説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置のエネルギ消費及び制御機能を合理的に分化させて画像形成装置全体のエネルギ消費総量を削減する。
【解決手段】二次電池108を備えた画像形成装置において、画像形成装置本体及びその他主要回路に電源を供給するメインPSU105と、主要回路以外の特定回路へ二次電池108から給電する第2の電源セレクタ109と、二次電池108を充電するための充電専用PSU106と、画像形成装置本体内に設けられた熱電モジュール110とを備え、前記モジュール110の駆動時には二次電池108の充電を常に行ない、充電専用PSU106を停止させ、熱電モジュール110の停止時には高変換効率を有する充電専用PSU106二次電池108への充電を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱定着機能を有する定着装置、及び複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を複合して有する画像形成装置に関し、特に、二次電池を備え、トナー像を記録材に定着する際、加熱ローラと対向して記録材を挟持搬送する加圧ローラの廃熱を回収し、この廃熱を電気エネルギとして再利用することができる省エネルギを考慮した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられている定着装置として加熱手段を内部に有する定着ローラ(加熱ローラ)を用いた熱ローラ定着方式が、低速機から高速機まで、また、モノクロ機からフルカラー機まで、幅広く採用されている。しかしながら、従来の熱ローラ定着方式の定着装置では、記録材やトナーを過熱する際に、熱容量の大きな定着ローラを加熱する必要があるため、エネルギ効率が悪く、省エネルギという観点からは不利であった。
ところで、熱電変換技術を用いた発電は、比較的低品質の熱においても直接電気に変換することが可能であり、現状の未利用の廃熱を回収できる技術であるため、最近のエネルギ問題や環境問題の深刻化に伴い、熱電変換技術に対する期待度はますます大きくなっている。
この熱電変換技術とは、異なる2種の金属やp型半導体とn型半導体等が対になった熱電変換材料に温度差を与えることによって両端に熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して、熱エネルギを直接電力に変換する技術であり、モーターやタービン等の可動部を必要とせず、また、老廃物もないという優れた特徴を有している。
そこで、例えば特許文献1には、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、記録紙上の未定着画像を熱により定着する定着手段から排出する熱を熱の影響を受けやすい周辺機器から絶縁し、また排出する熱の回収を行い、再利用し省エネルギ性を向上させるため、記録紙を給紙する給紙搬送手段と、前記記録紙に未定着画像を形成する未定着画像形成手段と、前記未定着画像を熱により定着する定着手段と、該定着手段によって画像が定着された記録紙を排紙する排紙搬送手段を備えた画像形成装置において、前記定着手段を断熱部材で包囲し、前記断熱部材は、表面に熱電変換素子を有し、さらに前記熱電変換素子により熱電変換した電力を蓄電する蓄電装置を有する発明が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、記録材あるいは定着ローラから加圧ローラに移動した廃熱を再利用するため、互いに圧接する加熱ローラ及び加圧ローラを備え、トナー像を保持した記録材を前記加熱ローラと加圧ローラの圧接部にて加熱加圧しながら挟持搬送することによって、前記トナー像を前記記録材に定着させる定着装置を備えた画像形成装置において、加圧ローラの熱を熱電変換可能な熱電変換手段を備えた構成が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、熱電変換手段を利用することにより、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置、及び該画像形成装置を構成する付属装置から排出している熱を回収し、電気エネルギとして再利用するため、転写紙を給紙部から搬送する給紙搬送手段と、未定着画像を形成する画像形成手段と、未定着画像が形成された転写紙を熱により定着する定着手段と、前記定着手段の転写紙通過方向の下流側に転写紙を案内する搬送手段を備えた電子写真画像形成装置において、高温度排熱の熱電変換として第一の熱電変換手段及び、低温度排熱の熱電変換としての第二並びに第三の熱電変換手段を備えた発明が開示されている。
