説明

画像形成装置

【課題】スキャナ動作時のスキャン位置によって光量が変動することなく、効率よく蓄電することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿読み取り用のハロゲンランプ5と、このハロゲンランプ5から原稿面に光を照射して原稿面の上の画像を読み取る読み取り光学系とを有する画像形成装置において、前記ハロゲンランプ5からの出射光を受光し、受光した前記出射光のエネルギを電力に変換する太陽電池17と、前記太陽電池17により変換された電力を蓄電する蓄電器とを備え、例えばハロゲンランプ5の出射光を反射し、原稿側に照射するリフレクタの反射面に太陽電池17を設け、当該太陽電池17が前記ハロゲンランプ5に対し、読み取り光学系の移動に拘わらず相対的な変化を生じないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源、例えば照明ランプにより原稿を照明して画像を読み取り、読み取った画像に基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に係り、特に省エネルギを考慮した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、用紙搬送系、感光体その他を駆動するためのモータ、各種チャージャ、定着装置のヒータ、制御基板など様々な負荷に電力を供給している。そのなかで、画像形成装置として、省エネ時に必要とする電力をなるべく減らして、できればゼロとしたいという要望がある。
【0003】
省エネ時の電力をゼロにするためには、バッテリー等で消費電力を賄わなければならない。一方で、バッテリーを充電するためにはエネルギが必要であり、交流電源から賄うのでは、トータル的な省エネにはならない。そこで、商用電源以外の手段で充電することが必要になる。この商用電源以外の手段として、例えば太陽電池を利用した画像形成装置が知られている。しかし、画像形成装置は、屋内に設置されることがほとんどで、太陽光を受光する機会がほとんどないのが実情であり、太陽電池の利用による省エネ効果は小さいものに過ぎなかった。
【0004】
また、スキャナのランプ光を利用したものもある。スキャナ動作において、ランプ光量の利用率が低いため、原稿を照らした光の大半は無駄になっていた。このエネルギを利用して、バッテリーに蓄電することによって、トータルな意味での省エネにすることが可能となる。
【0005】
このような画像形成装置としては、例えば特許文献1あるいは2記載の発明が公知である。このうち特許文献1には、照明ランプにより原稿を照明して画像を形成する画像形成装置において、照明ランプの光を受ける位置に画像形成装置の少なくとも1つの要素用の電源を充電するための太陽電池を設けた発明が記載されている。また、特許文献2では、スキャナランプにより原稿を照明して原稿画像を読み取る原稿読み取り手段を備えた画像形成装置において、スキャナランプの光を受光して、該光エネルギを電力に変換するエネルギ変換手段と、該エネルギ変換手段により変換された電力を蓄電する蓄電手段と、を備えた発明が記載されている。いずれも、スキャナのランプ光を利用して、スキャナの底板部に太陽電池を置いて発電し、それを蓄電装置に充電して省エネ時の電力を賄うことを可能とした発明である。
【特許文献1】特開平3−87760号公報
【特許文献2】特開2004−88649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述の従来技術では、太陽電池をスキャナの底板部に設置し、固定しているため、スキャナ動作時のスキャン位置によって光量が変動してしまい、効率よく蓄電することができない。また、光量の変動を抑え、効率よく蓄電しようとすると、太陽電池の面積を大きくする必要があり、コストアップも招いてしまっていた。
【0007】
