説明

癌疾患修飾抗体

本発明は、新規スクリーニング規範を用いて患者の癌疾患修飾抗体を産生する方法に関する。癌細胞の細胞障害性を用いて抗癌抗体を分離することで、このプロセスは治療および診断目的のための抗癌抗体の産生を可能にする。抗体は、癌の病気分類および診断の補助に用いることができ、また原発腫瘍および腫瘍転移の処置に用いることができる。抗癌抗体を毒素、酵素、放射性化合物、および血液原細胞と結合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の癌疾患修飾抗体(CDMAB)の単離および生産と、該CDMABを、必要に応じて1種類以上の化学療法薬と組み合わせて、治療および診断プロセスで使用することに関する。本発明は、さらに、本発明のCDMABを利用する結合アッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
癌を呈する各々のヒトは一意的であり、そのヒトのアイデンティティと同様に他の癌とは異なる癌を有する。このことにもかかわらず、現行の治療は癌の種類が同じ全ての患者に対して、同じ段階で同じ方法で処置をおこなう。これらの患者の少なくとも30%は一次治療に失敗して、その上の段階の治療に至り、治療の失敗、転移、および究極的には死亡する確率が高くなる。処置のための優れたアプローチは、特定のヒトに対応した治療にカスタマイズすることであると考えられる。カスタマイゼーションに向く唯一の現行の治療は、手術である。化学療法および放射線療法は患者に合わせて調整することはできず、手術そのものでは治癒を生ずるには不十分である。
【0003】
モノクローナル抗体の出現で、各々の抗体が単一のエピトープに向けられていることから、カスタマイズされた治療のための方法を開発する可能性はより現実的になった。さらに、特定のヒトの腫瘍を独自に定義する一連のエピトープを対象とする抗体の組み合わせを生産することが可能である。
悪性変換細胞に特異的である抗原を癌細胞が含むということが癌細胞と正常細胞との著しい違いであると認められたことで、科学界では、これらの抗原に対して特異的に結合することによって悪性変換細胞を特異的に標的とするように、モノクローナル抗体を設計することができると長い間考えられていたことから、モノクローナル抗体が癌細胞を除去するための「魔法の弾丸」として働き得るという考えが生じた。
すぐに開示された発明の技術に基づいて単離されたモノクローナル抗体は、患者にとって有益であるかたちで、例えば全身腫瘍組織量を減少させることで、癌疾患を修飾することが示され、本明細書では癌疾患修飾抗体(CDMAB)または「抗癌」抗体として様々に称されている。
【0004】
現時点では、癌患者は一般に処置の選択肢がほとんどない。癌治療に対する規格化されたアプローチは、全体的な生存率および罹患率の改善をもたらした。しかし、特定の人に対して、これらの改善された統計値は、個人の状況における改善と必ずしも相関しているわけではない。
このように、開業医が同じコホートで他の患者とは独立して各々の腫瘍を処置することを可能とする方法論が出される場合、このことはちょうどその一人に合うように治療を調整する独特なアプローチを可能とするだろう。治療のそのようなコースは、理想的には、硬化速度を増加させ、より良好な結果を生み出し、それによって長く切実な必要性を満たす。
【0005】
歴史的に、ポリクローナル抗体の使用が、ヒト癌の処置における限られた成功を収めながら使われた。リンパ腫および白血病に対しては、ヒト血漿による処置が施されていたが、長期寛解または反応がほとんどなかった。さらにまた、再現性が乏しく、化学療法と比較して付加的な利点はなかった。乳癌、黒色腫、および腎細胞癌等の固形腫瘍もまた、ヒト血液、チンパンジー血清、ヒト血漿、およびウマ血清による処置を施した。
固形腫瘍に対するモノクローナル抗体の臨床試験が数多くあった。1980年代では、少なくとも4種類のヒト乳癌臨床試験があったが、特定の抗原に対する抗体または組織選択性に基づく抗体を用いて、少なくとも47人の患者からたった一人の応答者が得られたのみである。シスプラチンと組み合わせたヒト化抗her2抗体による臨床試験の成功は、1998年までなかった。本研究では、約4分の1が部分的な緩解率を持ち、もう半分が軽度または安定した疾患の進行を呈した反応について、37人の患者を利用した。
【0006】
結直腸癌を調べる臨床試験は、糖タンパク質および糖脂質の両方を標的とする抗体を必要とする。腺癌に対してある程度特異性がある17−1A等の抗体は、患者一人だけが部分寛解を呈する60人以上の患者での第2相試験を受けた。他の治験では、17−1Aを用いた場合、シクロホスファミドをさらに用いるプロトコルで52人の患者のうち、完全寛解が1人、軽度の寛解が2人だけであった。類似の結果が17A−1Aが関与する他の治験で得られた。最初にイメージングが認められるヒト化マウス・モノクローナル抗体の使用もまた、腫瘍退縮を生じなかった。現在まで、結腸直腸癌に有効である抗体はなかった。同様に、肺癌、脳癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、および胃癌に対しても一様に好ましくない結果であった。黒色腫に対する抗GD3モノクローナル抗体の使用では、ある程度の成功が得られた。このように、ヒト臨床試験の必要条件である小動物研究での成功にもかからず、試験された抗体のほとんどで効果が得られなかったことが分かる。
【0007】
(先行特許)
米国特許第5,750,102号(特許文献1)は、患者の腫瘍から得た細胞が該患者から得た細胞または組織からクローニングされたMHC遺伝子によってトランスフェクトされるプロセスを開示している。その後、これらのトランスフェクション細胞は、患者への予防接種に用いられる。
米国特許第4,816,581号(特許文献2)は、哺乳類の腫瘍細胞および正常細胞の細胞内構成要素(細胞外構成要素ではない)に対して特異的であるモノクローナル抗体を得るステップと、そのモノクローナル抗体を標識するステップと、標識抗体と腫瘍細胞を殺す治療を受けた哺乳類の組織とを接触させるステップと、変質している腫瘍細胞の細胞内構成要素に対する上記標識抗体の結合を測定することで治療の効果を決定するステップとを有するプロセスを開示している。ヒト細胞内抗原に対する抗体の調製で、特許権者は悪性細胞がそのような抗原の好都合な供給源であることを認識している。
米国特許第5,171,665号(特許文献3)は、新規抗体とその生産方法とを提供する。具体的には、その特許はヒト腫瘍(例えば、大腸および肺の腫瘍)に結合したタンパク質抗原に対して強く結合し、その一方で正常細胞に対してはかなり少ない程度に結合する特性を持つモノクローナル抗体の形成を教示している。
米国特許第5,484,596号(特許文献4)は、外科的にヒト癌患者から腫瘍組織を除くステップと、腫瘍細胞を得るために腫瘍組織を処置するステップと、腫瘍細胞に放射線を照射し、生存可能ではあるが非腫瘍形成性にするステップと、該細胞を用いて、原発腫瘍の再発を抑制することが可能であり、その一方で同時に転移を阻害するワクチンを調製するステップとを有する癌治療方法を提供する。この特許は、腫瘍細胞の表面抗原と反応するモノクローナル抗体の開発を教示する。以下参照する4段目45行に記載されているように、特許権者はヒト新形成で活発な特異的免疫療法を発現しているモノクローナル抗体の発現で、自所性腫瘍細胞を利用する。
米国特許第5,693,763号(特許文献5)は、ヒト癌腫に特有であり、起源の上皮組織に依存していない糖タンパク質抗原を教示している。
【0008】
米国特許第5,783,186号(特許文献6)は、Her2発現細胞でアポトーシスを誘発する抗Her2抗体と、該抗体を産生するハイブリドーマ細胞系と、そのような抗体を用いた癌の処置方法と、そのような抗体を含む医薬組成物とを開示している。
米国特許第5,849,876号(特許文献7)は、腫瘍および非腫瘍組織供給源から精製されたムチン抗原に対するモノクローナル抗体産生のための新規ハイブリドーマ細胞系を記載している。
米国特許第5,869,268号(特許文献8)は、所望の抗原に対して特異的な抗体を産生するヒト・リンパ球を生成するための方法と、モノクローナル抗体を産生するための方法と、同様に該方法によって産生されたモノクローナル抗体とを開示している。この特許は、特に癌の診断および治療に有用な抗HDヒト・モノクローナル抗体の産生に関する。
米国特許第5,869,045号(特許文献9)は、ヒト・抗体、抗体フラグメント、抗体複合体、および単鎖免疫毒素に関する。これらの抗体機能が2倍となるメカニズムは、分子がヒト・カルシノーマの表面に上に存在する細胞膜抗原に対して反応する点で、さらに、上記抗体がカルシノーマ細胞内に内在化する能力を有し、結合後、特に抗体−薬物結合体および抗体−毒素結合体に対して特に有用であるという点である。それらの修飾形態では、上記抗体は特定の濃度で細胞障害性を表す。
米国特許第5,780,033号(特許文献10)は、腫瘍の治療および予防のための自己抗体の使用を開示する。しかし、この抗体は、老いた哺乳類に由来する抗核自己抗体である。この場合、自己抗体は免疫系で見つかる、ある種の自然抗体であると言われる。自己抗体が「老いた哺乳類」に由来することから、処置されている患者から実際に由来する自己抗体であることを必要としない。また、この特許は老いた哺乳類から天然およびモノクローナル抗核自己抗体と、モノクローナル抗核自己抗体を産生するハイブリドーマ細胞系とを開示する。
【特許文献1】米国特許第5,750,102号公報
【特許文献2】米国特許第4,816,581号公報
【特許文献3】米国特許第5,171,665号公報
【特許文献4】米国特許第5,484,596号公報
【特許文献5】米国特許第5,693,763号公報
【特許文献6】米国特許第5,783,186号公報
【特許文献7】米国特許第5,849,876号公報
【特許文献8】米国特許第5,869,268号公報
【特許文献9】米国特許第5,869,045号公報
【特許文献10】米国特許第5,780,033号公報
【発明の開示】
【0009】
本発明者らは、以前に「個々の患者に対して特異的な抗癌抗体」と題された米国特許6,180,357号の付与を受けており、この特許は癌疾患の処置に有用である個々にカスタマイズされた抗癌抗体を選択するためのプロセスに関する。本明細書の目的にとって、「抗体」および「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は同義的に用いられ、ハイブリドーマ(例えば、マウスまたはヒト)、免疫複合体、ならびに必要に応じて免疫グロブリン・フラグメント、および免疫グロブリン由来の組み換えタンパク質(例えば、キメラおよびヒト化免疫グロブリンF(ab’)およびF(ab’)フラグメント、単鎖抗体、組み換え免疫グロブリン可変部領域(Fv)、ならびに融合タンパク質)によって産生されるインタクトな免疫グロブリンに関する。タンパク質の構造または機能に著しい作用を生ずることなくいくつかのアミン酸配列が変化し得ることは、当該技術分野で十分に認識されている。抗体の分子内転位では、主領域の核酸配列またはアミノ酸配列における修飾が一般に許容することができる。これらは、限定されるものではないが、置換(好ましくは保守的置換)、欠失、または付加を含む。さらに、本発明の範囲内である。標準的な化学療法薬様式(例えば、放射性核種)を本発明のCDMABと接合させることで、上記化学療法の使用に焦点が合わせられる。CDMABは、毒素、細胞障害性部分、または酵素(例えば、ビオチン複合酵素または血液原細胞)に結合させることもできる。
この出願は、癌疾患修飾モノクローナル抗体をコードするハイブリドーマ細胞系を単離するための‘357特許に教示されたように患者特異的抗癌抗体を産生するための方法を利用する。これらの抗体を、一つの腫瘍に対して特異的に作ることができるので、癌治療をカスタマイズすることが可能となる。
【0010】
個別的抗癌性の処置の期待は、患者が管理される方法の変化をもたらす。可能性がある臨床シナリオは、腫瘍試料が提示時に得られて、積み上がっているということである。この試料から、腫瘍の類型が既存の癌疾患修飾抗体のパネルから調べられる。患者は従来通りに病期分類されるが、利用できる抗体はさらに患者を病期分類する際に有用である。患者は既存の抗体を用いて即時治療を受けることができ、腫瘍に特有の抗体のパネルを、本明細書中に概説される方法を用いて、または本明細書中に開示されるスクリーニング法と併用してファージディスプレイ・ライブラリを用いることにより、作ることができる。、他の腫瘍が処置されているものと同じエピトープの一部を有することができる可能性があることから、発生する全ての抗体は抗癌性の抗体のライブラリーに加えられる。この方法によって産生される抗体は、これらの抗体と結合する癌がある数多くの患者において、癌疾患の処置に有用である。
【0011】
実質的に米国特許第6,180,357号のプロセスを使用することで、マウス・モノクローナル抗体7BD−33−11A、1A245.6、および11BD−2E11−2は、患者の乳房腫瘍生検で得た細胞でマウスを免疫化した後に得られた。この出願の背景の範囲内で、細胞殺害(細胞障害性)特性または細胞増殖阻害(細胞分裂停止)特性のいずれかを持つ抗癌抗体を以下、細胞障害性と呼ぶ。これらの抗体を、癌の病期分類および診断の補助に使用することができ、また腫瘍転位の処置に用いることができる。7BD−33−11A、1A245.6、および11BD−2E11−2抗原は、異なる組織起源の幅広い範囲のヒト細胞系の細胞表面上で発現された。試験した細胞系のうち、7B−33−11Aまたは1A245.6のいずれかの細胞障害性に感受性があったのは、乳癌細胞系MCF−7および前立腺癌細胞系PC−3の二系統のみであった。試験した細胞系のうち、11BD−2E11−2の細胞障害性効果に対して感受性があったのは、乳癌細胞系MCF−7および卵巣癌細胞系OVCAR−3の二系統のみであった。
抗癌抗体に加えて、患者は、多様な処置療法の一部として現在推奨された治療を受けることを選択することができる。本方法論を介して単離された抗体が相対的に非癌細胞に対して非毒性であるという事実から、高濃度で抗体の組み合わせを、単独または従来の治療と併用して用いることが可能である。高い治療指数は、処置耐性菌の出現の可能性を減少させなければならない短い時間的尺度上で、再治療もできるようにする。
