説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】撮像素子及びIC素子の発生熱に起因する回路基板の反りにより撮像素子と結像レンズとの間隔が変動することによる画像劣化が生じないようにする。
【解決手段】撮像素子34及びIC素子128を回路基板36の同一面に搭載させると共に、この回路基板36を撮像素子34の受光面が結像レンズ38に対向するようにして基板保持板114の背面における窓部112の周辺に配設された突起部材116,118に当接させ、左右方向の両端部において固着部材120により基板保持板114に固着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系により読み取った原稿画像を結像レンズにより撮像素子の受光面に結像させるようにした画像読取装置、及び、この画像読取装置を備えた複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナー像を形成し、このトナー像を記録紙に転写するようにした画像形成部を有する複写機やプリンタなどの画像形成装置が汎用されている。このような画像形成装置では、光学系により原稿面に光を照射することで読み取った原稿画像を結像レンズによりCCD(ChargeCoupled Device)などのラインセンサとしての撮像素子の受光面に結像させるようにした画像読取装置を備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような構成になる画像形成装置に備わる画像読取装置では、例えば、上面図である図5に要部を概略的に示すように、撮像素子200を回路基板202に搭載するにあたって、撮像素子200と回路基板202との間に剛性材料からなる基板保持板204を介在させ、回路基板202の長手方向における両端部でねじ部材206により回路基板202を基板保持板204に固着する構成とされている。
【0004】
このように構成された画像読取装置では、駆動時における撮像素子200からの発生熱により加熱されて回路基板202の撮像素子200側である表面側の伸張量が背面側の伸張量よりも多くなることで、回路基板202の撮像素子200側が凸状となる図示の矢印方向に生じる反りが、撮像素子200と回路基板202との間に介在される基板保持板204により抑制されることになる。これにより、駆動時における撮像素子200と結像レンズとの間隔が組立調整時に比べて大きく変動することがないので、回路基板202の反りにより生じる画像劣化を防止することができる。
【特許文献1】特開2002−171387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の画像読取装置において、回路基板202の撮像素子200側が凸状となる反りは抑制することができるとはいうものの、撮像素子200と基板保持板204との間には回路基板202の組み立て時に若干の隙間が不可避的に生じてしまうことから、回路基板202の背面側に撮像素子200の駆動回路を構成するIC素子208が搭載されていて当該IC素子208の発生熱により回路基板202の撮像素子200側とは反対側である背面側の伸張量が表面側の伸張量よりも多くなる場合には撮像素子200側が凹状となる図示の矢印方向とは逆方向の反りが生じることになり、駆動時における撮像素子200と結像レンズとの間隔が組立調整時に比べて変動することになる結果、回路基板202の反りによる画像劣化が生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、撮像素子やIC素子などの発生熱に起因する回路基板の反りによる画像劣化の生じない画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、光学系により読み取った原稿画像を結像レンズにより撮像素子の受光面に結像させるようにした画像読取装置であって、前記結像レンズが搭載されたレンズ載置板と、前記撮像素子と当該撮像素子の駆動回路を構成するIC素子とが同一面に搭載された回路基板と、前記結像レンズに対向させて前記レンズ載置板に対し立設され、前記撮像素子の受光面を前記結像レンズに対向させるようにして前記回路基板を前記結像レンズとは反対側の背面において保持する基板保持板とを有し、前記回路基板が、前記基板保持板の背面における左右方向の両端部間に配設された突起部材に当接されると共に、前記両端部において固着部材により前記基板保持板に固着されて保持されてなる画像取込部を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に係るものにおいて、前記基板保持板が、中央に窓部が形成