説明

画像形成装置

【課題】 透明トナーの定着工程で生じる光沢ムラを改善する。
【解決手段】 潜像が形成される像担持体と、前記像担持体上に透明トナー像を形成する透明トナー形成手段と、形成された前記透明トナー像を転写材上に転写する転写手段と、転写された前記透明トナー像を転写材に定着する定着手段と、前記像担持体上に形成する透明トナー像の載り量を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記定着手段の定着温度に応じて、前記透明トナー像の載り量を変化させるために透明トナー像を形成する条件を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等による画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザビームプリンタ等の電子写真方式により画像を形成する画像形成装置の一例として、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色成分画像を重ね合わせて画像を形成するようにしたフルカラー画像形成装置がある。
【0003】
上述したようにして形成されたカラートナーによるカラー画像は、加熱定着の際にその表面が平滑化されるため、用紙表面と異なった光沢度を有している。そのため、トナーによる画像部の光沢度は高く、非画像部の光沢度は低いため、転写材上の光沢度を均一にすることができない。
【0004】
そこで、特許文献1乃至5には、カラートナーの他に透明トナーを転写材に転写、定着する方法が提案されている。
【特許文献1】特開昭63−58374号公報
【特許文献2】特開平4−278967号公報
【特許文献3】特開平4−204670号公報
【特許文献4】特開平5−232840号公報
【特許文献5】特開平7−72696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では、一般に離型性を良くするため、定着ローラは金属製のローラ表面にシリコーンゴムをコートしている。そのため、転写材が定着装置を通るときに定着ローラの熱を奪って温度低下を起こす。シリコーンゴムは、その熱伝導率が小さく温度上昇に時間がかかるため、定着ローラの場所によって温度にばらつきがでてしまい、例えば、定着ローラの1周目と2周目以降で定着温度差が生じることがあった。
【0006】
その結果、透明トナーを使用して光沢度を高くする場合、同じ透明トナーの載り量であっても定着温度が高ければ光沢度は高くなり、逆に定着温度が低ければ光沢度は低くなるので画像光沢ムラが発生し、見た目が悪くなることがあった。
【0007】
本発明は上記の従来技術の課題を鑑みなされたもので、その目的とするところは、光沢用のトナーを用いて画像の光沢度を向上させる際に光沢ムラが生じてしまうのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る画像形成装置にあっては、
記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
トナー像を記録材に熱定着する定着手段と、を有し、
画像の光沢度を向上させる光沢用のトナー像を記録材に形成可能な画像形成装置において、
前記定着手段の温度変化に伴う光沢度変化を抑制するため記録材に形成する光沢用のトナー像の単位面積当たりのトナー量を変更する変更手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光沢用のトナーを用いて画像の光沢度を向上させる際の光沢ムラの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に図面及び実施例を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。
【実施例1】
【0011】
図1に本発明を好適に採用することができる多色画像形成装置の全体構成を示す。
【0012】
給送部101から給送された転写材としての記録材102は、その先端を転写ドラム103のグリッパ103fにより挟持されて転写手段としての転写ドラム103の外周に保持される。
【0013】
