説明

画像形成装置のキャスタ収納機構

【課題】 画像形成装置のキャスタを簡単な操作で装置本体内に収納できる画像形成装置のキャスタ収納機構を提供するものである。
【解決手段】 画像形成装置のキャスタ収納機構において、キャスタ収納機構部は、装置本体に支持され、収納位置から使用位置に移動されるキャスタを保持して、収納位置側への移動を規制するキャスタ保持手段と、装置本体の持上げ動作に基づいて、キャスタ保持手段によるキャスタの保持を解除するキャスタ保持解除手段を備え、キャスタは、キャスタ保持解除手段によってキャスタ保持手段の保持を解除した後、持上げた装置本体の設置動作に基づいて、装置本体に対して使用位置から収納位置まで相対的に移動され、装置本体内に収納されることを特徴とする画像形成装置のキャスタ収納機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を所望の設置場所まで移動させるためのキャスタを有する画像形成装置に関し、特に、キャスタを装置本体内に収納できる画像形成装置のキャスタ収納機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリやこれら機能を併せ持った複合機等の画像形成装置においては、所望の設置場所まで移動させるため、装置本体に複数のキャスタを有している。また、従来から画像形成装置を設置した後、キャスタを装置本体内に収納する技術が提案されており、キャスタを装置本体内に収納することで、画像形成装置の高さ方向の寸法を抑えている。
【0003】
キャスタを装置本体内に収納する技術として、特許文献1に開示する技術は、画像形成装置とは別に操作ハンドルを有し、画像形成装置を所望場所に設置した後、操作ハンドルを装置本体に連結して回転することで、装置本体内部にキャスタを収納するものである。
特許文献1では、操作ハンドルの回転操作を、複数のシャフト、及び複数の伝達部材(ウォームホイール、傘歯車等)によって伝達し、これらキャスタを回転することで、装置本体内に収納している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示する技術では、画像形成装置のキャスタを収納するため、装置本体とは別部材である操作ハンドルを必要とする。
また、操作ハンドルを装置本体に連結して、この操作ハンドルを回転させるという煩雑な操作を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−74190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題に鑑み、画像形成装置のキャスタを簡単な操作で装置本体内に収納できる画像形成装置のキャスタ収納機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、画像形成装置の装置本体に配置される複数のキャスタと、前記装置本体外の使用位置及び前記装置本体内の収納位置の間で、前記キャスタを移動させるキャスタ収納機構部を備え、前記キャスタ収納機構部は、前記装置本体を移動するとき、前記キャスタを前記収納位置から前記使用位置まで移動し、又は前記装置本体を設置するとき、前記キャスタを前記使用位置から前記収納位置まで移動して前記装置本体内に収納する画像形成装置のキャスタ収納機構において、前記キャスタ収納機構部は、前記装置本体に支持され、前記収納位置から前記使用位置に移動される前記キャスタを保持して、前記収納位置側への移動を規制するキャスタ保持手段と、前記装置本体の持上げ動作に基づいて、前記キャスタ保持手段による前記キャスタの保持を解除するキャスタ保持解除手段を備えており、前記キャスタは、前記キャスタ保持解除手段によって前記キャスタ保持手段の保持を解除した後、前記持上げた装置本体の設置動作に基づいて、前記装置本体に対して前記使用位置から前記収納位置まで相対的に移動され、前記装置本体内に収納されることを特徴とする画像形成装置のキャスタ収納機構に関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記キャスタは、前記装置本体の持上げ動作に基づいて、前記装置本体に対して前記収納位置から前記使用位置まで相対的に移動されるものであり、