されたものであり、前記撮像素子が、その受光面が前記窓部を介して前記結像レンズに対向するようにしたものであることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に係るものにおいて、前記突起部材が、少なくとも前記窓部周辺の上下方向の互いに対向する位置に配設されたものであることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、光学系により読み取った原稿画像を結像レンズにより撮像素子の受光面に結像させると共に、前記撮像素子により得た画像データに基づいて感光体ドラムに静電潜像の書き込みを行う画像形成装置であって、請求項1乃至3の何れかに記載の画像読取装置を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、同一面に撮像素子及びIC素子が搭載された回路基板を基板保持板の背面の突起部材に当接させて保持させるようにしているので、回路基板の撮像素子及びIC素子側が凸状となるような反りの発生を抑制することができ、撮像素子及びIC素子の発生熱に起因する回路基板の反りによる画像劣化の生じない画像読取装置を実現することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、基板保持板が中央に窓部が形成され、撮像素子の受光面を窓部を介して結像レンズに対向するようにしているので、撮像素子は回路基板と基板保持板との間に位置することになり、撮像素子の受光面を基板保持板により保護することができて信頼性に優れた画像読取装置を実現することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、少なくとも窓部周辺の上下方向の互いに対向する位置に突起部材が配設されていることで、回路基板の撮像素子及びIC素子側が凸状となるような反りの発生を確実に抑制することができ、撮像素子及びIC素子の発生熱に起因する回路基板の反りによる画像劣化の生じない画像読取装置を実現することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、同一面に撮像素子及びIC素子が搭載された回路基板を基板保持板の背面の突起部材に当接させて保持させるようにしているので、回路基板の撮像素子及びIC素子側が凸状となるような反りの発生を抑制することができ、撮像素子及びIC素子の発生熱に起因する回路基板の反りによる画像劣化の生じない画像形成装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置が適用される画像形成装置の概略構成を説明するための内部構成図である。この図において、画像形成装置10は、光を電気信号に変換する撮像素子により取り込んだ原稿画像に基づいて記録紙に対し画像を形成するようにした複写機を構成するものであり、原稿画像を読み取る画像読取部12と、画像読取部12の上方に位置する原稿載置部14と、画像読取部12の下方に位置する画像形成部16とを備えている。
【0016】
画像読取部12は、画像読取装置を構成するもので、第1光学系18と、第2光学系20と、画像取込部22とを備えている。第1光学系18は、原稿面に光を照射して原稿画像を読み取るためのものであり、ハロゲンランプなどからなる露光光源24と、露光光源24の光を原稿面に照射する反射板26と、露光光源24により照射されることで得られた原稿面からの反射光を水平方向に向けることにより第2光学系20に導く反射ミラー28とを一体に備えている。
【0017】
第2光学系20は、第1光学系18の図中左方に配設され、第1光学系18により得た原稿面からの反射光を画像取込部22に導くものであり、第1光学系18の反射ミラー28で反射された原稿面からの反射光を画像取込部22に導く第1反射ミラー30及び第2反射ミラー32を備えている。これら第1、第2反射ミラー30、32は、第1光学系18の反射ミラー28で反射された原稿面からの反射光を第1反射ミラー30で受光して第2反射ミラー32に導くと共に、第2反射ミラー32で反射された原稿面からの反射光を水平方向に向けることで画像取込部22に導くように構成されている。
【0018】
画像取込部22は、第2光学系20の図中右方に配設され、光を電気信号に変換することで反射光からなる原稿画像を読み込むCCD(ChargeCoupled Device)からなるラインセンサとしての撮像素子34が搭載された回路基板36と、回路基板36よりも第2光学系20側に配設され、第2光学系20により導かれた反射光からなる原稿画像を撮像素子34の受光面に結像させる結像レンズ38とを備えたものである。なお、撮像素子34で読み取られた原稿画像は所定の信号処理が施された後にデジタル信号に変換され、図略の記憶素子に記憶されるようになっている。この画像取込部22の具体的構成例については後述する。
