説明

発光指針

【課題】指針造形に立体感を与えながら円弧状の発光部の輝度を向上させることが可能な発光指針を提供する。
【解決手段】基部11と、指示部12とを有し、基部11の背後側端部に形成した受光部114から入光する光によって光輝する透光部材1と、指示部12を露出させた状態で基部11を覆う遮光部材2,3とを備え、基部11が導光部113を有し、この導光部113の先端側を遮光部材2,3から露出させることにより、指示部12と共に発光部115を発光させてなる発光指針において、導光部113の直径方向における厚み寸法を発光部115に向かうに従って徐々に小さく設けることによって、すり鉢状の壁面部116を設け、遮光部材2に壁面部116を覆うすり鉢状の被覆部21を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両などの乗り物に搭載される速度計、エンジン回転計からなる計器本体の指針軸に装着される発光指針に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の発光指針として例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この発光指針は、計器本体1の指針軸2を中心として回転する指針基部(基部)7と、この指針基部7から連続して指針軸2と交差する方向に伸長する指示部6,6aとを有し、指針基部7の背後側端部に形成した光導入部(受光部)9から入光する光によって光輝する透光部材と、指示部6,6aを露出させた状態で指針基部7を覆う遮光部材(遮光体、下カバー)8,18とを備え、指針基部7が指針軸2を中心軸とした円筒状の壁部(導光部)15を有し、この壁部15を遮光部材8,18から露出させることにより、光源からの光を前記透光部材に入射させた際、線状に発光する指示部6,6aに連続する円弧状の発光部16を形成してなるものである。
【特許文献1】特開2003−042816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記公報に記載の発光指針は、円筒状の壁部(導光部)15の直径方向における厚み寸法が発光部16のサイズに応じて一定であるため、壁部(導光部)15を通じて発光部16に至る光量に限界があり、十分な輝度で発光部16を照明できない場合がある。加えて壁部(導光部)15の中央に形成される凹部の開口側が遮光部材(遮光体)8によって覆われて塞がれているため、造形的な立体感に乏しいという問題がある。
【0004】
本発明は前述した問題点に着目し、指針造形に立体感を与えながら円弧状の発光部の輝度を向上させることが可能な発光指針を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するため、計器本体の指針軸を中心として回転する基部と、この基部から連続して前記指針軸と交差する方向に伸長する指示部とを有し、前記基部の背後側端部に形成した受光部から入光する光によって光輝する透光部材と、前記指示部を露出させた状態で前記基部を覆う遮光部材とを備え、前記基部が前記指針軸を中心軸とした円筒状の導光部を有し、この導光部の先端側を前記遮光部材から露出させることにより、光源からの光を前記透光部材に入射させた際、線状に発光する前記指示部に隣接もしくは連続する円弧状の発光部を形成してなる発光指針において、前記導光部の直径方向における厚み寸法を前記発光部に向かうに従って徐々に小さく設けることによって前記導光部内に前記発光部に向かうに従って徐々に開口径が経大となるすり鉢状の壁面部を設け、前記遮光部材に前記壁面部の形状に対応するすり鉢状の被覆部を設け、この被覆部で前記壁面部を覆ってなることを特徴とする。
かかる構成によれば、発光部に近づくに従って徐々に厚みが小さくなる導光部により、発光部に至る導光部分の体積を大きくして照明効率を高めながら、発光部に向けて厚みが小さくなる形状を利用して、すり鉢状の壁面部を形成し、この壁面部を遮光部材の被覆部で覆うことにより、発光指針の中央部にすり鉢状の窪み部を形成することができ、これにより指針造形に立体感を与えることができる。
【0006】
また本発明は、前記基部が前記受光部と前記導光部との間に前記導光部と同軸で且つ前記導光部よりも小さな直径方向寸法を有して前記中心軸方向に延びる円筒状の光導入部を有することを特徴とする。
かかる構成によれば、光導入部が導光部よりも小さな直径方向寸法を有するため、発光指針を目盛板上で回転させる際、必要な貫通孔のサイズを小さくでき、光漏れ等の不具合を抑制することができる。
【0007】
また本発明は、前記光導入部と前記導光部との接続箇所に、前記受光部からの光を前記中心軸を基準とした放射方向に反射する第1の反射部と、この第1の反射部を通じて反射された光を前記導光部の先端側に反射する第2の反射部とが形成されることを特徴とする。
かかる構成によれば、第1,第2の反射部によって導光効率を向上させることができる。
【0008】
また本発明は、前記第2の反射部の外壁面に着色層を設けてなることを特徴とする。
かかる構成によれば、第2の反射部の外壁面に着色層を設けてなることにいより、発光指針の発光時には着色層によって発光部が着色、色変換、または色調整されて視認され、また発光指針の非発光時には着色層が発光部を透過して視認されるため、常に発光部を所定色にて視認させることができる。
【0009】
また本発明は、前記壁面部の底部に基部からの光を透過する透光部を設けてなることを特徴とする。