一方、潜像形成手段としての光学ユニット107により各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及び透明)毎の潜像がドラム・クリーナユニットCの像担持体1上に形成される。像担持体1として、本実施例では感光体ドラムを用いている。
【0014】
現像器選択機構Sは、像担持体1の軸に平行な軸110を回転中心として回転可能な現像カートリッジ保持部材108と、現像カートリッジDy,Dm,Dc,Db及びDtを現像部において像担持体1方向に加圧して位置決めするための加圧部材111と、保持部材108を回動させて現像カートリッジDy,Dm,Dc,Db及びDtを選択移動させるための制御・駆動機構(不図示)と、各現像カートリッジDy,Dm,Dc,Db及びDtを特定の姿勢に維持するための駆動機構(不図示)等によって構成されている。
【0015】
現像カートリッジには、トナーとキャリアを混合して用いる、所謂2成分現像装置を用い、高画質かつ長寿命を達成している。なお、本発明は主にトナーからなる所謂1成分現像装置であっても適用可能である。
【0016】
次に、現像器選択機構Sにより各色毎に現像されたトナー像は、転写ドラム103に保持された記録材102上に転写される。そして、記録材102上に多色画像が形成された後、記録材102は転写ドラム103から分離され、定着ユニット104に送られる。トナー像が転写された記録材102は、定着手段としての定着ユニット104において多色画像として定着され、排出部105から排出トレイ部106に排出される。本実施例では、現像カートリッジ及び転写ドラムが画像形成手段を構成し、トナー像を記録材に形成する。
【0017】
本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの多色画像形成後において、透明トナーTを備えたカートリッジDtにより、画像の光沢度を向上させる光沢用のトナーとしての透明トナーTによる透明トナー像が像担持体1上に均一に形成され、記録材102に転写される。これにより有色トナーがある画像部と有色トナーのない非画像部との光沢差が緩和され、高質な多色画像を得ることができる。
【0018】
ここで透明トナーTは、画像部(トナー部)の光沢と、非画像部の光沢との差を埋め、画像全体として均一な光沢を達成することができると共に、転写材の凹凸を埋め、凹凸差を緩和させることにより光沢を生み出し、画像全体の光沢度をアップさせることが可能と
なる。
【0019】
なお、画像全体の光沢度をアップさせるために透明トナーTを用いる例の他に、転写材自身の色相を大きく変化させない程度の色相を備えたトナーであれば構わない。具体的には、CLC80g(キヤノンカラー普通紙)の転写材を使用する場合、このCLC80g紙に透明トナー像を形成しこれをCLC80g紙に溶融定着させた後の色相と、CLC80g紙自体の色相との差が6.5以下となるような色相のトナー(例えば白色トナー)を用いることが可能である(CLCは商標)。この色相差は転写材からの反射光を検出することにより得ることができ、本例ではこの色相差としてB級許容差(日本色彩研究所)を用いている。
【0020】
本実施例では、画像全体に透明トナーを均一に作像する前者の方法を用いている。言うまでも無く、後者の方法/トナーであっても、本発明に係る画像形成装置に適用することができる。なお、より好ましくは、定着手段によりトナー像を記録材に溶融定着した場合に無色透明となるトナーを用いるとよい。
【0021】
次に、本実施例に係る定着ユニット104について詳述する。図1において、転写材搬送手段であり回転体としての定着ローラ104gは、カラー画像の単色から四色の多重のトナーの厚さ(数μm〜数十μm)に対処するために、アルミニウム等の芯金にシリコーンゴム等の弾性層が数十μm以上の厚さで設けられている。定着ローラの周長は特殊な極小サイズの記録材を除き通常使用される記録材の搬送方向長さよりも短い構成となっている。従って、後述するように、1枚の記録材に対する定着処理中において定着ローラの温度が低下してしまう場合がある。
【0022】
定着ローラ104gには同じく転写材搬送手段たる加圧ローラ104hが圧接するように配設されており、互いに回転しながら圧接部で未定着透明トナー像を担持した記録材を挟持搬送する。定着ローラ104g及び加圧ローラ104hの内部には、加熱手段たるハロゲンヒータ(不図示)が配設されているため、加圧ローラ104hを介して転写材及び未定着透明トナー像は、加圧及び加熱を受け、定着されて排出される。
