説明

疾病を診断するためのIRスペクトログラフィック装置および方法

IR光を準備し、直接レンズ結合を通して、または第1のグループの1つまたは複数の光ファイバを通して、該IR光を結合することを備える、患者の疾病を検出する方法。IR光は患者の一部から反射されて、レンズ構成または第2のグループの1つまたは複数の光ファイバにより収集される。反射されたIR光は、検出されて解析される、そのスペクトルに分散される。患者の疾病の診断に適した装置は、IR光源と、患者の身体部または患者の流体上にIR光を結合する、光ファイバまたは直接レンズ結合を含んでいる。患者から反射された光は、プリズムまたは格子を使用して、光学的に分散される。IR焦平面アレイが、光学的に分散された光を受領する。種々の疾病マーカーまたは化学的指標を特定することにより、患者の疾病の診断を提供するために、反射されたIR光のスペクトルが使用される。この方法と装置は、患者の疾病マーカーを非観血的に検出することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年9月29日に出願された、米国特許仮出願第60/613759号に対する優先権を主張し、その内容の全部が以下に参照により引用される。
【0002】
本開示は、疾病を診断するためのIR分光装置および方法に関し、特に、プレーナ・アレイ赤外線(PAIR)方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
疾病の事前の検知は、非観血的に生体内の特徴付け方法への、非常に多くの地球規模の研究の独創心の目的である。これらの努力の多くは、疾病の早期の発現の非特異的な検出(例えば、眼の白内障、緑内障等)に焦点を当てるが、その他は、疾病を予防するために身体の特定の化学成分(例えば、唾液中のプロゲステロン)、すなわち「疾病マーカー」または「指標」の存非をチェックするように設計されている。
【0004】
長年の間、白内障の端緒を検出するために使用された主要な検査は、光が水晶体に入り、網膜に焦点を合わせられるように、瞳孔の拡張に関わってきた。眼科医による目視検査は、光が水晶体を通る時に網膜に影を投影するかどうかを、明らかにする。水晶体中の蛋白質の領域がこれらの影を投影する時は、影が生じ、白内障の存在に起因して水晶体の「雲様の」外観を表す。この従来の検査は、眼の前室、水晶体、後室の調査を可能にするにもかかわらず、同じ物理的サイズの蛋白質(例えばコラーゲンIV、γ−クリスタリン、リゾチーム等)領域により投影される影が同等なので、そのような技術は未だに非特異的である。したがって、水晶体および水晶体被膜内の、蛋白質の検証とその濃度に対する化学的に明確な兆候の取得が可能な相補的な計測器技術を有することは、例えば、水晶体内での粒子形成の明確な性質への洞察力を提供し、大規模な損傷が発生する前に、早期の適切な治療の着手を可能にするであろう。
【0005】
25年以上の間、光ファイバ・プローブからの無レンズ・バックスキャッタが、白内障の検出に使用されてきた(米国特許第4776687号)。最初はレンズが使用されないので、厳密なスキャッタ体積が決定できるように、プローブは不快なまでに眼に接近していた。これらの懸念を取り除くために、最近は、レーザーの浸透深さを増加するために、シングル・モード光ファイバ・バックスキャッタDLSプローブが開発(米国特許第5973779号)され、それによりプローブを眼に極めて接近させる必要がなくなった。この新しいプローブが、眼の前室、水晶体および後室の検査を現在可能にしているにもかかわらず、同じサイズのコレステロール、糖分およびリゾチーム領域によるスキャッタが同等なので、この方法はやはり非特異的である。したがって、蛋白質濃度の検証に対する化学的に明確な兆候の取得が可能な相補的な計測器技術を有することは、例えば、水晶体内での粒子形成の明確な性質への洞察力を提供し、適切な回避治療の着手を可能にする。
【0006】
白内障の兆候は、水晶体の部分的、または全面的混濁として、臨床的に定義されている。研究の大半は、水晶体被膜に充分な注意を払うことなく、水晶体自身に焦点を当てており、加齢に伴うその厚み、透過度および弾性の変化を経験することとして知られている。
【0007】
1日から7日程度の回復期間を必要とする白内障手術が、米国のみで130万件以上も実行されている。それらの内約6万5千件が成功ではなく、患者を視力障害または失明状態にとどめている。早期の治療(白内障の実際の発症以前の)または白内障の発症に対する素因の早期の検証を提供する、非侵襲性技術の開発は、否応なしである。
【0008】
さらに、緑内障と網膜色素変性症(網膜の光受容桿体が徐々に退化する遺伝性疾病)の検出は、発生しつつある関心事であるが、これらの疾病は、それらの兆候を事前に警告することができる、診断技術を一般的に欠いている。
【0009】
IR分光法は医療産業に対して、ここ30年間医療用途には殆ど見られない。しかしながら、疾病の診断に対して赤外線(IR)分光法・イメージングを使用することの関心は、90年代の半ばのフーリエ変換IR(FT−IR)イメージング・システムの商業的導入以来、増大してきている。これらのIRイメージング・システムは分子振動を検出し、それによりいかなる対照「助剤」の添加をも必要としない。画像用でないFT−IR計測器は、1969年以来商業的に利用可能であり、膜組織、肺表面活性剤、蛋白質の結晶化等の研究に広範囲に使用されてきたが、以上にスキャンニングFT−IR装置に対して言及した機器の限界の故に、ここでも試験管内でのみ存在している。
【0010】
糖尿病性網膜症(DR)の兆候の診断は、網膜を実際に見るために、従来の検眼鏡の使用を通して、または侵襲性では最良である、染料を患者の腕に注射して全身に広がることが必要な、蛍光眼底血管撮影の使用を通して、長年実行されてきた。後者においては、染料が血流に侵入して、次に、網膜の毛細血管の漏出、閉塞および新血管形成を検出するために、網膜の蛍光画像の記録が可能である。これらの方法がかなりの成功を収めているにもかかわらず、それらは発症後の糖尿病の効果を検出するのみである。網膜の損傷に先立って、DRの兆候を検出することができる、非侵襲性の生体内技術を有することは、スクリーニング方法を提供し、網膜への損傷を予防する、新しい医薬療法の開発につながることができる。