【0005】
また、一般に利用されている印刷機、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置は、近年、画像の再現性、安定性等の理由から、オフィス、あるいは、家庭等で普及しつつある。一方、この種の画像形成装置は、利用形態が製品の持つ性格上、電源を投入した状態で稼働しているのが通常であり、エネルギ消費の削減よりも、利便性を向上させることを図っていた。しかしながら、エネルギ消費の課題が顕在化した今日では、稼働時間よりも待機時間の方が長いという問題を併せ持つ熱定着部におけるエネルギ消費量の低減、あるいは、温暖化に影響する化石燃料等の枯渇資源エネルギ源の使用抑制が求められている。
また、情報を取り扱う機器における電源の安定供給も求められており、この電源の安定供給に関して、集中型電源供給(火力、水力、原子力等)のインフラ状況で、安定化電源(UPS)やキャパシタに代表されるバックアップ用蓄電器(二次電池)等を用いることによって対策がなされているのが現状である。
【特許文献1】特開2005−338430号公報
【特許文献2】特開2005−308826号公報
【特許文献3】特開2005−099527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来の画像形成装置では、複数のエネルギ供給手段(エネルギ蓄積手段)として主電源の他に二次電池、キャパシタ、燃料電池のいずれかを用い、加熱定着動作のように消費電力が大きくなる状態に移行する期間にエネルギを付勢してその移行期間を短縮するとともにファーストコピータイムの縮減と省エネルギを図っている。しかし、この画像形成装置では、1つのエネルギ供給手段である主電源は交流商用ライン電源であり、他のエネルギ供給手段は副電源としてエネルギの一時的な付勢を行うための補助的な機能を受け持っている。
したがって、エネルギ供給源は全体として商用電源に頼らざるを得ない。また、燃料電池などの自発的発電手段を副電源として備えたとしても、このような自発的発電手段は上記移行期間に、蓄積した電気エネルギを用いて一時的にエネルギを付勢するための補助的手段でしかありえない。むしろ自発的発電手段を一時的なエネルギ付勢の補助として使用することは、常時エネルギを供給し得る自発的発電手段の前記補助使用によりエネルギ源(燃料)の浪費を招く原因になる。
以上より、従来の技術は、ファーストコピータイムの短縮化とともに省エネルギ化を目的とするが、この2つの背反的な目的に対する抜本的な解決策となっていない。その理由は、主電源たる交流商用電源(ライン電源)がエネルギ供給手段の大半を占め、副電源と位置付けた補助電源装置を採用してこれを受動的に適用しているため、補助電源装置である発電装置ないし蓄電装置のエネルギ駆動源としての使い方が限定的になっているからである。その結果、省エネルギモード時の電力維持や立上げ時間の短縮化(ファーストコピータイムの削減)などには相応の効果があるにしても、画像形成装置が設置されるサイト(配備場所)全てのエネルギ使用形態を総体として捉え、画像形成装置が設置される孤立空間を越えて、画像形成装置間のエネルギ消費を積極的に分担するような合理的かつ協調的な使い方になっていない、という点が難点であった。
そこで、本発明が解決すべき課題は、商用電源や発電装置、蓄電装置、給電装置などのデバイス群の機能を好適に組み合わせて、主電源−補助電源の主従的な利用方法ではなく、個々のデバイスの機能を能動的に作用させることにより、画像形成装置のエネルギ消費及び制御機能を合理的に分化させて画像形成装置全体のエネルギ消費総量を削減することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第1の手段は、二次電池を備えた給電部を有する画像形成装置において、画像形成装置本体及びその他主要回路に電源を供給する第1の給電手段と、前記主要回路以外の特定回路へ給電する前記二次電池を充電するための第2の給電手段と、
前記画像形成装置本体内に設けられ、前記二次電池への充電電力を供給可能な発電能力を有する熱電変換手段と、
を備え、
省エネルギ状態では前記第1の給電手段からの給電は遮断し、前記二次電池から前記特定回路に給電することを特徴とする。
【0008】
