説明

画像読取装置

【課題】原稿の画像の読取動作中に、読取部が振動した場合に、その振動を検出することによって、品質の低い原稿の画像データが取り込まれるのを回避する。
【解決手段】原稿5の画像を読み取る読取部(読取ユニット265)と、読取部と対向して設けられ、読取部によって読み取られる振動検出パタン401L,401Rと、読取部によって読み取られた振動検出パタンの画像に基づいて、読取部の振動を検出する振動検出部335とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置として、読取部が原稿台ガラス又は原稿給紙部の上に載置(セット)された原稿の画像を読み取る装置がある(例えば、特許文献1参照)。このような画像読取装置は、スキャナや、ファクシミリ装置、複写機、プリンタ、MFP(Multi Function Peripheral(又はProduct))等に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−229477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像読取装置は、以下に説明するように、読取動作中に、読取部が振動することによって、品質の低い原稿の画像データを取り込んでしまう場合がある、という課題があった。
【0005】
すなわち、画像読取装置は、原稿の画像の読取動作中に、何らかの衝撃が装置に与えられることによって、読取部が振動することがある。読取部が振動すると、読み取られた原稿の画像データは、乱れが生じる。
しかしながら、従来の画像読取装置は、読取部の振動を検出する機能を有していない。そのため、従来の画像読取装置は、読取部が振動したのか否かを検出することができずに、乱れが生じた品質の低い原稿の画像データを取り込んでしまう場合があった。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、読取動作中の読取部の振動を検出する画像読取装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置であって、前記原稿の画像を読み取る読取部と、前記読取部と対向して設けられ、前記読取部によって読み取られる振動検出パタンと、前記読取部によって読み取られた前記振動検出パタンの画像に基づいて、前記読取部の振動を検出する振動検出部とを有する構成とする。
この画像読取装置は、振動検出部が、読取部によって読み取られた振動検出パタンの画像に基づいて、読取部の振動を検出するため、読取動作中の読取部の振動を検出することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、読取動作中の読取部の振動を検出する画像読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1に係る画像読取装置の外観を示す図である。
【図2】実施形態1に係る画像読取装置の内部構成を示す図である。
【図3】実施形態1に係る画像読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態1に係る振動検出パタンの構成を示す図である。
【図5】実施形態1に係る画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施形態1に係る画像読取装置の振動検出動作を示すフローチャートである。
【図7】振動の方向を示す図である。
【図8】実施形態1に係る画像読取装置によって読み取られた振動検出パタンの画像を示す図(1)である。
【図9】実施形態1に係る画像読取装置によって読み取られた振動検出パタンの画像を示す図(2)である。
【図10】実施形態1に係る画像読取装置によって読み取られた振動検出パタンの画像を示す図(3)である。
【図11】実施形態1に係る画像読取装置によって読み取られた振動検出パタンの画像を示す図(4)である。
【図12】実施形態1に係る画像読取装置によって読み取られた振動検出パタンの画像を示す図(5)である。
【図13】実施形態1に係る画像読取装置によって読み取られた振動検出パタンの画像を示す図(6)である。
【図14】実施形態2に係る画像読取装置の内部構成を示す図である。
【図15】実施形態2に係る振動検出パタンの構成を示す図である。
【図16】実施形態2に係る画像読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【図17】実施形態2に係る画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
[実施形態1]
<画像読取装置の構成>
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態1に係る画像読取装置の構成につき説明する。図1は、実施形態1に係る画像読取装置の外観を示す図である。図2は、本実施形態1に係る画像読取装置の内部構成を示す図である。図3は、実施形態1に係る画像読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【0012】
(画像読取装置の外観)
図1に、実施形態1に係る画像読取装置1の外観を示す。ここでは、画像読取装置1の一例としてスキャナを例にして説明する。
図1に示すように、画像読取装置1は、操作部105、原稿載置部110、画像読取部115、及び原稿排出部120を有している。
【0013】
操作部105は、画像読取装置1の使用者によって操作される構成要素である。操作部105は、画像読取部115の動作を指定するための各種ボタンや、使用者に対する各種の情報(指示を含む)を表示するための表示部105a等を備えている。なお、表示部105aは、例えば、液晶や、LED(Light Emitting Diode)、EL(Electro Luminescence)等のディスプレイ装置として構成されている。
【0014】
原稿載置部110は、上に、読み取りの対象となる1乃至複数枚の原稿5(図2参照)が載置(セット)される構成要素である。原稿載置部110は、1乃至複数枚の原稿5を走行させながら自動的に読み取る場合に、用いられる。
画像読取部115は、原稿5の画像を読み取る構成要素である。
原稿排出部120は、画像読取部115によって読み取られた原稿5が排出される構成要素である。
【0015】
(画像読取装置の内部構成)
図2に、画像読取装置1の内部構成を示す。
図2に示すように、画像読取装置1は、大別すると、原稿給紙部155と原稿台読取部160とによって構成されている。
【0016】
原稿給紙部155は、原稿5を原稿台読取部160に供給(給紙)する構成要素である。図2に示す例では、原稿給紙部155は、原稿台読取部160の上に配置されている。
【0017】
一方、原稿台読取部160は、原稿台として原稿5を支持しながら、原稿5の画像を読み取る構成要素である。この原稿台読取部160は、画像読取部115として機能する。図2に示す例では、原稿台読取部160は、原稿給紙部155の下に配置されている。原稿台読取部160は、原稿給紙部155が後記する原稿台ガラス255に対して開閉自在となるように、図示せぬ支持機構によって原稿給紙部155を支持している。
【0018】
原稿給紙部155は、原稿トレイ205、給紙ローラ210、搬送ローラ215、排出ローラ220、スタッカ221、ステッピングモータ225、原稿押圧板230a,230b、白色シート240、原稿検出センサSN1、及び読取位置センサSN2を有している。
【0019】
原稿トレイ205は、上に、読み取りの対象となる1乃至複数枚の原稿5が載置される構成要素である。原稿トレイ205は、略平坦な形状に形成されている。この原稿トレイ205は、原稿載置部110として機能する。したがって、原稿トレイ205は、1乃至複数枚の原稿5を走行させながら自動的に読み取る場合に、用いられる。以下、原稿トレイ205の上に載置された原稿5の画像を読み取る動作を、「自動原稿読取」と称する。
【0020】
原稿トレイ205(原稿載置部110)の上に載置された原稿5は、給紙ローラ210、搬送ローラ215、排出ローラ220、及びステッピングモータ225によって構成される移動機構によって、スタッカ221の位置まで搬送される。その際に、原稿5は、読取窓部235の上を、後記する読取ユニット265の主走査方向と直交する副走査方向に移動する。「読取窓部235」は、原稿5の画像を読み取るために原稿給紙部155に設けられた窓である。読取窓部235は、透明なガラスやプラスチック等の部材によって構成されている。この読取窓部235が設けられた位置は、自動原稿読取時に、後記する読取ユニット265によって原稿5の画像が読み取られる位置(以下、「読取位置」と称する)となる。
【0021】
給紙ローラ210は、原稿5を給紙する構成要素である。給紙ローラ210は、ステッピングモータ225の駆動に伴って回転し、原稿トレイ205に載置された原稿5の束から原稿5を1枚ずつ分離して、原稿トレイ205から搬送ローラ215の位置まで繰り出す。
