説明

画像形成装置

【課題】 像担持体の露光直前の各位置における帯電電位を均一化して、かぶりの発生を防ぐ画像形成装置を得る。
【解決手段】 感光体ドラム28は、帯電ローラ42によって帯電され、弱全面露光装置44によって画像露光装置46による露光に比べて弱い光が帯電域へ照射された後、画像露光装置46によって露光されて静電潜像が形成される。これにより、感光体ドラム28の露光直前の各位置における帯電電位を均一化することができるので、かぶりの発生を防ぐことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を露光して画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光体を帯電させるために、帯電ローラが用いられるものがある(例えば、特許文献1参照)。このような帯電ローラによる帯電処理では、帯電ローラを感光体と接触させて感光体を帯電している。ここで、帯電ローラから感光体への電荷移動は、実際には、主として帯電ローラと感光体との微小空隙での放電による。
【0003】
この従来の接触帯電方式では、高速機においてはややもすると、感光体の各位置における帯電電位が不均一となり、非画像部にトナーが付着して濃度が高くなる「かぶり」の発生原因になっていた。
【特許文献1】特開平9−185301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、像担持体の露光直前の各位置における帯電電位を均一化して、かぶりの発生を防ぐ画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載する本発明の画像形成装置は、トナー画像が形成される像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体の回転方向に対して前記帯電手段より下流側で前記露光手段より上流側に配置され、前記帯電手段により帯電された前記像担持体に前記露光手段による露光に比べて弱い光を帯電域へ照射する照射手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載する本発明の画像形成装置によれば、像担持体は、帯電手段によって帯電され、照射手段によって露光に比べて弱い光が帯電域へ照射された後、露光手段によって露光されて静電潜像が形成される。このように、帯電後で露光前に、像担持体の帯電域へ弱い光が照射されることで、像担持体の露光直前の各位置における帯電電位を均一化することができるので、非画像部にトナーが付着して濃度が高くなる「かぶり」の発生を防ぐことが可能となる。
【0007】
請求項2に記載する本発明の画像形成装置は、請求項1記載の構成において、前記照射手段が露光する光の強度は、前記露光手段が露光する光の強度に対して1/5以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載する本発明の画像形成装置によれば、照射手段が露光する光の強度は、露光手段が露光する光の強度に対して1/5以下であるので、効率良く画像形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、像担持体の露光直前の各位置における帯電電位を均一化して、かぶりの発生を防ぐことができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における画像形成装置の実施形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1に示されるように、画像形成装置としてのカラーレーザープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像をそれぞれ連続紙Pに転写し、重ね合わせるプリント部12Y、12M、12C、12K(以下、「プリント部12Y〜12K」という)が搬送方向(矢印T方向)上流側から順に配置されている。
【0012】
プリント部12Y〜12Kの搬送方向(矢印T方向)上流側には、用紙搬送部14が設けられている。用紙搬送部14は、連続紙Pが巻き掛けられるメインドライブローラ16を備える。メインドライブローラ16の軸方向の両端部は、用紙搬送フレーム18に図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。メインドライブローラ16には、アイドルローラ19Dが当接しており、連続紙Pをメインドライブローラ16とアイドルローラ19Dとのニップ部に挟んでプリント部12Y〜12Kに向けて搬送するようになっている。なお、メインドライブローラ16の搬送方向(矢印T方向)上流側には、アイドルローラ19A、19B、アライニングローラ17が配設され、メインドライブローラ16の搬送方向(矢印T方向)下流側には、アイドルローラ19Cが配設されている。
