説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】 用紙が特定の画像の向きや送り方向で給紙されても、画像に対してステイプル位置が左上に来るようにする。
【解決手段】 片面印刷で横給紙、5ページ綴じの場合、5〜1ページの順に印刷を行い、各ページの間にダミーの白紙データを挿入しながら両面印刷を行う。印刷された用紙はスイッチバック部9で反転された後、逆送され、再び作像部3を通って裏面に白紙データが印刷される。印刷済み用紙は印刷面を上にしてフェースアップで中間トレイ4に送られる。中間トレイ4上の印刷済み用紙が5枚になると、ステイプラ5でステイプル処理が行われ、用紙束6が排出トレイ7にフェースアップで排出される。これにより、印刷面を上にして1〜5ページの順であって左上で綴じられた5枚綴じの用紙束6が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステイプル処理を行うようにした画像形成装置及びこの画像形成装置で用いられるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は従来のステイプル装置を内蔵する画像形成装置の用紙の給紙経路及び綴じられた用紙束を示す概略図である。図6において、片面印刷時には、
(1)のように給紙トレイ2内の用紙1が1枚ずつ給紙され、
(2)のように感光体ドラム等からなる作像部3により用紙1に画像が印刷された後、中間トレイ4に順次貯められ、所定枚数に達したら図の手前側に寄せられて縁部を揃えられた後、ステイプラ5により綴じられる。
(3)のように綴じられた用紙束6が排紙トレイ7に排出される。
【0003】
この場合、印刷は1ページ目から順次行われ、中間トレイ4に印刷済み用紙が印刷面を下にして順次重ねられて行くフェースダウン(Fase Down)処理が行われる。このようにして所定枚数ずつ綴じられた用紙束6が排出トレイ7に排出されていく。排出された用紙束6は、下側から見た場合、図示のように印刷面の画像に対して左上にステイプル位置8がある。
【0004】
両面印刷時には、用紙の表面に奇数ページを印刷した後、スイッチバックして用紙を反転(裏返し)させ、次に裏面に偶数ページを印刷して中間トレイ4に送ることにより、中間トレイ4には両面印刷された用紙がフェースダウンで積み重ねられる。
【0005】
また、従来より後処理装置を用いてステイプル処理を行う画像形成装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。また、片面印刷の際、印刷方向が横方向の用紙を反転させて後、ステイプル処理を行うことにより、ステイプル位置を変更できるようにした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、中間トレイを含む第1のユニットと搬送分岐機能を持つ第2のユニットを備えることによって組み付けやジャム処理を容易に行えるようにした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−44109号公報
【特許文献2】特開2003−337508号公報
【特許文献3】特開2001−235916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6の従来のステイプル処理を行う画像形成装置の低価格のものでは、ステイプラ5は1個だけ設けられ、所定位置に固定されている。ステイプラ5が固定されていると、用紙束6のステイプル位置8は図示のように必ず紙面の左上になる。このため画像の向き(Portrait,Landscape)や、用紙の給紙方向(Short edge feed,Long edge feed)によってはユーザが希望しない位置で綴じられてしまうことがある。
【0007】
例えば図7において、(a)のように用紙1が画像に対して長手方向(縦方向)に給紙される場合(Portrait−Long edge feed)は、ステイプル位置8は左上になるが、画像が逆さに給紙される場合は、図面における右下がステイプル位置8となる。また、(b)の(Portrait−Short edge feed)ように、あるいは(c)の(Landscape−Long edge feed)のように用紙1が画像を90度回転して短手方向(横方向)に給紙される場合は、綴じられた後では画像に対してステイプル位置8は右上又は左下になる。また、(d)の(Landscape−Short edge feed)の場合は、ステイプル位置8は左上又は右下になる。
【0008】