前記キャスタ保持手段は、前記使用位置に移動された前記キャスタを保持して、前記収納位置側への移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置のキャスタ収納機構に関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記キャスタ保持手段は、前記キャスタ保持解除手段を前記キャスタの保持を解除する状態に切り替えた後、装置本体を所定の高さに持ち上げるまで前記キャスタの保持を解除しない規制手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置のキャスタ収納機構に関する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、画像形成装置の装置本体に配置される複数のキャスタと、前記装置本体外の使用位置及び前記装置本体内の収納位置の間で、前記キャスタを移動させるキャスタ収納機構部を備え、前記キャスタ収納機構部は、前記装置本体を移動するとき、前記キャスタを前記収納位置から前記使用位置まで移動し、又は前記装置本体を設置するとき、前記キャスタを前記使用位置から前記収納位置まで移動して前記装置本体内に収納する画像形成装置のキャスタ収納機構において、前記キャスタ収納機構部は、前記装置本体に支持され、前記収納位置から前記使用位置に移動される前記キャスタを保持して、前記収納位置側への移動を規制するキャスタ保持手段と、前記装置本体の持上げ動作に基づいて、前記キャスタ保持手段による前記キャスタの保持を解除するキャスタ保持解除手段を備えており、前記キャスタは、前記キャスタ保持解除手段によって前記キャスタ保持手段の保持を解除した後、前記持上げた装置本体の設置動作に基づいて、前記装置本体に対して前記使用位置から前記収納位置まで相対的に移動され、前記装置本体内に収納されるので、装置本体を持上げて、設置動作(持上げた装置本体を設置面に降ろす動作)をさせるという簡単な操作で、装置本体内にキャスタを収納できる。
また、装置本体内にキャスタを収納するため、装置本体に連結される別部材を用意する必要もない。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、前記キャスタは、前記装置本体の持上げ動作に基づいて、前記装置本体に対して前記収納位置から前記使用位置まで相対的に移動されるものであり、
前記キャスタ保持手段は、前記使用位置に移動された前記キャスタを保持して、前記収納位置側への移動を規制するので、装置本体内に収納されたキャスタを使用するとき、装置本体を持上げるという簡単な操作で、収納位置から使用位置まで移動させることができる。
また、持上げた装置本体は、装置本体に支持されるキャスタ保持手段を介してキャスタで支持でき、これにより、画像形成装置を所望の設置場所まで移動できる。
【0012】
請求項3に係る発明よれば、前記キャスタの保持が解除するのを規制する規制手段が設けられており、前記キャスタ保持解除手段を前記キャスタの保持を解除する状態に切り替えた後、装置本体を所定の高さに持ち上げるまで前記キャスタの保持が解除されないため、操作における安全性がより高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置を示す図であって、操作レバーを前方側へ操作した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置を示す図であって、操作レバーを後方側へ操作した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、キャスタを収納空間内に収納した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、操作レバーを前方側へ操作した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、使用時における装置本体の持上げ動作を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、収納時における装置本体の持上げ動作を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、キャスタを収納位置に移動させた状態を示す斜視図である。
【図8】図3〜図7に示すキャスタ収納機構を構成するキャスタ保持解除手段を示す図である。
