異物除去装置
【課題】茶樹畝の茶葉に付着した異物、特に落ち葉などの比較的大きく、重い異物や葉裏に付着した異物などを効率よく除去できる異物除去装置を提供する。
【解決手段】本発明の異物除去装置1は、風を送り出す送風部81と、送風部81からの風を導く二つの導風部2と、上面3aの中央部に各導風部2を連結する吸気口31を設けたダクト部3と、ダクト部3内に、各吸気口31を隔てるセパレーター板4と、ダクト部3の前面3bに設けたスリット状の吹出口5と、を備えたことを特徴とするものである。
【解決手段】本発明の異物除去装置1は、風を送り出す送風部81と、送風部81からの風を導く二つの導風部2と、上面3aの中央部に各導風部2を連結する吸気口31を設けたダクト部3と、ダクト部3内に、各吸気口31を隔てるセパレーター板4と、ダクト部3の前面3bに設けたスリット状の吹出口5と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶樹畝の茶葉に付着した水滴、露、埃、枯葉、小動物、虫などの異物を風で払い落とすことができる異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、茶樹から茶葉を摘採する前に、捕虫装置や露払い機を用いて、水滴、露、虫などを払い落とすことが行われている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、茶樹に寄生した害虫を、強制風のみ、あるいは、水を含んだ強制風によって吹き飛ばすことを特徴とする送風式捕虫方法が示されている。
また、台風などにより強風が吹き荒れた後には、茶樹畝上に杉や檜などの葉が舞い落ちている場合があり、このような葉は重みがあるため強い風を送り出して払い落とす必要がある。
そこで、下記特許文献2には、スリット状の吹出口を設けた吹出部を有する摘採機用露払いアタッチメントが示されており、茶樹畝に強い風を吹き付けることができるようにしてある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−135600号公報
【特許文献2】特開2010−136661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に記載の露払いアタッチメントは、強い風を送り出すことができ、異物の払い落としには好適なものである。しかし、これを用いて落ち葉などの比較的大きな異物を除去しようとすると、前方に異物が集積されていき、この集積された異物を手作業で払い落とさなければならず、効率よく除去できるものではなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、茶樹畝の茶葉に付着した異物、特に落ち葉などの比較的大きく、重い異物や葉裏に付着した異物などを効率よく除去できる異物除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の異物除去装置は、風を送り出す送風部と、送風部からの風を導く導風部と、上面の中央部に導風部を連結する吸気口を設けたダクト部と、ダクト部の前面に設けたスリット状の吹出口と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように、導風部をダクト部の上面中央部に連結したことにより、茶樹畝の外側に向かい風を送り出せるため、茶葉に付着した異物や比較的大きく、重い異物なども畝間に効率よく払い落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の異物除去装置の第一実施形態を示した斜視図である。
【図2】本発明の異物除去装置の第二実施形態を示した斜視図である。
【図3】本発明の異物除去装置の第三実施形態を示した斜視図である。
【図4】本発明の異物除去装置の第四実施形態を示した斜視図である。
【図5】第二実施形態の異物除去装置の使用状態を示した斜視図である。
【図6】第二実施形態の異物除去装置の正面図である。
【図7】第二実施形態の異物除去装置の平面図である。
【図8】第二実施形態の異物除去装置の中央断面図である。
【図9】従来の摘採機用露払いアタッチメントの吹出部の一例を示した斜視図である。
【図10】図9の吹出部から吹き出す風の向きを説明するための図であり(A)は上面図、(B)は側面図を示す。
【図11】第二実施形態の異物除去装置から吹き出す風の向きを説明するための図であり、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【図12】第二実施形態の異物除去装置において、異物を払落す状態を示した前面図である。
【図13】発明品の風速測定位置を示した図である。