そこで、本発明は、スキャナ動作時のスキャン位置によって光量が変動することなく、効率よく蓄電することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、第1の手段は、原稿読み取り用の光源と、この光源から原稿面に光を照射して原稿面の上の画像を読み取る読み取り手段とを有する画像形成装置において、前記光源からの出射光を受光して、受光した前記出射光のエネルギを電力に変換するエネルギ変換手段と、前記エネルギ変換手段により変換された電力を蓄電する蓄電手段とを備え、前記光源に対し、前記エネルギ変換手段が前記読み取り手段の読み取り動作時に相対的な変化を生じない位置に設けられていることを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、前記エネルギ変換手段が、前記光源からの出射光を反射し、原稿側に照射するリフレクタ部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、第1の手段において、前記エネルギ変換手段が、前記読み取り手段の受光光路と干渉しない位置に設けられていることを特徴とする。
【0011】
第4の手段は、第3の手段において、前記読み取り手段が複数のミラーを使用して光電変換素子に読み取り光を導く光学系を有し、前記受光光路と干渉しない位置が、前記光源からの出射光の原稿への照射を阻害しない位置であって、かつ、原稿からの反射光の第1段目のミラーへの入射を阻害しない位置であることを特徴とする。
【0012】
第5の手段は、第4の手段において、前記受光光路と干渉しない位置が、前記光学系の前記光源と第1段目のミラーを搭載した走行体上に設定されていることを特徴とする。
【0013】
第6の手段は、第3の手段において、前記読み取り手段が複数のミラーを使用して光電変換素子に読み取り光を導く光学系を有し、前記受光光路と干渉しない位置が、前記読み取り手段の非可動部であって、前記光電変換素子への原稿からの反射光の入射を阻害しない位置であることを特徴とする。
【0014】
第7の手段は、第6の手段において、前記非可動部が光電変換素子の前段に配置された結像レンズの前面側であることを特徴とする。
【0015】
第8の手段は、第6の手段において、前記非可動部が前記光電変換素子の前面側であることを特徴とする。
【0016】
第9の手段は、第1の手段において、前記光源が2方向に出射口を有するキセノンランプであり、前記エネルギ変換手段が前記キセノンランプの原稿照射側の出射口とは反対側に位置する出射口に設けられていることを特徴とする。
【0017】
第10の手段は、第1ないし第9のいずれかの手段において、前記エネルギ変換手段は太陽電池であり、前記蓄電手段は蓄電器であることを特徴とする。
【0018】
なお、後述の実施形態では、光源はキセノンランプ5に、読み取り手段は第1キャリッジ7上に搭載された第1ミラー6、第2キャリッジ10上に搭載された第2ミラー8、第3ミラー9、レンズユニット11及びCCD13に、エネルギ変換手段は太陽電池17,18,20,21,22,23,51に、蓄電手段は蓄電器52に、リフレクタ部はリフレクタ16に、光電変換素子はCCD13に、第1段目のミラーは第1ミラー6に、走行体は第1キャリッジ7に、結像レンズはレンズユニット11に、キセノンランプの原稿照射側の出射口とは反対側に位置する出射口は符号5a2に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光源とエネルギ変換手段との相対位置関係が、原稿読取動作時に変化のない位置に設定されているので、光源が移動するスキャン位置に拘わらず、一定の光量を電力に変換し、蓄電することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。
【0021】
本実施形態の画像形成装置について図1を用いて説明する。図1は本実施形態の画像形成装置における画像読み取り装置の構成を示す正面概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に画像形成装置における画像読み取り装置1は、筐体2の上面部にコンタクトガラス3と、白基準板4とを有し、コンタクトガラス3の下方に位置する筐体2の内部に、光源としてのキセノンランプ5及び第1ミラー6を搭載した第1キャリッジ7と、第2ミラー8及び第3ミラー9を搭載した第2キャリッジ10と、レンズユニット11と、センサボードユニット12と、信号処理部15と、図示しないホームポジションセンサとを有する。センサボードユニット12にはCCD(Charge Coupled Device−光電変換素子)13が搭載され、信号ケーブル14によってセンサボードユニット12と信号処理部15とが接続されている。信号処理部15には、CCD113から入力される信号の処理だけではなく、画像読み取り装置1の光源1の点灯制御、第1及び第2キャリッジ7,10の移動制御、その他、画像読み取り装置1における制御全般を司るCPUが搭載されている。また、第1及び第2キャリッジは図示しないスキャナモータによって駆動され、前記CPUは前記モータの駆動制御を行うことにより、前記第1及び第2キャリッジの移動を制御する。