【0011】
早期の全ての研究業績は、その計測器の複雑な特性、そのスキャンニング・メカニズム、およびFT−IR機器の可搬性の一般的な欠如、に起因して、主に試験管内の研究に限定されてきた。健康管理の環境、特に生体内に、IR分光法を搬入することの主な障害は、機器使用の容易性の欠如と、サンプルの配置における柔軟性の欠如である。FT−IR機器の移動部品は、FT−IR機器の可搬性を本来的に限定し、インターフェロメトリーのために必要とされる厳密な光学的整列は、さらにサンプル位置の柔軟性を限定する。
【0012】
FT−IR分光法は、蛋白質の二次構造における変化の調査を通して、未成熟な水晶体被膜と成熟した水晶体被膜の間の差別化に、有用であることを示してきた。水晶体が加齢するにつれて、水晶体被膜の主要な成分であるコラーゲンIVの、αヘリカル、βシート、βターンおよびランダム・コイル構造の濃度の変化が発生する。
【0013】
ある研究では、31人の白内障患者(27人が未成熟な白内障であり、4人が成熟した白内障である)から取り除いた水晶体被膜が、約2120〜2150cm−1での水バンドのピーク強度を差し引いた後に、FT−IRスペクトルを測定された。コラーゲンIVの、αヘリカル、βシート、βターンおよびランダム・コイル構造に対して、アミドI(1620〜1690cm−1)、アミドII(1510〜1570cm−1)、アミドIII(1240〜1340cm−1)のバンド強度を使用して、水晶体被膜の蛋白質構造の組成における変化が、進行する白内障形成との相関を測定された。
【0014】
これらの結果は、白内障発生の兆候を判断するための診断用具として、FT−IRが使用されうることを示唆した。しかしながら、以上に言及した理由から、FT−IR分光法は臨床用途には役に立たない。必要なことは、白内障発生の早期の段階で、生体内での検出を可能にする、方法と装置である。
【0015】
以上に言及したある生理学上の条件と、与えられた適宜の機器のために、IR分光法は、疾病の事前の検知、すなわち、特定の疾病「マーカー」または「指標」の確認、に対して有用な、新しい情報を明らかにするために大いに役に立つ可能性がある。必要なことは、移動部品のない、外来患者における診療所での必要性、または病院での設定のために適合された、携帯可能なIRスペクトログラフである。
【0016】
本発明者らによる米国特許第6784428号および本発明者らとElmoreによる米国特許第6943353号には、IR吸収を使用した可動部品のない、種々のプレーナ・アレイ赤外(「PAIR」)スペクトログラフと方法が、開示されている。この装置と方法は、主としてサンプルを通るIRの発信、すなわちIR吸収による、高いデータ収集レートでの、3400から2000cm−1のスペクトル収集が可能である。この機器は従来のFT−IR機器より、本来的により高速より堅牢で、簡潔なデザインは異なるサンプルでの用途に対して、容易に形成されるような変形を可能にする。この機器は焦平面アレイ(FPA)検出器を使用しており、FPAのサイズ(320×256ピクセル)が隣接するピクセルの行に9つまで、またはそれ以上のスペクトル画像を供給することができるので、多重で独立の測定が同時に実行されることができる。その結果、PAIRスペクトログラフは、重要な材料の特性決定の多様な用途に対して、従来のFT−IRインターフェロメトリー以上の、多数の利点を提供する。PAIR技術は、30秒未満のデータ収集時間で、10〜100ppbの感度を示している。
【0017】
気体、液体および単分子層を含む薄膜のサンプルが、開示されたPAIR装置により成功裏に検出されてきている。特に、単分子層の検出は、システムのスループット、信号対雑音比、安定性が全て限界に押しやられる、最も挑戦的な赤外測定の間で、FT−IR分光法業界により周知である。さらに、PAIRのデザインは、システム内の移動部品の必要性を完全に除去し、それにより堅牢で携帯できるプラットフォームを有利に構成することができる。
【0018】
図3A、3B、3Cは、移動部品を使用しない、IR吸収現象に基づく従来のPAIR分光計を示している。しかしながら、この従来のデバイスは、医療用の診断目的、特に、組織および/または例えば、眼、分泌物、唾液、呼気を含む身体の流体に関連する、反射IR技術を使用した生体内診断手順のために適切な、可搬性のために修正されていない。図5は、ポリスチレンのサンプルを使用した、PAIRとFT−IRのスペクトル反応の一例を提供しており、IR領域の関心のある波数にわたって、PAIRとFT−IRが比較しうる結果を提供可能であることが、それから読みとりうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来のPAIRシステムは、低い濃度のサンプルの検出に必要とされる、高い感度と高い速度の双方を有しているにもかかわらず、3400〜2000cm−1の公称スペクトル領域は、蛋白質溶液の研究に対して、従来のナロー・バンドPAIR技術の有用性を限定する。これは、この領域で強い吸収を有する、蛋白質の振動帯域の限定された数に起因している。局在化されたペプチド振動、アミドA、アミドBおよびCHストレッチに起因するそれらが、この3400〜2900cm−1領域に見られるにもかかわらず、構成的に(αヘリックス、βシート、無秩序化された)敏感なIR帯域20は、1750〜800cm−1領域に見られ、従来の3400〜2000cm−1PAIR機器を使用しては、これらは現在アクセスされることができない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
ある実施形態では、患者の疾病を非観血的に検出するための方法は、IR光を準備すること、患者の一部から該IR光を反射すること、反射されたIR光を収集すること、該反射されたIR光を反射されたIR光のスペクトルに分散すること、反射されたIR光の該スペクトルを検出することをとりわけ含む。