かかる構成によれば、被覆部の底部を発光させることができ、発光部との高低差によって立体感のある照明を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、初期の目的を達成することができ、指針造形に立体感を与えながら円弧状の発光部の輝度を向上させることが可能な発光指針を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0012】
図1から図5は、本発明による発光指針の第1の実施形態を示すもので、図1は本実施形態による発光指針の前面側を示す斜視図、図2は同実施形態による発光指針の背面側を示す斜視図、図3は同実施形態による発光指針の分解斜視図、図4は同実施形態による発光指針の前面側を示す正面図、図5は図4のA−A断面図である。
【0013】
図1〜図5において、本実施形態による発光指針は、透光性合成樹脂からなる透光部材1と、遮光性合成樹脂からなる遮光部材2,3とからなる。
【0014】
透光性部材1は、計器本体Mの指針軸Sを中心として回転する基部11と、この基部11から連続して指針軸Sと交差する方向に伸長し、目盛板Pに設けた図示しない指標部を指示する指示部12とを有しており、基部11の背後に配置された光源Lからの光を受けて発光するようになっている。
【0015】
基部11は、連結部111と、光導入部112と、導光部113とを備えており、これら連結部111、光導入部112、導光部113は、円筒状に形成され、指針軸Sを中心軸Cとした同軸関係に配置されている。
【0016】
連結部111は、指針軸Sに圧入固定されるボス形状に設定されている。
【0017】
光導入部112は、導光部よりも小さな直径方向寸法を有して中心軸C方向に延びる円筒状箇所からなり、その背面には、光源Lからの光を受光する凸(集光)レンズからなる受光部114が形成されており、この受光部114から入光した光は、光導入部112内を中心軸C方向に向けて直進もしくは反射しながら進む。
【0018】
導光部113は、その先端側が遮光部材2,3から部分的に露出しており、光源Lからの光で透光部材1が光輝した際、線状の発光する指示部12の発光意匠と共に円弧状に発光する発光部115を形成する。
【0019】
この導光部113は、その直径方向における厚み寸法が発光部115に向かうに従って徐々に小さくなる形状を有しており、この形状により導光部113内に発光部115に向かうに従って徐々に開口径が経大となるすり鉢状の壁面部116が形成されている。
【0020】
導光部113と光導入部112との接続箇所には、中心軸Cに沿って受光部114と対向し、受光部114からの光を中心軸Cを基準とした放射方向に反射する第1の反射部117と、この第1の反射部117及び発光部115と対向し、第1の反射部117を通じて反射された光を発光部115側に反射する第2の反射部118とが形成される
【0021】
また第2の反射部118の外壁部には、例えばホットスタンプにより着色層119が形成されており、光源Lの消灯時に発光部115を見たとき、発光部115を通じて導光部113に入射した外光が着色層119を照らすことで、発光部115が着色されて視認され、一方、光源Lの点灯時には、受光部114を通じて入光した光源Lの光が着色層119を照らすことにより、入射光を着色、色変換、もしくは色調整し、これにより発光部115が着色、色変換、または調整された色で視認される。
【0022】
指示部12は、導光部113の先端から伸びており、その元部は導光部113の発光部115と共有される構造であり、第2の反射部118にて反射されて導光部113内を中心軸C方向に進む光を元部に形成した第3の反射部121で中心軸Cと交差(この場合、直交)する方向に反射させ、指示部12が線状に発光する構造である。なお指示部12の背面には、着色層119と同じ着色層が形成されているが、図示は省略してある。
【0023】
遮光部材2,3は、共に円筒形状を有する別部材からなり、その直径方向の断面形状が有底カップ形の第1の遮光部材2と、直径方向の断面形状が有底カップ形であるが、底部が光導入部112にて分断された第2の遮光部材3とにより構成される。
【0024】
第1の遮光部材2は、壁面部116の形状に対応した被覆部21を有し、この被覆部21は、側壁部と側壁部どうしをつなぐ底部とですり鉢状に形成され、側壁部の直径方向の断面形状は、底部から遠ざかるに従って徐々に厚み寸法が小さくなるように設定され、これにより側壁部の外壁面は壁面部116の形状に合致し、側壁部の内壁部は、その中心軸Cに対する傾き角度が壁面部116の中心軸Cに対する傾き角度よりも大きく設定されている。このようにすり鉢状の壁面部116を同じくすり鉢状の被覆部21で覆うことにより、発光指針の中央部に窪み部Kを形成している。
【0025】
第2の遮光部材3は、導光部113と第2の反射部118(着色層119)の外周部を覆うことにより、基部11の側周面から光が漏れないようになっている。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、計器本体Mの指針軸Sを中心として回転する基部11と、この基部11から連続して指針軸Sと交差する方向に伸長する指示部12とを有し、基部11の背後側端部に形成した受光部114から入光する光によって光輝する透光部材1と、指示部12を露出させた状態で基部11を覆う遮光部材2,3とを備え、基部11が指針軸Sを中心軸Cとした円筒状の導光部113を有し、この導光部113の先端側を遮光部材2,3から露出させることにより、光源Lからの光を透光部材1に入射させた際、線状に発光する指示部12の発光意匠に連続する円弧状の発光部115を形成してなる発光指針において、導光部113の直径方向における厚み寸法を発光部115に向かうに従って徐々に小さく設けることによって導光部113内に発光部115に向かうに従って徐々に開口径が経大となるすり鉢状の壁面部116を設け、遮光部材2に壁面部116の形状に対応するすり鉢状の被覆部21を設け、この被覆部21で壁面部116を覆ってなることにより、発光部115に近づくに従って徐々に厚みが小さくなる導光部113により、発光部115に至る導光部分の体積を大きくして照明効率を高めながら、発光部115に向けて厚みが小さくなる形状を利用して、すり鉢状の壁面部116を形成し、この壁面部116を遮光部材2の被覆部21で覆うことにより、発光指針の中央部にすり鉢状の窪み部Kを形成することができ、これにより指針造形に立体感を与えることができる。