【図9】キャスタ保持解除手段に規制手段を追加した実施形態を示す図であって、(a)は構成を示す側面図、(b)は(a)のB−B断面図であって、規制手段による規制状態を示す図、(c)は(a)のB−B断面図であって、規制手段による規制が解除される状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置を示す図であって、操作レバーを前方側へ操作した状態を示す斜視図である。図2は本発明に係る画像形成装置を示す図であって、操作レバーを後方側へ操作した状態を示す斜視図である。図3は本発明の係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、キャスタを収納空間内に収納した状態を示す斜視図である。図4は本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、操作レバーを前方側へ操作した状態を示す斜視図である。図5は本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、使用時における装置本体の持上げ動作を示す斜視図である。図6は本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、収納時における装置本体の持上げ動作を示す斜視図である。図7は本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構を示す図であって、キャスタを収納位置に移動させた状態を示す斜視図である。図8は図3〜図7に示すキャスタ収納機構を構成するキャスタ保持解除手段を示す図である。図9は図8に示すキャスタ保持解除手段に規制手段を追加した構成を示す図である。
【0015】
先ず、画像形成装置の概略構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0016】
図1及び図2において、画像形成装置(X)は、装置本体(2)と、複数のキャスタ(3)及び操作レバー(5)等を含んで構成される。
【0017】
装置本体(2)は、図1及び図2に示すように、立方体形状(箱型形状)に形成され、複数(4本)の支柱部材(6)を備えている。これら支柱部材(6)は、図1及び図2に示すように、立方体形状(箱型形状)の各コーナ(2A)、(2B)、(2C)、(2D)に配置されている。また、各支柱部材(6)は、図1及び図2に示すように、装置本体(2)の上下方向(U)に延びており、装置本体(2)の底(2a)から設置面(S1)に突出している。
【0018】
これにより、各支柱部材(6)は、図1及び図2に示すように、装置本体(2)の底(2a)及び設置面(S1)の間に収納空間(E)を形成している。
また、各支柱部材(6)は、図1及び図2に示すように、画像形成装置(X)の全荷重を支持している。
【0019】
なお、装置本体(2)は、複数の給紙トレイ(7)、画像形成部(図示しない)、定着部(図示しない)及び排出トレイ(8)を備えている。画像形成部(図示しない)は、図1及び図2に示す装置本体(2)内に配置され、給紙トレイ(7)から搬送される用紙にトナー像を形成(転写)する。この用紙は、装置本体(2)内の定着部(図示しない)に搬送され、この定着部でトナー像が加熱、加圧されて定着された後、排出トレイ(8)に排出される。
また、装置本体(2)には、図1及び図2に示すように、原稿処理部(9)が設けられており、原稿処理部(9)は排出トレイ(8)の間に間隔を隔てて配置されている。
【0020】
複数(4つ)のキャスタ(3)は、図1及び図2に示すように、装置本体(2)の底(2a)側に設けられている。これら各キャスタ(3)は、図1及び図2に示すように、装置本体(2)のコーナ(2A)、(2B)間、及びコーナ(2C)、(2D)間に配置されている。また、各キャスタ(3)は、図1及び図2に示すように、各支柱部材(6)に並設されている。
【0021】
操作レバー(5)は、図1及び図2に示すように、装置本体(2)の幅方向(H)の両側面(2b)、(2c)に設けられている。この操作レバー(5)は、図1及び図2に示すように、装置本体(2)の前後方向(F)に移動操作される。
【0022】
次に、本発明に係る画像形成装置(X)のキャスタ収納機構(G)について、図3〜図8を参照して説明する。
【0023】
キャスタ収納機構(G)は、図3に示すように、キャスタ支持部(10)及びキャスタ収納機構部(11)を備えて構成されている。