【0021】
この実施形態のさらなる態様では、この方法は、該疾病の分子的な指標を特定するために、反射されたIR光の該スペクトルを解析することをさらに含む。
【0022】
他の実施形態では、患者の疾病を非観血的に診断することに適した装置は、IR光源と、患者の身体部または患者の流体上に該IR光源の少なくとも一部を結合し、該患者の該身体部または該流体から反射された光を受領する、光結合手段と、該光結合手段と、光を受領する関係で配置された、光分散要素と、該光結合手段を通して、該光分散要素から分散されたIR光を受領する、IR焦平面アレイと、を含み、該分散されたIR光が該反射されたIR光のスペクトルを表す。該患者の疾病の診断は、少なくとも部分的に、手動または自動手段による該反射されたIR光の該スペクトルの評価に基づいている。
【0023】
この実施形態のさらなる態様では、該光結合手段が、例えば該IR光源から光を受領する、第1のグループの1つまたは複数の光ファイバと、該患者の身体部または該患者の流体から、反射されたIR光を受領するように構成された、第2のグループの1つまたは複数の光ファイバとである、光ファイバ、または直接レンズ結合を含んでもよい。該IR光源から遠い方に位置する、該第1のグループの1つまたは複数の光ファイバの端部は、該患者の身体部または流体に対向するまたは接触するように適切に構成され、該患者の身体部または流体から遠い方に位置する、該第2のグループの1つまたは複数の光ファイバの端部は、該反射されたIR光を該光分散要素に結合する。
【0024】
これらの実施形態のさらなる態様では、臨床医が、例えば、眼の疾病、または呼気、唾液、または他の身体の流体中に、疾病マーカーを提供することができる疾病である、患者の疾病を診断するための、装置と方法の使用を容易にするために、光ファイバ・プローブ・ヘッドが使用されてもよい。
【0025】
全ての実施形態において、この装置と方法は、手持ちのプローブがある特定のアプリケーションに関連する程度以外では、スペクトルを決定して疾病マーカーを特定するためのセンサ内に、移動部品を使用することなく実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1では、IR光ファイバ・アセンブリ100が、それを通して、適宜のIR光源(図示せず)がプローブ・ヘッド103に接続されることができる、入力部分101を含んでいる。入力部101は、単一の光ファイバまたは多数の光ファイバを含んでもよい。出力部102は、同様に、プローブ・ヘッド103に接続され、同様に単一または多数の光ファイバを含んでもよい。部分101、102により多数の光ファイバを含むことは、改良された光送信特性と光受信特性の実現に帰結しうる。部分101の光ファイバは、(断面で示されているように)中央で一体化されてよく、部分102の光ファイバは、実質的に完全に中央のファイバ101を取り囲んでいてよい。この光ファイバは、中間赤外光ファイバであってよい。中間赤外領域(4000〜700cm−1)で1dB/m未満の損失を有する、カルコゲナイド光ファイバは、最近商業的に利用可能となってきた。これらのマルチモード・ファイバは、可視領域および近IR領域でのそれらの対応物に見られる、柔軟性と使用の容易性などの特性を提供する。これらの光材料の熱的、機械的特性は、ここ10年の間に劇的に改良され、それにより携帯可能で堅牢な光デバイスに適するようになった。
【0027】
プローブ・ヘッド103は単に、ファイバI部分101および部分102からのファイバ端の相対的に近接したグループ化であってもよく、または、それは、例えばwww.remspec.comを通して購入可能である、レムスペックATRシリーズ・ヘッド(ATRヘッドHD−01またはダイアモンドATRヘッドHD−11)などの光ファイバ・プローブ・ヘッドである、自給型光素子を備える、より複雑な光ファイバ・プローブであってもよい。これらのプローブ・ヘッドは従来、IR分光法に相補的な技術である、ラーマン・スキャッタリングとFT−IR装置と共に使用されてきており、減衰全反射(ATR)現象の使用を含んでもよい。
【0028】
1つの医療用途では、IR光源から部分101のファイバに沿って伝搬するIR光は、プローブ・ヘッド103の端部から放出し、患者の眼105に投影、または焦点合わせされることができる。眼105から反射された光は、同様にプローブ・ヘッド103に含まれている、部分102のファイバにより捕捉される。部分102のファイバに捕捉された反射光は、ファイバ部分102を通って、図4に示されるミラー440に送られることができる。代替案としてIR光は、眼ではなく、患者の身体部分または流体に投影されてもよい。プローブ・ヘッド103は、検査される身体部に近接して保持されたり、または身体部に接触したりしてもよく、さらに、唾液に浸漬されたり、または唾液に接触されたりしてもよく、IR光が呼気と相互作用するように、適切に構成されたアセンブリを使用して、患者の呼気に曝露されてもよい。
【0029】
代替案として、光ファイバ束100およびファイバ部分101、102の代わりに、直接レンズ結合(図示せず)が、解析中の眼105またはその他組織/流体にIR光源から光を導くために、使用されてもよい。直接レンズ結合の場合には、信号がアパーチャを通ってスペクトログラフに焦点合わせされる。眼105から反射された光を捕捉するために、および図4に示される修正されたPAIRシステムへの光路をさらに提供するために、そのような従来のファイバではない技術が使用されてもよい。
【0030】
図4の実施形態をさらに記述する前に、従来のPAIR吸収検出器の背景の追加の記述が、図3Aから3Cを参照して提供される。
【0031】
装置300は、例えばタングステン・ランプ、ネルンスト・ランプ、グローバ、または他の適切な放出源を含む、任意の一般的なIR光源であってよい、IR光源310を含んでいる。このIR光源は、亜鉛セレンウィンドウまたは他のIR透過ウィンドウを備える、IRエミッタであってよい。理想的にはIR光源310は、IRスペクトル全体、またはIRスペクトルの少なくともある一部が、「フラットな」または均一の強度を有している。しかしながらIR光源310が均一でない場合、そのような不均一性が解析と補償プロセスの間に、考慮されればよい。