【0012】
乳癌細胞および卵巣癌細胞に対する11BD−2E11−2の生体外(in vitro)効果は、生体内(in vivo)での抗腫瘍活性を確立することによって拡張された。ヒト癌の生体内(in vivo)モデルは、MCF−7乳癌細胞またはOVCAR−3卵巣の癌細胞を重症複合免疫不全(SCID)マウスに移植することによって確立された。なぜなら、SCIDマウスは特定の免疫細胞が欠如しているのでヒト腫瘍細胞を拒絶することができないからである。これらの種類の症状発現前異種移植腫瘍モデルで試験される薬物の作用は、治療効力を予測する上で妥当なものであると考えられる。マウスの癌異種移植片は、自然に起こる癌と同様の方法で、実質壊死、間質壊死、中心壊死、および血管新生を発現する固形腫瘍として成長する。乳癌細胞系MCF−7および卵巣癌細胞系OVCAR−3の評価は、SCIDマウスでおこなった。MCF−7およびOVCAR−3腫瘍の移植の成功ならびに標準的な化学療法薬に対する腫瘍の感度から、それらの腫瘍を薬物試験のための適当な癌モデルとして特徴づけた。MCF−7親細胞系およびその変異体とOVCAR−3細胞系とを、臨床化学療法剤として使用された広範な治療薬を評価するために異種移植腫瘍モデルとして使用することが成功した。11BD−2E11−2は、ヒト乳癌のヒト乳癌の予防的生体内(in vivo)モデルで、腫瘍増殖および減少した全身腫瘍組織量を予防した。モニタリングは、過去280日後処理を続けた。40パーセントの11BD−2E11−2投与群は、移植後7.5ヵ月を超えて生存していた。逆に言えば、イソタイプ対照群は、6.5ヵ月後処理の後で100パーセントの死亡率であった。51日目(最後の処置の直後)において,11BD−2E11−2処置群の腫瘍容積はイソタイプ対照群(p=0.0098)の20%であった。したがって、11BD−2E11−2は、生存率を高め、ヒト乳癌の安定したモデルで、対照治療群と比較して全身腫瘍組織量を減少させた。
【0013】
ヒト乳癌モデルでの有益な効果に加えて、11BD−2E11−2処置もまた、卵巣癌モデルでOVCAR−3細胞に対して抗腫瘍活性を有した。このモデルでの腫瘍発達の代用基準として体重を用いた。移植後80日目(処置終了後16日)、処置群のマウスは対照群の平均体重の87.6パーセントであった(p=0.015)。したがって、11BD−2E11−2処置は、いくつかの異なる癌モデルで、魅力的な抗癌性の治療薬とする。したがって、11BD−2E11−2処置は、緩衝液で処置した対照群と比較してヒト卵巣癌の十分に確立されたモデルで腫瘍発達を遅延させたことから、有効であった。11BD−2E11−2の抗腫瘍活性は、いくつかの異なる癌モデルで、それを魅力的な抗癌性の治療薬とする。
この発明は、治療薬の標的としての11BD−2E11−2の使用を教示するもので、投与された場倍、哺乳類で抗原を発現している癌の全身腫瘍組織量を減らすことができ、治療をうけている哺乳類の生存を延長させることもできる。この発明はまた、CDMAB(11BD−2E11−2)およびその誘導体の使用も教示しており、その抗原を標的にすることで、哺乳類で抗原を発現している癌の全身腫瘍組織量を減らし、またこの抗原を発現している腫瘍を持つ哺乳類の生存を延ばす。
【0014】
培養液中での乳癌細胞および前立腺癌細胞に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6細胞障害性の結果は、生体内(in vivo)での抗腫瘍活性を確立することで、さらに引き延ばされた。ヒト癌の生体内(in vivo)モデルでは、MB−231乳癌細胞またはPC−3前立腺細胞を重症複合免疫不全(SCID)マウスの首筋の皮下に移植した。なぜなら特定の免疫細胞が欠如しているため、ヒト腫瘍細胞を拒絶することができないからである。症状発現前異種移植腫瘍モデルは、治療効力を予測する有効な手段と考えられる。マウスの異種移植片は、自然発生的な癌と同様に間質壊死、中心壊死、および血管新生を発病している固形腫瘍として成長する。乳癌細胞株MB−231および前立腺腫瘍株PC−3を、免疫不全のマウスでの生体内(in vivo)異種移植モデルとして評価した。MB−231およびPC−3腫瘍の成功した移植または「取り込み率(take−rate)」と標準的な化学療法薬に対する腫瘍の感度によって、それらが適当なモデルであることを特徴づけた。MB−231親細胞系および該細胞系の変異体とPC−3アンドロゲン非依存型細胞系とが、臨床化学療法薬として使用された広範囲にわたる治療薬を評価するために、異種移植腫瘍モデルとして成功裏に用いられた。
また、7BD−33−11Aおよび1A245.6は、ヒト乳癌予防生体内(in vivo)モデルでの腫瘍増殖を抑制し、全身腫瘍組織量を減少させた。モニタリングは処置後150日以上続いた。7BD−33−11Aは、腫瘍を決して生ずることなく、7BD−33−11A処置群の87.5パーセントが移植後6ヶ月を過ぎても生存していた。
また、7BD−33−11Aおよび1A245.6は、ヒト乳癌予防生体内(in vivo)モデルでの腫瘍増殖を抑制し、全身腫瘍組織量を減少させた。モニタリングは処置後150日以上続いた。7BD−33−11Aは、腫瘍を決して生ずることなく、7BD−33−11A処置群の87.5パーセントが移植後6ヶ月を過ぎても生存していた。逆に言えば、イソタイプ対照群は、72日目(処理後23日)までに致死率100%を達成した。1A245.6処置マウスは処置後151日までに致死率100%を達成し、このことはイソタイプ対照処置群よりも6倍長い。したがって、1A245.6、さらにたいていの場合7BD−33−11Aは、乳癌細胞モデルでの生存を高め、全身腫瘍組織量を減少させた。
その上、7BD−33−11Aおよび1A245.6によって、確立された生体内(in vivo)ヒト乳癌モデルで、腫瘍増殖の抑制および全身腫瘍組織量の減少が有意に達成された。80日目(後処理23日)までに、7BD−33−11A処置マウスではイソタイプ対照群と比較して82%低い平均腫瘍容積であった(p=0.001)。1A245.6処理もまた、この日により低い平均腫瘍容積、35パーセント(p=0.135)を達成した。生存を抗体有効性の基準として用いることで、7BD−33−11A処置群での致死のリスクは、処置後約60日目でイソタイプ対照群の約16パーセント(p=0.0006)であった。処置後50日までに100%のイソタイプ対照群が致死した。相対的に、1A245.6処置マウスは処置後100日まで生存し、7BD−33−11A処置群の60%が処置後130日目であっても生存していた。このデータは、対照処置群と比較した場合に、1A245.6および7BD−33−1A処置によって生存および減少全身腫瘍組織量という利点が与えられたことを示している。体重減少および臨床苦痛等、いかなる毒性の兆候も誘導しなかったことから、7B−33−11Aおよび1A245.6処置が安全であることが明らかであった。したがって、7BD−33−11Aおよび1A245.6処置は、なぜならヒト乳癌の十分に確立されたモデルで、対照処置群と比較して、腫瘍増殖を遅らせ、生存を高めたことから、効果的であった。
【0015】
確立された乳癌の生体内(in vivo)腫瘍モデルに加えて、7BD−33−11Aおよび1A245.6処置もまた、予防生体内(in vivo)前立腺癌モデルでPC−3細胞に対する抗腫瘍活性を有した。この前立腺異種移植モデルでは、腫瘍細胞の移植1日前に7BD−33−11AおよびA245を別々にマウスに投与、その後7週間にわたって毎週注射した。7BD−33−1Aおよび1A245.6処置は、イソタイプ対照抗体よりも処置期間直後に腫瘍増殖を抑制する点で、有意に(それぞれp=0.001および0.017)、より効果的であった。処置相終了時、7BD−33−11Aまたは1A245.6を与えられたマウスは、それぞれイソタイプ対照群のたったの31および50パーセントまでしか増殖しない腫瘍を有した。
【0016】
PC−3SCID異種移植モデルに対して、疾患進行の代用指標として体重を用いることができる。52日目では、7BD−33−11Aおよび1A245.6処置は、イソタイプ対照群と比較して、それぞれ54および25パーセントまで体重の減少を有意に(それぞれp=0.002および0.004)抑えた。処理後の生存についてマウスをモニターした。処置後11日目で、イソタイプおよび緩衝対照マウスは致死率が100パーセントに達した。逆に言えば、処置後38日目で7BD−33−11Aおよび1A245.6が致死率100パーセントに達し、対照群よりも3倍長かった。このように7BD−33−11Aおよび1A245.6処置は、十分に確立されたヒト前立腺癌でのイソタイプ対照処置群と比べて、両方とも腫瘍増殖を遅らせ、体重の減少を抑え、さらに生存を延ばすことから、有効であった。
【0017】
前立腺癌の予防生体内(in vivo)腫瘍モデルに加えて、7BD−33−11Aは確立された生体内(in vivo)腫瘍モデルでPC−3細胞に対して抗腫瘍活性を示した。この異種移植モデルでは、抗体処置前に腫瘍が一定の大きさに達するように、PC−3前立腺癌細胞がSCIDマウスに対して皮下移植された。7BD−33−11Aによる処置を再びイソタイプ対照群と比較した。7BD−33−11A処置群では、処置直後にイソタイプ対照群と比較して、平均腫瘍容積が有意に(p<0.024)に小さいことが示された。7BD−33−11A処置は、イソタイプ対照群と比較して、36パーセントまでの腫瘍抑制を媒介した。いくつかの異なる癌モデルでは、7BD−33−11Aの抗腫瘍活性によって、該モデルが魅力的な抗癌治療薬となった。
【0018】
正常組織に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6の結合を測定した。IHC染色によって、腎臓、心臓、および肺等の生体器官を含む大部分の組織は7BD−33−11A抗原の発現に失敗した。7BD−33−11Aは、唾液腺、肝臓、脾臓、胃、前立腺、および十二指腸を染色し、さらに扁桃腺を強く染色した。組織染色から得られた結果によれば、7BD−33−11Aは、種々の細胞型に対する結合が制限される一方で、浸潤マクロファージ、リンパ球、および線維芽細胞に対して結合することが示された。1A245.6については、より広範な組織が陽染性であった。大部分のケースでは、染色は上皮または浸潤マクロファージ、リンパ球、および線維芽細胞に制限された。しかし、心筋および肝細胞の両方で陽染性がみられた。7BD−33−11Aおよび1A245.6は、膜染色パターンおよび細胞質染色パターンを示した。
【0019】
7BD−33−11Aおよび1A245.6抗原の限局化ならびに乳がん患者でのその有病率は、免疫療法の有益性を評価する際に重要である。癌患者の乳房腫瘍における抗原発現に対処するために、50人の乳がん患者から得た腫瘍組織試料を、7BD−33−11 Aまたは1A245.6抗原のいずれかの発現についてスクリーニングした。本研究の結果は、組織試料の36パーセントが7BD−33−11A抗原に対して陽染色性であった。染色が悪性細胞に限定されたことから、患者試料内での7BD−33−11Aの発現が、癌細胞に対して特異的であるように見えた。また、7BD−33−11Aは、乳癌患者から得た正常組織の10試料中、染色したものはゼロであった。一方、1A245.6は、乳癌組織試料の98パーセントを染色した。1A245.6はまた、乳癌患者から得た正常組織の10試料中、8試料を染色した。しかし、一般に、この染色は乳癌組織試料で観察されたものよりもかなり弱く、また一般に浸潤線維芽細胞に限定された。7BD−33−11Aおよび1A245.6発現を、さらに、乳房腫瘍の発達、処置、および予後において重要な役割を演じるホルモン(エストロゲンおよびプロゲステロン)に対する受容体の乳房腫瘍にもとづいて評価した。IA245.6抗原の発現とエストロゲンもしくはプロゲステロンのいずれかに対する受容体の発現との間に、明瞭な相互関係はなかった。エストロゲンまたはプロゲステロン受容体発現と7BD−33−11Aの発現との間にわずかな相互関係があった。すなわち、受容体発現を有する組織は、わずかに高い7BD−33−11A発現を呈した。腫瘍を該腫瘍の病期分類または癌の進行の度合いにもとづいて分析した場合、結果は7B−D−33−11Aに対してより高い腫瘍病期によってよりいっそう陽性発現し、1A245.6に対してより高い腫瘍病期によってより高強度に染色される傾向を示唆した。しかし、結果は試料の大きさが小さいことによる制限を受けた。
【0020】
さらに7BD−33−11Aおよび1A245.6の潜在的な治療上の利益をさらに拡げるために、種々のヒト癌組織内での抗原の頻度および限局化を決定した。いくつかの癌種は、乳癌に加えて、7BD−33−11A抗原を発現した。陽性のヒト癌種として、皮膚(1/2)、肺(3/4)、肝臓(2/3)、胃(4/5)、甲状腺(2/2)、前立腺(1/1)、子宮(4/4)、および腎臓(3/3)が含まれた。いくつかの癌は抗原を発現しなかった。すなわち、それらは、卵巣(0/3)、精巣(0/1)、脳(0/2)、およびリンパ節(0/2)を含んだ。1A245.6については、正常ヒト組織アレイと同様に、種々のヒト組織種から得た多数の癌が陽染色性であった。より強い染色は、皮膚、肺、肝臓、子宮、腎臓、胃、および膀胱の悪性細胞上で見られた。ヒト乳がん組織と同様に、7BD−33−1lAおよび1A245.6の限局化は、これらの腫瘍細胞の膜上または細胞質内で生じた。生体外(in vitro)で癌細胞系に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6抗体結合に加えて、抗原がヒトで発現され、多数の種類の癌で発現される証拠がある。
【0021】
全体として、このデータは、7BD−33−11Aおよび1A245.6抗原が癌関連抗原であって、ヒトで発現され、さらに病理学的に関連した癌標的であることを示している。さらに、このデータもまた、7BD−33−11Aおよび1A245.6抗原がヒト癌組織に結合することを示しており、また診断、治療の予測、または予後診断となり得るアッセイのために、適切に使われる。加えて、上記抗原の細胞膜限局化によって、診断、治療の予測、または予後診断となり得るアッセイで使用される該抗原、その遺伝子もしくは誘導体、そのタンパク質もしくはその変異体の使用が可能となる。