キャスタ支持部(10)及びキャスタ収納機構部(11)は、図3に示すように、コーナ(2A)、(2B)の支柱部材(6)の間に配置されており、装置本体(2)を設置する設置面(S1)側に位置されている。なお、図1及び図2に示すコーナ(2C)、(2D)の支柱部材(6)の間にも、同様に、キャスタ支持部(10)及びキャスタ収納機構部(11)が配置されている。
【0024】
<キャスタ支持部(10)の具体的構成>
キャスタ支持部(10)は、図3に示すように、キャスタガイド手段(12)とキャスタ付勢手段(13)を備えている。
【0025】
キャスタガイド手段(12)は、図3に示すように、ガイド部材(14)と、2本のガイド柱部材(15)、(15)を備えており、ガイド部材(14)は支柱部材(6)、(6)の間にわたって配置されている。また、ガイド部材(14)は、図3に示すように、各支柱部材(6)、(6)のガイド溝(16)、(16)内に嵌め込まれて、支柱部材(6)、(6)で支持されている。各支柱部材(6)、(6)のガイド溝(16)、(16)は、図3に示すように、装置本体(2)の上下方向(U)に延びている。
このガイド部材(14)は、図3に示すように、設置面(S1)側に複数のキャスタ(3)、(3)を支持している。このキャスタ(3)、(3)は、図3に示すように、各支柱部材(6)、(6)近傍に並設されている。
【0026】
ガイド柱部材(15)、(15)は、図3に示すように、各支柱部材(6)、(6)の間に配置されており、支持梁(17)に固定配置されている。また、ガイド柱部材(15)、(15)は、図3に示すように、上下方向(U)の設置面(S1)側に延びており、ガイド部材(14)を摺動自在に貫通している。
支持梁(17)は、図3に示すように、装置本体(2)の前後方向(F)にわたって配置されており、両端側が装置本体(2)に固定されている。
【0027】
これにより、ガイド部材(14)は、図3に示すように、各支柱部材(6)、(6)のガイド溝(16)、(16)及び各ガイド柱部材(15)、(15)で案内されながら装置本体(2)の上下方向(U)へ移動される。
【0028】
キャスタ付勢手段(13)は、図3に示すように、複数のコイルバネ(18)、(18)で構成されており、各コイルバネ(18)、(18)は各ガイド柱部材(15)、(15)外周に嵌め込まれている。
また、各コイルバネ(18)、(18)は、図3に示すように、ガイド部材(14)及び支持梁(17)の間に配置されており、ガイド部材(14)を設置面(S1)側(キャスタ(3)側)に付勢している。
【0029】
<キャスタ収納機構部(11)の具体的構成>
キャスタ収納構造部(11)は、図3に示すように、キャスタ保持手段(20)と、キャスタ保持解除手段(21)を備えている。
【0030】
キャスタ保持手段(20)は、図3に示すように、複数の保持構造体(22)、(23)を備えている。
各保持構造体(22)、(23)は、図3に示すように、各支柱部材(6)、(6)の間に配置されており、一対の保持部材(24)、(24)で構成されている。
また、各保持構造体(22)、(23)は、図3に示すように、装置本体(2)の上下方向(U)であってガイド部材(14)の上方側に位置されている。
【0031】
各保持部材(24)、(24)は、図3に示すように、装置本体(2)の前後方向(F)で当接して並設されている。また、各保持部材(24)、(24)は、図3に示すように、支持軸(25)を中心として相互に近接又は離間(開閉)するように、支持軸(25)に軸支されている。この支持軸(25)は、図3に示すように、装置本体(2)の前後方向(F)にわたって配置されており、両端側が装置本体(2)に固定支持されている。
【0032】
各保持部材(24)、(24)は、図3に示すように、支持軸(25)を中心としてガイド部材(14)側に延びる連結部(26)、(26)を有する。この連結部(26)、(26)は、図3に示すように、装置本体(2)の幅方向(H)に相互に離間するように傾斜して延びている。
【0033】
また、各保持部材(24)、(24)は、図3に示すように、連結部(26)、(26)に連続して形成される規制部(27)、(27)を有している。この規制部(27)、(27)は、図3に示すように、相互に間隔を隔ててガイド部材(14)に延びている。
各規制部(27)、(27)の間隔は、図3に示すように、ガイド部材(14)の幅方向(H)の幅寸法と略同一にされている。
【0034】
また、規制部(27)、(27)は、図3及び図5に示すように、突起(28)、(28)を有している。この突起(28)、(28)は、図3及び図5に示すように、各規制部(27)、(27)の間に突出している。