【0032】
調整可能なアパーチャ320が、装置の解像度を設定するために少なくとも部分的に使用され、言いかえれば、より小さいサイズのアパーチャが、より高い解像度を提供する。調整可能なアパーチャ320は、アイリスまたは調整可能なスリットであってもよい。
【0033】
サンプリング・アクセサリ330は、解析されるサンプルを含むサンプル・ボリュームを、光路内に位置付ける。サンプリング・アクセサリ320は、例えば高分子のフィルムである、サンプリングされるサンプルの小さい塊をIR光源310の近傍に単に位置付ける、単純なサンプル・ホルダであってもよいし、または気体をサンプリングするために使用される、周知のより精巧な体積サンプリング構成を含んでもよい。
【0034】
固体や液体より低い密度を有する気体は、サンプル・ボリュームを通るIR光源の多数の経路を提供するような、一群のミラーまたはその他の適宜の構成(図示せず)を有する、そのようなより精巧なサンプリング・アクセサリを必要とする可能性がある。そのような多数の経路は、IR吸収現象が有意に測定されるように、充分な光学的濃度が達成されることを保証するために、有用である。
【0035】
光分散要素350は、サンプル・ボリュームを通るIR光源310からの、放射の一部を受領する。サンプリング・アクセサリ330内のサンプル・ボリュームでの、1つまたは複数のIR波長の吸収のために、IR光源310を表すIRスペクトルの全部が、そのサンプル・ボリュームを通らなくてよい。次いで、吸収されなかったIR波長が、分散された光ビームを形成するために、サンプリング・アクセサリ330を出ていくIR光内の予め送られた波長に、分離または1方向に拡散する、光学的分散素子350と相互作用する。光分散要素350は、既知の型式の規制された回折格子、またはプリズムであってよい。
【0036】
焦点合わせの光学系360が、光分散要素350からの光を、少なくとも、分散された光ビームの方向に対応するある分散方向に沿って配置された、複数の検出要素を有するIR検出器370に結合する。一般的に、入射された光は2つ以上のピクセルの行に投影され、光分散要素から投影された光は20のピクセルをカバーすることができる。IRFPA検出器370は、光分散要素350から分散された光ビームを検出して、サンプリング・アクセサリ330内に含まれるサンプル・ボリューム内のサンプルの、IRスペクトル情報を決定するために引き続いて使用される、出力を提供する。プロセッサ380はIRFPAデータを解析し、ディスプレイ・デバイス390はサンプルのスペクトル情報の視覚表現を提供することができる。
【0037】
図3Bには、多数のサンプルの同時サンプリングと解析を、「多重化して」提供する、PAIR技術の能力を明示する、関連する光学要素(すなわち、調整可能なアパーチャ320’、サンプリング・アクセサリ331、ミラー341)と第2のIR光源320’が付加されている。
【0038】
図3Cには、「空間多重化」としてそのような多重化が示され、すなわちそこでは、同時独立した多数のサンプルのスペクトルの検出を可能にする、IRFPA370の面上に、多数のサンプルのスペクトル成分が空間的に分離される。
【0039】
図4の実施形態に戻ると、IR光源は、4000cm−1〜400cm−1の範囲の波数を含む、中間赤外領域であるか、または、400cm−1〜5cm−1の範囲の波数を含む、遠IR領域であってよい。スペクトルの遠IR領域は、疾病マーカーと互いに関連付けられる、蛋白質確認物質の蛋白質帯域特性を含んでいる。この領域は、疾病の早期段階での検出には、利用されてこなかった。
【0040】
装置400は、ペリン・ブロカ・プリズム450などの光分散要素を含んでよい。IR波長では、ペリン・ブロカ・プリズムは、あるIRスペクトル領域での材料吸収を最小化し、波長の関数としての適宜の光学吸収を保証するために、セレン化亜鉛(ZnSe)から機械加工されることができる。ペリン・ブロカ・プリズムの実装は、以下でより詳細に記述されるように、相対的に小さいスペースで、プリズム450を通る光を90度「回転」させる能力をそのようなプリズムに与え、小型で可搬のデザインを達成するために、望ましい可能性がある。
【0041】
装置400は、図3Aに示される装置300と同様に動作する。しかしながら光結合手段は、図1について以上に記述されたように、マルチ・ファイバ束であるか、またはダイレクト透過レンズ結合(図示せず)であってよい、IRファイバ部分102を含んでよい。IRファイバ部分102からの光は、既知の型式の光路に沿った、軸外し放物面ミラー440、凹面ミラー442、凸面ミラー444に提供されることができる。IRファイバ部分102により投影された光は、例えば、眼105である、照明されたサンプルから反射された光を含んでいる。
【0042】
サンプルまたは眼105から反射されたIR光により、特定の波長がターゲットにより吸収され、残余がターゲットから反射される。反射されたIR光のスペクトルと、吸収されたIR光のスペクトルの双方が、以上に議論された、ターゲットの化学組成の内実を提供することができる。
【0043】
焦点光学系360は、プリズム450から放射される光を、IRFPA検出器370に適切に投影するために使用される、ゲルマニウム(Ge)集光レンズであってよい。パラボラ型のミラーは、コーン型ファイバの出力光ビームを平行にするために、IRファイバを使用した場合には望ましい。規制された回折格子は、ファイバから放射されたコーン型の光ビームを平行にして、光をシステムと回折格子に結合するために、適切な測定がなされたと仮定して、光ファイバと共に使用されることができる。
【0044】
