511)。
【0119】
このように最終的な故障予測を、プロセス調整を複数回行った後に測定した画質予測値を用いるようにすることにより、故障予測に対する精度を高めることができる。
【0120】
また、測定とプロセス条件の調整を複数回繰り返すことで、プロセス条件をより最適な状態に設定することが可能である。
【0121】
また、本発明では、実際に紙への出力は行わないので、このような繰り返し調整ステップを踏んだとしても、コスト上の損失は少なくて済むというメリットがある。
【0122】
(3.2.変形例2)
他の変形例による画像形成装置は、装置が故障と判定された場合、各画質予測結果、温度、湿度、各制御パラメータおよびそれらの履歴情報をもとに、出力装置を構成する主要な構成要素ごとに故障確率を算出する点が異なる。
【0123】
これにより、たとえばサービスマンへ故障の旨を報知する際に、各部の故障確率算出結果を付加して報知することにより、熟練したサービスマンでなくとも適切な対応をとることが容易になり、結果としてユーザに対して迅速な対応が可能となり、サービスの向上と故障による損失を低減することが可能となる。
【0124】
また、各部の故障確率も、前述した装置に対して故障予測の説明で述べた基準空間を各部ごとに作成することで、全く同様に装置のみならず各部毎に算出することができる。
【0125】
また、カラープリンタの場合、上記測定パターンの形状特性による画質予測および故障予測は、各色のトナー像を形成するユニットごとに実施することが望ましいが、代表色(たとえば黒色)に対する画像品質を予測し、プロセス条件を調整してもよい。
【0126】
(4.実施の形態4)
図19は、実施の形態4による画像形成装置の機能的ブロック図である。実施の形態4による画像形成装置が、実施の形態1と異なる点は、報知部295を備え、故障予測値が基準値より高いと判定した場合、通信部260にネットワークを介して接続する他の端末に故障予測に関する情報を送信させる点である。
【0127】
ここで、故障確率Pfを故障の有無を判別する基準値として設定しておき、基準値をクリアしない場合に、通信部260は、プリンタ上の表示装置やネットワーク上の端末へ通知、さらには他のサービスマンや管理者の場所にある端末60に報知を行う。
【0128】
ユーザが故障と判断したときにたとえばサービスマンへ画質予測値や故障予測値およびそれら履歴情報を送信するための送信先入力および送信の実行指示は、入力部270より行う。入力部270が操作入力を受け付けることによって、所定のアドレスへ画質予測結果や状態情報およびそれら情報の履歴を送信するようにしてもよいし、予め所定の端末または操作者に対して前記情報の読み取りを許可する形態であってもよい。
【0129】
図20は、実施の形態4による画像形成手順を説明するフローチャートである。図20は、特徴的なステップのみを示したものであり、例えば図11の故障予測部240が故障確率を算出した(ステップS105)後、履歴記憶部250に算出した故障確率を格納し、報知部295は、格納された故障予測値を読み出して(ステップS601)、基準値Pfと比較する(ステップS602)。基準値より高い場合は(ステップS602のYes)、通信部260は、管理端末60などに故障予測値を送信する(ステップS603)。また、基準値以下の場合は(ステップS602のNo)、そのまま終了する。
【0130】
これにより、普段はプリンタの状態をチェックする作業からユーザは解放され、改善処置も速やかに取ることができる。
【0131】
また、サービスマンや管理者への報知に際し、故障確率のみではなく履歴情報の送信もしくは、要求に応じて該履歴情報を送信するように構成することにより、サービスマンは故障状況を詳細に知ることができるので、故障状況把握のためだけにユーザを訪問するといった無駄な作業を省き、故障原因をある程度絞り込み代替え品等を予め用意した上でユーザを訪問するといった、迅速かつ効率的な対応処置を取ることができる。したがって、ユーザは装置の故障による損失を低減することができる。さらには、修理サービスに掛かるコストを低減できる。
【0132】
とくに、本発明の場合、サービスマンへ送信する情報として、単なるプロセスパラメータではなく、人間の知覚との相関がある評価量を含んでいるので、故障の度合が把握しやすく、サービスマンも適切な行動を取りやすいといったメリットがある。
【0133】
さらに、本発明の装置は故障確率が基準値をクリアしていても、ユーザによっては故障であると判断したり、予想し得なかった原因により故障が発生した場合に、ユーザが管理者またはサービスマンに対し、画質予測結果および装置の状態情報を、装置に接続されたネットワーク回線を通じて送信するための、操作手段が設けられていてもよい。
【0134】
いずれにしても、管理者またはサービスマンは必要に応じて、前記情報を容易に取得することができるので、迅速な対応をとることが可能となる。
【0135】
なお、ここで送信先として、登録した端末にのみ送信する構成とするのが望ましい。
【0136】
(4.1.変形例3)
変形例による画像形成装置は、故障確率が故障判別確率Pf以下であっても、故障確率に応じて校正周期を異ならせるようにした構成とする。
【0137】
図21は、出力枚数に対する故障確率の増加を表すグラフである。このグラフから、出力枚数の増加に伴って装置の故障確率が増加していくことがわかる。
【0138】
これにより、故障確率が高くなることは、装置の状態が不安定または不安定に陥りやすい状態になることを示している。このような場合に校正周期を短くすることで、装置の状態を安定に保つことが可能となる。
【0139】
今まで、故障確率がPc以下である場合には、出力枚数がN枚ごとに校正を実施し、故障確率がPc以上のときには、出力枚数がM枚ごとに校正を実施するように、校正周期の設定値を変更する。ここで、M<Nである。つまり、この場合、最初の基準値よりもさらに低い基準値以下である場合はそのままN回の校正周期とし、該さらに低い基準値と最初の基準値の間にある場合には、校正周期を短く、即ちより頻繁に校正を行う。
【0140】
ここでは、校正周期を変更する基準値を1つのみとしたが、これに限定するものではなく、校正周期を切り替える基準値は複数あっても構わないし、校正周期を故障確率の関数とした連続値として設定するようにしても構わない。
【0141】
図22は、変形例による画像形成手順を説明するフローチャートである。ステップS701から703までは、図20のステップS601から603までと同様であるの説明を省略する。
【0142】
報知部295が、故障予測値は基準値Pfより高くないと判定した場合(ステップS702のNo)、さらに基準値Pcより高いか否かを判定し(ステップS704)、高くないと判定した場合(ステップS704のNo)、そのまま終了する。
【0143】
一方、報知部295が、基準値Pcより高いと判定した場合(ステップS704のYes)、校正(キャリブレーション)の周期をM回に変更する(ステップS705)。
【0144】
これにより、出力枚数の増加に伴って、即ち、装置を使用すればするほど、故障確率が高くなり、装置の状態が不安定または不安定に陥りやすい状態になることを、校正周期を短くすることによって、より安定な状態に保つことが可能となる。