第2の手段は、第1の手段において、前記熱電変換手段駆動時には当該熱電変換手段から電力を供給して前記二次電池を充電し、前記第2の給電手段からの電力供給は停止することを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第1の手段において、システムの動作時に前記第2の給電手段を介し、前記熱電変換手段の出力を前記二次電池及び前記特定回路への給電することを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第1の手段において、システムの動作後に、所定温度以下になるまで前記熱電変換手段を駆動し、前記二次電池への充電及び前記特定回路への給電を行うことを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第2の手段において、前記熱電変換手段の停止時に前記第2の給電手段から前記二次電池に電源供給することを特徴とする。
【0012】
第6の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記特定回路の必要電力が、前記熱電変換手段の発電量よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
第7の手段は、第6の手段において、前記熱電変換手段から供給される前記特定回路駆動用以外の電力を二次電池へ供給し、充電することを特徴とする。
【0014】
第8の手段は、第1の手段において、前記第2の給電手段からの給電と前記熱電変換手段からの給電のいずれかを選択し、前記二次電池に充電電力を供給する第1の選択手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
第9の手段は、第1の手段において、前記熱電変換手段から充電電力が供給される第1の二次電池と、前記第2の給電手段からの充電電力が供給される第2の二次電池とを備えていることを特徴とする。
【0016】
第10の手段は、第1又は第9の手段において、前記二次電池からの給電と前記第1の給電装置からの給電のいずれかを選択し、前記特定回路に対して電源を供給する第2の選択手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
なお、後述の実施形態では、二次電池は符号108に、第1の二次電池は符号108aに、第2の二次電池は符号108bに、画像形成装置は符号PRに、主要回路はメインコントローラ111に、特定回路はコントローラ省エネ回路112に、第1の給電手段はメインPSU105に、第2の給電手段は充電専用PSU106に、熱電変換手段は熱電モジュール110に、第1の選択手段は第1の電源セレクタ107に、第2の選択手段は第2の電源セレクタ109に、それぞれ対応し、充電制御及び選択制御はコントローラ省エネ回路112が司り、各部は当該コントローラ省エネ回路112からの指令によって動作する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像形成装置のエネルギ消費及び制御機能を合理的に分化させて画像形成装置全体のエネルギ消費総量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本実施形態における実施例1に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。同図において、本実施例に係る画像形成システムは、ネットワークNTを介してホストPCと画像形成装置PRが接続されたシステムである。画像形成装置は、カラープリンタPTRに対してスキャナSCR、自動原稿供給装置ADF、及びソータ11を備えており、パーソナルコンピュータ(以下、PCと称す)等のホストPCから、ネットワークNTを通じて、画像情報である印刷データが与えられると、その印刷データをプリントアウト(画像出力)する。この画像形成装置PRは、複合機能があるデジタルカラー複写機であり、前述のようにプリンタとして機能するだけでなく、自身で原稿のコピーを生成することもできる。また、画像形成装置PRには、画像形成装置PRに対して脱着可能な補助電池装置50と、補助電池装置50に対して脱着可能な二次電池52が搭載されている。なお、画像形成装置PRの前面側の上部には操作パネルOPBが設けられている。
【0021】
図2は図1におけるプリンタPTRの概略構成を示す図である。プリンタPTRは電子写真方式のレーザ走査型のカラープリンタであり、作像装置、給紙装置(バンク)、両面給紙装置、及び後処理装置(ソータ)11によって構成されている。作像装置は、感光体1、メインチャージャ2、レーザ走査器3、現像装置4、転写ベルト6、転写分離チャージャ8、搬送ベルト9及び定着器10から主に構成されている。
【0022】
