説明

画像形成装置

【課題】記録媒体の種類を選ばず収納部に複数枚収納した状態でジャム、カール等発生することなく使用可能で省スペース化された画像形成装置を提供する。併せて部品点数の削減を図る。
【解決手段】記録媒体Pを記録媒体収納部20から画像形成部10、および排出部40へ搬送する記録媒体搬送手段を具備し、記録媒体収納部で収納状態の記録媒体が画像形成部へと搬送され、排出されるまでの搬送経路TPが略直線状でかつ略鉛直方向となるように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙またはOHPシート等の記録媒体に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置に関し、特に記録媒体のジャムの防止及びカールの低減ができる共に、装置の小型化、低コスト化が可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも1つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置は、大略、画像を形成する紙やOHPシート等の記録媒体を収納する記録媒体収納部と、該記録媒体に画像を形成する画像形成部と、画像が形成された記録媒体を排出する排出部と、記録媒体を記録媒体収納部から画像形成部、および排出部へと搬送する記録媒体搬送手段を基本的な構成としている。通常、その他にも電源部、画像データの処理やプロセスの制御を行う制御部を備え構成され、また複写機能を有する装置においては、これに加え原稿を読み取る画像読み取り部を備えている。
【0003】
従来の一般的な画像形成装置においては、記録媒体収納部として1つまたは複数の給紙カセットが装置下部に配置され、複数枚の記録媒体を水平に積み重ねて収納するようになっている。記録媒体は記録媒体搬送手段により給紙カセットに収納された記録媒体の上から一枚ずつ分離されて、画像形成部に搬送される。画像形成部に搬送された記録媒体は所望の画像が形成され、記録媒体搬送手段により装置上部などに配置された排出部へと搬送され、排紙トレイ上に水平またはやや傾斜した状態で積み重ねられる。
【0004】
このような画像形成装置には、記録媒体の搬送経路に着目すると、装置下部に配置された給紙カセットから水平方向に配置された画像形成部に搬送されるものがある。例えば、特許文献1では、中間転写体を有する画像形成装置において、転写材供給位置から排出位置に至る転写材の搬送経路が、該転写材を水平方向に直線搬送するように形成されている。
【0005】
これに対して、装置下部に配置された給紙カセットから鉛直方向に配置された画像形成部に搬送されるものがある。特許文献2の画像形成装置は、用紙を下から上へと搬送し、その搬送途中に用紙に画像を定着させる縦搬送機と後処理装置を中継搬送路を有し、排紙トレイが後側に向かうほど高さが低くなる排紙受け取り面を有し、複数の通気孔が形成され、通気孔に最下部に向かってのびるテーパ部が形成されていることを特徴としている。また、特許文献3には、給紙手段から定着手段までの用紙搬送路が略垂直方向に延在する縦搬送路として形成され、開閉部が装置本体の一方側の端部に設けられることを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0006】
この種の画像形成装置の一例を、図8に側断面図で示す。このプリンタ装置100Zは、4つのプロセスユニット6Y,M,C,BKと、それぞれに対応する4つの露光装置7Y,M,C,BKとを備えている。また、ベルトユニットには、それぞれ4つの転写ローラ15Y,M,C,BKを備えている。また、2つの給紙カセット26や、これらの下に配設されてロール紙RPを供給するロール紙供給装置70を備えている。
【0007】
上記プロセスユニット6Y,M,C,BKは、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、BK(ブラック)トナー像を形成するためのもので、使用するトナーの色が異なる以外はほぼ同様の構成となっている。イエロー用のプロセスユニット6Yを例にして説明すると、図9に示すように、感光体ドラム1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体ドラム1Yの表面を一様帯電せしめる。このように一様帯電せしめられた感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7Yによって露光されて、Y用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、中間転写ユニットの中間転写ベルト18上に中間転写される。一方、ドラムクリーニング装置2Yは、Yトナー像転写後の感光体ドラム1Yに残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体ドラム1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体ドラム1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスユニット6M、C、BKにおいても、同様にして感光体ドラム上にM,C,Kトナー像が形成され、中間転写ベル18上に順次重ね合わせて中間転写される。