【0013】
プリント部12Y〜12Kの搬送方向(矢印T方向)下流側には、プリント部12Y〜12Kで転写された未定着トナー画像を連続紙Pに定着させる定着部20、定着部20を通過した連続紙Pを排紙する排紙部26が設けられている。
【0014】
定着部20は、アイドルローラ21A、21B、21C、フラッシュ定着装置22、排紙ローラ23が配設されており、これらは、搬送方向と直交する方向の両端部を定着フレーム24に支持されている。ここで、フラッシュ定着装置22は、プリント部12Y〜12Kで転写された未定着トナー画像を連続紙Pに定着させるようになっている。
【0015】
排紙部26は、複数のローラ等からなる張力付与機構25を備えており、張力付与機構25の各部材は、搬送方向と直交する方向の両端部を直接、又は支持部材等を介して排紙フレーム27に支持されている。
【0016】
プリント部12Y〜12Kは、像担持体としての感光体ドラム28を備え、この感光体ドラム28にトナー画像が形成される。感光体ドラム28は、プラス帯電に光導電性を有するアモルファスシリコン感光体ドラムとされる。図2に示されるように、感光体ドラム28は、回転支軸28Aを軸として回転可能とされており、図示しないモータにより図2の反時計回り方向(矢印R方向)へ回転するようになっている。
【0017】
感光体ドラム28の回りには、感光体ドラム28の回転方向(矢印R方向)の順に、転写ローラ30、クリーナ40、帯電ローラ42、弱全面露光装置44、画像露光装置46、現像装置48が配置されている。
【0018】
図1に示されるように、感光体ドラム28の上方には、転写手段としての転写ローラ30が設けられる。転写ローラ30は、軸受を介して図示しない転写フレームに回転可能に支持されており、この転写フレームは、プリントフレーム38Y、38M、38C、38K(以下、「プリントフレーム38Y〜38K」という)に支持されている。転写ローラ30は、感光体ドラム28の上面に当接し、感光体ドラム28と共に連続紙Pを挟持搬送して感光体ドラム28上に形成されたトナー画像を連続紙Pに転写させるようになっている。転写ローラ30よりも搬送方向(矢印T方向)上流側及び下流側には、ガイドローラ32が配置される。
【0019】
図2に示されるように、感光体ドラム28の回転方向(矢印R方向)に対して転写ローラ30より上流側には、現像装置48が配置される。現像装置48は、現像器カートリッジ50を備えており、この現像器カートリッジ50内にトナーとキャリアとで構成される2成分トナーが充填されている。現像器カートリッジ50内には、2本の攪拌スクリュー52が設けられ、攪拌スクリュー52は、現像器カートリッジ50内に充填されたトナーとキャリアを攪拌して帯電させ、かつ、ムラ無く混合するようになっている。
【0020】
また、現像装置48は、搬送マグネットローラ54及び現像マグネットローラ56を備え、いずれも感光体ドラム28と軸平行に配置される。現像マグネットローラ56は、3本設けられ、感光体ドラム28に当接する位置に配置されて+350Vの現像バイアスが印加されるようになっている。搬送マグネットローラ54は、トナーとキャリアとで構成される2成分トナーを3本の現像マグネットローラ56に搬送するようになっている。これらにより、現像装置48は、感光体ドラム28に形成された潜像上にトナーを付着させてトナー画像を形成する。
【0021】
感光体ドラム28の回転方向(矢印R方向)に対して、転写ローラ30より下流側には、クリーナ40が配置されており、このクリーナ40は、感光体ドラム28の未転写残留トナーを除去するようになっている。
【0022】
感光体ドラム28の回転方向(矢印R方向)に対して、クリーナ40より下流側には、接触帯電手段としての帯電ローラ42が配置される。帯電ローラ42は、感光体ドラム28と軸平行であり、感光体ドラム28と接触可能な位置にあって回転可能とされる。
【0023】
この帯電ローラ42は、導電性のローラであって金属製の芯金が合成樹脂製の弾性層によって被覆されており、芯金には図示しない電源により正極性の電圧が印加されるようになっている。これにより、本実施形態では、帯電ローラ42は、感光体ドラム28を+750Vに帯電させる。なお、帯電ローラ42から感光体ドラム28への電荷移動は、主として帯電ローラ42と感光体ドラム28との微小空隙での放電による。
【0024】
感光体ドラム28の回転方向(矢印R方向)に対して、帯電ローラ42及び弱全面露光装置44より下流側には、露光手段としての画像露光装置46が配置される。画像露光装置46は、LED光等の光線46Lを出射することで、感光体ドラム28の感光層に光像を照射し、これにより、帯電ローラ42により帯電された感光体ドラム28を露光して静電潜像を形成するようになっている。ここで、本実施形態では、LED光等によって、感光体ドラム28の表面電位が+100Vに減衰されている。
【0025】
