説明

画像形成装置

【課題】複数の構成機器間を連設する画像形成装置において他の機器と隣り合う側面に電源スイッチ等を設ける場合でも操作性がよい画像形成装置を提供する。
【解決手段】複写機本体ユニット20の左側面部に主電源スイッチ30を設け、排紙ユニット27の主電源スイッチ30と対応する位置を切り欠き、使用者、操作者が指先でスイッチのオン、オフ操作ができる程度の開口部38とする。ユニット20、27を隣り合うユニットとの間に透き間が生じないように組み合わせても、主電源スイッチ30の操作に困ることはなく、主電源スイッチ30が見えにくいため、過ってオフしてしまうことも少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に複数の構成機器からなるものについて、それらの配置を考慮して形状、構造的に改良したものに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置には、画像形成ユニットを中心に給紙ユニットや排紙ユニットあるいは紙処理ユニット等を組み合わせて構成したものがある。この種の画像形成装置を図1、図2に示す。この装置は、図1に示すように画像形成ユニット1を中心に大量給紙ユニット2や排紙ユニット3あるいは紙処理ユニット等を組み合わせて構成したものや、図2に示すように大型で複数のユニットを組み合わせて構成するタイプで、画像形成ユニット4の横に画像処理ユニット5やその他のユニット6を配し、画像処理ユニット5上にパーソナルコンピュータ7を搭載している例もある。この種の画像形成装置はコピーセンターで用いるような大型機等に多いが、一般的なオフィスで用いられるタイプのものについても増えつつある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら複数の機器を組み合わせて構成するタイプの画像形成装置では、これまで構成機器を組み合わせて高機能化することだけに注意が払われていて、一つの装置としての使いやすさについてはほとんど考えられていなかった。たとえば、複数の構成機器を隣り合わせに配置して設置するにもかかわらず、他の機器と略透き間なく隣り合う側面に電源スイッチや操作ボタン、操作レバー等のように使用者が手で操作しなければならないものを設けざるを得ない構造となっていたりしていた。
【0004】
またさらに、構成機器数が多いため当然にモータ等の作動機器も多く、このため機器全体としての動作音は単一ユニットの小型機に比べれば大きくなるので、防音、遮音についても考慮する必要が生じる。もちろん従来より、構成機器内部に吸音材や遮音材等と称するものを配置して防音、遮音を図ってはいるが、構成機器内部のスペースの問題もあって十分に防音、遮音対策が可能であるとはいえないものとなっていた。
【0005】
本発明はこのような従来の問題点にかんがみてなしたもので、複数の構成機器を連設する画像形成装置において他の機器と隣り合う側面に電源スイッチ等を設ける場合でも操作性がよい画像形成装置を提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、収納性、防音あるいは遮音性を高めた画像形成装置を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置のうち請求項1に係るものは、上記目的を達成するために、複数の構成機器を連設する画像形成装置において、一の構成機器の側面に電源スイッチ、操作ボタン、操作レバー等の手動操作部を備えるとともに、該一の構成機器の該手動操作部を設けた側面に隣り合う他の構成機器の側面に、上記手動操作部を外部から操作可能にするための切り欠き部を設けてなることを特徴とする。
【0008】
同請求項2に係るものは、上記目的を達成するために、上記切り欠き部が、上記他の構成機器の側面の上記手動操作部と対応する部位近傍に設けてあることを特徴とする。
【0009】
同請求項3に係るものは、上記目的を達成するために、上記切り欠き部が、上記他の構成機器の側面の上記手動操作部と対応する部位を含んで該他の構成機器の全高さにわたって設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、複数の構成機器間の他の機器と隣り合う側面に電源スイッチ等を設けても操作性が損なわれず、また複合機能を有する機器などで通常はオフとしないスイッチ等を無意識的に過って切ってしまうことが起こりにくくなるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に関して、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図5は本発明の第1の実施例を示す。本実施例では、作像部6を開いた状態(図中2点鎖線で示す状態)とすると、作像部6の上部端が原稿テーブル8の先端部8aをテーブル回転軸9aを支点として回転させて押し上げ、図中2点鎖線で示す状態に移動させ、作像部6を2点鎖線で示す状態ように所定の角度まだ開くことができるようにしている。この状態では、原稿テーブル8の先端部8aが大きく開き、視認性が良い。
【0013】
すなわち本実施例では、作像部6をクラムシェル方式で開放して原稿テーブル8と干渉した時、原稿テーブル8の先端部8aも回転して移動するため、作像部6のクラムシェル方式での開放部分を必要量まで開放でき、ジャム処理、清掃等の作業が容易にできるようになる。
【実施例2】
【0014】