【図14】発明品及び従来品から流れ出た風速を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の異物除去装置を、実施形態に基づいて説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明の異物除去装置は、風を送り出す送風部と、送風部からの風を導く導風部と、上面の中央部に導風部を連結する吸気口を設けたダクト部と、ダクト部の前面に設けたスリット状の吹出口とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
導風部は、1つでもよいが、2つ以上設けることもでき、この場合、ダクト部内に内部を仕切るセパレーター板を設けることが好ましく、これにより乱流を防ぐことができる。さらには、セパレーター板は、各吸気口を分け隔てるように設けたほうがより効果的に乱流を防げる。
【0013】
例えば、図1には本発明の第一実施形態の異物除去装置11が示してあり、これは、風を送り出す送風部(図示せず)と、送風部からの風を導く一つの導風部12と、上面13aの中央部に導風部12を連結する吸気口131を設けたダクト部13と、ダクト部13の前面13bに設けたスリット状の吹出口15とを備えたものである。
【0014】
図2には本発明の第二実施形態の異物除去装置1が示してあり、これは、風を送り出す送風部(図示せず)と、送風部からの風を導く二つの導風部2と、上面3aの中央部に各導風部を連結する横並びの二つの吸気口31を設けたダクト部3と、二つの吸気口31間に設け、ダクト部3内を仕切るセパレーター板4と、ダクト部3の前面3bに設けたスリット状の吹出口5とを備えたものである。
【0015】
図3には本発明の第三実施形態の異物除去装置21が示してあり、これは、風を送り出す送風部(図示せず)と、送風部からの風を導く二つの導風部22と、上面23aの中央部に各導風部を連結する横並びの二つの吸気口231を設けたダクト部23と、ダクト部23の前面23bに設けたスリット状の吹出口25とを備えたものである。この異物除去装置21は、中央部で左右に二分割可能な形状に形成してあり、中央部を結合して用いることができ、内側側面23eがセパレーター板を兼ねるものである。
【0016】
図4には本発明の第四実施形態の異物除去装置31が示してあり、これは、風を送り出す送風部(図示せず)と、送風部からの風を導く三つ以上の導風部32と、上面33aの中央部に各導風部32を連結する横並びの吸気口331を設けたダクト部33と、各吸気口331間に設け、ダクト部33内を仕切るセパレーター板34と、ダクト部33の前面33bに設けたスリット状の吹出口35とを備えたものである。
【0017】
上記各実施形態の異物除去装置は、茶樹表面に強い風を吹き付けることができるとともに茶樹畝の外側に向かい風を送り出せるため、茶葉に付着した異物や比較的大きく、重い異物なども畝間に効率よく払い落とすことができる。
【0018】
以下、上記第二実施形態の異物除去装置1について、より詳細に説明する。
【0019】
本発明の第二実施形態の異物除去装置1は、図5に示すように、茶樹畝6の畝間61を走行する門型の走行型摘採機8に取り付けてあり、図2,5〜8に示すように、風を送り出す送風部81と、送風部81からの風を導く二つの導風部2と、上面3aの中央部に各導風部2を連結する左右横並びの吸気口31を設けたダクト部3と、各吸気口31間に設け、ダクト部3内を仕切るセパレーター板4と、ダクト部3の前面3bに設けたスリット状の吹出口5と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
導風部2は、エンジンやファンなどを備えた送風部81から送り出された風をダクト部3に導くものであり、ステンレスやアルミなどの金属や合成樹脂、ゴムなどからなる管を用いることができる。本実施形態では、合成樹脂からなり、蛇腹状に形成された伸縮性のあるものを用いている。
【0021】
ダクト部3は、内部を空洞としてあり、導風部2から吹き込まれた風を吹出口5から流し出すものである。
ダクト部3は、本実施形態では、図2又は6に示すように、略左右対称に形成し、中央部から左右端部に向かい先細り、底面3cが茶樹畝の表面に沿うようにアーチ状に形成してある。上面3aには、図7に示すように、中央部に各導風部2を連結する左右の吸気口31が設けてあり、前面3bには、図8に示すように、前側に突出したノズル部32が設けてあり、その先端にスリット状の吹出口5が設けてある。内部は、図2又は8に示すように、中央に設けたセパレーター板4で左右に仕切られており、左右の吸気口31から吹き込まれた風が混ざり合い乱流を起こさないようにしてある。