レーザ走査器3には、Bk(黒),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色の成分に分解された画像データが、各色単位で与えられる。各色単位が1画像形成単位である。単色記録のときには、上記4色の内の一色の画像データがレーザ走査器3に与えられる。感光体1は定速度で回転駆動され、メインチャージャ2にて荷電された電位はクエンチングランプQLで適正電位に調整される。そして帯電面に、レーザ走査器3が画像データで変調したレーザを走査投射する。これにより、画像データに対応する静電潜像が感光体1に形成される。この静電潜像が、回転位置決め方式の現像装置4の画像形成指定色(例えばBk)に対応する色の現像トナーを有する現像器(Bk)にて現像されて顕像すなわちトナー像となる。トナー像は、転写チャージャ5によって転写ベルト6に転写され、転写分離チャージャ8によってレジストローラ7で送り込まれる転写紙に転写される。トナー像が転写された転写紙は搬送ベルト9によって定着器10に送り込まれる。
【0023】
定着器10は加熱及び加圧により転写紙上のトナー像を転写紙に固定する。定着を終えた転写紙は、ソータ11に排出される。トナー像の転写を終えた感光休面はクリーニング装置12でクリーニングされる。転写ベルト6の転写を終えた面はクリーニングブレード13で拭われる。感光体1を臨む所定の位置にはPセンサと呼ばれる感光体1面上のトナー濃度を検出する反射型の光センサ14が配置され、転写ベルト6の基準位置を示すマークを検出する反射型の光センサ15が転写ベルト6の内側に設けられている。また、定着ローラ10のローラに対向する位置には定着ローラの温度を検出する温度センサ16が設けられている。
【0024】
2色以上のカラー重ね記録(最も代表的なものはフルカラー記録)のときには、前述の感光体1上へのトナー像の形成と転写ベルト6への転写が、各色分繰り返されて転写ベルト6上において各色トナー像が重畳され、所要色分の重ね転写を終えてから、一度に転写紙に転写される。
【0025】
図3は図1に示した画像形成装置PRの給電部を含むシステム構成を示すブロック図である。同図において、画像形成装置PRに給電する場合、図示しないコンセントに接続されたプラグ100から主電源スイッチ101、AC電流検出装置102、AC ON/OFFセンサ103、ACカット装置104を経て本体及び主要回路への給電装置(メインPSU)105にAC電源を供給し、メインPSU105でACをDCに変換し、画像形成装置PRの各部にDC電源を供給する。
【0026】
一方、充電専用PSU106が設けられ、この充電専用PSU106から充電用のDC電源が第1の電源セレクタ107に接続されている。第1の電源セレクタ107は前記充電専用PSU106の他に画像形成装置PRの定着器10に設けられた熱電モジュール110に接続され、前記充電専用PSU106か熱電モジュール110かを選択して二次電池108を充電する。二次電池108は第2の電源セレクタ109を介して画像形成装置PR内の省エネ回路用のコントローラ112に接続され、省エネ時にDC電源を供給する。コントローラ省エネ回路112はコントローラの各モードで共通して通電されている回路である。第2の電源セレクタ109はメインPSU105からもDC電源の供給を受け、コントローラ省エネ回路112に電源供給を行う場合に、二次電池108のDC放電あるいはメインPSU105かのDC電源のいずれかを選択する。
【0027】
画像形成装置PRは、前記画像読み取り部SCR、操作部OPB、画像書き込み部3の他に、前記熱電変換装置である熱電モジュール110、スピーカ113等を備え、主回路を制御するメインコントローラ111と省エネ回路を制御するコントローラ省エネ回路112とを備えている。メインコントローラ111は、メインマイコン111a及び通信インターフェース制御部111bを備え、メインマイコン111aによって画像形成装置PRの主要部の制御を実行するとともに、通信インターフェース制御部111bによってネットワークを介し、あるいはUSBによって外部機器との通信制御を実行する。コントローラ省エネ回路112はサブマイコン112a及びRTC112bを備え、省エネモード時における制御を司る。
【0028】
前記AC電流検出装置102は検出したAC電流の電流値をコントローラ省エネ回路112に入力し、AC ON/OFFセンサはAC ON/OFF状態信号をコントローラ省エネ回路112に入力する。一方、コントローラ省エネ回路112からは、ACカット装置104にACカットする/しない制御信号が、第1の電源セレクタ107には電池充電する/しない制御信号が、それぞれ入力される。また、コントローラ省エネ回路112は第1及び第2の電源セレクタ107,109に電源セレクト信号を出力する。