全体で、この発明は治療薬の標的として7BD−33−11Aまたは1A245.6抗原の使用を教示するもので、それが投与された場合に、哺乳類でその抗原を発現する癌の全身腫瘍組織量を減らすことができ、また治療を受けている哺乳類の生存延長をもたらすことができる。この発明はまた、CDMAB(7BD−33−11A/1A245.6)およびその誘導体を用いて、哺乳類で抗原を発現する癌の全身腫瘍組織量を減らし、この抗原を発現する腫瘍を持つ哺乳類の生存を延ばすために、その抗原を標的化することも、教示する。さらに、この発明は癌細胞における7BD−33−11Aまたは1A245.6抗原の検出を用いることも教示するもので、その抗原を発現する腫瘍を持つ哺乳類の診断、治療の予測、および予後診断に有用である。
【0022】
もし患者が治療の初期経過に対して不応性であったり、転移が生じた場合、腫 瘍に対する特異的抗体を生ずるプロセスを、再処置のために繰り返すことができる。さらにまた、抗癌抗体をその患者から得た赤血球に結合させて転移の処置のために再注入することができる。転移癌に対する効果的処置はほとんどなく、転移は一般に死に至る転帰不良の前兆となる。しかし、転移癌は通常、十分に血管化しており、赤血球による抗癌抗体の送達によって、腫瘍部位に抗体を集中させる効果が得られる。転移に先立っても、ほとんどの癌細胞はそれらの生存のために宿主の血液供給に依存しており、また赤血球に結合した抗癌抗体は同様に原位置(in situ)腫瘍でありえる。あるいは、抗体は、リンパ球、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞等の他の血液原細胞に結合することも可能である。
抗体には5つの種類があり、各々がその重鎖によって与えられる機能と関連している。裸の抗体によって癌細胞を殺すことは、抗体依存型細胞障害性または補体依存型細胞障害性のいずれかを通して媒介となると、一般に思われている。例えば、マウスIgMおよびIgG2a抗体は補体系のC−1成分が結合することでヒト補体型を活性化させることができ、それによって腫瘍細胞溶解を導くことができる補体活性化の古典経路が活性化される。ヒト抗体のために、最も効果的に補体活性化させている抗体は、一般にIgMおよびIgG1である。IgG2aおよびIgG3イソタイプのマウス抗体は、単球、マクロファージ、顆粒球、および特定のリンパ球によって細胞殺害に導くFcレセプターを持つ細胞傷害性細胞を補充することで効果的である。IgG1およびIgG3イソタイプのヒト抗体は、ADCCの媒介となる。
体媒介癌殺害のもう一つの可能な機構が、細胞膜およびその関連糖タンパク質もしくは糖脂質での種々の化学結合の加水分解を触媒するために働く抗体(いわゆる触媒抗体)の使用を介するものであってもよい。
抗体媒介癌細胞殺害により広く認められる2つの機構がさらに存在する。第1は、腫瘍細胞にある推定上の癌抗原に対して免疫反応を産生させるために身体を誘導するワクチンとしての抗体の使用である。第2は、抗体の使用であり、増殖受容体を標的として機能に干渉するめ、あるいは効果的に機能が失われるようにその受容体を下流制御する。
【0023】
制癌剤の臨床有用性は、患者に対する許容リスク・プロフィールのもとでの薬物の利点に基づく。癌治療において、生存は通常、利点の次に最も求められている。しかし、延命に加えて多数の他のよく認識された利点がある。処置が生存に対して悪影響を及ぼさないこれらの他の利点として、症状寛解、有害事象に対する防御、再発または疾患のない生存の時間延長および進行の時間延長を含む。これらの判定基準は一般に認められており、米国食品医薬品局(F.D.A)等の規制団体が、それらの利点を生む薬物を承認する(Hirschfeld et al. Critical Reviews inOncology/Hematolgy 42: 137−143 2002)。これらの基準に加えて、これらの種類の利点を予測することが可能な他のエンドポイントがあることが十分認識される。一つには、米国F.D.A.によって与えられた促進的承認プロセスは、患者の利点を予測する代用物があることを認める。年末(2003)より、このプロセス中で承認される薬剤が16種類あり、これらのうちの4種類が完全に承認に移った。すなわち、追跡調査は、代わりの終末点によって予測されたとして直接の患者の利点を示した。固形腫瘍で薬物効果を決定するための1つの重要な終末点は、処置に対する反応の測定による全身腫瘍組織量の評価である(セラッセ(Therasse)他。米国国立癌研究所雑誌(Journal of the National Cancer Institute) 92 (3): 205−216 2000)。そのような評価のための臨床判定基準(RECIST判定基準)は、固体腫瘍研究グループ(Solid Tumors Working Group)(癌では国際的な一群の専門家)で、反応評価基準によって広められた。全身腫瘍組織量に対する示された効果を持つ薬物は、RECIST判定基準に従う客観的な反応で示すように、最終的に、適当な対照群と比較して、直接的な患者の利点を産生する傾向にある。前臨床設定では、全身腫瘍組織量は一般に、より直接的に評価および記録される。前臨床試験が上記臨床設定に解釈し得るという点で、前臨床モデルで生存を延ばす薬物は最も予想された臨床的有用性を持つ。臨床処置に対して肯定応答を生ずることに類似して、前臨床設定で全身腫瘍組織量を減少させる薬物もまた疾患に対して有意に直接的な影響を及ぼすことも可能である。生存の延長が制癌剤処置による臨床転帰後に最も求められるものではあるが、臨床有用性を持つ他の利点があり、全身腫瘍組織量もまた、直接的な利点に至ることもでき、また臨床的影響もあることは明らかである (エクハルド(Eckhardt)他。 et al. 発達療法:標的化合物の臨床試験設計の成功および失敗: ASCO啓発本(Developmental Therapeutics: Successes and Failures of Clinical Trial Designs of Targeted Compounds; ASCO Educational Book)、2003年第39回年会、2003、209−219頁)。
【0024】
したがって、本発明の目的は、ハイブリドーマ細胞系と、該ハイブリドーマ細胞系がコードされた対応する単離モノクローナル抗体およびその抗原結合フラグメントとを単離するために、癌細胞に関して細胞障害性であり、同時に非癌細胞に対しては相対的に非毒性である特定の個人に由来する細胞から癌疾患修飾抗体を産生する方法を利用することである。
本発明の別の目的は、癌疾患修飾抗体とその抗原結合フラグメントとを教示することである。
本発明のさらなる目的は、細胞障害性が抗体依存型細胞障害性を通して媒介される癌疾患修飾抗体を産生することである。
本発明のさらに別の目的は、細胞障害性が補体依存型細胞障害性を通して媒介される癌疾患修飾抗体を産生することである。
本発明のさらなる目的は、細胞障害性が細胞化学結合の加水分解を触媒する能力の関数である癌疾患修飾抗体を産生することである。
本発明のさらなる目的は、癌の診断、予後、およびモニタリングのための結合アッセイに有用である癌疾患修飾抗体を産生することである。
この明細書の他の目的および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。ここで、例証および例示を目的として、本発明のいくつかの実施形態を説明する。
【0025】
(図面の簡単な説明)
この特許または出願では、彩色仕上げされた少なくとも1つの図面が含まれる。カラー図面を有するこの特許または特許出願公開の写しは、申請および必要な料金の支払いに応じて、特許庁から得られる。
図1は、1A245.6抗体、両抗体のイソタイプ対照抗体、いくつかの癌細胞系および非癌細胞に対する抗EGFR抗体、の典型的なFACSヒストグラムである。
図2は、7BD−33−11A抗体、1A245.6のイソタイプ対照抗体、抗EGFR抗体、いくつかの癌細胞系および非癌細胞に対する抗EGFRのイソタイプ対照抗体の典型的なFACSヒストグラムである。
図3は、11BD−2E11−2抗体、両抗体のイソタイプ対照抗体、いくつかの癌細胞系および非癌細胞に対する抗EGFR抗体のFACSヒストグラムである。
図4は、特定の抗体処置に関する腫瘍容積のグラフ解析である。
図5は、時間経過に伴うMB231ヒト乳癌腫瘍容積に対する抗体効果のグラフ解析である。
図6は、 抗体療法に関連した時間経過に伴う生存率を定量化するグラフ解析である。
図7は、 MCF−7乳癌モデルでの腫瘍増殖に対する11BD−2E11−2の効果を示す図である。図中、破線は抗体が投与された期間を示す。データ・ポイントは平均値±SEMを表す。
図8は、予防的MCF−7異種移植研究での11BD−2E11−2またはイソタイプ対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す図である。処置後230日を超えた生存についてマウスをモニターした。
図9は、予防的OVCAR−3卵巣癌モデルの平均体重に対する11BD−2E11−2の効果を示す図である。実勢は、抗体が訪うよされた器官を示す。データ・ポイントは、平均値±SEMを表す。
図10は、予防的OVCAR−3研究での11BD−2E11−1またはバッファ対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す図である。処置後約60日間、生存に関してマウスをモニターした。
図11は、予防的MB−241異種移植研究での7BD−33−11A、1A245.6、またはイソタイプ対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す図である。処置後200日間、生存に関してマウスをモニターした。
図12は、予防的MB−231乳癌モデルでの腫瘍増殖に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6の効果を示す図である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データ・ポイントは、平均値±SEMを表す。
図13は、確立したMB−231異種移植研究での7BD−33−11A、1A2425.6、またはイソタイプ対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す図である。処置後130日間にわたってマウスの生存をモニターした。
図14は、予防的前立腺癌モデルでの腫瘍増殖に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6の効果を示す。破線は、抗体が投与された期間を示す。データ・ポイントは、平均値±SEMを表す。
図15は、予防的PC−3異種移植研究の継続期間に対する異なる処置を受けた群の平均体重を示すヒストグラムである。データ・ポイントは各時点での各群についての平均値±SEMを表す。
図16は、予防的PC−3異種移植研究での7BD−33−11A、1A2425.6、イソタイプまたは緩衝対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す。処置後38日間にわたって、生存についてマウスをモニターした。
図17は、確立したPC3前立腺癌モデルでの腫瘍増殖に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6の効果を示す。破線は抗体が投与される期間を示す。データ・ポイントは、平均値±SEMを表す。
図18は、確立したPC−3異種移植研究の持続期間にわたる異なる処置群の平均体重を示すヒストグラムである。データは、各時点での各群の平均値±SEMとして表されている。
図19A〜Cは、正常ヒト脳であり、Aが7BD−33−11、Bが1A245.6、およびCが陰性イソタイプ対照を示す。倍率は200倍である。
図20A〜Cは、正常ヒト心臓であり、Aが7BD−33−11A、Bが1A245.6(矢印は陽性染色を示す)、およびCが陰性イソタイプ対照を示す。倍率は200倍である。
図21A〜Cは、正常ヒト胃洞であり、Aが7BD−33−11A(矢印は胃腺上皮の陽性染色を示す)、Bが1A245.6(矢印は胃腺上皮の陽性染色を示す)、Cが陰性イソタイプ対照を示す。倍率は200倍である。
図22A〜Bは、ヒト乳癌腫瘍(浸潤性導管癌:パネルA、黒色矢印:腫瘍細胞シート、黄色矢印:腫瘍間質)およびヒト正常乳房(パネルB)に対する7BD−33−11A結合の典型的な顕微鏡写真を示す。倍率は200倍である。
図23A〜Bは、ヒト乳癌腫瘍(浸潤性導管癌:パネルA、黒色矢印:腫瘍細胞シート、黄色矢印:腫瘍間質)およびヒト正常乳房(パネルB、黒色矢印:線維芽細胞)に対する1A245.6結合の典型的な顕微鏡写真を示す。倍率は200倍である。
図24A〜Cは、腎細胞癌であり、Aは7BD−33−11A(矢印は腫瘍細胞シートでの陽性染色を示す)、Bは1A245.6(矢印は腫瘍細胞シードでの陽性染色を示す)、およびCは陰性イソタイプ対照である。倍率は200倍である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
【実施例1】
【0027】
ハイブリドーマ生産−ハイブリドーマ細胞系7BD−3−11A、1A245.6、および11BF−2E11−2ハイブリドーマ:
ハイブリドーマ細胞系統7BD−33−11Aおよび1A245.6を、ブタベスト条約に従って、それぞれ受託番号PTA−4890およびPTA−4889として2003年1月8日、米国菌培養収集所(ATCC)(米国20110−2209バージニア州マナッサス大学通り10801)に寄託した。37CFR1.808にもとづいて、寄託者は、寄託材料の公開に対する有効性にかかるすべての制限が特許の付与によって即座に取り除かれることを確信する。
【0028】
ハイブリドーマ細胞系11BD−2E11−2を、ブタベスト条約に従って、受託番号PTA−5643として2003年11月11日、米国菌培養収集所(ATCC)(米国20110−2209バージニア州マナッサス大学通り10801)に寄託した。37CFR1.808にもとづいて、寄託者は、寄託材料の公開に対する有効性にかかるすべての制限が特許の付与によって即座に取り除かれることを確信する。