ダクト部3の側面3dは、図7に示すように、外側向きに形成してある。側面3dは、前面3bに対して直角に形成してもよいが、後述する整流板51と同一向きにするのがよく、これにより、吹出口5から吹出される風が外側向きに流れやすくなる。
【0022】
吹出口5は、本実施形態では、図6に示すように、細長アーチ型に開口させて形成してあり、その開口幅は、3mm〜6mm、好ましくは4mm〜5mmとすることができる。
吹出口5には、図7に示すように、整流板51を配することができ、これにより、風向きを調節することができる。整流板51は、底面3cに対して直交するように取り付けてあり、平面視において茶樹畝の外側に向くように外側向きに配することが好ましい。この角度は、15°〜30°、好ましくは約20°とすることがよく、対象物の大きさや重さにより異なる。また、整流板51は、ノズル部32よりも長めに形成し、整流板51がダクト部3の内方に突出するように配するのが好ましい。
本実施形態では、16ヶの整流板51を左右対称に等間隔で配してあるが、これに限定するものではなく、整流板51を配さない構成とすることもできる。
【0023】
異物除去装置1は、可搬式、背負い式又はレール式などの専用機として用いることができ、また、従来からあるレール式又は走行型などの摘採機や管理機などの前面に取り付け可能なアタッチメントとして用いることもでき、異物を除去しながら摘採することもできる。摘採機に取り付ける場合は摘採機に予め搭載してある送風部に導風部2を連結して用いることもできる。
異物除去装置1に、上下動ユニットを取り付けて上下動可能にし、吹出口5の上下位置を調整可能にしたり、角度調整部材を取り付けて回転可能にし、吹出口5の向きを調整可能にしたりすることもできる。
【0024】
異物除去装置1は、導風部2をダクト部3の中央部に配し、ダクト部3内をセパレーター板4で仕切るようにしたため、吹出口5から流れ出る風が指向性を有し、茶樹畝の茶葉に付着した異物7を畝間61に効率よく払い落とすことができる。
詳しく説明すると、図9に示すような吹出部を有する従来の摘採機用露払いアタッチメント(特開2010−136661号公報に記載の発明)は、スリット状の吹出口91を備えた吹出部9であるが、吹出部9の両端部に導風部を連結できる吸気口92を形成したものである。これでは、図10(A)の矢印で示すように、茶樹畝6に対して平行に風が吹き出し、また、図10(B)の矢印で示すように、上下に幅広く風が吹き、強い風が遠方まで届きにくいため、前方に異物7が集積されやすく、集積された異物7を手作業で払い落とさなければならないという問題が生じていた。
しかし、異物除去装置1では、図11(A)の矢印で示すように、茶樹畝6に対して斜め外側向きに風が吹き出し、また、図11(B)の矢印で示すように、乱流が起こりにくいため上下に広がらず真っ直ぐに風が吹き、強い風が遠方まで到達する。茶樹畝6の中央にあった異物7は異物除去装置1が移動するとともに、畝間61に移送することができ、図12に示すように、畝間61に異物7を払い落としやすく、異物7を効率よく除去することができる。
【0025】
異物除去装置1は、雨や朝霧などの水滴や露、土や火山灰などの埃、樹木や草花の枯葉、虫などの小動物等茶葉の表裏に付着した異物7を払い落とすことができる。なかでも、露払いとして用いることが好適であり、強い風を吹出すことができるため、露を払い落とすとともに茶樹畝6上に舞い落ちた杉や檜などの重みのある葉を払い落とすことができる。
【0026】
(性能試験)
以下の発明品及び従来品を作製して性能試験を実施した。
【0027】
(発明品)
図2,6〜8に示したものと同一形状の異物除去装置を作製し、これを走行型摘採機に取り付けて風速試験を行った。この吹出口の開口幅は、4.5mmとした。風速測定は、図13に示すように、吹出口の中間部を基準点1(0mm)として、そこから吹出口に沿い100mm毎に900mmの基準点9の位置において、吹出口直近0mm(A列)、吹出口から前方100mm(B列)、吹出口から前方200mm(C列)の3箇所で行い、風速計を用いて測定した。
この際、送風部としては走行型摘採機に搭載されているガソリンエンジン、ターボブロアを用いて行った。その結果を図14に示す。
【0028】
(従来品)
図9に示したものと同一形状の吹出部を有する摘採機用露払いアタッチメント(特開2010−136661号公報に記載の発明)を作製し、上記と同じ走行型摘採機に取り付けて風速試験を行った。この摘採機用露払いアタッチメントの吹出口は、形状、大きさを上記試験品と同じにした。風速測定は、上記試験品と同様に、吹出口の中央部を基準点1(0mm)として、そこから吹出口に沿い100mm毎に900mmの基準点9の位置において、吹出口直近0mm(A列)、吹出口から前方100mm(B列)、吹出口から前方200mm(C列)の3箇所で行い、風速計を用いて測定した。その結果を図14に示す。