【0022】
搬送ローラ215は、給紙ローラ210によって繰り出された原稿5を、排出ローラ220の位置まで搬送する構成要素である。搬送ローラ215は、ステッピングモータ225の駆動に伴って回転し、給紙ローラ210によって繰り出された原稿5を、原稿押圧板230bと読取窓部235との間を通過させて、排出ローラ220の位置まで搬送する。
【0023】
排出ローラ220は、搬送ローラ215によって搬送された原稿5を、スタッカ221(原稿排出部120)に排出する構成要素である。
【0024】
スタッカ221は、排出ローラ220によって排出された原稿5が集積される構成要素である。スタッカ221は、原稿押圧板230aの上面に、略平坦な形状に形成されている。このスタッカ221は、原稿排出部120として機能する。
【0025】
ステッピングモータ225は、原稿5を搬送する搬送機構(図2に示す例では、給紙ローラ210、搬送ローラ215、及び排出ローラ220)を駆動する構成要素である。ステッピングモータ225は、図示せぬギア等の伝達機構によって回転駆動力を給紙ローラ210、搬送ローラ215、及び排出ローラ220に選択的に伝達して、これらを回転させる。
【0026】
原稿押圧板230a,230bは、原稿5を押圧する構成要素である。
原稿押圧板230aは、後記する原稿台ガラス255と対向するように設けられた板状の部材である。原稿押圧板230aの自動原稿読取時の読取位置には、読取窓部235が設けられている。
原稿押圧板230bは、原稿給紙部155の内部でかつ読取窓部235の上方となる位置に設けられた板状の部材である。原稿5は、自動原稿読取時に、原稿押圧板230bと読取窓部235との間を通過する。
【0027】
白色シート240は、後記する原稿台ガラス255に載置された原稿5の画像を読み取る場合に、原稿5及び後記する振動検出パタン401L,401Rの背景となる構成要素である。白色シート240は、白色のシート状の部材によって構成されている。白色シート240は、原稿押圧板230aの、後記する原稿台ガラス255と対向する面の上に設けられている。
【0028】
原稿検出センサSN1は、原稿5が原稿トレイ205(原稿載置部110)の上に載置されたことを検出する検出手段である。図2に示す例では、原稿検出センサSN1は、原稿トレイ205と給紙ローラ210との間に、設けられている。原稿検出センサSN1は、原稿5が原稿トレイ205の上に載置されると、オン状態となる。これにより、画像読取装置1は、原稿5が原稿トレイ205の上に載置されたことを検出する。
【0029】
読取位置センサSN2は、自動原稿読取時に、原稿5が読取位置(ここでは、読取窓部235の位置)に近接したことを検出する検出手段である。図2に示す例では、読取位置センサSN2は、搬送ローラ215と読取窓部235との間に、設けられている。読取位置センサSN2は、搬送ローラ215によって搬送された原稿5の先端を検出することによって、原稿5が読取位置(読取窓部235の位置)に近接したことを検出する。
【0030】
一方、原稿台読取部160は、原稿台ガラス255、白色基準板260、読取ユニット265、駆動ベルト270、プーリ275a,275b、ステッピングモータ280、及びホームセンサSN3を有している。
【0031】
原稿台ガラス255は、上に、読み取りの対象となる1枚の原稿5が載置される構成要素である。原稿台ガラス255は、平坦な形状に形成された、透明なガラスによって構成されている。なお、原稿台ガラス255は、透明なプラスチック等の部材に置換することも可能である。原稿台ガラス255は、個々の原稿5を固定した状態で、読取ユニット265を走行させながら読み取る場合に、用いられる。以下、後記する原稿台ガラス255の上に載置された原稿5の画像を読み取る動作を、「個別原稿読取」と称する。
【0032】
原稿台ガラス255は、読取ユニット265と対向する面に、振動検出パタン401L,401Rが設けられている。この振動検出パタン401L,401Rの詳細については、後記する。
【0033】
白色基準板260は、シェーディング補正処理の基準となる画像データの取得に用いられる構成要素である。白色基準板260は、白色の板状の部材によって構成されている。なお、「シェーディング補正処理」とは、読取ユニット265の後記するイメージセンサ295の各受光素子から出力される電圧のバラツキを平滑化する処理を意味している。このシェーディング補正処理は、以下のようにして行われる。まず、画像読取装置1は、読取ユニット265によって、白色基準板260の画像を読み取り、白色基準板260の画像データを後記するRAM320(図3参照)に格納する。この後、画像読取装置1は、読取ユニット265によって、白色シート240(図2参照)の画像を読み取る。そして、画像読取装置1は、後記する読取制御部325(図3参照)によって、RAM320に格納された白色基準板260の画像データを基準の画像データとし、読み取った画像データに基づいて、後記するイメージセンサ295の各受光素子から出力される電圧のバラツキを平滑化する。このようにして、シェーディング補正処理が行われる。
【0034】
白色基準板260は、原稿台ガラス255上の、有効画素範囲外となる位置に設けられている。なお、「有効画素範囲」とは、読取ユニット265によって読み取られた画像の中で、読取対象(ここでは、原稿5)を含む可能性のある画素の範囲を意味している。読取ユニット265は、予め定められたホーム位置に移動することによって、この白色基準板260と対向する。
【0035】
読取ユニット265は、原稿5の画像を主走査方向に読み取る読取部として機能する構成要素である。
読取ユニット265は、駆動ベルト270、プーリ275a,275b、及びステッピングモータ280によって構成される移動機構によって駆動されて、原稿台ガラス255に沿って、主走査方向と直交する副走査方向に移動する。具体的には、読取ユニット265は、以下のように、移動する。
【0036】
すなわち、読取ユニット265は、読取動作の開始前の時点において、予め定められたホーム位置に配置されている。
【0037】
読取ユニット265は、自動原稿読取(すなわち、原稿トレイ205の上に載置された原稿5の画像を読み取る動作)を行う場合に、ホーム位置から副走査方向に読取窓部235と対向する位置まで移動し、その位置で停止する。したがって、読取ユニット265は、原稿台ガラス255を介して、読取窓部235と対向する位置に配置される。この後、読取ユニット265は、原稿5が搬送ローラ215によって原稿押圧板230bと読取窓部235との間を副走査方向に搬送されると、その位置に停止した状態で、原稿5が1ライン分搬送される毎に、原稿5の画像を主走査方向に走査する。これにより、読取ユニット265は、原稿5の全面の画像を読み取る。
【0038】
また、読取ユニット265は、個別原稿読取(すなわち、原稿台ガラス255の上に載置された原稿5の画像を読み取る動作)を行う場合に、ホーム位置から副走査方向に移動する。このとき、読取ユニット265は、1ライン分移動する毎に、原稿台ガラス255の上に載置された原稿5の画像と、原稿台ガラス255に設けられた振動検出パタン401L,401Rの画像とを同時に走査する。これにより、読取ユニット265は、振動検出パタン401L,401Rの画像を含む、原稿5の全面の画像を読み取る。
【0039】
読取ユニット265は、光源291、反射ミラー292,293、レンズ294、及びイメージセンサ295を備えている。
光源291は、光を原稿5に照射する構成要素である。
反射ミラー292,293は、原稿5によって散乱した光を反射させてレンズ294に導く構成要素である。
レンズ294は、散乱・反射した光をイメージセンサ295に結像する構成要素である。
イメージセンサ295は、レンズ294によって結像された光を光電変換して、原稿5の画像に応じた電圧を出力する構成要素である。イメージセンサ295は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の光センサによって構成されている。
【0040】
駆動ベルト270は、読取ユニット265を原稿台ガラス255に沿って副走査方向に移動させる構成要素である。駆動ベルト270は、2つのプーリ275a,275bによって張架されている。読取ユニット265は、この駆動ベルト270に固定されており、駆動ベルト270が走行することによって、副走査方向に移動する。
【0041】
プーリ275a,275bは、駆動ベルト270を張架する構成要素である。プーリ275bは、ステッピングモータ280の回転軸の端部に設けられており、ステッピングモータ280の駆動に伴って回転し、駆動ベルト270を走行させる。
【0042】