【0145】
(5.全体構成)
図23は、実施の形態1にかかる画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタの構成図である。ここではタンデム型のデジタルカラープリンタを用いて、本発明の構成を説明するが、本発明は、カラー複写機/ファクシミリ等においても有効である。図2および図23を参照しながら、デジタルカラープリンタ1による一般的な画像形成動作について説明する。
【0146】
デジタルカラープリンタ本体1は、その一端側の上部に、原稿2の画像を読み取る画像読取装置(IIT:Image Input Terminal)4を備える。また、デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像読取装置4や図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに、所定の画像処理を施す画像処理装置(IPS:Image Processing System)12と、画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置(IOT:Image Output Terminal)100とが配設されている。
【0147】
デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像出力装置100を構成する画像形成ユニットとして、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cが、水平方向に沿って一定の間隔をおいて配列されている。4つの画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cの下方には、これらの画像形成ユニットで順次形成される各色のトナー像を、互いに重ね合わせた状態で転写する中間転写ベルト25が、矢印方向に沿って回動可能に配設されている。中間転写ベルト25上に多重に転写された各色のトナー像は、給紙トレイ39等から給紙される記録材としての記録用紙34上に一括して転写された後、定着器37によって記録用紙34上に定着され、外部に排出される。
【0148】
なお、図23に示す実施の形態では、画像出力装置100が、各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cで形成された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を、中間転写ベルト25上に互いに重ね合わせた状態で一次転写した後、当該中間転写ベルト25から記録用紙34上に一括して二次転写することにより、カラー画像を形成するように構成した例について説明したが、これに限定されるものではなく、各画像形成ユニットで形成された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を、用紙搬送ベルトによって搬送される記録用紙上に互いに重ね合わせた状態で転写することにより、カラー画像を形成するように構成したものにも適用可能である。また、各画像形成ユニットの色の順序は、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に限定されるものではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)など如何なる順序であっても良い。
【0149】
タンデム型のデジタルカラープリンタ1の本体の一端側の上部には、原稿2をプラテンガラス5上に押圧するプラテンカバー3と、プラテンガラス5上に載置された原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配設されている。この画像読取装置4は、プラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0150】
画像読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置12(Image Processing System)に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の反射率データに対して、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。
【0151】
画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8bit)の4色の原稿色材階調データ(ラスタデータ)に変換され、次に述べるように、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像形成ユニット13K、13Y、13M、13CのROS14K、14Y、14M、14C(Raster Output Scanner)に送られる。これらのROS14K、14Y、14M、14Cは、所定の色の原稿色材階調データに応じてレーザー光による画像露光を行なう。
【0152】
ところで、タンデム型のデジタルカラープリンタ本体1の内部には、上述したように、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4つの画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。これらの4つの画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cは、すべて同様に構成されており、大別して、矢印方向に沿って所定の回転速度で回転する感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電用のスコロトロン16と、当該感光体ドラム15の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する画像露光装置としてのROS14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を現像する現像器17、クリーニング装置18とから構成されている。
【0153】
ROS14は、図23に示すように、半導体レーザー19を原稿色材階調データに応じて変調して、この半導体レーザー19からレーザー光LBを階調データに応じて出射する。この半導体レーザー19から出射されたレーザー光LBは、反射ミラー20、21を介して回転多面鏡22によって偏向走査され、再び反射ミラー20、21及び複数枚の反射ミラー23、24を介して像担持体としての感光体ドラム15上に走査露光される。
【0154】
画像処理装置12からは、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像形成ユニット13K、13Y、13M、13CのROS14K、14Y、14M、14Cに各色の画像データ(ラスタデータ)が順次出力され、これらのROS14K、14Y、14M、14Cから画像データに応じて出射されるレーザービームLBが、それぞれの感光体ドラム15K、15Y、15M、15Cの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。各感光体ドラム15K、15Y、15M、15Cに形成された静電潜像は、現像器17K、17Y、17M、17Cによって、それぞれ黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像として現像される。