【0023】
第2キャリッジ10は、常に図1に示す第1キャリッジ7よりも図1において副走査方向(図1の矢印Aで示す左右方向)の左側に位置し、原稿読み取り時には、第1キャリッジ7と同時に、読み取り位置の原稿面からCCD13の結像面までの距離(光路長)が変化しないように副走査方向に移動しながらコンタクトガラス3上にセットされた原稿Gの画像を読み取る。
【0024】
コンタクトガラス3の上部には、コンタクトガラス3の上面を開閉可能に閉止する(図示せず)圧板が設けられている。この圧板を操作者が開いてコンタクトガラス3上に原稿Gをセットし、その後、閉じることによって、当該コンタクトガラス3上にセットされた原稿Gはコンタクトガラス3に押し付けられる。
【0025】
画像読み取り装置1では、第1キャリッジ7と第2キャリッジ10を副走査方向に移動させながら第1キャリッジ7に搭載されたキセノンランプ5からコンタクトガラス3上の原稿Gに光を照射し、原稿Gで反射された光を読み取る。その際、原稿Gに照射される光は、キセノンランプ5からの直射光とキセノンランプ5の背後に設けられたリフレクタ16からの間接光からなる。この場合、キセノンランプ5からの直射光だけであると、キセノンランプ5の全出射光に対する原稿Gへの照射光の割合が低く、効率が悪いことから、反対側に出射される光を照射光として利用し、効率を上げるために前記リフレクタ16が設けられている。
【0026】
読み取りは、第1キャリッジ7上の第1ミラー6、第2キャリッジ10上の第2ミラー8、第3ミラー9の順で順次反射させ、レンズユニット11によりCCD13の結像面に縮小結像し、CCD13で入射光を光電変換することにより行われる。このとき、画像読み取り装置1は、前述のようにスキャナモータにより第1キャリッジ7と第2キャリッジ10を駆動するが、その際、第1キャリッジ7と第2キャリッジ10が2対1の速度比となるように駆動し、これにより前記光路長を変化させないで走査することができる。
【0027】
ホームポジションセンサとしては、例えば、フォトカプラ等の透過型の光センサが用いられ、第1キャリッジ7と第2キャリッジ10、特に、第1キャリッジ7のホームポジション位置を検出するのに使用される。
【0028】
本画像読み取り装置1では、CPUは原稿Gの読み取り前に、第1キャリッジ7と第2キャリッジ10を白基準板4の読み取り位置に移動させ、当該白基準板4にキセノンランプ5から光を照射して、白基準板4からの反射光を前記原稿読み取りの場合と同様にして読み取り、CCD13の出力に基づいてシェーディング補正データを取得する。その後、CPUは、第1キャリッジ7及び第2キャリッジ10をホームポジションに移動させて、当該ホームポジションから、コンタクトガラス3上に載置されている原稿Gにキセノンランプ5から光を照射しつつ、前述のようにして原稿Gを光学的に走査し、原稿G上の画像を読み取る。そのため、前記光源(キセノンランプ5)はスキャナランプとも称される。
【0029】
また、本実施形態に係る画像形成装置では、画像読み取り装置1の内部に太陽電池を設け、光源としてのキセノンランプ5から受光した光から発電し(光エネルギを電気的エネルギに変換し)、発電された電力を蓄電して商用電源以外からの電力を利用するようにしている。以下、各実施例について個々に説明する。なお、以下の実施例は太陽電池の設置位置のバリエーションを示すもので、本実施形態で示した前述の機械的構成、及び後述する制御構成を共通に備えている。
【実施例1】
【0030】
図2は実施例1に係る画像読み取り装置の第1キャリッジの概略構成を示す断面図である。実施例1に係る画像読み取り装置1では、図1及び図2に示すように第1キャリッジ7のキセノンランプ5の原稿Gへの出射方向D1とは反対の側に設けられた前記リフレクタ16の反射面、すなわち、キセノンランプ5に対向する面に太陽電池17の光入射面を向けて貼付し、第1キャリッジ7に実装したものである。キセノンランプ7は主走査方向に沿って設置されているので、太陽電池17もリフレクタ16の主走査方向に沿って設けられている。
【0031】