【0029】
(風速性能)
図14に示すように、発明品(実線)は、従来品(破線)と比べて、A列では風速が弱まるが、B列及びC列では強まっており、基準点1〜8においては吹出口から遠方まで強い風が均等に吹き出されていることが確認された。
また、発明品の基準点9の位置では、A列及びB列の風速は0m/sに近いが、C列の風速は他の基準点1〜8と同じくらいであり、発明品は、外側向き斜めに風が吹き出していることが確認された。
【0030】
(払落し性能)
発明品では、茶樹畝上の異物が外側向きに舞い、畝間に異物が払い落されていき、効率よく異物を除去することができた。
従来品では、茶樹畝上の異物が前方に移動して集積されていき、装置前方に蓄積されていくため、装置を停止して異物を手作業で払い落とさなければならなかった。
【符号の説明】
【0031】
1,11,21,31異物除去装置
2,12,22,32導風部
3,13,23,33ダクト部
3a,13a,23a,33a上面
3b,13b,23b,33b
3c底面
3d側面
3e内側側面
31,131,231,331吸気口
32ノズル部
4,34セパレーター板
5,15,25,35吹出口
6茶樹畝
61畝間
7異物
8走行型摘採機
81送風部
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶樹畝の茶葉に付着した水滴、露、埃、枯葉、小動物、虫などの異物を風で払い落とすことができる異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、茶樹から茶葉を摘採する前に、捕虫装置や露払い機を用いて、水滴、露、虫などを払い落とすことが行われている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、茶樹に寄生した害虫を、強制風のみ、あるいは、水を含んだ強制風によって吹き飛ばすことを特徴とする送風式捕虫方法が示されている。
また、台風などにより強風が吹き荒れた後には、茶樹畝上に杉や檜などの葉が舞い落ちている場合があり、このような葉は重みがあるため強い風を送り出して払い落とす必要がある。
そこで、下記特許文献2には、スリット状の吹出口を設けた吹出部を有する摘採機用露払いアタッチメントが示されており、茶樹畝に強い風を吹き付けることができるようにしてある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−135600号公報
【特許文献2】特開2010−136661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に記載の露払いアタッチメントは、強い風を送り出すことができ、異物の払い落としには好適なものである。しかし、これを用いて落ち葉などの比較的大きな異物を除去しようとすると、前方に異物が集積されていき、この集積された異物を手作業で払い落とさなければならず、効率よく除去できるものではなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、茶樹畝の茶葉に付着した異物、特に落ち葉などの比較的大きく、重い異物や葉裏に付着した異物などを効率よく除去できる異物除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の異物除去装置は、風を送り出す送風部と、送風部からの風を導く導風部と、上面の中央部に導風部を連結する吸気口を設けたダクト部と、ダクト部の前面に設けたスリット状の吹出口と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように、導風部をダクト部の上面中央部に連結したことにより、茶樹畝の外側に向かい風を送り出せるため、茶葉に付着した異物や比較的大きく、重い異物なども畝間に効率よく払い落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の異物除去装置の第一実施形態を示した斜視図である。
【図2】本発明の異物除去装置の第二実施形態を示した斜視図である。
【図3】本発明の異物除去装置の第三実施形態を示した斜視図である。
【図4】本発明の異物除去装置の第四実施形態を示した斜視図である。
【図5】第二実施形態の異物除去装置の使用状態を示した斜視図である。
【図6】第二実施形態の異物除去装置の正面図である。
【図7】第二実施形態の異物除去装置の平面図である。
【図8】第二実施形態の異物除去装置の中央断面図である。
【図9】従来の摘採機用露払いアタッチメントの吹出部の一例を示した斜視図である。
【図10】図9の吹出部から吹き出す風の向きを説明するための図であり(A)は上面図、(B)は側面図を示す。