【0008】
中間転写ユニットは、上述のように、4つの転写ローラ7Y,M,C,BKを備えている。これらは、それぞれY,M,C,BK用の感光体ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写せしめるためのもので、感光体ドラムとの間にY,M,C,BK用転写ニップを形成している。各転写ニップでは、図示しない電源から中間転写バイアスが付与される転写ローラがベルト裏面に当接して転写電界が形成されている。中間転写ベルト18は、図中反時計回りに無端移動せしめられる。そして、各転写ニップにおいてY,M,C,BKトナー像が順次重ね合わせて中間転写せしめられるのである。この重ね合わせの転写により、中間転写ベルト18上には4色重ね合わせによるトナー像が形成される。このトナー像は、ベルトの無端移動に伴って転写チャージャ17との対向位置を通過する際に、転写紙Pの表面に一括2次転写される。白色の転写紙Pに転写されることでフルカラー画像が形成される。
【0009】
ベルトユニットの上方には、内部にヒーター等の熱源を有する定着ローラ、これに所定の圧力で当接して弾性変形することで定着ニップを形成する加圧ローラ等から構成される加熱定着装置30が配設されている。中間転写ベルトから剥がれた転写紙Pは、この加熱定着装置30内に送られる。そして、定着ニップに挟まれて、加熱されたり加圧されたりすることで、転写紙P上のトナー像が定着せしめられた後、排出路33に送り出される。この排出路33は、加熱定着装置30から鉛直方向に送られてくる転写紙Pを受け入れた後、その移動方向を水平方向に近い向きに転換させてから、排出装置34に向けて送り出す。この排出装置34は、排出路33から受け取った転写紙Pをプリンタ筺体の上面に向けて排出する。この上面には、転写紙Pの排出方向に対して上り勾配となるようなスタック部40が形成されており、排出装置34から排出される転写紙Pがこのスタック部40に順次スタックされる。
【0010】
上述構成の例示装置100Zは、いわゆるタンデム方式で転写紙Pにフルカラー画像を形成することができる。このタンデム方式とは、それぞれ専用の像担持体(感光体ドラム等)によって重ね合わせ用の各単色トナー像を形成する方式である。タンデム方式の他に、1つの像担持体だけを用いてフルカラー画像を形成する分割方式もあるが、タンデム方式の装置では、各プロセスユニット6Y,M,C,BKで各色トナー像を並行して形成することで、中間転写ベルト18を1回転させるだけでフルカラー画像を形成することができ、分割方式の装置に比べて、フルカラー画像の形成速度を大幅に短縮することができる。例示装置では、図8に示したように、各感光体ドラム1Y,M,C,BKをそれぞれ一直線上に配設している。また、各感光体ドラム1Y,M,C,BKの並び方向を鉛直方向にして、転写紙Pを鉛直方向に搬送させながら各色トナー像をこの転写紙Pに転写させるようにするようにしている。なお、特許文献4には、以上説明した画像形成装置に類似の構造を有したプリンタ装置(但し、両面にトナー像を形成し同時定着も可能としたもの)が開示されている。
【0011】
ところで、上記した従来の画像形成装置では、いずれにしても記録媒体は給紙カセット内の水平状態から上方向にある画像形成部へと搬送される構成なので、搬送経路は曲がっている必要があり、搬送経路のコーナー部は記録媒体のジャム、カールの原因となっている。特に記録媒体が厚い場合には、曲げるのが困難で搬送できなかったり、逆に記録媒体が薄い場合には、コーナー部で引っ掛かりジャムが発生しやすかったりする。このため厚紙や薄紙の場合はユーザーがモードを選択して手差しトレイを利用するなどの対応をしなければならず、煩雑・非効率的であった。
【0012】
そこで、特許文献5の開示技術では、画像形成後のシートを搬送、排出するための直進搬送経路を設けるようにして、厚紙や特殊シートを装置内に通紙する際にジャムや折れやシワの発生を防止するようにしている。また、特許文献6の画像形成装置では、シート材の一方の面に対して第1のトナー画像を形成する第1の画像形成部(3)と、第1のトナー画像を形成した面とは反対側の前記シート材の面を担持して搬送する第1の搬送手段(4)と、前記第1のトナー画像を定着する第1の定着装置(5)と、シート材の他方の面に対して第2のトナー画像を形成する第2の画像形成部(6)と、前記第1のトナー画像が形成された側のシート材の面を吸引して搬送する第2の搬送手段(7)と、前記第2のトナー画像を定着する第2の定着装置(8)とを有し、これら構成要件が前記シート材の搬送経路がほぼ直線となるように設けられている。これにより、シート材はほぼ直線的に画像形成装置内を搬送されるため、シート材にむりな体勢を強いることなく搬送することができ、ジャムが生じる可能性が非常に低くなり、高速の両面コピーや両面プリントが可能で、使いかってが良い画像形成装置を提供できるとされている。
