説明

画像形成装置

【課題】冷却効果の低下を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、本体ケーシングと、冷却対象部品と、第1フィルタ64と、第2フィルタ65と、送風装置66と、切換装置67と、制御部69とを備える。本体ケーシングの内部には、外部から吸込まれる空気が通る第1吸気通路61および第2吸気通路62が設けられる。冷却対象部品は、本体ケーシング内に収容される。第1フィルタ64は、第1吸気通路61に設けられる。第2フィルタ65は、第2吸気通路62に設けられる。送風装置66は、外部から吸込まれ第1吸気通路61又は第2吸気通路62を通り冷却対象部品へ送られる空気の流れを生成する。切換装置67は、第1吸気通路61による吸込みと第2吸気通路62による吸込みとを切り替える。制御部69は、切換装置67による吸気通路の切換を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、発熱部品を冷却するために送風装置が備えられている。送風装置は、ケーシング内に設けられた吸気通路を通り発熱部品へ送られる空気の流れを生成する。吸気通路にはフィルタが設けられており、外部から吸込まれた空気中の塵埃がフィルタによって除去される。
【0003】
ここで、特許文献1に記載の画像形成装置では、送風装置の稼働時間を積算して得られる積算値が、ある一定値以上になったときに、フィルタの交換時期又は清掃時期を使用者に伝達するように構成されている。
【特許文献1】特開平8−101610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような画像形成装置では、フィルタの交換時期又は清掃時期が使用者に知らされても、フィルタの交換等が実際に実行されるまでは、フィルタは目詰まりが生じた状態のままとなっている。この場合、送風装置による冷却効果が低下し、画像形成装置の内部温度が上昇する恐れがある。
【0005】
本発明の課題は、冷却効果の低下を抑えることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る画像形成装置は、ケーシングと、冷却対象部品と、第1フィルタと、第2フィルタと、送風装置と、切換装置と、制御部とを備える。ケーシングの内部には、外部から吸込まれる空気が通る第1吸気通路および第2吸気通路が設けられる。冷却対象部品は、ケーシング内に収容される。第1フィルタは、第1吸気通路に設けられる。第2フィルタは、第2吸気通路に設けられる。送風装置は、外部から吸込まれ第1吸気通路又は第2吸気通路を通り冷却対象部品へ送られる空気の流れを生成する。切換装置は、第1吸気通路による吸込みと第2吸気通路による吸込みとを切り替える。制御部は、切換装置による吸気通路の切換を制御する。
【0007】
この画像形成装置では、制御部が切換装置を制御することによって、第1吸気通路による吸込みと第2吸気通路による吸込みとが切り換えられる。例えば、第1フィルタが目詰まりして第1吸気通路による空気の吸込み効率が低下した場合には、第1吸気通路による吸い込みから第2吸気通路による吸込みに切り換えられる。これによって、第2吸気通路を介して空気を効率よく吸込むことができる。このように、この画像形成装置では、一方のフィルタが目詰まりした場合でも、他方のフィルタに空気が通るように吸気通路を切り換えることができる。これにより。冷却効果の低下を抑えることができる。
【0008】
第2発明に係る画像形成装置は、第1発明の画像形成装置であって、冷却対象部品の周囲温度を検出する温度センサをさらに備える。そして、制御部は、温度センサによって検出された周囲温度に基づいて切換装置による吸気通路の切換を制御する。
【0009】
この画像形成装置では、周囲温度に基づいて吸気通路の切換が制御される。周囲温度の増大は、空気の吸込み効率の低下、すなわち、フィルタの目詰まりの増大の影響を受ける。このため、周囲温度に基づいて吸気通路の切換が制御されることにより、実際のフィルタの目詰まりの状況に応じた適切なタイミングで吸気通路の切換を行うことができる。
【0010】
第3発明に係る画像形成装置は、第2発明の画像形成装置であって、制御部は、第1吸気通路および第2吸気通路の一方による吸込みを行っている状態において、周囲温度が冷却対象部品の通常使用時の基準温度よりも所定値以上上昇した場合には、第1吸気通路および第2吸気通路の他方による吸込みに切り換える。
【0011】
この画像形成装置では、周囲温度が冷却対象部品の通常使用時の基準温度よりも所定値以上上昇した場合に、吸気通路の切換が行われる。これにより、実際のフィルタの目詰まりの状況に応じた適切なタイミングで吸気通路の切換を行うことができる。
