説明

疲労改善組成物

【課題】(1)日々の疲れ、(2)疲れやすさ、疲れの取れやすさ、(3)肩こり、(4)頭痛感、(5)目覚めのすっきり感、(6)目の疲労回復等の疲労回復や、さらには(7)目の乾燥、(8)風邪の引きやすさの改善、(9)物忘れ、(10)憂鬱な気分、(11)肌のたるみ、(12)髪の毛のボリュウム等疲労に伴う不定愁訴に対して顕著な効果を有する疲労改善組成物の提供。
【解決手段】大豆サポニンBグループを含有する疲労改善組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲労改善組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、大豆成分の特性に着目して研究開発を続けてきた。先に、大豆サポニンBグループに異常タンパク質除去作用があることを知見し、特許文献1を提案した。また、本出願人は更に、研究開発を継続したところ、大豆サポニンBグループに血流改善機能があることを知見し、特許文献2を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−124327号公報
【特許文献2】特開2010−59142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、疲労改善組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)大豆サポニンBグループを含有することを特徴とする疲労改善組成物。
(2)大豆サポニンBグループは大豆抽出物由来であって、大豆抽出物100重量部のうち、大豆サポニンBグループを30〜100重量部含有する大豆抽出物であることを特徴とする(1)記載の疲労改善組成物。
(3)大豆サポニンBグループは大豆抽出物由来であって、大豆抽出物100重量部のうち、大豆サポニンBグループを50〜100重量部含有する大豆抽出物であることを特徴とする(1)に記載の疲労改善組成物。
(4)大豆サポニンBグループ含有物には、大豆サポニンBグループとしてSoyasaponinI、II、III、IV、Vあるいはそれらのアセチル体、大豆サポニンAグループとしてSoyasaponin A1、A2、A3、A4、A5、A6、Ac、Adあるいはそれらのアセチル体が含まれていることを特徴とする(1)〜(3)に記載の疲労改善組成物。
(5)疲労改善が肩こり改善、頭痛感改善、又は目覚めのすっきり感改善であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の疲労改善組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の疲労改善組成物を含有することを特徴とする疲労改善食品。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載の疲労改善組成物を含有することを特徴とする疲労改善飼料又は動物薬。
【発明の効果】
【0006】
大豆サポニンBグループを含有した組成物には、(1)日々の疲れ、(2)疲れやすさ、疲れの取れやすさ、(3)肩こり、(4)頭痛感、(5)目覚めのすっきり感、(6)目の疲労回復等の疲労回復、やさらには(7)目の乾燥、(8)風邪の引きやすさの改善、(9)物忘れ、(10)憂鬱な気分、(11)肌のたるみ、(12)髪の毛のボリュウム等疲労に伴う不定愁訴に対して顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】錠剤摂取後の疲労改善状況を、VASの変化(体調)で示したグラフ
【図2】錠剤摂取後の日々の疲れの改善状況を、効果実感度の段階評価で示したグラフ
【図3】錠剤摂取後の疲れ易さの改善、疲労回復スピードの改善状況を、効果実感度の段階評価で示したグラフ
【図4】錠剤摂取後の肩こりの改善状況を、効果実感度の段階評価で示したグラフ
【図5】錠剤摂取後の頭重感の改善状況を、効果実感度の段階評価で示したグラフ
【図6】錠剤摂取後の目覚めのすっきり感の改善状況を、効果実感度の段階評価で示したグラフ
【図7】大豆サポニンBを含有する製剤を投与することによる疲労回復を確認した2重盲検試験の結果を示すグラフ
【図8】大豆サポニンBを含有する製剤を投与することによる疲労回復の指標の変化を確認した2重盲検試験の結果を示すグラフ
【図9】大豆サポニンBを含有する製剤を投与することによる総合的な疲労回復の実感を確認した2重盲検試験の結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を詳細に説明する。
大豆由来のサポニンは、大豆種子中の種皮、子葉、胚軸又は大豆植物体の葉、茎、根等に広く分布する。構造的にはグリチルリチンと類似の構造であるが、トリテルペノイド骨格に2〜5個の糖から成る糖鎖を持つ。大豆サポニンはアグリコン(非糖部)の構造によって4つのグループ(A、B、E及びDDMPグループ)に分類され、すべてのグループのサポニンが多種多様な糖鎖構造を有する。