ステッピングモータ280は、駆動ベルト270、及びプーリ275a,275bを駆動する構成要素である。ステッピングモータ280は、駆動ベルト270、及びプーリ275a,275bとともに、読取ユニット265を副走査方向に移動させる移動機構を構成している。前記した通り、プーリ275bは、ステッピングモータ280の回転軸の端部に設けられており、ステッピングモータ280の駆動に伴って回転し、駆動ベルト270を走行させる。このとき、駆動ベルト270の走行に従動して、プーリ275aが回転するとともに、読取ユニット265が移動する。なお、ステッピングモータ280は、図示せぬギア等の伝達機構を介して駆動力をプーリ275bに伝達して、プーリ275bを回転させるように構成してもよい。
【0043】
ホームセンサSN3は、読取ユニット265が予め定められたホーム位置に移動したことを検出する検出手段である。ホームセンサSN3は、ホーム位置又はその周囲に設けられている。ホームセンサSN3は、例えば、光センサによって構成されおり、読取ユニット265に設けられた図示せぬセンサレバーを検出することによって、読取ユニット265がホーム位置に移動したことを検出する。
【0044】
<画像読取装置の機能構成>
以下、図3を参照して、画像読取装置1の機能構成につき説明する。図3は、実施形態1に係る画像読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【0045】
図3に示すように、画像読取装置1は、制御部305、ROM315、及びRAM320を有している。制御部305は、機能手段として、主制御部305a、I/F制御部310、読取制御部325、移動制御部330a、振動検出部335、及び読取再開位置算出部340を備えている。これらの機能手段は、CPU及びプログラムによって、又は、CPUとRAMとプログラムとによって、構成されている。
【0046】
主制御部305aは、画像読取装置1全体の動作を制御する機能手段である。主制御部305aは、ROM315に格納されている制御プログラムに基づいて、画像読取装置1全体の制御を行う。
【0047】
I/F(Interface)制御部310は、データ通信バス15を介して、外部装置10との間で各種のデータの送信又は受信を行う機能手段である。I/F制御部310は、例えば、画像読取装置1によって読み取られた原稿5の画像データを外部装置10に送信する。なお、外部装置10は、例えば、プリンタやパーソナルコンピュータ等である。また、データ通信バス15は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)等である。
【0048】
ROM(Read Only Memory)315は、画像読取装置1の動作を規定する制御プログラムを予め格納する不揮発性の記憶手段である。
RAM(Random Access Memory)320は、読取ユニット265によって読み取られた原稿5の画像データや各種の制御データを一時的に格納する記憶手段である。
【0049】
読取制御部325は、読取ユニット265の読取動作を制御する機能手段である。読取制御部325は、読取ユニット265から原稿5の画像データを取得してRAM320に格納する。なお、読取ユニット265は、個別原稿読取時に、原稿台ガラス255に設けられた振動検出パタン401L,401Rの画像も同時に読み取る。そのため、個別原稿読取時に読み取られた原稿5の画像データの中には、振動検出パタン401L,401Rの画像データが含まれている。
【0050】
移動制御部330aは、原稿5の移動機構の駆動源であるステッピングモータ225及び読取ユニット265の移動機構の駆動源であるステッピングモータ280の駆動を制御する機能手段である。移動制御部330aは、ステッピングモータ225,280とともに、読取移動部330を構成している。読取移動部330は、原稿5の画像の読取時に、原稿5及び読取ユニット265のいずれか一方を副走査方向に移動させる。
【0051】
振動検出部335は、読取ユニット265によって読み取られた振動検出パタン401L,401Rの画像データを解析して、読取ユニット265の振動を検出する機能手段である。振動検出部335は、原稿5の画像データの中に含まれている振動検出パタン401L,401Rの画像データに基づいて、読取ユニット265が振動しているか否かを検出し、検出結果(以下、「振動検出結果」と称する)を主制御部305aに出力する。
【0052】
読取再開位置算出部340は、振動検出部335によって読取ユニット265の振動が検出された場合に、原稿5の画像の再読取動作を行うために、読み取りを再開するライン位置(以下、「読取再開位置」と称する)を算出する機能手段である。読取再開位置の詳細については、後記する。
【0053】
<振動検出パタンの詳細>
以下、図4を参照して、振動検出パタン401L,401Rの詳細につき説明する。図4は、実施形態1に係る振動検出パタンの構成を示す図である。振動検出パタン401L,401Rは、読取ユニット265の振動を検知するために用いられる模様である。
【0054】
図4に示すように、振動検出パタン401L,401Rは、例えば印刷によって、原稿台ガラス255の、読取ユニット265と対向する面に設けられている。この振動検出パタン401L,401Rは、個別原稿読取時に発生した読取ユニット265の振動を検知するのに適した形態となっている。
【0055】
振動検出パタン401L,401Rは、読取ユニット265による読み取りが可能な最大の領域(以下、「読取可能領域」と称する)内でかつ有効画素範囲外となる、主走査方向の両側に、一方の側のパタンと他方の側のパタンとで対称(線対称)となるように、配置されている。
【0056】
この振動検出用パタン401L,401Rは、図4に拡大して示すように、直線パタン402L,402Rと、斜線パタン403L,403Rとを含んでいる。
直線パタン402L,402Rは、副走査方向に沿って配置された直線によって形成された模様である。
一方、斜線パタン403L,403Rは、副走査方向に一定の間隔で配置された複数本の斜線によって形成された模様である。
【0057】
斜線パタン403L,403Rを形成する各斜線は、一端が直線パタン402L,402Rと連結するように、直線パタン402L,402Rに対して予め定められた角度に傾斜して配置されている。以下、斜線パタン403L,403Rを形成する各斜線の一端を「連結端」と称し、他端を「自由端」と称する。
【0058】
斜線パタン403L,403Rを形成する各斜線は、自身の連結端と隣接する他の斜線の自由端とが、主走査方向の同一ライン上で並ぶように、配置されている。画像読取装置1の後記する振動検出部335(図3参照)は、この各斜線の配置により、読み取られた斜線パタン403L,403Rの画像データの周期を特定することができる。そのため、後記する振動検出部335は、連結端を基準にして、現在解析中のラインがどのライン位置のものかを特定することができる。
【0059】
直線パタン402L,402Rと斜線パタン403L,403Rとは、それぞれ、太さ(主走査方向の幅)が予め定められた読取画素数分(例えば、3画素分)の太さとなるように、形成されている。
【0060】
<画像読取装置の動作>
以下、図5を参照して、画像読取装置1の動作につき説明する。図5は、実施形態1に係る画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
画像読取装置1は、個別原稿読取時(すなわち、原稿台ガラス255の上に載置された原稿5の画像を読み取る動作時)に、読取ユニット625の振動を検出する構成となっている。そこで、ここでは、個別原稿読取時の動作を説明し、自動原稿読取時の動作については説明を省略する。ここでは、画像読取装置1は、無振動状態で読み取った振動検出パタン401L,401Rの画像データを、振動検出動作時に参照する基準パタンの画像データ(以下、「基準データ」と称する)として、RAM320に予め格納しているものとして説明する。
【0061】
なお、画像読取装置1は、図示せぬタイマによって計測された時間に基づいて動作する。また、画像読取装置1の一連の動作は、ROM315に読み出し自在に予め格納された制御プログラムによって規定されている。また、各情報は、RAM320(又は図示せぬ記憶手段)に読み出し自在に一旦格納されてから、その後の処理を行う所要の構成要素に出力される。以下、これらの点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0062】
画像読取装置1の使用者は、原稿台ガラス255(図2参照)の上に1枚の原稿5を載置し、操作部105(図1参照)を操作して、画像読取装置1に原稿5の画像の読み取りの指示を入力する。なお、この時点では、画像読取装置1の読取ユニット265(図2参照)は、予め定められたホーム位置に待機した状態となっている。
【0063】
図5に示すように、画像読取装置1は、読み取りの指示が入力されると、原稿5の画像の読取動作を開始する(S105)。
このとき、まず、主制御部305a(図3参照)が、読取動作の開始の指示を、読取制御部325(図3参照)及び移動制御部330a(図3参照)に出力する。これに応答して、読取制御部325が、読取ユニット265の光源291(図2参照)をオン状態にする。また、移動制御部330aが、ステッピングモータ280(図2参照)を回転駆動させる。これにより、プーリ275bが回転するとともに、駆動ベルト270が走行し、その結果、読取ユニット265が副走査方向への移動を開始する。