【図11】第二実施形態の異物除去装置から吹き出す風の向きを説明するための図であり、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【図12】第二実施形態の異物除去装置において、異物を払落す状態を示した前面図である。
【図13】発明品の風速測定位置を示した図である。
【図14】発明品及び従来品から流れ出た風速を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の異物除去装置を、実施形態に基づいて説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明の異物除去装置は、風を送り出す送風部と、送風部からの風を導く導風部と、上面の中央部に導風部を連結する吸気口を設けたダクト部と、ダクト部の前面に設けたスリット状の吹出口とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
導風部は、1つでもよいが、2つ以上設けることもでき、この場合、ダクト部内に内部を仕切るセパレーター板を設けることが好ましく、これにより乱流を防ぐことができる。さらには、セパレーター板は、各吸気口を分け隔てるように設けたほうがより効果的に乱流を防げる。
【0013】
例えば、図1には本発明の第一実施形態の異物除去装置11が示してあり、これは、風を送り出す送風部(図示せず)と、送風部からの風を導く一つの導風部12と、上面13aの中央部に導風部12を連結する吸気口131を設けたダクト部13と、ダクト部13の前面13bに設けたスリット状の吹出口15とを備えたものである。
【0014】
図2には本発明の第二実施形態の異物除去装置1が示してあり、これは、風を送り出す送風部(図示せず)と、送風部からの風を導く二つの導風部2と、上面3aの中央部に各導風部を連結する横並びの二つの吸気口31を設けたダクト部3と、二つの吸気口31間に設け、ダクト部3内を仕切るセパレーター板4と、ダクト部3の前面3bに設けたスリット状の吹出口5とを備えたものである。
【0015】
図3には本発明の第三実施形態の異物除去装置21が示してあり、これは、風を送り出す送風部(図示せず)と、送風部からの風を導く二つの導風部22と、上面23aの中央部に各導風部を連結する横並びの二つの吸気口231を設けたダクト部23と、ダクト部23の前面23bに設けたスリット状の吹出口25とを備えたものである。この異物除去装置21は、中央部で左右に二分割可能な形状に形成してあり、中央部を結合して用いることができ、内側側面23eがセパレーター板を兼ねるものである。
【0016】
図4には本発明の第四実施形態の異物除去装置31が示してあり、これは、風を送り出す送風部(図示せず)と、送風部からの風を導く三つ以上の導風部32と、上面33aの中央部に各導風部32を連結する横並びの吸気口331を設けたダクト部33と、各吸気口331間に設け、ダクト部33内を仕切るセパレーター板34と、ダクト部33の前面33bに設けたスリット状の吹出口35とを備えたものである。
【0017】
上記各実施形態の異物除去装置は、茶樹表面に強い風を吹き付けることができるとともに茶樹畝の外側に向かい風を送り出せるため、茶葉に付着した異物や比較的大きく、重い異物なども畝間に効率よく払い落とすことができる。
【0018】
以下、上記第二実施形態の異物除去装置1について、より詳細に説明する。
【0019】
本発明の第二実施形態の異物除去装置1は、図5に示すように、茶樹畝6の畝間61を走行する門型の走行型摘採機8に取り付けてあり、図2,5〜8に示すように、風を送り出す送風部81と、送風部81からの風を導く二つの導風部2と、上面3aの中央部に各導風部2を連結する左右横並びの吸気口31を設けたダクト部3と、各吸気口31間に設け、ダクト部3内を仕切るセパレーター板4と、ダクト部3の前面3bに設けたスリット状の吹出口5と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
導風部2は、エンジンやファンなどを備えた送風部81から送り出された風をダクト部3に導くものであり、ステンレスやアルミなどの金属や合成樹脂、ゴムなどからなる管を用いることができる。本実施形態では、合成樹脂からなり、蛇腹状に形成された伸縮性のあるものを用いている。
【0021】
ダクト部3は、内部を空洞としてあり、導風部2から吹き込まれた風を吹出口5から流し出すものである。