図3は本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態を示す斜視図、図4はその要部を概念的に示す拡大斜視図である。図示の例の画像形成装置は複写機で、図中20は複写機本体ユニットで着脱式の給紙トレイ21〜23、ADF24、原稿排紙トレイ25を備えており、また図中26は大量給紙ユニット、27は排紙ユニットである。各ユニット20、26、27はそれぞれ前面形状を図示のようにほとんどフラットな凹凸のない形状としてあり、また高さ及び奥行き寸法も一致させて構成してある。
【0015】
複写機本体ユニット20は、テーブル状の上面部28のほぼ中央位置にADF24を設け、その右側に原稿排紙トレイ25を配し、これらによって専有される部分以外の部分は平たんな面を形成するようにしてある。図中29は電源スイッチで上面部28に形成した小さな凹部内に配してある。また図中30は主電源スイッチで、図中左側面部に設けてある。この主電源スイッチ30は、複写機本体ユニット20がプリンタやファクシミリ等の機能を複合して有し、一日中主電源をオンとしておくことが必要な場合に通常の状態では切ってはいけないもので、使用者がたとえば帰りがけに無意識的に過って切ってしまうことを、上述のように側面部に設けることによって確実にしようとしているものである。
【0016】
大量給紙ユニット26は、複数の給紙段31〜33を備えるが、複写機本体ユニット20の原稿排紙トレイ25を避けるために切り欠いた部位を除いてやはり上面部34をフラットな形状としてある。大量給紙ユニット26の上面部34の原稿排紙トレイ25のために切り欠く部位は図示のようにわずかなものなので、ほぼ全面がフラット化している。
【0017】
排紙ユニット27は、左側面に大量排紙トレイ35を上下動可能に備えるとともに、上面部36の左縁側中央部位を切り欠いて排紙トレイ37を設けてあるが、上面部36はこの排紙トレイ37を設けた部位以外はフラットな形状としてある。
【0018】
このため各ユニット20、26、27を連結して一つの画像形成装置として構成した場合、複写機本体ユニット20の上面部28及び大量給紙ユニット26の上面部34、排紙ユニット27の上面部36が連結されて非常に広い上部のフラット面をなし、近くに作業テーブル等がない状態で画像形成作業を行っても、原稿や画像形成済みの用紙、クリップやペン等を置く場所に困ることがない。
【0019】
また排紙ユニット27の正面部から右側面部にかけて、主電源スイッチ30と対応する位置を切り欠いて開口部38としてある。開口部38の切り欠き寸法は、使用者、操作者が指先でスイッチのオン、オフ操作ができる程度とする。このためユニット20、27を図示のように隣り合うユニットととの間に透き間が生じないように組み合わせても、主電源スイッチ30の操作に困ることはないが、主電源スイッチ30が見えにくい場所にあるため、上述のように使用者が帰りがけ等に過ってオフしてしまうことを防止できる。大量給紙ユニット26との間であっても同様である。
【0020】
図5は、上述した本発明に係る画像形成装置の実施形態の変形例を示す図4相当の拡大斜視図である。この例も、上記実施形態と同様に複写機本体ユニット20の左側面部に主電源スイッチ30を設け、排紙ユニット27の対応部位を切り欠いてあり、主電源スイッチ30を操作可能としているが、排紙ユニット27の切り欠き部分を覆うカバー39を開閉可能に設け、主電源スイッチ30が露出したままにならないようにしてある。
【0021】
図6は、本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態を示す図4相当の拡大斜視図である。この実施形態の画像形成装置も、先の実施形態と同様に複写機本体ユニット20の左側面部に主電源スイッチ30を設けているが、これを操作可能とするため、排紙ユニット27の正面部から右側面部にかけての角部近傍を全高にわたって切り欠き、凹状部40としてある。その他の構成、主電源スイッチ30の使用形態等については先の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0022】
図7は、本発明に係る画像形成装置の第3の実施形態を示す拡大斜視図で、図4ないし図6とは異なり複写機本体ユニット20側から見て切り欠き部分の内側が見えるようにして描いてある。この実施形態は、第1の実施形態と同様の切り欠きによる開口部38に凹状の取手部50を形成して排紙ユニット27の前面部27aをドア状に開閉操作できるようにしてある。そのため本実施形態では、主電源スイッチ30の操作に困ることはないだけでなく、少なくとも排紙ユニット27の図3に示すような装置前面側の取手を不要にでき、装置前面のフラット化に寄与できる。もちろんその他のユニットについても同様の構成を採用すればより一層の装置前面のフラット化を進めることができる。
【0023】
なお取手部は図示の例のような凹状のものだけでなく、開口部38内に突出する凸状のものとしてもよい。また単に凹部、凸部を設けて取手とするだけでなく、例えば排紙ユニット27の本体フレーム(図示せず)に前面部27aを係止するためのラッチ機構の係脱操作手段を凹部内に配設する等のように、操作がしやすい公知の構造、形状を付加してもよく、図示の例には限定されない。なお本実施形態の構造と、図5の変形例や図6の実施形態の構造を組み合わせることも簡単であることは言うまでもない。
【0024】
もちろん以上説明してきた実施形態とその変形例については、スイッチや取手を設ける場合のみ述べてきたが、本発明はこれに限定されず、操作ボタンや操作レバー等の使用者が手でもって操作するものであればすべて対象とすることができる。