【0155】
各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cの感光体ドラム15K、15Y、15M、15C上に、順次形成された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cの下方に配置された中間転写体としての中間転写ベルト25上に、一次転写ロール26K、26Y、26M、26Cによって多重に転写される。この中間転写ベルト25は、ドライブロール27と、ストリッピングロール28と、ステアリングロール29と、アイドルロール30と、バックアップロール31と、アイドルロール32との間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印方向に所定の速度で循環駆動されるようになっている。転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0156】
転写ベルト25上に多重に転写された黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像は、バックアップロール31に圧接する2次転写ロール33によって、圧接力及び静電気力で記録用紙34上に2次転写され、この各色のトナー像が転写された記録用紙34は、2連の搬送ベルト35、36によって定着器37へと搬送される。そして、各色のトナー像が転写された記録用紙34は、定着器37によって熱及び圧力で定着処理を受け、複写機本体1の外部に設けられた排出トレイ38上に排出される。
【0157】
記録用紙34は、図2に示すように、複数の給紙トレイ39、40、41のうちの何れかから所定のサイズのものが、給紙ローラ42及び用紙搬送用のローラ対43、44、45からなる用紙搬送経路46を介して、レジストロール47まで一旦搬送される。給紙トレイ39、40、41のうちの何れかから供給された記録用紙34は、所定のタイミングで回転駆動されるレジストロール47によって中間転写ベルト25上へ送出される。そして、黒色、イエロー色、マゼンタ色及びシアン色の4つの画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cでは、上述したように、それぞれ黒色、イエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナー像が所定のタイミングで順次形成されるように構成されている。
【0158】
なお、感光体ドラム15K、15Y、15M、15Cは、トナー像の転写工程が終了した後、クリーニング装置18K、18Y、18M、18Cによって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。また、中間転写ベルト25は、ベルト用クリーナー48によって残留トナーが除去される。
【0159】
(6.ハードウェア構成など)
図24は、かかる画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図に示すように、この画像形成装置は、コントローラ910とエンジン部960とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ910は、画像形成装置全体の制御と画像読み取り、画像処理、操作部(不図示)からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能な画像処理エンジンなどであり、例えば取得した画像データに対して誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0160】
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)916と、ハードディスクドライブ918とを有し、ノースブリッジ913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM(Read Only Memory)912aと、RAM(Random Access Memory)912bとをさらに有する。
【0161】
CPU911は、画像形成装置の画像形成制御、および画像形成装置の全体制御を行うものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0162】
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGP915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0163】
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、画像処理時の画像描画メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0164】
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部(不図示)なども接続される。
【0165】
ASIC916は、マルチメディア情報処理用のハードウェア要素を有するマルチメディア情報処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0166】
このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)940、IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース950が接続される。
【0167】
MEM−C917は、送信用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0168】
AGP915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィクスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0169】
ASIC916に接続するキーボード920は、操作者からの操作入力を受け付けて、ASIC916に受け付けられた操作入力情報を送信する。
【0170】
本実施形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0171】
さらに、本実施形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、また、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0172】