現在までにSoyasapogenol A、B、E及びDDMPをそれぞれアグリコンとする8種類のAグループ、2種類のEグループ、5種類のBグループ、6種類のDDMPグループが同定されている。 サポニンAグループはSoyasapogenol AのC-3とC-22位の2箇所に糖鎖が結合したビスデスモサイド型サポニンで大豆の種子胚軸にのみ分布しており不快味(苦み、収斂味)の主因である。現在サポニンAグループに関しては2通りの命名があり、SoyasaponinA1とSoyasaponinAbは同一化合物であり、同じくA2はAf、A3はAh、A4はAa、A5はAe 、A6はAgとなっている。Ac及びAdは別名が知られていない。
【0009】
これに対してサポニンBグループ及びEグループは、C-3位にのみ糖鎖が1本結合したモノデスモサイド型サポニンである。サポニンDDMPグループは温和な条件下で抽出を行なうと精製できるが(非特許文献Agric Biol Chem,57 546-550(1993))、加熱条件下及びアルカリ条件下においてサポニンBグループに変換される。従って大豆中に存在するサポニンはそのほとんどがサポニンAグループ及びサポニンDDMPグループであって、サポニンBグループはわずかであり、サポニンBグループはその多くが抽出の際にサポニンDDMPグループから生成するアーティファクト成分であると推定されている。サポニンBグループは大豆胚軸や子葉に多く存在し、現在サポニンBグループに関しては2通りの命名があり、SoyasaponinIとSoyasaponinBbは同一化合物であり、同じくIIはBc、IIIはBb’、IVはBc’、VはBaとなっている(非特許文献 BBB 62(12) 2291-2299,1998)。
【0010】
一般に、サポニンは溶血性を示すものが多い。しかし、大豆サポニンは溶血性をほとんど有さないという報告がなされている(非特許文献 基礎と臨床 Vol.15 No.5 1981)。 また、本発明者等が大豆から得られた大豆サポニン類の家兎2%血液浮遊液に対する溶血指数を測定したところ、人参サポニンと同様100以下であり、他の報告同様溶血性を有さないことが判明した。 また、本発明者等は、特許文献1に開示したように、変異原性及び急性毒性について試験したところ、いずれも異常なく、大豆サポニンBグループは安全性が高いことが確認された。
本発明の大豆サポニンBグループを高含有する組成物(以下「高含有大豆サポニンBグループ」と称する場合がある。)は、以下の工程で得ることが出来る。
【0011】
[サポニンの抽出]
原料大豆胚軸は、有機溶媒等であらかじめ脱脂したもの、していないものいずれも使用可能であるが、サポニンの抽出効率から脱脂したものの方が有利である。原料大豆胚軸よりサポニンを抽出する方法は、室温から80℃において原料に対して5〜10倍容量の抽出溶媒を加えて攪拌するのが一般的な方法であるが、サポニンが十分に抽出できる条件であれば特に限定されない。 本発明におけるイオン交換樹脂は、3級アミンを含む弱塩基性陰イオン交換樹脂であれば特に制限はなく、粒径が不均一な樹脂、例えば、三菱化成製ダイヤイオンWA-30なども利用可能であるが、平均粒径±10%の範囲に90%以上の粒度分布をもつ均一粒径のものが好ましい。
【0012】
[サポニンの溶出・精製]
上記サポニン抽出液から、蒸留操作により溶媒を溜去し、水で希釈したサポニン溶液を上記イオン交換樹脂に吸着させた後、水、アルコールあるいは含水アルコールで樹脂を洗浄した後、酸又はアルカリを使って樹脂に吸着させたサポニンを溶出する。溶出したサポニン溶液をそのまま乾燥して得られる大豆サポニン粗精製物は純度20〜50重量%と低く、サポニン以外の不純物が多く、生理活性の高い大豆サポニンBグループの比率も20〜30重量%程度と低いものである。
【0013】
サポニンの純度を高めるために、溶出したサポニンをそのまま水で希釈し、無極性の合成吸着剤にサポニンを吸着させる。無極性の合成吸着剤としては、スチレン・ジビニルベンゼン型樹脂などがあり、例えば、三菱化学製、ダイヤイオンHP-20やローム・アンド・ハース社製のアンバーライトXAD−2などが使用可能である。合成吸着剤に吸着させる際に使用する含水アルコール中のアルコール濃度はアルコールの種類によって異なるが、メタノールの場合は、0〜50重量%、エタノールの場合は、0〜30重量%が好ましい。次に、水あるいは含水エタノールで樹脂を洗浄した後、洗浄時よりアルコール濃度の高い含水アルコールで溶出させてサポニン高含有溶液を得ることができる。
【0014】
[後処理]
得られたサポニン高含有溶液を、必要に応じてpH調製剤を用いてpH調製した後、加熱乾燥、減圧加熱乾燥、スプレードライ、凍結乾燥などの方法で乾燥することにより高含有大豆サポニン粉末を得ることができる。
以上の工程で効率よく安価に、純度70重量%以上の高含有大豆サポニンを得ることができ、かつ、活性の高い大豆サポニンBグループを50重量%以上の濃度に濃縮できる他、総サポニン中の大豆サポニンBグループ比率を70重量%以上に高めることもできる。例えば、特開2006−124324号公報に製法が開示されている。
【0015】
