説明

画像読取装置

【課題】画像読取時に保持部材を確実に所望の姿勢にすることができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】調整部38を交差方向Aに沿ってスライドさせることにより、複数の挿通部371,381の主走査方向における相対位置を調整する。これにより、複数の挿通部371,381に挿通された支持軸32に対する保持部材31の角度を任意に設定することができる。したがって、支持軸32と挿通部371,381との間のクリアランスによって画像読取時に生じる保持部材31の傾斜を考慮して、当該支持軸32に対して保持部材31が予め傾斜する角度を精度よく調整することができるので、画像読取時に保持部材31を確実に所望の姿勢にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品を所定の走査方向に沿って移動させることにより画像を読み取る画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の一例として、光学部品を保持する保持部材を支持軸によりスライド可能に支持し、当該支持軸に沿って保持部材をスライドさせることにより、光学部品を走査させて画像を読み取るような構成を有するものがある(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
当該特許文献1の例では、保持部材が支持軸に対して直交方向に延びており、上記直交方向の一端部に形成された挿通部に支持軸がスライド可能に挿通されるとともに、上記直交方向の他端部がガイドレール上に支持されている。また、保持部材の上記一端部には駆動ベルトが取り付けられており、当該駆動ベルトを駆動させることにより、保持部材を支持軸に沿ってスライドさせることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−32942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような構成を有する画像読取装置では、支持軸に対して保持部材を良好にスライドさせるために、支持軸と挿通部との間に所定のクリアランスが形成されている。そのため、画像読取時には、駆動ベルトの駆動力が保持部材の上記一端部に作用し、保持部材の上記他端部には慣性力が作用することによって、保持部材が上記直交方向に対して傾斜した状態となってしまう。そこで、特許文献1に開示された技術では、挿通部と支持軸との間に保持部材の傾斜を補正するための隙間が設けられ、保持部材の傾斜が補正されたときに当該保持部材が上記直交方向と平行になるような構成となっている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のような構成では、保持部材の傾斜を補正するための隙間を精度よく形成しなければ、画像読取時に、やはり保持部材が上記直交方向に対して傾斜した状態となってしまうという問題がある。また、保持部材が移動開始時に大きく揺動するため、画像の読み取りを繰り返し行うことにより、保持部材、特に挿通部が破損するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、画像読取時に保持部材を確実に所望の姿勢にすることができる画像読取装置を提供することを目的とする。また、本発明は、保持部材が破損するのを防止することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明に係る画像読取装置は、光学部品を所定の走査方向に沿って移動させることにより画像を読み取る画像読取装置であって、上記光学部品を保持する保持部材と、上記走査方向に沿って延び、上記保持部材を上記走査方向に沿ってスライド可能に支持する支持軸とを備え、上記保持部材が、上記支持軸を上記走査方向に沿ってスライド可能に挿通するための複数の挿通部と、上記複数の挿通部間の上記走査方向に直交する方向における相対位置を調整するための調整部とを有することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、複数の挿通部間の走査方向に直交する方向における相対位置を調整することにより、これらの複数の挿通部に挿通された支持軸に対する保持部材の角度を任意に設定することができる。したがって、支持軸と挿通部との間のクリアランスによって画像読取時に生じる保持部材の傾斜を考慮して、当該支持軸に対して保持部材が予め傾斜する角度を精度よく調整することができるので、画像読取時に保持部材を確実に所望の姿勢にすることができる。
【0010】
また、複数の挿通部間の走査方向に直交する方向における相対位置を調整することにより、各挿通部に形成されている支持軸を挿通するための貫通孔の各軸線をずらして、支持軸と挿通部との間のクリアランスを小さくし、クリアランスに基づくがたつきを抑制することができる。したがって、画像読取時に保持部材をより確実に所望の姿勢にすることができる。
【0011】