【0023】
従って、定着ローラ104gの熱は、転写材及び転写材上のトナー像によって奪われ、温度低下を起こす。図2は、定着ローラの1周目及び2周目における定着温度の推移を示す図である。図2の実線で示すように、定着ローラ104gは、1周目と2周目で定着温度に差を生ずることがある。また、図2の破線で示した温度推移は、公知の手段を用いて上記の1周目と2周目の定着温度の差を緩和した場合の温度推移を示している。
【0024】
公知の手段を用いることにより、1周目と2周目の温度差はある程度緩和されるものの、定着ローラ104gの温度を所定の温度に上昇させるためには一定の時間を必要とするため、1周目と2周目のほぼ2値的な変化に対し、追従できない部分が生じてしまう。
【0025】
また、実際の画像上の光沢ムラは、上記の定着温度の推移と同様の傾向を示しており、従来の画像形成装置の構成では、実線で示した状態では定着ローラが1周目に記録材上のトナー像を定着する温度と2周目に記録材上のトナー像を定着する温度の差は約10℃程度発生する。
【0026】
そこで本実施例では、上記問題を鑑み、定着ローラ104gの1周目の定着温度と2周目の定着温度の変化による光沢ムラを、演算手段や記憶手段等からなる制御手段によって、定着手段の定着温度に応じて、透明トナー像の載り量を変化させるために透明トナー像を形成する条件を制御することで改善する。あるいは、演算手段や記憶手段等からなる変更手段により、定着手段の温度変化に伴う光沢度変化を抑制するため記録材に形成する光
沢用のトナー像の単位面積当たりのトナー量を変更することで抑制する。以下に詳細を示す。
【0027】
図3に、単位面積あたりの透明トナーの質量(以下載り量)と光沢(グロス)との関係を、定着温度毎に示す。グロス測定値は75°反射による。図3より明らかなように、透明トナーの載り量とグロスの関係は、転写材の凹凸によるグロス低下の影響を減じる方向である。そのため、図3に示した領域においては、載り量に対するグロスの値はほぼ右上がりの関係を有し、また定着温度が高いほうがグロスも高い。
【0028】
本実施例では、図3に基づき、記録材上の単位面積当たりの透明トナー像の載り量を、記録材の搬送方向先端側よりも後端側の方を多くする。より簡便には、定着温度に応じて、定着ローラ104gが2周目以降に定着する記録材102上の単位面積当たりの透明トナー像の載り量を、定着ローラ104gが1周目に定着する記録材102上の単位面積当たりの透明トナー像の載り量に対して多くする(変化させる)とよい。これにより、定着ローラ104gの1周目と2周目の定着温度変化に応じて、透明トナーの載り量を適正化させることができ、定着ローラの定着温度変化による光沢ムラの発生を抑制し、均一な光沢感を達成することができる。
【0029】
具体的には、秤量80g/mの一般的なコピー用紙に画像形成すると、記録材102が通過する1周目の定着ローラ104gの表面温度が190℃の場合、2周目で180℃となり約10℃低下する。そこで、例えばグロスが30程度で均一な光沢を得るために、図3に示す関係に基づき、定着温度が10度変化した場合でも光沢が変化しない透明トナーの載り量を算出する。具体的には、定着ローラ104gの1周目に相当する部分(定着温度が190℃近傍)の透明トナー載り量を0.35mg/cm、2周目に相当する部
分(定着温度が180℃近傍)の透明トナーの載り量を0.62mg/cmとすること
により、光沢ムラを改善し、目立たなくすることができる。
【0030】
ここで、載り量の増加に対してグロスの増加が飽和する領域を用いた場合でも、図3より明らかなように、定着温度が例えば190℃から10℃も低下してしまうと、載り量を増加させても190℃の定着温度で得られる光沢にまで到達できない。しかしこのような場合でも、本実施例と同様、1周目の透明トナーの載り量を2周目の透明トナーの載り量よりも少なく設定することにより、定着温度に依存して光沢が変わることなく、均一な光沢の画像を得ることが可能となる。
【0031】
