説明

画像形成装置

【課題】トナーを過剰に消費してしまうことなく、かつ短時間で高画質画像を得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】非画像形成時において、現像器33により感光体ドラム31のドラム面31aに、研磨剤を含んだトナーを供給するリフレッシュモードを有している。該リフレッシュモードは、帯電ローラ36が感光体ドラム31に印加する電圧を、通常の印字の際の電圧より一時的に高くする動作を含んでいる。前記リフレッシュモードはピーク交流電圧もしくはピーク交流電流を上げることにより帯電ローラ36の電圧を一時的に高くする。クリーニング装置はクリーニングブレード37とクリーニングローラ36とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体を一様に帯電するための帯電手段として、放電を利用したものが知られている。放電を利用した場合には、放電に伴ってオゾンや窒素酸化物などの放電生成物が発生する。帯電ローラ方式は帯電ローラと感光体との間でのみ放電が起こるため、帯電チャージャ方式に比べて放電生成物の発生量は少ない。
【0003】
しかしながら、帯電ローラと感光体との間の狭い空間に放電が集中するため、感光体ドラム表面に付着する放電生成物の量は多くなる。特に、交流電圧を印加する帯電ローラの場合は放電回数が増えるため、この傾向はより顕著である。この放電生成物は親水性物質であるため、放電生成物が感光体ドラム表面に付着すると、高湿環境下では感光体ドラム表面の電気抵抗を低下させ、画像流れを引き起こさせることがある。特にアモルファスシリコン感光体ドラムのように、感光層の削れにくい感光体ドラムを用いた場合、放電生成物が除去されず、画像流れが顕著となる。
【0004】
このため例えば、感光体ドラム内にヒータを配設して感光体ドラム表面の水分を熱により蒸発させ、高湿環境における感光体ドラム表面の電気抵抗の低下を抑える技術が提案されている。しかし、画像形成装置内の温度上昇や現像器内のトナーの溶融、及び、電力消費量が多いという問題もあった。
【0005】
あるいは、クリーニングローラによって研磨剤を含有したトナーを介して感光体ドラム表面を研磨し、感光体ドラム表面に付着した放電生成物や水分を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法は、研磨剤としてトナー中に抵抗値をコントロールした酸化チタンを添加し、転写時にトナーのみを転写させる一方、研磨剤は感光体ドラム上に残し、クリーニングブレードエッジまで供給させる。クリーニングローラは発泡ウレタンローラなどが用いられ、供給されてきた研磨剤を介して感光体ドラム表面を研磨する。
【0006】
【特許文献1】特開平10−3333503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、高画質画像を得るためには、感光体ドラム表面にシャープな静電潜像を形成しなければならず、そのためには感光体の薄膜化が必須であった。しかし、感光体を薄膜化すると帯電性能が低下するため、感光体ドラム表面に供給する電荷量を増加させる必要がある。電荷供給量を増やすためには、帯電ローラに印加する電流または電圧を上げなければならず、結果として放電生成物の大量発生を生じさせていた。
【0008】
そして、感光体ドラム表面に大量に付着した放電生成物を研磨により素早く除去するには、例えばクリーニングローラの押圧力を上げたり、感光体ドラムとクリーニングローラの線速差をつけて研磨力を上げることが必要である。しかしながら、それはジッタ画像等の機械的な不具合を併発する恐れがある。ジッタ画像を解決するにはヒータシステムが有効であるが、これは前述したとおり、消費電力が多くなったり、画像形成装置内の温度が上昇したりするなどの問題がある。
【0009】
また、クリーニングローラにスクレーパやフィルムなどのレベリング部材を当接し、クリーニングローラと感光体ドラムとのニップ部に多量のトナーを滞留させることで、感光体ドラム表面に付着した放電生成物を素早く除去することも可能であるが、回収トナーの搬送や、トナー飛散等のマージンが減るという問題もある。
【0010】
それゆえに、本発明の主たる目的は、トナーを多量に消費してしまうことなく、かつ短時間で高画質画像を得ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、感光体と、感光体の表面を一様に帯電する帯電装置と、感光体の表面を露光することにより感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像装置と、感光体表面に当接して感光体表面をクリーニングするクリーニング装置と、を備えた画像形成装置であって、非画像形成時において、現像装置により感光体に研磨剤を含有したトナーを供給するリフレッシュモードを有しており、該リフレッシュモードは、帯電装置が感光体の表面に印加する電圧もしくは電流を、画像形成時の電圧もしくは電流より一時的に高くする動作を含んでいることを特徴とする、画像形成装置である。