第2の本発明に係る画像読取装置は、上記複数の挿通部のうち少なくとも1つの挿通部が上記調整部に連結されており、上記調整部が、上記走査方向に対して交差する方向に沿って変位可能であることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、走査方向に対して交差する方向に沿って調整部を変位させることにより、当該調整部に連結されている挿通部と他の挿通部との間の走査方向に直交する方向における相対位置を容易に調整することができる。
【0013】
第3の本発明に係る画像読取装置は、上記調整部が、固定具により固定可能であることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、複数の挿通部間の走査方向に直交する方向における相対位置を調整部で調整した後、当該調整部を固定具で固定することにより、保持部材のがたつきを抑制することができる。したがって、保持部材が移動開始時に大きく揺動するなどして破損するのを防止することができる。
【0015】
第4の本発明に係る画像読取装置は、上記調整部には、当該調整部の変位方向に所定の間隔で目盛りが形成されていることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、調整部の変位方向に所定の間隔で形成されている目盛りを基準にして当該調整部の位置を調整することにより、複数の挿通部間の走査方向に直交する方向における相対位置を容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、支持軸と挿通部との間のクリアランスによって画像読取時に生じる保持部材の傾斜を考慮して、当該支持軸に対して保持部材が予め傾斜する角度を精度よく調整することができるので、画像読取時に保持部材を確実に所望の姿勢にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の内部構成を示した概略断面図である。
【図2】画像読取装置の構成を示した概略平面図である。
【図3】保持部材の一端部を斜め上方から見た斜視図である。
【図4】保持部材の一端部の構成を示した平面図である。
【図5】調整部を斜め上方から見た斜視図である。
【図6】調整部の構成を示した底面図である。
【図7】保持部材の一端部の構成を示した平面図である。
【図8】保持部材の一端部の構成を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置3を備えた画像形成装置1の内部構成を示した概略断面図である。
【0020】
この画像形成装置1は、例えば、原稿搬送装置2により自動的に供給される原稿の画像を画像読取装置3で1枚ずつ読み取り、その原稿の画像データに基づいて記録紙Pに画像を形成する複写機である。当該画像形成装置1には、筺体1a内に、上記画像読取装置3の他、画像形成部4及び給紙部5などが備えられており、当該筺体1aの上面に原稿搬送装置2が設けられている。ただし、本発明に係る画像読取装置3は、複写機に限らず、ファクシミリ装置などの他の画像形成装置、又は、画像形成部を備えていないスキャナ装置などの各種装置に適用可能である。
【0021】
原稿搬送装置2は、原稿トレイ2aを備えており、当該原稿トレイ2a上に原稿をセットすることができるようになっている。原稿搬送装置2は、ピックアップローラ2b及び分離手段(分離ローラとリタードローラの対)2cにより、原稿トレイ2a上にセットされた原稿を1枚ずつ送り出す。送り出された原稿は、複数の搬送ローラ2d、2e、2fにより原稿搬送路2gを搬送され、当該原稿搬送路2gの途中に位置する読取位置2kにおいて、画像読取装置3により画像が読み取られる。画像が読み取られた後の原稿は、排出ローラ2hにより原稿排出トレイ2i上に順次排出される。
【0022】
画像読取装置3には、複数のCCD(Charge Coupled Devices)が、原稿の搬送方向に対して直交する水平方向(主走査方向)に並べて配置されている。画像読取装置3は、静止した状態で読取位置2kに光を照射し、原稿からの反射光をCCDで受光することによって、原稿搬送装置2により搬送される原稿を読み取ることができる。また、画像読取装置3は、主走査方向に直交する水平方向(副走査方向)に光源を移動させながらガラス板3d上に置かれた原稿に光を照射し、原稿からの反射光をCCDで受光することによって、原稿を読み取ることもできる。
【0023】
原稿搬送装置2により1枚ずつ搬送される原稿を読取位置2kで読み取る場合には、各CCDで原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、読取位置2kを原稿が搬送されることにより副走査が行われる。一方、ガラス板3dに置かれた原稿を読み取る場合には、各CCDで原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、光源が副走査方向に移動することにより副走査が行われる。
【0024】
上記ガラス板3dは、筺体1aの上面に形成されており、原稿搬送装置2は、筺体1aの上面に対して上下に開閉可能に取り付けられている。したがって、ガラス板3d上に置かれた原稿を画像読取装置3で読み取る場合には、原稿搬送装置2を閉じることにより、当該原稿搬送装置2とガラス板3dとの間に原稿を挟むことができるようになっている。
【0025】