【0029】
第1の電源セレクタ107はコントローラ省エネ回路112からの電源セレクト信号により、充電専用PSUから給電/熱電モジュールから給電/OFFを選択する。また、電池充電する/しない制御信号により2次電池からの電源供給を制御する。第2の電源セレクタ109は、電源セレクト信号によりメインPSUから給電/二次電池から給電/OFFを選択する。
【0030】
このように本実施例においては、画像形成装置PRにおけるPSUは、本体及びその他主要電気回路用のメインPSU(第1の給電装置)105及び二次電池108の充電専用のサブPSU(第2の給電装置)106の2つのPSUを備えている。二次電池108への給電は前述の通り本体発熱部に用意された熱電モジュール110からのDC充電も選択が可能となっている。
【0031】
二次電池108への給電をサブPSU106からにするか、熱電モジュール110からにするかは、コントローラ省エネ回路112上のサブマイコン112aより制御が可能である。また、省エネ時(待機時等)にも常に動作している特定の回路部にフォーカスしたコントローラ省エネ回路への給電を二次電池108から行うか、メインPSU105から行うか選択が可能となっている。この選択に関してもコントローラ省エネ回路112上のサブマイコン112aによって制御可能である。
【0032】
図4は図3の給電部に対する比較例を示すブロック図である。この比較例は図3の給電回路に対して、AC電源検出装置102、充電専用PSU106及び第1の電源セレクタ107が削除され、さらに、画像形成装置PR側では、熱電モジュール110とコントローラ省エネ回路112が省略されている。これにより、本体及びその他主要回路への給電装置(PSU)105及び二次電池108を電源セレクタ109によって選択し、待機時には二次電池108からの供給とすることにより省エネルギ駆動を実現している。本実施例では、画像形成装置PRに熱電モジュール110を設けたことにより、図3のようなシステム構成とし、これにより複数の給電装置を状況に応じて制御、選択することによって、画像形成装置PRのより高度な省エネルギ化を促進している。
【0033】
図5は図3のシステム構成におけるシステム状態の遷移図である。
【0034】
図5の状態遷移図では、白抜きがOFFを、網点が電池給電を、ハッチングがPSU給電をそれぞれ示す。図5の状態では、
1)SHUTDOWNモード(M1)
2)スタンバイモード(M2)
3)印刷モード(M3))
4)省エネモード(M4)
5)電池駆動スタンバイモード(M5)
6)電池駆動印刷モード(M6)
7)電池駆動省エネモード(M7)
の7つのモードが設定される。各モード時の各部の状態は以下の通りである。
1)SHUTDOWNモード M1
AC電源 = OFF
AC CUT = しない
充電 = 熱電変換装置のみ
コントローラ省エネ電源= OFF
コントローラ電源 = OFF
電池残量 = 0〜100%
通信 = OFF
操作パネルからの操作 = 不可
2)スタンバイモード M2
AC電源 = ON
AC CUT = しない
充電 = 充電専用PSU>熱電変換装置
コントローラ省エネ電源= PSU
コントローラ電源 = PSU
電池残量 = 5〜94%
通信 = ON
操作パネルからの操作 = 可能
3)印刷モード M3
AC電源 = ON
AC CUT = しない
充電 = 充電専用PSU>熱電変換装置
コントローラ省エネ電源= PSU
コントローラ電源 = PSU
電池残量 = 5〜95%
通信 = ON
操作パネルからの操作 = 可能
4)省エネモード M4
AC電源 = ON
AC CUT = しない
充電 = 充電専用PSU>熱電変換装置
コントローラ省エネ電源= PSU
コントローラ電源 = OFF
電池残量 = 10〜94%
通信 = ON
操作パネルからの操作 = サブ電源キーのみ可能
5)電池駆動スタンバイモード M5
AC電源 = ON
AC CUT = しない
充電 = 熱電変換装置のみ
コントローラ省エネ電源= 電池
コントローラ電源 = PSU
電池残量 = 11〜95%
通信 = ON
操作パネルからの操作 = 可能
6)電池駆動印刷モード M6
AC電源 = ON
AC CUT = しない
充電 = 熱電変換装置のみ
コントローラ省エネ電源=電池
コントローラ電源 = PSU
電池残量 = 5〜95%
通信 = ON
操作パネルからの操作 = 可能
7)電池駆動省エネモード M7
AC電源 = ON or OFF
AC CUT = する
充電 = 熱電変換装置のみ
コントローラ省エネ電源= 電池