感光体ドラム28の回転方向(矢印R方向)に対して帯電ローラ42より下流側で画像露光装置46より上流側には、照射手段としての弱全面露光装置44が配置される。弱全面露光装置44は、帯電ローラ42により帯電された感光体ドラム28に画像露光装置46による露光に比べて弱い光を帯電域(帯電ローラ42により帯電された領域)へ照射するようになっている。(なお、図2において、弱全面露光装置44による光線を44Lで示す。)
図3には、弱全面露光装置44の構成が示されている。図3に示されるように、弱全面露光装置44には、複数(本実施形態では106個)のLEDランプ(BR1103Wスタンレー社製)44Aが感光体ドラム28(図2参照)の軸心方向に平行な方向に沿って並設されている。
【0026】
図2に示される弱全面露光装置44による照射時の光強度は、画像露光装置46による露光に比べて1/5以下の光量、より望ましくは1/10以下の光量となるように設定される。弱全面露光装置44による帯電域への弱い光の照射により、感光体ドラム28が導電性になって感光体ドラム28の表面(照射部分)における帯電電荷が感光体ドラム28中にリークすることになり、本実施形態では、感光体ドラム28の表面電位が+650Vに減衰される。ここで、感光体ドラム28の表面にて帯電電位が高かった部分は、帯電電位が低かった部分に比べて光感度及び光移動度が大きく感光体ドラム28中に電荷がリークしやすいため(電荷減衰が早いため)、感光体ドラム28の軸方向に沿った露光直前の各位置における帯電電位が均一化される。
【0027】
なお、弱全面露光装置44による発光波長は、本実施形態では、720nm程度とされるが、使用される感光体ドラムによって適宜選択することが好ましい。例えば、OPC系の感光体ドラムの場合は、アモルファスシリコン感光体ドラムとほぼ同様でよいが、セレン系の感光体ドラムの場合には、アモルファスシリコン感光体ドラムの場合に比べてやや低くするのがよい。
【0028】
また、弱全面露光装置44の光量を1/5より大きくすると、感光体ドラム28の表面電位の減衰が大きくなり、画像露光装置46の効率が悪くなるとともに、得られるトナー像の品質にも悪い影響を及ぼす。
【0029】
次に、上記の実施形態の作用を説明する。
【0030】
図1に示されるように、連続紙Pは、用紙搬送部14からプリント部12Y〜12Kへ搬送され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が転写される。このときの各プリント部12Y〜12Kにおける作用は、ほぼ同様であるので、これらをまとめて以下により説明する。
【0031】
図2に示される感光体ドラム28は、クリーナ40によって未転写残留トナーを除去された後、帯電ローラ42によって+750Vに帯電される。帯電された感光体ドラム28の帯電域へは、弱全面露光装置44によって露光に比べて弱い光が照射される。これによって、感光体ドラム28が導電性になり、感光体ドラム28の表面(照射部分)における帯電電荷が感光体ドラム28中にリークする。このため、本実施形態では、感光体ドラム28の表面電位が+650Vに減衰される。ここで、感光体ドラム28の表面にて帯電電位が高かった部分は、帯電電位が低かった部分に比べて光感度及び光移動度が大きく感光体ドラム28中に電荷がリークしやすいため(電荷減衰が早いため)、感光体ドラム28の軸方向に沿った露光直前の各位置における帯電電位が均一化される。
【0032】
帯電電位が均一化された感光体ドラム28は、画像露光装置46によって露光されて静電潜像が形成される。その後、感光体ドラム28は、+350Vの現像バイアスが印加された現像マグネットローラ56と接触し、現像装置48の現像器カートリッジ50内に充填されるトナーが付着されることで、現像される。
【0033】
現像された感光体ドラム28は、転写ローラ30によって、図1に示される連続紙Pに転写される。各色のトナー画像が転写された連続紙Pは、フラッシュ定着装置22によって定着されて排出される。
【0034】
このように、帯電後で露光前に、感光体ドラム28の帯電域へ弱い光が照射されることで、感光体ドラム28の軸方向に沿った露光直前の各位置における帯電電位を均一化することができるので、現像段階において、非画像部にトナーが付着して濃度が高くなる「かぶり」の発生を防ぐことが可能となる。
【0035】
ここで、かぶりの発生を防げることで、コロナ帯電器に比べて帯電能力が高いという帯電ローラ42の特性を生かして、帯電ローラ42を高速プリンタへ適用しても、良好な画像が得られる。
【0036】
また、大型であるコロナ帯電器に比べて、帯電電位が不均一になりやすい小型の帯電ローラ42を適用しても、帯電電位を均一化できることで、画像形成装置の小型化も可能となる。
【0037】
さらに、帯電電位を均一化できることで、帯電ローラ42のような接触帯電器を適用すれば、コロナ帯電器を適用する場合に比べて、帯電時におけるオゾン発生を抑えることができる。