【0029】
抗癌抗体7BD−33−11Aを産生するハイブリドーマを作るために、抗原、すなわちヒト乳癌細胞の単一細胞懸濁液を冷PBSで調製した。週齢8ないし9週のBALB/cマウスの免疫化は、20万ないし250万個の細胞を含む抗原アジュバント100マイクロリットルをフロイントの完全アジュバントとともに分割量で皮下および腹腔内注射によっておこなった。新たに調製した抗原アジュバントを用いて、初回免疫から3週間後、および最終免疫から2日後に同じ様式で20万ないし250万個の細胞で免疫化マウスの追加免疫に用いた。最終免疫の少なくとも2日後、融合のために脾臓を用いた。単離した脾細胞をSp2/0骨髄腫パートナーと融合してハイブリドーマを調製した。融合から得た上清をハイブリドーマのサブクローニングについて試験した。
【0030】
抗癌抗体1A245.6を産生するハイブリドーマを作るために、抗原、すなわちヒト乳癌細胞の単一細胞懸濁液を冷PBSで調製した。週齢8ないし9週のBALB/cマウスの免疫化は、250万個の細胞を含む抗原アジュバント100マイクロリットルをフロイントの完全アジュバントとともに分割量で皮下および腹腔内注射によっておこなった。新たに調製した抗原アジュバントを用いて、初回免疫から3週間後、その後2週間、その後5週間、さらに最終免疫化から3週間後に同じ様式で250万個の細胞で免疫化マウスの追加免疫に用いた。最終免疫の少なくとも3日後、融合のために脾臓を用いた。単離した脾細胞をNSO−1骨髄腫パートナーと融合してハイブリドーマを調製した。融合から得た上清をハイブリドーマのサブクローニングについて試験した。
【0031】
抗癌抗体11BD−2E11−2を産生するハイブリドーマを作るために、抗原、すなわちヒト乳癌細胞の単一細胞懸濁液を冷PBSで調製した。週齢8ないし9週のBALB/cマウスの免疫化は、20万ないし250万個の細胞を含む抗原アジュバント100マイクロリットルをフロイントの完全アジュバントとともに分割量で皮下および腹腔内注射によっておこなった。新たに調製した抗原アジュバントを用いて、初回免疫から2ないし3週間後、また最終免疫化から2週間後に同じ様式で20万ないし250万個の細胞で免疫化マウスの追加免疫に用いた。最終免疫の少なくとも2日後、融合のために脾臓を用いた。単離した脾細胞をNSO−1骨髄腫パートナーと融合してハイブリドーマを調製した。融合から得た上清をハイブリドーマのサブクローニングについて試験した。
【0032】
ハイブリドーマ細胞によって分泌される抗体が免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンMイソタイプかどうかを決定するために、ELISAアッセイを用いた。ヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)を2.4マイクログラム/mLの濃度で含むコーティング緩衝液(0.1M炭酸塩/重炭酸塩緩衝液、pH9.2〜9.6)を4℃、100マイクロリットル/ウエルで、ELISAプレートに一晩加えた。このプレートを洗浄緩衝液(PBS+0.05%Tween)で3回洗浄した。100マイクロリットル/ウエルのブロッキング緩衝液(5%ミルク含有洗浄緩衝液)を上記プレートに、室温で1時間添加し、次に洗浄緩衝液で3回洗浄した。100マイクロリットル/ウエルのハイブリドーマ懸濁液を添加し、プレートを1時間、室温でインキュベートした。このプレートを洗浄液で3回洗浄し、ヤギ抗マウスIgGまたはIgM西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ複合体の1/5000希釈物(1%牛血清アルブミン含有PBSで希釈)100マイクロリットル/ウエルを添加した。このプレートを室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄液で3回洗浄した。100マイクロリットル/ウエルのTMP溶液を室温で1〜3分間インキュベートした。2MのHSOを100マイクロリットル/ウエル添加することで呈色反応を停止させ、プレートを450nmでパーキン・エルマー(Perkin−Elmer)HTS7000プレート読み取り装置で読み取った。表1に示すように、7BD−33−11A、1A245.6、および11BD−2E11−2ハイブリドーマは、主にIgGイソタイプの抗体を分泌した。
【0033】
限界希釈を1〜4回繰り返した後、細胞ELISAアッセイで標的細胞に結合した抗体についてハイブリドーマ上清を試験した。3種類の乳癌細胞系、すなわちMDA−MB−231(MB−231ともいう)、MDA−MB−468(MB−468ともいう)、およびSKBR−3、を試験した。平板培養された細胞を、使用前に固定した。室温で、プレートをMgClおよびCaCl含有PBSで3回洗浄した。PBSで希釈した2%パラホルムアルデヒド100マイクロリットルを各ウエルに室温で10分間添加し、その後捨てた。プレートを再びMgClおよびCaCl含有PBSで再び洗浄した。ブロッキングを、5%ミルク含有洗浄液(PBS+0.05%Tween)を100マイクロリットル/ウエルを用いて、室温で1時間実施した。プレートを洗浄液で3回洗浄し、ハイブリドーマ上清を100マイクロリットル/ウエル、室温で1時間添加した。このプレートを洗浄液で3回洗浄し、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼと接合したヤギ抗マウスIgGまたはIgMの1/5000希釈物(1%牛血清アルブミン含有PBSで希釈)を100マイクロリットル/ウエル添加した。室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄液で3回洗浄し、100マイクロリットル/ウエルのTMB基質を室温で1〜3分インキュベートした。反応を100マイクロリットル/ウエルの2M HSOで停止させ、このプレートを、パーキン・エルマー(Perkin−Elmer)HTS7000プレート読み取り装置を用いて450nmで読み取った。表1に集計したように、結果はIgGイソタイプ対照(3BD−27)と比較した際のバックグラウンドを上回る倍数で表した。7BD−33−11Aおよび1A245.6ハイブリドーマ由来の抗体は、バックグラウンドよりも少なくとも6倍大きく、3種類の乳癌細胞系全てに対して強く結合した。両方の抗体が最も強くMDA−MB−231抗体に結合した。11BD−2E11−2ハイブリドーマ細胞系由来の抗体もまた、MDA−MB−231細胞系に最も強く結合したが、バックグラウンドよりも大きい他の2細胞系に対する結合は示されたなかった。これらの結果は、この抗体によって認識されたエピトープがMDA−MB−468またはSKBR−3細胞に存在しないこと、また7BD−33−11Aおよび1A245.6によって認識されたエピトープとは異なることを示唆している。
【0034】
抗体結合に関する試験と同時に、ハイブリドーマ上清の細胞毒性について、同じ乳癌細胞系(MDA−MB−231、MDA−MB−468、およびSKBR−3)を用いて試験した。生/死細胞毒性アッセイをモレキュラー・プローブ(Molecuclar Probes)(Eu、OR)から得た。このアッセイを、以下に示す変更を加えて製造元の指示にしたがって実施した。細胞を、予め定められた適当な密度で上記アッセイ前に、平板培養した。2日後、ハイブリドーマ・マイクロタイター・プレートから100マイクロリットルの上清を細胞プレートに移し、5日間にわたって5%COインキュベーターでインキュベートした。陽性対照群としてあるウエルを、空になるまで吸引し、100マイクロリットルのアジ化ナトリウムおよび/またはシクロヘキシミドを添加した。3BD−27モノクローナル抗体もまた、イソタイプ対照として添加した。なぜなら、それは試験した3種類の乳癌細胞系に対して結合しないからである。比較のために、抗EGFR抗体(C225)も上記アッセイで用いた。処置5日後、上記プレートを逆さまにして空にし、拭いて乾燥した。MgClおよびCaClを含む室温DPBSをマルチチャンネル・スクイーズ・ボトルから各ウエルに分配し、軽く3回叩き、反転して空にし、さらに拭いて乾燥させた。MgClおよびCaCl含有DPBSで希釈した蛍光生/死染料50マイクロリットルを各ウエルに添加し、37℃、30分間、5%COインキュベーターでインキュベートした。プレートをパーキン・エルマー(Perkin−Elmer)HTS7000プレート読み取り装置で読み取り、そのデータをマイクロソフト・エクセル(Microsoft Excel)で分析した。結果を表1に集計した。
【0035】
細胞毒性の違いが3種類の抗体で観察された。11BD−2E11−2は39〜73%の致死を示し、SKBR−3細胞で最も高い細胞毒性が観察された。1A245.6および7BD−33−11AはMDA−MB−231で類似の細胞毒性を示したが、A245.6はMDA−MB−468細胞に対して細胞毒性を示すが7B−33−11Aは示さなかった。
このことは、ハイブリドーマ細胞由来の抗体が癌細胞で細胞毒性を生じ得ることを示した。抗体結合の度合いと、ハイブリドーマによって生ずる細胞毒性とのあいだに一般的な関係もあった。この傾向にはいくつかの例外(例えば結合不足にもかかわらずMB−468癌細胞およびSKBR−3癌細胞で11BD−2E11−2によって生ずる細胞毒性の量)があった。このことは、この細胞種での細胞ELISA結合アッセイによっては検出できない媒介作用を上記抗体が有すること、またはそのアッセイが結合を検出しないこと(細胞固定等のアッセイの制約によるかもしれない)を示唆した。最後に、さらに別の可能性が存在しており、すなわち、このアッセイがこの特定の状況下で細胞毒性を媒介するのに十分である結合を検出するには感度が乏しかった。他の例外は、イソタイプ対照と比較してバックグラウンドよりも結合が6倍増加したにも関わらず、MB−468細胞に対する7BD−33−11Aの細胞毒性の相対的な不足であった。このことは、結合がその同族の抗体リゲーションの結果を必ずしも予示するものではないという可能性を示した。既知の非特異的細胞毒性因子であるシクロヘキシミドは予想通りに細胞毒性を生じた。
【0036】
【表1】

【実施例2】
【0037】
抗体産生
モノクローナル抗体の産生は、ハイブリドーマ7BD−33−11A、1A245.6、およびBD−2E11−2を収集によりCL−1000フラスコ(BDバイオサイエンス(Biosciences)(オークビル(Oakville)、ON)で培養し、週に2回再播種し、プロテインGセファローズ4ファースト・フロー(アマシャム・バイオサイエンス(Amersham Biosciences)、ベイ・ド・ウルフェ(Baie d‘Urfe)、QC)による標準的抗体精製手順でおこなった。ヒト化、キメラ化、またはマウス抗体であるモノクローナル抗体を利用することは、本発明の範囲内である。7BD−33−11A、1A245.6、およびBD−2E11−2を細胞毒性アッセイで、多数の陽性対照群(抗Fas(EOS9.1、IgM、カッパ、20マイクログラム/ml、イー・バイオサイエンス(eBioscience)、サンディエゴ(San Diego)、CA)、抗Her2/neu(IgG1、カッパ、10マイクログラム/ml、インター・メディコ(Inter Medico)、マークハム(Markham)、ON)、抗EGFR(C225、IgG1、カッパ、5マイクログラム/ml、シーダーレーン(Cedarlane)、ホーンビー(Hrnby)、ON)、シクロヘキシミド(100マイクロモル、シグマ(Sigma)、オークビル(Oakville)、ON)、NaN(0.1%、シグマ(Sigma)、オークビル(Oakville)、ON))および陰性対照群107.3(抗TNP、IgG1、カッパ、20マイクログラム/ml、BD バイオサイエンス(Biosciences)、オークビル(Oakville)、ON)、G155−178(抗TNP、IgG2a、カッパ、20マイクログラム/ml、BD バイオサイエンス(Biosciences)、オークビル(Oakville)、ON)、MPC−11(抗原特異性未知、IgG2b、カッパ、20マイクログラム/ml)、J606(抗フルクトサン 、IgG3、カッパ、20マイクログラム/ml)、IgG緩衝液(2%))と比較した(表2)。
【0038】
【表2】

【0039】
乳癌(MB−231、MB−468、MCF−7)、大腸癌(HT−29,SW1116、SW620)、肺癌(NCI H460)、卵巣癌(OVCAR)、前立腺癌(PC−3)、および非癌(CCD 27sk、Hs888 Lu)細胞系を試験した(全てATCC、マナッサス(Manassas)、VAから入手)。生/死細胞毒性は、モレキュラー・プローブ(Molecular Probes(Eugene(ユージン)、OR)から得た。アッセイは以下に概説する変更を加えて製造元の指示に従っておこなった。細胞を、予め定められた適当な密度で上記アッセイ前に、平板培養した。2日後、100マイクロリットルの精製抗体を培地に希釈して細胞プレートに移し、5日間にわたって8%COインキュベーターでインキュベートした。上記プレートを逆さまにして空にし、拭いて乾燥した。MgClおよびCaClを含む室温DPBSをマルチチャンネル・スクイーズ・ボトルから各ウエルに分配し、軽く3回叩き、反転して空にし、さらに拭いて乾燥させた。MgClおよびCaCl含有DPBSで希釈した蛍光生/死染料を各ウエルに50マイクロリットル添加し、37℃、30分間、5%COインキュベーターでインキュベートした。プレートをパーキン・エルマー(Perkin−Elmer)HTS7000プレート読み取り装置で読み取り、そのデータをマイクロソフト・エクセル(Microsoft Excel)で分析した。結果を表2に集計した。データは、3重に試験した4回の実験の平均を表し、以下の様式で定量的に示した。すなわち、閾値細胞毒性よりも大きい4/4実験(+++)、閾値細胞毒性よりも大きい3/4実験(++)、閾値細胞毒性よりも大きい2/4実験(+)。表2中無印の細胞は、不定または閾値細胞毒性よりも低い効果を示した。7BD−33−11Aおよび1A245.6抗体は選択的に乳房および前立腺の腫瘍株で細胞毒性を示した、その一方で、非形質転換正常細胞に対しては効果を示さなかった。両方とも陽性対照抗Fas抗体よりも25〜50%大きい致死率を示した。11BD−2E11−2は、乳癌細胞および卵巣癌細胞に対して特異的であり、正常細胞に対しては影響を及ぼさなかった。化学的細胞毒性因子は、該因子の期待される細胞毒性を誘発し、その一方で比較のために誘導される数多くの他の抗体もまた予想通りに実行され、生物学的細胞アッセイに限定を加えた。全体で、3種類の抗体が多数の癌細胞型に対して細胞毒性活性を持つことが示された。抗体は、全ての癌細胞型が感受性を示すわけではないので、該抗体の活性という点で選択的である。さらにまた、抗体が非癌細胞型に対しては細胞毒性を生じないということ(治療的な状況では重要な要素である)から、抗体は機能的特性を示した。