回折格子は、多くの用途に適切な解像度を提供することができるにもかかわらず、ペリン・ブロカ方式は、少なくとも3つの利点を提供する;(1)光の分散は、異なる波長での屈折率の関数にすぎず、したがって光学デザインが単純化される;(2)2対1のプリズム・デザインは、非常に高い角度分散効率を有し、約90度の可能なビームの折り畳みは、小型で可搬一体化されたデザインのために、光学系の小型なフットプリントを実現することを可能にする;(3)環境とZnSeとのインターフェイスでの、光の伝送を最大化するために、ブルースター角入射構成が利用されることができる。ZnSeの高い屈折率(〜2.4)に起因して、屈折率に特に関心があるIR領域では、後者は重要である可能性がある。
【0045】
ペリン・ブロカ・プリズムのデザイン以外にも、中間または遠IRでの性能のために、最適化された特別の回折格子が、プリズムのアプローチよりスループットと分散がよくないが、同様の特性を提供する。しかしながら、グルーブ数と格子のサイズの双方への解像度の依存性が、格子を使用した光学デザインに、さらなる制約を課す可能性がある。したがって、特定のアプリケーションに対して、低いグルーブ数を有する、廉価な既製品の格子が充分であり、プリズムで取得されることができるよりも、より高い解像度が必要とされる場合には、格子の使用が考慮されてもよい。
【0046】
プリズムまたは回折格子のどちらを使用した場合にも、光分散要素350は、その表面と、その表面に投影される入射光との間の入射角に関して、調整可能であってよい。そのような角調整は、IR検出器370に与えられる、波長範囲またはスペクトル・バンドパスを制御するために、使用されてよい。
【0047】
IRFPA検出器370は、例えば3〜5μm波長範囲において敏感である、InSbカメラであってよい。この範囲のInSb検出器は、可搬性を強調するために、同様に熱電気的に冷却されることができる。
【0048】
代替案としてIRFPA検出器370は、例えばInSbデバイスと比較して、改良された感度と帯域幅を有する、水銀−カドミウム−テルルHgCdTe(MCT)アレイであってもよい。MCT FPAを使用することは、1725〜800cm−1領域での、固体 および液体のサンプルの、化学的「指標」の「リアルタイムの」検出を、実行可能にする。1725〜800cm−1領域で動作する機器は、コラーゲンIVとγクリスタリンの研究を可能にする。MCT焦平面アレイは、潜在的に4000〜800cm−1の領域を、カバーすることができる。分散素子が格子である場合には、128×128MCTアレイの使用による、光学的制約を避けるために、いくつかの診断技術に対して、より狭い周波帯(1725〜800cm−1)が適切である可能性がある。
【0049】
格子は、グルーブ密度により容易に制御される、その分散力に関して柔軟である利点を有する。しかしながら、ブロードバンドの動作に対しては、格子からの多重回折次数の問題がある。スペクトログラフの同じ部分に重畳される、干渉次数は問題を引き起こす恐れがある。しかしながらプリズムの使用は、デザインに関してはより簡潔であるが、しばしば限られた分散力しか達成できない。
【0050】
IR焦平面アレイが、光分散要素から分散されたIR光を受領した後、スペクトル・データがプロセッサ380により解析され、患者の疾病の診断が、反射されたIR光の解析されたスペクトルに、少なくとも部分的に基づいている。そのような解析は、臨床医により手動でなされてもよいし、また、議論されたような種々の疾病マーカーを認識することができる、適宜のソフトウェア・プログラムにより、診断が自動化されてもよい。
【0051】
図2は、環境の影響を取り除くために、例えば身体部から反射された光のスペクトルである、サンプルのスペクトルの補償が可能にされた、ある実施形態の態様を示している。例えば、水分は生体材料中に一般的に存在し、また水蒸気は大気中に一般的に存在する。眼は相対的に大量の水を一般的に含み、それは種々の疾病マーカーのスペクトル情報を、望ましくなくマスクする可能性がある。図2では、デュアル・ファイバ束100、100’が準備されている。ファイバ束100は、以前に記述されており、眼105は、例えば身体の組織、流体または呼気である、サンプル105’を一般化して表している。ファイバ束100’は、ファイバ束100と同様に構成されている。しかしながら、IR光源の一部はファイバ部分101’を通って基準106に導かれることができ、基準106からの反射されたIR光はプローブ103’により受領されて、ファイバ部分102’を通って図4のミラー440に導かれることができる。
【0052】
ある実施形態の他の態様では、例えば、図3B、3Cにより例示されているような、図4のPAIR装置の多重チャネル能力を使用した、4つ(またはそれ以上)の信号がIRFPA370に投影され、すなわち、ミラー440に対する図4の適宜の光学入力構成を仮定して、ファイバ部分101、102、101’、102’の信号が解析されることができる。そのような構成は、基準のスペクトルと反射されたIR光のスペクトルとの、同時の検出を可能にする。次にプロセッサ380が、周知の減算技術または比率技術により、サンプルのスペクトルを補正することができる。各々の多重信号の分離された処理が、IRFPA370の異なる空間領域へ、光学的に分散された光を投影することにより、可能になる。
【0053】
他の実施形態では、患者の疾病を非観血性で検出する方法が、その患者の一部から反射された、IR光を提供することを含んでいる。患者から反射されたIR光が収集され、次に、反射されたIR光が反射されたIR光のスペクトルに分散する、光分散要素に提供される。分散された光は焦平面アレイに投影されて、検出される。その後、スペクトル情報が、疾病の分子指標を特定するために解析される。
【0054】
この方法の1つの態様では、IR光が患者の眼から反射され、患者の眼の、白内障発生、糖尿病性網膜症、緑内障、または網膜色素変性症の、早期の段階を含む、眼の疾病を診断する能力を、反射されたIR光のスペクトルの解析が提供する。
【0055】
この方法の他の態様では、疾病の前駆物質またはマーカーを表すことができる、1つまたは複数のそれに含まれる蛋白質を特定するために、患者の眼の中の眼球流体を非観血性で特性化するために、患者の眼から反射されたIR光が使用されることができる。IR光は1つまたは複数の光ファイバの第1のグループを通って結合されることができる、反射されたIR光が1つまたは複数の光ファイバの第2のグループにより収集されることができる。