【0019】
また、画像読取部12の上部には、第1光学系18及び第2光学系20を原稿載置部14における図中左端位置と図中右端位置間においてガイドする一対のガイドレール40(図中では一方のみ図示)が幅方向(図中の奥行き方向)両端に配設されており、第1光学系18及び第2光学系20がガイドレール40に係合され、図略の駆動モータによりガイドレール40に沿って往復動するように構成されている。
【0020】
原稿載置部14は、画像読取部12の上部に装着されたコンタクトガラス42と、このコンタクトガラス42上面において開閉する原稿押え部44と、この原稿押え部44の上方に配設された自動原稿給送部46とを備えている。ここで、コンタクトガラス42は、自動原稿給送部46により搬送される原稿が通過する第1コンタクトガラス48及び静止原稿が載置される第2コンタクトガラス50とから構成されている。なお、原稿押え部44は、その上面が自動原稿給送部46に載置される原稿束の排出部を構成している。
【0021】
自動原稿給送部46は、所定位置に載置された原稿束を1枚ずつ順に第1コンタクトガラス48上に自動給送する一方、読み取りの終了した原稿を順に原稿押え部44上面の排出部に戻すようにしたものである。
【0022】
画像形成部16は、レーザスキャナユニット52と、像形成部54と、定着部56と、用紙搬送部58とから構成されている。レーザスキャナユニット52は、上記の図略の記憶素子から読み出された撮像素子34で読み取った原稿画像を後述する感光体ドラム70に露光するためのものであり、その読み出された画像データに基づいて生成された変調信号をレーザビームに変換して出力するレーザ発光部60と、このレーザ発光部60から出力されるレーザビームを後述する感光体ドラム70に向けて反射するための回転多面体であるポリゴンミラー62と、ポリゴンミラー62により反射されたレーザビームの歪みを補正するためのfθレンズ64と、ポリゴンミラー62により反射され、fθレンズ64により補正されたレーザビームを感光体ドラム70の露光位置に導く反射ミラー66とを備えている。
【0023】
ここで、ポリゴンミラー62は、図略のポリゴンモータにより所定方向に一定速度で回転駆動され、レーザ発光部60から出力されるレーザビームを反射するミラー面の角度が順次変化することにより、レーザビームを感光体ドラム70の幅方向に走査させるように構成されている。すなわち、ポリゴンミラー62は、レーザ発光部60から出力されるレーザビームを偏光して感光体ドラム70に照射することで静電潜像の書き込みを行うようにしたものである。
【0024】
像形成部54は、定速回転される感光体ドラム70を備えると共に、この感光体ドラム70の周面に沿って帯電器72と、現像部74と、クリーニング部76と、光照射部78とを順に備えている。感光体ドラム70は、図略の駆動モータにより図示の時計方向(矢印方向)に回転駆動されるものであり、帯電器72と対向する位置で静電領域が形成され、この静電領域にレーザスキャナユニット52から原稿画像に基づいて出力されるレーザビームが照射されることで静電潜像が形成され、現像部74と対向する位置で静電潜像がトナー像に現像される。感光体ドラム70の下方には転写ローラ82が配設されており、トナー像が形成された感光体ドラム70は、その転写ローラ82と対向する位置で記録紙にトナー像を転写する。記録紙にトナー像を転写し終えた感光体ドラム70は、クリーニング部76と対向する位置で表面に残留しているトナーが除去され、光照射部78で感光体ドラム70表面に残留している電荷が除去される。
【0025】
帯電器72は、例えば、感光体ドラム70の幅方向の長さを有する帯電ワイヤ84を備えたものであり、帯電ワイヤ84に図略の駆動電源から駆動電圧を印加して感光体ドラム70に電荷を付与することで感光体ドラム70の表面に静電領域を形成する。現像部74は、例えば、トナーとキャリアとからなる2成分系の現像剤を使用するものであり、内部に現像剤が装填される現像本体部86と、感光体ドラム70に近接した状態で現像本体部86に内装された現像ローラ88と、現像本体部86の上部に装着されたトナーカートリッジ90とを備えたものである。
【0026】
現像本体部86は、図略の攪拌ローラなどを内部に備えており、現像剤を攪拌することでキャリアとトナーとが摩擦され、これによりトナーが帯電されるようにしたものである。現像ローラ88は、図略の駆動電源から駆動電圧が供給されることで表面が帯電した状態とされるもので、この現像ローラ88の表面に静電的に付着されたトナーを感光体ドラム70の表面に付着させるものである。トナーカートリッジ90は、現像本体部86内に補給するトナーが充填されたものである。