このように太陽電池17を設けると、原稿の読み取り動作時にキセノンランプ5と太陽電池17の相対的な位置関係が変化することなく副走査方向に一体に移動し、キセノンランプ5が点灯している間、原稿Gからの反射光も含め、一定の光量が太陽電池17に入射され、一定の電力を得ることができる。得られた電力は後述の蓄電器に蓄電され、画像形成装置の起動時等に適宜使用される。これにより、省エネルギ効果を得ることができる。
【0032】
このように本実施例によれば、太陽電池17をリフレクタ16に搭載しているので、原稿読み取り動作時にキセノンランプ5と太陽電池17の相対的な位置関係に変化が生じることがなく、また、キセノンランプ5の原稿照射側とは逆側に出射する直接光を有効に利用することができるので、一定の光量で、かつ小さな面積で効率よく蓄電することができる。
【0033】
なお、この実施例では、光源としてキセノンランプ5を使用しているが、ハロゲンランプなど、この種の画像読取装置に使用されている他の光源でもよいことは言うまでもない。
【実施例2】
【0034】
図3は実施例2に係る画像読み取り装置の第1キャリッジの概略構成を示す断面図である。実施例2に係る画像読み取り装置1では、図3に示すように第1キャリッジ7のキセノンランプ5からの原稿Gへの照射光(出射方向D1)のうち読み取りに影響のない部分、すなわち、原稿Gを照射してもその反射光がCCD13に入射しない領域を照射する部分に太陽電池18を貼付し、第1キャリッジ7に実装したものである。具体的には、原稿Gの読み取りラインに対応する主走査方向と副走査方向の領域のみをスリット状に開口し、その周辺に太陽電池18を配置している。
【0035】
このように太陽電池18を配置すると、従来まで照明光として無駄になっていたキセノンランプ5からの直射光を太陽電池18で電力に変換することが可能となる。その際、原稿とは逆側に出射されていた出射光もリフレクタ16によって反射され、所定の割合で間接光として入射するので、その分の電力の上乗せも期待できる。
【0036】
更に、実施例1と組み合わせると、キセノンランプ5の出射光のうち、原稿Gの読み取りに使用されるもの以外の多くの光量を太陽電池17,18に入射させることが可能となり、キセノンランプ5の出射光の利用効率を上げることができる。
【0037】
このように本実施例によれば、キセノンランプ5の原稿照射側に原稿照明に寄与しない光を受光する太陽電池18を設けたので、原稿読み取り動作時にキセノンランプ5と太陽電池18の相対的な位置関係に変化が生じることがなく、一定の光量で、かつ小さな面積で効率よく蓄電することができる。
【0038】
なお、この実施例では、光源としてキセノンランプ5を使用しているが、蛍光灯などの他の光源でもよいことは言うまでもない。
【実施例3】
【0039】
図4は実施例3に係る画像読み取り装置のキセノンランプ5の構成を示す断面図、図5は実施例3における第1キャリッジの概略構成を示す断面図である。キセノンランプ5は一般に図4に示すように光の出射方向が2方向に規定されている。すなわち、円周方向に沿って斜線で示す遮光部19が設けられ、2つの開口部5a1,5a2から照明光が出射される。開口部5a1,5a2は180度逆の方向に設けられているので、この開口部5b1,5b2からD1,D2の逆方向に照明光が出射される。
【0040】
このような構成のキセノンランプ5を使用した場合、照明光として寄与するのは、原稿G側に対向した開口部5a1からの出射光のみである。そこで、本実施例では、原稿G側とは逆側に出射する開口部5a2に太陽電池20の入射面側を光源に向けて貼り付け、開口部5a2からの光の漏洩を阻止した。これにより、太陽電池20に前記開口部5a2から出射される光が全て入射するとともに、遮光部19で反射した間接光も入射し、これらの総計の光エネルギに対応した電力を得ることができる。また、リフレクタ16が不要となるので、その分のコストを低減することも可能である。
【0041】
このように本実施例によれば、原稿読み取り動作時にキセノンランプ5の光源部と太陽電池20の相対的な位置関係に変化が生じることなく副走査方向に一体に移動し、その間、一定の光量で蓄電でき、かつ小さな面積で効率よく蓄電することができる。更に、キセノンランプ5の逆側に出射される光を無駄なく電力に変換可能することが可能なので、その分効率よく蓄電することができる。
【実施例4】
【0042】