即ち図7の例では、ステイプル位置8は必然的に紙面の対角線上に固定され、かつ用紙が(b)(c)のように画像の文字の並び方向に給紙される場合は、ステイプル位置8は画像に対して右上又は左下になる。一般に多くのユーザは、綴じられた用紙束6の画像に対してステイプル位置8が左上にあることを望む。従って、(b)(c)のような画像の向きや給紙方向では、希望する位置で綴じることができないという問題があった。この対策として、搬送する用紙を90度回転させることが考えられるが、例えばA3のように大きなサイズの用紙の場合は回転できないので上記の問題が生じる。
本発明は、用紙が(b)(c)のような画像の向きや送り方向で給紙されても、画像に対してステイプル位置が左上にくるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による画像形成装置は、印刷部で印刷した印刷済み用紙をフェースダウン処理又はフェースアップ処理して中間トレイに貯め、所定枚数貯まったら所定箇所に固定されたステイプラによりステイプル処理する画像形成装置において、前記印刷部に給紙する用紙を画像の所定の向きに対して所定の方向に給紙するときは、前記印刷部は両面印刷を行い前記印刷済み用紙をフェースアップ処理又はフェースダウン処理して前記中間トレイに貯めることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によるプログラムは、印刷部で印刷した印刷済み用紙をフェースダウン処理又はフェースアップ処理して中間トレイに貯め、所定枚数貯まったら所定箇所に固定されたステイプラによりステイプル処理する画像形成装置で用いられるプログラムであって、印刷部に給紙する用紙を画像の所定の向きに対して所定の方向に給紙する処理と、前記印刷部に両面印刷を行わせる処理と、前記印刷済み用紙をフェースアップ処理又はフェースダウン処理して前記中間トレイに貯める処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、用紙が特定の画像の向き及び給紙方向に給紙される場合にも、ステイプル位置が所望の位置にある用紙束を得ることができる。その場合、印刷順序の始めと終わりのページを従来の印刷順序と入れ替え、かつ常に両面印刷を行うだけでよく、印刷動作としては従来と実質的に同じでよく、プログラム等において大幅な変更をする必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の実施の形態によるステイプル装置を内蔵する画像形成装置の用紙の給紙経路及び綴じられた用紙束6を示す概略図であり、図6と対応する部分には同一番号を付して重複する説明は省略する。図示の例は画像の向き及び給紙方向が図7(c)の横給紙の場合を示している。
【0013】
本実施の形態は、用紙束6の左上にステイプル位置8がくるように、印刷を最終ページから行い、かつ中間トレイ4において印刷済み用紙を印刷面を上にして順次重ねるフェースアップ処理を行う。フェースアップ処理を行うために、作像部3で印刷された用紙を、従来から両面印刷を行う場合に用いられているスイッチバック部9で反転(裏返し)してから中間トレイ4に送り込む。中間トレイ4上の用紙が所定枚数に達したらステイプラ5によりステイプル処理を行い、排出トレイ7に排出する。このようにすることにより、排出トレイ7には、所定枚数ずつ綴じられた用紙束6が順次フェースアップで排出される。この用紙束6は図示のように画像に対してステイプル位置8が必ず左上に存在している。
【0014】
図2は片面印刷時で横給紙、5ページ綴じの場合の印刷手順による各ページを示し、図3は印刷手順のフローチャートを示す。
図3において、まず、片面印刷時で図7(c)の横給紙、かつ用紙束6の左上にステイプル位置8がくるように動作させるためのフェースアップステイプルモードを設定する(S1)。このときもしコピー禁止となる用紙のサイズ・タイプ・給紙トレイが選択されていた場合は(S2、YES)、フェースアップステイプルモードは設定不能とし、その旨を表示して(S3)、終了する。
【0015】
コピー禁止でない場合は、次に、印刷すべき画像データのページの並び替え処理を図2のように行う(S4)。図2において、印刷順序を5ページから始めて4,3,2,1ページの順に並べ、各ページの間にダミー用の白紙データを挿入する。次に、両面印刷を設定する(S5)。
【0016】
次に、図1の(1)のように給紙トレイ2の用紙1を給紙し、まず最終ページ(ここでは5ページ)から印刷を開始する(S6)。作像部3で印刷された5ページの用紙は(2)のようにスイッチバック部9で反転された後(S7)、(3)のように別の搬送路を逆送され、再び作像部3を通って裏面に白紙データが印刷される(S8)。即ち、実質的に用紙は作像部3を素通りする。
【0017】