【0027】
光照射部78は、除電部を構成するもので、発光ダイオードなどの半導体発光素子を含んで構成された半導体発光素子列の各発光面を感光体ドラム70の表面に向けると共に、感光体ドラム70の軸心方向に沿って配設されたものである。
【0028】
定着部56は、像形成部54でトナー像が転写された記録紙を加熱することにより定着処理を行うものであり、熱遮蔽ボックス94内の上部に配設され、内蔵されたヒータにより加熱される定着ローラ96と、熱遮蔽ボックス94内の下部に配設され、定着ローラ96に圧接される加圧ローラ98とを備えたものである。
【0029】
用紙搬送部58は、記録紙を矢印Aで示す経路に沿って搬送するものであり、所定サイズの記録紙が集積された状態で収納される給紙カセットPCを装填するカセット装填部102と、このカセット装填部102に装填された給紙カセットPC内から図略の給紙ローラにより引き出された記録紙を感光体ドラム70に導く上流側搬送路104と、感光体ドラム70でトナー像が転写された記録紙を定着部56の定着ローラ96及び加圧ローラ98間を経由させて図中左方に取り付けられた排出トレー106に導く下流側搬送路108とを備えている。
【0030】
図2は、上述した画像取込部22の具体的構成例を説明するための斜視図であり、図3は、図2のA−A線における断面側面図である。この画像取込部22は、金属材料や樹脂材料などからなる平板状のレンズ載置板110と、このレンズ載置板110の一方端部の端面にねじ止めなどにより固着されて一対的に立設され、中央に撮像素子34よりも大きな形状を有する貫通孔からなる窓部112の形成された金属や硬質樹脂などの剛性材料からなる基板保持板114とを備えている。
【0031】
このレンズ載置板110には、第2の光学系20側である他方の端部近傍に結像レンズ38が搭載されている。また、基板保持板114には、図2とは逆方向の背面から見た図である図4にも示されているように、結像レンズ38に対向する面とは反対側の面である背面において、レンズ載置板110の面方向である左右方向における窓部112周辺の互いに対向する位置に一対の突起部材116が形成されると共に、レンズ載置板110に対し接離する方向である上下方向における窓部112周辺の互いに対向する位置であって、窓部112の中央位置に一対の突起部材118が形成されており、結像レンズ38の側とは反対側の面である背面に回路基板36が撮像素子34の受光面を窓部112を介して結像レンズ38と対向させるようにして一対の突起部材116及び一対の突起部材118にそれぞれ当接した状態で保持されている。
【0032】
すなわち、回路基板36は、樹脂材料などで構成され、撮像素子34が複数のピン端子126を回路基板36の挿入孔に挿通させて配線パターンに半田などの導電性固着剤により接続されると共に、撮像素子34の搭載された同一面に、撮像素子34を駆動する駆動回路を構成する複数のIC素子128が複数のピン端子130を回路基板36の挿通孔に挿通させて半田などの導電性固着剤により配線パターンに接続されたものであり、各突起部材116、118に当接された状態で、レンズ載置板110の面方向である左右方向の両端部においてネジなどの一対の固着部材120により固着されることで基板保持板114に保持されている。このように、本実施形態では、各突起部材116、118は、一対の固着部材120間である両端部間に位置して配設されることになる。
【0033】
上記のように構成された画像形成装置10は、次のように動作する。すなわち、原稿束を自動原稿給送部46に載置する一方、図略の操作盤で画像形成部数を設定すると共に、画像形成濃度、画像形成倍率などを設定した後に図略のスタートボタンをオン操作することで原稿が第1コンタクトガラス48上に順次搬送され、第1コンタクトガラス48上を通過する。このとき、第1コンタクトガラス48に対応する位置に停止している露光光源24により原稿面に光が照射されることで得られた原稿面からの反射光が第1光学系18及び第2光学系20を介して回路基板36に搭載された撮像素子34に導かれることで原稿画像が読み取られ、図略の記憶素子に記憶される。第1コンタクトガラス48上を通過した原稿は原稿押え部44上面の排出部に排出される。
【0034】
原稿が書籍等のように綴じられたものである場合などには、原稿押え部44を開けてその原稿を第2コンタクトガラス50上に載置する一方、図略の操作盤で画像形成部数を設定すると共に、画像形成濃度、画像形成倍率などを設定した後に図略のスタートボタンをオン操作することで露光光源24が原稿面を走査し、原稿面に光が照射されることで得られた原稿面からの反射光が第1光学系18及び第2光学系20を介して回路基板36に搭載された撮像素子34に導かれて読み取られ、図略の記憶素子に記憶される。