載り量の変化のさせ方は種々の方法が考えられるが、透明トナー像を形成する条件として、像担持体と透明トナー像形成手段としての現像カートリッジDtとの電位差、いわゆる現像コントラストを補正してもよい。また、潜像形成手段により像担持体に形成された潜像と透明トナー像形成手段との電位差を、定着ローラ104gの1周目相当部分と2周目相当部分の潜像で変化させるために、潜像形成条件を変化させてもよい。また、1周目相当部分と2周目相当部分との透明トナーの載り量段差による違和感軽減のため、載り量変化部を段階的に変化させてもよい。
【0032】
有色のトナーにおいては、載り量を変化させることにより光沢のみならず発色性も変化してしまい、光沢ムラを改善するにあたり好ましい手段とはなりえないが、透明トナーにおいては、載り量を変化させることにより光沢にのみ影響を及ぼすため光沢ムラの改善を図ることができる。
【0033】
なお、本実施例では定着ローラの1周目と2周目における透明トナーの載り量について述べたが、例えばA3サイズ紙のような大サイズ紙では、定着ローラが3周以上接触する場合も十分考えられる。その場合においても、本実施例と同様、3周目の定着温度の実測
/予想値に応じて適正な透明トナー載り量を選択することにより、均一な光沢感のある良質な画像を得ることができる。例えば、定着ローラ104gが記録材102と接触する面が1周する毎に記録材上の単位面積当たりの透明トナー像の載り量が大きくなるように、透明トナー像を形成する条件を変化させることで、全面定着するために定着ローラが3周以上回転する必要がある大サイズ紙であっても、光沢ムラの少ない画像を得ることができる。
【0034】
なお、本実施例では、定着温度が190℃から180℃に変化する場合を示したが、温度条件はこれに限定されるものではないことは言うまでも無い。また、本実施例のように温度変化を予測して前もってフィードフォーワードにより制御する場合のほかに、定着温度をサーミスタ等を用いて実測し、該測定結果に基づいて透明トナーの載り量を算出して透明トナー像を形成する条件を制御しても良い。
【0035】
以上より、定着ローラの定着温度の変化により定着工程で生じる光沢ムラ、例えば、定着ローラ1周目と2周目の定着温度差による光沢ムラを、透明トナーの載り量を変化させることにより改善し、均一性の高い光沢を持つ画像を提供することができる。
【実施例2】
【0036】
実施例2では、所謂非通紙部昇温によって生じる画像スラスト中央部と両端部との定着温度差による光沢ムラを、透明トナーの載り量を適正に制御することによって均一な光沢とすることを特徴とする。実施例1と同様な構成の説明は省略する。
【0037】
例えば、封筒のような小サイズ紙を定着する場合、定着ローラの長手方向において封筒が通っていた定着後の通紙域は、従来の方法でも加圧ローラの温度検知が可能であるが、ヒータが長手方向最大通紙幅全域で均一な発熱を行っている場合、非通紙域においては、紙に奪われる熱量がないことから高温になる(いわゆる非通紙部昇温)。
【0038】
図4に、小サイズ紙を通紙した後の端部昇温を示す長手位置と温度との関係を示す図である。図4はスラスト幅100mmの小サイズ紙を約50枚通紙した場合の実験値である。図4に示すように、小サイズ紙を通紙する前の定着ローラの長手方向の温度分布(実線)に対し、小サイズ紙を通紙した後の温度分布(破線)は端部が著しく昇温していることがわかる。
【0039】
本実施例では、このような端部昇温に起因する透明トナーの光沢ムラを解消するため、図4に示す破線の温度分布を持った定着ローラにより定着する場合、図3に示す関係に基づいて載り量をスラスト方向で変化させる。具体的には、記録材上の単位面積あたりの透明トナー像の載り量を、記録材のスラスト方向の中央部よりも端部が小さくなるように透明トナー像を形成する条件を制御する。
【0040】
端部昇温による定着ローラの温度分布は、通紙した小サイズ紙の大きさ、枚数、種類や、小サイズ紙を流し終えた後から大サイズ紙を画像形成するまでの時間等の条件より温度変化を推測する検知手段を用いても良い。また、長手方向の温度分布を何らかの手法(例えば検知手段として複数のサーミスタを長手方向に併設する)を用いて測定し温度変化を検知してもよい。そして、制御手段は、前記検知手段が推測した温度又は検知した温度に基づいて前記透明トナー像の載り量を制御することで定着ローラのスラスト方向の温度差による光沢ムラを改善することができる。
【0041】