また、このとき、主制御部305aは、振動検出動作の開始の指示を、振動検出部335(図3参照)に出力する。
【0064】
読取ユニット265は、副走査方向への移動を開始すると、原稿台ガラス255の上に載置された原稿5の画像を1ライン毎に読み取り(S110)、各ラインの原稿5の画像データを読取制御部325に順次出力する。
なお、読取ユニット265は、前記した通り、原稿5の画像の読み取りに際して、原稿5の画像と、原稿台ガラス255に設けられた振動検出パタン401L,401Rの画像とを同時に走査する。そのため、読取ユニット265から読取制御部325に出力される原稿5の画像データの中には、振動検出パタン401L,401Rの画像データが含まれている。
【0065】
読取制御部325は、読取ユニット265から各ラインの原稿5の画像データが入力されると、その都度、原稿5の画像データをRAM320(又は図示せぬ記憶手段)に格納する。
【0066】
振動検出部335は、主制御部305aから振動検出動作の開始の指示が入力されると、これに応答して、振動検出動作を行う(S115)。このとき、振動検出部335は、RAM320から各ラインの原稿5の画像データを読み出して、各ラインの原稿5の画像データの中に含まれている振動検出パタン401L,401Rの画像データを解析することによって、1ライン毎に、読取ユニット265の振動を検出する。このS115の処理(振動検出動作)の詳細については、後記する。
【0067】
振動検出部335は、ライン毎に、振動が検出されたか否かを表す結果(以下、「振動検出結果」と称する)を主制御部305a(図3参照)に出力する。
主制御部305aは、振動検出部335から各ラインの振動検出結果が入力されると、振動検出結果に基づいて、振動検出部335によって振動が検出されたか否かを判定する(S120)。
【0068】
S120の判定で、振動が検出されたと判定された場合(“Yes”の場合)に、主制御部305aは、原稿5の画像の再読取動作を行うために、読取動作の停止の指示を移動制御部330a(図3参照)に出力する。これに応答して、移動制御部330aが、ステッピングモータ280(図2参照)の回転駆動を停止させる。その結果、読取ユニット265が、副走査方向への移動を停止する。これにより、画像読取装置1は、読取動作を停止する(S125)。
【0069】
また、S120の判定で、振動が検出されたと判定された場合(“Yes”の場合)に、主制御部305aは、読取再開位置までの距離(副走査方向のライン数)の算出の指示を読取再開位置算出部340(図3参照)に出力する。これに応答して、読取再開位置算出部340(図3参照)が、振動が検出されたラインの位置(以下、「振動検出ライン位置」と称する)から読取再開位置までの距離を算出する(S130)。この読取再開位置の詳細については、後記する。
【0070】
読取再開位置算出部340は、読取再開位置までの距離を算出すると、算出結果を主制御部305a(図3参照)に出力する。
主制御部305aは、読取再開位置算出部340から算出結果が入力されると、算出結果に基づいて、読取ユニット265の読取再開位置までの移動(戻し)の指示を移動制御部330a(図3参照)に出力する。これに応答して、移動制御部330a(図3参照)が、ステッピングモータ280(図2参照)を逆方向に所定量回転駆動させて、読取ユニット265を読取再開位置まで移動させる(戻させる)(S135)。
【0071】
S135の後、処理は、S110に戻る。その結果、画像読取装置1は、S110〜S120の処理を行う。すなわち、画像読取装置1は、原稿5の再読取動作(ここでは、読取ユニット265を読取再開位置まで戻した後、原稿5の画像の読取動作を再開する動作)を行う。
なお、振動が検出されたラインの画像データは、RAM320から削除され、再度読み取られた画像データと置き換えられる。
【0072】
一方、S120の判定で、振動が検出されなかったと判定された場合(“No”の場合)に、主制御部305aが、読取ユニット265によって読み取り中のライン(以下、「読取ライン」と称する)が副走査方向の有効画素領域の最終ラインに到達しているか否かを判定する(S140)。
【0073】
S140の判定で、読取ラインが最終ラインに到達していないと判定された場合(“No”の場合)に、処理は、S110に戻る。その結果、画像読取装置1は、S110〜S140の処理を行う。したがって、この場合に、画像読取装置1は、原稿5の画像の読取動作を続行する。
【0074】
一方、S140の判定で、読取ラインが最終ラインに到達していると判定された場合(“Yes”の場合)に、主制御部305aが、原稿5の画像の読取動作の終了の指示を読取制御部325及び移動制御部330aに出力する。これに応答して、読取制御部325が、読取ユニット265の光源291(図2参照)をオフ状態にする。また、移動制御部330aが、ステッピングモータ280(図2参照)の回転駆動を停止させる。その結果、読取ユニット265が、副走査方向への移動を停止する。これにより、画像読取装置1は、原稿5の画像の読取動作を終了する(S145)。
【0075】
なお、読取再開後(すなわち、S135の後)に、S120の判定で、再度、振動が検出されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、画像読取装置1は、再度、S120〜S135の処理を行う。
また、読取再開後(すなわち、S135の後)に、振動が検出されずに、S140の判定で、読取ラインが副走査方向の有効画素領域の最終ラインに到達していると判定された場合(“Yes”の場合)に、読取動作は、終了となる。
【0076】
また、読取動作終了後(すなわち、S145の後)に、RAM320に格納された画像データは、所望の処理(例えば、外部装置10に送信したり、又は、RAM320に格納したままにしたりする等の処理)を行うことができる。
【0077】
<振動検出動作の詳細>
以下、図6乃至図13を参照して、振動検出動作(図5に示すS115の処理)の詳細につき説明する。図6は、実施形態1に係る画像読取装置の振動検出動作を示すフローチャートである。図7は、振動の方向を示す図である。ここでは、図7に示すように、読取ユニット265の垂直方向(上下方向)の振動を「振動A」と称し、読取ユニット265の副走査方向の振動を「振動B」と称し、読取ユニット265の主走査方向の振動を「振動C」と称するものとする。図8乃至図13は、それぞれ、実施形態1に係る画像読取装置によって読み取られた振動検出パタンの画像を示す図である。
【0078】
画像読取装置1の振動検出部335は、以下のようにして、振動検出動作を行う。
すなわち、図6に示すように、振動検出部335は、まず、1ライン毎に画像データの入力(ここでは、RAM320から各ラインの原稿5の画像データの読み出し)を行いながら(S205)、各ラインの画像データを、主走査方向に解析して、背景(ここでは、白色シート240)と振動検出パタン401L,401Rとのエッジ(図8参照)を検出する(S210)。このとき、振動検出部335は、エッジの番号とエッジの位置とが識別できるように、エッジの番号をカウントしながら、エッジを検出する。
【0079】
なお、エッジの検出は、以下のようにして、行われる。
すなわち、振動検出部335は、1ラインの画像データの中から、有効画素範囲外の画素で、かつ、濃度値が任意の閾値を跨いで変化している画素を検出した場合に、その画素を背景と振動検出パタン401L,401Rとのエッジと見なすことによって、エッジを検出する。
【0080】
図8に、エッジの検出位置の一例を示す。図8に示す例では、振動検出部335は、有効画素範囲の左外側の範囲に設けられた振動検出パタン401Lの中から、斜線パタン403Lの左右双方のエッジと直線パタン402Lの左右双方のエッジとを、それぞれ順に「1番目のエッジE1」、「2番目のエッジE2」、「3番目のエッジE3」、及び「4番目のエッジE4」として検出している。また、振動検出部335は、有効画素範囲の右外側に設けられた振動検出パタン401Rの中から、直線パタン402Rの左右双方のエッジと斜線パタン403Rの左右双方のエッジとを、それぞれ順に「5番目のエッジE5」、「6番目のエッジE6」、「7番目のエッジE7」、及び「8番目のエッジE8」として検出している。なお、図8中、各マスは、画素を表している。
【0081】
振動検出部335は、エッジを検出すると、検出したエッジの番号とエッジの画素位置とを対応付けて、RAM320(図3参照)に格納する。
【0082】
振動検出部335は、エッジを検出すると、垂直方向の振動A(図7参照)の検出動作を行う(S215)。
垂直方向の振動Aの検出動作は、以下のようにして、行われる。なお、ここでは、左側のパタンと右側のパタンとがそれぞれの配置位置(すなわち、基準データの画素と同じ位置)から互いに接近するように移動する場合の移動を、「接近方向の移動」と称し、また、左側のパタンと右側のパタンとがそれぞれの配置位置から互いに離間するように移動する場合の移動を、「離間方向の移動」と称する。