コントローラ電源 = OFF
電池残量 = 11〜95%
通信 = ON
操作パネルからの操作 = サブ電源キーのみ可能
前記各モードは以下のように遷移する。
・SHUTDOWMモードM1でAC ONしたら(C1)、スタンバイモードM2に移行する。
・スタンバイモードM2あるいは電池駆動スタンバイモードM5でAC OFFしたら(C2)、SHUTDOWMモードM1に移行する。
・スタンバイモードM2で規定時間が経過したら(C3)、省エネモードM2に移行する。
・スタンバイモードM2で二次電池の容量が95%以上なら(C4)、電池駆動スタンバイモードM5に移行する。
・省エネモードM3で動作開始要求がきたら(C5)、印刷モードM3に移行する。
・印刷モードM3で動作が停止したら(C6)、スタンバイモードM2に移行する。
・印刷モードM3で電池残量が95%以上なら(C7)、電池駆動印刷モードM6に移行する。
・電池駆動印刷モードM6で動作が停止したら(C8)、電池駆動スタンバイモードM5に移行する。
・電池駆動印刷モードM6で電池残量が10%以下なら(C9)、印刷モードM3に移行する。
・電池駆動スタンバイモードM5で電池容量が10%以下なら(C10)、スタンバイモードM2に移行する。
・電池駆動スタンバイモードM5で動作開始要求がきたら(C11)、電池駆動印刷モードM6に移行する。
・省エネモードM4で電池残量が95%以上なら(C12)、電池駆動省エネモードM7に移行する。
・電池駆動省エネモードM7で動作開始要求がきたら(C13)、電池駆動印刷モードM6に移行する。
・電池駆動省エネモードM7電池残量が10%以下なら(C14)、省エネモードM4に移行する。
・スタンバイモードM2で動作開始要求がきたら(C15)、印刷モードM3に移行する。
・電池駆動スタンバイモードM5で規定時間が経過したら(C16)、電池駆動省エネモードM7に移行する。
・省エネモードM7あるいは電池駆動省エネモードM7でAC OFFしたら(C17)、SHUTDOWMモードM1に移行する。
【0035】
このようにモードを設定し、二次電池からの給電とメインPSUからの給電を設定すると、SHUTDOWNモードM1、スタンバイモードM2、印刷モードM3、及び省エネモードM4の4つのモードでは、熱電モジュール110の駆動時に二次電池108に対して充電を行い、その状態においては充電専用PSU106の動作を停止させる。換言すれば、コントローラ省エネ回路112からの指示により、第1の電源セレクタ107は熱電モジュール110からのDC電源供給による充電を選択する。
【0036】
また、電池駆動スタンバイモードM5、電池駆動印刷モードM6、及び電池駆動省エネモードM7において、二次電池108の充電量が十分である場合には、熱電モジュール110が出しつづける電力が余るので、これをコントローラ省エネ回路112の省エネ電源として利用する。このときには、第2の電源セレクタ109は前記第1の電源セレクタ107の状態で、二次電池108のDC放電側を選択し、二次電池108からの給電を受ける。
【0037】
通常のスタンバイモードM2、印刷モードM3、及び省エネモードM4では、二次電池108の充電残量をそれぞれ監視し、電池残量が所定量、本実施例では95%以上であれば、電池駆動のモードに状態遷移し、電池駆動スタンバイモードM5、電池駆動印刷モードM6、及び電池駆動省エネモードM7へ移行する。
【0038】
その際、前記電池駆動スタンバイモードM5、電池駆動印刷モードM6、及び電池駆動省エネモードM7では、熱電モジュール110の停止時に第2のコントローラからの指示により第1の電源セレクタ107は充電専用PSU106側を選択し、二次電池108への充電が行われる。
【0039】
図6はPSUの負荷率と変換効率との関係を示す特性図で、AC100VからDC5Vへの変換時の特を示す。この図から分かるように図4の比較例で示したように1つのPSUでコントローラへの給電と二次電池への給電を行わせる場合には、幅広い使用をカバーして設計する必要があるが、コントローラへの給電と二次電池への給電それぞれにPSUを設けた2PSU構成であると、それぞれの使用に合わせた特性のPSUを使用することができる。特に充電専用のPSU106を用いた場合には、充電専用PSU106の仕様を、高変換効率を得られるように合わせ込むことができる。
【0040】
また、前記コントローラ省エネ回路112の消費電力は前記熱電モジュール110の発電量よりも十分に小さいものとなるように設定しておく。換言すれば、両者の消費電力と発電量を相対的に規定しておく。
【0041】