図6は実施例4に係る画像読み取り装置の第1キャリッジの概略構成を示す断面図である。この実施例は、第1ミラー6に届く反射光の受光範囲から外れた光を受光可能な位置に太陽電池21を設けた例である。キセノンランプ5から出射され、原稿面で反射された照射光は、拡散されて第1ミラー6位置に到達する。そこで、拡散された原稿からの反射光は、第1ミラー6に対して副走査方向に外れた位置にも到達する。そこで、この実施例では、反射光が届く位置で、第1ミラー6から外れた位置に太陽電池21を貼り付け、固定した。これにより、原稿読み取りに使用しない無駄な反射光を電力に変換することが可能となる。
【0043】
この太陽電池21を設置した位置は、スキャナ動作において、キセノンランプ5からの出射光の原稿からの反射経路であって、原稿読み取りを阻害しない位置である。
【0044】
なお、図では、リフレクタ16が図示されていないが、当然リフレクタ16を図3のように設けても良いことは言うまでもない。
【0045】
このように本実施例によれば、原稿読み取り動作時にキセノンランプ5と太陽電池21との相対的な位置関係に変化が生じることなく、原稿からの反射光を有効に使用できるので、一定の光量で蓄電でき、かつ小さな面積で効率よく蓄電することができる。
【実施例5】
【0046】
図7は実施例5に係る画像読み取り装置の縮小結像系におけるレンズユニットの読み取りに寄与しない部分に太陽電池を配置した例である。すなわち、本実施例では、原稿Gからの反射光が、第1ミラー6から第2及び第3ミラー7,9を介して、レンズユニット11に入射する構成において、レンズユニット11に原稿Gからの反射光が入る部分であって、原稿読み取りに影響がない範囲に太陽電池22を貼り付けて光を受光し、電力を得るようにしている。このため、レンズユニット11の光軸を中心としてCCD13の結像面に入射しない範囲について円環状に太陽電池22を貼付し、中央の光軸D3回りの環状の空いた部分22aから読み取り光を導入し、CCD13に導くようになっている。
【0047】
この位置は、走査光学系が原稿D面からCCD13までの光路長が変化しないように第1及び第2キャリッジ7,10を移動させることから、ハロゲンランプ5に対して太陽電池22の相対的な位置関係(ここでは距離)は変化しない位置である。
【0048】
このように本実施例によれば、原稿読み取り動作時に、非可動部で結像を妨げないレンズユニット11の光軸D3の読み取り動作と関係のない周囲の部分に太陽電池22が配置されているので、一定の光量で蓄電でき、かつ小さな面積で効率よく蓄電することができる。
【実施例6】
【0049】
図8は実施例6に係る画像読み取り装置の縮小光学系におけるCCDの読み取りに寄与しない部分に太陽電池を配置した例である。すなわち、本実施例では、原稿Gからの反射光が、第1ミラー6から第2及び第3ミラー7,9を介して、レンズユニット11に入射し、CCD13の結像面に結像する構成において、CCD13に原稿Gからの反射光が入る部分であって、原稿読み取りに影響がない範囲に太陽電池22を貼り付けて光を受光し、電力を得るようにしている。このため、レンズユニット11の光軸D3を中心としてCCD13の結像面に入射しない範囲について円環状に太陽電池23を貼付し、中央の光軸D3回りの環状の空いた部分23aからCCD13に読み取り光を導入するようになっている。
【0050】
この位置は、走査光学系が原稿D面からCCD13までの光路長が変化しないように第1及び第2キャリッジ7,10を移動させることから、ハロゲンランプ5に対して太陽電池23の相対的な位置関係(ここでは距離)は変化しない位置である。
【0051】
このように本実施例によれば、原稿読み取り動作時に、非可動部で結像を妨げないCCD13の光軸周囲に太陽電池23が配置されており、CCD13の読み取り画素以外に照射される光を有効に使用できるので、一定の光量で蓄電でき、かつ小さな面積で効率よく蓄電することができる。また、画像読み取り装置1の内部は光が漏れないような密閉構造となっており、前記太陽電池23には、レンズユニット11に入射しなかった原稿Gからの反射光が入射するので、その分の効率上昇も見込むことができる。
【0052】
なお、実施例1ないし6では、リフレクタ16の反射面、キセノンランプ5に対向する第1キャリッジ7の原稿G側の面、キセノンランプ5の原稿G側とは逆側の開口5a2、第1キャリッジ7の第1ミラー6の背後側の面、レンズユニット11の入射側の面、CCD13の読み取り画素以外の照射面にそれぞれ太陽電池17,18,20,21,22,23を配置した例を例示しているが、実施例1,2,4,5,6を任意に組み合わせ、あるいは実施例2,3,4,5,6を任意に組み合わせることにより、より効率よく光エネルギを取り込んで電力に変換することが可能である。