【0035】
更に、各保持部材(24)、(24)は、図3に示すように、連結部(26)、(26)に連続して形成され、支持軸(25)の中心で交差される操作部(29)、(29)を有しており、各操作部(29)、(29)は間隔を隔てて上下方向(U)の上方側(ガイド部材(14)から離間する側)に延びている。
【0036】
これにより、保持構造体(22)、(23)は、図5に示すように、保持部材(24)、(24)の操作部(29)、(29)を、支持軸(25)を中心として相互に離間するように回転させると、連結部(26)、(26)及び規制部(27)、(27)は支持軸(25)を中心として互いに離間するように回転される。即ち、保持部材(24)、(24)は、支持軸(25)を中心として、連結部(26)、(26)及び規制部(27)、(27)を開状態にする。また、開状態から操作部(29)、(29)を互いに近接するように回転すると、連結部(26)、(26)及び規制部(27)、(27)は、支持軸(25)を中心として相互に近接するように回転される。即ち、初期状態(開状態にする前の状態)に戻される。
【0037】
保持構造体(22)、(23)は、図3に示すように、規制部(27)、(27)の突起(28)、(28)間でガイド部材(14)を上下方向(U)の移動を可能として保持する。
また、保持構造体(22)、(23)は、図5に示すように、規制部(27)、(27)の突起(28)、(28)より下方側間でガイド部材(14)を保持する。また、規制部(27)、(27)は、図5に示すように、突起(28)、(28)が上下方向(U)の上方側からガイド部材(14)に当接する。これにより、ガイド部材(14)の移動を規制する。
【0038】
ガイド保持解除手段(21)は、図8に示すように、操作レバー(5)、リンク機構体(30)及び複数のバネ部材(31)、(32)を備えて構成されている。
【0039】
操作レバー(5)は、図1〜図3及び図8に示すように、装置本体(2)の側面(2b)、(2c)に配置されており、前後方向(F)に操作可能にされている。
この操作レバー(5)は、図8に示すように、装置本体(2)内部に突出する操作片(33)を有している。
【0040】
リンク機構体(30)は、図8に示すように、2本の可動リンク板(34)、(35)と、2本の連結リンク板(36)、(36)を備えている。
【0041】
各可動リンク板(34)、(35)は、図8に示すように、各支柱部材(6)、(6)の間に配置されており、装置本体(2)の前後方向(F)に延びている。この各可動リンク板(34)、(35)は、図8に示すように、幅方向(H)に間隔を隔てて並設されている。
また、可動リンク板(34)は、図8に示すように、操作レバー(5)側に突出する可動片(34A)を有している。
【0042】
また、各可動リンク板(34)、(35)は、図8に示すように、各支柱部材(6)、(6)側であって、各保持構造体(22)、(23)の各操作部(29)、(29)に対峙する位置に夫々、開閉用長穴(37)、(37)、(38)、(38)が形成されている。
この開閉用長穴(37)、(37)、(38)、(38)は、図8に示すように、装置本体(2)の前後方向(F)に延設されている。また、前後方向(F)の前方側の開閉用長穴(37)、(38)には、図8に示すように、保持構造体(22)の操作部(29)、(29)が夫々挿入され、また、前後方向(F)の後方側の開閉用長穴(37)、(38)には、図8に示すように、保持構造体(23)の操作部(29)、(29)が夫々挿入されている。
【0043】
各開閉用長穴(37)、(37)、(38)、(38)は、図8に示すように、各保持構造体(22)、(23)の操作部(29)、(29)の前後方向(F)の寸法より長くなるように形成されている。
【0044】
各連結リンク板(36)、(36)は、図8に示すように、相互に前後方向(F)に間隔を隔てて配置されており、各開閉用長穴(37)、(37)、(38)、(38)の内側に位置されている。
各連結リンク板(36)、(36)は、図8に示すように、各可動リンク板(34)、(35)間の中間に配置されたリンク軸(39)に回転自在に軸支されている。また、各連結リンク板(36)、(36)は、図8に示すように、両端側が夫々、可動リンク板(34)、(35)に回転自在に取り付けられている。
【0045】