本実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、上述した各部(画像形成部、画像計測部、画質算出部、故障予測部、状態情報取得部、通信部、履歴記憶部、入力部、およびプロセス制御部等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、画像形成部、画像計測部、画質算出部、故障予測部、状態情報取得部、通信部、履歴記憶部、入力部、およびプロセス制御部等が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0173】
以上説明した本発明の実施の形態およびそれらの実施例は、説明のための例であって、本発明はここに説明したこれらの例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0174】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、および記録媒体は画像形成技術に有用であり、特に記録紙に印刷出力する画像形成技術に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】実施の形態1による画像形成装置の要部の機能的ブロック図である。
【図2】実施の形態1による画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタを示す概略構成図である。
【図3】画像計測部の機能的ブロック図である。
【図4】実施の形態による画像形成部が形成する測定用の画像パターンの一例を示す模式図である。
【図5】パターン検出部が検出する動作を説明する図である。
【図6】測定用画像パターンを照明する光束を説明する図である。
【図7】ドット面積の標準偏差に対する粒状度を示すグラフである。
【図8】測定パターンを、各領域に1ドットを含む矩形領域に分割したことを示す模式図である。
【図9】ドットの平均面積と出力に使用した線数の積に対する階調性を示したグラフである。
【図10】6c/mmの空間周波数におけるMTFを、(3)式により、ライン幅とラインのエッジ幅を用いてMTF予測した結果を示したグラフである。
【図11】実施の形態1による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図12】故障予測の手順説明するフローチャートである。
【図13】実施の形態2による画像形成装置の機能的ブロック図である。
【図14】実施の形態3による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図15】実施の形態3による画像形成装置の機能的ブロック図である。
【図16】実施の形態3による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図17】画像形成装置の操作パネル部分の模式図である。
【図18】変形例による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図19】実施の形態4による画像形成装置の機能的ブロック図である。
【図20】実施の形態4による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図21】出力枚数に対する故障確率の増加を表すグラフである。
【図22】変形例による画像形成手順を説明するフローチャートである。
【図23】実施の形態1にかかる画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタの構成図である。
【図24】かかる画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0176】
210 画像形成部
220 画像計測部
230 画質算出部
240 故障予測部
250 履歴記憶部
260 通信部
270 入力部
280 状態情報取得部
290 プロセス制御部
295 報知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置において、
前記感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンの、少なくとも形状を計測する画像パターン計測手段と、
前記画像パターン計測手段による画像パターンの計測に基づいて、出力画像の品質を予測する画質予測手段と、
前記画質予測手段による画質予測の履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、
前記履歴情報記憶手段による履歴情報を用いて故障を予測する故障予測手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置の状態情報を取得する状態情報取得手段を、さらに備え、
前記履歴情報記憶手段は、前記状態情報取得手段による状態情報の履歴情報を記憶するものであり、
前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記状態情報の履歴情報に基づいて、故障を予測するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画質予測手段による画質予測に基づいて、画像形成のプロセス条件を調整する画像形成条件調整手段を、さらに備え、
前記状態情報取得手段は、前記画像形成条件調整手段によって調整された画像形成のプロセス条件に基づいた前記画像形成装置の状態情報を取得するものであり、
前記履歴情報記憶手段は、前記状態情報取得手段による状態情報の履歴情報を記憶するものであり、
前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記状態情報の履歴情報に基づいて故障を予測するものであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記故障予測手段は、
前記画像パターン計測手段による画像パターンの計測、
前記画質予測手段による画質予測、
前記画像形成条件調整手段によるプロセス条件の調整、および
前記画像パターン計測手段による前記プロセス条件の調整に基づく画像パターンの計測のサイクルを少なくとも1回以上繰り返した後に、
前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記履歴情報に基づいて故障を予測するものであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、互いに色の異なる画像形成ユニットを備えるものであり、
前記画像パターン計測手段は、前記互いに色の異なる画像形成ユニットごとに画像パターンを計測するものであり、
前記画質予測手段は、前記画像パターン計測手段による色ごとの画像パターンの計測に基づいて色ごとの出力画像の品質を予測し、
前記履歴情報記憶手段は、前記画質予測手段による色ごとの画質予測を記憶し、
前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段に記憶された色ごとの画質予測の履歴情報に基づいて、故障を予測するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、