樹脂による精製を行なう順序としては、陰イオン交換樹脂による処理を行なった後に、無極性の合成吸着剤による精製を行なう。合成吸着剤で先に処理した場合、低極性物質などが合成吸着剤に強く吸着され、アルカリ処理など、通常の樹脂再生処理を行なっても樹脂の劣化が起こり、樹脂の能力が徐々に低下するが、これに対して、先に陰イオン交換樹脂で大豆サポニンを粗精製することにより、大豆イソフラボンやオリゴ糖の他、低極性物質を取り除くことができ、続く無極性の合成吸着剤の処理能力が向上し、劣化が起こり難くなるのである。その際には、陰イオン交換樹脂は、アルカリによる処理により何度も繰り返し使うことができる。
【0016】
大豆サポニンBグループをリッチに調製した組成物には、疲労回復効果があることが確認された。
このような作用効果を利用する形態としては、医薬、食品、飲料、サプリメント、食品添加剤、飼料、飼料添加剤、動物薬等である。経口提供、非経口提供も可能である。 高含有大豆サポニンBグループは、そのままでも、様々な用途に使用できるが、目的に応じて予め様々な他の成分と混合、あるいは食品や飼料あるいは動物薬に添加することができる。
【0017】
食品としては、直接、又は種々の栄養成分を添加して使用できる。例えば、澱粉、乳糖、麦芽糖、植物油脂粉末、カカオ脂末、ステアリン酸などの適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して健康補助食品、保健機能食品などとして、食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用してもよく、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。そのような剤、食品は、通常採用されている製剤化技術により製造することができる。
【0018】
医薬としての適用方法は、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。
【0019】
増量剤と混合した組成物の状態としておくと便利に使用できる。増量剤としては、グルコース、ラクトース、マルトース、ショ糖等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール、デキストリン、サイクロデキストリン等の加工澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ等の澱粉類、カゼイン、大豆蛋白質等の蛋白質、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、ゼラチン、ペクチン、粉末セルロース、カルボキシメチルセルロース等の高分子安定剤、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、カルシウム粉末等が使用できる。
【0020】
本発明の疲労改善組成物は、上記高含有大豆サポニンBグループの他に抗酸化作用を有する化合物を含有させることができる。抗酸化作用を示す化合物は、特に限定されるものではないが、例えば各種ビタミン類、シリマリン等の各種ポリフェノール類、トコトリエノール、補酵素Q10及びそれらを含有する天然成分などが挙げられる。
【0021】
本発明の組成物は、例えば水溶液、油剤、乳液、懸濁液等の液剤、ゲル、クリーム等の半固形剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形剤の形態で適用可能である。従来から公知の方法でこれらの形態に調製し、種々の剤型とすることができる。
【0022】
本発明の疲労改善組成物は、高含有大豆サポニンBグループを主要有効成分として含有する他に、必要に応じ薬学的に許容される希釈剤又は担体等の添加剤を含有することができる。また、本発明の組成物は、必要により、薬学的に活性の高い他の薬効成分を含有することができる。
【0023】
その他、用途や剤型に応じて次のようなものを添加することができる。
油脂類としては、例えば、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、米油、トリオクタン酸グリセリン、等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類が挙げられる。
【0024】
増粘剤として、例えば、カラギーナン、トラガカントガム、クインスシード、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイト等を挙げることができる。
【0025】
薬効成分としては、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB類、ピリドキシン塩酸塩等のビタミンB類、ビタミンB12、葉酸、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD、コレカルシフェロール等のビタミンD類;α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸、α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を挙げることができる。
【0026】
プラセンタエキス、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ブナノキエキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。