次に、印刷済み用紙は中間トレイ4に送られる。この場合、用紙は印刷面(5ページ)を上にしてフェースアップで中間トレイ4に排紙されることになる(S9)。次に、中間トレイ4上の印刷済み用紙が設定された綴じ枚数(ここでは5枚)に達したか否かが判断され(S10)、綴じ枚数に達してない場合は、次のページに印刷が行われる(S11)。(S7)〜(S11)の動作が綴じ枚数に達するまで繰り返し行われ、綴じ枚数の最終ページ(1ページ)が中間トレイ4に排紙されると、ステイプラ5によるステイプル処理が行われ(S12)、その用紙束6が排出トレイ7にフェースアップで排出される(S13)。以上によれば、印刷面を上にして1,2,3,4,5ページの順に、かつステイプル位置8が左上で綴じられた所定枚数の用紙束6を得ることができる。
【0018】
図4は両面印刷時で横給紙、5ページ綴じの場合の印刷手順による各ページを示す。
図4において、まず、最終ページ(5ページ)を印刷した後、スイッチバックして中間トレイ4にフェースアップで排紙する。次に3ページを印刷した後、スイッチバックして裏面に4ページを印刷し、中間トレイ4にフェースアップで排紙する。次に1ページを印刷した後、スイッチバックして裏面に2ページを印刷して中間トレイ4にフェースアップで排紙する。以上によれば、印刷面を上にして1ページ(裏が2ページ),3ページ(裏が4ページ),5ページの順に、かつステイプル位置8が左上で綴じられた用紙束6を得ることができる。
【0019】
尚、図2、図4において、印刷すべきページが5ページ以上、例えば20ページあり、これを5ページずつ綴じる場合は、最終ページを20ページとして印刷を開始すれば、排紙トレイ7には5ページずつ綴じた用紙束6が順次フェースアップで排出される。
【0020】
以上のように、本実施の形態によるフェースアップステイプルモードにおいては、片面印刷及び両面印刷に拘わらず常に両面印刷を行い、かつ最終ページから印刷を開始することによりフェースアップステイプル処理を実現している。これに対して図6の従来の画像形成装置においては、1ページから印刷を開始してフェースダウンステイプル処理を行っている。従って、従来の画像形成装置で従来と同様にフェースダウンステイプル処理を行いながら、常に両面印刷を行い、かつ最終ページから印刷を開始することにより、本実施の形態を実現することができる。即ち、従来の画像形成装置で両面印刷を行う場合と実質的に同じである。
【0021】
また、本実施の形態は、図6のような通常はフェースダウンを処理を行う従来の画像形成装置に本発明を適用した場合ついて説明したが、本発明は通常はフェースアップ処理を行う画像形成装置にも適用することができる。その場合は、常に両面印刷を行いながら印刷を1ページから開始するようになされる。
【0022】
図5は上述した印刷方法を実行するための画像形成装置を用いた画像形成システムの概略的な構成を示すブロック図である。
ホストコンピュータであるPC10は、CPU11、フェースアップステイプルモードを選択設定する等の操作及び表示を行う操作・表示部12、プリンタドライバ13及び情報処理部14を備える。画像形成装置20は、全体を統括制御するCPU21、画像処理部22、プリンタ部23、ステイプラ5を有する後処理装置24からなる。プリンタ部23は、プリンタコントローラ25、エンジンコントローラ26、プリンタエンジン27を備える。尚、後処理装置24は画像形成装置20本体と別体の場合もある。
【0023】
上記構成において、図2、図4の並び替え処理をPC10のプリンタドライバ13で行い、最終ページからプリンタ部23にデータを送るようにしてよい。その場合、PC10でフェースアップステイプルモードが設定され、画像処理部20のCPU21がその制御コマンドを受信したら、ステイプル処理が可能な物理条件が揃っていればプリンタエンジン27に対しては従来と同様にフェースダウンステイプルを指示し、かつ常に両面印刷で動作させながら表面と裏面の印刷順序を変更することにより、フェースアップステイプルを実現することができる。
【0024】
また、上記並び替え処理はプリンタコントローラ25で行うようにしてもよい。その場合、印刷する全てのページのデータを記憶装置に取り込んで並び替え処理が行われる。また、並び替え処理を行った後、実際のフェースアップステイプル動作をエンジンコントローラ26で行うようにしてもよい。このようにすれば、エンジンコントローラ26としては、ステイプルは全てフェースダウンで処理することができる。また、白紙データの挿入、並び替え処理は、プリンタドライバ13+プリンタコントローラ25、プリンタコントローラ25、エンジンコントローラ26の何れかで行うようにしてもよい。
【0025】
次に、本実施の形態によるプログラム及びこのプログラムを記録する記録媒体について説明する。
本発明の実施の形態による画像形成装置20の前述した動作に基づく処理及びフローチャートに示す処理を、本装置におけるコンピュータシステムのCPU21が実行するためのプログラムは、本発明によるプロラムを構成する。
【0026】