【0053】
図9は本実施形態における画像形成装置の太陽電池と蓄電器を使用した電源回路の回路構成を示すブロック図である。この電源回路は、キセノンランプ5からの出射光の光エネルギを電力に変換する太陽電池24と、この太陽電池24から出力される電力を蓄える蓄電器25と、この蓄電器25に接続され、当該蓄電器25に蓄電されている蓄電電圧を検出する電圧検出部26と、太陽電池24から出力される電力を装置の内部電源に変換する電源供給部28と、装置内部動作用の直流電源を生成するPSU(パワーサプライユニット)30と、電源供給制御を行うCPU27と、装置内の負荷31に対する供給電流を切り替える電流切替回路29とからなる。CPU27には、電圧検出部26と電流切替回路29が接続され、電流切替回路29は電源供給部28、PSU30及び負荷31に接続されている。
【0054】
画像読み取り装置1内に配置された前記太陽電池24(17,18,20,21,22,23)は画像の読み取り毎に発光するキセノンランプ5からの出射光を受けて発電する。画像読み取り装置1の内部は、原稿をより良く照らし原稿画像を読み取るために、光が漏れないような密閉された構造となっている。太陽電池24は、前記実施例1ないし6に示したように、光源(キセノンランプ5)からの光を効率よく受けられ、かつ、原稿の読み取りの邪魔にならない位置に配置される。これにより、キセノンランプ5の強い光を有効に、かつ、小さな面積で効率よく蓄電器25に蓄電することができる。
【0055】
太陽電池24により発電された電力は前述のように蓄電器25に蓄電されるが、太陽電池24の発電力は、読み取り回数(ランプ点灯回数)に依存している。光源が太陽光によるものではないことと、太陽電池24が装置内部に配置可能な程度の規模なものであることから、光エネルギの供給は不安定な(少ない)ものである。そこで、本実施形態では、装置の駆動と制御のための制御回路を搭載した制御基板の動作電圧に対して蓄電器25に蓄電された電力が充分供給可能なレベルになった場合であって、かつ省エネモード時に蓄電器25から負荷に電源供給が行われるようになっている。
【0056】
蓄電されている電圧レベルは、CPU27からの制御信号により蓄電力レベルの分圧値をCPU27に内蔵されたA/Dコンバータで検出することにより検出する。CPU27は、太陽電池24で生成された電圧を内部制御回路に対して供給可能と判断すると、商用電源入力によりPSU27で生成された電源と太陽電池24により生成された電源供給の切り替えを適宜実行する。
【0057】
図10は、このときの処理手順を示すフローチャートである。すなわち、この処理手順では、太陽電池24によって生成した電力を蓄電器25に蓄電し(ステップS101)、蓄電器25に蓄電された電源電力が負荷に供給可能な必要なレベルに達した時点で(ステップS102−Y)、電流切替回路29によってPSU30から負荷31への電源供給から、電源供給部28から負荷31への電源供給に切り替えて、電源供給部28から蓄電器25に蓄電された電源を負荷31に供給する。この供給は、蓄電された電源電力が負荷に供給可能な必要なレベルを維持している間行われ(ステップS104−Y)、必要レベルから下がると、PSU30からの電源供給に切り替えられる(ステップS105)。その間、ステップS101に戻って蓄電器25への蓄電が継続され、ステップS102以降の処理が繰り返される。
【0058】
このように本実施形態では、太陽電池24によって発電された電力の蓄電器25の蓄電レベルをCPU27が監視し、蓄電レベルが負荷へ供給可能なレベルになったときに各節電モードへ移行する。また、供給不能な状態までレベルが低下するとPSU30からの供給に復帰する。その結果、前記供給可能なレベル以上の場合には、省エネモード時に装置で消費される外部電源からの消費電力を0とすることが可能となる。
【0059】
なお、これまでに述べた実施形態は、本発明を実施する際の例示であって、本発明が前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で述べた技術思想を具現するための各種構成及び変形は全て本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置における読み取り装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施例1に係る第1キャリッジの内部構成を示す図である。