ダクト部3は、本実施形態では、図2又は6に示すように、略左右対称に形成し、中央部から左右端部に向かい先細り、底面3cが茶樹畝の表面に沿うようにアーチ状に形成してある。上面3aには、図7に示すように、中央部に各導風部2を連結する左右の吸気口31が設けてあり、前面3bには、図8に示すように、前側に突出したノズル部32が設けてあり、その先端にスリット状の吹出口5が設けてある。内部は、図2又は8に示すように、中央に設けたセパレーター板4で左右に仕切られており、左右の吸気口31から吹き込まれた風が混ざり合い乱流を起こさないようにしてある。
ダクト部3の側面3dは、図7に示すように、外側向きに形成してある。側面3dは、前面3bに対して直角に形成してもよいが、後述する整流板51と同一向きにするのがよく、これにより、吹出口5から吹出される風が外側向きに流れやすくなる。
【0022】
吹出口5は、本実施形態では、図6に示すように、細長アーチ型に開口させて形成してあり、その開口幅は、3mm〜6mm、好ましくは4mm〜5mmとすることができる。
吹出口5には、図7に示すように、整流板51を配することができ、これにより、風向きを調節することができる。整流板51は、底面3cに対して直交するように取り付けてあり、平面視において茶樹畝の外側に向くように外側向きに配することが好ましい。この角度は、15°〜30°、好ましくは約20°とすることがよく、対象物の大きさや重さにより異なる。また、整流板51は、ノズル部32よりも長めに形成し、整流板51がダクト部3の内方に突出するように配するのが好ましい。
本実施形態では、16ヶの整流板51を左右対称に等間隔で配してあるが、これに限定するものではなく、整流板51を配さない構成とすることもできる。
【0023】
異物除去装置1は、可搬式、背負い式又はレール式などの専用機として用いることができ、また、従来からあるレール式又は走行型などの摘採機や管理機などの前面に取り付け可能なアタッチメントとして用いることもでき、異物を除去しながら摘採することもできる。摘採機に取り付ける場合は摘採機に予め搭載してある送風部に導風部2を連結して用いることもできる。
異物除去装置1に、上下動ユニットを取り付けて上下動可能にし、吹出口5の上下位置を調整可能にしたり、角度調整部材を取り付けて回転可能にし、吹出口5の向きを調整可能にしたりすることもできる。
【0024】
異物除去装置1は、導風部2をダクト部3の中央部に配し、ダクト部3内をセパレーター板4で仕切るようにしたため、吹出口5から流れ出る風が指向性を有し、茶樹畝の茶葉に付着した異物7を畝間61に効率よく払い落とすことができる。
詳しく説明すると、図9に示すような吹出部を有する従来の摘採機用露払いアタッチメント(特開2010−136661号公報に記載の発明)は、スリット状の吹出口91を備えた吹出部9であるが、吹出部9の両端部に導風部を連結できる吸気口92を形成したものである。これでは、図10(A)の矢印で示すように、茶樹畝6に対して平行に風が吹き出し、また、図10(B)の矢印で示すように、上下に幅広く風が吹き、強い風が遠方まで届きにくいため、前方に異物7が集積されやすく、集積された異物7を手作業で払い落とさなければならないという問題が生じていた。
しかし、異物除去装置1では、図11(A)の矢印で示すように、茶樹畝6に対して斜め外側向きに風が吹き出し、また、図11(B)の矢印で示すように、乱流が起こりにくいため上下に広がらず真っ直ぐに風が吹き、強い風が遠方まで到達する。茶樹畝6の中央にあった異物7は異物除去装置1が移動するとともに、畝間61に移送することができ、図12に示すように、畝間61に異物7を払い落としやすく、異物7を効率よく除去することができる。
【0025】
異物除去装置1は、雨や朝霧などの水滴や露、土や火山灰などの埃、樹木や草花の枯葉、虫などの小動物等茶葉の表裏に付着した異物7を払い落とすことができる。なかでも、露払いとして用いることが好適であり、強い風を吹出すことができるため、露を払い落とすとともに茶樹畝6上に舞い落ちた杉や檜などの重みのある葉を払い落とすことができる。
【0026】
(性能試験)
以下の発明品及び従来品を作製して性能試験を実施した。
【0027】
(発明品)
図2,6〜8に示したものと同一形状の異物除去装置を作製し、これを走行型摘採機に取り付けて風速試験を行った。この吹出口の開口幅は、4.5mmとした。風速測定は、図13に示すように、吹出口の中間部を基準点1(0mm)として、そこから吹出口に沿い100mm毎に900mmの基準点9の位置において、吹出口直近0mm(A列)、吹出口から前方100mm(B列)、吹出口から前方200mm(C列)の3箇所で行い、風速計を用いて測定した。
この際、送風部としては走行型摘採機に搭載されているガソリンエンジン、ターボブロアを用いて行った。その結果を図14に示す。
【0028】
(従来品)