(試験例)
上記実施形態の作用を確認するために、以下に示す実施例に係る画像形成装置(以下、実施例という)と、比較例に係る画像形成装置(以下、比較例という)との比較試験を行った。
【0038】
実施例は、接触帯電手段として、上記実施形態における帯電ローラ42の代わりに導電性ブラシを用いた。他の構成は、上記実施形態と同様の構成である。
【0039】
比較例は、照射手段としての弱全面露光装置を配置しない構成とした。他の構成は、実施例と同様の構成である。
【0040】
比較試験では、実施例及び比較例について画像形成処理を行い、感光体ドラムの軸方向に沿った露光直前の各位置における帯電電位を表面電位計で測定した。ここで、表面電位計は、トレック製の測定スポット径が1mmであり、感光体ドラムから上方5mm程度離れた位置でスキャンした。プロッタで描いた測定結果のグラフを図4に示す。図4において、横軸は、感光体ドラムの軸方向に沿った露光直前の位置を示し、縦軸は、各位置における正の帯電電位を示す。
<評価>
図4(A)に示されるように、比較例では、感光体ドラムの軸方向に沿った各位置における帯電電位がかなり不均一である。一方、図4(B)に示されるように、実施例では、感光体ドラムの軸方向に沿った各位置における帯電電位が均一化されている。
【0041】
このことから、感光体ドラムの回転方向に対して導電性ブラシ(帯電手段)より下流側で画像露光装置(露光手段)より上流側に弱全面露光装置(照射手段)を配置し、導電性ブラシにより帯電された感光体ドラムに対して弱全面露光装置が画像露光装置による露光に比べて弱い光を帯電域へ照射することで、感光体ドラムの露光直前の各位置における帯電電位を均一化できることが確認された。
【0042】
なお、実施例及び比較例について、磁気ブラシ現像器を適用して現像したところ、比較例では、かぶりが発生したが、実施例では、かぶりのない画像を得られることが確認できた。
【0043】
なお、上記実施形態では、像担持体として感光体ドラムを用いた場合を例に挙げて説明したが、像担持体は、トナー画像が形成されるものであればよく、例えば、感光体ベルト等でもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、帯電手段として帯電ローラ42を用いた場合について説明したが、帯電手段は、像担持体を帯電させることができるものであればよく、他の接触帯電器(例えば、実施例のような導電性ブラシ等)やコロナ帯電器(例えば、コロトロン、スコロトロン等)を適用してもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、画像形成装置として、連続紙Pにトナー画像を転写するプリンタ10を例に挙げて具体的に説明したが、連続紙P以外のカット紙等の被転写材にトナー画像を転写する画像形成装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態におけるカラーレーザープリンタの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態におけるカラーレーザープリンタのプリント部の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態における弱全面露光装置の構成を示す図である。図3(A)は、弱全面露光装置の正面図である。図3(B)は、弱全面露光装置の側面図である。
【図4】試験例において、感光体の各位置における帯電電位を示すグラフである。図4(A)は、比較例を示すグラフである。図4(B)は、実施例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
10 カラーレーザープリンタ(画像形成装置)
28 感光体ドラム(像担持体)
42 帯電ローラ(帯電手段)
44 弱全面露光装置(照射手段)
46 画像露光装置(露光手段)
R 感光体ドラムの回転方向(像担持体の回転方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像が形成される像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記像担持体の回転方向に対して前記帯電手段より下流側で前記露光手段より上流側に配置され、前記帯電手段により帯電された前記像担持体に前記露光手段による露光に比べて弱い光を帯電域へ照射する照射手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記照射手段が露光する光の強度は、前記露光手段が露光する光の強度に対して1/5以下であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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