【0027】
さらに、カミツレエキス、パセリエキス、ブナノキエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を挙げることができる。
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
実施例1
まず、本発明の実施例1で用いた疲労改善組成物の処方を説明する。
<大豆サポニンの調整>
本発明で用いる大豆サポニンは、大豆抽出物100重量部のうち、大豆サポニンBグループを30〜100重量部使用することが望ましく、上記製造法で得られる。 また、市販品でもJ-オイルミルズ社製のサポニンBを入手し、用いることが出来る。
上記の製造法および製品で得られる大豆サポニンの含有量は50%以上である。
【0030】
<処方>
本実施例では、大豆サポニンの他、コラーゲン、CoQ10、大豆イソフラボン、ヒアルロン酸、ローヤルゼリーを配合した錠剤を被験者に経口投与することにより実験を行った。前記錠剤の配合量は表1のとおりである。
【0031】
【表1】

【0032】
<摂取方法>
1日2回、1回4粒を朝、晩の食後に水などとともに摂取した。
【0033】
<被験者>
(1)選択基準
45歳以上の女性
(2)除外基準
次のいずれかの条件に該当する者は本試験の被験者として除外した。
ア:重度な胃腸疾患、肝疾患、腎疾患、心疾患が疑われる者、またはその既往がある 者
イ:食物(特に、ゼラチン、コラーゲン、大豆、小麦、ハチ)に対するアレルギーも しくは特異体質を有する者
ウ:既に類似した商品(コラーゲン、CoQ10、イソフラボン、サポニン、ヒアルロン 酸を含むサプリメント)を利用している者。ただし、摂取開始1週間前から、それ らのサプリメントを中止できる者は、参加可能とした。
【0034】
<試験方法>
試験デザインは全員が実薬を摂取するオープン試験とした。摂取期間は8週間とし、被験錠剤は、1日2回、朝食後と夕食後に水などと共に摂取させた。モニター期間中は、上記ウに該当するサプリメントの摂取を禁止した。それ以外のサプリメントの継続は許可したが、モニター中に新たなサプリメントの摂取開始は禁止した。
また、飲酒や喫煙、普段の生活で継続して行なっている運動は自由にさせた。
【0035】
<調査方法>
アンケートは、摂取開始前(0週)、摂取2週間後、摂取4週間後および摂取8週間後の計4回実施した。
【0036】
<評価方法及び項目>
(1)VAS法による評価
VAS(Visual Analogue Scale:ビジュアル アナログ スケール、視覚的アナログスケール)とは、例えば、痛みがあるかの評価について、10cmの直線を引き、その左端を「痛みなし」、右端を「想像できる最高の痛み」としたときに、患者(被験者)に現在の痛みがどのあたりにあると感じるか印(×)をつけてもらい、左端から印までの長さを測定して痛みの強さを評価する方法である。VAS法により評価した項目は次のとおり。
・日々の疲労感
・疲れ易さ、疲れの取れ易さ
・肩こり
・頭が重い感じ
・朝起きた時の気分
【0037】
(2)効果実感度の段階評価
改善度により、効果を、「全く感じなかった」、「あまり感じられなかった」、「やや感じられた」、「感じられた」を被験者に選択してもらい、それぞれに、以下の点数を付与した。
0点:全く感じなかった
1点:あまり感じられなかった
2点:やや感じられた
3点:感じられた
【0038】
なお、元々、悩んでいないため、評価できない場合は「評価外」を選択してもらい、統計の際には「評価外」を選択した者を除いて処理を行った。効果実感度の段階評価により評価した項目は次のとおり。
・日々の疲れが改善
・『疲れ易さ』の改善、疲労回復スピードの改善
・肩こりの改善
・頭重感の改善
・目覚めのすっきり感の改善
【0039】
<統計的検定方法>
VASの測定データは、最高点を100点とし、項目別に平均値±標準誤差であらわした。改善実感度は項目別に、「評価外」、0点、1点、2点、3点を選択した人数をそれぞれカウントした。有意差検定は実施しなかった。
【0040】
<結果>
VAS法による評価の変化を図1に示す。図からわかるように、大豆サポニンを含む錠剤を服用すると、全ての評価項目で改善が見られた。特に、「日々の疲労感」、「疲れ易さ・疲れの取れ易さ」、「肩こり」、「朝起きた時の気分」については、摂取前と8週間後では大幅な改善が見られた。
【0041】
次に、効果実感度の段階評価の統計結果について、「日々の疲れが改善」を図2に、「『疲れ易さ』の改善、疲労回復スピードの改善」を図3に、「肩こりの改善」を図4に、「頭重感の改善」を図5に、「目覚めのすっきり感の改善」を図6に示す。
何れの評価項目も、摂取後2週間では、「2点:やや感じられた」か「3点:感じられた」と回答した者が約30%〜約40%程度で過半数を割っていたが、摂取後8週間が経過した後は、「2点:やや感じられた」か「3点:感じられた」と回答した者は、約57%〜約66%と過半数を大幅に超え、大豆サポニンBグループを含む錠剤の摂取により、被験者は、体調が大幅に改善されたとの実感を得たことがわかった。
【0042】
実施例2
<処方>