【0040】
まず最初に細胞単層をDPBS(Ca++およびMg++を含まず)で洗浄して、FACS用に細胞を調製した。次に、細胞解離緩衝液(インビトロゲン(INVITROGEN)を用いて、37℃で細胞培養プレートから細胞を除去した。細胞の遠心および回収後、細胞をMagCl、CaCl、および25%牛胎児血清を含むダルベッコ(Dulbecco)リン酸緩衝生理的食塩水(4℃、洗浄媒体)に再懸濁し、計数し、適当な細胞密度に等分し、遠心して細胞をペレットにし、さらに7BD−33−11A、1A245.6、BD−2E11−2、または対照抗体(イソタイプ制御または抗EGF−R)を20マイクログラム/ml含む染色媒体(MagClおよびCaCl含有DPBS)に。氷上、30分間、再懸濁した。アレクサ・フルーア(Alexa Fluor)結合二次抗体を細胞に添加することに先立って、細胞を洗浄媒体で1回洗浄する。染色媒体に含まれるアレクサ・フルーラ488接合抗体を次に20分間添加した。次に細胞を最終時間に対して洗浄し、1マイクログラム/mlヨウ素化プロピジウムを含む染色媒体に再懸濁した。フローサイトメトリーによる細胞の獲得を、セルクエスト(CellQuest)ソフトウエア(BD バイオサイエンス(Bioscience))を用いてFACスキャン(FACScan)上に試料を走らせることで、評価した。細胞の前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)は、FSCCおよびSSC検出器上で電圧および振幅利得を調製することで、設定される。3本の蛍光チャネル(FL1、FL2、およびFL3)用の検出器を、細胞が約1−5単位の中央値蛍光強度で均一のピークを持つようにして、アレクサ・フルーア(Alexa Fluor)488結合二次抗体が続く精製されたイソタイプ制御抗体で染色される細胞を走らせることによって調整した。FSCおよびヨウ素化プロピジウムに対してゲーティングをおこなうことで、生細胞を取得した。各試料について、約10,000個の生細胞を分析のために取得し、その結果を表3に示した。表3は、イソタイプ対照を上回る蛍光強度増加倍率の平均値を示し、定量的に5未満(−)、5ないし50(+)、50ないし100(++)、100を超える(+++)として表し、かつ括弧内は染色された細胞率であった。
【0041】
【表3】

【0042】
7BD−33−11A抗体の典型的なヒストグラムを図1用に編集し、1A245.6抗体の典型的なヒストグラムをを図2用に編集し、11BD−2E11−2の典型的なヒストグラムを図3用に編集し、さらに二峰性のピークを含む結合特性を明示した。いくつかのケースでは、11BD−2E11−2が乳房腫瘍細胞系MDA−MB−231に対する特異的腫瘍結合を示した。7BD−33−11AおよびA245.6の両方が乳癌(MDA−MB−231およびMCF−7)、大腸、肺、卵巣、および前立腺起源の癌系に対する類似した結合を示し、乳癌細胞系の一つ(MDAMB−468)に対しては差次的な結合を示した。非癌化細胞に対する3種類の抗体全ての結合があったが、その結合は細胞毒性を生じなかった。このことは、結合がその同族の抗原の抗体連結反応の結果を必ずしも予示するというわけではないというさらなる証拠であり、また非自明的な知見であった。このことは、異なる細胞での抗体連結反応の状況がまさに抗体結合よりも細胞毒性の決定因子であったことを示唆した。
【実施例3】
【0043】
生体内(in vivo)実験
ここで、図5および図6に示したデータに関連して、週齢4ないし8週のメスSCIDマウスに対して、500万個のNDA−MB−231ヒト乳癌細胞を含む100マイクロリットルをマウスの首筋に皮下注射することで、該細胞を移植した。マウスを無作為に、10匹からなる処置群4つに分けた。移植に先立つ日に、20mg/kgの11BD2E−11−2、7BD−33−11A、1A245.6試験抗体または3BD−27イソタイプ対照抗体(MDA−MB−231細胞に結合しないことが知られている)を、2.7 mM KCI、1 mMKHPO、137mMNaCl、および20 mMNaHP0を含む希釈剤でストック濃度から希釈した後に容量300マイクロリットルで腹腔内投与した。抗体を次に週に1回、同じ様式で7週間にわたって投与した。
【0044】
腫瘍増殖の測定は、ほぼ7日目毎にカリパスを用いて、最大10週間あるいは動物がカナダ動物飼育評議会(Canadian Council for Animal Care; CCAC)エンド・ポイントに達するまで測定した。動物の体重を、本研究期間にわたって記録した。本研究終了後、全ての動物を、CCACガイドラインに従って安楽死させた。毒性の臨床徴候が、本研究の全体を通して見られなかった。週間隔で計量される体重は、健康および発達障害の代用となった。イソタイプ対照3BD−27と7BD−33−11A、1A245.6または11BD−2E11−2とによって処置された複数の群に関して体重差が最小であった。60日目(処置停止後11日)では、1A245.6による処置を受けた群の腫瘍体積は、対照群の5.2%(p=0.0002)であり、抗体処置による全身腫瘍組織量の減少に効果を示した。7BD−33−11A抗体による処置を受けたそれらの癌保持マウスは疾患を持たず、全身腫瘍組織量がゼロであった。腫瘍容積は、67日目で11BD−2E11−2処置群でより低かった(対照の45%)(p=0.08)。このことはまた、対照抗体と比較して細胞毒性抗体による全身腫瘍組織量の低下を示した。これもまた、7BD−33−11A、1A245.6、および11BD−2E11−2細胞傷害抗体による処置による対応の生存利点があった(図6)。3BD−27抗体によって処置された対照群は、移植後74日目で100%の致死率に達した。対照的に、7BD−33−11Aによって処置された群は疾患無しであり、1A245.6処置動物の生存率は100%であり、さらに11BD−2E11−2によって処置された群の生存率は24%であった。
全体で、細胞毒性抗体処置は、ヒト癌疾患のよく認識されたモデルでの対照抗体と比較して、全身腫瘍組織量を減少させるとともに生存率を高めた。このことは、他の哺乳類(ヒトを含む)での治療にとって、これらの抗体(7BD−33−11A、1A245.6、およびBD−2E11−2)の薬理学的および製薬学的利点があることを示唆している。
【実施例4】
【0045】
生体内(in vivo)定着腫瘍実験
週齢5ないし6週のメスSCIDマウスに対して、500万個のMDA−MB−231乳癌細胞を含む100マイクロリットルをマウスの首筋に皮下注射することによって、該細胞の移植をおこなった。腫瘍増殖の測定は、カリパスを用いて毎週おこなった。移植後34日で大部分のコホートが100mm(範囲50〜200mm)の腫瘍容積に達したとき、8〜10匹のマウスを無作為に3つの処置群の各々に割り当てた。7BD−33−11A、1A245.6試験抗体または3BD−37イソタイプ対照抗体(MDA−MB−231細胞に結合しないことが知られている)を、2.7mM KCI、1mM KHPO、137mM NaCl、および20mM NaHP0を含む希釈剤でストック濃度から希釈した後に容量150マイクロリットルで抗体(15mg/kg)とともに腹腔内投与した。抗体を次に週に3回、合計で10用量、同じ様式で移植後56日目まで投与した。腫瘍増殖の測定は、ほぼ7日目毎にカリパスを用いて、移植後59日目まで、または動物がカナダ動物飼育評議会(Canadian Council for Animal Care; CCAC)エンド・ポイントに達するまで測定した。動物の体重を、本研究期間にわたって記録した。本研究終了後、全ての動物を、CCACガイドラインに従って安楽死させた。
【0046】
毒性の臨床徴候が、本研究の全体を通して見られなかった。週間隔で計量される体重は、健康および発達障害の代用となった。イソタイプ対照と7BD−33−11Aまたは1A245.6抗体とによって処置された複数の群に体重差はなかった。図4に示すように、移植後59日目(処置停止後2日)では、7BD−33−11Aによる処置を受けた群の腫瘍体積は、対照群の29.5%(p=0.0003)であった。この群では、59日目の値と52日目(p=0.25)とを比較した場合に、平均腫瘍容積の後退に向かう傾向があった。同様に、1A245.6後退による処置もまた、有意に腫瘍増殖を抑制し、全身腫瘍組織量を低下させた。この抗体によって処置された定着腫瘍を持つ動物は、イソタイプ処置対照群の56.3%である腫瘍容積を有した(p=0.017)。
全体で、ヒト癌疾患のよく認識されたモデルでの対照抗体と比較して、7BD−33−11Aおよび1A245.6抗体による処置が有意に定着腫瘍の全身腫瘍組織量を減少させた。このことは、他の哺乳類(ヒトを含む)での治療にとって、これらの抗体の薬理学的および製薬学的利点があることを示唆している。
【実施例5】
【0047】
生体内(in vivo)MB−231予防的生存腫瘍実験
SN.10/348,284に概説されているように、また図11を参照すると、週齢4ないし8週のメスSCIDマウスに対する500万個のMB−231ヒト乳癌細胞の移植を該ヒト乳癌細胞を含む100マイクロリットル生理食塩液をマウスの首筋に皮下注射することによっておこなった。マウスを無作為に、10匹からなる処置群4つに分けた。移植に先立つ日に、20mg/kgの7BD−33−11A、1A245.6試験抗体またはイソタイプ対照抗体(MB−231もしくはPC−3細胞に結合することが知られている)を、2.7mM KCI、1mM KHPO、137mM NaCl、および20mM NaHP0を含む希釈剤でストック濃度から希釈した後に容量300マイクロリットルで腹腔内投与した。抗体を次に週に1回、同じ様式で7週間にわたって投与した。腫瘍増殖の測定は、ほぼ7日目毎にカリパスを用いて、最大10週間あるいは動物がカナダ動物飼育評議会(Canadian Council for Animal Care; CCAC)エンド・ポイントに達するまで測定した。動物の体重を、本研究期間にわたって記録した。本研究終了後、全ての動物を、CCACガイドラインに従って安楽死させた。
【0048】
S.N.10/348,284からの継続出願で、7BD−33−11Aまたは1A245.6のいずれかによる処置に関連した後処置生存利点(図11)が得られた。7BD−33−11Aは、腫瘍を決して生じなかった。また、1匹のマウスのみが200日目(処理後151日)に死亡した。対照的に、イソタイプ対照マウスのすべてが移植後23日目までに脂肪した。1A245.6処置群は、、イソタイプ対照群よりも6倍長い処置後151日まで致死率が100%までには達しなかった。まとめると、1A245.6および7BD−33−1Aは、ヒト癌の乳房腫瘍モデルで、生存を高め、また全身腫瘍組織量を減少させた。
【実施例6】
【0049】
生体内(in vivo)MB−231定着腫瘍実験
SN.10/348,284に概説されているように、また図12および図13を参照すると、週齢5ないし6週のオスSCIDマウスに対する500万個のMB−231ヒト乳癌細胞の移植を該ヒト乳癌細胞を含む100マイクロリットル生理食塩液をマウスの首筋に皮下注射することによっておこなった。腫瘍の増殖をカリバーで毎週測定した。移植後34日で大部分のコホートが100mm(範囲50〜200mm)の腫瘍容積に達したとき、マウスを無作為に3つの処置群の各々に割り当てた。7BD−33−11Aおよび1A245.6試験抗体またはイソタイプ対照抗体を、2.7mM KCI、1mM KHPO、137mM NaCl、および20mM NaHP0を含む希釈剤でストック濃度から希釈した後に容量150マイクロリットルで抗体(15mg/kg)とともに腹腔内投与した。つぎに、抗体を週に3回合計で10用量の投薬を、移植後56日目までおこなった。腫瘍増殖を、移植後59日目まで、あるいは個々の動物がCCACエンド・ポイントに達するまで、約7日ごとにカリパスを用いて測定した。動物の体重を、本研究期間にわたって記録した。本研究終了後、全ての動物を、CCACガイドラインに従って安楽死させた。
【0050】
S.N.10/348,284からの継続出願で、7BD−33−11Aまたは1A245.6のいずれかによる処置に関連した後処置全身腫瘍組織量減少(図12)および生存利点(図13)が得られた。80日目(処置後23日)では、7BD−33−11Aおよび1A245.6は、イソタイプ対照処置と比較して平均腫瘍容積が減少した(すなわち、それぞれ83(p=0.001)および35パーセント(p=0.135))。コックス比例モデルは、異なる群でのハザード(リスク)率を比較するために用いられた。この方法では、群ごとのハザード率をイソタイプ対照群のハザード率と比較する。処置後約60日で、7BD−33−11A群での致死リスクは、イソタイプ対照処置群と比較して、16パーセントであった(p=0.0006)。7BD−33−11Aに関連する生存利点は、処理後100日のマークをかなり過ぎて続くように見えた。処置後130日目では、7BD−33−11Aは生存率60%を示し、その一方でイソタイプ対照マウスの全てが後処理50日目で致死した。1A245.6は、イソタイプ対照と比較して生存時間が2倍であった(すなわち、後処理50日に対して100日)。したがって、7BD−33−11Aおよび1A245.6は、ヒト乳癌疾患の十分に認識されたモデルにおいて対照抗体と比較した場合、全身腫瘍組織量を低下および増加させた。このことはこれらの抗体がヒトを含む他のほ乳類での治療にとって薬理学的および製薬学的利点があることを示唆している。
【実施例7】