【0012】
請求項1の発明では、帯電装置が感光体の表面に印加する電圧もしくは電流を、画像形成時の電圧もしくは電流より一時的に高くすることにより、感光体の表面摩擦係数μが一時的に高くなる。感光体の表面摩擦係数μを上げることで、粒径の大きいトナーはクリーニング装置で回収されるが、粒径の小さい研磨剤はクリーニング装置をすり抜けて回収されない。これを繰り返すことで研磨剤を多量に抱き込んだクリーニングローラが得られる。そして、この研磨剤リッチのクリーニングローラを用いて感光体表面を研磨することで、必要最小限の量のトナーにより感光体表面に付着した放電生成物や水分が効率良く除去される。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、帯電装置が接触帯電タイプであることを特徴とする、画像形成装置である。
【0014】
請求項3の発明では、感光体ドラム表面に付着する放電生成物の量が多い接触帯電タイプの帯電装置を用いた画像形成装置であっても、感光体表面に付着した放電生成物や水分を確実に除去することができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明に従属する発明であって、帯電装置が感光体の表面に印加する電圧もしくは電流は、ピーク交流電圧もしくはピーク交流電流を高くすることにより一時的に高くされることを特徴とする、画像形成装置である。
【0016】
請求項3の発明では、帯電装置が感光体表面に印加する電圧もしくは電流の上昇・下降を、ピーク交流電圧もしくはピーク交流電流で制御しているため、帯電装置が小型かつ安価な装置となる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに係る発明に従属する発明であって、クリーニング装置がクリーニングブレードとクリーニングローラとを備えていることを特徴とする、画像形成装置である。
【0018】
請求項4の発明では、クリーニング装置がクリーニングブレードとクリーニングローラとを備えているため、感光体の表面摩擦係数μを急激に上げることで、粒径の大きいトナーはクリーニングブレードによって掻き落されて回収される。一方、粒径の小さい研磨剤はクリーニングブレードのエッジをすり抜けて回収されない。感光体が周回することによってこれが繰り返されることで研磨剤を多量に抱き込んだクリーニングローラが得られる。この研磨剤を多量に抱き込んだクリーニングローラで感光体表面を研磨することにより、感光体表面に付着した水分や放電生成物が確実に除去される。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに係る発明に従属する発明であって、感光体がアモルファスシリコンからなることを特徴とする、画像形成装置である。
【0020】
請求項5の発明では、画像流れを生じやすいアモルファスシリコン感光体を用いた画像形成装置であっても、長期的に良好な画像を提供することができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに係る発明に従属する発明であって、研磨剤が導電性であることを特徴とする、画像形成装置である。
【0022】
請求項6の発明では、研磨剤が導電性であるため、感光体表面に研磨剤が付着し易くなり、研磨剤リッチのトナーが容易に得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像形成装置によれば、感光体の表面摩擦係数μを急激に上げることで、粒径の大きいトナーはクリーニング装置で回収されるが、粒径の小さい研磨剤はクリーニング装置をすり抜けて回収されない。感光体が周回することにより、これが繰り返され、クリーニングローラを研磨剤リッチにすることができる。この研磨剤リッチのトナーを用いて感光体表面を研磨することで、必要最小限の量のトナーにより感光体表面に付着した放電生成物や水分を効率良く除去することができる。この結果、トナーを多量に消費してしまうことなく、かつ短時間で画像流れの発生を抑制することができる画像形成装置が得られる。
【0024】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置1の中央部に配設された感光体ドラム31は、駆動手段によって図示矢印の時計回り方向に所定速度で駆動される。感光体ドラム31の外周近傍には、帯電ローラ32、現像器33、転写ローラ34、クリーニング装置35、除電ランプ38が設けられている。感光体ドラム31は帯電ローラ32にてドラム面31aが一様に帯電される。感光体ドラム31の回転方向における帯電ローラ32の下流側には、レーザースキャニングユニット(光走査装置)8が配置されている。画像データに基づいてレーザースキャニングユニット8から放射されたレーザ光Lは、ドラム面31aに照射され、静電潜像が形成される。