実施例1と同様に調製した大豆サポニンBグループを用いてソフトカプセル製剤を調製した。ソフトカプセルの処方は次のとおりとした。
処方1:サポニンAZ-B(J-オイルミルズ製)100mg(大豆サポニンBとして50 mg)/日
処方2: プラセボ(油のみ含有)
【0043】
<試験の方法>
プラセボを対照とした並行群間二重盲検法を採用した。
【0044】
<被験者>
平均年齢47歳の健康な男女30名を対象とし、無作為に2群に割付した後、年齢・性別が偏ってないことを確認した。
【0045】
<試験摂取量と摂取方法>
摂取期間:12週間
摂取量: 2粒/日
摂取方法:水と共に摂取
【0046】
<投与試験効果の評価>
アンケートによる実感評価を、摂取4週間後、 8週間後および12週間後の計3回実施した。疲労又は疲労回復の評価指標項目として、「普段感じる体の重さ」、「疲れの回復しやすさ」、「疲れやすさ」、「朝の目覚めの悪さ」、「肩こり」、「日々の疲労感」、「寝つきの悪さ」、「朝起きた時の気分」、「髪の毛のボリューム」、「目の疲れ(頻度や程度を含めて)」、「目のかすみ(頻度や程度を含めて)」、「目の乾燥(頻度や程度を含めて)」、「物忘れ(頻度や程度を含めて)」、「風邪のひきやすさ」、「憂鬱な気分」、「肌のたるみ」、「階段を昇る感じ」、の17項目を設問として採用した。各項目について、摂取開始前を基準として、「1.改善した」、「2.やや改善した」、「3.変わらなかった」、「4.悪くなった」、「5.もともと気にならない」の五段階評価で被験者に回答してもらった。また、総合評価として「1.改善を感じた」、「2、やや感じた」、「3、あまり感じなかった」、「4.まったく感じなかった」の4段階で回答してもらった。なお解析にあたっては「5.もともと気にならない」の評価をした被験者の回答は効果評価の対象外として除外した。
【0047】
<統計的検定方法>
調査回答の評価は「1.改善した」又は「2.やや改善した」、とした被験者数を「効果実感あり」、として集計し、「3.変わらなかった」又は「4.悪くなった」、とした被験者数を「効果実感なし」として集計した。それぞれの評価の出現率を図7に示す。また各項目の評価について、カイ2乗検定を行い、統計的に有意であるか否か評価した。なお総合評価は、感じられた、やや感じられた、あまり感じられなかった、まったく感じなかった、の4段階でMann WhitneyのU検定を行った。
【0048】
<結果>
殆どの調査項目において、図7に示すとおり大豆サポニンB投与群の評価が高かった。特に、図8に示すように、「普段感じる体の重さ」、「朝の目覚めの悪さ」の改善について、大豆サポニン投与群がプラセボ投与群に対して統計的にも有意な効果を示していることが確認された。また被験者の総合評価についても図9に示すノンパラメトリックな順位和検定に示すとおり、大豆投与群が疲労回復の効果があることが明らかとなった。さらにまた、図8に示すとおり「疲れの回復のしやすさ」「疲れやすさ」」の2項目は投与期間が経過するにつれて上昇することが確認された。
以上のとおり、大豆サポニンBを投与する二重盲険試験において、大豆サポニンB投与群が有意に疲労回復することが確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆サポニンBグループを含有することを特徴とする疲労改善組成物。
【請求項2】
大豆サポニンBグループは大豆抽出物由来であって、大豆抽出物100重量部のうち、大豆サポニンBグループを30〜100重量部含有する大豆抽出物であることを特徴とする請求項1記載の疲労改善組成物。
【請求項3】
大豆サポニンBグループは大豆抽出物由来であって、大豆抽出物100重量部のうち、大豆サポニンBグループを50〜100重量部含有する大豆抽出物であることを特徴とする請求項1記載の疲労改善組成物。
【請求項4】
大豆サポニンBグループ含有物には、大豆サポニンBグループとしてSoyasaponinI、II、III、IV、Vあるいはそれらのアセチル体、大豆サポニンAグループとしてSoyasaponin A1、A2、A3、A4、A5、A6、Ac、Adあるいはそれらのアセチル体が含まれていることを特徴とする請求項1〜3に記載の疲労改善組成物。
【請求項5】
疲労改善が肩こり改善、頭痛感改善、又は目覚めのすっきり感改善であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の疲労改善組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の疲労改善組成物を含有することを特徴とする疲労改善食品。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の疲労改善組成物を含有することを特徴とする疲労改善飼料又は動物薬。


【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−31132(P2012−31132A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38031(P2011−38031)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】