【0083】
すなわち、振動検出部335は、まず、RAM320からエッジの番号及びエッジの位置を読み出し、左側の直線パタン402Lと右側の直線パタン402Rとの距離を算出する。距離の算出は、例えば、図8に示すように、4番目のエッジE4と5番目のエッジE5との間の画素数を計数することにより、行われる。
【0084】
振動検出部335は、RAM320に予め格納された基準データを参照して、直線パタン402Lと402Rとの距離が所定の値(ここでは、基準データにおける直線パタン402Lと402Rとの距離から一定の範囲内の値)となっているか否かを判定する。なお、読取ユニット265によって読み取られた振動検出パタン401L,401Rは、無振動状態で読み取られた場合に、一定の範囲内で、基準データと一致する。
【0085】
直線パタン402Lと402Rとの距離が所定の値となっていると判定された場合に、振動検出部335は、垂直方向の振動Aが発生していないと判定する。
一方、直線パタン402Lと402Rとの距離が所定の値となっていないと判定された場合に、振動検出部335は、垂直方向の振動Aが発生していると判定する。
この判定により、振動検出部335は、垂直方向の振動Aを検出する。
【0086】
なお、直線パタン402L,402Rの距離により垂直方向の振動Aを検出できる理由は、読取ユニット265が垂直方向に振動することにより、読取ユニット265と直線パタン402L,402Rとの距離が変化し、その結果、イメージセンサ295と直線パタン402L,402Rとの焦点距離が変化するためである。
【0087】
図9に、基準データの一例を示す。図9に示す例では、直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rは、それぞれ、3画素分の太さに形成されている。
また、斜線パタン403L,403Rを形成する各斜線は、それぞれに対応する直線パタン402L,402Rに対して、副走査方向の1ラインにつき1画素ずつ接近する角度で傾斜して設けられている。なお、各斜線は、逆に、それぞれに対応する直線パタン402L,402Rに対して、副走査方向の1ラインにつき1画素ずつ離間する角度で傾斜して設けられていてもよい。
【0088】
また、図10に、垂直方向の振動Aが発生している状態で読み取られた振動検出パタン401L,401Rの画像データの一例を示す。図中、太枠で囲まれたマスは、それぞれの配置位置(すなわち、基準データの画素と同じ位置)を示している。
【0089】
図10に示す例では、左側の振動検出パタン401Lの中の4ライン目の直線パタン402L及び斜線パタン403Lの各画素が右側に1マスずつ移動するとともに、右側の振動検出パタン401Rの4ライン目の直線パタン402R及び斜線パタン403Rの各画素が左側に1マスずつ移動している。すなわち、4ライン目のすべての直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rの画像データが、それぞれの配置位置(基準データの画素と同じ位置)から接近方向に移動している。これは、垂直方向の振動Aが、4ライン目の画像データの読み取り時に発生していることを示している。
なお、図10に示す例では、4ライン目のすべての直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rの画像データが、それぞれの配置位置から接近方向に移動しているが、逆に、離間方向に移動する場合もある。
【0090】
S215の後、振動検出部335は、垂直方向の振動Aが検出されたか否かを判定する(S220)。
【0091】
S220の判定で、垂直方向の振動Aが検出されたと判定された場合(“Yes”の場合)に、処理は、S230に進む。これは、垂直方向の振動Aが検出されているため、画像データの再読取動作を行うことが確定し、これにより、S225の処理(水平方向の振動の検出動作)を行う必要がなくなるためである。
一方、S220の判定で、垂直方向の振動Aが検出されたと判定された場合(“No”の場合)に、振動検出部335は、水平方向の振動の検出動作を行う(S225)。
【0092】
S225の処理(水平方向の振動の検出動作)は、読み取られた画像データのエッジ位置を識別し、読み取られた画像データのエッジ位置と所定位置とのズレ量を算出することにより、行われる。なお、所定位置とは、現在解析中のラインにおける基準データのエッジ位置を意味している。
例えば、振動検出部335は、読み取られた画像データの1番目のエッジE1と8番目のエッジ位置E8と、RAM320に格納されている基準データの1番目のエッジE1と8番目のエッジ位置E8とを比較し、読み取られた画像データと基準データとのズレ量を算出する。振動検出部335は、ズレ量が一定の範囲(例えば、1画素)内である場合に、読取ユニット265の水平方向の振動が発生していないと判定する。一方、振動検出部335は、ズレ量が一定の範囲外である場合に、読取ユニット265の水平方向の振動が発生していると判定する。
【0093】
以下に、図11乃至図13を参照して、S225の処理(水平方向の振動の検出動作)の詳細につき説明する。ここでは、水平方向の振動を、副走査方向の振動Bと、主走査方向の振動Cと、副走査方向の振動Bの成分と主走査方向の振動Cの成分とが混在する振動との3つに分類し、まず、図11を参照して副走査方向の振動Bの検出動作を説明し、次に、図12を参照して主走査方向の振動Cの検出動作を説明し、さらに、図13を参照して副走査方向の振動Bの成分と主走査方向の振動Cの成分とが混在する振動の検出動作を説明する。
【0094】
まず、副走査方向の振動Bの検出動作を説明する。
図11に、副走査方向の振動Bが発生している状態で読み取られた振動検出パタン401L,401Rの画像データの一例を示す。
【0095】
図11に示す例では、左側の振動検出パタン401Lの中の4ライン目の斜線パタン403Lの各画素が右側に2マスずつ移動するとともに、右側の振動検出パタン401Rの中の4ライン目の斜線パタン403Rの各画素が左側に2マスずつ移動している。すなわち、4ライン目の斜線パタン403L,403Rの双方の画像データが、それぞれの配置位置(基準データの画素と同じ位置)から接近方向に移動している。一方、直線パタン402L,402Rの双方の各画素は、いずれも配置位置に固定されたままの状態(配置位置から移動しないままの状態)となっている。これは、副走査方向の振動Bが、4ライン目の画像データの読み取り時に発生していることを示している。
なお、図11に示す例では、斜線パタン403L,403Rの画像データが、それぞれの配置位置(基準データの画素と同じ位置)から接近方向に移動しているが、逆に、離間方向に移動する場合もある。
【0096】
画像データのこのような変化は、読取ユニット265が副走査方向に振動することにより、読取ユニット265が本来読み取るべきラインよりも前又は後のラインの画像を読み取るためである。
例えば、図11に示す例では、読取ユニット265は、本来読み取るべきラインよりも2ライン後の画像を先に読み取っている。このように、仮に、読取ユニット265が本来読み取るべきラインよりも2ライン後の画像を先に読み取ったものとする。この場合に、直線パタン402L,402Rの本来読み取るべきラインの各画素と2ライン後の各画素とは、位置が同じである。そのため、読み取られた直線パタン402L,402Rの画像データは、位置が変化しない。これに対して、斜線パタン403L,403Rの本来読み取るべきラインの各画素と2ライン後の各画素とは、位置が異なる。そのため、読み取られたラインの斜線パタン403L,403Rの画像データは、位置が変化する。したがって、読み取られた画像データは、前記したように変化する。
【0097】
次に、主走査方向の振動Cの検出動作を説明する。
図12に、主走査方向の振動Cが発生している状態で読み取られた振動検出パタン401L,401Rの画像データの一例を示す。
【0098】
図12に示す例では、振動検出パタン401L,401Rの中の4ライン目のすべての直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rの各画素が、右側に2マスずつ移動している。すなわち、4ライン目のすべての直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rの画像データが、それぞれの配置位置(基準データの画素と同じ位置)から同方向に移動している。これは、主走査方向の振動Cが、4ライン目の画像データの読み取り時に発生していることを示している。
なお、図12に示す例では、4ライン目のすべての直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rの画像データが、右方向に移動しているが、逆に、左方向に移動する場合もある。
【0099】