なお、本実施例では、二次電池108の充電と第2のコントローラ(省エネ回路)112への給電を熱電モジュール110からの給電でそれぞれ実現できるようにしている。そのため、第1の電源セレクタ107を二次電池108と熱電モジュール110及び充電専用PSU106との間に設けている。これにより熱電モジュール110の駆動時には、この経路にて二次電池108への充電が可能なため、第1の電源セレクタ107によって熱電モジュール110側のパスを選択する。一方、本体定着器10等の熱源が低温状態である場合は、熱電モジュール110からの出力はほとんど得られないため、第1の電源セレクタ107によって充電専用PSU106側からのパスを選択する。この状態に合わせて充電専用PSU106は起動をかける。
【実施例2】
【0042】
図7は本実施形態における実施例2のシステム構成を示すブロック図である。この実施例2は、図3の実施例1の二次電池108を並列に2個設け、一方は熱電モジュール110空、他方は充電専用PSU106から充電できるようにしたものである。すなわち、熱電モジュール110から充電を行う二次電池108aと、充電専用PSU106から充電を行う二次電池108bとを第1の電源セレクタ107と第2の電源セレクタ109の間に独立させてそれぞれ設けたものである。この構成では、熱電モジュール110で充電を行う二次電池108aがいっぱいになるまでは、充電専用PSU106によって充電される二次電池108bからコントローラ省エネ回路112に給電するようにする。これにより二次電池108a,108bの充放電回数を減らすことができる。
【0043】
なお、いずれの実施例にしても第2の電源セレクタ109はコントローラ省エネ回路112と二次電池108(108a,108b)との間に設けられ、メインPSU105からの給電も可能となっている。これにより、二次電池108(108a,108b)が全く空の状態などの初期システムの起動時に、メインPSU105からコントローラ省エネ回路112に給電し、省エネ回路を駆動することができる。
【0044】
その他、特に説明しない各部は実施例1と同等に構成され、同等に機能するので、重複する説明は省略する。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、
1)第2のコントローラ(省エネ回路)112への給電を目的に二次電池108を備え、その二次電池充電用の充電専用PSU105及び熱電モジュール110を備えているので、両者を併用することによって充電専用PSU106の使用頻度が減り、その分、充電専用PSU106の長寿命化を図ることができる。
2)熱電モジュール110の駆動時に二次電池108に対して充電を行い、その状態においては充電専用PSU106の動作を停止させるため、余熱を有効利用することができる。
3)システムの動作時に、熱電モジュール110の出力により、二次電池108への充電及びコントローラ省エネ回路112への給電を行うため、その分の低消費電力を実現することができる。
4)システムの動作後に、所定温度以下になるまで熱電モジュール110を駆動させて、二次電池108への充電及びコントローラ省エネ回路112への給電を行うため、コントローラ省エネ回路112の給電について電力確保にAC電力を全く必要としない状態を実現することができる。
5)熱電モジュール110の停止時に、充電専用PSU106を動作させて二次電池108に対して充電を行うため、メインPSU105を用いて二次電池108に充電するよりも効率よく充電が行える。また、電池駆動部を省電力回路部(コントローラ省エネ回路112)に特定することにより充電専用PSU106の高効率範囲で動作させることができる。
6)コントローラ省エネ回路112の必要電力が、熱電モジュール110の発電量よりも十分に小さいため、熱電モジュール110の駆動だけでコントローラ省エネ回路112を駆動することが可能となり、コントローラ省エネ回路112を確実に動作させることができる。
7)コントローラ省エネ回路112の駆動以外に余った電力を二次電池108へ充電するため、熱電モジュール110の駆動だけでコントローラ省エネ回路112の駆動及び二次電池108への充電が可能となり、余った電力の有効利用を図ることができる。
8)充電専用PSU106あるいは熱電モジュール110から二次電池108に対する充電を切り換える第1の電源セレクタ107を備えているので、電池の充電状態、及び熱電モジュール110の駆動状態の組み合わせに応じて最適な給電構成とすることができる。
9)熱電モジュール110から充電を行う二次電池108a及び充電専用PSU106から充電を行う二次電池108bの2つの二次電池を備えたので(実施例2)、熱電モジュール110から充電をされる二次電池108aが所定の電力を蓄えてからコントローラ省エネ回路112へ給電することができる。