【0013】
上記した用紙のジャムや折れの問題の他にも、従来の記録媒体を水平に収納あるいは排紙している装置では、記録媒体の面積の制限があり、設置面積を小さくするのに限界がある。画像形成装置においてもその小型化、省スペース化の要求はますます強くなってきており、その対応として、既に記録媒体を縦に収納する装置が多数提案されている。
【0014】
例えば、特許文献7には、縦型にセットした記録紙束から一枚ずつ給紙する縦型給紙装置において、記録紙の分離手段と座屈防止手段とを設けたことを特徴とする給紙装置が開示されている。
【0015】
また、特許文献8には、画像形成部に対して垂直方向に配置され、用紙を立てた状態で収納し給紙する縦型の給紙部と、画像形成部に対して垂直方向に配置され、排出された用紙を収納する用紙収納部を備えたことを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0016】
しかしながら、記録媒体を縦に収納するこれらの装置においても、記録媒体のジャム、カールについては特には考慮されておらず、搬送経路はコーナー部を持つ複雑なものであった。こうした複雑な搬送経路は記録媒体のジャム、カールの原因となると共に、搬送ローラ、ガイドなどの部品点数の増加にもつながり、コストアップの原因にもなっている。この他、特許文献9に開示の装置においても、画像形成前の記録媒体Pを縦方向に支持するようにして、装置本体の占有面積を縮小化するようにしている。
【0017】
【特許文献1】特許第3518864号公報
【特許文献2】特開2003−40508号公報
【特許文献3】特開2003−186371号公報
【特許文献4】特開2002−341675号公報
【特許文献5】特開平2−175556号公報
【特許文献6】特開平11−327218号公報
【特許文献7】特開平6−72563号公報
【特許文献8】特開平11−278742号公報
【特許文献9】特開平7−334065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、記録媒体の収納状態から排紙までを縦型にすることで装置の省スペース化を可能とし、更に、記録媒体の種類を選ばず収納部に複数枚収納した状態でジャム、カール等発生することなく使用可能にした画像形成装置を提供することを目的とする。また、併せて更に部品点数の削減を図ることも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
課題解決のため本発明では、記録媒体を収納する記録媒体収納部と、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、画像形成された前記記録媒体を排出する排出部と、記録媒体を前記記録媒体収納部から前記画像形成部、および前記排出部へ搬送する記録媒体搬送手段を具備し、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記記録媒体収納部で収納状態の記録媒体が画像形成部へと搬送され、排出されるまでの搬送経路が略直線状でかつ略鉛直方向に配置する。これにより、記録媒体が略直線状で搬送されるので画像形成された記録媒体がカールせず、ジャムも起こりにくくなる。複雑な搬送経路がないので搬送に係るローラ、ガイド部品が少なくてすみ、部品点数の削減効果がある。縦型にすることで設置面積も小さくなっている。
【0020】
また、本発明は前記搬送経路の記録媒体搬送向きが上から下方向であることを特徴とする。搬送を上から下にすることで重力を利用でき、搬送機構を簡略化でき、一層の部品点数の削減ができる。あるいは、前記搬送経路の記録媒体搬送向きが下から上方向であることを特徴とする。画像形成された記録媒体が上に排出されるので、記録媒体が取り出しやすく、使い勝手が向上する。
【0021】
また、前記記録媒体収納部、画像形成部及び排出部それぞれが各ユニット毎に分離可能であり、各ユニットの上下の向き、組み合わせにより記録媒体の搬送方向が選択可能であることを特徴とする。装置の構成の自由度が向上して、適宜のユニットを選択組み合わせることで、装置の構成、搬送経路の上下の方向(向き)などを変えた各種タイプの画像形成装置が、低工数で設計・供給できて、ユーザーは好みで選択でき自由度が広がる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る画像形成装置では、縦型にすることで設置面積が小さくでき、特に、記録媒体が略直線状で搬送されるので画像形成された記録媒体がカールせず、ジャムも起こりにくい。また、複雑な搬送経路がないので搬送に係るローラ、ガイド部品が削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施の形態について、図面に従って説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態として電子写真方式のカラープリンタの構成を示す概略構成図(側断面図)である。