【0051】
生体内(in vivo)PC−3予防的腫瘍実験
図14および図15を参照すると、週齢4ないし8週のオスSCIDマウスに対する100万個のPC−3ヒト乳癌細胞の移植を該ヒト乳癌細胞を含む100マイクロリットル生理食塩液をマウスの首筋に皮下注射することによっておこなった。マウスを無作為に、それぞれ8匹からなる4つの処置群に割り当てた。移植に先立つ日に、20mg/kgの7BD−33−11Aまたは1A245.6試験抗体またはイソタイプ対照抗体もしくは緩衝対照を、2.7mM KCI、1mM KHPO、137mM NaCl、および20mM NaHP0を含む希釈剤でストック濃度から希釈した後に容量300マイクロリットルで腹腔内投与した。抗体および緩衝対照を次に週に1回、同じ様式で7週間にわたって投与した。腫瘍増殖の測定は、ほぼ7日目毎にカリパスを用いて、最大10週間あるいは動物がCCACエンド・ポイントに達するまで、もしくは52日目まで、測定した。動物の体重を、本研究期間にわたって記録した。本研究終了後、全ての動物を、CCACガイドラインに従って安楽死させた。
【0052】
異なる群を特定するために最小有意差法(LSD)を用いることで、7BD−33−11Aおよび1A245.6の両方とも、対照群と比較して処置マウスでの全身腫瘍組織量を有意に減少させることが明らかであった(図14)。処置後(52日目)、7BD−33−11Aはイソタイプ対照と比較して69パーセント(p=0.001)まで腫瘍増殖を防いだ。また、1A245.6も、イソタイプ対照と比較して50パーセント(p=0.17)まで腫瘍増殖を防いだ。類似の知見は、緩衝対照と比較をおこなった際に見いだされた。PC−3前立腺癌異種移植モデルでは、疾患進行の代用指標として体重を用いることができる(図15)。反復分散分析(Rep. アノバ(ANOVA))は、イソタイプと緩衝対照群との間に体重の有意差が存在しなかったことを示している。分散分析は、52日目で、7BD−33−11Aが対照群および1A245.6処置群の両方よりも有意に高い体重を有したと決定した(p<0.03)。全体的に、7BD−33−11Aは、イソタイプ対照群と比較して、54パーセント(p=0.002)まで体重損失を防ぎ、一方1A245.6は25パーセント(p=0.004)まで体重損失を防いだ。処置後、生存に関してマウスをモニターした(図16)。7BD−33−11Aおよび1A245.6処置マウスの100パーセントが、処置後38日目までに致死に達した。このことはイソタイプおよび緩衝対照処置群(処置後11日)よりも3倍長かった。
まとめると、ヒト前立腺癌の十分に認識されたモデルでイソタイプ対照抗体および緩衝対照と比較して、7BD−33−11Aおよび1A245.6抗体処置は、全身腫瘍組織量を減少させ、疾患の進行を遅らせ、さらに生存を延ばした。これらの結果は、乳癌を越えた治療としてこれらの抗体(7BD−33−11Aおよび1A245.6)の潜在的な薬理学的および製薬学的利点を示唆する。
【実施例8】
【0053】
生体内(in vivo)PC−3定着腫瘍実験
週齢4ないし8週のオスSCIDマウスに対して、100万個のPC−3前立腺癌細胞を含む100マイクロリットルをマウスの首筋に皮下注射することによって、該細胞の移植をおこなった。腫瘍増殖の測定は、カリパスを用いて毎週おこなった。移植後21日目で大部分のコホートが275mm(範囲144〜406mm)の腫瘍容積に達したとき、9〜10匹のマウスを無作為に4つの処置群の各々に割り当てた。7BD−33−11Aまたは1A245.6またはイソタイプ対照抗体を、2.7mM KCI、1mM KHPO、137mM NaCl、および20mM NaHP0を含む希釈剤でストック濃度から希釈した後に容量300マイクロリットルで20mg/kg/用量で、腹腔内投与した。つぎに、抗体を週に3回合計で10用量の投薬を、移植後43日目までおこなった。腫瘍増殖を、研究期間中または個々の動物がCCACエンドポイントに達するまで、約7日毎にカリパスを用いて測定した。動物の体重を、本研究期間にわたって記録した。本研究終了後、全ての動物を、CCACガイドラインに従って安楽死させた。
無作為化の際、平均の腫瘍容積と各群の標準偏差とが同程度だった。統計学的に群間の体重差はなかった。このことは、真の無作為化が起こったことを示した。図17に示すように、抗体7BD−33−11Aは、3週間の処置期間の終わりに、イソタイプ対照と比較して、36パーセント(p=0.24)まで腫瘍増殖を有意に抑制することが可能であった。イソタイプまたは投与群と比較した場合、1A245.6は有意差を示さなかった。同様に、7BD−33−11Aまたは1A245.6は、体重(図18)に関して、イソタイプまたは緩衝対照処置群と比較して、いくらかの有意差を示した。全ての群は、本研究(p<0.001)の全体を通じて、体重損失が同程度の有意量を示した。
要約すれば、7BD−33−11Aは、SCIDマウスにおいて前立腺癌の定着腫異種移植モデルでの腫瘍増殖を抑制する点で、イソタイプ対照抗体よりも有意に優れた効果を示す。したがって、7BD−33−11Aによる処置は、ヒト癌疾患(乳房および前立腺)の2つのよく認識されたモデルで、有意に定着腫瘍の全身腫瘍組織量を減少させた。このことは、ヒトを含む他の哺乳類での処置に対するこの抗体の薬理学的および製薬学的利点を示唆している。
【実施例9】
【0054】
正常ヒト組織染色
IHC研究を実施して、ヒト体内での7BD−33−11Aおよび1A245.6抗原の分布を特徴づけた。IHC最適化研究は、さらなる実験のための条件を決定するために、前もって実施した。7BD−33−11Aおよび1A245.6モノクローナル抗体は、すでに述べたようにして、生産および精製した。
組織切片をオーブンで58℃、1時間乾燥させることで、脱パラフィン化し、コプリン・ジャーでキシレンに5回(各々4分)浸すことで脱ワックス化した。一連の段階的なエタノール洗浄(100%−75%)を通しての処置の後で、切片を水中で再水和させた。スライドを10mMのクエン酸緩衝液(pH6)(ダコ(Dako)、トロント(Toronto)、オンタリオ(Ontario))に浸し、次に各々5分間で高、中、および低パワー設定でマイクロ波処理し、最終的に冷PBSに浸した。次にスライドを3%過酸化水素水に6分間浸し、PBSで3回、各々5分間洗浄し、乾燥し、ユニバーサル(Universal)ブロッキング溶液(ダコ(Dako)、トロント(Toronto)、オンタリオ(Ontario))とともにインキュベート(5分間、室温)した。7BD−33−11A、1A245.6、モノクローナル・マウス抗ビメンチン(ダコ(Dako)、トロント(Toronto)、オンタリオ(Ontario))、またはイソタイプ対照抗体(黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)グルコースオキシダーゼ(哺乳類組織内には存在せず、また誘導不可の酵素)(ダコ(Dako)、トロント(Toronto)、オンタリオ(Ontario))を抗体希釈緩衝液(ダコ(Dako)、トロント(Toronto)、オンタリオ(Ontario))によって希釈して作用濃度(各抗体について5μg/ml)にし、室温で1時間、一晩インキュベートした。スライドをPBSで3回(各回5分)洗浄した。一次抗体の免疫反応性の検出/視覚化を、室温で30分間にわたり供給(ダコ・エンビジョン・システム(Dako Envison System)、トロント(Toronto)、オンタリオ(Ontario)))されるHRP結合二次抗体によっておこなった。このステップの後に、スライドをPBSで3回(各回5分)洗浄し、室温で10分間にわたる免疫ペルオキシダーゼ染色のためにDAB(3,3−ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド、ダコ(Dako)、トロント(Toronto)、オンタリオ(Ontario))クロモゲン基質溶液を添加することで、呈色反応が生じた。このスライドを水道水で洗うことで、クロモゲン反応を停止させた。マイヤー・ヘマトキシリン(Meyer‘s Hematoxylin)(シグマ・ダイアグノスティックス(Sigma Diagnostics)、オークビル(Oakville)、ON)による対比染色を行った後、スライドを段階的エタノール(75〜100%)で脱水し、キシレンでクリアにした。マウンティング・メディア(ダコ・ファラマウント(Dako Faramount)、トロント(Toronto)、オンタリオ(Ontario)))を使用することで、スライドにカバースリップを置いた。アキソバート(Axiovert)200(ツアイス(Zeiss)、カナダ、トロント(Toronto)、ON)を持ちいて、スライドを顕微鏡的に調べ、デジタル画像を獲得し、ノーザン・エクリプス・イメージング・ソフトウエア(Northern Eclipse Imaging Software)(ミシサーガ(Mississauga)、ON)を用いて格納した。結果に対して、読み取り、記録、さらに病理学者による解釈がおこなわれた。
【0055】
59種類の正常ヒト組織に対する抗体の結合は、ヒト正常器官組織配列(インジェネックス(Imgenex)、サンディエゴ(SanDiego)、CA)を使用しておこなった。表4は、多数の正常ヒト組織の配列を7BD−33−11Aおよび1A245.6染色した結果の概要を示す。表によれば、組織染色に3つのカテゴリーが存在する。組織の一群が完全に陰性であった。これらの組織として、7BD−33−11Aに対して正常皮膚、脳(図19A)、卵巣、胸腺、甲状腺、小腸、食道、心臓(図20A)、胆嚢、およびリンパ節が挙げられた。1A245.6について、完全に陰性の組織は、皮膚、皮下組織脂肪、食道、および脳(図19B)から構成された。組織の第2の群は、陽性染色を示した組織から構成された。これらは、7BD−33−11Aに対して、肝臓および脾臓が含まれた。扁桃腺はこの抗体で最も強く染色された。1A245.6に関しては、陽染色性が肝臓、心臓(図20B)、精巣、甲状腺、副腎、および子宮筋層で生じた。7BD−33−11Aと同様に、1A245.6は最も強く扁桃腺を染色した。組織の第3の群として、組織切片で染色が陽性であった組織が含まれるが、浸潤マクロファージ、リンパ球、線維芽細胞、または上皮、例えば7BD−33−1lAおよび1A245.6の両方に対しては胃(それぞれ図21AおよびB)に限られていた。いくつかの生体器官(例えば腎臓、心臓(図20A)、および肺)の細胞に、7BD−33−1抗原が存在しないことに留意する必要がある。全体的に、7BD−33−11Aは、陽性である組織での結合を適度にすることが不得意である1A245.6と比較して、正常ヒト組織のより小さなサブセットに結合する。より広範囲であるが、1A245.6染色は通常、強度を緩和することが不得意であり、大部分の事例では染色された組織上皮に限られている。これらの結果は、7BD−33−1lAに対する抗原が正常組織上で幅広く発現されないこと、また限られた数のヒト組織に対して上記抗体が特異的に結合することを示唆している。加えて、1A245.6のための抗原は、心臓および肝臓に存在している他に、上皮と、浸潤リンパ球、マクロファージ、および線維芽細胞とに限られている。
【0056】
【表4】

【実施例10】
【0057】
ヒト腫瘍組織染色
IHC研究を実施して、7BD−33−11Aおよび1A245.6抗原とヒト乳癌との癌関連性を決定し、いずれの抗体もヒト癌を認識する可能性があるかどうかを決定した。比較は、ビメチン(陽性対照)と、黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)グルコース・オキシダーゼ(哺乳類組織では存在せず、また誘導不可能である酵素)(負の対照)とに対しておこなった。50人の乳癌患者に由来する乳癌組織配列と乳癌患者の非腫瘍性乳房組織に由来する10種類の試料とを用いたインジェネックス(Imgenex)、サンディエゴ(San Diego)、CA)。各患者に対して以下の情報が提供される。すなわち、年齢、性別、および診断である。実施例9からのIHCに対する手順は以下の通り。全ての抗体を作用濃度5μg/mlで使用した。
表5は、乳房癌組織配列の7BD−33−11Aおよび1A245.6の結合概要を提供する。各々の配列は50人の固体患者から得た腫瘍試料を含んだ。全体として、1A245.6に対しての98パーセント(図23A)と比較して、7BD−33−11A抗原については試験した50人の患者のうち36パーセントが陽性であった(図22A)。7BD−33−11Aについては、乳癌患者から得た10個の正常乳房組織試料のうち、陽性であったものはゼロであった(図22B).逆に言えば、10個の正常乳房組織試料のうち9個が1A245.6に対して陽性であった。しかし、染色は大部分の実例では浸潤線維芽細胞によるものであった(図23B).エストロゲンとプロゲステロン受容体状態とのあいだの相互関係は、1A245.6にとって明白なものではなかった(表6)。エストロゲンおよびプロゲステロン受容体を発現するものでもある陽性の7BD−33−1A抗原組織の数がわずかに高かった(表7)。7BD−33−1A抗原に対しては、より高い腫瘍病期によりいっそう陽性に発現するようにも見え(表7)、1A245.6に関しては組織染色の強度がより高い腫瘍病期に相関しているように見える(表6)。7BD−33−11Aおよび1A2425.6による染色は、癌細胞組織特異性があり、染色は膜上および細胞質内の両方で生じた。7BD−33−11Aおよび1A2425.6の両方に由来する染色パターンは、患者試料内で、該抗体が悪性細胞に対してかなり特異的であり、各々の抗原が細胞膜上に存在することから、それによって魅了的な薬物となりうる標的が作られる。
【0058】
【表5】

【0059】
【表6】

【0060】
【表7】

【0061】
7BD−33−11Aまたは1A2425.6抗原のいずれが乳癌に加えて他のヒト癌組織上で発現されるかを判断するために、両方の抗体を多重ヒト腫瘍組織配列(インジェネックス(Imgenex)、サンディエゴ(SanDiego)、CA)上で、個々に試験した。以下の情報を個々に患者について得た。すなわち、年齢、性、器官、および診断である。用いた染色の手順は、実施例9に概説したものと同様であった。ビンメチンを陽性対照抗体として使用し、同一の陰性対照抗体をヒト乳房腫瘍組織配列について述べられるように用いた。全ての抗体を5μg/mlの作用濃度で用いた。