【0012】
第4発明に係る画像形成装置は、第1発明から第3発明のいずれかの画像形成装置であって、表示部をさらに備える。表示部は、吸気通路の切換が行われた場合に、第1フィルタ又は第2フィルタのメンテナンスに関する情報を表示する。
【0013】
この画像形成装置では、第1フィルタおよび第2フィルタのうち目詰まりが生じているフィルタのメンテナンスを行う必要があることを、使用者が容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置では、一方のフィルタが目詰まりした場合でも、他方のフィルタに空気が通るように吸気通路を切り換えることができる。これにより。冷却効果の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、以下、図面を参照して説明する。
【0016】
<画像形成装置1の構成>
図1は本実施形態の画像形成装置1の外観を示す斜視図であり、図2は画像形成装置1の一部を拡大した断面図である。なお、この画像形成装置1は、コピー機、プリンタ、FAXなどの機能を併せ持つ、いわゆる複合機であるが、本発明の適用対象はこれに限られない。例えば、コピー機、プリンタ、FAXなどのそれぞれに対して本発明が適用されてもよい。
【0017】
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、原稿搬送装置2、本体ケーシング3、画像読取部4、画像形成部5、冷却装置6(図4、図5参照)などを備える。
【0018】
〔原稿搬送装置2〕
原稿搬送装置2は、原稿M(図2参照)を画像読取部4に対して移動させるための装置であり、本体ケーシング3の上方に配される。原稿搬送装置2は、上部ケーシング20、原稿載置トレイ21、原稿排出トレイ23、原稿搬送部22等を備える。
【0019】
原稿載置トレイ21は、原稿を載置するための部材である。
【0020】
原稿排出トレイ23は、読み取りが終わった原稿を受け取るための部材である。
【0021】
原稿搬送部22は、上部ケーシング20の内部に設けられ、原稿載置トレイ21上の原稿を原稿排出トレイ23まで搬送する。原稿搬送部22は、図2に示すように、複数のローラからなる原稿搬送ローラ群22aと、原稿押圧部22bとを備える。原稿搬送ローラ群22aは、原稿載置トレイ21から原稿Mを一枚ずつ引き出し、第二プラテンガラス36(後述)上を経て原稿排出トレイ23へと排出する。原稿押圧部22bは、原稿搬送ローラ群22aによって搬送される原稿Mを第二プラテンガラス36に押し付ける。
【0022】
〔本体ケーシング3〕
図1に示すように、本体ケーシング3は、画像読取部4、画像形成部5、冷却装置6(図4,5参照)を収容している。また、本体ケーシング3には、手差しトレイ31、用紙カセット32、用紙排出トレイ33、操作パネル34などが設けられている。手差しトレイ31は、画像形成部5で用いる用紙を載置するための部材である。用紙カセット32は、内部に用紙を収容する部材である。用紙排出トレイ33は、画像形成後の用紙が排出される部材である。操作パネル34は、表示パネル37や複数のハードキー38を有しており、ユーザからの指示を受け付けたりユーザに種々の情報を提示したりする。
【0023】
また、図2に示すように、本体ケーシング3は、原稿搬送装置2に対向する面に、第一プラテンガラス35、及び第二プラテンガラス36を備える。上述の原稿搬送装置2の上部ケーシング20は、第一プラテンガラス35上に原稿を押し付ける原稿押さえとしても機能する。
【0024】
〔画像読取部4〕
画像読取部4は、原稿Mの一方の面から画像を読み取る装置である。図2に示すように、画像読取部4は、原稿搬送装置2によって搬送中又は第一プラテンガラス35上に載置された原稿Mの表面の画像を読み取るように構成されている。具体的には、画像読取部4は、第一プラテンガラス35に平行に配されたレール41、及びレール41上を矢印方向に移動可能なキャリッジ42、キャリッジ42を移動させるキャリッジ駆動部(図示せず)等を備える。なお、以下の説明において、レール41に垂直かつ第一プラテンガラス35に平行な方向を主走査方向、レール41に平行な方向を副走査方向と呼ぶ。
【0025】
図3に示すように、キャリッジ42内には、光源43、ミラー群44、集光レンズ46、CCD(CCDイメージセンサ)47等が備えられている。なお、図3はキャリッジ42内部の要部構成を示す断面図である。
【0026】
光源43は第一プラテンガラス35及び第二プラテンガラス36を介して原稿Mの表面に光を照明する。光源43としては、キセノンランプ、LEDランプ等の各種ランプを好適に用いることができる。