【0026】
レーザースキャニングユニット8の下流側には、現像器33が配置されている。現像器33は、トナーを静電潜像が形成されたドラム面31aに付与することにより、ドラム面31aにトナー像を形成する。
【0027】
現像器33の下流側には、転写ローラ34が配置されている。さらに、転写ローラ34の下流側には、ドラム面31aに残ったトナーを除去するためのクリーニング装置35およびクリーニング後のドラム面31aの表面に残留する電位を除電するための除電ランプ38が配置されている。
【0028】
一方、ピックアップローラ22はトナー像と同期して給紙カセット21から記録媒体としての用紙を取り出し、その用紙を給紙ローラ23,24,25,26によって搬送路R1の水平部に送り出す。さらに、レジストローラ27によって用紙を一時待機させた後、所定のタイミングで感光体ドラム31に送り込む。なお、ピックアップローラ29は手差しトレイ28に載置された用紙を取り出し、その用紙を給紙ローラ24,26によって搬送路R1の水平部に送り出す。
【0029】
感光体ドラム31に送り込まれた用紙は、転写ローラ34によって感光体ドラム31のドラム面31a上に形成されたトナー像が転写され、定着ローラ41,42に送り込まれる。トナー画像を転写された用紙は、定着ローラ41,42によって熱と圧力とでトナー像を定着された後、搬送路R1の垂直部に送り出され、印刷物として排出ローラ51で機外に排出されて排出トレイ5上に積載される。
【0030】
また、搬送路R1の水平部と給紙カセット21との間には反転搬送路R2が設けられており、用紙の両面に画像を形成できるようになっている。さらに、定着ローラ41,42と排出ローラ51との間、および、反転搬送路R2には、搬送ローラ7が適所に配設されている。
【0031】
次に、この画像形成装置1のリフレッシュモードの一例について、図2を参照して説明する。図2は感光体ドラム31周辺部の拡大概略構成図である。なお、図示しない制御装置が、リフレッシュモードと印字モード間の切り替え、リフレッシュモードにおける印加バイアス制御、感光体ドラム31の回転制御などを行う。
【0032】
感光体ドラム31は、アルミニウム素管などからなる円筒状の金属基体と、金属基体の表面に配設されたアモルファスシリコン(厚みの代表値は20μm)からなる感光層とを有している。金属基体は駆動軸に一体的に支持され、駆動軸はギヤなどの動力伝達装置を介して駆動源である電動モータに駆動連結されている(いずれも図示せず)。外径は28〜32mmであり、線速度340mm/秒で回転駆動されている。
【0033】
接触帯電タイプの帯電装置である帯電ローラ32は、外径12mmの軸芯と、軸芯の上に配設された弾性体とを有している。弾性体は合成ゴムなどの半導電性弾性部材から形成され、本実施形態においてはエピクロロヒドリンゴムからからなる。帯電ローラ32の表面(弾性体の表面)は感光体ドラム31のドラム面31aに接触している。帯電ローラ32の軸芯は、放電に必要な電圧を供給することができる電圧供給手段に接続している。
【0034】
現像器33内に収容されたトナーは、感光体ドラム31のドラム面31aを研磨するための導電性研磨剤を含んでいる。本実施形態では、導電性研磨剤として酸化チタンが用いられる。
【0035】
クリーニング装置35は、感光体ドラム31のドラム面31aに接触してドラム面31aを研磨するクリーニングローラ36と、ドラム面31aに残留するトナーを除去するクリーニングブレード37とを有している。クリーニングローラ36は、外径10mmの軸芯と、軸芯の上に形成した外径14mmの弾性体とを有している。クリーニングローラ36の弾性体やクリーニングブレード37には、弾性を有する軟質ゴムまたは軟質プラスチックが好ましく、例えばブタジエンゴム、発泡ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の材料が用いられる。
【0036】
まず、画像形成装置1の電源がONされると、機外温湿度センサによって環境温湿度を検出し、高温高湿環境であるか否かを判断する。すなわち、温度26℃以上湿度70%以上の条件(感光体ドラム31のドラム面31aに水分が付着しやすい条件)を満たす場合には、外環境が高温高湿であると判断して、ドラム面31aの水分および放電生成物の除去を行うために、画像形成装置1はリフレッシュ動作を行う。
【0037】
一方、前記条件を満たさない場合には、外環境が高温高湿でない(感光体ドラム31のドラム面31aに水分が付着しにくいため、放電生成物による画像流れは起きにくい)と判断して、リフレッシュ動作を行わないで、そのまま印字可能状態となり、適宜印字が行われる。これにより、帯電ローラ32に印加する電圧もしくは電流を一時的に上げる後述のリフレッシュ動作の回数を抑え、クリーニングローラ36の表面汚染やクリーニングブレードエッジの破損の発生を回避する。