【0062】
表8で概説されるように、7BD−33−11Aは乳房の他に多数の種々のヒト癌を染色した。以下の腫瘍型は、7BD−33−11Aに対して陽性であった。すなわち、皮膚(1/2)、肺(3/4)、肝臓(2/3)、胃(4/5)、甲状腺(2/2)、前立腺(1/1)、子宮(4/4)、および腎臓(3/3)(図24A)。いくつかの他の腫瘍型も、しばしば陽染色性を示した。他の腫瘍組織は、7BD−33−11A発現に対しては陰性であった。すなわち、卵巣(0/3)、精巣(0/1)、脳(0/2)、およびリンパ節(0/2)。逆に言えば、1A245.6は試験されるあらゆる腫瘍組織型を染めた。しかし、最も強い染色のいくつかが、皮膚、肺、肝臓、子宮、腎臓(図24B)、胃、および膀胱の悪性細胞上で見られた。乳房癌で見られるように、7BD−33−11AとlA245.6の染色は、癌細胞の膜上および細胞質内で限局化された。
したがって、7BD−33−11Aおよび1A2456抗原が単に乳房癌の膜上で見つかるだけではなく、前立腺を含むかなり多様な腫瘍型の膜上でも見いだされるように見える。これらの結果は、7BD−33−11Aおよび1A245には乳房および前立腺癌に加えて広範囲の腫瘍型における治療薬としての可能性があることを示している。
【0063】
【表8】

【実施例11】
【0064】
生体内(in vivo)MCF−7予防的生存腫瘍実験
図7および図8を参照すると、週齢4ないし8週のメスSCIDマウスに対する500万個のMCF−7ヒト乳癌細胞の移植を該ヒト乳癌細胞を含む100マイクロリットル生理食塩液をマウスの首筋に皮下注射することによっておこなった。マウスを無作為に11〜13匹のマウスからなる2つの処置群に分けた。移植後の日に、20mg/kgの11BD−2E11−2試験抗体またはイソタイプ対照抗体(MCF−7またはOVCAR−3細胞に結合しないことが知られている)を、2.7mM KCI、1mMKHPO、137mM NaCl、および20mM NaHP0を含む希釈剤でストック濃度から希釈した後に容量300マイクロリットルで腹腔内投与した。次に、抗体を週に1回、同じ様式で7週間にわたって投与した。腫瘍増殖の測定は、ほぼ7日目毎にカリパスを用いて、最大8週間あるいは動物がカナダ動物飼育評議会(Canadian Council for Animal Care; CCAC)エンド・ポイントに達するまで、測定した。動物の体重を、本研究期間にわたって記録した。本研究終了後、全ての動物を、CCACガイドラインに従って安楽死させた。
11BD−2E11−2は、対照群と比較して処置マウスの全身腫瘍組織量を有意に減少させた(図7)。処置後(51日目)、11BD−2E11−2は、イソタイプ対照抗体で処置されたマウスと比較して80パーセント(p=0.0098)まで腫瘍増殖を抑えた。また、11BD−2E11−2投与に関連した後処置生存利点(図8)も存在する。イソタイプ対照抗体処置群は、処置後197日目によって致死率100パーセントに達し、一方11BD−2E11−2処置群の40%が233日目でも生存している。まとめると、ヒト乳癌の十分に確立されたモデルで、11BD−2E11−2は生存を高め、また全身腫瘍組織量を減少させる(ブラッキー(Blakey)他。臨床癌研究(Clinical Cancer Research) 8:1974−1983 2002;クレメント(Klement)他。臨床癌研究(Clinical Cancer Research) 8: 221−232 2002;ワウンド(Waud)他。抗癌性の薬剤開発のための腫瘍モデルの関連(Relevance of Tumor Models for Anticancer Drug Development)、フィービグ(Fiebig)およびバンガー(Bunger)編集、54:305−315 1999;カーパネン(Karpanen)他。癌研究(Cancer Research) 61: 1790−2001))。
【実施例12】
【0065】
生体内(in vivo)予防的腫瘍実験
図9および図10を参照すると、週齢4ないし8週のメスSCIDマウスに対する500万個のOVCAR−3ヒト卵巣癌細胞の移植を、該ヒト卵巣癌細胞を含む100マイクロリットル生理食塩液を腹腔内注射することによって、おこなった。マウスを無作為に10匹のマウスからなる2つの処置群に分けた。移植後の日に、20mg/kgの11BD−2E11−2試験抗体または緩衝対照抗体を、2.7mM KCI、1mMKHPO、137mM NaCl、および20mM NaHP0を含む希釈剤でストック濃度から希釈した後に容量300マイクロリットルで腹腔内投与した。次に、抗体を週に1回、同じ様式で9週間にわたって投与した。動物の体重を、本研究期間にわたって記録した。本研究終了後、全ての動物を、CCACガイドラインに従って安楽死させた。
OVCAR−3卵巣癌異種移植では、体重の増加を疾患進行の代用指標として用いることができる。なぜなら、このことは増加した全身腫瘍組織量から腹水の蓄積を反映をするからである(図9)。移植後80日目(処置終了後16日)に、緩衝対照群と比較して、11BD−2E11−2投与によって12.4パーセント(p=0.015)まで体重増加を予防した。マウスを、処置後の生存についてモニターした(図10)。87日目までに、緩衝対照群は致死率90パーセントを達成したが、11BD−2E11−2処置群ではその時点で80パーセントが生存していた。11BD−2E11−2処置群は、125日目まで致死率90パーセントを達成することができなかった。要約すると、11BD−2E11−2抗体処置は、ヒト卵巣癌のよく認識されたモデルで緩衝液対処抗体と比較して、全身腫瘍組織量を減少させ、疾患進行を遅延させ、さらに生存を高めた。したがって、11BD−2E11−2による処置は、ヒト癌疾患の十分に認識された2つのモデル(乳癌および卵巣癌)で、定着腫瘍の全身腫瘍組織量を有意に減少させたことから、ヒトを含む他の哺乳類での治療に対して、薬理学的および製薬学的利点を有することが示唆される (スミス(Smith)等、前立腺(The Prostate) 48: 47−53 2001; オルソン(Olson)等、国際癌雑誌(International Journal of Cancer) 98: 923−929 2002; ギルバウンド(Guilbaud)他、臨床癌研究(Clinical Cancer Research) 7: 2573−2580 2001; ボン・グルニゲン(Von Gruenigen)他、国際婦人科癌雑誌(International Journal of Gynecologic Cancer) 9: 365−372 1999; ギチャード(Guichard)他、臨床癌研究(Clinical Cancer Research) 7: 3222−32282001 ; キシアオ(Xiao)他、タンパク質発現および精製(Protein Expression and Purification) 19: 12−21 2000)。
【0066】
この明細書で言及される全ての特許および刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルで示される。全ての特許および刊行物が、あたかも個々の刊行物が具体的および個々に参照によって取り込まれることが示されるかのように、同じ範囲への言及によって本明細書の一部を構成するものとして援用される。
【0067】
本発明の特定の形状が例示される一方で、本明細書に開示および表示される特定の形状または構成要素の配置が限定されるものではないことが、理解される。種々の変化が本発明の範囲から逸脱することなくなされることができることは当業者にとって明らかであり、この明細書に表示および記載されたことに限られて本発明が考えられるものではない。
当業者は、本発明が目的を達成し、本質的に内在されるものと同様に、言及される結果および利点を得ることに十分適していることを、容易に認めるだろう。本明細書中に記載されるいかなるオリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、生物学的に関連した化合物、方法、手順、および技術は、現在のところ好ましい実施形態を代表するものであって、例示することを目的としたものであり、本発明の範囲を制限することを意図したものではない。本発明の精神の範囲内に含まれ、添付された特許請求の範囲の範囲によって定義される変更および他の用途を、当業者は想到することができるだろう。本発明は特定の好ましい実施形態に関連して説明されているが、クレームされた本発明はそのような特定の実施形態によって不必要に制限されるものであってはならない。実際、当業者にとって明らかである本発明を実行する上での記載された態様の種々の修飾は、特許請求の範囲が意図するところの範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】1A245.6抗体、両抗体のイソタイプ対照抗体、いくつかの癌細胞系および非癌細胞に対する抗EGFR抗体、の典型的なFACSヒストグラムである。
【図2】7BD−33−11A抗体、1A245.6のイソタイプ対照抗体、抗EGFR抗体、いくつかの癌細胞系および非癌細胞に対する抗EGFRのイソタイプ対照抗体の典型的なFACSヒストグラムである。
【図3】11BD−2E11−2抗体、両抗体のイソタイプ対照抗体、いくつかの癌細胞系および非癌細胞に対する抗EGFR抗体のFACSヒストグラムである。
【図4】特定の抗体処置に関する腫瘍容積のグラフ解析である。
【図5】時間経過に伴うMB231ヒト乳癌腫瘍容積に対する抗体効果のグラフ解析である。
【図6】抗体療法に関連した時間経過に伴う生存率を定量化するグラフ解析である。
【図7】MCF−7乳癌モデルでの腫瘍増殖に対する11BD−2E11−2の効果を示す図である。図中、破線は抗体が投与された期間を示す。データ・ポイントは平均値±SEMを表す。
【図8】予防的MCF−7異種移植研究での11BD−2E11−2またはイソタイプ対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す図である。処置後230日を超えた生存についてマウスをモニターした。
【図9】予防的OVCAR−3卵巣癌モデルの平均体重に対する11BD−2E11−2の効果を示す図である。実勢は、抗体が訪うよされた器官を示す。データ・ポイントは、平均値±SEMを表す。
【図10】予防的OVCAR−3研究での11BD−2E11−1またはバッファ対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す図である。処置後約60日間、生存に関してマウスをモニターした。
【図11】予防的MB−241異種移植研究での7BD−33−11A、1A245.6、またはイソタイプ対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す図である。処置後200日間、生存に関してマウスをモニターした。
【図12】予防的MB−231乳癌モデルでの腫瘍増殖に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6の効果を示す図である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データ・ポイントは、平均値±SEMを表す。
【図13】確立したMB−231異種移植研究での7BD−33−11A、1A2425.6、またはイソタイプ対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す図である。処置後130日間にわたってマウスの生存をモニターした。
【図14】予防的前立腺癌モデルでの腫瘍増殖に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6の効果を示す。破線は、抗体が投与された期間を示す。データ・ポイントは、平均値±SEMを表す。
【図15】予防的PC−3異種移植研究の継続期間に対する異なる処置を受けた群の平均体重を示すヒストグラムである。データ・ポイントは各時点での各群についての平均値±SEMを表す。
【図16】予防的PC−3異種移植研究での7BD−33−11A、1A2425.6、イソタイプまたは緩衝対照抗体による処置後の腫瘍保持マウスの生存を示す。処置後38日間にわたって、生存についてマウスをモニターした。
【図17】確立したPC3前立腺癌モデルでの腫瘍増殖に対する7BD−33−11Aおよび1A245.6の効果を示す。破線は抗体が投与される期間を示す。データ・ポイントは、平均値±SEMを表す。
【図18】確立したPC−3異種移植研究の持続期間にわたる異なる処置群の平均体重を示すヒストグラムである。データは、各時点での各群の平均値±SEMとして表されている。
【図19】図19A〜Cは、正常ヒト脳であり、Aが7BD−33−11、Bが1A245.6、およびCが陰性イソタイプ対照を示す。倍率は200倍である。
【図20】図20A〜Cは、正常ヒト心臓であり、Aが7BD−33−11A、Bが1A245.6(矢印は陽性染色を示す)、およびCが陰性イソタイプ対照を示す。倍率は200倍である。
【図21】図21A〜Cは、正常ヒト胃洞であり、Aが7BD−33−11A(矢印は胃腺上皮の陽性染色を示す)、Bが1A245.6(矢印は胃腺上皮の陽性染色を示す)、Cが陰性イソタイプ対照を示す。倍率は200倍である。
【図22】図22A〜Bは、ヒト乳癌腫瘍(浸潤性導管癌:パネルA、黒色矢印:腫瘍細胞シート、黄色矢印:腫瘍間質)およびヒト正常乳房(パネルB)に対する7BD−33−11A結合の典型的な顕微鏡写真を示す。倍率は200倍である。
【図23】図23A〜Bは、ヒト乳癌腫瘍(浸潤性導管癌:パネルA、黒色矢印:腫瘍細胞シート、黄色矢印:腫瘍間質)およびヒト正常乳房(パネルB、黒色矢印:線維芽細胞)に対する1A245.6結合の典型的な顕微鏡写真を示す。倍率は200倍である。