以上より、小サイズ紙を通紙した後に発生する定着ローラの端部昇温による光沢ムラを、透明トナーの載り量を変化させることにより改善し、均一性の高い光沢を持つ画像を提供することができる。
【実施例3】
【0042】
実施例3では、実施例1のさらに好ましい形態として、紙種、画像形成装置の稼動雰囲気(温度)、画像形成時の定着ローラ温度等に応じて適正な透明トナーの載り量となるように透明トナー像を形成することにより、均一な光沢感のある画像を提供できることを特徴とする。本実施例により、ユーザは、出力したい紙種及びその時の定着温度変化に応じた適正な透明トナー載り量を選択可能となる。実施例1と同様な構成の説明は省略する。
【0043】
実際の動作を詳述する。はじめに、図5(a)に示すように、出力したい記録材102上の定着ローラ1周目相当部分と2周目相当部分のそれぞれに、現像条件の異なる5種類のパッチ状画像を透明トナーにより形成する。そして、定着ローラ104gが通過した後に、記録材上に定着された透明トナー像の光沢度を測定する測定手段としての光沢度センサ110により各パッチ状画像の光沢を読み取り、目標光沢を出力できる現像条件を選択する。ここで、光沢度センサ110は、画像形成装置本体に配置されている。
【0044】
図6のフローチャートを用いながら、本実施例の制御を詳細に示す。透明トナーの適正載り量制御をスタートすると、まず現像条件の異なる5種類のパッチ画像T1〜T5を定着ローラ1周に相当する領域毎に透明トナーにより形成する(S1)。そして、画像形成を行いたい記録材上の定着ローラ1周目相当部分と2周目相当部分それぞれに、上記パッチ画像を溶融定着させる(S2)。ここで、現像条件とは、感光ドラム電位(FF部)と現像DCバイアスとの差分値(以下現像コントラスト)であり、該現像コントラストを25V刻みでトータル100V変化させ、5つのパッチ画像を形成させる。
【0045】
図7、図8にパッチ画像を形成する際の制御及び電位の概念図を示す。図7に示すように、本実施例では、ドラム帯電手段である一次帯電装置と、透明トナー形成手段にかかる現像直流バイアスを適正載り量の制御中は一定になるように制御し、潜像形成手段(レーザ)のパワーをパッチ画像T1〜T5について異ならせることで、現像条件の異なる5種類のパッチを形成している。図8には、本実施例中の適正載り量制御時のドラム電位、現像コントラストの概念図を示した。図8に示すように、パッチ画像T1〜T5について、5つの潜像電位と、一定の現像DCバイアスにより5種類の現像コントラストを形成している。
【0046】
作像された5つのパッチ画像T1〜T5は、定着手段で溶融定着された後、定着ローラ104gが1周目に定着した透明トナー像の光沢度と、定着ローラ104gが2周目に定着した透明トナーの光沢度とが順番に光沢度センサ110により測定され、パッチ画像T1〜T5に対応した光沢度がデータ化される(S3、図5(b)参照)。
【0047】
さらに図9に、本実施例における上記5つのパッチから適正現像コントラストを算出するための概念図を示す。図9は横軸に現像コントラスト、縦軸に光沢度センサ110による光沢度を示している。例えば現在設定されている現像コントラストを中心値として、図8に示すように、プラス側に25V刻みで2点、マイナス側も同様に2点、それぞれ現像コントラストを異ならせ、記録材搬送方向に25mm、搬送方向に垂直な方向に10mmのパッチ画像を形成する。すると、現像コントラストを高めるに連れて透明トナーの現像量も増し、記録材の凹凸を徐々に埋めることによって、光沢度が上がることになる。この特性を利用し、図9に示すように目標光沢度を定め、該目標光沢度を達成するために必要十分な現像コントラストを抽出することが可能である。本実施例では、5点のサンプリングを線形に近似し、得られた直線と目標光沢との交点を適正現像コントラスト値とした(S4、S5)。
【0048】
また、上記の適正載り量制御を行うことにより、図5(b)の概念図に示す通り、その
時点での定着条件、画像形成装置の稼動雰囲気、さらにはユーザが入力した画像出力を望んでいる転写材の種類の情報に応じた、透明トナーの載り量と光沢の関係を算出し制御することが可能となる。本実施例では、前記結果に基づいて、実施例1と同様に定着ローラの温度変化、例えば、定着ローラの1周目と2周目の定着温度の変化に応じて、透明トナーの載り量を適正化させることにより、定着ローラの温度変化による光沢ムラの発生を抑制し、均一な光沢感を達成することができる。