バネ部材(31)は、図8に示すように、操作レバー(5)の操作片(33)及び可動リンク板(34)の可動片(34A)間に配置されている。また、バネ部材(32)は、図8に示すように、可動リンク板(34)の可動片(34A)及び前後方向(F)の後方側の装置本体(2)間に配置されている。
【0046】
これにより、操作レバー(5)を、図8に示す状態から前後方向(F)の後方側へ操作すると、操作片(33)が各バネ部材(31)を図8に示すように、圧縮しつつ可動片(34A)に近付く。
【0047】
この操作片(33)の後方側への移動に伴って、可動リンク板(34)は、図8に示すように、バネ部材(31)により前後方向(F)の後方側へ付勢され、可動リンク板(35)は、図8に示すように、連結リンク板(36)、(36)の回転により前後方向(F)の前方側へ付勢される。
これにより、各可動リンク板(34)、(35)は、図8に示すように、相互間の間隔が広がるように付勢される。また、各保持構造体(22)、(23)の操作部(29)、(29)は、図8に示す各開閉用長穴(37)、(38)に挿入されているので、各可動リンク板(34)、(35)の付勢に伴って、相互間の間隔が広がるように幅方向(H)に付勢される。そうすると、各保持構造体(22)、(23)の連結部(26)、(26)及び規制部(27)、(27)は、図3に示すように、支持軸(25)を中心として相互に離間するように付勢される(閉状態)。
【0048】
一方、操作レバー(5)を前方側へ操作して開放すると、操作片(33)が可動片(34A)から離れるため可動片(34A)は、図8に示すように、圧縮されたバネ部材(32)のバネ力により、前後方向(F)の前方側へ操作、付勢される。
【0049】
これにより、可動リンク板(35)は、図8に示すように、連結リンク板(36)、(36)によって前後方向(F)の後方側へ付勢される。
また、各保持構造体(22)、(23)の操作部(29)、(29)は、図8に示すように、各可動リンク板(34)、(35)の移動に伴って、相互間の間隔が狭まるように幅方向(H)に付勢される。そうすると、各保持構造体(22)、(23)の連結部(26)、(26)及び規制部(27)、(27)は、図5に示すように、支持軸(25)を中心として相互に近接するように付勢される(閉状態)。
即ち、キャスタ保持解除手段(21)は、図8に示すように、操作レバー(5)を前後方向(F)の後方側へ移動させることで、各保持構造体(22)、(23)の連結部(26)、(26)及び規制部(27)、(27)の相互間の間隔を広げる開状態にする。
一方、操作レバー(5)を、図8に示す前後方向(F)の前方側へ移動させることで、各保持構造体(22)、(23)の連結部(26)、(26)及び規制部(27)、(27)の相互間の間隔を狭める閉状態にする。
【0050】
次に、画像形成装置(X)の移動動作、及び設置動作を、図4〜図8を参照して説明する。
【0051】
なお、説明の便宜上、図3の状態から説明する。
図3において、画像形成装置(X)の各支柱部材(6)は、設置面(S1)に設置されている。また、キャスタ(3)は、図3に示すように、装置本体(2)内の収納位置(T1)に位置されて、収納空間(E)に収納されている。更に、操作レバー(3)は、図3に示すように、装置本体(2)の前後方向(F)の後方側に位置しており、各保持構造体(22)、(23)は、図3に示すように、連結部(26)(26)及び規制部(27)、(27)を開状態として、規制部(27)、(27)の突起(28)、(28)間でガイド部材(14)を保持している。
【0052】
<画像形成装置(X)の移動動作>
図3の状態から画像形成装置(X)を移動するとき、作業者は、図2及び図3の位置(装置本体(2)の後方側)にある操作レバー(5)を、図1及び図4に示すように、前後方向(F)の前方側へ操作する。
【0053】
この前方側への操作に基づいて、図8に示すように、可動リンク板(34)が前方側へ付勢され、可動リンク板(35)が後方側へ付勢される。これにより、各可動リンク板(34)、(35)は、図8に示すように、相互間の間隔が狭められるように付勢されるので、各保持構造体(22)、(23)の操作部(29)、(29)間も狭まろうとする。
そうすると、各保持構造体(22)、(23)の規制部(27)、(27)は、図4に示すように、支持軸(25)を中心として相互の間隔を狭めるように回転され、ガイド部材(14)に押し付けられる。