前記画像パターン計測手段は、前記画像パターンを構成するドットの平均面積、前記ドットの平均面積の標準偏差、ドットの平均円相当径、前記ドットの平均円相当径の標準偏差、前記画像パターンを構成するラインのライン幅、および前記ラインのエッジ幅のうち、少なくともいずれかを計測して画像パターンを計測するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置がトナーによる画像出力を行うものである場合、
前記画像パターン計測手段は、所定サイズ以下で形成されるトナー像に対応する画像情報を、計測した画像情報から排除して、画像パターンを計測するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像パターン計測手段は、
前記画像パターンに対して略平行化された光束によって照明する照明手段、
前記照明手段の光束を、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれに正反射させて結像させる結像手段、
前記結像手段による結像を光電変換する光電変換素子、および
前記光電変換素子によって光電変換された画像情報を解析する画像解析手段、を有し、 前記画像パターンの少なくとも形状を計測するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画質予測手段は、出力画像の品質として、粒状性、階調性、および鮮鋭性のうちの少なくともいずれかを予測するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、
前記画質予測手段は、前記粒状性については、ドット面積の標準偏差およびドット円相当径の標準偏差の少なくともいずれかを算出して予測するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、
前記画質予測手段は、前記階調性については、階調特性曲線のリニアリティを、ドット面積平均およびドット円相当径平均の少なくともいずれかと、階調画像を生成する所定の線数と、から算出して予測するものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画質予測手段は、前記鮮鋭性については、特定空間周波数におけるMTFを、ライン幅およびラインエッジ幅から算出して予測するものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記故障予測手段は、前記画像パターン計測手段が算出する各特性値のマハラノビス距離を、前記画像形成装置が故障であると判定された画像群に対してあらかじめ設定された前記特性値の基準空間に基づいて算出し、前記算出したマハラノビス距離に基づいて故障予測値を算出するものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像パターンの計測、前記画像パターンの計測の履歴情報、前記故障予測、および前記故障予測の履歴情報の少なくとも1つの情報を、ネットワークを介して接続する端末に対して送信する送信手段を、
さらに備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記送信手段は、前記少なくとも1つの情報を、予め設定した所定の周期で予め登録した前記端末へ前記ネットワークを介して送信するものであることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記故障予測が予め設定した所定値以上であると判定した場合、前記予め登録した端末へ故障予測を報知する決定をなす報知手段を、さらに備え、
前記送信手段は、前記報知手段の決定に基づいて、前記予め登録した端末へ前記故障予測を送信するものであることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記報知手段は、前記故障予測手段による故障予測に応じて、送信の周期を変更するものであることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記故障予測手段は、前記画像形成装置を構成する各部分についての故障予測値も算出するものであることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項19】
感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置における画像形成方法であって、
画像パターン計測手段によって、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンの、少なくとも形状を計測する画像パターン計測工程と、
画質予測手段によって、前記画像パターン計測工程における画像パターンの計測に基づいて、出力画像の品質を予測する画質予測工程と、
履歴情報記憶手段によって、前記画質予測工程における画質予測の履歴情報を記憶する履歴情報記憶工程と、
故障予測手段によって、前記履歴情報記憶工程における履歴情報を用いて故障を予測する故障予測工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項20】
請求項19に記載の画像形成方法を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置において、
前記感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンの、少なくとも形状を計測する画像パターン計測手段と、
前記画像パターン計測手段による画像パターンの計測に基づいて、出力画像の品質を予測する画質予測手段と、
前記画質予測手段による画質予測の履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、
前記履歴情報記憶手段による履歴情報を用いて故障を予測する故障予測手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置の状態情報を取得する状態情報取得手段を、さらに備え、
前記履歴情報記憶手段は、前記状態情報取得手段による状態情報の履歴情報を記憶するものであり、
前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記状態情報の履歴情報に基づいて、故障を予測するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画質予測手段による画質予測に基づいて、画像形成のプロセス条件を調整する画像形成条件調整手段を、さらに備え、
前記状態情報取得手段は、前記画像形成条件調整手段によって調整された画像形成のプロセス条件に基づいた前記画像形成装置の状態情報を取得するものであり、
前記履歴情報記憶手段は、前記状態情報取得手段による状態情報の履歴情報を記憶するものであり、
前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記状態情報の履歴情報に基づいて故障を予測するものであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記故障予測手段は、