画像形成部4は、感光体ドラム4a、帯電器4b、光書込みユニット4c、現像器4d、転写器4e及び定着器4fを備え、電子写真方式により記録紙Pに画像を形成する。感光体ドラム4aの表面には感光体が形成されており、画像形成時には、回転駆動される感光体ドラム4aの表面が帯電器4bにより一様に帯電される。光書込みユニット4cは、画像読取装置3で読み取った原稿の画像データなどに基づいて、LED(Light-Emitting Diode)又はレーザ光源から光を出力する。帯電器4bにより一様に帯電された感光体ドラム4aの表面には、光書込みユニット4cから出力される光で露光されることにより、静電潜像が形成される。
【0026】
静電潜像が形成された感光体ドラム4aの表面には、現像器4dから供給されるトナーが付着することによりトナー像が形成され、このトナー像が転写器4eを用いて記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着器4fにより加熱処理及び加圧処理が施された後、排出ローラ4gから排出トレイ4h上に排出される。
【0027】
給紙部5は、記録紙Pを収容するための記録紙カセット6を備えており、この記録紙カセット6内に設けられた支持板9上に、記録紙Pを積層した状態で収容することができるようになっている。支持板9は、その一端部に設けられた支軸9aを中心に回転可能となっており、支軸9a側とは反対側の端部が圧縮ばね9bによって上方へ付勢されることにより、最上部の記録紙Pが給紙ローラ21に対して押圧される。給紙ローラ21に対向する位置には、例えば摩擦部材としての分離パッド(図示せず)が配置されており、給紙ローラ21が回転駆動されることにより記録紙カセット6内から送り出される記録紙Pは、上記分離パッドの作用により、記録紙搬送路12に1枚ずつ送り出される。
【0028】
記録紙搬送路12には、1つ又は複数の搬送ローラ13が設けられている。記録紙カセット6から1枚ずつ送り出される記録紙Pは、搬送ローラ13により記録紙搬送路12内を搬送され、画像形成部4へと送られる。そしてレジストローラ14により、記録紙Pは感光体ドラム4aの直前で一旦停止され、感光体ドラム4aに形成されるトナー像を転写させるタイミングに合わせて送り出される。
【0029】
図2は、画像読取装置3の構成を示した概略平面図である。画像読取装置3は、光学部品を保持する保持部材31を備えており、当該保持部材31を副走査方向に沿って移動させることにより、ガラス板3d上に置かれた原稿の画像を読み取ることができるようになっている。保持部材31は、例えば樹脂により形成されている。
【0030】
図示しないが、上記光学部品には、例えば原稿に向けて光を照射する光源、原稿からの反射光を受光する受光部としてのCCDイメージセンサ、原稿からの反射光を反射させてCCDイメージセンサへと導く反射ミラーなどが含まれる。これらの光学部品は、主走査方向に延びるように保持部材31により保持されており、保持部材31も主走査方向に長尺形状を有している。ただし、1つの保持部材31に、光源、CCDイメージセンサ及び反射ミラーなどの光学部品が全て保持された構成に限らず、これらの光学部品が、副走査方向に沿って移動可能な複数(例えば、2つ)の保持部材に分けて保持された構成であってもよい。
【0031】
保持部材31は、その主走査方向の一端部が、筺体1a内に副走査方向に沿って延びるように設けられた支持軸32により支持されており、当該支持軸32に沿って副走査方向にスライド可能となっている。また、筺体1a内には、保持部材31の主走査方向の他端部に対向する位置に、副走査方向に沿って延びるガイドレール33が設けられている。保持部材31は、その主走査方向の他端部がガイドレール33上に支持され、副走査方向に安定してスライドするようにガイドされる。
【0032】
保持部材31の上記一端部、すなわち支持軸32により支持されている側の端部には、駆動ベルト34が取り付けられている。当該駆動ベルト34は、2つのプーリ35に掛け回された環状のベルトであり、支持軸32の下方において副走査方向に延びるように設けられている。上記2つのプーリ35の一方には、モータ36の駆動軸が連結されており、当該モータ36の駆動に基づいて上記一方のプーリ35が回転し、それに伴い駆動ベルト34が回転することによって、保持部材31が副走査方向に沿って移動するようになっている。
【0033】
図3は、保持部材31の一端部を斜め上方から見た斜視図である。図4は、保持部材31の一端部の構成を示した平面図である。保持部材31は、上述のような光学部品を保持する本体37と、当該本体37に取り付けられた調整部38とを備えている。なお、図3では、調整部38を省略して示している。
【0034】
本体37には、支持軸32を挿通するための挿通部371が設けられている。当該挿通部371には、その軸線が副走査方向に延びる貫通孔372が形成されており、当該貫通孔372内に支持軸32が挿通される。当該貫通孔372は、支持軸32の外径よりも若干大きい内径を有しており、これにより、挿通部371と、当該挿通部371に挿通される支持軸32との間に、所定のクリアランスが形成されている。
【0035】
また、本体37には、調整部38を取り付けるための調整部取付部373が設けられている。当該調整部取付部373には、調整部38を支持する支持板374と、当該支持板374から上方に向かって突出し、調整部38に対してスライド可能に嵌め込まれる突出部375とが一体的に形成されている。