画像データのこのような変化は、読取ユニット265が主走査方向に振動することにより、読取ユニット265が本来読み取るべき画素よりも左又は右の画素の画像(図12に示す例では、2画素左の画像)を読み取るためである。
【0100】
次に、副走査方向の振動Bの成分と主走査方向の振動Cの成分とが混在する振動の検出動作を説明する。
副走査方向の振動Bの成分と主走査方向の振動Cの成分とが混在する振動が発生している状態で振動検出パタン401L,401Rの画像を読み取った場合に、読取ユニット265は、本来読み取るべきラインよりも前又は後のラインの画像で、かつ、本来読み取るべき画素よりも左又は右の画素の画像を読み取る。
したがって、読み取られた画像データは、図11に示すように、振動が発生した時に読み取られたラインの斜線パタン403L,403Rの双方の画像データがそれぞれの配置位置から接近方向又は離間方向のいずれか一方に移動し、かつ、図12に示すように、そのラインにおけるすべての直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rの画像データが、それぞれの配置位置から同方向に移動する。
【0101】
図13に、副走査方向の振動Bの成分と主走査方向の振動Cの成分とが混在する振動が発生している状態で読み取られた振動検出パタン401L,401Rの画像データの一例を示す。
【0102】
図13に示す例では、4ライン目の斜線パタン403L,403Rの双方の画像データが2マスずつ(合計4マス)接近方向に移動し、かつ、4ライン目のすべての直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rの画像データが2マスずつ右方向に移動している。これは、副走査方向の振動Bの成分と主走査方向の振動Cの成分とが混在する振動が、4ライン目の画像データの読み取り時に発生していることを示している。
【0103】
振動検出部335は、以上のようにして、S225(水平方向の振動の検出動作)の処理を行う。
S225の後、振動検出部335は、振動検出結果を主制御部305a(図3参照)に出力して(S230)、振動検出動作を終了する(S235)。
なお、主制御部305aは、振動検出部335から振動検出結果が入力されると、S120(図5参照)で、振動検出結果に基づいて、振動検出部335によって振動が検出されたか否かを判定し、振動が検出されたと判定された場合に、再読取動作を行う。
【0104】
<読取再開位置の詳細>
以下、読取再開位置の詳細につき説明する。
読取移動部330(図3参照)は、振動検出部335によって振動が検出された場合に、読取ユニット265を、振動検出ライン位置(すなわち、振動が検出されたラインの位置)よりも上流側の地点に戻し、その地点を読取再開位置として、原稿5の画像の再読取動作を行う。
【0105】
読取再開位置は、読取ユニット265が所定の読取速度に到達するのに必要な距離が考慮された位置であることが好ましい。本実施形態1では、読取再開位置算出部340(図3参照)が、振動検出ライン位置から読取再開位置までの距離を、以下のようにして算出する。
【0106】
読取ユニット265は、原稿5をv(mm/s)の一定速度で読み取っている。ここで、読取速度v(mm/s)に到達するまでの読取ユニット265の加速度をa(mm/s)とし、時間をt(s)とすると、読取ユニット265が速度v(mm/s)に到達するのに必要な距離x(mm)は、x=(a×t)/2(mm)となる。
したがって、読取ユニット265は、振動検出ライン位置において読取速度v(mm/s)で移動しながら原稿5の画像を読み取るためには、振動検出ライン位置よりも、距離x(mm)以上戻される必要がある。
そこで、読取再開位置算出部340は、振動検出ライン位置から読取再開位置までの距離を、距離x(mm)として、算出する。
【0107】
例えば、画像読取装置1は、300dpi(dot per inch)の解像度で、A4又はLEF(Long Edge Feed)サイズの原稿5の画像の読み取りを、5秒で行うものとする。この場合に、読取移動部330(図3参照)は、42(mm/s)の読取速度で、読取ユニット265を移動させる必要がある。ここで、読取移動部330は、停止した状態にある読取ユニット265を、1秒で、42(mm/s)の読取速度に到達させるものとする。この場合に、読取ユニット265の加速度は、42(mm/s)となる。また、この場合に、読取ユニット265の移動距離は、21(mm)となる。この値をライン数に換算すると、248ラインとなる。
【0108】
したがって、読取再開位置算出部340は、振動検出ライン位置から読取再開位置までの距離xとして、21mm(248ライン)を算出する。読取ユニット265は、この距離xによって特定された読取再開位置から、原稿5の画像の再読取動作を行う。
なお、読取再開位置は、読取ユニット265の読取速度や読取解像度等によって、適宜変更される。
また、読取ユニット265は、振動検出ライン位置から数ライン進んだ位置に停止する。読取再開位置算出部340(又は、主制御部305a、又は、移動制御部330a)は、振動検出ライン位置から読取再開位置までの距離xと振動検出ライン位置から停止位置までの進んだ距離との合計値を、読取ユニット265の戻し量として、算出する。なお、振動検出ライン位置から停止位置までの進んだ距離は、プーリ275a,275bの回転数を参照することにより特定される。
【0109】
以上の通り、本実施形態1に係る画像読取装置1によれば、読取ユニット265によって読み取られた画像データに基づいて、読取ユニット265の振動を検出することができるので、読取動作をただちに停止することができる。これにより、品質の低い原稿5の画像データが取り込まれるのを回避することができる。
【0110】
また、画像読取装置1によれば、読取ユニット265の振動を検出した場合に、読取ユニット265を、振動検出ライン位置よりも上流側の地点に戻し、その地点を読取再開位置として、原稿5の画像の再読み取りを行うことができる。これにより、品質の高い原稿5の画像データを常に取得することができる。
【0111】
[実施形態2]
以下、図14乃至図16を参照して、本実施形態2に係る画像読取装置の構成につき説明する。図14は、実施形態2に係る画像読取装置の内部構成を示す図である。図15は、実施形態2に係る振動検出パタンの構成を示す図である。図16は、実施形態2に係る画像読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【0112】
実施形態1に係る画像読取装置1は、個別原稿読取時(すなわち、原稿台ガラス255の上に載置された原稿5の読み取る動作時)に発生した読取ユニット265の振動を検知する構成となっている。
これに対して、本実施形態2に係る画像読取装置1aは、自動原稿読取時(すなわち、原稿トレイ205の上に載置された原稿5の読み取る動作時)に発生した読取ユニット265の振動を検知する構成となっている。
【0113】
画像読取装置1aの外観は、実施形態1に係る画像読取装置1(図1参照)と同様のものとなっている。
ただし、実施形態1に係る画像読取装置1は、図2に示すように、原稿押圧板230bが読取窓部235に設けられているとともに、振動検出パタン401L,401Rが原稿台ガラス255に設けられている。
これに対して、本実施形態2に係る画像読取装置1aは、図14に示すように、原稿押圧ローラ230cが読取窓部235に設けられているとともに、振動検出パタン901L,901Rがその原稿押圧ローラ230cに設けられている。
【0114】
原稿押圧ローラ230cは、ローラ状に形成された部材である。原稿押圧ローラ230cは、自動原稿読取時に、原稿5を押さえる。原稿押圧ローラ230cは、図示せぬギア等の伝達機構によってステッピングモータ225の回転駆動力が伝達され、原稿5の搬送に合わせて回転する。
【0115】
この原稿押圧ローラ230cには、図15に示すように、振動検出パタン901L,901Rが、例えば印刷によって設けられている。振動検出パタン901L,901Rは、実施形態1に係る振動検出パタン401L,401Rと同様に、読取ユニット265の振動を検知するために用いられる模様である。この振動検出パタン901L,901Rは、自動原稿読取時に発生した読取ユニット265の振動を検知するのに適した形態となっている。
【0116】
振動検出パタン901L,901Rは、読取可能領域内でかつ有効画素範囲外となる、主走査方向の両側に、一方の側のパタンと他方の側のパタンとで対称(線対称)となるように、配置されている。
【0117】
この振動検出用パタン901L,901Rは、直線パタン902L,902Rと、斜線パタン903L,903Rとを含んでいる。
直線パタン902L,902R及び斜線パタン903L,903Rは、それぞれ、実施形態1に係る直線パタン402L,402R及び斜線パタン403L,403Rと同様の模様である。
【0118】
図16に示すように、画像読取装置1aは、実施形態1に係る画像読取装置1(図3参照)と比較すると、読取エラー情報記憶部320aと振動検出パタン位置判定部345とが付加された構成となっている。