【0056】
この方法のさらなる態様では、プローブ・ヘッドが、1つまたは複数の光ファイバの第1のグループの端部と、1つまたは複数の光ファイバの第2のグループの端部とに、結合されることができる。このプローブ・ヘッドは、例えば、唾液または呼気(液体または気体)である身体の流体、または患者の身体組織の、近傍にまたはそれに接触して、配置されることができる。次いで、反射されたIR光は、プローブ・ヘッドを通して収集されることができる。
【0057】
さらに、例えば眼の中の流体である、水性のサンプルから反射されたIR光のスペクトルと、基準のスペクトルが、この患者に関するスペクトル情報を補償できるように、同時に収集されることができる。水が生体材料には優勢に存在し、疾病マーカーまたは指標をそうでなければマスクするように働くことができるので、基準は例えば水または水蒸気を含んでよい。
【0058】
特定の診断の必要性に依存して、IR光は、4000cm−1から400cm−1の範囲の波数を含む中間赤外領域、または400cm−1から5cm−1の範囲の波数を含む遠IR領域で、準備されることができる。これらの範囲の各々のIRスペクトログラフの解析は、相補的な解析情報を提供することができる。
【0059】
以上に記述された、可搬性のブロードバンドPAIR機器に結合された、IR光ファイバ・ダイアモンド塗布ATRプローブの使用は、唾液中の特定の化学的/生物学的成分を検出することを可能にする。これを行う1つの方法は、そのダイアモンドATRプローブで、軽く舌に触れるか、またはその代わりに、舌から唾液を「採取」して、ATRプローブ上に置くことである。ダイアモンドのコーティング、またはバルクのダイアモンドのATR結晶、を使用することは、殺菌と再使用を容易にする。
【0060】
例えば、光ファイバ・プローブを備えるPAIRは、補完のプロゲステロンの局部的なレベルを指示する場合に、身体中の生物学的に利用可能なプロゲステロンの量を評価することが決定的に重要である、女性の子宮内膜症の治療において実施されうる。プロゲステロンの濃度を決定するための、現行の「血液テスト」法の1つの課題は、それらがプロゲステロンの血清濃度(蛋白結合であると考えられる)を検出し、皮膚への局部的な適用後に、赤血球細胞膜により徐々に摂取される、脂質プロゲステロンの量は検出しないことである。赤血球細胞膜により搬送されるプロゲステロンは、全てのターゲットの組織および唾液に、容易に利用可能であるので、唾液中のプロゲステロンの濃度を測定するための、生体内PAIRプロトコルは実行可能である。プロゲステロンの化学的「指標」は独特なので、唾液中に見られる多様な他の成分の存在下でも、それは検出可能であり、較正後にはIRピークの強度は、存在するプロゲステロンの量を定量的に決定するために、使用されることができる。
【0061】
本開示の他の態様では、図6を参照して、人間の呼気からの二酸化炭素のスペクトルが示される。正常な人間は一般的に、1%から1.5%の間の二酸化炭素を吐いている。1.5msの全積分時間で、信号レベルは0.25吸収単位であり、一方PAIRのノイズは、単一フレーム、単一行の収集に対して、約2.7×10−3である。これは、約100のSN比を与える。他方、行ビンニングとフレーム平均化の組合せが使用された場合には、ほぼ1000のSN比を与える、0.5秒でのノイズ・レベル2.2×10−4を得ることができる。この能力は、PAIRの気体感度を、mg/m未満、またはng/cmのレベル、または約0.001%に置く。この感度のレベルでは、以下の表Iに表されているように、多数の医用条件に関連する揮発性有機化合物(VOC)が、本開示の装置と方法により検出されることができる。
【0062】
【表1】

【0063】
さらに他のアプリケーションでは、上記の方法と装置は、病院環境内の大気感染性のウイルスと細菌の検出を可能にする。極度の高感度(FT−IRの100〜1000倍の感度)に起因して、その種々の実施形態と態様に開示されたブロードバンドPAIR機器は、大気中の低濃度(ppbまたはそれ以下)の細菌またはウイルスの汚染の存在を、特定することができる。
【0064】
さらに、任意の光学機器を小型化する工学プロセスは、物理法則によるフットプリントの削減への制限と、適切な性能を維持するより小さい部品の使用、および、もしあれば移動部品のより短い旅程を含む、いくつかの共通の要請を共有する。
【0065】
本開示の新しい診断機器に対して、挑戦に直面した小型化プロセスは、3つの要請のうち最初の2つにより達成された。より小さい部品の利用可能性と必要な光路の短縮の双方は、新しいPAIR機器の効果的な小型化が完成される前に、満たされなければならない。他方、移動部品のないデザインにより、旅程の要請とサーボ部品や制御部品を収納するために必要なスペースに起因する制約は存在しない。
【0066】
可視光または紫外光に比較するとIR放射は、10〜100倍長い波長を有する。その結果として、IR放射の回折と屈折は、紫外光(US)および可視光のそれより、極端に異なって、一般的に長い、幾何的な経路に従う傾向がある。PAIR機器全体のフットプリントの極小化は、したがって、デザインの観点からはより困難である。他方、PAIRのコンパクトなデザインが一度実行されると、これらのより長い波長(5〜12μm)でのより高い許容度は、ビームの整列ずれを予防し、したがってPAIR機器をより堅牢に形成する。移動部品がないデザインのために、PAIRは、任意の機械的または熱的変動に対してより安定である。
【0067】