図1のように、この画像形成装置(カラープリンタ)100Aは、概ね装置本体中央部に位置する画像形成部10と、該画像形成部の下に位置する(記録媒体)収納部20と、画像形成部の上方に位置する排紙部40を有している。画像形成部10の搬送方向下流部(図1では上側)には、定着部30が設けられている。なお、符号BSは、装置が設置された机その他の基台を示す。画像形成部10、(記録媒体)収納部20と、排紙部40は、それぞれが分離可能にユニット化して構成されている。以下、このプリンタ装置の要部の構成・動作を図1により説明する。先に説明した図8の装置と同等の一般的な構成部分で発明に関連が薄い細部については、図示と説明を省略する。
【0024】
収納部20は、記録媒体Pとしての紙、OHPシート等を収容する給紙カセット26Aと、該給紙カセット内の記録媒体Pを最上面のものから順に1枚ずつ分離して給紙する給紙コロ25と、給紙された記録媒体Pを搬送する搬送ローラ対27,27からなり、記録媒体Pを順次、画像形成部10へと送り出している。給紙カセット26Aは縦置きで記録媒体Pの紙面が画像形成部10の搬送ベルト13に対して略直線上の位置になるように、垂直あるいは若干の傾斜を付けて記録媒体Pを収納している。
【0025】
画像形成部10には、鉛直方向に延びる記録媒体を吸着、搬送する搬送ベルト13が配置されており、該搬送ベルト13の対面には、画像を形成するための構成(プロセスユニット)6Y,M,C,BKが設けられている。すなわち、画像を形成する4種のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、黒)による像を担持可能な像担持体としての4個の感光体(7Y,M,C,BK)が搬送ベルト13に沿って並置されている。
【0026】
各感光体(ドラム)1Y,M,C,BK(以下、まとめて感光体1とも記す)はそれぞれ同じ方向(反時計回り方向)に回転可能なドラムで構成されており、その周りには、先に図14に示したと同様に、イエロー用のプロセスユニット6Yを例にとれば、回転過程において画像形成処理を実行するドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y、また、光書き込み手段としての書き込み装置、転写装置16等が配置されている。各現像装置5Y,M,C,BKには、それぞれのトナーが収容されている。搬送ベルト13は、駆動ローラ11と支持ローラ12に掛け回されて感光体との対峙位置において感光体1と同方向に移動可能な構成を有している。
【0027】
感光体1の表面が帯電装置4により一様に帯電され、画像情報に基づいて感光体1上にLDまたはLEDアレイなどの書き込み装置(明示なし)での書き込みにより静電潜像が形成される。該静電潜像はトナーを収容した現像装置5によりトナー像として可視像化される。
【0028】
収納部20から給紙された記録媒体Pはレジストローラ対28,28によって画像の位置と記録媒体の所定位置とが一致するタイミングで搬送ベルト13上に送り出され、静電的等の方法で吸着、固定される。感光体上に形成されたトナー像は所定のバイアスが印加される転写装置(転写ローラ)16により搬送ベルト13上に吸着されている記録媒体Pに転写される。各色のトナーの感光体1で同様の画像形成がなされ、それぞれのトナー像が記録媒体上に順次転写されて重ね合わせられる。
【0029】
画像を転写された記録媒体Pはニップを形成しているローラ対(加熱定着ローラ30a,30b)で構成され、設定温度に制御された定着装置30に搬送され、記録媒体上のトナー像は加熱され、溶融して記録媒体Pに定着する。
【0030】
転写を終えた感光体上に残留しているトナーはクリーニング装置2により除去され、また、転写後、図示しない除電ランプ(除電装置)により感光体の電位が初期化され、次の作像行程に備えられる。
【0031】
上記各感光体を備えたプロセスユニット(作像部)6は、単一色若しくは複数色の画像形成モードに応じて選択使用されるようになっており、選択された画像形成モードに対応した作像部が上述した作像行程を実施するようになっている。
【0032】
画像形成部10においてトナー像を定着された記録媒体は排紙ローラ43によって排紙部40に搬送され、排紙トレイ41に紙面が搬送経路方向に対して略直線上となるように重ねて保管される。排紙トレイ41は垂直または若干トレイ面が上を向くように傾斜を付けて配置され、記録媒体Pが倒れたり、バラバラになったりしないように記録媒体を排紙トレイ側に押さえつけるように保持ローラ42Aが設けられている。
【0033】
このように、本実施形態装置では、記録媒体の搬送経路TPは全体を通じて略直線状であり、画像形成過程中を通じ記録媒体Pは曲げられることなく搬送されるために記録媒体Pはカールしにくく、またジャム発生も皆無近くまで低減することができる。また図示は省略したが、搬送経路TPを構成している適宜の搬送ガイド部材は複雑で特別な形状は全く不必要で、搬送ローラもその必要点数を少なくすることができる結果、搬送経路の構成が極めて簡易となりコストダウンが可能である。更には、搬送方向は鉛直方向になっており記録媒体の収納も縦なので、装置の設置面積は記録媒体の面積に制限されることなく、大幅な省スペース化が可能である。