【0027】
ミラー群44はミラー44a〜44c等の複数のミラーを備え、原稿Mからの反射光をミラー44a〜44bで順次反射して、集光レンズ46に導く。反射光は集光レンズ46によってCCD47に集められる。
【0028】
CCD47は受けた光をアナログの電気信号に変換する。なお、CCD47はイメージセンサの一例に過ぎず、CMOSイメージセンサ等の他のイメージセンサに適宜置換可能である。
【0029】
第一プラテンガラス35上の原稿Mから画像を読み取るときは、キャリッジ42が副走査方向に移動することで原稿Mの全面が走査される。また、原稿搬送装置2で搬送される原稿Mの表面の画像を読み取るときは、キャリッジ42は第二プラテンガラス36に対向する位置に静止し、上述の原稿搬送部22によって原稿Mがキャリッジ42に対して移動されることによって、副走査方向における走査が行われる。
【0030】
〔画像形成部5〕
画像形成部5は、画像読取部4が読み取った画像等を用紙上に印刷する。画像形成部5としては、電子写真方式又はインクジェット方式等の印刷機構を適宜採用することができる。
【0031】
〔冷却装置6〕
図4および図5に示す冷却装置6は、本体ケーシング3内に収容される冷却対象部品を冷却するための装置である。冷却対象部品としては、上述した光源43を例示することができるが、他の発熱部品であってもよい。
【0032】
冷却装置6は、第1吸気通路61、第2吸気通路62、ファン通路63、第1フィルタ64、第2フィルタ65、送風装置66、切換装置67、温度センサ68、制御部69などを備える。
【0033】
第1吸気通路61は、本体ケーシング3内に設けられており、本体ケーシング3の背面に設けられた第1吸気口71に繋がっている。第1吸気通路61は、第1吸気口71を介して外部から吸込まれる空気が通る通路である。なお、第1吸気口71は、本体ケーシング3の背面ではなく他の箇所、例えば、本体ケーシング3の側面に設けられてもよい。
【0034】
第2吸気通路62は、本体ケーシング3内に設けられており、本体ケーシング3の背面に設けられた第2吸気口72に繋がっている。第2吸気通路62は、第2吸気口72を介して外部から吸込まれる空気が通る通路である。なお、第2吸気口72は、本体ケーシング3の背面ではなく他の箇所、例えば、本体ケーシング3の側面に設けられてもよい。
【0035】
ファン通路63は、本体ケーシング3内に設けられており、第1吸気通路61および第2吸気通路62と繋がっている。
【0036】
第1フィルタ64は、第1吸気通路61に設けられており、第1吸気通路61を通る空気から塵埃を除去する。
【0037】
第2フィルタ65は、第2吸気通路62に設けられており、第2吸気通路62を通る空気から塵埃を除去する。
【0038】
送風装置66は、外部から吸込まれ第1吸気通路61又は第2吸気通路62を通り冷却対象部品へ送られる空気の流れを生成する。送風装置66は、送風ファン73と、ファンモータ74とを有している。送風ファン73は、ファン通路63に配置されている。ファンモータ74は、送風ファン73を回転駆動する。
【0039】
切換装置67は、第1吸気通路61による吸込みと第2吸気通路62による吸込みとを切り替える装置である。切換装置67は、遮蔽蓋75と切換モータ76とを有している。遮蔽蓋75は、第1位置(図4参照)と第2位置(図5参照)とに選択的に移動可能である。遮蔽蓋75は、第1位置では、ファン通路63と第1吸気通路61とを連通させ且つファン通路63と第2吸気通路62との間を遮断する。また、遮蔽蓋75は、第2位置では、ファン通路63と第2吸気通路62とを連通させ且つファン通路63と第1吸気通路61との間を遮断する。切換モータ76は、正方向および逆方向に回転することにより、遮蔽蓋75を第1位置と第2位置とに移動させる。なお、切換モータ76が一方向のみに回転し、切換モータ76による駆動力の伝達方向を切り換える機構が備えられてもよい。
【0040】
温度センサ68は、冷却対象部品の近傍に配置され、冷却対象部品の周囲温度を検出する。
【0041】
制御部69は、温度センサ68が検出した周囲温度に基づいて、切換装置67を制御することによって、吸気通路の切換を制御する。具体的には、制御部69は、温度センサ68からの情報に基づいて周囲温度をモニターする。そして、制御部69は、第1吸気通路61および第2吸気通路62の一方による吸込みを行っている状態において、周囲温度が冷却対象部品の通常使用時の基準温度よりも所定値以上上昇した場合に、第1吸気通路61および第2吸気通路62の他方による吸込みに切り換える。なお、基準温度としては、記憶装置に予め記憶された値が用いられてもよい。また、画像形成装置1の初期状態又はフィルタ交換直後において検出された温度が用いられてもよい。