この操作レバー(5)の前方側への操作によって、各保持構造体(22)、(23)は、ガイド部材(14)の移動を規制して保持できる状態にされる。
【0054】
各保持構造体(22)、(23)の規制部(27)、(27)を、ガイド部材(14)に押し付けた状態(図4参照)において、作業者は、図5に示すように、装置本体(2)を設置面(S1)から離間するように上下方向(U)へ持上げる。
この装置本体(2)の持上げ動作に基づいて、ガイド部材(14)は、図4及び図5に示すように、コイルバネ(18)、(18)のバネ力によって、装置本体(2)に対して装置本体(2)内の収納位置(T1:図4参照)から装置本体(2)外の使用位置(T2)側へ相対的に移動される。
このとき、ガイド部材(14)は、図4及び図5に示すように、各保持構造体(22)、(23)の突起(28)、(28)間から突起(28)(28)の下方側に位置する規制部(27)、(27)間に至る。
【0055】
そうすると、各保持構造体(22)、(23)は、図5に示すように、ガイド部材(14)を所定の押し付け力をもって規制部(27)、(27)間に挟んで保持する。また、各保持構造体(22)、(23)の突起(28)、(28)は、図5に示すように、ガイド部材(14)の上方に当接される。
これにより、ガイド部材(14)の各キャスタ(3)は、図5に示すように、収納位置(T1)から使用位置(T2)まで移動される。また、ガイド部材(14)は、図5に示すように、各保持構造体(22)、(23)の突起(28)、(28)に当接されて、収納位置(T1)側への移動が規制されるので、キャスタ(3)も収納位置(T1)側への移動が規制される。
【0056】
作業者による装置本体(2)の持上げ動作を解除すると、装置本体(2)は、図5に示すように、支持軸(25)、各保持構造体(22)、(23)及びガイド部材(14)によって、複数のキャスタ(3)で支持される。即ち、装置本体(2)は、図5に示すように、持上げた状態で複数のキャスタ(3)で支持され、キャスタ(3)による移動が可能にされる。
【0057】
そして、作業者は、図5に示す状態で、画像形成装置(X)を所望の設置場所まで移動させる。
【0058】
<画像形成装置(X)の設置動作>
作業者が所望の設置位置まで画像形成装置(X)を移動した後、図2及び図6に示すように、操作レバー(5)を前後方向(F)の後方側へ操作する。
【0059】
この後方側への操作に基づいて、図8に示すように、可動リンク板(34)が後方側へ付勢され、可動リンク板(35)が前方側へ付勢される。これにより、各可動リンク板(34)、(35)は、図8に示すように、バネ(31)相互間の間隔が広げるように付勢されるので、各保持構造体(22)、(23)の操作部(29)、(29)間も広がるように付勢される。
そうすると、各保持構造体(22)、(23)の規制部(27)、(27)は、図6に示すように、支持軸(25)を中心として相互の間隔を広げるように回転できる状態にされる。
【0060】
作業者は、図6に示すように、装置本体(2)を設置面(S1)から離間するように上下方向(U)へ持上げる。
この装置本体(2)の持上げ動作に基づいて、ガイド部材(14)は、図6に示すように、コイルバネ(18)、(18)のバネ力によって、使用位置(T2)側へ付勢される状態になる。また、各保持構造体(22)、(23)の規制部(27)、(27)はガイド部材(14)から離間する。
【0061】
続いて、作業者は、図7に示すように、持上げた装置本体(2)を設置面(S1)に降ろすと、この設置動作に基づいて、ガイド部材(14)は、図7に示すように、コイルバネ(18)、(18)のバネ力を受けて使用位置(T2)側へ付勢されているが、装置の自重により装置本体(2)に対して装置本体(2)外の使用位置(T2:図6参照)から装置本体(2)内の収納位置(T1:図7参照)側へ相対的に移動される。
【0062】
そうすると、各保持構造体(22)、(23)は、図7に示すように、規制部(27)、(27)の突起(28)、(28)間で挟んで保持する。
【0063】
これにより、ガイド部材(14)の各キャスタ(3)は、図7に示すように、使用位置(T2)から収納位置(T1)まで移動されて、装置本体(2)内の収納空間(E)内に収納される。
【0064】
このように、本発明に係る画像形成装置のキャスタ収納機構では、装置本体(2)の持上げ動作、設置動作(持上げた装置本体を設置面に降ろす動作)によって、キャスタ(3)を収納位置(T1)の収納空間(E)内に収納でき、その操作は簡単である。