【0036】
突出部375は、平面視で、その長辺が副走査方向に対して交差方向Aに延びる矩形状に形成されており、この例では平行四辺形状に形成されている。調整部38は、その一部に調整部取付部373の突出部375が嵌め込まれた状態で支持板374上に支持され、突出部375の長手方向、すなわち上記交差方向Aに沿ってスライド可能な状態で取り付けられる。副走査方向に対する上記交差方向Aの傾斜角は、90°未満に設定されており、45°未満に設定されていることがより好ましい。
【0037】
突出部375には、固定具としてのねじ39を取り付けるためのねじ孔376が形成されている。また、本体37における調整部取付部373以外の部分にも、上記固定具としてのねじ40を取り付けるためのねじ孔377が形成されている。これらのねじ孔376,377にねじ39,40を締め付けることにより、本体37に対して調整部38を任意のスライド位置で固定することができる。
【0038】
ただし、ねじ39,40を取り付けるためのねじ孔376,377は、2つ設けられた構成に限らず、例えば上記ねじ孔376,377のいずれか一方のみが設けられた構成であってもよいし、他のねじ孔も含めて3つ以上設けられた構成であってもよい。また、調整部38を本体37に固定するための固定具としては、ねじ39,40に限らず、他の各種固定具を採用することができる。
【0039】
本体37には、調整部取付部373の下方に、駆動ベルト34を取り付けるための駆動ベルト取付部378が設けられている。当該駆動ベルト取付部378は、駆動ベルト34を上下方向に挟み込んで固定する構成を有している。
【0040】
図5は、調整部38を斜め上方から見た斜視図である。図6は、調整部38の構成を示した底面図である。
【0041】
調整部38には、支持軸32を挿通するための挿通部381が設けられている。当該挿通部381には、その軸線が副走査方向に延びる貫通孔382が形成されており、当該貫通孔382内に支持軸32が挿通される。当該貫通孔382は、支持軸32の外径よりも若干大きい内径を有しており、これにより、挿通部381と、当該挿通部381に挿通される支持軸32との間に、所定のクリアランスが形成されている。本実施形態では、本体37に設けられた挿通部371の貫通孔372と、調整部38に設けられた挿通部381の貫通孔382とに、支持軸32が挿通されることにより、保持部材31が支持軸32に沿って副走査方向にスライド可能に支持される。
【0042】
このように、保持部材31には、支持軸32を副走査方向に沿ってスライド可能に挿通するための2つの挿通部371,381が備えられており、そのうちの1つの挿通部381が調整部38に連結されている。ただし、挿通部371,381は、2つに限らず、3つ以上設けられていてもよい。この場合、それらの複数の挿通部のうち少なくとも1つの挿通部が調整部38に連結されたような構成であってもよい。
【0043】
調整部38には、その下面から上方に向かって窪んだ凹部383が形成されており、当該凹部383内に調整部取付部373の突出部375が嵌め込まれる。当該凹部383は、その短辺が調整部取付部373の突出部375の短辺とほぼ一致し、長辺が上記交差方向Aに沿って延びる矩形状であって、この例では平行四辺形状に形成されている。凹部383の長辺は、調整部取付部373の突出部375の長辺よりも長く設定されている。これにより、調整部38は、その凹部383に嵌め込まれた突出部375に対して、上記交差方向Aに沿って変位可能となっている。
【0044】
凹部383の上端面には上記交差方向Aに沿って延びる長孔384が形成されており、凹部383内に嵌め込まれた突出部375の上面が当該長孔384の周縁部に当接するようになっている。図4に示すように、上記長孔384には上方からねじ39が挿通され、当該ねじ39が調整部取付部373の突出部375に形成されているねじ孔376に締め付けられる。
【0045】
調整部38には、本体37のねじ孔377に対向する位置にも、副走査方向に延びる長孔385が形成されている。図4に示すように、上記長孔385には上方からねじ40が挿通され、当該ねじ40が本体37のねじ孔377に締め付けられる。
【0046】
調整部38の上面には、本体37に対する調整部38のスライド位置を調整する際に視認するための目盛り386が形成されている。この目盛り386は、調整部38の変位方向、すなわち上記交差方向Aに所定の間隔で形成されている。この例では、上記目盛り386は、調整部38の上面における長孔384の周縁部に、上記交差方向Aに一定間隔で形成されている。
【0047】
図7及び図8は、保持部材31の一端部の構成を示した平面図である。図7と図8とでは、本体37に対する調整部38のスライド位置が異なっている。なお、図7及び図8では、ねじ39,40を省略して示している。
【0048】
図7の状態では、調整部38の凹部383内に嵌め込まれている調整部取付部373の突出部375が、凹部383の上記交差方向Aにおける一端面に当接している。この状態では、調整部取付部373に形成されている各ねじ孔376,377が、調整部38の対応する長孔384,385に対向しており、ねじ孔377は長孔385の一端部に対向している。