前記画像パターン計測手段による画像パターンの計測、
前記画質予測手段による画質予測、
前記画像形成条件調整手段によるプロセス条件の調整、および
前記画像パターン計測手段による前記プロセス条件の調整に基づく画像パターンの計測のサイクルを少なくとも1回以上繰り返した後に、
前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段が記憶した前記履歴情報に基づいて故障を予測するものであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、互いに色の異なる画像形成ユニットを備えるものであり、
前記画像パターン計測手段は、前記互いに色の異なる画像形成ユニットごとに画像パターンを計測するものであり、
前記画質予測手段は、前記画像パターン計測手段による色ごとの画像パターンの計測に基づいて色ごとの出力画像の品質を予測し、
前記履歴情報記憶手段は、前記画質予測手段による色ごとの画質予測を記憶し、
前記故障予測手段は、前記履歴情報記憶手段に記憶された色ごとの画質予測の履歴情報に基づいて、故障を予測するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、
前記画像パターン計測手段は、前記画像パターンを構成するドットの平均面積、前記ドットの平均面積の標準偏差、ドットの平均円相当径、前記ドットの平均円相当径の標準偏差、前記画像パターンを構成するラインのライン幅、および前記ラインのエッジ幅のうち、少なくともいずれかを計測して画像パターンを計測するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置がトナーによる画像出力を行うものである場合、
前記画像パターン計測手段は、所定サイズ以下で形成されるトナー像に対応する画像情報を、計測した画像情報から排除して、画像パターンを計測するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像パターン計測手段は、
前記画像パターンに対して略平行化された光束によって照明する照明手段、
前記照明手段の光束を、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれに正反射させて結像させる結像手段、
前記結像手段による結像を光電変換する光電変換素子、および
前記光電変換素子によって光電変換された画像情報を解析する画像解析手段、を有し、 前記画像パターンの少なくとも形状を計測するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画質予測手段は、出力画像の品質として、粒状性、階調性、および鮮鋭性のうちの少なくともいずれかを予測するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、
前記画質予測手段は、前記粒状性については、ドット面積の標準偏差およびドット円相当径の標準偏差の少なくともいずれかを算出して予測するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置がドット出力を行うものである場合、
前記画質予測手段は、前記階調性については、階調特性曲線のリニアリティを、ドット面積平均およびドット円相当径平均の少なくともいずれかと、階調画像を生成する所定の線数と、から算出して予測するものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画質予測手段は、前記鮮鋭性については、特定空間周波数におけるMTFを、ライン幅およびラインエッジ幅から算出して予測するものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記故障予測手段は、前記画像パターン計測手段が算出する各特性値のマハラノビス距離を、前記画像形成装置が故障であると判定された画像群に対してあらかじめ設定された前記特性値の基準空間に基づいて算出し、前記算出したマハラノビス距離に基づいて故障予測値を算出するものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像パターンの計測、前記画像パターンの計測の履歴情報、前記故障予測、および前記故障予測の履歴情報の少なくとも1つの情報を、ネットワークを介して接続する端末に対して送信する送信手段を、
さらに備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記送信手段は、前記少なくとも1つの情報を、予め設定した所定の周期で予め登録した前記端末へ前記ネットワークを介して送信するものであることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記故障予測が予め設定した所定値以上であると判定した場合、前記予め登録した端末へ故障予測を報知する決定をなす報知手段を、さらに備え、
前記送信手段は、前記報知手段の決定に基づいて、前記予め登録した端末へ前記故障予測を送信するものであることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記報知手段は、前記故障予測手段による故障予測に応じて、送信の周期を変更するものであることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記故障予測手段は、前記画像形成装置を構成する各部分についての故障予測値も算出するものであることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項19】
感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置における画像形成方法であって、
画像パターン計測手段によって、前記感光体および中間転写体の少なくともいずれかに形成された画像パターンの、少なくとも形状を計測する画像パターン計測工程と、
画質予測手段によって、前記画像パターン計測工程における画像パターンの計測に基づいて、出力画像の品質を予測する画質予測工程と、
履歴情報記憶手段によって、前記画質予測工程における画質予測の履歴情報を記憶する履歴情報記憶工程と、
故障予測手段によって、前記履歴情報記憶工程における履歴情報を用いて故障を予測する故障予測工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項20】
請求項19に記載の画像形成方法を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−259406(P2006−259406A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78227(P2005−78227)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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