図9に示したものと同一形状の吹出部を有する摘採機用露払いアタッチメント(特開2010−136661号公報に記載の発明)を作製し、上記と同じ走行型摘採機に取り付けて風速試験を行った。この摘採機用露払いアタッチメントの吹出口は、形状、大きさを上記試験品と同じにした。風速測定は、上記試験品と同様に、吹出口の中央部を基準点1(0mm)として、そこから吹出口に沿い100mm毎に900mmの基準点9の位置において、吹出口直近0mm(A列)、吹出口から前方100mm(B列)、吹出口から前方200mm(C列)の3箇所で行い、風速計を用いて測定した。その結果を図14に示す。
【0029】
(風速性能)
図14に示すように、発明品(実線)は、従来品(破線)と比べて、A列では風速が弱まるが、B列及びC列では強まっており、基準点1〜8においては吹出口から遠方まで強い風が均等に吹き出されていることが確認された。
また、発明品の基準点9の位置では、A列及びB列の風速は0m/sに近いが、C列の風速は他の基準点1〜8と同じくらいであり、発明品は、外側向き斜めに風が吹き出していることが確認された。
【0030】
(払落し性能)
発明品では、茶樹畝上の異物が外側向きに舞い、畝間に異物が払い落されていき、効率よく異物を除去することができた。
従来品では、茶樹畝上の異物が前方に移動して集積されていき、装置前方に蓄積されていくため、装置を停止して異物を手作業で払い落とさなければならなかった。
【符号の説明】
【0031】
1,11,21,31異物除去装置
2,12,22,32導風部
3,13,23,33ダクト部
3a,13a,23a,33a上面
3b,13b,23b,33b
3c底面
3d側面
3e内側側面
31,131,231,331吸気口
32ノズル部
4,34セパレーター板
5,15,25,35吹出口
6茶樹畝
61畝間
7異物
8走行型摘採機
81送風部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風を送り出す送風部と、送風部からの風を導く導風部と、上面の中央部に導風部を連結する吸気口を設けたダクト部と、ダクト部の前面に設けたスリット状の吹出口と、を備えた異物除去装置。
【請求項2】
導風部は一つ又は複数設け、ダクト部は上面の中央部に各導風部を連結する吸気口を設け、ダクト部内に内部を仕切るセパレーター板を設けた請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
左右二分割可能に形成した請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項4】
導風部を複数設け、各吸気口の間にセパレーター板を設けた請求項1又は2に記載の異物除去装置。
【請求項5】
吹出口に、整流板を外側向きに配した請求項1〜4のいずれかに記載の異物除去装置。
【請求項6】
ダクト部の側面を、整流板と同一向きに形成した請求項5に記載の異物除去装置。
【請求項1】
風を送り出す送風部と、送風部からの風を導く導風部と、上面の中央部に導風部を連結する吸気口を設けたダクト部と、ダクト部の前面に設けたスリット状の吹出口と、を備えた異物除去装置。
【請求項2】
導風部は一つ又は複数設け、ダクト部は上面の中央部に各導風部を連結する吸気口を設け、ダクト部内に内部を仕切るセパレーター板を設けた請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
左右二分割可能に形成した請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項4】
導風部を複数設け、各吸気口の間にセパレーター板を設けた請求項1又は2に記載の異物除去装置。
【請求項5】
吹出口に、整流板を外側向きに配した請求項1〜4のいずれかに記載の異物除去装置。
【請求項6】
ダクト部の側面を、整流板と同一向きに形成した請求項5に記載の異物除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−95592(P2012−95592A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245545(P2010−245545)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【特許番号】特許第4868339号(P4868339)
【特許公報発行日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【特許番号】特許第4868339号(P4868339)
【特許公報発行日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【Fターム(参考)】
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