【0049】
また、記録材の種類を検知する検知手段により、検知結果から推測される記録材の種類に応じて光沢用のトナー像の単位面積当たりのトナー量を変更するように構成してもよい。
【0050】
なお、以上の各実施例では、有色トナーによる画像形成装置の一部として、透明トナー作像部分を有する画像形成装置でのものだが、透明トナーの作像部は、これに限るものではなく、例えば有色トナーによる画像形成がすべて終了した後に、透明トナー像を転写材上に作像する別ユニットを別途有色画像形成装置の他に設ける構成であっても良い。
【0051】
また、以上の各実施例における像担持体上に形成する透明トナー像の載り量を制御する制御手段は、ソフト的、ハード的な種々のものを適宜選択して用いることができる。例えば、予め定着温度と光沢度と透明トナー像形成条件との関係をテーブル化したものを記憶手段に記憶しておき、測定した情報から適宜最適な透明トナー像形成条件を選択し、それに基づいて制御を行っても良い。あるいは、予め定着温度と光沢度と透明トナー像形成条件との関係を示す計算式を記憶しておき、演算手段により最適な透明トナー像形成条件を算出し、それに基づいて制御を行っても良い。
【0052】
以上の各実施例における光沢度の測定は、画像光沢度値がJISによる60°鏡面光沢度に基づいており、グロスチェッカIG−320(登録商標;掘場製作所製)を用いて為されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図2】定着ローラの1周目及び2周目における温度推移を示す図である。
【図3】載り量とグロスとの関係を示す図である。
【図4】端部昇温を示す長手位置と温度との関係を示す図である。
【図5】実施例3における測定・制御方法を示す概念図である。
【図6】実施例3における制御のフローチャートである。
【図7】実施例3におけるパッチ画像形成の制御シーケンスチャートである。
【図8】実施例3における制御時の電位変化を示す概念図である。
【図9】実施例3における現像コントラストと光沢との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
1 像担持体
101 給送部
102 記録材
103f グリッパ
103 転写ドラム
104 定着ユニット
104g 定着ローラ
104h 加圧ローラ
107 光学ユニット
110 光沢度センサ
C ドラム・クリーナユニット
Dt 透明トナー現像カートリッジ
T 透明トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
トナー像を記録材に熱定着する定着手段と、を有し、
画像の光沢度を向上させる光沢用のトナー像を記録材に形成可能な画像形成装置において、
前記定着手段の温度変化に伴う光沢度変化を抑制するため記録材に形成する光沢用のトナー像の単位面積当たりのトナー量を変更する変更手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
光沢用のトナー像の単位面積当たりのトナー量について記録材の搬送方向先端側よりも後端側の方を多くすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変更手段は、記録材の種類に応じて光沢用のトナー像の単位面積当たりのトナー量を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着手段の温度に対応する情報を検知する検知手段を有し、
前記変更手段は、前記検知手段の出力に応じて光沢用のトナー像の単位面積当たりのトナー量を変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光沢用のトナーは、透明トナーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−243209(P2006−243209A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57009(P2005−57009)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】