【図3】実施例2に係る第1キャリッジの内部構成を示す図である。
【図4】実施例3におけるキセノンランプの一般的構成を示す図である。
【図5】実施例3に係る第1キャリッジの内部構成を示す図である。
【図6】実施例4に係る第1キャリッジの内部構成を示す図である。
【図7】実施例5に係る画像読み取り装置の内部構成を示す図である。
【図8】実施例6に係る画像読み取り装置の内部構成を示す図である。
【図9】本実施形態の画像形成装置の電源回路の一例を示すブロック図である。
【図10】図9の電源回路における制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 読み取り装置
2 筐体
3 コンタクトガラス
4 白基準板
5 キセノンランプ
6 第1ミラー
7 第1キャリッジ
8 第2ミラー
9 第3ミラー
10 第2キャリッジ
11 レンズユニット
12 センサボードユニット
13 CCD
14 信号ケーブル
15 信号処理部
16 リフレクタ
17,18,20,21,22,23,24 太陽電池
25 充電器
26 電圧検出部
27 CPU
28 電源供給部
29 電流切替回路
30 PSU
31 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読み取り用の光源と、この光源から原稿面に光を照射して原稿面の上の画像を読み取る読み取り手段とを有する画像形成装置において、
前記光源からの出射光を受光して、受光した前記出射光のエネルギを電力に変換するエネルギ変換手段と、
前記エネルギ変換手段により変換された電力を蓄電する蓄電手段と、
を備え、
前記光源に対し、前記エネルギ変換手段が前記読み取り手段の読み取り動作時に相対的な変化を生じない位置に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記エネルギ変換手段が、前記光源からの出射光を反射し、原稿側に照射するリフレクタ部に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記エネルギ変換手段が、前記読み取り手段の受光光路と干渉しない位置に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記読み取り手段が複数のミラーを使用して光電変換素子に読み取り光を導く光学系を有し、
前記受光光路と干渉しない位置が、前記光源からの出射光の原稿への照射を阻害しない位置であって、かつ、原稿からの反射光の第1段目のミラーへの入射を阻害しない位置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記受光光路と干渉しない位置が、前記光学系の前記光源と第1段目のミラーを搭載した走行体上に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記読み取り手段が複数のミラーを使用して光電変換素子に読み取り光を導く光学系を有し、
前記受光光路と干渉しない位置が、前記読み取り手段の非可動部であって、前記光電変換素子への原稿からの反射光の入射を阻害しない位置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記非可動部が光電変換素子の前段に配置された結像レンズの前面側であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記非可動部が前記光電変換素子の前面側であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記光源が2方向に出射口を有するキセノンランプであり、前記エネルギ変換手段が前記キセノンランプの原稿照射側の出射口とは反対側に位置する出射口に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記エネルギ変換手段は太陽電池であり、
前記蓄電手段は蓄電器であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−228270(P2008−228270A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306329(P2007−306329)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】