【0119】
読取エラー情報記憶部320aは、RAM320の内部に設けられた記憶領域である。読取エラー情報記億部320aは、振動が検出された原稿5のページ数を表す読取ページ数データが格納される。
【0120】
振動検出パタン位置判定部345は、振動検出パタン901L,901Rの画像を読み取り、振動検出パタン901L,901Rがどの位置のものか予め判定する機能手段である。振動検出パタン位置判定部345は、原稿5の画像の読取動作前に、振動検出パタン901L,901Rが、読取ユニット265に対して、現在どの位置を向けているのかを判定することにより、振動検出部335による振動検出動作において、読み取られた振動検出パタン901L,901Rの画像データの画素位置と基準データの画像データの画素位置との比較を容易にする。
【0121】
以下、図17を参照して画像読取装置1aの動作につき説明する。図17は、実施形態2に係る画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
画像読取装置1aは、自動原稿読取時(すなわち、原稿トレイ205の上に載置された原稿5の画像を読み取る動作時)に、読取ユニット625の振動を検出する構成となっている。そこで、ここでは、自動原稿読取時の動作につき、実施形態1に係る画像読取装置1と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1に係る画像読取装置1と同様の動作については詳細な説明を省略する。なお、ここでは、画像読取装置1aは、無振動状態で読み取った振動検出パタン901L,901Rの画像データを、基準データとして、RAM320に予め格納しているものとして説明する。
【0122】
画像読取装置1aの使用者は、原稿トレイ205(図14参照)の上に1乃至複数枚の原稿5を載置し、操作部105(図1参照)を操作して、画像読取装置1aに原稿5の画像の読み取りの指示を入力する。このとき、画像読取装置1aの読取ユニット265(図2参照)は、予め定められたホーム位置から、読取窓部235と対向する位置に移動する。
【0123】
図17に示すように、画像読取装置1aは、読み取りの指示が入力されると、原稿5の画像の読取動作を開始する(S105)。本実施形態2では、画像読取装置1aは、S105の処理(読取動作開始の処理)とS110処理(振動検出動作の処理)との間に、以下のS106及びS107の処理を行う。
【0124】
まず、画像読取装置1aは、原稿5がない状態で原稿押圧ローラ230cに設けられた振動検出パタン901L,901Rの画像を読み取り、振動検出パタン901L,901Rが、現在、どの位置を読取ユニット265に対して向けているのかを判定する(S106)。この処理は、以下のようにして、行われる。
【0125】
まず、主制御部305a(図16参照)が、振動検出パタン位置判定動作の開始の指示を、読取制御部325(図16参照)、移動制御部330a(図16参照)、及び振動検出パタン位置判定部345(図16参照)に出力する。これに応答して、読取制御部325が、読取ユニット265の光源291(図14参照)をオン状態にする。また、移動制御部330aが、ステッピングモータ225(図14参照)を回転駆動させ、図示せぬ伝達機構を介して、給紙ローラ210及び搬送ローラ215を回転させずに、原稿押圧ローラ230cのみを回転させる。その状態で、読取ユニット265が、振動検出パタン901L,901Rの画像を読み取り、読み取られた振動検出パタン901L,901Rの画像データを主制御部305aに出力する。主制御部305aは、読み取られた振動検出パタン901L,901Rの画像データを振動検出パタン位置判定部345に出力する。
【0126】
振動検出パタン位置判定部345は、読み取られた振動検出パタン901L,901Rの画像データとRAM320に格納されている基準データとを比較し、振動検出パタン901L,901Rが、読取ユニット265に対して、現在どの位置を向けているのかを判定する。判定結果は、振動検出部335(図16参照)によって参照される。これにより、振動検出部335は、原稿5の画像の先頭ラインが振動検出パタン901L,901Rのどの位置と一緒に読み取られたのかを識別することが可能となる。そのため、振動検出部335は、実施形態1と同様に、読取ユニット265の振動を検出することが可能となる。
【0127】
次に、画像読取装置1aは、原稿5を1枚ずつ順次搬送する(S107)。この処理は、以下のようにして、行われる。
まず、主制御部305aが、読取動作の開始の指示を、読取制御部325(図16参照)及び移動制御部330a(図16参照)に出力する。また、このとき、主制御部305aは、振動検出動作の開始の指示を、振動検出部335(図16参照)に出力する。
これに応答して、読取制御部325が、読取ユニット265の光源291(図14参照)をオン状態にする。また、移動制御部330aが、ステッピングモータ225(図14参照)を回転駆動させ、図示せぬ伝達機構を介して、給紙ローラ210、搬送ローラ215、原稿押圧ローラ230c、及び排出ローラ220を回転させる。その結果、原稿トレイ205の上に載置されている原稿5が、1枚ずつ繰り出されて、原稿トレイ205からスタッカ221に向けて走行(移動)を開始する。移動制御部330aは、給紙ローラ210によって繰り出された原稿5のページ数データを主制御部305aに出力する。なお、給紙ローラ210によって繰り出された原稿5は、原稿押圧ローラ230cと読取窓部235との間を通過する。
【0128】
S107の後、画像読取装置1aは、実施形態1に係る画像読取装置1と同様に、S110〜S120の処理を行う。すなわち、画像読取装置1aは、まず、S110で、原稿5の画像(ただし、原稿押圧ローラ230cと読取窓部235との間を通過する原稿5の画像)を1ライン毎に読み取り、次に、S115で、振動検出パタン901L,901Rの画像データに基づいて、振動検出動作を行う。なお、S115では、振動検出部335が、振動検出結果を主制御部305aに出力する。S115の後、S120で、振動検出部335によって振動が検出されたか否かを判定する。
【0129】
本実施形態2では、S120の判定で、振動が検出されたと判定された場合(“Yes”の場合)に、画像読取装置1aは、S125〜S135の処理(図5参照)を行わずに、以下のS121の処理を行う。
すなわち、S120の判定で、振動が検出されたと判定された場合(“Yes”の場合)に、主制御部305aは、原稿5の画像の再読取動作を行うために、現在読み取りを行っている原稿5のページ数データ(読取ページ数データ)をRAM320内部の読取エラー情報記憶部320aに記憶する(S121)。S121の後、処理は、S110に戻る。この場合に、画像読取装置1aは、後記するS143で、振動検出ページ表示の処理を行うことになる。
【0130】
一方、S120の判定で、振動が検出されなかったと判定された場合(“No”の場合)に、画像読取装置1aは、S140の処理(読取ラインが最終ラインに到達しているか否かの判定)を行う。
【0131】
S140の判定で、読取ラインが最終ラインに到達していないと判定された場合(“No”の場合)に、処理は、S110に戻る。その結果、画像読取装置1aは、S110〜S140の処理を行う。したがって、この場合に、画像読取装置1aは、原稿5の画像の読取動作を続行する。
【0132】
一方、S140の判定で、読取ラインが最終ラインに到達していると判定された場合(“Yes”の場合)に、1ページ目の読取動作が終了となる。この場合、画像読取装置1aは、次のページの原稿5が原稿トレイ205(図14参照)に載置されている限り、原稿5の画像の読取動作を続行する。そのため、画像読取装置1aは、S140の処理(読取ラインが最終ラインに到達しているか否かの判定)とS145の処理(読取動作終了の処理)との間に、以下のS141及びS142の処理を行う。
【0133】
まず、画像読取装置1aの主制御部305aは、現在読み取りを行っている原稿5が最終ページのものか否かを判定する(S141)。
【0134】
S141の判定で、原稿5が最終ページのものでないと判定された場合(“No”の場合)に、処理は、S107に戻る。その結果、画像読取装置1aは、S107〜S141の処理を行う。したがって、この場合に、画像読取装置1aは、次のページの原稿5の読取動作を行う。
【0135】
一方、S141の判定で、原稿5が最終ページのものであると判定された場合(“Yes”の場合)に、主制御部305aは、読取エラー情報が読取エラー情報記憶部320a(図16参照)に記憶されているか否かを判定し、これによって、振動検出ページの有無を判定する(S142)。
【0136】