【0035】
一方、帯電器72により感光体ドラム70の表面が帯電され、図略の記憶素子に記憶された原稿画像に応じたレーザビームが発射されてポリゴンミラー62により偏光されて照射されることで感光体ドラム70の表面が露光されることにより静電潜像が形成される。次いで、現像部74から感光体ドラム70に供給されるトナーが静電潜像に付着することで感光体ドラム70の表面にトナー像が形成される。
【0036】
そして、給紙カセットPCに収納された記録紙が、図略の給紙ローラによって上流側搬送路104を介してレジストローラ対側に給紙されると共に、上記静電潜像の形成と同期してレジストローラ対により感光体ドラム70と転写ローラ82との間に搬送される。この感光体ドラム70と転写ローラ82との間に搬送された記録紙は、静電潜像の極性とは逆極性の電圧が印加された転写ローラ82により感光体ドラム70のトナー像が転写され、その後に感光体ドラム70から分離されて下流側搬送路108を介して定着部56に搬送され、定着処理が行われた後に排出トレー106に排出される。
【0037】
トナー像を転写し終えた感光体ドラム70は、クリーニング部76で表面に残留しているトナーが除去される一方、光照射部78で感光体ドラム70の表面に残留している電荷が除去される。そして、これらの動作が順次繰り返されることで所定枚数の記録紙に対する画像形成が実行される。
【0038】
本発明の画像読取装置が適用される画像形成装置10では、上記実施形態で説明したように、画像読取部12を構成する画像取込部22が、同一面に撮像素子34とIC素子128とが搭載された回路基板36を基板保持板114の背面における左右方向の両端部間に配設された突起部材116、118に当接させた状態で、その両端部において固着部材120により基板保持板114に固着して保持したものであるため、撮像素子34及びIC素子128で加熱されることにより生じる回路基板36の反りが効果的に抑制されることになる結果、撮像素子34及びIC素子128の発生熱に起因する回路基板36の反りにより生じる画像劣化が効果的に抑制されることになる。
【0039】
すなわち、回路基板36が撮像素子34及びIC素子128からの発生熱により加熱され、撮像素子34及びIC素子128側である表面側の伸張量が背面側の伸張量よりも多くなることで撮像素子34及びIC素子128側が凸状となるような反りが生じようとする場合でも、回路基板36が基板保持板114の突起部材116、118に当接した状態で固着されていることから回路基板36の変形作用が突起部材116、118に遮られることで反りの発生が抑制される一方、回路基板36の背面側の伸張量が表面側の伸張量よりも多くなることがないことから、駆動時における撮像素子34と結像レンズ38との間隔が組立調整時と同じ状態に保持されることで、撮像素子34及びIC素子128の発生熱に起因する回路基板36の反りによる画像劣化が効果的に抑制されることになる。
【0040】
また、本発明の画像読取装置が適用される画像形成装置10では、IC素子128が突起部材116、118により回路基板36と基板保持板114との間に形成される空間に位置することになり、IC素子128が基板保持板114で保護されることで破損することがない信頼性に優れたものとなる。
【0041】
なお、本発明に係る画像読取装置が適用される画像形成装置10は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、以下に述べるような種々の変形態様を必要に応じて採用することができる。
【0042】
(1)上記実施形態では、基板保持板114は、中央に窓部112の形成されたものであるが、これに限るものではない。例えば、基板保持板114は、中央に窓部112の形成されていないものであってよい。この場合、撮像素子34は、基板保持板114の結像レンズ38側に位置することになり、ピン端子126が基板保持板114を貫通して回路基板36の背面の配線パターンに接続されることになる。基板保持板114が金属材料で構成されている場合は、ピン端子126を貫通させる貫通孔を大きめに形成するなどしてピン端子126との電気的絶縁を保持する必要がある。なお、基板保持板114が、中央に窓部112が形成されたものである場合では、基板保持板114とは独立して回路基板36を組み立てることができるので、その組み立て作業が容易となる。
【0043】