【0027】
また本実施形態では、基部11が受光部114と導光部113との間に導光部113と同軸で且つ導光部113よりも小さな直径方向寸法を有して中心軸C方向に延びる円筒状の光導入部112を有することにより、光導入部112が導光部113よりも小さな直径方向寸法を有するため、発光指針を目盛板P上で回転させる際、必要な貫通孔のサイズを小さくでき、光漏れ等の不具合を抑制することができる。
【0028】
また本実施形態では、光導入部112と導光部113との接続箇所に、受光部114からの光を中心軸Cを基準とした放射方向に反射する第1の反射部117と、この第1の反射部117を通じて反射された光を導光部113の先端側に反射する第2の反射部118とが形成されることにより、第1,第2の反射部に117,118よって導光効率を向上させることができる。
【0029】
また本実施形態では、第2の反射部118の外壁面に着色層119を設けてなることにいより、発光指針の発光時には着色層118によって発光部115が着色、色変換、または色調整されて視認され、また発光指針の非発光時には着色層119が発光部を透過して視認されるため、常に発光部115を所定色にて視認させることができる。
【0030】
図6は本発明の第2の実施形態を示す断面図であり、本実施形態では被覆部21の底部に基部11からの光を透過する例えば円形の透光部22を設けたものである。
【0031】
このように構成したことにより、被覆部21の底部を発光させることができ、発光する透光部22と発光部115との高低差によって、照明時の立体感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
なお前記第1,第2の実施形態では、発光部115と指示部12とが連続して発光する例を示したが、不連続に発光させてもよい。
【0033】
【図1】本実施形態による発光指針の前面側を示す斜視図。
【図2】同実施形態による発光指針の背面側を示す斜視図。
【図3】同実施形態による発光指針の分解斜視図。
【図4】同実施形態による発光指針の前面側を示す正面図。
【図5】図4のA−A断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0034】
1 透光部材
2 第1の遮光部材
3 第2の遮光部材
11 基部
12 指示部
21 被覆部
22 透光部
111 連結部
112 光導入部
113 導光部
114 受光部
115 発光部
116 壁面部
117 第1の反射部
118 第2の反射部
119 着色層
121 第3の反射部
C 中心軸
K 窪み部
L 光源
M 計器本体
P 目盛板
S 指針軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器本体の指針軸を中心として回転する基部と、この基部から連続して前記指針軸と交差する方向に伸長する指示部とを有し、前記基部の背後側端部に形成した受光部から入光する光によって光輝する透光部材と、
前記指示部を露出させた状態で前記基部を覆う遮光部材とを備え、
前記基部が前記指針軸を中心軸とした円筒状の導光部を有し、この導光部の先端側を前記遮光部材から露出させることにより、光源からの光を前記透光部材に入射させた際、線状に発光する前記指示部に隣接もしくは連続する円弧状の発光部を形成してなる発光指針において、
前記導光部の直径方向における厚み寸法を前記発光部に向かうに従って徐々に小さく設けることによって前記導光部内に前記発光部に向かうに従って徐々に開口径が経大となるすり鉢状の壁面部を設け、前記遮光部材に前記壁面部の形状に対応するすり鉢状の被覆部を設け、この被覆部で前記壁面部を覆ってなることを特徴とする発光指針。
【請求項2】
前記基部が前記受光部と前記導光部との間に前記導光部と同軸で且つ前記導光部よりも小さな直径方向寸法を有して前記中心軸方向に延びる円筒状の光導入部を有することを特徴とする請求項1記載の発光指針。
【請求項3】
前記光導入部と前記導光部との接続箇所に、前記受光部からの光を前記中心軸を基準とした放射方向に反射する第1の反射部と、この第1の反射部を通じて反射された光を前記導光部の先端側に反射する第2の反射部とが形成されることを特徴とする請求項2記載の発光指針。
【請求項4】
前記第2の反射部の外壁面に着色層を設けてなることを特徴とする請求項3記載の発光指針。
【請求項5】
前記被覆部の底部に基部からの光を透過する透光部を設けてなることを特徴とする請求項1記載の発光指針。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−112720(P2010−112720A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282902(P2008−282902)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】