【0034】
〔第2実施形態〕
図2に第2の実施形態の画像形成装置100Bを示す。この実施形態は、第1実施形態の画像形成装置と同等の構成に更に両面印刷用搬送経路RTPを含み構成された両面印刷機構を追加したものである。片面印刷の場合には第1実施形態と全く同じ動作で記録媒体Pの第1面に画像の形成が行われ排出されるので、説明を省略する。
【0035】
両面印刷の場合にも、記録媒体が収納部から画像形成部に給紙され、トナー像を記録媒体の第1面に転写されて、定着装置を通ってトナー画像が記録媒体に定着し、排出部40へと送り出されるまでの動作は同じである。そして、第1面に画像形成後、排出部40にきた記録媒体Pは排紙ローラ43で途中まで搬送され、記録媒体Pの後端が検出されて排紙ローラ43を抜ける前に進行方向を逆転し、経路を両面印刷用搬送経路RTPに切り換えて装置中央部を上から下に送られる。それから記録媒体Pは経路下端部の反転誘導経路部分を通って向きを変え、印刷面を反転されて再度画像形成部10に送り込まれ、第2面(裏側面)にトナー画像を転写、定着されて、排紙トレイ41に送り出される。このように、両面印刷の場合、記録媒体の反転誘導経路部分だけはどうしてもコーナー部が必要になるが、それ以外では両面印刷用搬送経路RTPも略直線状になっているのでジャムおよびカールは発生しにくくなっている。
【0036】
〔第3実施形態〕
図3に示す第3の実施形態の画像形成装置100Cは画像形成部10Aとして中間転写方式を使用したものである。また、収納部20Aには給紙カセットが2つ(26A,26B)セットされており記録媒体の種類あるいはサイズによって使い分けることができる。2つの給紙カセット26A,26Bは記録媒体の給紙取り出し側が向き合うように設置され、どちらの給紙カセットから給紙する場合でも搬送経路TPにコーナー部ができないように、取り出し部分の記録媒体Pが、搬送経路TPに沿って配置された各機能部の搬送経路と略直線上に位置するようにして配置されている。
【0037】
これまで説明した第1実施形態ないし第3実施形態ように、搬送経路の搬送方向(搬送向き)が下から上となった画像形成装置では、上記の効果に加えて、画像形成部においては感光体等の作像する工程は定着工程の下側にあるので、感光体や現像装置などが定着装置の熱の影響を受けにくいという利点もある。また、床置き設置する場合には、排出部が位置的に適当な高さになるので画像形成された記録媒体を装置から取り出しやすいというメリットもある。
【0038】
〔第4実施形態〕
図4に示す第4の実施形態の画像形成装置100Dは、第1実施形態の画像形成部を上下反転し、下部に下向き用の排出部、上部に下向き用の収納部を組み付けたものである。ユーザーの使用形態に合わせて画像形成装置を例えば机や棚の上に置く場合などには、排紙部が下部にあったほうが取り出しやすいこともあり、この構成の画像形成装置を選択すると使い勝手が良い。また、この実施形態のように搬送経路の搬送向きが上から下の場合、排紙部は画像形成部から記録媒体を落下させればよいので、搬送などの機構が不要であり、構成を簡略化できるというメリットもある。
【0039】
〔第5実施形態〕
図5に示す第5の実施形態は両面印刷機構を備えるとともに記録媒体の搬送方向を上から下とした画像形成装置100Eである。トナー像を記録媒体に転写する工程においては搬送経路が鉛直、上から下方向なので、搬送ベルトがなくても記録媒体は自重により直進性を保つことができる。このため大幅に記録媒体の搬送機構の簡略化が可能になる。
【0040】
〔第6実施形態〕
ここまでの実施の形態ではカラータンデムの電子写真方式の画像形成装置について説明してきたが、単色(モノクロ)の画像形成装置においても鉛直方向、略直線状の搬送経路を用いることで、既述したと全く同様の作用により、記録媒体のジャム、カールの防止効果及び設置面積の低減による省スペース化の効果を得ることができる。この場合の構成の一例を図6に示す。画像形成装置100Fでは、画像形成部が単色に対応した周知の構成となっている点のみが異なっている。なお、記録媒体の搬送方向(向き)は、上から下となっている。
【0041】
〔第7実施形態〕
また、本発明は、これまで説明した電子写真方式の画像形成装置以外の方式の画像形成装置(インクジェット方式、感熱プリンタ方式等々)においてもひろく適用が可能である。この場合の実施形態を図7に示す。本実施形態の画像形成装置100Gでは、画像形成部10Bとして、インクジェット方式を採用していて、インクジェット方式の印刷ヘッド19を中心として構成されている。この実施形態でも、記録媒体Pの搬送経路TPは全体を通じて略直線状に構成されており、これに対応して、記録媒体Pがカールしにくく、またジャム発生が低減するという、既述したと同様の効果が当然に得られる。サーマルヘッドを用いた感熱プリンタ方式のものも同様に構成することができる。