10)二次電池108,108a,108b又はメインPSU105からコントローラ省エネ回路112に供給する電源を切り換える第2の電源セレクタ109を備えているので、二次電池108,108a,108bの充電状態、及び熱電モジュール110の駆動状態の組み合わせによって最適な給電構成を実現することができる。また、二次電池108,108a,108bが空の状態であっても対応することができる。
等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図1におけるプリンタの概略構成を示す図である。
【図3】図1に示した画像形成装置の給電部を含むシステム構成を示すブロック図である。
【図4】図3の給電部に対する比較例を示すブロック図である。
【図5】図3のシステム構成におけるシステム状態の遷移図である。
【図6】PSUの負荷率と変換効率との関係を示す特性図である。
【図7】本発明の実施例2に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
105 メインPSU
106 充電専用PSU
107 第1の電源セレクタ
108,108a,108b 二次電池
109 第2の電源セレクタ
110 熱電モジュール
111 メインコントローラ
112 コントローラ省エネ回路
PR 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を備えた画像形成装置において、
画像形成装置本体及びその他主要回路に電源を供給する第1の給電手段と、
前記主要回路以外の特定回路へ給電する前記二次電池を充電するための第2の給電手段と、
前記画像形成装置本体内に設けられ、前記二次電池への充電電力を供給可能な発電能力を有する熱電変換手段と、
を備え、
省エネルギ状態では前記第1の給電手段からの給電は遮断し、前記二次電池から前記特定回路に給電することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記熱電変換手段駆動時には当該熱電変換手段から電力を供給して前記二次電池を充電し、前記第2の給電手段からの電力供給は停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置動作時に前記第2の給電手段を介し、前記熱電変換手段の出力を前記二次電池及び前記特定回路への給電することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置動作後に、所定温度以下になるまで前記熱電変換手段を駆動し、前記二次電池への充電及び前記特定回路への給電を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記熱電変換手段の停止時に前記第2の給電手段から前記二次電池に電源供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記特定回路の必要電力が、前記熱電変換手段の発電量よりも小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記熱電変換手段から供給される前記特定回路駆動用以外の電力を二次電池へ供給し、充電することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記第2の給電手段からの給電と前記熱電変換手段からの給電のいずれかを選択し、前記二次電池に充電電力を供給する第1の選択手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記熱電変換手段から充電電力が供給される第1の二次電池と、
前記第2の給電手段からの充電電力が供給される第2の二次電池と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1又は9記載の画像形成装置において、
前記二次電池からの給電と前記第1の給電装置からの給電のいずれかを選択し、前記特定回路に対して電源を供給する第2の選択手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−233265(P2008−233265A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69537(P2007−69537)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】