(2)上記実施形態では、回路基板36は、左右方向の両端部の位置で基板保持板114に対し固着部材120により固着されたものであるが、これに限るものではない。例えば、左右方向の両端部の位置でスペーサを介して接着剤などで固着するようにすることもできる。また、固着部材120により固着する場合であっても、回路基板36と基板保持板114との間にスペーサを介在させ、固着部材120をスペーサ内に挿通させて固着するようにすることもできる。
【0044】
(3)上記実施形態では、基板保持板114は、剛性材料で構成されたものであるが、これに限るものではない。例えば、基板保持板114がレンズ載置板110に確実に固定されている場合などでは、軟質樹脂材料などで構成することも可能である。
【0045】
(4)上記実施形態では、基板保持板114は、レンズ載置板110の一方端部の端面に固着されて立設されたものであるが、これに限るものではない。例えば、レンズ載置板110の一方端部の上面にねじ部材などで固着する構成とすることもできる。要は、レンズ載置板110に対し立設されておればよい。
【0046】
(5)上記実施形態では、窓部112周辺に一対の突起部材116と一対の突起部材118とを配設するようにしているが、これに限るものではない。例えば、少なくとも、窓部112周辺の上下方向の互いに対向する位置に一対の突起部材118が配設されておればよい。また、一対の突起部材116と一対の突起部材118とに加えて、さらに別の突起部材を配設するようにすることもできる。
【0047】
(6)上記実施形態では、一対の突起部材118が窓部112周辺の中央位置に配設されているが、これに限るものではない。例えば、上下方向の一対の突起部材118は、窓部112の中央位置からずれた位置に配設されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置が適用される画像形成装置の概略構成を説明するための内部構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の画像取込部の具体的構成例を説明するための斜視図である。
【図3】図2に示す画像取込部のA−A線における断面側面図である。
【図4】図1に示す画像形成装置の画像取込部を構成する基板保持板の背面から見た要部斜視図である。
【図5】従来例の画像読取装置の一部を示す上面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 画像形成装置
12 画像読取部(画像読取装置)
22 画像取込部
34 撮像素子
36 回路基板
38 結像レンズ
110 レンズ載置板
112 窓部
114 基板保持板
116 突起部材
118 突起部材
120 固着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系により読み取った原稿画像を結像レンズにより撮像素子の受光面に結像させるようにした画像読取装置であって、前記結像レンズが搭載されたレンズ載置板と、前記撮像素子と当該撮像素子の駆動回路を構成するIC素子とが同一面に搭載された回路基板と、前記結像レンズに対向させて前記レンズ載置板に対し立設され、前記撮像素子の受光面を前記結像レンズに対向させるようにして前記回路基板を前記結像レンズとは反対側の背面において保持する基板保持板とを有し、前記回路基板が、前記基板保持板の背面における左右方向の両端部間に配設された突起部材に当接されると共に、前記両端部において固着部材により前記基板保持板に固着されて保持されてなる画像取込部を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記基板保持板は、中央に窓部が形成されたものであり、前記撮像素子は、その受光面が前記窓部を介して前記結像レンズに対向するようにしたものであることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記突起部材は、少なくとも前記窓部周辺の上下方向の互いに対向する位置に配設されたものであることを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
光学系により読み取った原稿画像を結像レンズにより撮像素子の受光面に結像させると共に、前記撮像素子により得た画像データに基づいて感光体ドラムに静電潜像の書き込みを行う画像形成装置であって、請求項1乃至3の何れかに記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−182306(P2008−182306A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12330(P2007−12330)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】