【0049】
図8の状態では、調整部38の凹部383内に嵌め込まれている調整部取付部373の突出部375が、凹部383の上記交差方向Aにおける他端面に当接している。この状態では、調整部取付部373に形成されている各ねじ孔376,377が、調整部38の対応する長孔384,385に対向しており、ねじ孔377は長孔385の他端部に対向している。
【0050】
このように、本実施形態では、各ねじ孔376,377が対応する長孔384,385に対向する範囲内で、本体37に対して調整部38を上記交差方向Aに沿ってスライドさせることができる。調整部38が上記交差方向Aに沿ってスライドした場合には、当該調整部38に連結されている挿通部381の主走査方向及び副走査方向の位置が変化する。したがって、調整部38を上記交差方向Aに沿ってスライドさせることにより、各挿通部371,381間の主走査方向及び副走査方向における相対位置を調整することができる。
【0051】
本実施形態では、複数の挿通部371,381間の主走査方向における相対位置を調整することにより、これらの複数の挿通部371,381に挿通された支持軸32に対する保持部材31の角度を任意に設定することができる。したがって、支持軸32と挿通部371,381との間のクリアランスによって画像読取時に生じる保持部材31の傾斜を考慮して、当該支持軸32に対して保持部材31が予め傾斜する角度を精度よく調整することができるので、画像読取時に保持部材31を確実に所望の姿勢にすることができる。
【0052】
また、複数の挿通部371,381間の主走査方向における相対位置を調整することにより、各挿通部371,381に形成されている支持軸32を挿通するための貫通孔372,382の各軸線をずらして、支持軸32と挿通部371,381との間のクリアランスを小さくし、クリアランスに基づくがたつきを抑制することができる。したがって、画像読取時に保持部材31をより確実に所望の姿勢にすることができる。
【0053】
特に、本実施形態では、上記交差方向Aに沿って調整部38を変位させることにより、当該調整部38に連結されている挿通部381と他の挿通部371との間の主走査方向における相対位置を容易に調整することができる。
【0054】
また、複数の挿通部371,381間の主走査方向における相対位置を調整部38で調整した後、当該調整部38をねじ39,40で固定することにより、保持部材31のがたつきを抑制することができる。したがって、保持部材31が移動開始時に大きく揺動するなどして破損するのを防止することができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、調整部38の変位方向(上記交差方向A)に所定の間隔で形成されている目盛り386を基準にして当該調整部38の位置を調整することにより、複数の挿通部371,381間の主走査方向における相対位置を容易に調整することができる。この例では、目盛り386と、調整部38の長孔384を介して視認可能な突出部375の端面とを見比べることにより、調整部38の位置を容易に調整することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置
2 原稿搬送装置
3 画像読取装置
31 保持部材
32 支持軸
33 ガイドレール
34 駆動ベルト
35 プーリ
36 モータ
37 本体
38 調整部
371 挿通部
372 貫通孔
373 調整部取付部
374 支持板
375 突出部
376 ねじ孔
377 ねじ孔
378 駆動ベルト取付部
381 挿通部
382 貫通孔
383 凹部
384 長孔
385 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品を所定の走査方向に沿って移動させることにより画像を読み取る画像読取装置であって、
上記光学部品を保持する保持部材と、
上記走査方向に沿って延び、上記保持部材を上記走査方向に沿ってスライド可能に支持する支持軸とを備え、
上記保持部材が、上記支持軸を上記走査方向に沿ってスライド可能に挿通するための複数の挿通部と、上記複数の挿通部間の上記走査方向に直交する方向における相対位置を調整するための調整部とを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記複数の挿通部のうち少なくとも1つの挿通部が上記調整部に連結されており、
上記調整部が、上記走査方向に対して交差する方向に沿って変位可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記調整部が、固定具により固定可能であることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記調整部には、当該調整部の変位方向に所定の間隔で目盛りが形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−183516(P2010−183516A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27591(P2009−27591)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】