小型化に必要な部品に関しては、より小さいIR光学系とIRデバイスの利用可能性が、考慮される必要がある。例えば、MCTアレイの動作温度は、一般的に77K、または液体窒素温度である。これは、検出器が適切に機能するために、冷却機構が使用されなければならないことを意味する。FPAと接触したコールドフィンガーを備える、液体窒素(LN)デュワー瓶が、この目的のため一般的に使用される。しかしながら、デュワー瓶とそれに必要な縦方向の配列が、極小化プロセスに限定を課す。この目的のために、MCTアレイを60〜80Kで動作させるために、閉回路クライオ冷却器(スターリング・クーラー)(図示せず)が使用されてよい。512×512のMCTアレイに対しては、ほぼコーヒー・マグのフットプリントの、4Wスターリング・クーラーが、必要な熱放散を提供する。代替案として、熱電的(TE)に冷却された検出器が、小型化と可搬性の目的で、使用されてもよい。さらに、遠IR領域での放射に敏感な追加の材料が、例えばGaAsとGeである、焦平面アレイを含む検出器のために継続して研究されている。
【0068】
携帯用のスペクトログラフのデザインに関係する1つの挑戦的な課題は、図4の入り口からの中間赤外ビームの、サイズを変更して向け直し、高度に平行化された方法で、分散媒体を通るようにして、最終的に、精細に分解された分光法・ライン・イメージとして、IRFPA370に焦点を合わせることである。現状の光学デザイン・ソフトウェア(OSLOプレミアム、ラムダ・リサーチ・コーポレーション、マサチューセッツ州リトルトン)は、原型が作成される前に、異なるデザインの詳細な光学特性を、モデル化して最適化する能力を備えていた。他の課題は、IRアレイの仕様である。スターリング・クーラー、冷却用の小型化されたLNデュワー瓶を使用するもの、またはTE冷却であるものの、どれかと共にするFPAの使用が、使用されてよく、商業的に利用可能である。
【0069】
以上の開示は、同時に実行される多成分解析を可能にし、例えば、糖尿病性網膜症、白内障発生等の、眼の疾病の分野に適用された場合には、以上に記述された、広帯域のPAIR機器と方法が達成可能である、10億分の1(分子濃度)の感度を、この装置と方法が有するので、「早期警報」診断を提供することができる。
【0070】
この開示は医療分野へのアプリケーションを有し、特に疾病の医学的診断への適用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ある実施形態において使用される、光ファイバ束の一例を示す図である。
【図2】図4の実施形態の、他の態様において使用される、デュアル光ファイバ束を示す図である。
【図3A】IR吸収現象を使用した、従来のPAIR装置を示す図である。
【図3B】IR吸収現象と多数の光源とサンプルを使用した、従来のPAIR装置を示す図である。
【図3C】それぞれのスペクトルがFPAに空間的に分離される、IR吸収現象と多数の光源とサンプルを使用した、従来のPAIR装置を示す図である。
【図4】図1または図2のどちらかの光ファイバ束と共に使用されることができる、ある実施形態を示す図である。
【図5】PAIRデバイスとFT−IRデバイスの性能の、比較を提供する図である。
【図6】人間の呼気からの、二酸化炭素のスペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IR光を準備することと、
患者の眼から該IR光を非観血的に反射することと、
反射されたIR光を収集することと、
該反射されたIR光を、反射されたIR光のスペクトルに分散することと、
反射されたIR光の該スペクトルを検出することと、
眼の疾病を診断するために、該反射されたIR光のスペクトルを解析することを備える、
患者の眼の疾病を非観血的に検出するための方法。
【請求項2】
該疾病の分子的な指標を特定するために、反射されたIR光の該スペクトルを解析することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反射されたIR光の該スペクトルの該解析が、該患者の眼の水晶体内の、白内障発生の早期段階の診断が可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反射されたIR光の該スペクトルの該解析が、糖尿病性網膜症の診断を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反射されたIR光の該スペクトルの該解析が、該患者の眼の緑内障の診断を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反射されたIR光の該スペクトルの該解析が、該患者の眼の網膜色素変性症の診断を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該患者の眼の眼球流体を非観血的に特性化して、その内部に含まれる1つまたは複数の蛋白質を特定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該IR光を第1のグループの1つまたは複数の光ファイバを通して結合し、第2のグループの1つまたは複数の光ファイバで反射されたIR光を収集することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1のグループの1つまたは複数の光ファイバを通して、IR光を結合することと、
該第1のグループの1つまたは複数の光ファイバの端部と、第2のグループの1つまたは複数の光ファイバの端部に、プローブ・ヘッドを結合することと、
患者の身体の流体に、該プローブ・ヘッドを接触して配置することと、
該患者の眼から、IR光を反射することと、
該プローブ・ヘッドと該第2のグループの1つまたは複数の光ファイバを通して、該反射されたIR光を収集することと、
該反射されたIR光を、反射されたIR光のスペクトルに分散することと、
該疾病を決定するために、反射されたIR光の該スペクトルを解析することを備える、
患者の疾病を非観血的に検出するための方法。
【請求項10】