【0025】
なお上記実施形態及び変形例の装置は、本来的には用紙を通紙できるだけの寸法(奥行き寸法)があれば足りる大量給紙ユニット26や排紙ユニット27を複写機本体ユニット20の奥行き寸法に一致させている。図8はその理由を示すための概念的斜視図である。すなわち、大量給紙ユニット26や排紙ユニット27の奥行き寸法としては本来的には図8中に斜線で示したものであればよいところを、複写機本体ユニット20の奥行き寸法に合わせて図中の矢印で示すように広げ、これによって得られる余裕部分X1、X2を用紙等の収納部や吸音、防音材等の配置部とすることができるようにしている。もちろん、既に述べたように、複写機本体ユニット20の上面部28とともに、作業台、物置台としてのスペースを広げる結果ともなっている。このような機器構成を採用した場合、上記図1〜図6に示したような電源スイッチ等の配置構造を採用すると、大量給紙ユニット26や排紙ユニット27によって隠れてしまう複写機本体ユニット20の側面にスイッチ等を設けることが可能になる。
【0026】
図9は、図8の状態からさらに大量給紙ユニット26や排紙ユニット27の奥行き寸法を広げた例を示す斜視図である。この例ではさらに余裕部分X3、X4が大きくなり、用紙等の収納部や吸音、防音材等の配置部とすることができるスペースが広がっている。
【0027】
本発明に係る画像形成装置は、以上説明してきたように、電源スイッチ、操作ボタン、操作レバー等の手動操作部を備える一の構成機器の側面と隣り合う他の構成機器の側面に、一の構成機器手動操作部を外部から操作可能にするための切り欠き部や蓋付きの開口部を設けてなるので、複数の構成機器間の他の機器と隣り合う側面に電源スイッチ等を設けても操作性が損なわれず、また複合機能を有する機器などで通常はオフとしないスイッチ等を無意識的に過って切ってしまうことが起こりにくくなる。
【0028】
また、他の構成機器の切り欠き部を含む部位が開閉可能な部位で、その切り欠き部内に開閉する際に取手となる凹部または凸部を設けることで、当該構成機器の前面には取手が不要になり、前面のフラット化に寄与できる。
【0029】
さらに、複数の構成機器の前面を略フラットな形状として連設することで、複数の構成機器からなる画像形成装置としての外観の統一化が図られ、装置としての一体感と品質感が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の画像形成装置の一例を示す斜視図
【図2】従来の画像形成装置の他の例を示す斜視図
【図3】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す正面側斜視図
【図4】図4の実施形態装置の要部を概念的に示す拡大斜視図
【図5】本発明に係る画像形成装置の実施形態の変形例を示す図4相当の拡大斜視図
【図6】本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態を示す図4相当の拡大斜視図
【図7】本発明に係る画像形成装置の第3の実施形態を示す拡大斜視図
【図8】本発明の実施形態装置及び変形例装置における構成機器寸法の採用理由を示すための概念的斜視図
【図9】本発明の実施形態装置及び変形例装置におけるその他の構成機器寸法の採用理由を示すための概念的斜視図
【符号の説明】
【0031】
20:複写機本体ユニット
21〜23:給紙トレイ
24:ADF
25:原稿排紙トレイ
26:大量給紙ユニット
27:排紙ユニット
27a:排紙ユニットの前面部
28:複写機本体ユニットの上面部
29:電源スイッチ
30:主電源スイッチ
31〜33:給紙段
34:大量給紙ユニットの上面部
35:大量排紙トレイ
36:排紙ユニットの上面部
37:排紙トレイ
38:排紙ユニットの開口部
39:カバー
40:凹状部
50:取手部
X1、X2、X3、X4:余裕部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成機器を連設する画像形成装置において、一の構成機器の側面に電源スイッチ、操作ボタン、操作レバー等の手動操作部を備えるとともに、該一の構成機器の該手動操作部を設けた側面に隣り合う他の構成機器の側面に、上記手動操作部を外部から操作可能にするための切り欠き部を設けてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記切り欠き部が、上記他の構成機器の側面の上記手動操作部と対応する部位近傍に設けてあることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
上記切り欠き部が、上記他の構成機器の側面の上記手動操作部と対応する部位を含んで該他の構成機器の全高さにわたって設けてあることを特徴とする請求項1の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−183677(P2007−183677A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75867(P2007−75867)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【分割の表示】特願平11−357945の分割
【原出願日】平成11年12月16日(1999.12.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】