【0042】
以上、実施の形態により説明したように、本発明では記録媒体が収納状態から画像形成部に搬送され、排出されるまでの搬送経路が全体を通じて略直線状でかつ略鉛直方向としてあるので、記録媒体の種類によらずジャム、カールを防止でき、部品点数の削減効果も得られ、かつ設置面積の低減による省スペース化が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0043】
本発明に係る画像形成部10、(記録媒体)収納部20と、排紙部40は、それぞれが分離可能にユニット化して構成されている。そこで、各ユニットを、記録媒体Pの搬送方向を上下どちらの方向(向き)にもできるようにユニットの順番を替えて接続可能にして、必要に応じては、上下逆の姿勢でも機能するようにしておくことが考えられる。このようにすれば、各ユニットの上下の向き、組み合わせにより記録媒体の搬送方向が選択可能になり、装置構成の自由度が向上する。適宜のユニットを選択組み合わせることで、装置の構成、搬送経路の上下の方向(向き)などを変えた各種タイプの画像形成装置が、低工数で設計・供給可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態における画像形成装置の側断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態における画像形成装置の側断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態における画像形成装置の側断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態における画像形成装置の側断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態における画像形成装置の側断面図である。
【図6】本発明の第6実施形態における画像形成装置の側断面図である。
【図7】本発明の第7実施形態における画像形成装置の側断面図である。
【図8】従来の画像形成装置(プリンタ)の側断面図である。
【図9】図8の装置におけるイエロー用のプロセスユニットを示す拡大構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1(1Y,…)…感光体ドラム(像担持体)
2(2Y,…)…ドラムクリーニング装置
3(3Y,…)Y…除電装置
4(4Y,…)Y…帯電装置
5(5Y,…)Y…現像装置
6(6Y,…)…プロセスユニット(作像部)
10…画像形成部
11…駆動ローラ(張架部材)
12…支持ローラ(張架部材)
13…搬送ベルト
16…転写装置(転写ローラ)
18…中間転写ベルト
19…印刷ヘッド
20…(記録媒体)収納部
25…給紙コロ
26A,26B…給紙カセット(供給手段)
27…搬送ローラ(対)
27…給紙ローラ
28…レジストローラ(対)
30…定着部
30a,30b…加熱定着ローラ
40…排紙部
41…排紙トレイ(スタック部)
42A…保持ローラ
42B…保持部材
43…排紙ローラ
100A〜100G…プリンタ(画像形成装置)
TP…搬送経路
RTP…両面印刷用搬送経路
P…転写紙(記録媒体)
RP…ロール紙(非定形サイズの記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を収納する記録媒体収納部と、
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
画像形成された前記記録媒体を排出する排出部と、
記録媒体を前記記録媒体収納部から前記画像形成部、および前記排出部へ搬送する記録媒体搬送手段を具備し、
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記記録媒体収納部で収納状態の記録媒体が画像形成部へと搬送され、排出されるまでの搬送経路が略直線状でかつ略鉛直方向に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送経路の記録媒体搬送向きが上から下方向であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送経路の記録媒体搬送向きが下から上方向であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体収納部、画像形成部及び排出部それぞれが各ユニット毎に分離可能であり、各ユニットの上下の向き、組み合わせにより記録媒体の搬送方向が選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−17677(P2007−17677A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198687(P2005−198687)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】