このプログラムを記録するための記録媒体としては、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ、磁気記録媒体等を用いることができ、これらをROM,RAM,CD−ROM,フレキシブル・ディスク、メモリカード等に構成して用いてよい。この記録媒体は、ネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部のRAM等の揮発性メモリのように、一定時間プロラムを保持するものも含まれる。
【0027】
また上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから伝送媒体を介して、あるいは伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されるものであってよい。上記伝送媒体とは、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように、情報を伝送する機能を有する媒体をいうものとする。
【0028】
また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0029】
従って、このプログラム及び記録媒体を図1、図5のシステム又は装置とは異なるシステム又は装置において用い、そのシステム又は装置のコンピュータがこのプログラムを実行することによっても、実施の形態で説明した機能及び効果と同等の機能及び効果を得ることができ、本発明の課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態による画像形成装置の給紙路及び綴じられた用紙束を概略的に示す構成図である。
【図2】片面印刷時の画像データの並び替えを示す構成図である。
【図3】片面印刷時の動作を示すフローチャートである。
【図4】両面印刷時の画像データの並び替えを示す構成図である。
【図5】本発明の実施の形態による画像形成装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図6】従来の画像形成装置の給紙路及び綴じられた用紙束を概略的に示す構成図である。
【図7】画像の向きと給紙方向によるステイプル位置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0031】
1 用紙
3 作像部
4 中間トレイ
5 ステイプラ
6 用紙束
7 排出トレイ
8 ステイプル位置
9 スイッチバック部
10 PC
11 CPU
12 操作・表示部
13 プリンタドライバ
20 画像形成装置
21 CPU
22 画像処理部
23 プリンタ部
24 後処理装置
25 プリンタコントローラ
26 エンジンコントローラ
27 プリンタエンジン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷部で印刷した印刷済み用紙をフェースダウン処理又はフェースアップ処理して中間トレイに貯め、所定枚数貯まったら所定箇所に固定されたステイプラによりステイプル処理する画像形成装置において、
前記印刷部に給紙する用紙を画像の所定の向きに対して所定の方向に給紙するとき前記印刷部は両面印刷を行い、前記印刷済み用紙をフェースアップ処理又はフェースダウン処理して前記中間トレイに貯めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙の表面又は裏面に白紙データを印刷しながら前記両面印刷を行うことにより片面印刷を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
印刷部で印刷した印刷済み用紙をフェースダウン処理又はフェースアップ処理して中間トレイに貯め、所定枚数貯まったら所定箇所に固定されたステイプラによりステイプル処理する画像形成装置で用いられるプログラムであって、
印刷部に給紙する用紙を画像の所定の向きに対して所定の方向に給紙する処理と、
前記印刷部に両面印刷動作を行わせる処理と、
前記印刷済み用紙をフェースアップ処理又はフェースダウン処理して前記中間トレイに貯める処理とをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項4】
前記用紙の表面又は裏面に白紙データを印刷しながら両面印刷を行うことにより片面印刷を行う処理をコンピュータに実行させる請求項3記載のプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−301294(P2006−301294A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122757(P2005−122757)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】