【0038】
リフレッシュ動作は、図示しない電動モータにより、感光体ドラム31を時計回り方向に回転駆動させた状態で行われる。帯電ローラ32は感光体ドラム31の回転に従動回転させられる。現像器33の現像ローラ33aは、図示しない電動モータにより、反時計回り方向に回転駆動される。帯電ローラ32には、電圧供給手段によって直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。本実施形態では、表1に示すように、直流電圧Vdc=400V、ピーク交流電圧Vpp=1350V、周波数f=2000Hzと、一時的にピーク交流電圧Vppを通常の印字の際の電圧値より高く設定されている。これにより、感光体ドラム31のドラム面31aは帯電ローラ32によって正極性に一様に帯電するとともに、感光体ドラム31のドラム面31aの表面摩擦係数μが急激に上昇する。ピーク交流電圧Vppは1350V〜1600V程度が好ましい。なお、ピーク交流電圧Vppを通常の印字の際の電圧値より高くすると、放電生成物が通常より多く発生するが、後述するようにクリーニングローラが研磨剤リッチの状態となるため、通常より多く発生した放電生成物は素早く除去されるので問題はない。
【0039】
【表1】

【0040】
この後、バイアス現像を行うことによって現像器33から感光体ドラム31にトナーを供給し、ドラム面31aに一様にトナーを付着させる。転写バイアスを逆バイアスとすることにより、殆んどのトナーは転写されないでクリーニングローラ36へ送られる。クリーニングローラ36はトナーを介して感光体ドラム31のドラム面31aを摺擦する。トナーには研磨剤が含まれているので、ドラム面31aはクリーニングローラ36によって研磨される。従って、トナーとともにドラム面31a上の水分および放電生成物も除去される。
【0041】
ところが、クリーニングブレード37は、ドラム面31aの表面摩擦係数μが上昇しているので、クリーニングブレード37のエッジがドラム面31aに引っ掛かってスリップする現象を起こす。これによって、クリーニングブレード37のエッジのめくれ(バウンド)が大きくなり、小径(例えば0.08μm程度)の研磨剤がクリーニングブレード37からすり抜けていく。一方、大径(例えば6μm程度)のトナーはクリーニングブレード37から殆んどすり抜けることはできないで、クリーニング装置35のハウジング内に掻き落とされて、トナー回収部材によってトナー回収容器に排出されて回収される(いずれも図示せず)。クリーニング後のドラム面31aに残留する電位は除電ランプ38によって除電される。
【0042】
研磨剤がドラム面31a上に付着した感光体ドラム31は、再び、ピーク交流電圧Vppを通常の印字の際の電圧値より高く設定されている帯電ローラ32によって一様に帯電されるとともに、表面摩擦係数μの上昇がもたらされる。この後、現像器33から感光体ドラム31にトナーが供給される。このとき、ドラム面31a上には研磨剤が付着しているので、相対的にトナーに対して研磨剤の割合が多くなる。
【0043】
この後、殆んどのトナーは転写されないでクリーニングローラ36へ送られる。クリーニングローラ36は相対的に研磨剤リッチのトナーを介して感光体ドラム31のドラム面31aを摺擦する。さらに、クリーニングブレード37に入ってくる研磨剤の割合は前回のときよりも多いので、クリーニングブレード37からすり抜ける研磨剤も前回と比べて多くなる。こうして、感光体ドラム31が周回する毎に、トナー中に占める研磨剤の割合が多くなる。本実施形態では、この動作を30秒間(感光体ドラム31の周回数で10周程度)行った(以下、この時間を「高Vpp印加時間」と称する)。
【0044】
この後、表1に示すように、帯電ローラ32のピーク交流電圧Vppを通常の印字の際の電圧値の1200Vに設定する。研磨剤が多量にドラム面31a上に付着した感光体ドラム31は、帯電ローラ32によって一様に帯電される。しかし、帯電ローラ32の電圧値が通常の印字の際の電圧値であるため、ドラム面31aの表面摩擦係数μの上昇は生じない。現像器33からトナーが供給された感光体ドラム31は、クリーニングローラ36、クリーニングブレード37へ順に周回する。
【0045】
クリーニングブレード37では、ドラム面31aの表面摩擦係数μが上昇していないので、クリーニングブレード37のエッジがドラム面31aに引っ掛かり難く、エッジのめくれ(バウンド)が小さくなる。このため、小径の研磨剤がクリーニングブレード37によって堰き止められる量が増して滞留し、あるいは、クリーニングローラ36上に掻き落とされる。これにより、クリーニングローラ36が研磨剤を抱きかかえる量が急激に増える状態となる。これを30秒間、感光体ドラム31の周回数で10周程度周回させた(以下、この時間を「研磨時間」と称する)。つまり、研磨剤を多量に抱きかかえて研磨力の上昇したクリーニングローラ36ができあがった状態で、感光体ドラム31のドラム面31aを研磨するのである。そうすることで、通常印字時条件のリフレッシュモードと比較して、ドラム面31aの表面摩擦係数μは下がり、画像流れを抑えることができる。こうして、印字可能状態となり、適宜印字が行われる。