S142の判定で、振動検出ページがあると判定された場合(“Yes”の場合)に、主制御部305aは、振動検出ページを表示部105a(図16参照)に表示させる(S143)。この場合、使用者は、振動検出ページに該当する原稿5を原稿トレイ205に再度載置して、原稿5の再読取動作を画像読取装置1aに行わせることになる。この後、主制御部305aが、原稿5の画像の読取動作の終了の指示を読取制御部325及び移動制御部330aに出力する。これに応答して、読取制御部325が、読取ユニット265の光源291(図14参照)をオフ状態にする。また、移動制御部330aが、ステッピングモータ225(図14参照)の回転駆動を停止させる。これにより、画像読取装置1aは、原稿5の画像の読取動作を終了する(S145)。
【0137】
一方、S142の判定で、振動検出ページがないと判定された場合(“No”の場合)に、主制御部305aが、原稿5の画像の読取動作の終了の指示を読取制御部325及び移動制御部330aに出力する。これにより、画像読取装置1aは、原稿5の画像の読取動作を終了する(S145)。
【0138】
なお、読取動作終了後(すなわち、S145の後)に、RAM320に格納された画像データは、所望の処理(例えば、外部装置10に送信したり、又は、RAM320に格納したままにしたりする等の処理)を行うことができる。
【0139】
以上の通り、本実施形態2に係る画像読取装置1aによれば、読取ユニット265によって読み取られた画像データに基づいて、読取ユニット265の振動を検出することができるので、振動が発生している状態で読み取られた原稿5の画像データを特定することができる。これにより、品質の低い原稿5の画像データが取り込まれるのを回避することができる。
【0140】
また、画像読取装置1aによれば、自動原稿読取動作中に、読取ユニット265の振動を検出した場合であっても、振動検出ページを表示部105a(図16参照)に表示させることにより、振動が検出されたページ数に該当する原稿5の画像の再読取動作を行うことが可能となる。これにより、品質の高い原稿5の画像データを常に取得することができる。
【0141】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
本発明は、スキャナとして説明したが、ファクシミリ装置、複写機、プリンタ、MFPにも利用できる。なお、「MFP」とは、Multi Function Peripheral(又はProduct)の略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
また、例えば、実施形態2に係る画像読取装置1aは、実施形態1に係る振動パタン401L,401R(図4参照)が、原稿台ガラス255に設けられた構成にしてもよい。これにより、画像読取装置1aは、実施形態1に係る画像読取装置1と同様に、個別原稿読取動作中に、読取ユニット265の振動を検出した場合であっても、読取再開位置から原稿5の画像の読取動作を行うことができる。
【符号の説明】
【0142】
1,1a 画像読取装置(スキャナ等)
5 原稿
10 外部装置
15 データ通信バス
105 操作部
105a 表示部
110 原稿載置部
115 画像読取部
120 原稿排出部
155 原稿給紙部
160 原稿台読取部
205 原稿トレイ
210 給紙ローラ
215 搬送ローラ
220 排出ローラ
225,280 ステッピングモータ
230a,230b 原稿押圧板
230c 原稿押圧ローラ
235 読取窓部
240 白色シート
255 原稿台ガラス
260 白色基準板
265 読取ユニット
270 駆動ベルト
275a,275b プーリ
291 光源
292,293 反射ミラー
294 レンズ
295 イメージセンサ
305 制御部
305a 主制御部
310 I/F制御部
315 ROM
320 RAM
320a 読取エラー情報記憶部
325 読取制御部
330 読取移動部
330a 移動制御部
335 振動検出部
340 読取再開位置算出部
345 振動検出パタン位置判定部
401L,401R,901L,901R 振動検出パタン
402L,402R,902L,902R 直線パタン
403L,403R,903L,903R 斜線パタン
SN1 原稿検出センサ
SN2 読取位置センサ
SN3 ホームセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取装置において、
前記原稿の画像を読み取る読取部と、
前記読取部と対向して設けられ、前記読取部によって読み取られる振動検出パタンと、
前記読取部によって読み取られた前記振動検出パタンの画像に基づいて、前記読取部の振動を検出する振動検出部と
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記読取部による前記原稿の画像の読み取り方向を主走査方向とし、当該主走査方向に直角な方向を副走査方向とする場合に、さらに、前記原稿及び前記読取部のいずれか一方を当該副走査方向に移動させる読取移動部とを有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置において、
前記振動検出パタンは、前記原稿の画像とともに、前記読取部によって読み取られる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記振動検出パタンは、前記副走査方向に沿って配置された直線によって形成された直線パタンと、前記副走査方向に一定の間隔で配置され、かつ、一端が前記直線パタンと連結するように、前記直線パタンに対して予め定められた角度に傾斜して配置された複数本の斜線によって形成された斜線パタンとを含んでおり、
さらに、前記直線パタンと前記斜線パタンとが、前記読取部の読取可能領域内でかつ有効画素範囲外となる、前記主走査方向の両側に、一方の側のパタンと他方の側のパタンとで対称となるように、配置されている
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記振動検出パタンは、前記原稿を支持する原稿台ガラスに設けられている
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記振動検出パタンは、前記原稿を支持する原稿台ガラス側に、前記原稿を押圧する原稿押圧ローラに設けられている
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記振動検出部は、前記読取部によって読み取られた前記振動検出パタンの画像の前記副走査方向の各ラインの中から、前記主走査方向の両側に配置された双方の前記直線パタン及び双方の前記斜線パタンがそれぞれの配置位置から接近方向及び離間方向のいずれか一方に移動しているラインを検出することによって、垂直方向の振動を検出する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記振動検出部は、前記読取部によって読み取られた前記振動検出パタンの画像の前記副走査方向の各ラインの中から、前記主走査方向の両側に配置された双方の前記直線パタン及び双方の前記斜線パタンがそれぞれの配置位置から同方向に移動しているラインを検出することによって、前記主走査方向の振動を検出する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項4乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記振動検出部は、前記読取部によって読み取られた前記振動検出パタンの画像の前記副走査方向の各ラインの中から、前記主走査方向の両側に配置された双方の前記斜線パタンがそれぞれの配置位置から接近方向及び離間方向のいずれか一方に移動しているラインを検出することによって、前記副走査方向の振動を検出する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項2乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記読取移動部は、前記振動検出部によって振動が検出された場合に、前記読取部を、振動が検出されたラインの位置よりも上流側の地点に戻して、前記読取部による読み取りを再開させる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
さらに、前記読取部に対して、読み取られるべき複数の前記原稿を順次供給する原稿給紙部と、
使用者に対する各種の情報を表示する表示部とを有し、
前記読取部は、前記原稿給紙部によって供給された前記原稿の画像とともに、前記振動検出パタンの画像を読み取り、
前記振動検出部は、前記読取部の振動が検出された場合に、振動が検出された原稿の前記原稿給紙部によって供給されたページ数を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする画像読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−66481(P2011−66481A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212876(P2009−212876)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】