該プローブ・ヘッドは、気体を備える身体の流体に浸漬される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ある基準のスペクトルと反射されたIR光の該スペクトルとを、同時に検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該基準のスペクトルを使用して、反射されたIR光の該スペクトルを補償することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該基準が水である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該基準が水蒸気である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
4000cm−1から400cm−1の範囲の波数を備える、中間赤外領域のIR光を準備することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
400cm−1から5cm−1の範囲の波数を備える、遠IR領域のIR光を準備することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
IR光源と、
患者の眼に、該IR光源からのIR光の少なくとも一部を結合し、該患者の眼から反射された光を、該眼に触れることなく受領する、光結合手段と、
該光結合手段と、光を受領する関係で配置された、光分散要素と、
該光結合手段を通して、該光分散要素から分散されたIR光を受領する、IR焦平面アレイと、を含み、
該分散されたIR光が該反射されたIR光のスペクトルを表し、
該患者の眼の疾病の診断が、少なくとも部分的に、該反射されたIR光の該スペクトルに基づいている、
患者の眼の疾病を非観血的に診断することに適した装置。
【請求項18】
該光結合手段が、
該IR光源と光を受領する関係にある、第1のグループの1つまたは複数の光ファイバと、該患者の眼から、反射されたIR光を受領するように構成された、第2のグループの1つまたは複数の光ファイバと、
を含み、
該IR光源から遠い方の、該第1のグループの1つまたは複数の光ファイバの端部は、該患者の眼に対向するように適切に構成され、
該患者の眼から遠い方の、該第2のグループの1つまたは複数の光ファイバの端部は、該反射されたIR光を該光分散要素に結合する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
該第1と第2のグループの各々が、束に構成された多数のファイバを含み、該第1のグループが該第2のグループにより本質的に取り囲まれている、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
IR光源と、
該IR光源と動作可能に結合されたプローブ・ヘッドであって、該プローブ・ヘッドが患者の身体の流体と接触して配置されて、該身体の流体にIR光を結合して、該身体の流体から反射されたIR光を受領するようにされた、プローブ・ヘッドと、
該反射されたIR光と光を受領する関係に配置された、光分散要素と、
該光分散要素から分散されたIR光を受領するように構成されたIR焦平面アレイとを含み、
該分散されたIR光が該反射されたIR光のスペクトルを表し、
該患者の疾病の診断が、少なくとも部分的に、該反射されたIR光の該スペクトルに基づいている、
患者の疾病を非観血的に診断することに適した装置。
【請求項21】
プローブ・ヘッドが、該患者の該身体の該流体に対向する、第1のグループの1つまたは複数の光ファイバの端部に結合され、
該プローブ・ヘッドは、該患者の該身体の流体と接触して配置され、
該プローブ・ヘッドは、該患者の該身体の流体から反射されたIR光を含む、第2のグループの1つまたは複数の光ファイバに結合されている、
請求項20に記載の装置。
【請求項22】
該プローブ・ヘッドが、減衰全反射プローブとして構成されている、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
ある基準のスペクトルと、反射されたIR光の該スペクトルとを、同時に検出するための手段をさらに含む、請求項17に記載の装置。
【請求項24】
該基準のスペクトルを使用して、反射されたIR光の該スペクトルを補償する手段をさらに含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
該基準が水である、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
該基準が水蒸気である、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
該同時に検出するための手段が、該IR焦平面アレイの異なる領域に、該基準の該スペクトルと反射されたIR光の該スペクトルとを投影する手段を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
該IR焦平面アレイが、4000cm−1から400cm−1の範囲の波数を含む、中間IR領域に敏感である、請求項17に記載の装置。
【請求項29】
該IR焦平面アレイが、400cm−1から5cm−1の範囲の波数を含む、遠IR領域に敏感である、請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−514369(P2008−514369A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534742(P2007−534742)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/034903
【国際公開番号】WO2006/039360
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(300077021)ユニバーシティ・オブ・デラウェア (3)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF DELAWARE
【出願人】(507101602)マテリアルズ リサーチ サービシーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】MATERIALS RESEARCH SERVICES
【Fターム(参考)】