【0065】
図9には、キャスタ保持解除手段に規制手段を追加した実施形態を示す。(a)は構成を示す側面図である。(b)、(c)は(a)のB−B断面図であり、(b)は規制手段による規制状態を示す。(c)は規制手段による規制が解除される状態を示す。図1〜8で説明した実施形態と同一部分には同一符号を付しており、これらの部分については説明を省略する。
【0066】
この実施形態においては、ガイド部材(14)に保持部材(24)の少なくとも1つに隣接して、解除規制部材(40)が固定されている。解除規制部材(40)はL形状の板金部材であり、一方の面の取付け面(40a)が保持部材(24)の上面に締結され、他方の面の規制面(40b)が保持部材(24)の一方の側面と同一平面上で上方に突出するように固定されている。そして、隣接する保持部材(24)は、突起(28)の支持軸(23)(図3参照)方向の側面から解除規制部材(40)に向かって、規制突起(28a)が突出している。
【0067】
この実施形態では、操作レバー(5)を切り替えた際に装置本体を図9(c)に示す位置まで持ち上げたときに、キャスタの保持や収納が可能になる。図9(b)において、操作レバー(5)を装置の後方(図9の右側)に移動させても、装置本体を所定の高さまで(図98(c)の状態になるまで)持ち上げないとキャスタの保持は解除されない。そのため、解除状態でしばらく放置しても、振動などで保持が解除されることはないので安全である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、画像を形成(転写)する複写機、プリンタ、FAX等の電子写真式の画像形成装置や他の印刷機等に対して好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0069】
X 画像形成装置
2 装置本体
3 キャスタ
11 キャスタ収納機構部
20 キャスタ保持手段
21 キャスタ保持解除手段
T1 収納位置
T2 使用位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に配置される複数のキャスタと、
前記装置本体外の使用位置及び前記装置本体内の収納位置の間で、前記キャスタを移動させるキャスタ収納機構部を備え、
前記キャスタ収納機構部は、前記装置本体を移動するとき、前記キャスタを前記収納位置から前記使用位置まで移動し、又は前記装置本体を設置するとき、前記キャスタを前記使用位置から前記収納位置まで移動して前記装置本体内に収納する画像形成装置のキャスタ収納機構において、
前記キャスタ収納機構部は、
前記装置本体に支持され、前記収納位置から前記使用位置に移動される前記キャスタを保持して、前記収納位置側への移動を規制するキャスタ保持手段と、
前記装置本体の持上げ動作に基づいて、前記キャスタ保持手段による前記キャスタの保持を解除するキャスタ保持解除手段を備えており、
前記キャスタは、
前記キャスタ保持解除手段によって前記キャスタ保持手段の保持を解除した後、
前記持上げた装置本体の設置動作に基づいて、前記装置本体に対して前記使用位置から前記収納位置まで相対的に移動され、前記装置本体内に収納されることを特徴とする画像形成装置のキャスタ収納機構。
【請求項2】
前記キャスタは、前記装置本体の持上げ動作に基づいて、前記装置本体に対して前記収納位置から前記使用位置まで相対的に移動されるものであり、
前記キャスタ保持手段は、前記使用位置に移動された前記キャスタを保持して、前記収納位置側への移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置のキャスタ収納機構。
【請求項3】
前記キャスタ保持手段は、前記キャスタ保持解除手段を前記キャスタの保持を解除する状態に設定した後、装置本体を所定の高さに持ち上げるまで前記キャスタの保持を解除しない規制手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置のキャスタ収納機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−197129(P2011−197129A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61319(P2010−61319)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】