【0046】
具体的には、ドラム面31aの表面摩擦係数μをアップする「高Vpp印加時間」を30秒間行った後、「研磨時間」を30秒間行う動作を1回のリフレッシュモードとしたとき、1回のリフレッシュモードを行った結果、感光体ドラム31のドラム面31aの表面摩擦係数μは0.32まで下がり、画像流れは発生しなかった。
【0047】
一方、帯電ローラ32のピーク交流電圧Vppを高くしないで通常の印字の際の電圧値に設定したリフレッシュモードでは、1回の実行で表面摩擦係数μは0.51までしか低下せず、画像流れも解消しなかった。そして、リフレッシュモードを4回実行して、ようやく表面摩擦係数μは0.30まで低下し、画像流れは解消した。
【0048】
以上のリフレッシュモードにより、必要最小限の量のトナーによりドラム面31aに付着した放電生成物や水分を効率良く除去することができる。この結果、トナーを多量に消費してしまうことなく、かつ短時間で画像流れの発生を抑制することができる。また、ドラム面31aに付着する放電生成物の量が多い接触帯電タイプの帯電ローラ32や、画像流れを生じやすいアモルファスシリコンからなる感光体ドラム31を用いた画像形成装置1であっても、長期的に良好な画像を提供することができる。
【0049】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。前記実施形態では、感光体ドラムのドラム面の表面摩擦係数μをアップさせる方法として、電圧制御を採用しているが、電流制御を採用してもよい。また、このリフレッシュモードは、画像形成装置の起動時にだけ行うものではなく、連続稼動中であっても、予め設定した印字枚数毎に自動的にリフレッシュモードを行うように設計してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】感光体ドラム周辺部の拡大概略構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像形成装置
31 感光体ドラム
32 帯電ローラ
33 現像器
35 クリーニング装置
36 クリーニングローラ
37 クリーニングブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体の表面を一様に帯電する帯電装置と、前記感光体の表面を露光することにより感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、前記感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像装置と、前記感光体表面に当接して感光体表面をクリーニングするクリーニング装置と、を備えた画像形成装置であって、
非画像形成時において、前記現像装置により前記感光体に研磨剤を含有したトナーを供給するリフレッシュモードを有しており、該リフレッシュモードは前記帯電装置が前記感光体の表面に印加する電圧もしくは電流を、画像形成時の電圧もしくは電流より一時的に高くする動作を含んでいることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記帯電装置が接触帯電タイプであることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電装置が前記感光体の表面に印加する電圧もしくは電流は、ピーク交流電圧もしくはピーク交流電流を高くすることにより一時的に高くされることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング装置がクリーニングブレードとクリーニングローラとを備えていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体がアモルファスシリコンからなることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記研磨剤が導電性であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−122249(P2010−122249A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292957(P2008−292957)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】