【0042】
また、制御部69は、吸気通路の切換が行われた場合には、第1フィルタ64および第2フィルタ65のうち、切換前の吸気通路に設けられていたフィルタについて、メンテナンスに関する情報を表示パネル37に表示させる。例えば、第1吸気通路61による吸い込みから第2吸気通路62による吸込みに切り換えられた場合には、第1フィルタ64についてのメンテナンス情報が表示パネル37に表示される。また、第2吸気通路62による吸い込みから第1吸気通路61による吸込みに切り換えられた場合には、第2フィルタ65についてのメンテナンス情報が表示パネル37に表示される。メンテナンス情報とは、第1フィルタ64又は第2フィルタ65の交換又は清掃を促すメッセージなどである。なお、制御部69は、例えば、CPUなどの演算装置やRAM、ROMなどの記憶装置によって構成される。
【0043】
<特徴>
この画像形成装置1では、周囲温度が大きく上昇した場合には、吸気通路が切り換えられる。これにより、空気の吸気効率が低下することを防止することができ、冷却対象部品の温度が過剰に上昇することを防止することができる。これにより、冷却対象部品の破損や劣化を抑えることができる。
【0044】
また、周囲温度に基づいて吸気通路の切換が判断されるため、フィルタの累積使用時間に基づいて判断される場合と比べて、実際のフィルタの目詰まりの状況に応じた適切なタイミングで吸気通路の切換を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、冷却効果の低下を抑えることができる効果を有し、画像形成装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】画像形成装置の外観を示す斜視図。
【図2】原稿搬送装置および画像読取部の概略構成を示す側面断面図。
【図3】キャリッジ内の概略構成を示す側面断面図。
【図4】冷却装置の概略構成を示す斜視図。
【図5】冷却装置の概略構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0047】
1 画像形成装置
3 本体ケーシング(ケーシング)
37 表示パネル(表示部)
43 光源(冷却対象部品)
64 第1フィルタ
65 第2フィルタ
66 送風装置
67 切換装置
69 制御部
68 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から吸込まれる空気が通る第1吸気通路および第2吸気通路が内部に設けられたケーシングと、
前記ケーシング内に収容される冷却対象部品と、
前記第1吸気通路に設けられる第1フィルタと、
前記第2吸気通路に設けられる第2フィルタと、
外部から吸込まれ前記第1吸気通路又は前記第2吸気通路を通り前記冷却対象部品へ送られる空気の流れを生成する送風装置と、
前記第1吸気通路による吸込みと前記第2吸気通路による吸込みとを切り替える切換装置と、
前記切換装置による吸気通路の切換を制御する制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記冷却対象部品の周囲温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記温度センサによって検出された前記周囲温度に基づいて前記切換装置による吸気通路の切換を制御する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の一方による吸込みを行っている状態において、前記周囲温度が前記冷却対象部品の通常使用時の基準温度よりも所定値以上上昇した場合には、前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の他方による吸込みに切り換える、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸気通路の切換が行われた場合に前記第1フィルタ又は前記第2フィルタのメンテナンスに関する情報を表示する表示部をさらに備える、
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−282314(P2009−282314A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134471(P2008−134471)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】