【図24】図24A〜Cは、腎細胞癌であり、Aは7BD−33−11A(矢印は腫瘍細胞シートでの陽性染色を示す)、Bは1A245.6(矢印は腫瘍細胞シードでの陽性染色を示す)、およびCは陰性イソタイプ対照である。倍率は200倍である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受託番号PTA−4890としてATCCに寄託されたクローンによってコードされるモノクローナル抗体またはモノクローナル抗体の同定されている特徴を持つ該モノクローナル抗体のフラグメントに対して特異的に結合する抗原を発現するヒト腫瘍を哺乳類において処置することによって、生存の延長および/または疾患進行の遅延をおこなう方法であって、前記哺乳類に対して前記モノクローナル抗体を、前記哺乳類の全身腫瘍組織量を減少させるのに有効な量で投与するステップを含み、それによって疾患進行の遅延および/または生存の延長がおこなわれる、生存の延長および/または疾患進行の遅延をおこなう方法。
【請求項2】
前記抗体が細胞障害性部分と接合している、請求項1の方法。
【請求項3】
前記細胞障害性部分が放射同位元素である、請求項2の方法。
【請求項4】
前記抗体が補体を活性化させる、請求項1の方法。
【請求項5】
前記抗体が抗体依存型細胞障害性を媒介する、請求項1の方法。
【請求項6】
前記抗体がマウス抗体である、請求項1の方法。
【請求項7】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項1の方法。
【請求項8】
前記抗体がキメラ化抗体である、請求項1の方法。
【請求項9】
受託番号PTA−4890としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる、単離モノクローン抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
前記単離モノクローン抗体またはその結合フラグメントがヒト化されている、請求項9の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項11】
細胞障害性部分、酵素、放射性化合物、および造血性細胞からなる群から選択されるメンバーと接合する、請求項9の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項12】
前記単離抗体または抗原結合フラグメントがキメラ化抗体である、請求項9の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項13】
前記単離抗体またはその抗原結合フラグメントがマウス抗体である、請求項9の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項14】
受託番号PTA−4890としてATCCに寄託された、単離クローン。
【請求項15】
ヒト腫瘍から選択された組織試料での癌細胞の存在を決定するための結合アッセイであって、前記ヒト腫瘍から組織試料を提供するステップと、受託番号PTA−4890としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供するステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを前記組織試料と接触させるステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと前記組織試料との結合を測定するステップと、を含み、それによって前記組織試料内の前記癌細胞の存在を示す、結合アッセイ。
【請求項16】
前記ヒト腫瘍組織試料を、大腸、卵巣、肺、および乳房組織から選択される組織由来の腫瘍から得る、請求項15の結合アッセイ。
【請求項17】
ヒト腫瘍から選択されたヒト組織内の癌細胞を単離またはスクリーニングする方法であって、前記ヒト腫瘍から組織試料を提供するステップと、受託番号PTA−4890としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供するステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを前記組織試料と接触させるステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと前記組織試料との結合を測定するステップと、を含み、前記結合によって前記癌細胞が単離され、前記組織試料内での前記癌細胞の存在が確認される、単離またはスクリーニング方法。
【請求項18】
前記ヒト腫瘍組織試料を、大腸、卵巣、肺、および乳房組織から選択される組織由来の腫瘍から得る、請求項17の方法。
【請求項19】
受託番号PTA−4889としてATCCに寄託されたクローンによってコードされるモノクローナル抗体またはモノクローナル抗体の同定されている特徴を持つ該モノクローナル抗体のフラグメントに対して特異的に結合する抗原を発現するヒト腫瘍を哺乳類において処置することによって、生存の延長および/または疾患進行の遅延をおこなう方法であって、前記哺乳類に対して前記モノクローナル抗体を、前記哺乳類の全身腫瘍組織量を減少させるのに有効な量で投与するステップを含み、それによって疾患進行の遅延および/または生存の延長がおこなわれる、生存の延長および/または疾患進行の遅延をおこなう方法。
【請求項20】
前記抗体が細胞障害性部分と接合している、請求項19の方法。
【請求項21】
前記細胞障害性部分が放射同位元素である、請求項20の方法。
【請求項22】
前記抗体が補体を活性化させる、請求項19の方法。
【請求項23】
前記抗体が抗体依存型細胞障害性を媒介する、請求項19の方法。
【請求項24】
前記抗体がマウス抗体である、請求項19の方法。
【請求項25】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項19の方法。
【請求項26】
前記抗体がキメラ化抗体である、請求項19の方法。
【請求項27】
受託番号PTA−4889としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる、単離モノクローン抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項28】
前記単離モノクローン抗体またはその結合フラグメントがヒト化されている、請求項27の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項29】
細胞障害性部分、酵素、放射性化合物、および造血性細胞からなる群から選択されるメンバーと接合する、請求項27の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項30】
前記単離抗体または抗原結合フラグメントがキメラ化抗体である、請求項27の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項31】
前記単離抗体またはその抗原結合フラグメントがマウス抗体である、請求項27の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項32】
受託番号PTA−4889としてATCCに寄託された、単離クローン。
【請求項33】
ヒト腫瘍から選択された組織試料での癌細胞の存在を決定するための結合アッセイであって、前記ヒト腫瘍から組織試料を提供するステップと、受託番号PTA−4889としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供するステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを前記組織試料と接触させるステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと前記組織試料との結合を測定するステップと、を含み、それによって前記組織試料内の前記癌細胞の存在を示す、結合アッセイ。
【請求項34】
前記ヒト腫瘍組織試料を、大腸、卵巣、肺、および乳房組織から選択される組織由来の腫瘍から得る、請求項33の結合アッセイ。
【請求項35】
ヒト腫瘍から選択されたヒト組織内の癌細胞を単離またはスクリーニングする方法であって、前記ヒト腫瘍から組織試料を提供するステップと、受託番号PTA−4889としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供するステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを前記組織試料と接触させるステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと前記組織試料との結合を測定するステップと、を含み、前記結合によって前記癌細胞が単離され、前記組織試料内での前記癌細胞の存在が確認される、単離またはスクリーニング方法。
【請求項36】
前記ヒト腫瘍組織試料を、大腸、卵巣、肺、および乳房組織から選択される組織由来の腫瘍から得る、請求項35の方法。
【請求項37】
受託番号PTA−5643としてATCCに寄託されたクローンによってコードされるモノクローナル抗体またはモノクローナル抗体の同定されている特徴を持つ該モノクローナル抗体のフラグメントに対して特異的に結合する抗原を発現するヒト腫瘍を哺乳類において処置することによって、生存の延長および/または疾患進行の遅延をおこなう方法であって、前記哺乳類に対して前記モノクローナル抗体を、前記哺乳類の全身腫瘍組織量を減少させるのに有効な量で投与するステップを含み、それによって疾患進行の遅延および/または生存の延長がおこなわれる、生存の延長および/または疾患進行の遅延をおこなう方法。
【請求項38】
前記抗体が細胞障害性部分と接合している、請求項37の方法。
【請求項39】
前記細胞障害性部分が放射同位元素である、請求項38の方法。
【請求項40】
前記抗体が補体を活性化させる、請求項37の方法。
【請求項41】
前記抗体が抗体依存型細胞障害性を媒介する、請求項37の方法。
【請求項42】
前記抗体がマウス抗体である、請求項37の方法。
【請求項43】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項37の方法。
【請求項44】
前記抗体がキメラ化抗体である、請求項37の方法。
【請求項45】
受託番号PTA−5643としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる、単離モノクローン抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項46】
前記単離モノクローン抗体またはその結合フラグメントがヒト化されている、請求項45の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項47】
細胞障害性部分、酵素、放射性化合物、および造血性細胞からなる群から選択されるメンバーと接合する、請求項45の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項48】
前記単離抗体または抗原結合フラグメントがキメラ化抗体である、請求項45の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項49】
前記単離抗体またはその抗原結合フラグメントがマウス抗体である、請求項45の単離抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項50】
受託番号PTA−5643としてATCCに寄託された、単離クローン。
【請求項51】
ヒト腫瘍から選択された組織試料での癌細胞の存在を決定するための結合アッセイであって、前記ヒト腫瘍から組織試料を提供するステップと、受託番号PTA−5643としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供するステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを前記組織試料と接触させるステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと前記組織試料との結合を測定するステップと、を含み、それによって前記組織試料内の前記癌細胞の存在を示す、結合アッセイ。
【請求項52】
前記ヒト腫瘍組織試料を、大腸、卵巣、肺、および乳房組織から選択される組織由来の腫瘍から得る、請求項51の結合アッセイ。
【請求項53】
ヒト腫瘍から選択されたヒト組織内の癌細胞を単離またはスクリーニングする方法であって、前記ヒト腫瘍から組織試料を提供するステップと、受託番号PTA−5643としてATCCに寄託されたクローンによってコードされる単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供するステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを前記組織試料と接触させるステップと、前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと前記組織試料との結合を測定するステップと、を含み、前記結合によって前記癌細胞が単離され、前記組織試料内での前記癌細胞の存在が確認される、単離またはスクリーニング方法。
【請求項54】
前記ヒト腫瘍組織試料を、大腸、卵巣、肺、および乳房組織から選択される組織由来の腫瘍から得る、請求項53の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−523834(P2007−523834A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500434(P2006−500434)
【出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000059
【国際公開番号】WO2004/065422
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504236592)アリアス リサーチ、インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】